家族か誰かですか。 (彼のいつもの偉そうな嫌味は聞こえなかった事にしておく、とは思うもののより増した目付きの鋭さに現れてしまっているのはさておき。男か女かすら分からない古びた写真を一瞥し、そう問う、肌身離さず誰かの思い出を持ち歩く事はおろか、関わってきた大抵の人間の記憶をろくでもない悪夢だと忌み嫌ってきた自分の、家族、の発音はおかしな風には聞こえなかっただろうか