調査記録(〆)

調査記録(〆)

匿名さん  2022-07-30 16:42:56 
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  • No.178 by 護衛  2022-08-08 19:45:36 


呼び出したらすぐ来いって事ですか。
(ぽんと受け取ったそれは連絡用のスマートフォンで、仕事道具や社用携帯まで用意してくれるいたせりつくせりの職場と言えばそれまでだが、何時でも手元まで引っ張ってこれる鎖と言えなくもない。そういえば逮捕前に持っていた携帯やら何やらは証拠として押収されたまま返ってこなかったな、と今更ながらに思い出して。「もう俺帰りますよ。」研究員たちと小難しい話をしている彼にそう声をかけて、大きな猫のような伸び、だとすると腰元の刀が鳴らす金属音はさながら首輪の鈴

  • No.179 by 調査官  2022-08-08 20:07:06 

まあ、そんなところだな。
(男は振り返りもせず答え、彼の帰るという言葉にも無反応で『彼女』の元に向かっては楽しそうに怪異のことを語り始める。『彼女』もまた楽しげに男の話を聞いており、しばらく奇妙な雑談会を開いた後にオフィスに戻ってはまた書類を整理する作業と栄養サプリメントを喉に流し込む作業を同時にこなして)

  • No.180 by 護衛  2022-08-08 20:24:09 


サプリばっか飲んでたら早死しますよ。
(オフィスのソファにだらしなく横になって調査官が簡単に書き直した例のファイルを読みながら嫌な忠告を。読む、といっても読解が常人の半分程のスピードで眺めるといった表現の方が正しいのかもしれないが。怪異を相手にするのならノリと勢いと本能的な感覚に身を任せた今までのやり方だとそれこそ早死する、とファイルを開いてみたものの対処法を全て暗記できる自信は更々なくて

  • No.181 by 調査官  2022-08-08 20:42:56 

いつ死ぬか知れない命だ。興味はない。
(彼の忠告もどこ吹く風、男は尚もカロリーバーを齧ってはサプリメントをコーヒーで流し込み、書類を捲ってはまとめ直す作業を続けながらどことなく楽しそうな雰囲気を纏っている。デスクに放り出されたショルダーバッグからは例の拳銃がはみ出しており、替えのものらしい、美しい装飾が施されていたらしい銀の銃弾が入った弾薬ケースが覗いていて)

  • No.182 by 護衛  2022-08-08 21:06:18 


…仕事中毒、
(既に書類を読むのにも飽きてしまったからとソファの後ろから顔を出して彼を眺めていれば、自分に言わせれば肩が凝りそうな作業を随分愉しそうにこなしている、皮肉っぽく呟いて。数日彼と過ごしてきたが結局素性は謎なままで、怪異好きの我儘な変人、というイメージは最初と何ら変わりない。雇い主のプライベートを探る気はないが、こうまでベールに包まれていると奇妙にも思えてくる、と首を傾げたまま

  • No.183 by 調査官  2022-08-08 21:19:41 

…はい、アルバート。ああ、ニコラさん。貴女の武器は勿論有効活用していますよ。
(男のスマートフォンが突然鳴り、どうやら相手はニコラだったようでいつもとは真逆の丁寧な対応をしては何度か相槌を打ちつつ彼女の世間話に応対する。しばらくしてニコラとの通話を終えると疲れたように長く深い溜息を吐き、スマートフォンを置いてはまた書類整理の作業に移り、ショルダーバッグからはみ出していた拳銃に気付いては中に入れ直し、ボタンを留めて)

  • No.184 by 護衛  2022-08-08 21:36:58 


そういえば、気になってたんだけど。
(ソファからするりと降りて彼の元へ、丁度拳銃を鞄の中へ入れ、そのまま留め具をかけていた手を掴んで指先から腕の腱までを伝うように眺めて。「あんた強いね、ほんとにただの雇われ調査官?」狼の左目を後頭部からぴたりと撃ち抜く腕は一般人のものじゃない、怪異を相手取る仕事をしていると皆こうなのか、これまで相手が何を掴んで何を捨てたか、推し量るように灰色の瞳にその手を映して

  • No.185 by 調査官  2022-08-08 22:12:37 

…きみにそこまで教えてやる義務はない。
(手を掴まれると男は一瞬だけ躊躇う様に動きを止めるがすぐにごく冷たく、あくまでもまるで深淵の縁のように底の見えない瞳を彼に向けてそう言い放つ。そのまま彼の手を振り払い、また先程と同じ作業に戻るがふと何かを思い出したかのような様子で「…気になるならきみも『見れ』ばいい。」と独りごちては留め具を開き、先程の拳銃を彼めがけて放り投げる。銃身のごく短いそれはよく見れば弾丸と同じ模様の装飾が施されており)

  • No.186 by 護衛  2022-08-08 22:22:57 


おっと、
(受け取ったそれはずしりと重く、横暴に人に物をすぐ放り投げる癖を何とかしろ、とまず思うがその件はまたいつかの時に置いておくとして。狼を撃った時の銃はそれだけで美麗な骨董品のように細やかな飾りが刻まれており。字か模様か、不明瞭な刻印を覗き込めば目の中に飛び込んできた金属の鈍い反射光に目を細めて。

  • No.187 by 調査官  2022-08-09 07:10:05 

……
(拳銃を彼に向けて投げてしまうと、男はすっかり興味を無くしたように作業の終わった書類をショルダーバッグに戻し、またソファに戻って仮眠を取りかけたところでひらりとバッグから一枚の書類が零れ落ちる。それは普段の怪異の情報を書いたものではなく、左上には今より少々若い頃らしい男の顔写真が貼られ、小さく細かい文字が延々と書き連ねてある。どうやらこれは男の履歴書らしく、大半の部分が黒く塗り潰されていて)

  • No.188 by 護衛  2022-08-09 07:26:06 


…へぇ、
(床に落ちた書類を拾いあげればそれは彼の履歴書のようで、顔写真は変わらず不遜な顔つきをしているが今よりどこかあどけない、面白い物を拾ったと言わんばかりににやりと笑って。肝心な経歴は黒塗りされているが、それでも気になっていた彼の個人情報を知るにはよい資料だと彼に背を向けて経歴を上から順に目で追って。

  • No.189 by 調査官  2022-08-09 08:49:20 

……
(当の本人は書類を落としたことに気付かず、そのままソファに丸まるとまた背凭れに掛けてあるブランケットを被って仮眠を取り始める。男の経歴には当たり障りのない卒業した名門高校、名門大学の名前がつらつらと書き連ねてあり、その中に特に不審な点は見当たらない。が、大学以降の職歴は全てが黒く塗り潰され、今現在の男の職業ー「怪異対策局所属 怪異調査官」の無機質な文字だけは見えるようになっている。資格欄にも当たり障りのない内容が書かれ、黒塗りされているという点を除けばまるで普通の人間の経歴書のように見え)

  • No.190 by 護衛  2022-08-09 18:09:20 


いい学校行ってたんじゃないすか。
(ねぇ、?と振り向けば当の彼はいつもの如くソファに丸まって寝息を立てており。履歴書に書いてある本住所も治安の良い高級住宅地として知られている地域だったし、家に帰って寝ればいいのに、とそんなことを思いながら履歴書を机の上に戻して。近くの売店で買った煙草とチープな使い捨てライターをポケットの中へ突っ込み、そのままふらりと外へ。敷地内の中庭から眺める建物はまだ電気がついている部屋も多く、皆さんご苦労なことで、と呑気な感想を

  • No.191 by 調査官  2022-08-09 20:42:33 

……これは…
(しばらくして目を覚ましたか、男はデスクの上に置かれた自身の履歴書を寝ぼけ眼で掴み上げる。そのままそれをショルダーバッグに戻すと留め具を留め直し、一瞬窓の外を眺めるがすぐに興味を無くしたように本棚から洋書を取り出し、欠伸混じりにゆっくりと頁を捲り)

  • No.192 by 護衛  2022-08-09 20:51:57 


お、起きてる。
(オフィスへ戻れば見覚えのある人影を見つけて。仕事関連の物なのか分厚い本を抱えるように読む彼に「今日も帰らないんですか。」と尋ねたのは大した理由ではない、ただの雑談のようなもので。僕の勝手だろう、と突っぱねられるのも分かっているしそれに対して苦笑ひとつ零すだけで自室へ戻っていく自分の反応だって見えている

  • No.193 by 調査官  2022-08-09 21:13:00 

…帰ってもつまらないんでな。
(男は手の中の洋書から目線は上げないまま素っ気なく答え、思い出したかのように彼にじとりとした目線を向けては机の上のショルダーバッグに目を遣り、「…勝手に見たな?」と問い詰めるような声色を向けつつも洋書を手放す気はないようでページを捲り続けていて)

  • No.194 by 護衛  2022-08-09 21:23:27 


…落ちてたから拾ってあげただけ。
(嘘は言っていない、たまたま個人情報が目に入ってしまっただけ、追い詰めるような視線から逃げるようにすっと目線を反らして。気付いているということは先程は狸寝入りだったのか、プラスチックのライターを手の中で弄びながら、嫌な奴、と心の中で毒づいて。

  • No.195 by 調査官  2022-08-10 14:43:15 

……ふん。
(男はそんな彼の態度を鼻で笑い、ソファから立ち上がって読み終わったらしい洋書を本棚に戻すと彼が手の中で弄んでいる安物のライターを一瞥、舌打ちをするとデスクから以前に彼に貸した純銀製のオイルライターを取り出し、彼に向かって放り投げては「そんな安っぽいものを使うな。僕の品格が疑われる。」と無愛想にそう吐き捨ててまたデスクに腰を下ろし)

  • No.196 by 護衛  2022-08-10 17:54:32 


俺の持ち物とあんたに何の関係が?
(受け取ったライターをそのままデスクへと置き返し。純銀のライターは確かに美しく着火した時のオイルの匂いも芳しいが持ち運ぶには重すぎる、オモチャのようなチープな水色のライターをくしゃくしゃに折れたソフトの煙草と共にポケットに押し込み、態とらしく首を傾げて少し笑ってみせて

  • No.197 by 調査官  2022-08-10 19:21:08 

きみは一応僕の護衛だろう。護衛に安いものを使わせているようでは雇い主の器が知れるというものだ。
(突き返されたライターをデスクから拾い上げ、今度は自分のものらしい高級な銘柄の煙草を懐から取り出すと火を点けながら、男は半ば呟くようにそう言っては「…それに、銀製品は怪異が嫌う。僕はきみに死なれると困る、と前にも言っただろう。」彼に顔を背けて窓を開け、外の暗闇に向けて煙草の煙を吐き出す。瞳を伏せ気味に外を少しの間眺めていたが、すぐに彼の方に顔を戻すと煙草を灰皿に押し当てて消し)

  • No.198 by 護衛  2022-08-10 19:51:33 

そんなお守りなんかに頼らなくても俺は死にません。
(灰皿から最後に薄ら立ち上る煙が目に滲みる、ひらひらと手で煙を煽り退けて。相手の忠言を単なる迷信とでも、もしくは誰かの思いを背負った持ち物なんて重くて息が詰まる、どちらにせよ目の前の物全てを自分と全く関係ない物のように扱う逃避癖剥き出しの適当な出任せを。とはいえどうやら自分は血腥い物語を観劇したがる悪趣味な女神かなにかに好かれているのか、滅多な事では終劇は迎えそうにない、という確信があるのは事実

  • No.199 by 調査官  2022-08-10 20:02:42 

そうか。なら、死んでくれるなよ。
(煙草の箱を懐に戻した男はまるでそう答えられるのを知っていたかのように、珍しく口元に不敵な笑みを湛えるとそれを彼に向けてそう言い放つ。ややあって男は冷蔵庫から再び栄養サプリメントを取り出し、噛み砕くようにして飲み込んでは「…明日は仕事だ。精々死なないようにするんだな。」と彼の方を向かないまま吐き捨てるとデスクのパソコンのキーボードを叩き、それきり話をシャットアウトするようなオーラを纏って)

  • No.200 by 護衛  2022-08-10 21:01:59 


…そういうのをフラグって言うんじゃないんですか。
(自室へ帰ろうと扉に手をかけるとふとそんな事が頭に浮かび。こういう話をするんじゃなかった、もしかすると自分がここまで何とか生き延びてこれたのは明日の生還を言葉に表してくれる人が居なかったからかもしれない、と嫌な根拠の妄想までその後に続いて。そんな事を考えてみても楽しいお化け退治は雨天荒天構わず決行、明日の天気予報は何だったっけ、とっ散らかりがちの思考は次の内容へと

  • No.201 by 調査官  2022-08-10 21:10:10 

さてな。
(男は一言だけそう返すと尚もディスプレイと睨み合いをしながらキーボードを叩き続け、しばらくして一段落ついたかオフィスを出るとまだ煌々と明かりの輝くカフェテリアに入り、面倒そうに代金を払ってからどうやら明日の朝食にするらしいローストビーフサンドを受け取ってはオフィスに戻る。デスクにその紙袋を置くとそのままソファに丸まってブランケットを被り、本格的に寝入り始めて)

  • No.202 by 護衛  2022-08-10 22:01:52 


(目が覚めると外はどんよりと暗く、言う事を聞かない呪いの刀と、やはり話が通じない傲慢な上司との仕事を思えば泣きたいのはこっちだと、ぽつりぽつり涙を零す天に向かって愚痴を吐いて。シャワーを浴びた後オフィスの冷蔵庫に入れてあった水のボトルを取りに向かえば、ソファに眠る上司の頭だけが毛布から覗いているのも既に見慣れた光景で。こんな狭い所で毎日寝ているせいで疲れが取れずいつも不機嫌なのでは、と失礼な事ばかり思いつくのは相手の影響だろうか

