匿名さん 2022-07-30 16:42:56 |
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「ねえ、「カイル・アスキス」くん。君のお話ってそれだけかい?じゃあぼくは帰らせてもらうよ。」
(少年は彼の心情など何処吹く風といった風体、そう問うて首を傾げると返答を聞く前に最前と何一つ変わらぬ穏やかな微笑を口許に湛えたまま部屋のドアを押し開ける。キィ、と金具の軋む音を残して少年は部屋を出て行き、少し歩いたところでパイプオルガンのように荘厳な響きを持つ声で小さく「…人間というのは、矛盾しているねえ。だけれど、ぼくは君たちのそういったところが酷く愛おしいんだ」と呟く。ーその声は研究所の防音壁に吸い込まれ、少年以外の誰にもー『彼女』にすらも届くことはない。その頃男は暫く経っても一向に戻ってくる様子のない彼に業を煮やしたか、苛立った様子で貧乏揺すりをしながらソファに腰を下ろしていた。「…あの莫迦、碌でもないことをしているんじゃ無かろうな…」男の呟きも亦、オフィスの壁に吸い込まれて消え)
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