へし切長谷部 2017-07-13 04:11:33 |
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もう動いて大丈夫なのか?数が多い方がそれは助かるが…
( 本丸の見回りに付き添うという言葉を聞けば、二日酔いが幾分かマシになったとはいえまだ無理は禁物なことに変わりなく。その気持ちは十分ありがたく、もし何かあった時のことを考えては助かるとそう告げ )
ああ、きみのお陰でもう大丈夫だ。俺が無理しなけりゃ問題は無いだろ?
( 今のところ頭痛と吐き気や倦怠感の症状も無く、難なく動けるため肯定する様にこくりと頷きを一つ。本丸内の見回りとなれば二人で行った方が早く済む、それに自身が無理しなければ良いだろうと訊いてみて )
ああ、それでは頼む。とりあえず、俺は廊下で待っている
( 無理をしなければ大丈夫ならば無理に寝かせなくともいいだろうと判断すると頷き。まだ鶴丸は寝着の為一度着替える必要があると思えば自身は廊下へと出て準備ができるのを待ち )
待たせたな。さあ、見回りに行くとしようか
( 廊下に出た後ろ姿を見れば、立ち上がると寝衣から和装の戦装束に着替えるも暫し時間が掛かって。その後に布団もついでに直して準備が整えば部屋を出て声掛け )
よし、それでは行こうか。
( しばらくして部屋から出てくるのを見てはいつものように本丸内を見回り始めて。普段のように数少ない仲間達に声を掛けながらあたりに変化がないかなども確認して )
本丸も皆の様子も特に気になる所は……ん?
( 後ろから前を歩く彼について行きながら見回りの際に仲間達と会えば “ よっ、” と片手を挙げ軽い挨拶しつつ本丸内を巡回していって。順に見て回るも特に気に留める程の変化は無いと思った矢先、何かの気配を感じた気がしてピタッと足を止めて )
…鶴丸、どうかしたのか?
( 共に巡回している彼も具合が悪いような素振りを見せないため平気なのだろうと安堵していて。いつものように巡回も終えようとした時になにかの気配にいち早く気付いた様子の彼にそう尋ねたと同時に自身も感じ取れば「…近くに来ているみたいだな」と声を潜め )
…ああ、政府が潜り込んできたかもな。一応俺が確認してくるから、その間にきみはこの事を皆に伝えてきてくれ。
( 自身と同様に目の前の彼も何かの気配を感じ取った様子で、もしも政府の者ならば一筋縄では行かない上に戦況的に不利であろうがそんな事を言っている場合でなく。顔つきが変わり別段慌てる様子はなく冷静に物事を考えた上で此方も声を潜めながらそう告げ )
…分かった、無茶だけは絶対にするなよ。
( もし政府が潜り込んでいるのなら彼らのとって異物同然の自身達が神であろうと容赦はしないことは分かり。まずはこの状況を把握し、混乱や被害を免れる為に自身はこれに言われた通りに動く事として頷けばその場を離れる前に釘をさして。それから早足で次々と仲間達に今の状況を教えると動ける者は他の者を守るように、自身と鶴丸は最前線で動くことを伝え )
ここはきみ達の来るべき場所では無い。今すぐ立ち去るなら何もしないが…、もし手を出す様な真似をすれば此方も容赦はしない。
( この場を離れた長谷部と別れてはまだ政府と確定した訳では無いが、その何者かの気配を感じる場所──恐らく本丸の外に居る事はすぐに分かり。左手で握る本体に力を込めスタスタと敵の元へと向かうが、その前に玄関の引き戸を少し開け隙間から外の確認しては数名の人間が居り。やはり予想は的中のようで此方の存在に気付いておらずそのまま政府の前に出れば眼光鋭く上記を告げ )
…政府が今更何の用です?確かに異物同然だが俺達は歴史改変等に興味は無い。放っていてもいい筈だが?