  • No.203 by 調査官  2022-08-10 22:12:46 


(男は彼が起きてきてからしばらくして、また例の寝起きの悪さを発揮して彼を怪訝な眼差しでじろりと睨んだ後大きく伸びをしてデスクに置いてあった紙袋を掴むと中からローストビーフサンドを取り出し、食べ始めた所で「…数を間違えた。」と小声で呟いたかと思えば彼の方に紙包みのサンドイッチを放り投げる。その後はいつものようにコーヒーメーカーに向かい、ブラックコーヒーを啜って)

  • No.204 by 護衛  2022-08-11 18:25:27 


あのねぇ、物を人に投げるなって教わらなかったんですか。
(子どもを諭すような口調で小言を言いながらサンドイッチの包み紙を開けて。昨日見た履歴書の生年月日を思い出す限り彼の方が自分より年上で、きちんと学校も出ているのだけれど、それとこれとは話が別。もしくは他の人の前では丁寧で、犬にオモチャやエサを放りやるようなやり方をするのは自分に対してだけなのだろうか、それもそれで大問題だなと考えながら一口齧って

  • No.205 by 調査官  2022-08-11 18:36:19 

…はっ。
(男は変わらずコーヒーを啜りつつ、鼻で笑うようにして彼の言葉を一蹴すると空になった包み紙を丸めてゴミ箱に放る。その後、首に掛けられた細い金鎖のペンダントを何かに縋るように握り締め、瞳を伏せたのも暫しの間ですぐにいつもの男に戻ると出発の準備を整え、舌打ちを一つ。態度は悪いものの男にしては珍しく彼が食べ終わるのを待つつもりになったらしく、ソファに不機嫌そうな態度で足を組み、枠組みが微かに軋むほどの勢いで尻を降ろしてはショルダーバッグから今日の仕事対象らしい怪異の書類を読み込んでいて)

  • No.206 by 護衛  2022-08-11 19:56:44 


今日は楽できそうな案件ですか。
(食べかけのサンドイッチを片手に彼の読む資料を覗き込めば、ずるりと中身が傾きかけたサンドイッチを資料に零してしまう前に器用にぱくりと口に入れて。天気も悪いことだし、きみは役に立たないから留守番だ、とでも言ってくれた方がずっといい、そんな一縷以下の有り得ない望みをかけながら上記を尋ねて

  • No.207 by 調査官  2022-08-11 20:26:13 

きみの実力次第だな。
(男は冷めた声色でそう返し、気だるげな眼差しを彼に向けて書類をショルダーバッグに戻すと「村正を持て。今度は僕の拳銃は貸さないぞ。」と立て掛けてあるニコラ特製の村正に視線を投げ、それを指すように顎でしゃくる。その後自分は立ち上がり、彼を待つことなく機関の外へと歩いていき)

  • No.208 by 護衛  2022-08-11 21:43:26 


じゃあ駄目じゃないですか、
(刀を担いで彼の後へ続く、出来ることなら信用出来ないコレは使いたくないが仕方ない、まだ真新しい癖に手に吸い付くように収まりが良い点も尚更腹立たしく。廊下の窓を叩く雨音は朝よりも激しさを増した気がする、対人間に対しては雨の音や匂いは自分の気配をかき消してくれるからやりやすいと感じていたが、怪異に対してはどうだろうか、

  • No.209 by 調査官  2022-08-11 21:52:35 

…まあいい。乗れ。
(男は彼が車に乗るのを待ってから例の運転係の男に指示を出し、車をしばらく走らせては一軒の廃墟の前で車が止まる。男は廃墟に一瞥を寄越してから車を降り、廃墟の中に躊躇することなく入っていっては車にいる彼の方に目線を向け、「早く降りろ。調査対象の怪異はこの中にいる」と冷たく言い放ったかと思えば姿は見えなくなり)

  • No.210 by 護衛  2022-08-11 22:13:01 


…正気かよ。
(本物の心霊スポットのようなおどろおどろしい雰囲気はこの悪天候のせいだけでなく建物自身が持つ何かが奏でているのではないかと思えるほどで。躊躇するうちに彼はどんどん進んでいってしまい、毎度の事ながら護衛される側ならされる側らしく自分を放ったらかして行かないで欲しい、と低気圧のせいもあってか重い頭を抱えながら自分も中へ。室内は薄暗く埃っぽい空気が充満していて一刻も早く自室に帰って眠りたい、という怠惰な感想は今回だけの話ではないけれど

  • No.211 by 調査官  2022-08-11 22:23:51 

…ふむ…
(男は彼の声など微塵も聞いていないようで、廃墟に我先にと侵入したかと思えばもう埃がかなり厚く積もった机や椅子に素手で触れては何やら興味を惹かれたように呟いたりと完全に自分の世界に入り込んでいる様子であった。とその時、ぴしりと廃墟全体に小さな家鳴りのような物が走ったかと思えば、そんな現象に首を傾げる間もなく先程まで男の触れていた椅子や机が宙を舞い、男や彼の方に向かって飛んでくる。男は間一髪で避け、ますます興味を惹かれたように「念動力…所謂PK現象か。興味深い…」と不気味な笑みで呟いていたがややあって彼を呼びつけるとショルダーバッグから拳銃を取り出しつつ乱暴な口調で「背後に着け。こいつは厄介な相手かもしれないぞ。」と命令し)

  • No.212 by 護衛  2022-08-11 22:35:45 


こういうの何て言うんでしたっけ。
(映画で見るようなオカルト現象まで起きるとますます自分がしがみつく現実との剥離に目眩がしてくる、重力を無視し目の前を滑空してきた分厚い本を叩き落として。こうも狭い部屋でその上護衛対象も居るとなれば長い刀は振り回しにくい、さてどうするべきか、調査官の背後へと音もなく飛んできた椅子を部屋の隅へと気だるげに蹴り飛ばして、「あぁ、思い出したポルターなんとかです。」、と呑気な声をあげて

  • No.213 by 調査官  2022-08-12 07:58:00 

…ポルターガイスト、だ。
(男は自身の顔を掠めるように飛んできた果物ナイフを避けたものの、その後ろに隠されるようにして飛んできた辞典のような厚さの洋書を避けきれずに頭に角の直撃を食らう。男は頭部から血を一筋流しながらも周囲に冷えた眼差しを送り、「…そこか」と呟いたかと思えば天井に銃口を向けて引き金を引く。耳を劈く音が鳴り、姿は見えないものの何かが天井から落下してきて)

  • No.214 by 護衛  2022-08-12 15:51:13 


(けたたましい銃声と落下音に首を竦める、真横で突然発砲されたせいできんと響く耳鳴りに眉を顰めながら刀の柄に手をかけて。「あんたが居ると邪魔です。」怪異との乱闘騒ぎに巻き込まれたくなかったら近づいてくるなとでも言いたげに、彼を手で制止しながらなにかが落ちたあたりへゆっくりと近づけば。姿が見えないそれの気配を感じようと自身の呼吸を無意識に止めて

  • No.215 by 調査官  2022-08-12 16:07:25 

…ほう?よっぽど自信があるらしいな。
(彼の言葉を聞いた男の顔には明らかな苛立ちが見え、声もいつも通り冷えたものではあったが嘲笑うように鼻を鳴らすと壁に凭れかかり、ショルダーバッグから取り出した書類に何やら書き込み始める。姿の見えないその怪異には男の銃弾は当たっていなかったのか、相変わらず透明な姿のまま焦ったように果物ナイフや椅子、近くにあったものを次々と彼に向けてPKで投げ飛ばし始め、果てはソファやベッドといった大きな家具までを宙に浮かせ、重力を無視した軌道で彼を排除しようとしているらしく)

  • No.216 by 護衛  2022-08-12 16:24:46 


余計なこと言ってるとうっかりぶっ刺しますよ。(宙に浮く大きな家具たちに器用に飛び移りながら、小物は刀で弾き返し。ただ自分に襲い来る物たちを避けているような動きで、自分が跳ね返した物の軌道、特に不自然に急角度で折れ曲がる物たちを目で追いながら。追う側、追われる側が決定した時点で勝負はもうついている、姿は見えなくても、汗、鼓動、恐怖、相手が発するそれら諸々のシグナルを追い捜す瞬間に生を実感する、と言ったら悪趣味だと笑われるだろうか

  • No.217 by 調査官  2022-08-12 16:38:51 


(男は珍しく彼の嫌味にも言葉を返さず黙ったまま書類に書き込みを続けており、怪異はすっかり彼に怯えた様子で標的を彼から男に変え、変わらずメモをし続ける男の顔めがけて書籍の塊を飛ばす。辞書のような分厚さを持つそれらが直撃すれば無事では済まないだろう、と思わせる勢いで飛んできた書籍は男の前で何かに叩き落とされたかのようにバサバサと床に零れ落ちる。そんな事態にも目線一つ上げない男の前には例の、鉄仮面の運転係の男が立っており、その手には同じくニコラのものと思われる金属製の棒が握られており、「…こちらはお任せを」と感情のない声で彼にそう言ってみせ)

  • No.218 by 護衛  2022-08-12 17:34:36 


どーも。(物音に振り返ればいつもの運転手と目が合って、彼が居なければそれ位てめェで避けろだのなんだの余計な口喧嘩が増えるところだった、とばかりに口角をあげて。そのまま部屋の隅でふわりと浮いた華奢な化粧台の上へ飛び乗って、壁に何も無い空間を串刺しにするように刀を突き立てる、「捕まえた。」その虚になにかが見えているかのような確信を湛えた瞳でじっと覗き込んで

  • No.219 by 調査官  2022-08-12 17:51:52 

…ほう。
(男は運転係の男に守られつつ、彼の行動に感心したような声を洩らしては顎に手を当てる。突き刺された壁から透けるように姿を現したのはまた幼く見える少女で、涙を目の端に溜めて潤んだ瞳を彼に向けては「…やめてよ…」と涙混じりの声を上げてそう嘆願するが男は冷たく「騙されるなよ。この怪異は人間を疑似餌にする習性がある。これはどうやらこの怪異が最後に食った人間の姿らしいな。」と彼に指示を飛ばし)

  • No.220 by 護衛  2022-08-14 16:08:05 


早く何とかして下さい。
(ただの用心棒なら切った張ったの相手も武器を持って目を血走らせた野郎ばかりだった、前回もそうだったがどうしても純粋な子どもに見つめられると、その瞳に映った自分を見ると動けなくなる、例えそれが怪物が化けた姿だと分かっていても。命乞いをする少女の声をもうこれ以上聞かなくて済むようにソレの喉をぐっと押し潰すように抑えて、調査官がいつも取り出す封印の道具を急かすように

  • No.221 by 調査官  2022-08-14 16:33:07 

全く、対象遣いの荒い護衛だ。
(彼の言葉を聞いた男は面倒そうに息を吐き、自身の前に立つ運転係の男を力任せに押し退けると怪異の方に躊躇なく足音を鳴らして近付いていく。喉を押し潰され、声にならない悲鳴を上げる泣き顔の少女に顔を近付けると顔を伝う自身の血に気づいたらしく、それを懐から取り出したハンカチで拭いながらショルダーバッグから例のシールを取り出して少女の額に貼り付ける。少女はしばらく弱々しく暴れていたがやがて動きを止め)

  • No.222 by 護衛  2022-08-14 16:42:01 

何回やっても気分が悪い。
(少女が完全に沈黙したのを見ると刀を収めて。子どもを虐待しているようで気が咎めるというのもあるが、所と時代が変われば人為を超えた存在として崇められるような力をもった怪異たちをこの手にかける度、神殺しとして呪われ得る、と本能的な畏怖が魂を脅す、ような、そんな妄想を言葉にして上手く表現出来る訳がなくただ言葉少なに呟いて。

  • No.223 by 調査官  2022-08-14 18:06:23 

…余計なことを考えるな。
(男は励ましているのか何なのか分からないが彼の肩に手を置き、何度か叩くと運転係の男に「先に戻っていろ」と指示を出す。運転係の男は何を言うでもなく頷き、そのまま廃墟を出ていくが男は残って彼の背を強めに叩くなり運転係の男を追うようにして廃墟を出ていき)

  • No.224 by 護衛  2022-08-14 23:48:20 


(足元に転がっていたコンクリート片を軽くつま先で小突くように蹴飛ばして。確かに昔は何も考えず斬れと言われた物を斬り、消せと言われた者を片付けてやってきた気がする、色々と考えすぎなのだろうか、首に手を当てて回せばバキバキと骨の鳴る音。恐怖、不安、躊躇、仕事に不要なそれら全てを忘れようとかぶりを振って、自分も彼らの行った方へと進み

  • No.225 by 調査官  2022-08-15 07:49:57 

……やかましい。
(運転係の男が相変わらずの鉄仮面で後部座席の男を見やり、「…珍しいですね、貴方が他人を気遣うとは。槍でも降ってくるんでしょうか」と感情の読めない声ではあったが茶化すような声を掛ける。男がぶっきらぼうな声でそう返した後彼が車に乗り込むのを待ち、「下らないことを言っている暇があるならさっさと出せ」いつも以上に不機嫌さの漂う声でそう指示すると、運転係の男はそれ以上何を言うでもなく車を発進させ)

  • No.226 by 護衛  2022-08-15 14:02:08 


(雨の雫が車の窓を流れ落ちる、その向こう側にはビニールや黒の傘の群れの中にひとつ鮮やかに咲いた赤い傘の少女、彼女の横顔が先程自分が喉を絞めた少女に見え、開いた瞳孔で追って。よく見ると髪色も目鼻立ちも全く違った、息を吐いて目線を伏せれば「今日はこれで終いですか。」と後部座席の彼に質問を

  • No.227 by 調査官  2022-08-15 14:43:06 

……本来はまだ一件あるが、きみが使い物にならないんじゃ困る。僕とこいつで解決してくるから、さっさと帰って寝ろ。
(男は雨が伝う窓の外を底知れない瞳で見つめていたが、彼の言葉にそう答えてはショルダーバッグから取り出した箱入りのアイマスクを投げ、運転係の男を顎でしゃくって脚を組み直す。運転係の男も彼の方に横目を向けて「…ええ。ゆっくりお休みください」と感情のない声を掛けて)

  • No.228 by 護衛  2022-08-15 16:06:53 


護衛役が居ないと上に止められるんでしょう。
(そうは言ったものの、運転手の男もなかなか動けるようであるし、もしかしたら自分は彼に不要なのかもしれないなと思い直し。アイマスクの紐を指にひっかけくるりと一度回して「まぁ、機関に着くまでは寝てます。」と折衷案を述べて。神経は未だ興奮していて眠気は無かったけれど、強制的な暗闇に身を落とせば少しは思考が静まる気がしたからで

  • No.229 by 調査官  2022-08-15 16:57:36 

…この男も「元」僕の護衛だ。怪我で運転係になったがな。
(男は聞いているのかいないのか分からない彼に向かい、そう言葉を投げかけては運転係の男に目線を投げる。運転係の男は事も無げに頷くと「…はい。少々足を怪我しまして」と足首から先が義足らしい金属の脚に置き換わっているのを見せてはスラックスを戻し、エンジンを一層吹かし)

  • No.230 by 護衛  2022-08-15 17:22:16 


へえ、
(道理で素人なら裸足で逃げ出すような化け物相手にも顔色ひとつ変えず主人に付き合うわけだ、と頬杖をついたままそちらをちらと見やり。特に何も指示しなくても場が回る2人の様子にさぞかし長い付き合いなのだろうとは思っていたが。道の様子を窺えば機関まで後数十分程、眠れるなら眠ろうとアイマスクを目元まで下げて

  • No.231 by 調査官  2022-08-15 18:24:36 


(しばらく車に揺られながら機関に到着し、車のカギを開けたまま彼を置いていくと運転係の男と男は別の車に乗り換えて次の現場へと向かう。「…怪異番号6754、でしたね」と運転係の男が確認を取ると後部座席に乗り込んだ男は満足げに頷いて「ああ、流石だな。言わなくても分かるか。」と運転係の男に対しては随分素直に誉め、それを聞いた運転係の男は「…新しい方も、誉めてもよろしいのでは」と男に静かな声でそう問う。男は「…あまり深入りすると、「危うく」なる。お前のようにな」と返し)

  • No.232 by 護衛  2022-08-15 19:32:25 

(いつものようにオフィスに戻れば刀を薄紙で拭いてやり。今日は血肉を喰らう事が出来なくて残念に思っているだろうか、こいつも調査官も皆自分に期待することはきっと同じ、ただ冷たくそこに黙っているだけの彼女をつるりと撫でてやり。今日逢った怪異はどんな物語を有していたのだろうと自分用の資料ファイルを開けば、その種類の多さになかなか見つけられず、割り振られたナンバーを聞いてメモしておけばよかったか、と思っても遅い

  • No.233 by 調査官  2022-08-16 07:37:49 

(男二人が目的地に着くと、そこにはあからさまに「何か」出そうな、どんよりとした雰囲気が漂っていた。運転係の男は金属製の棒を構え、周囲に警戒の目を走らせているが男は気にすることもなく我先にと進んでいく。今回の怪異は少年の姿をしていたらしいが、男が声を掛けるより先に運転係の男が手にした棒でその怪異の頭を粉砕してしまう。運転係の男は暴れる少年を容赦なく打ち据え、「止めろ」と男が止めるまで無言で痛めつけていた。男は原形を留めないほど痛めつけられた怪異にシールを貼り付け、車に放り込むと機関へと戻ってきて)

  • No.234 by 護衛  2022-08-16 10:24:57 


(資料の中から先程のポルターガイスト現象を探すことを諦め、ファイルを机に放り出せばソファにそのまま横になり。明かりが妙に眩しいけれど消すことも微妙に手が届かない所に置いてある借り物のアイマスクを取りに行く事も億劫で、腕で目元を覆えば、恐らく聞き覚えのある車の音。留守番中何もしていなかったのかと笑われるだろうか、と考えるも天気のせいか頭が重いとただ怠惰に横たわったまま

  • No.235 by 調査官  2022-08-16 11:29:00 

……よく眠れたか?
(男はオフィスに入ってくるなり彼の姿を見つけ、無愛想にそう声を掛ける。白衣を脱ぎ、ハンガーに掛けてコーヒーメーカーからブラックコーヒーを注ぐと一気に飲み干して「…ほら」とアイマスクを彼の方に放り投げて)

  • No.236 by 護衛  2022-08-16 12:21:28 


この仕事は疲れます。
(腕で目元を覆ったまま質問への回答になっているのかいないのか、分からないような返事を。怪異の瞳を覗き込む度、その呼吸をはかる度、精神が削られるような疲れが溜まる。何かを守るため救うためだとか、存在に惹き付けられているからだとか高尚な理由もなく、首の紐に急かされるように走るには少し重荷すぎる仕事だと考えてしまうのは、刑務所に入っている間に腑抜けてしまったからだと、自分の中で取り急ぎ設定した答えで目を背けて

  • No.237 by 調査官  2022-08-16 15:22:47 

…まあ、そうだろうな。
(男が珍しく彼の言葉に同調するような言葉を溢したかと思えばコーヒーメーカーでエスプレッソを淹れ、彼の近くにあるテーブルにカップを置くと自身はデスクに脚を組んでまたショルダーバッグから取り出した怪異に関する書類の確認作業に移る。「僕だって疲れていない訳じゃない。」呟くようにそう口から漏らして)

  • No.238 by 護衛  2022-08-16 16:33:12 


じゃあもう止めましょう、
(ぜんぶ、舌足らずに我侭を言う子供のような台詞、どうせいつも嬉々として調査に出向く彼に言ったって無駄な事は分かっていたけれど。重い半身をなんとか起こして、いつものように書類仕事に向かう彼を眺めて。コーヒーの匂いに混じって薄ら血のような臭いにすんと鼻を鳴らす、自分ナシで済ませた案件の物か、それとも彼自身か。

  • No.239 by 調査官  2022-08-16 16:54:30 

そういう訳にはいかないな。
(男はあっさりとそう言い放つとコーヒーを飲み干し、一旦立ち上がるとコーヒーメーカーの方にカップを戻して彼を見据える。その瞳は底が知れず、底無し沼のような昏さを纏ったもので普段の男と比べると明らかに異様な姿であった。「…僕にも事情がある。」と呟いただけでデスクに戻るとハンカチで頬を伝う血の筋を拭い、また書類に目を通す作業に戻り)

  • No.240 by 護衛  2022-08-16 17:22:15 


俺を刑務所にまた戻してくれてもいいんですよ。
(雇い主本人の瞳が、光の下で見れば青い宝石のように輝くそれが、化物と同じ、吐き気がする程澱んでいるというのも気に入らない、こちらを見つめる彼を獣のような鋭い視線で射抜き返して、口は何度目か分からない解雇の打診を冗談混じりの軽い調子で。自らの命の蝋燭を握る彼にもう少し媚びた方が良い世渡りなのだろうか、という気もするが此処に居るとどうも思考が誤方向へ暴走する、

  • No.241 by 調査官  2022-08-16 17:40:50 

…きみは自分の立場が分かっていないらしい。
(男はいつもの調子に戻ると読み終わったらしい書類をショルダーバッグに戻し、冷蔵庫からいつものカロリーバーと栄養サプリメントを取り出すと口に放り込んでどちらも飲み込んでしまう。「明日も仕事だ。」と彼に声を掛けるとパソコンのキーボードを叩き)

  • No.242 by 護衛  2022-08-16 17:50:38 


立場もなにも、ただの…バイトみたいな物でしょう。
(パサついたバーと薬を一気に飲み込む彼のお決まりの食生活に顔を顰めては自分も冷蔵庫から紙パックのジュースを取り出し、行儀悪くストローを噛みながら上記を述べて。そう言えば何時だったか機関内ですれ違ったここの職員に、あれが新しい犬か、とかなんとか侮蔑めいた物を吐かれた事をふと思い出して。しかし流石にその蔑称を自身で名乗るのは癪に障るので、何となく思いついたアルバイトという気ままな立場を挙げて。

  • No.243 by 調査官  2022-08-16 18:43:24 

バイト、ね。僕はバイトに命を張れと言うほど腐ってはいない。
(男は呟くように零し、触っていたパソコンを閉じると彼の方に目線を向けてそう言い放つ。カロリーバーの封と栄養サプリメントの袋をゴミ箱に捨てるとソファの背凭れに掛かっているブランケットだけを持ってはデスクの椅子に戻って革張りの背凭れに背を預け、そのまま仮眠を取り始める。ショルダーバッグは留め具が開いたままデスクの上に放置されていて)

  • No.244 by 護衛  2022-08-16 19:03:34 

(化け物が何をほざく、そう思うも何も言わずただ尖った歯で飲み終えたパックのストローを噛み潰すだけで。ぽいとその残骸を見ずにゴミ箱へ投げ捨てれば、いつもならば世話焼きというか細かい性分で開けっ放しにした鞄を整えてやる等する所、眠り始めた彼を一瞥、そのまま窓を開けると煙草に火をつけて。今頃晴れた空に舞う煙を見上げ

  • No.245 by 調査官  2022-08-16 19:19:01 


(男が本格的に寝入りだしたところで「…失礼します」と書類の束を抱えた運転係の男が控え目なノックと共にオフィスに顔を覗かせては眠っている男と煙草を吸う彼をそれぞれ一瞥、彼の方に近付くと表情は相変わらずの鉄面皮、だが声は問い詰めるような悲痛な響きを持ったもので「…貴方は彼のことをどう思っていらっしゃるのですか?」と問う。書類をデスクに置くと彼の方に歩み寄り、返答次第では容赦しないと言いたげな様子を見せ)

  • No.246 by 護衛  2022-08-16 19:35:32 

なんだろうな、化け物、死神、
(最初に出会った時から人間の匂いが薄いと感じていた、街には時折そういう人間も見る位で納得していたのだが、職業を知って、代わりに彼に付き纏う匂いの正体に気付いた時の寒気は今も覚えている。煙草の紙フィルターの側面の小さな穴を指で塞げば肺を塞ぐ濃い濃い煙に視界が揺れる、忠実な運転手の顔は酷く悲しげで、2人を隔てる煙が無かったら見れたもんじゃない、わざと彼の主人を酷く揶揄する言葉で挑発するように

  • No.247 by 調査官  2022-08-16 20:16:50 

「死神…ですか」
(彼の言葉を反芻するように小さく呟いた運転係の男は、デスクで眉間に皴を寄せて眠っている男を起こさぬよう声を顰めて「…貴方には、そう見えているのですか」と静かな声で零して)

  • No.248 by 護衛  2022-08-16 20:34:52 


こいつに巻き込まれるか飽きられるかして死ぬんだ、当然だろ。
(仕事中に怪異に喰われるか、もう要らないと捨てられるか、そんな結末が見えた生き方しかできないのは自分が悪い癖に、酷く子供じみた台詞だと言っていて自分でもおかしくて、最後の煙を吐いて少し笑って。この男はどうして自分が罵られた時のように辛い顔をするのだろう、と、自分は人の弱点や隙を察知するのは得意だけれどどうやらこの答えはいくら相手を観察しても浮かばない、

  • No.249 by 調査官  2022-08-17 08:54:47 

「…失礼します。これを届けに来ただけですので」
(運転係の男は背に隠した拳に血が流れるのではないかと思うほど深く強く爪を立てた後、普段の鉄面皮に戻って彼に軽く頭を下げる。そのままオフィスを立ち去っていき、その音で起きたか男もデスクチェアから身体を起こしてデスク上の書類に目を留めると「……あいつが来ていたのか。起こせばコーヒーくらい出してやったのに」とだけ独り言のように呟いてその書類を再び読み込み始め)

  • No.250 by 護衛  2022-08-17 13:18:11 

随分と親しいんですね。
(彼との話は言わないでおこう、寧ろ貴方を悪く言って怒らせましたなんて誰が言えるだろう、日頃無表情な人間の方が激昂の揺らぎが涼やかな瞳によく映えて面白い、と思い返して1人口角を上げて。まあ2人の関係なんて自分には無縁な話、自分から無難な台詞を吐いておいて薄ぼんやりとした表情で窓枠にもたれかかって

  • No.251 by 調査官  2022-08-17 16:47:12 

…あいつは、僕の護衛で一番長続きしたんだ。
(彼の言葉にぼそりと呟くような言葉を返し、側にあったショルダーバッグからハンカチを取り出すとペンダントの薄汚れた細い金鎖を丁寧に拭き始める。所々凹みのあるペンダントに映る男の顔は歪んでおり、しばらくそれを続けた後にハンカチを仕舞っては書類をデスクに置き)

  • No.252 by 護衛  2022-08-17 18:23:18 


何人潰したんですか?
(人を傷つける台詞ばかりが口から出る、恐らく過去に傍に居た誰かを想って、そんなにも優しい手つきで鎖を撫でる事が出来る彼が羨ましくて妬ましいだけ。こんな時は煙でも飴でも何でも口に放り込んで塞いでしまうのが得策なのだけれど、生憎手元にはもう何も無い、苛立ちに下唇を小さく噛んで。「あぁなんでもないです、すいません。」雇い主を挑発するなんてらしくない、馬鹿な行為、鈍い痛みに目覚めた理性が叱る、目を伏せたまま誤魔化すように呟いて

  • No.253 by 調査官  2022-08-17 18:37:41 

……構わないさ。
(男にしては珍しく弱気な呟きを漏らすと椅子から立ち上がり、ブランケットを片手にソファへと移動しては横になってソファの上に丸まる。「…僕はもう、寝る。きみも早く寝たまえ。」男は彼に向けてそう言い残すと男は彼に背を向け、背凭れに顔を向ける形になりながら寝息を立て始め)

  • No.254 by 護衛  2022-08-17 19:37:40 

…おやすみなさい。
(嫌味な返事、もしくは解雇通知が来ると思って一瞬身構えたのに相手は大人しく眠りに入ってしまって。大体雇われの用心棒なんて、例えるなら雇い主のペットの金魚以下の弱い立場な訳で、羨ましいとかずるいとかそんな幼稚な理由で噛み付いていい訳がない、考えるのはそんな自己保身の反省と、ほんの少し、彼の弱々しい声への罪悪感。化け物退治の仕事は人間を丸くするのだろうか、なんてまた自身の感情を馬鹿げたことで塗り潰して、自分も眠ろうと自室へ

  • No.255 by 調査官  2022-08-17 21:26:16 


(男は彼がいなくなるとむくりと起き出し、首に提げたペンダントの鏡面部分を握りしめては静かに瞳を伏せる。「…分かっている、分かっているとも。」半ば自分に言い聞かせるようにそう呟くとペンダントから手を放し、再びソファの背凭れに顔を向ける形で眠りに落ちては朝まで起きることもなく)

  • No.256 by 護衛  2022-08-17 21:46:44 


(ろくに眠れなくとも早朝の鳥の声や車の音に自然と目が覚めるのは体質、今日はほとんどないに等しい食欲を売店の野菜ジュースで濁して。お化け退治やら苦手な雇い主やらで此処に来てから大抵気分が優れない、元々楽しい人生でも無かった事を忘れているのは単なるご都合主義。オフィスで眠る当の雇い主の首からいつも肌身離さずかけている鎖がゆるく垂れ下がっていて、ソファの足元へしゃがんでそれに手を伸ばそうと

  • No.257 by 調査官  2022-08-18 14:49:05 

……
(男は彼の手が鎖に触れかけたところでようやく目を覚まし、「…何をする気だ。」と寝起きゆえか本当に不機嫌か、ブランケットの隙間から覗かせた瞳で彼をじろりと睨みながら起き上がる。大きな欠伸を一つ、肩にブランケットを被ったままコーヒーメーカーの方まで歩み寄って)

  • No.258 by 護衛  2022-08-18 18:18:28 


別に、
(不意にかけられた声にびくりと肩を上げる、好奇心に殺される猫のような気分、それこそ本物の猫ならぺろぺろと毛繕いでもしてこの場を誤魔化すのだろうが、ただの人間はバツの悪そうな顔をして手を引っ込めただけで。床にそのまま片足を立てた形で座れば頭をソファに凭せかけて何の気なしに上を向く、聞き慣れたコーヒーメーカーの電子音と共に始まるいつもの朝、「今日は?」言葉少なに尋ねたのは仕事の内容で

  • No.259 by 調査官  2022-08-18 19:28:23 

…怪異番号5980、「呼び声」の無力化及び研究所までの輸送。
(男は淡々と答えて自身にはブラックコーヒー、彼の方のテーブルにはカフェモカの入ったカップをことりと置く。男はその後しばらく黙ってコーヒーを啜っていたが、「…気になるなら見ればいい。大したものじゃないがな」と呟いたかと思えば首に提げていた金鎖のペンダントを外してデスクに置き)

  • No.260 by 護衛  2022-08-18 20:15:39 


呼び声?
(マグに息を吹きかけて冷ましていれば、耳に入ったなんとも御伽噺チックな単語にそう聞き返して。カフェモカを口に含めば自分好みのミルクの甘みに、いつかコーヒーを彼に頼んで反故にされた時のオーダーを覚えていたのか、それとも偶然か、そんな事を考えて。「人の御守りに汚い手で触るもんじゃないでしょう。」先程はそう、熱に浮かされていたというか、どうしようもない下世話な好奇心に振り回されていただけ、カフェモカの熱さが心を落ち着かせてくれたようで、ちらりとそれに視線を送るだけで触れもせずに

  • No.261 by 調査官  2022-08-19 10:36:25 

…命名はニコラさんだ。文句があるなら彼女に言ってくれ。
(男は彼の問いに苦々しい表情でそう答え、コーヒーを飲み終わるとカップをメーカーの注ぎ口に戻すとデスクに置いたままだった自分のペンダントを首に提げ直す。そのまま白衣を羽織り、「…行くぞ」といつもよりは穏やかな声で彼に告げ)

  • No.262 by 護衛  2022-08-19 13:23:02 


何に『呼ばれる』んですか。
(確かに存在自体が悪趣味な都市伝説のようなあの女史ならこのふざけたネーミングも有り得る、部屋の隅に立てかけていた刀を取って彼の返答に頷き。何かに呼ばれて海やら沼やらに引きずり込まれる怪談話なら度々あるが、まさかそれらを大の大人が現実問題相手にする羽目になるのだろうか、と眉をひそめて。

  • No.263 by 調査官  2022-08-19 14:37:30 

…聞けば分かる。
(男はそれだけ言い残すと車に乗り込み、相変わらずの鉄仮面をした運転係の男に「出せ」とだけ命じると運転係の男はいつもの通り何を言うでもなく頷き、車のエンジンをかける。男はしばらく揺られながら黙っていたが、思い出したかのようにショルダーバッグから取り出した書類を彼に向かって放り投げる。「…読んでおけ。死なれると困る」と言うだけ言って男は顔を窓の外に向けて)

  • No.264 by 護衛  2022-08-19 18:14:08 


これ、なんかよく分からんが知り合いに呼ばれた気がする、って話で合ってます?
(車に揺られながら何とか、実際にその怪異に遭遇した調査員のレポートから作られたらしき部分を指と目で追えば、研究者たちがその酷さに頭を抱えそうな程乱暴に纏めた要約を述べて。そもそも食堂のメニューが読めて、その勘定計算が出来れば十分、位に考えている自分にとって毎度資料は絶望的なまでにまどろっこしすぎる。調査員αだの友人βだの、に「この丸字のアルファベットみたいなの何なんですか、」とそれ以上の読解を諦め、不満げな声をあげて

  • No.265 by 調査官  2022-08-19 20:40:22 

…大まかにはな。
(男は彼の解釈に若干呆れたような目線を投げかけるものの、続けて「…正確には人間の声を模倣する怪異、だ。肉親や友人の声を真似て誘き寄せた人間に危害を加える。」とそう洩らす。光に照らされたペンダントの反射が薄暗い路地に差し込んで)

  • No.266 by 護衛  2022-08-19 21:29:48 


親や友人、ねぇ。
(自分は誰の声が呼んでくれるのだろう、そんな事を考えながらの相槌は自分でも思っても見なかったほど無機質なもので。何かが光ったとそちらに反応すればただの野良猫、人間ふたりはそそくさと猫が静かに飛び逃げる傍を、ひたりと濡れた足音を立てて。「そんな怪しいのに誰がついて行くんです、」言いかけた途中で分かりきった答えが浮かぶ、愛しい相手と再び会える可能性に賭けてしまう人間の愚かしさ、お菓子欲しさについていく幼児みたいで、馬鹿馬鹿しさに笑えると

  • No.267 by 調査官  2022-08-20 10:26:16 

…僕には見当もつかない。
(男も呆れたように溜息を漏らすと路地を黙って歩き、中途まで来たところで彼らの背後から「やあ、奇遇じゃないか!二人とも、こんなところで何をしているんだい?」と底抜けに明るいニコラの声が路地に響く。男は反応することなくショルダーバッグから手帳とペンを取り出し、何かを書き付けるような素振りを見せるが高価そうなペンの鏡面仕上げされた本体に微かに映り込む背後の影は極限までニコラに似ていたが、彼女の視線は肩に乗せた人形ではなく真っ直ぐに二人を見ているようで)

  • No.268 by 護衛  2022-08-20 12:31:44 


なかなか面白いですね。
(1度しか会ったことはないが彼女の声とそっくり、刀をすらりと抜き楽しそうに笑って。「見世物にしたら流行るんじゃないですか?」、もう会えない人の声がもう一度聞けますとか何とか売り文句をつければ、寂しい人間たちが集まるだろう、何時ものようにメモを取り始めた彼の隣で、声の方向へ振り返り指示を待つように一歩踏み出して。

  • No.269 by 調査官  2022-08-20 14:14:16 


(男はメモを取りながら少し黙り込む。ニコラを真似た怪異が「おお、私の刀じゃないか。使い心地はどうだい?」と刀を見ても怯むことなく貼り付けた笑顔で彼に近寄ろうとしたところで男はショルダーバッグから拳銃を取り出し、怪異の方に向けては「…無力化だ。殺すなよ」と指示を出し)

  • No.270 by 護衛  2022-08-20 19:02:59 

注文の多い雇い主だな。
(ニコラには悪いが、彼女に似た出で立ちをして同じ話し方をしようとこちらが躊躇する原因にはならない、ただ刀の事やお互いの関係性を知られている事が頭の中を覗かれたようで気分が悪いと考えるだけで。殺すな、と言われ不満を隠すことなく零す、対人間の時もそうだが、生きたまま無力化というのが1番難しい、半ばしぶしぶ刀の峰で相手の鳩尾をバットで打つような動きで殴打しようと

  • No.271 by 調査官  2022-08-20 21:17:43 


(怪異は「何をするんだい!」と怒りを帯びたようなニコラの口調で零しながら彼の刀を避けようとするが、男の拳銃がそれを牽制するように銃弾を発射する。その銃弾は怪異の右肩に乗せられた人形を撃ち抜き、人形の砕けた頭部が散ったのに気を取られた怪異は彼の刀を避け切れず、微かな呻きを洩らして)

  • No.272 by 護衛  2022-08-20 23:46:55 


(自分と調査官、2人を相手にしていると2人の共通の相手にしか変化できないのだろうか、もしそうならニコラか運転手の姿位にしかならない相手は大して脅威ではない、少し興ざめ、そんな気持ちを抱いて。護衛対象も後ろで大人しく援護に留まってくれているしやりやすい、と冷静に状況を判断して。そのまま腹部を庇う様に前のめりになった怪異へ畳み掛けるように、胸部へ蹴りを入れて。

  • No.273 by 調査官  2022-08-21 09:41:44 

…「真似ている」うちに無力化しろ。
(男が顔を歪めて「…マズい」と言うか否か、ニコラの姿だった怪異は蹴られた痛みに呻きながら後退る。その姿にノイズが入り、ニコラ、運転係の男、男の肉親や友人ーと取り留めなく変わっていくのを目に留めた男はそう言い、舌打ちと共に拳銃を彼に当たらぬよう配慮はしつつ乱射して)

  • No.274 by 護衛  2022-08-21 10:07:18 


努力はしてます、
(瞬きする間に姿が変わる、大体昔よく行っていた飯屋の店主なんか自分の頭の何処から探してきのだろう、と変化した姿のひとつに感心のようなものを。真似をしているうちに、と調査官は言うが次の段階はどうなるのだろうとふと思うが自分の仕事はただ目の前の存在にダメージを確実に叩き込むだけ、後退る対象に刀を構えたまま近づいて

  • No.275 by 調査官  2022-08-21 15:07:26 

……きみにしては上出来だ。
(そう呟いたかと思えば運転係の男が怪異の少し後ろから姿を見せ、男に向かって黒い布に包まれた何かを放り投げる。男はそれを受け取り、布を解いて中のものー青龍刀のような形状をした武器を取り出しては構え、彼の後ろに着いてじりじりと歩み寄り)

  • No.276 by 護衛  2022-08-21 17:14:49 


(落ちていた空き缶を拾い上げ怪異の顔前を目掛けて投げつければ、そちらに意識を向ける瞬間に一気に対象を壁際まで追い詰めて。その間も怪異の姿はくるくる変わる、親、施設の人間、昔の雇い主、いわば子どもの時の悪い大人たちに成り代わられた所で自分が刃を突き付けるその冷たい温度が変わる訳では無いのに、と醒めた目つきのままで。「後はあげましょうか、これ。」いつもの封じ手ではなく別の武器を持ち出した彼に、視線は怪異を捉えたままそう尋ねて

  • No.277 by 調査官  2022-08-22 09:16:35 

…お膳立ては必要ない。
(男はそう吐き捨てて構えた青龍刀で怪異の首らしき部分を両断したーように見えたが、怪異は傷一つ追わずにその場へと倒れ込む。「…ニコラさんの新作だ。」とだけ呟いた男は取り出したシールを怪異の額部分に貼り、結局はニコラの姿を取ったままぐったりとして動かない怪異の脚を持つと「…きみは頭を持て」と指示をし)

  • No.278 by 護衛  2022-08-22 13:52:31 


…何となくあの人の趣味が分かってきました。
(自分の村正といい彼の新しい刀といい、劇の小道具チックというかただの武器にしてはどこか大仰というか、彼女なりの浪漫なのだろうか、自分には理解できない物語性のようなものを感じる、と考えて。そして噂の彼女、に化けた怪異は薄目をぼんやりと開けた人形のような表情で、相対する自分ではなくもっと奥深くの何かを見つめているような、そんな気がして頭を抱えたままふと目を逸らして

  • No.279 by 調査官  2022-08-22 19:30:06 

……
(男は怪異を持ち上げたまま車のトランクに放り込み、トランクを閉めてから後部座席に腰を下ろしては運転係の男に「…出せ」と指示を出す。例のごとく頷く運転係の男を余所に男は彼の方に視線を向け、「…あまり抱え込みすぎるなよ、引き込まれるぞ」と気遣っているのかそうでないのか分からない発言だけを投げかけて窓の外に視線を移し)

  • No.280 by 護衛  2022-08-22 20:01:19 


あんたこそ、アレに誘われるかと思ってました。
(あの怪異は自分の記憶の奥底に沈めた人間たちにすら変化したのだ、その瞬間に、自分の隣に居る調査官がもう失ってしまった誰かの姿に手を伸ばしやしないかと少しひやりとしたのは事実、例えば金鎖のペンダントに記憶を結びつけたその人、とか。そうなってしまったなら自分は引き留められる自信はない、そんな仮定を想像して、淡々と上記の台詞を述べて

  • No.281 by 調査官  2022-08-23 08:14:47 

…僕は心配ない。もう、慣れた。
(どこか含みのある言い方でそう洩らし、男は彼に嘲笑するような眼差しを向けて「…それに、今はきみがいる。僕が見ていなければ何をしでかすか分かったものじゃないからな」と嫌味ったらしく言い放つ。男はややあって右手でペンダントを探り、鏡面仕上げの蓋を開くと中にはひび割れたクオーツの欠片と酷く焼け焦げ、映っている人物の判断もつかない写真が入っており、男はそれを黙って助手席の彼にも見えるよう掲げ)

  • No.282 by 護衛  2022-08-23 13:50:09 


家族か誰かですか。
(彼のいつもの偉そうな嫌味は聞こえなかった事にしておく、とは思うもののより増した目付きの鋭さに現れてしまっているのはさておき。男か女かすら分からない古びた写真を一瞥し、そう問う、肌身離さず誰かの思い出を持ち歩く事はおろか、関わってきた大抵の人間の記憶をろくでもない悪夢だと忌み嫌ってきた自分の、家族、の発音はおかしな風には聞こえなかっただろうか

  • No.283 by 調査官  2022-08-24 08:18:22 

…僕の友人だ。
(男はそう呟くと続けて「怪異に喰われた。存在と記憶に干渉する怪異にな。…だから、僕以外は誰も彼がいたことを覚えていない。」と普段より数倍は力のなく聞こえる声で言った。ペンダントの蓋を戻し、再び首に提げるとクオーツの欠片が中で跳ねる小さな音が響き)

  • No.284 by 護衛  2022-08-24 13:28:47 

でもあんたは覚えてる、
(湿っぽい話は苦手だ、普通ならどういう反応をするべきなのか分からないし相手の全身から発せられる哀しみにこちらまで溺れそうに息が詰まる。多分もっと他に言うべき事があったのだろうけれど、自分が発したのはどうして調査官だけが記憶を失わずに済んだのか、という事への疑問で。

  • No.285 by 調査官  2022-08-24 18:16:41 

……僕だって写真がなければ忘れていた。『彼女』の気まぐれだ。
(男は例の地下独房に一人閉じ込められて「くれて」いる最初の怪異ー『彼女』の名前を出し、視線を窓の外に投げかけてそれきり黙ってしまう。沈黙に耐えきれなくなったか、運転係の男がハンドルを握りながら「……あまり聞かない方が良いですよ」とだけ口を開いて)

  • No.286 by 護衛  2022-08-24 19:17:02 

気まぐれ、ねぇ。
(あの蛇は他の怪異が起こす被害や人間の頭の中にも干渉できるらしい、ぬらぬらと濡れ光る鱗を思い出しながらそう呟いて。せっかく忘れられるのに思い出させるなんて、流れ去る記憶に縋る澪標をわざわざ写真という形で与えるなんて、やっぱり蛇は惨い、なんて口に出して言ったらそれこそどこで聞いてるか分からないな、と薄ら皮肉っぽく口角を上げるだけでそのまま口を噤んで

  • No.287 by 護衛  2022-08-28 12:57:07 


(/あげておきます

  • No.288 by 調査官  2022-08-28 14:51:41 

……
(意地を張るように黙りこくったままの男に伏せ気味の視線を投げ、運転係の男は車を停めて「…着きましたよ」と口に出す。男は何を言うでもなく車を降り、彼にも冷えた視線を投げかけて「降りるぞ」とだけ言って機関の中へと歩を進めては怪異を地下の研究所まで担ぎ込む。研究員に後を任せ、男はオフィスのデスクに腰を下ろしてパソコンのディスプレイと睨み合いをしており)

  • No.289 by 護衛  2022-08-28 16:30:51 


ねぇ、俺も死んだら覚えててくれます?
(仏頂面でデスクに向かう彼に、いつもの様にソファの向こうから顔だけ覗かせて、そんな事を尋ねたのはそれこそただの気まぐれ、きっと無視か返事代わりの冷ややかな視線が返ってくるだけと分かっていての質問で。相手の心の傷を更に抉ること位でしか誰かと関われない自分には気づかないふりをして、残酷に明るい声をあげ

  • No.290 by 調査官  2022-08-28 17:34:16 

…僕は、誰も忘れない。忘れられない。…勿論、きみのことだって覚えているだろうな。
(男の声は彼に答えるでもなく、独りごちるようにそう洩らしてはすぐ強がるように「…これまでで一番出来の悪い暴れ犬だ、とね。」と目元と口元を歪め、最初に比べて多少は親しみを持った視線で嘲笑してみせる。作業が一段落ついたらしく、くるりとデスクチェアを一周回して彼の方に身体ごと視線を寄越し)

  • No.291 by 護衛  2022-08-28 18:02:24 


(予想外の返答に一瞬たじろぐ、いつも役立たずだとか無知だとかそんな罵倒と共に投げかけられる淡白な眼差しに随分自分は慣れきっていたらしい。暖かな温度を内包した彼の表情にも気付けば余計どういう対応をすべきなのか分からない、そんな動揺に瞳を少し泳がせるも瞬きひとつでぱちりと元の人を食ったような表情に戻り。「まぁ、こんなとこすぐ出てってやりますよ。」と負け惜しみなのか照れ隠しなのか、そんな台詞を

  • No.292 by 調査官  2022-08-28 18:50:21 

…ふん、勝手にしたまえ。
(男の方も男の方で、口を滑らせたと言わんばかりの苦々しい表情を微かに浮かべるもののすぐにそれを引き込めて普段の表情に戻ると、デスクに放り出したままだった山積みの小難しいタイトルをぶら下げた洋書たちを手早く本棚に戻し始め)

  • No.293 by 護衛  2022-08-28 19:42:14 

いつか死にそうになったらあんた置いて逃げますからね。
(部屋に流れる、この和やかとは言い難い空気感が日常の風景だと感じる程に自分はどうやら彼との仕事に落ち着いてしまったらしい。元々フリーで気侭にやっていた仕事、少しならこういうのもありか、なんてソファにもたれて大きな欠伸をする自分は昔よりは穏やかになったのだろうか、とふと考えて。待遇は良いし、雇い主も性格は悪いがまだ比較的無害な方であると思えばしばらくはこの仕事をしてやってもいいだろうと思った上での軽口を

  • No.294 by 調査官  2022-08-29 16:54:14 


(男は言葉を発するでもなく、薄く口元を歪めただけでコーヒーメーカーの元へ歩いていき、普段ブラックを好む男にしては珍しいカフェモカを淹れる。湯気の立ち上るカップを片手にデスクに戻るとショルダーバッグから取り出した書類に一瞥をくれ)

  • No.295 by 護衛  2022-08-29 19:22:00 


今日捕まえたアレ、どうするんですか?
(自分たちが確保した怪異は毎回無表情な職員に引き渡される、そのまま収容している事までは知っているけれどその先は研究という曖昧な言葉でぼやかされているだけ。きっと自分が聞いたところで理解はできないのだろうけれど、それこそ今回の変化するアレは見世物か、もしくは誰かに秘密を話させる手段にでもすればいいのにと下衆な事を考えながら

  • No.296 by 調査官  2022-08-30 15:46:42 

…きみが知るべきものではない。
(男はカフェモカを啜りながら一言、普段通りの冷たさの中にも微かな心配が伺える声でそう言い放つ。男の書類を捲る片手は普段通りだが、瞳は静かに伏せられていてペンダントにもう片方の指先が這い)

  • No.297 by 護衛  2022-08-30 18:38:37 

お前は何も知らなくていい、は悪者がよく言う台詞ですよ。
(裏社会で働いていた時もよく同じ文言を聞いた、捕まえてこいと言われた物を雇い主に持っていくだけ、やれと言われたら何であろうと黙って遂行するだけ、真面目ぶった機関の人間が同じように言うのはおかしい、と少し笑いながら。何処まで行っても自分はただの安価な使い捨て道具、その不可侵な一線を意固地に守り続けるのはそれが楽だと知っている自分なのだけれど

  • No.298 by 調査官  2022-08-30 18:50:41 

…僕の善意だ、せめてこれくらい聞いておきたまえ。
(飲み終わったカフェモカのカップをメーカーの注ぎ口に戻し、ペンダントの鎖を鳴らしながら彼の近くまで歩み寄ると底抜けに冷えてはいるが、極めて真っ直ぐな視線を投げかける。「…本当に、知らない方がいいんだ。」と語るその声は切実で、切羽詰まったような響きを持っていて)

  • No.299 by 護衛  2022-08-30 19:57:20 


あんなお化け屋敷、元々入るつもりありませんから。
(混じり気のない青がこちらを捉える、人の眼を見つめるのは苦手な性分なはずだったのに、綺麗な鉱石のように輝くそれについ目を奪われてしまったのかもしれない、ソファに座ったまま彼を見上げて、自分にしては比較的素直な返事を。大体余計な事を知ったせいで豚やら犬やらのディナーにされてしまった人間たちも今まで見てきた訳であるし、嗅覚というか自分の勘のような物が危険を告げる場所へむざむざ踏み込みたいとは思えない、と

  • No.300 by 護衛  2022-10-11 22:01:14 


(ぐしゃぐしゃに丸められたメモ用紙のような物をオフィスの床から拾い上げて。ゴミ箱に投げ入れようとして外したのだろうか、自分よりずっと頭も育ちもいい彼は時々こんな風に大雑把な一面を見せる、手の中のそれをそのままゴミ箱へ突っ込んでしまおうと腕を伸ばせば、自分しか居ない部屋の扉の向こう側にふと気配を感じ、当の本人が戻ったのだろうかとそちらへ目を向けて。

  • No.301 by 調査官  2022-10-12 07:18:21 

…ふん。
(不機嫌そうに眉間に皺を寄せ、少々猫背気味に誰もいないであろうーと勝手に仮定していたオフィスの扉を潜る。大量の書類仕事と窮屈な「社交界」が重なり、禄に帰れなかった自らの安息の地はデスクにうっすら埃が積もり、静けさそのものの空間だと思っていたが想定外の人物に面食らう。「なんだ、居たのか。」護衛の手には自分が捨てた筈のメモ用紙。口元を歪め、我ながら正直とは言えない自分なりに「…漸く戻ってきたか。僕の護衛だろう、勝手に何処かへ行くな。」と笑ってやって)

  • No.302 by 護衛  2022-10-12 14:34:54 


部下を放ったらかしにしたのはそっちでしょう。
(相変わらず不遜な態度を見せる彼に失笑めいた表情を見せて。良く言えば仕事一筋、正直に言えば息つく間もなく走り続けなければ生きていけない、そんな人生を送ってきた自分にとって、上司の多忙を理由に与えられた宙ぶらりんな休暇はどこか落ち着かない日々で、そんな不満をぶつけるように、紙屑の中身を見ることなくゴミ箱にぶち込んで

  • No.303 by 調査官  2022-10-12 15:25:53 

知らないな。
(すっかり普段の調子を取り戻して何処吹く風、彼の言葉など何一つ聞こえなかったようにデスクへ向かっては、デスクチェアにどすんと腰を下ろす。心做しか普段より柔らかく見えなくもない表情を浮かべながらキーボードを叩き、報告書を済ませてしまうとショルダーバッグから例の書類を取り出し、ぱらぱらと捲り始め)

  • No.304 by 護衛  2022-10-12 22:09:28 


退屈で死ぬんじゃないかと思いました。
(彼に背を向けてソファに座る、たった1人の部屋でただ時間を貪り食う為だけに眠り、この位置から見える時計を何度眺めただろう、こんな文句を言ったところでどうこうなる相手ではないか、と膝を抱えたまま。相手が動けば波打つ空気が鼻先に甘い香りを運ぶ、きっと感覚の鋭い自分にしか気付けない程薄いその刺激は、恐らく品の良い上等な香水か何かの香り、日頃自分と同じ、血生臭い日々を生きる相手が本当はこの香りのように華やかな世界の住人だと言う事を思い知らせるようで面白くない、と

  • No.305 by 調査官  2022-10-13 09:06:51 

…はっ。
(彼の軽口を一笑に付すと男は書類を捲る手を止め、「…仕事は一件、か。ふん、気遣いなのか嫌がらせか…」とぶつくさ呟きながらいつの間にか取り出していたサプリメントのパッケージを開け、中身を水無しで一気に喉に流し込んでしまう。その少し後にデスクチェアから立ち上がり、背を向けて座る彼には上品さの欠片も感じられない粗雑な口調で「いつまで休む気だ。さっさと行くぞ」と呼び掛け、オフィスの扉に手を掛けながら後ろを振り返り)

  • No.306 by 護衛  2022-10-13 11:38:56 


はいはい。
(留守番をしていた犬にお土産がある訳でもなく、彼の声と共にまたいつも通りの荒っぽい日常が始まる、どこか楽しそうに返事をすると、部屋の片隅の刀を掴んで。手入れをする度血を求めて疼いているようだと感じていた相棒は勿論何も言わないけれどそれでも、この指に確かな熱を伝えてくる。調査官の後に続いて歩きながら「今日は?」、言葉少なな質問はいつも通り調査対象の特徴を聞くもので。

  • No.307 by 調査官  2022-10-13 15:42:22 

…怪異番号2536「夜の海」だ。
(男はオフィスを出ると返す刀で素っ気なく答え、ショルダーバッグから折りたたみ式になっているらしい青龍刀を取り出すと気だるげに何度か振り回す。その後に彼の方を振り返って「…夜とは、美しいが恐ろしいものだ。惑わされるなよ」と忠言めいてはいるものの、何処か的を得ない言葉を投げかけるとまた視線を前の方に戻してしまい)

  • No.308 by 護衛  2022-10-13 18:41:57 


海、?
(夜は恐ろしい、という彼とは反対に“海”に興味を示したようで。夜は確かに恐ろしい、でもその夜に包まれるよう生きてきた身としては全てを陽光の元に無遠慮に暴き出す昼の方がもっと怖い、すっかり黄昏時を迎えた窓から差し込む紫の光が床に靄のような模様を描いて。「季節外れですねえ、どちらにしろ。」遊びに行く訳では無いぞ、と睨まれそうな呑気な台詞を零しながら

  • No.309 by 調査官  2022-10-14 11:10:17 

…呑気なものだな。
(彼の様子を眺めそう一言、機関の入り口に停めてある黒の公用車に我が物顔で乗り込むと「出せ」と指示を飛ばす。運転係の男は小さく頷き、助手席側のドアを開くと彼が乗り込むのをしばし待ち、乗り込んだのを確認してから車を発進させ)

  • No.310 by 護衛  2022-10-14 23:07:32 


そう言えば殆ど泳げませんよ、俺。
(窓の向こう側を眺めながら海、のキーワードにそんな呟きを洩らす、生まれも育ちも、自治体が無いもののように扱う治安の悪い区域、水泳を習った事も海にバカンスに行った記憶もない、使い物にならない、と罵声を浴びせられる前に進言しておこうと。道を滑るように進む車がどこへ向かうのか知りもせず、闇の中であろうとただ追随する自分にいつから疑問を持たなくなったのかと、ふと思うもそんな行き場のない思案は窓ガラスの曇に掻き消されるようで

  • No.311 by 調査官  2022-10-15 11:17:10 

…誰が本当の海に行くと言った。
(彼の呟きを聞くと何時ものように書類を読み込んでいた男が視線だけを上げ、冷えた声色でそう返す。その声を聞いた運転係の男は微かに顔を上げ、男を嗜めるような口調で「…夜の海のように底深く不気味に見える、人型の怪異です。」とごく平坦な声色でそう付け足し)

  • No.312 by 護衛  2022-10-15 15:28:40 


随分洒落たネーミングで。
(暗い暗い海の底のような人間、想像もつかない化け物に絵画のタイトルのような名前をつけたのはきっと何時もの彼女だろう、とあの不可思議な女性を思い浮かべながら皮肉を呟いて。「また目隠しをして相手します?」とその対処法を尋ねる、休暇の間パラパラと眺めた資料の中にそんな怪異は居ただろうか、と思い返しながら

  • No.313 by 調査官  2022-10-15 19:37:30 

…そんな大仰なことはしない。
(男は答えつつ書類を一通り読み終わったらしく、ショルダーバッグに戻しては彼の側に立て掛けてある刀に目を遣りながら「…まあ、死なない程度に頑張りたまえ」と励ましなのか嫌味なのか判別の付かない言葉を投げ掛ける。運転係の男は相も変わらぬ鉄仮面のまま静かに車を走らせており)

  • No.314 by 護衛  2022-10-16 19:07:11 


重傷はノーカンですか、
(出会った時と比べて幾分か温かくなった相手の台詞の温度に気づいていての軽口を返す。大仰な事はしない、と相手は言うが毎回かなり奇妙な方法で踊らされている、と浮かぶ文句を溜息に溶かして、向こう側には随分遠くまで連れてこられた場所が見える、標識を眺めても馴染みのない地名が並んでおり

  • No.315 by 調査官  2022-10-17 08:20:29 

…死んでいないなら無傷だろう。
(皮肉の色を伴ってふん、と鼻を鳴らした男は口元を歪めながら脚を組み、薄っすら靄がかって見通せない窓の外に気怠げな視線を投げる。ややあって車は少し開けた場所で停車し、運転係の男が先に降りて助手席と後部座席の扉を開けると男は我が物顔で先んじて降り、助手席の彼に「早く降りろ。ここから徒歩だ」と呼び掛け)

  • No.316 by 護衛  2022-10-17 10:45:37 


今の、他所で言ったら暴言で訴えられますからね。
(車を降りざま窘めるように返す、彼の護衛役を一般的な募集ではなく、札付きの囚人を無理やり引っ張ってくるような求人方法をとっているのは、仕事内容だけでなく彼のこういう危ういモラルにも関係しているのだろうと確信して。降り立った外は車内から見た時よりも見通しが悪く、少し離れてしまっただけではぐれてしまいそうだと目を細めて

  • No.317 by 調査官  2022-10-17 16:06:19 

霧ではない…ふむ、霊素か…?興味深い…
(彼の先を歩く男はすっかり自分の世界に入り込んでいるらしく、彼の言葉に答える様子はなくぶつぶつと何事かを呟いてはうっすらと不気味な笑みを浮かべている。小難しいことを思考する男は彼が着いてきているかどうかすらも思案に無いようで、武器片手とはいえ随分無用心に男が言うところの「霧らしきもの」の中を突き進み)

  • No.318 by 護衛  2022-10-17 23:07:55 


あまり先に行かれると困ります、
(霧の中は冷たいものだと分かっていてもなお寒すぎると感じる程、この白い空間は身体を芯から冷やすようでぶるりと小さく震えて。深い海の底へ潜ったことは無いけれどきっとここのように寒く暗く寂しいのだろう、どうしてか陸を歩いている筈なのに酸素を渇望する息苦しさすら覚えた時、彼が車内で呟いた“夜の海”という単語が脳内を過ぎってずっと先へ歩いていってしまいそうな相手の背中へ手を伸ばす

  • No.319 by 調査官  2022-10-18 12:31:06 


(彼の声が聞こえたか否か、暫く歩いたところで漸く足を止めた男は眼前の人物と向き合う。男の前にいる人物は片手にランタンを提げ、目深にフードを被った小柄な―少年とも少女とも取れない姿をしており、口元に穏やかな笑みを浮かべていた。これまでの怪異とは一線を画した雰囲気を漂わせているその姿に男が「…怪異番号2536番か?」と問いかけると「それ」は落ち着き払った口調で「うん、ぼくは君たちが呼ぶところの「怪異番号2536番」だね」と答え、近付いてきた彼の方にもランタンの灯りを向け)

  • No.320 by 護衛  2022-10-18 21:50:42 


(相手の影の向こう側にゆらゆらと揺れる小さな灯り、深海には光で餌を誘ってぱくりと食べてしまう怪物が居るらしい、なんてずっと昔に聞きかじったせいであやふやになってしまっている噂を思い出す。音もなく刀を抜いてその先を見据えたこちらの瞳は、もしかしたら光を反射して向こう側に気付かれたかもしれない、と考えながら呼吸をすっと潜める、仕事前のいつもの癖を

  • No.321 by 調査官  2022-10-18 22:05:20 

…『彼女』を知っているか?
(男はその態度を見、少し思案した後「それ」にそう静かな問いを投げる。それはごく普通に肯いたかと思えば「ああ、ーーーのことかい?知っているとも、ぼくと似たようなものだもの」とどうやら性別は少年らしい、澄んだボーイアルトの若々しい声で答え、返答を聞いた男は微かに眉を顰めて少年をまじまじと見つめた後、少々荒っぽく「…かつて我らが我らとして有る以前より、世界を統治していた古の神々の一柱」と呟く。少年はまたごく普通に頷いただけであり、「うん、どうやらそうらしいね。だけれどもぼくは今「怪異番号2536番」らしいからね、向こうにいる君の…友人?部下?よくわからないけれど…彼に斬らせてしまっても構わないよ」と何処までも穏やかな笑みを浮かべてみせる。男は少々躊躇するように唇を噛んだ後、彼に手振りで斬りかかれ、と指示を)

  • No.322 by 護衛  2022-10-18 22:55:05 


また勝手に、
(忌々しげに呟いた、訳の分からない言葉が飛び交って、訳の分からないまま、自身を戒める鎖が解き放たれた猛犬のように飛び出して。生きている物全てに存在する隙の切れ端、ただそれを目掛けて突っ込む、自分をここまで連れてきた唯一の技は、かみさま、に通用するのかと浮かんだ迷いがその歩みを半歩鈍らせる、血を欲して止まらない刃に半ば引き摺られるように相手の首筋に向けまっすぐ叩き込んで

  • No.323 by 調査官  2022-10-19 07:50:48 

…回収する。
(少年は身動ぎも怯えもせず彼の刀を受け止め、首筋から赤い血潮を噴く。多量の血液を失った少年の体がぐらり、と大きく揺れ、手にしていたランタンが地面にゆっくりと滑り落ちた。ランタンのガラスが割れ、地面に倒れた少年の影からずるりと漆黒の蛇じみた姿が這い出てきては男と彼を威嚇する。男は青龍刀を組み立てて構え、その蛇に向かって正面から向き合うと彼に「…後ろに回れ」とまた指示を)

  • No.324 by 護衛  2022-10-19 14:14:35 


…蛇退治なんか聞いてませんけど。
(切った手応えは人にしてはあまりに軽く、質量はまるで紙で出来たハリボテのようであるのに、噴き出す血の熱はやけに現実的で、目の前の事象が夢か幻覚だと思い込む逃げ場を奪う。何時だって冷静な相手の指示に軽口を叩きながらも、鎌首を擡げ調査官を見つめる蛇の後ろ側へと回り次の指示を待って

  • No.325 by 調査官  2022-10-19 16:49:06 

…恐らくこれは彼の眷属だ。
(「…禄に知識もない凡人が怪物だ、とでも見間違えたのだろう」男は倒れた少年の体を見下しながら簡潔にそう答え、蛇に似た姿を取る黒い影の胴体辺りを青龍刀で突く。攻撃を受けた黒い影が怒りに満ちた声を上げ、男に襲いかかろうとしたところで男は「合わせろ」と次の指示を投げて青龍刀の刃を振りかざし)

  • No.326 by 護衛  2022-10-19 17:42:38 


下がっといて貰えるのが一番楽なんですがね、
(誰かと息を合わせて、なんて苦手以前に経験がない、護衛対象様は大人しく後ろに隠れておいてくれ、といつも浮かぶ不平を呟きながら。やけに大きな蛇が調査官に飛び上がるように影を重ねた瞬間、その太い胴を真っ二つに切り裂こうと刃を滑らせて

  • No.327 by 調査官  2022-10-19 19:03:01 

…ふん。
(彼の言葉など聞く気もないようで、男は断末魔を上げ、倒れたままの少年の影に戻っていく黒い蛇をじっと眺めていた。そうして完全に蛇が少年の影の中に戻るとその体に「…貴方の肉体を回収、及び研究に回します」と誰に言うでもなく声を掛け、手を伸ばすと少年はゆっくりと起き上がっては相変わらずの穏やかな微笑みで「すごいねえ、君たちは。ぼくの『ニヴルヘイムの蛇』を傷付けるなんて。」と称賛の言葉を投げる。そうしてそのまま男から車の位置を聞き出すと自分の足で先んじて霧の中を歩き出し、「着いてこい」と彼に声を掛けた男はその背中を黙って追いかけ)

  • No.328 by 護衛  2022-10-19 19:33:43 


どうせ最初から話し合いで済んだでしょう。
(称賛する言葉の中の“君たち”に対してぎろりと睨み付けて、黙ったまま少年の後を追いかける調査官の少し後ろからついて歩き。蛇も人もわざわざ叩き斬った意味があったのだろうか、刀の柄にぬるりとまとわりついた血の温さに顔を顰めて、とんとん話に場が進むこの状況に自分は果たして必要だったのだろうかと

  • No.329 by 調査官  2022-10-19 20:13:38 

…上への報告に必要なんだ。
(男は振り向きもしないままそう答え、ショルダーバッグから探り出した書類に何やら書き込みながら「…無抵抗で連れてきたとなるとあの役立たず共は洗脳だのを疑ってくるからな」と心底腹立たしそうに漏らす。すっかり車に乗り込んでしまった少年を尻目に男はその隣へ腰を下ろし、運転係の男に向けて顎をしゃくり)

  • No.330 by 護衛  2022-10-19 21:09:35 


でっち上げたらいいのに。
(助手席から覗くルームミラーに映る少年は、にこにこと笑顔を浮かべたまま、首筋の傷は薄い線すら残さず消えさっているようで、嘘っぽい笑顔と相まって、服の暗い染みが芝居道具の血糊のようだと感じ。一瞥した後視線を外してぐっと椅子にもたれかかって。体力面では比較的楽な仕事であったがいい加減振り回されて疲れた、と毎回抱く感想を

  • No.331 by 調査官  2022-10-20 22:25:46 

…ぼくは真面目、だからな。
(男にしては珍しく、冗談めかすようにそう鼻で笑うと少年に目線を投げて「お顔を拝見しても」とごく普通の声色で問う。少年も特に反応を見せずフードを脱ぎ、澄んだ翡翠色の瞳が特徴的な美少年の顔立ちが姿を現した。男はそれを見るなりショルダーバッグから取り出した書類と眼の前の少年とを見比べ、「…ありがとうございます」と殊勝に礼を述べて)

  • No.332 by 護衛  2022-10-21 00:04:20 


(彼が誰かに敬語を使う所なんて今まで何度見ただろう、どちらにせよ似合わない仕草にこちらがむず痒くなる事は変わりなく。そういえば檻の中のあの蛇女に対しても随分親しげにしていたな、と思い返しながら。後は恐らく捕まえたコレを牢屋にぶち込んで終わり、汚れをシャワーで落として浅い眠りに無理やり身を沈めて、とそんな事を考えながら、ランタンに似た屋外の街灯を眺めて

  • No.333 by 調査官  2022-10-21 21:14:06 


(男は彼の顔を確認すると窓の外に視線を投げ、脚を行儀悪く投げ出しながら、いつの間にか降り出した雨の向こう側を覗くかのようにぼんやりと車外の景色を眺めていた。フードを脱ぎ去った少年は少しの間こそ大人しく膝に手を置いて座っていたが、ややあって後部座席から身を乗り出すと相変わらずの穏やかな笑顔を助手席に座る彼に向け、「ねえ、君は彼のなんなんだい?友人?部下?それとも…」と好奇心を隠そうともしない声色で問いかけ)

  • No.334 by 護衛  2022-10-21 22:01:36 


…黙ってないと舌切るぞ。
(ぐいと身を乗り出し大きな目をこちらへと向ける少年に、鬱陶しさを隠すことなくそう述べて。化け物を眠らせる何時ものシールもどきを貼ればいいのに、とも思うがどうやら神の領域側に近いコレには効かないのだろうと推測しながら、手は刀をいつでも抜けるよう柄を握ったまま。どちらにせよ友人では無いし、部下と答えたら訂正の一言が後ろから飛んできそうであるし、機関内での蔑称の犬を名乗るのも癪であるし、と答えにくい質問に無意識に眉根を寄せて

  • No.335 by 調査官  2022-10-22 13:05:04 

…彼はぼくの護衛だ。
(男はいかにも面倒そうに少年の方を向き、彼の代わりにそう答える。答えを聞いた少年は首を傾げ、不思議そうな表情を浮かべながら「護衛?…友人や部下とはまた違うんだね。人間の関係性って友人や上下関係だけじゃないのかい?」と質問の対象が彼から男に変わっただけで態度を変える様子はない。男は助け舟を出すべきではなかったか、と言わんばかりの溜息を漏らして少年と談笑(という名の一方的な質問)を始め)

  • No.336 by 護衛  2022-10-22 20:57:14 


(知らない言葉が飛び交う車内、会話の内容を無音にすれば和やかな場に見えるだろう、しかし感覚的な何かが後部座席に乗るモノに警戒のアラートを発しているせいでどうも落ち着かずに足をそわそわと組み直して。どちらにせよ雇い主である彼が、興味対象である怪異の調査が進んだことで上機嫌でいてくれるのなら自分はそれで良い、とふっと息を吐いた

  • No.337 by 調査官  2022-10-23 12:44:04 

…着いたか。
(暫くして車が停まり、疲れたような表情で少年の相手をしていた男が顔を上げて尋ねると運転係の男は小さく頷く。運転係の男がエスコートするように少年を先に車から降ろし、機関の中へと消えていったのを見届けた男は車を出、彼に向けて「早く降りろ。…食事くらい奢ってやる」と顔は向けず、声色も少々冷えてはいるもののそんな言葉を投げかけ)

  • No.338 by 護衛  2022-10-23 13:53:27 


ろくに働いてないのでいいですよ。
(車から降りたところで煙草に火をつける、カチッと軽い音と共に暗闇の中一点だけが眩しいほどに光って。「あれが俺たちのかみさまですか、」何気なく尋ねるような口調と、脅された子どものような躊躇が籠った発音が同居するような話し方、視界に煙草の先の灯りがチラついてうざったそうに目を細めながら車へともたれかかって。

  • No.339 by 調査官  2022-10-24 07:34:48 

…少々違う。
(男も珍しく煙草を取り出し、高級そうなオイルライターで火を点ける。彼と同じく車に凭れ掛かり、脚を組んで所在無さげに煙を吐き出す姿は不思議と絵になっており、男は青い瞳に映る一筋の煙を見つめながら「…彼は、所謂キリスト教圏の神々とは違う。バビロニア神話、ケルト神話…と言っても分からないだろうが、まあ早いところ邪神だな。」と答え、誘いを断られたことに何を言うでもなく、まだ吸える部分の残っている煙草を地面に投げ捨てては革靴で踏み潰し)

  • No.340 by 護衛  2022-10-24 14:33:40 


…あれを消したら褒められる?
(邪神、つまり自分たちを管轄している神に敵対する存在だと噛み砕いた上でそんな質問を。なんて、誰に褒められたいと言うのだろう、神か周りの人間か、自分ですら具体的に思い描けていないのにふと口から洩れた問に、「あぁ、何でもないです。」と自嘲するように笑って。フィルターぎりぎりまで吸い込んだ煙はぴりぴりと辛い、誤魔化すように小さく咳をして顔を伏せて

  • No.341 by 調査官  2022-10-24 19:37:23 

…邪神とは…大抵は虐げられた異教の神だ。
(男は彼の言葉を聞いたか否か、誰に言うでもなく呟き、彼を無視するかのように自身のオフィスに戻っては洋書を引き出して来てデスクへ置き、彼に見せつけるようにページを開いた。どうやらその洋書は古代神話をまとめたものらしく、ケルト神話の女神たちやバビロニア神話の神々の名が綴られており、その中には『彼女』によく似た黒髪の半人半蛇の女神や先程の少年によく似た雰囲気を纏う筆舌に尽くしがたい容貌の存在が描かれており)

  • No.342 by 護衛  2022-10-24 20:44:09 


これをとっ捕まえて、あんたはどうしたいんです?
(広げられた書物をぺらぺらと捲る、自分が化け物と呼んでいるそれらの図解に無意識に苦い表情を浮かべて。決して自分の住む地域で信仰されている神を敬愛している訳では無い、神はこんな社会の隅に居る自分なんて見ていない、そんな考えを持つ自分ですらそれらに嫌悪の感情を持つ事が、所謂"普通"の証明であるようで。神と名がつくのだからそれに祈るか縋るかすれば何か願いを叶えてくれるのだろうか、そんなことを考えながら今更ながらの事を尋ね

  • No.343 by 調査官  2022-10-25 10:05:12 

…研究及び対話、場合によっては破壊。それがぼくの仕事だからな。
(男は洋書を取り上げて閉じ、本棚に戻しながら彼の言葉に台本をなぞるかの如く答える。その答えを返す声色は冷め、瞳もいつもの輝きを失って随分と虚ろに見えるものであり、ふと思い出したように「…ああ、そうだ。君はいつか、何人潰したかと聞いたな。…10人。その中で生きているのは運転係のあいつと植物状態の一人だけだ」さらりと言い放つものの瞳を伏せ、言うだけ言っておいて彼から逃げるように「…もう寝る」と呟いてソファに腰を下ろし)

  • No.344 by 護衛  2022-10-25 10:45:25 


あー、だから。
(「人の匂いがもうしないんだ。」、ソファの後ろに屈んで、彼の首元ですんと鼻を鳴らして囁くように呟いた、自分の匂いなんて身近すぎて分からないのをいい事に、金で他人を何人も殺した自分の事は棚に上げての挑発を。今までの雇い主にはどんな事をされてもどうでもいいとしか思えなかったのに、自分と同じ所まで引き摺り落として貶めたくなる、そしてそれすらへの許しが欲しい、なんて、今回はどうも調子が狂うとソファの背に添えた手の爪先に力が入って

  • No.345 by 調査官  2022-10-25 12:16:52 

…どうも「死神」らしいからな、ぼくは。
(普段ならば氷のごとく冷たい視線と共に厭味ったらしい皮肉の一つや二つ飛ばしそうなところ、男の反応はごく弱々しい笑みと共に、覇気のない声でそう答えるだけに留まっていた。少しして鋭さだけを取り戻した視線を彼に向けると「…君だって、人のことは言えないだろう」悪足掻きじみた一言を投げ、ブランケットに手を掛けながら「…眠いんだ、寝かせてくれ。」頼むから、なんて傲慢不遜な普段からは想像もつかない声で彼から逃げるように背を向けて)

  • No.346 by 護衛  2022-10-25 12:47:44 


(激昂も軽蔑もなく受け流した相手が腹立たしい、自分だけが息苦しいようで、舌打ちひとつだけを返事代わりに彼から離れて。デスクの上に置いてあった今回の資料を眺めれば、先程見た禍々しい邪神の図が思い出される、そして心の中で呼んでいる彼のあだ名のようなもの、"死神"、堅物な本人に自覚があったことが滑稽な慰みのように思えて、少し口の端が緩み。部屋の中は沈んだように無音で、体重を預けた椅子の軋む音が小さな悲鳴のように鼓膜を引っ掻くだけ。

  • No.347 by 調査官  2022-10-25 18:55:42 


(それを了承と取ったらしい男はソファに寝そべり、少し遅れて死んだかのように穏やかな寝息を立て、ブランケットに包まれた身体が控え目に上下を始める。金鎖のペンダントはゆるく垂れ、蓋が少々開いて中身が見えており)

  • No.348 by 護衛  2022-10-25 19:20:22 


(先程の怪異に関係する資料を何とか読み進めていく内に時計の針は随分と進んでおり、椅子の上でぐっと伸びをして。興味を持つなんて自分でも珍しい真似、神と名のつく存在に惹かれたのかもしれない、願いを叶えてくれる直接的な方法は記されていなかったものの、それに類似した表現らしき物は読み取れて。自室へ行くついでに眠っている相手を覗けば目に飛び込む月光の反射、「大事な物なら金庫にでも入れておけばいいのに。」と呟いて、ボロボロになった写真が落ちそうになっているそれを閉じようと

  • No.349 by 調査官  2022-10-26 16:25:40 

……すまない。
(男は眉を顰め、額に汗の玉を浮かべて苦しげな表情を浮かべながら、寝言らしい言葉を呟く。見えない誰かに謝罪を繰り返し、震える手を天井に伸ばすとそれは途中で力無くソファへと落ちる。その拍子にペンダントが首から外れてカラン、と乾いた音を立てながら板張りの床へと転がり)

  • No.350 by 護衛  2022-10-26 20:39:04 


(彼の寝言に叱責の声かと驚き、一瞬伸ばした手を強ばらせて。酷く弱った様子と自分ではない誰かに伸ばされたその指先、先程読んだ資料の神と名のつくソレが頭の中で掛け合わされる、このペンダントの中の相手、もしくは彼が今まで失った数人のうち誰かが神様の力で生き返れば。嫉妬戸惑い羨望、少しづつの醜い感情が混ざった汚泥に肺を塞がれた自分も、こんなに悲しそうな彼も、救われるのに、と拾い上げたペンダントを机の上に置いて、もう一度怪異に割り振られたナンバーを書類から指で辿りあてて

  • No.351 by 調査官  2022-10-27 20:44:43 

…ぼく、は…
(彼の行動など露知らず、未だ姿の見えぬ後悔に押し潰されかけているらしい男は悲痛な声色で寝言を繰り返し呟き、閉ざされた瞳を覆う、濃密で長い睫毛の端には涙の膜が薄く張っていた。いつの間にかブランケットは滑り落ちており、最後に「…赦してくれ…」と哀願するような声を上げると漸く男は先程の、死んだように穏やかな寝息だけを漏らす静かな眠りに戻り)

  • No.352 by 護衛  2022-10-27 21:14:08 


(2536、やっと見つけ出した数字を近くにあったメモ用紙に殴り書きで写し、それと自身の刀だけを掴むと顔を上げて。床に流れ落ちたブランケットをふわりと彼にかけ直すと薄く笑う、勝手な事をするなと叱られるだろうか、よくやったと褒めてくれるその顔よりも鬱陶しそうな表情の方が想像に容易いけれどそれでも。在るべきパーツが在るべき場所へ、そんな予定調和を思い描いて、そっとできるだけ音を立てないよう扉を開けて

  • No.353 by 調査官  2022-10-29 10:45:47 

……うん?
(彼がオフィスから立ち去り、暫くして男が目を覚ます。伽藍堂のオフィスに一瞬首を傾げたものの、直ぐに大きく伸びをするとコーヒーメーカーの元へ歩いていき、カップを持って窓際に凭れ掛かりながら、薄暗い鉛色の空を虚ろな瞳でぼんやりと見上げた。その頃少年は見るものすべてが興味深いらしく、研究所内を研究員同伴で歩き回っては何か見つける度に「ねえ、これは何だい?」だのと質問を繰り返して研究員を困らせており)

  • No.354 by 護衛  2022-10-29 12:24:35 


見つけた、
(探していた怪異を視認すると何気なく近づき、落ち着き払った調子でお付きの研究員に、調査官の命令で連れてこいと言われた、等と嘘を並び立てて。なるべく関わりたくないのか、証拠も何も無いお粗末な作り話にまんまと騙された研究員から少年を受け取ると、誰も居ない手頃な一室へと入り

  • No.355 by 調査官  2022-10-29 20:19:35 

…暗い、空だ。
(男は今にも雨が降り出しそうな空を見上げたまま、誰に言うでもなくそう呟いては、自身を映す漆黒の液体に一瞬だけ視線を落として飲み干してしまう。彼に連れられた少年は何の警戒をするでもなく、相変わらずの穏やかな笑みを伴った態度で「何か用事でもあるのかい?もしかして、秘密の話かい?」と彼の刀に一瞥をくれ、透き通る水晶の如き翡翠色の瞳で真っ直ぐ彼を見つめ)

  • No.356 by 護衛  2022-10-29 20:57:00 


あんたが本当に神様なら、願いでも叶えてもらおうと思って。
(相手の選んだ単語に少し笑みを零す、確かに調査官には何も言っていないという点では秘密の話、上司部下の関係であるなら勝手な自己判断と捉えられるのかもしれないが、自分たちは彼がいつも言う通りただの雇い主と護衛、である訳で。相手の返事を待つことなく、和やかな雑談や前振りは抜きにして率直に今回の目的を伝える、「うちの調査官の昔の護衛役を生き返らせて欲しい。」と。

  • No.357 by 調査官  2022-10-29 21:25:55 

「ああ、すまないけれどそれは出来ないね。だって、ぼくにはその権限がないんだもの。」
(少年は黙って彼の言葉を聞き、そうして穏やかな笑顔を保ったままあっさりとした声色で彼の言葉に答えてみせる。謝意も躊躇も感じられない、声色だけは柔らかいものの冷めきったその言葉と無邪気な色を纏う翡翠の瞳は彼を見据えたまま「確かに、ぼくは昔生命の理そのものだった。でもバビロニア神話で死と恐怖の根源存在にされてしまったからね。生命を蘇らせることは出来ない、奪うことは出来るけれど。」と言葉を続けては彼の刀に再び一瞥をくれ、「…人間のことはまだよく分からないけれど…君はきっと、この回答じゃ不満なのだろうね。斬るなら斬る、追い出すなら追い出すで好きにしてくれてかまわないよ。」心底そう思っているような微笑みを)

  • No.358 by 護衛  2022-10-29 21:42:33 


…なら、いい。
(相手の回答は端的に言って管轄外、出来ない事を出来ないと返した相手に腹を立て傷つける程身勝手ではない、無表情なまま言葉少なな台詞だけを吐いて。生命を奪うことだけが出来る神なんて何の役にも立たない、人間ですら平然と同族を傷つけ、恐怖を植え付ける事ができるのだから、それよりも調査官に勝手な真似をした事がバレたらくどくど嫌味をぶつけられないか、という事へと思考が移り

  • No.359 by 調査官  2022-10-29 21:59:18 

「ねえ、「カイル・アスキス」くん。君のお話ってそれだけかい?じゃあぼくは帰らせてもらうよ。」
(少年は彼の心情など何処吹く風といった風体、そう問うて首を傾げると返答を聞く前に最前と何一つ変わらぬ穏やかな微笑を口許に湛えたまま部屋のドアを押し開ける。キィ、と金具の軋む音を残して少年は部屋を出て行き、少し歩いたところでパイプオルガンのように荘厳な響きを持つ声で小さく「…人間というのは、矛盾しているねえ。だけれど、ぼくは君たちのそういったところが酷く愛おしいんだ」と呟く。ーその声は研究所の防音壁に吸い込まれ、少年以外の誰にもー『彼女』にすらも届くことはない。その頃男は暫く経っても一向に戻ってくる様子のない彼に業を煮やしたか、苛立った様子で貧乏揺すりをしながらソファに腰を下ろしていた。「…あの莫迦、碌でもないことをしているんじゃ無かろうな…」男の呟きも亦、オフィスの壁に吸い込まれて消え)

  • No.360 by 護衛  2022-10-29 22:17:54 


(使えない、おまけに掴めない怪異に苛立たせられただけの時間に些か不機嫌そうな表情を浮かべたままオフィスの扉を開ける、考え事をしていたせいで気配を消す事を忘れていた自分に気づくのと、今日の所はできるだけ会いたくない相手の背中に怒りが滲み出ているのを視認するのはほぼ同時で。悪戯をしたばかりの犬のようにそそくさと部屋の端を通って自室へと向かおうと

  • No.361 by 調査官  2022-10-30 10:01:04 

…待ちたまえ。
(男は背を向けたまま、かつ冷めきっていたが隠しきれない苛立ちの見える声で彼に声を掛ける。顔を向けはしないものの「…碌でもないことをして帰ってきたんじゃ無かろうな。」と詰問するような語調を持って、逃げようとする彼を押し留めるように鼻で笑うと「いい御身分だな、君は。」すっかりいつもの調子を取り戻したらしく、嫌味な一言を)

  • No.362 by 護衛  2022-10-30 10:22:23 


…あんた程じゃない、
(投げかけられた不躾な言葉に足を止めて鋭い視線を向ける、分かりやすい挑発に分かりやすく反応してしまう自分を笑うように刀の鍔がカチリと音を立てたのが聞こえて。身勝手に振り回して、見える物を理解するすべすら与えず、そんな彼が使う"いい身分"という言い回しは人を煽るためだとすれば最適な単語じゃないかとすら思えて

  • No.363 by 調査官  2022-10-30 17:14:31 

…余計な真似はするな。
(男はぼそり、と呟いてソファに背を預けると首だけを彼の方に向ける。その声に先程までの詰問するような色はなく、まるであの少年のように澄み切っているものの疲れ切った瞳で真っ直ぐに彼を見据えて「ふん、ぼくは良いんだ。本当に良い身分だからな。……前にも言った筈だぞ、ぼくはもう慣れた、と。」更なる嫌味を積んだかと思えば最後の言葉はごく小さく)

  • No.364 by 護衛  2022-10-30 20:27:12 


俺があんたの為に行動する訳ないでしょう。
(口元から覗く尖った歯はまるで鮫を思い出させるようで、とんだ自惚れだと嘲笑うように座ったままの彼を見下ろして。彼のためだけにわざわざ神とやらの元へ出向いてやった訳では無い、というのは本当、彼の護衛役が自分以外に見つかればそのどさくさに紛れてぱっと姿を消す、そうすれば彼に対する感情の消化不良で引き起こされる吐き気も改善される訳で、そう自身を利己的と信じきって疑わない瞳は意地の悪い灰色、

  • No.365 by 調査官  2022-10-31 20:38:05 

…それなら構わない。
(男は気にした様子もなく、彼の突き刺さるような視線から顔を逸らすと分厚い洋書を手に取って頁を開いた。表紙に綴られた文字は一体何語なのかすら判別の付かない細かなもので、男の視線は既に洋書へと注がれているらしく彼への興味は無くしたようで、「…部屋に戻るなら勝手にしたまえ」と冷めた声を掛け)

  • No.366 by 護衛  2022-10-31 21:16:05 


心配してくれました?
(もうすっかりこちらへの関心を無くして手元の本へ視線を移す彼をからかうようにそんな一言を。自分が興味のない事柄にはあからさまに冷めた表情を見せる、想定できる行動を見せる時の相手は分かりやすくて面白い、この質問にだってどうせ不愉快さを全面に押し出してくるのだろうと、刀をいつもの場所に片付けながらそんな事を考えて

  • No.367 by 調査官  2022-11-01 21:59:43 

…前にも言った筈だ。君に居なくなられると困る。
(男は振り向きもせず瞳を伏せ、手先は変わることなく洋書の頁を捲りながら素っ気なくそう言い放つ。その後は暫く沈黙していたが、刹那だけ指先が止まったかと思えば薄く唇を開いて彼の方へ視線を投げ、「…ぼくの調査に支障が出るからな」と皮肉とも自虐ともつかない笑みを浮かべ)

  • No.368 by 護衛  2022-11-01 23:19:07 


(条件付きとはいえ自身の存在を肯定される台詞に気を良くしたのか薄く目を細める、笑顔なのか何なのか他所には分からない表情を。「ま、俺は強いですからねぇ。」、我ながら分かりやすい奴、そうはいっても誰かに褒められる事はおろか、他者に自分という一個体をここに居るひとつの存在として認められることが殆どない人生だったのだから仕方ない、なんて、相手もこちらをただの道具として見ている事に敢えて目を塞いで

  • No.369 by 調査官  2022-11-03 20:00:53 

…ふん、なら精々頑張るんだな。
(男はごく素っ気なくそう言い放ち、洋書に視線を戻すと満更でもなさそうな表情を浮かべ、声色だけは冷たく取り繕い、彼に向かって犬を追い払うような仕草で「…早く寝ろ。」と)

  • No.370 by 護衛  2022-11-04 23:25:54 


はいはい。
(物事が全て自分の思い做すままに進む世界は心が波立たなくて良い、自分を鬱陶しそうに追い払う彼、仕事はお化け退治、隙を目掛けて叩き切る簡単な作業、馬鹿な自分でも理解できるよう曇ったフィルターを通した視界は自身の内なる感情すら麻痺させるようで。ひらり、手を振って向けた背中の反対側がどんな物か、神様に他人の生き返りではなく、自分の上手い生き方のご教授を願った方がよかっただろうかと

  • No.371 by 調査官  2022-11-07 21:55:03 

…ぼくもそろそろ「危うい」か。
(彼が自身に背を向け、扉の閉まる音を聞いたところで男は洋書を閉じる。日に焼けた痕跡のない不健康な青白い肌を天井に向けて翳し、そのまま腕で自身の目を覆ってしまうとそう呟き、片手でペンダントトップを握り締めてからごく小さな声で「…すまない」と弱々しく漏らすと瞳を伏せ)

  • No.372 by 護衛  2022-11-08 17:14:43 


(夜が明けて朝、飲料パックのストローを弄ぶように噛み潰しながらオフィスとなっている部屋へ入って。またもや家に帰らずソファで丸くなっている相手の姿ももう慣れっこ、もしや自分が自室に使っている部屋は相手の仮眠室として用意されたものだったのではないか、と仮説が浮かぶも、触らぬ神に何とやら、気付かないふりをしてすいと相手から目線を逸らし。

  • No.373 by 調査官  2022-11-10 22:50:31 

……ん…

(男は彼に少し遅れ、相変わらずの寝起きの悪さではあるが、普段よりは多少柔らかく見えなくもない表情で目を覚ます。ブランケットを肩に載せているのにも気づいていないらしく、目を擦りながらコーヒーメーカーの方へ向かい、自分のものらしいブラックと彼のものらしいエスプレッソを両手に携えてソファへ戻るとテーブルへ置いたエスプレッソの方を彼の方へ押し出し、ブラックは今朝の朝刊片手にずっ、と一口啜り)

  • No.374 by 護衛  2022-11-13 00:59:35 

(舌がびりびりする程苦く濃いエスプレッソは嫌でも目が覚める、立ってそれを飲みながら相手の手元に広げられている新聞の表面を眺めて。読まなくても世間は毎日物騒で、不穏で、嫌ですねえとでも呑気に言いたげに窓の外へふいと視線を流す、自身の立場を忘れきったような表情とは正反対に、鎖が擦れて付いた手首の傷跡に無意識に指先で触れて

  • No.375 by 調査官  2022-11-16 16:00:38 

…今日の仕事には着いて来なくて結構だ。
(飲み終わったコーヒーカップをテーブルに置き、朝刊を閉じてソファから立ち上がった男はそう一言彼へ告げる。それだけ言えば彼の返事を待つこともなく手近にあった白衣を引き掴み、丸めて持つとショルダーバッグを肩に掛け、後ろを振り返ることなくオフィスの扉を閉めてしまい)

  • No.376 by 護衛  2022-11-16 21:35:24 


(音を立てて閉まった扉にちらと目をやる、怪異の調査なら護衛役を連れていかないと上に叱られるといつもぼやいている癖に、今日はそれ以外の用事なのだろうか、と考えて退屈そうにエスプレッソを啜りながら。嗚呼またしばらく帰ってこないまま鬱屈な時間に閉じ込められるのではないか、なんてそんな不安をおくびにも出さないままふわりと欠伸をひとつ

  • No.377 by 調査官  2022-11-20 21:39:53 

……いい。出せ。
(男はオフィスを出ると、廊下を歩く機関の職員たちが思わず振り向くほどの乱暴な足取りで廊下を歩き、入口付近に停めてあった公用車に乗り込む。運転係の男が鉄仮面のままバックミラー越しに男を見つめ、「…あの方は宜しいのですか」と問いかけると男は一層不機嫌そうな様子になり、恐ろしく投げやりな声で運転係の男にそう命じたきり窓の外へ視線を投げかけて押し黙る。運転係の男は仕方ないとでも言いたげにエンジンを蒸かし、男の乗り込んだ車は機関を後にして)

  • No.378 by 護衛  2022-11-23 18:53:28 


(机の上に置き去りにされた新聞を開いてぱらりと何気なしに捲る、行方不明の子供や謎の死体を報せる記事の中にはきっと幾つか自分たちの対処する怪異が関わっている物もあるのだろう、と考えながら。窓の外から聞こえる排気音に恐らくいつもの公用車だろうと判断してふと頭を上げる、犯罪者を監視なしで放ったらかしにするなんて呑気な奴ら、取り敢えず、深く関わるなと言われているこの機関の中をこの機会に見回ってやるかと立ち上がって

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