( 全員に伝え終えるにもそう時間は掛からず、より一層気配の強く感じる方へと走っていき。玄関が開いているのが分かれば自身もそこへと出れば笑みを浮かべながら彼らの元へと行き上記述べ、しかしその手にはしっかりと本体を持ち臨機応変の状態でいて「何が正しいのか俺には分からないのでね、いつ斬られても文句は言えないだろう?」とその澱んだ瞳を鋭くさせ )
やれやれ、それが政府のやり方って訳か。俺達を放っておけば命だけはくれてやるつもりだったんだがなぁ。
( 一定の距離を保ちながらじろりと睨むような目で政府の動きを様子見しつつ居れば、仲間達に状況報告を伝え終えたであろう彼が此方に走ってきて自身の横に立ち止まる姿を瞳動かし確認する。再び眼前の政府に視線を遣るとまるで此方の話に聞く耳を持たず、それどころか『異物同然の自身達を捕らえ処分する』との事。正面から自身を狙って向かって来れば、多少強引なやり方で捕らえようとする行動にそう易々と捕まるものかと避けつつ鞘で脇腹を容赦なく打ち。直ぐ様スッと鞘から刀を抜くと切っ先を喉元に向け )
ははっ、これが貴様らの返事か。良いだろう、受けて立とうじゃないか。
( 刀剣男士である自身たちに刀すら握ったこともないであろう人間が敵うはずなどなく、これならば難なく始末はできると容赦なく峰で嬲っていけば圧倒的にこちらの有利であり。しかし以前から受けていた傷が運悪く疼けばそちらに気を取られスキを見せてしまう形となり。一筋縄では行かないと事前に分かっていたのだろうか、恐らく力では敵わない自身たちの動きを封じる呪詛のひとつである札を投げ貼られると一瞬にして身体に電気でも通されたかの様な激痛が走りその場に膝をつけばこのままでは危ないと判断し「鶴丸!お前は逃げろ!」と叫んで )
長谷部!…それは出来ない。約束したじゃないか、今度こそ俺が皆を守るってな。
( 切っ先を向けたままの眼前に居る一人の人間を光の消えた瞳で見据え、何の躊躇いも無く無慈悲に斬り伏せ。返り血を浴び地面にバタリと倒れた死体に目を遣ると突然彼の叫び声が聞こえ、其方へ向けば札を貼られ膝をついた姿が。その光景に名を呼び急いで彼の前に立ち、刀と鞘を構えて眼前の人物を見ながらこのまま置いてひとりで逃げるなど出来る筈がなく。今度こそはこの身が折れようとも仲間達を守ると誓ったためその言葉に従わず )
っ…はは、そうだったな。だがそれならば俺とて同じだ…これ以上人間に傷付けられてたまるか
( 自身の忠告を聞くわけもなく目の前に立ち塞がるようにするその姿を見ては倒れてなどいられないと言い聞かせ激痛の走る身体に眉を潜めながらも鞭を打ち本体を支えに立ち上がり。もうこれ以上仲間が傷付くのは見たくもない、上記を述べては刀を持つ手に力を込め眼前の敵を斬り伏せようと動こうとするものの身体は言う事を聞かず )
きみはその札の所為で動けないだろ。あとは俺に任せてくれ、すぐに終わらせる。
( 敵に少しの隙を見せる行為は命取りとなる為に真っ直ぐ見つめ様子見しつつあの札は恐らく動きを封じる効果を持つものだと彼の様子を見て推測し、もし自身まで同じような事になってしまえば最悪の場合二人とも無事ではいられず。まだ動けるので何があっても大切な彼だけは守り抜くと刀を持つ手に力を込め、上記を述べれば何かを仕掛けてくる前に敵との間合いを詰めると斬り掛かり )
クソッ、こんな時に…っ
( 動けなければ敵を斬ることなど出来るわけもなくただ歯痒いだけで。それならばその原因となっている札を剥がせばいいと剥がそうとすればまた激痛が走り膝をつき。やはり呪術となればその術者を消すしか方法がないのだろうか、それにしても何とも無様なものだと思い眉を寄せ。今自身に出来ることなど目の前の彼に危険が近付かないかを見ることしか出来ず )
これならすぐに始末できそうだな
( 此方の攻撃を得物で防がれるも力の差は歴然で弱々しく感じては自分の刃を滑らせて敵を強引に圧し切り。残りはあと三人となり相手は人間、刀剣男士である自身達に力などで敵うはずもなくこの人数ならば彼を守りながら戦えると身体を動かす度に多少傷の痛みはあれど今はそれに構っている暇もなく、どこか余裕そうな態度で上記を呟けば次なる対象に狙いを定め。先程のように此方から攻撃を仕掛け集中している隙に、何やら術者の一人が彼と同様に自身にも札を投げようとしていて )
っ、俺が膝をついたからと言って見くびるなよ…!
( ふらふらとしながらも立ち上がれば自身を守りながら戦う鶴丸に忍び寄る敵の姿を見つけるとこれ以上重荷になっていられるかと身体に鞭打ち、地を蹴り走り出せばその術者に迷うこと無く己の本体を突き刺して。皮膚と骨を断つ感覚と血の匂い、耳元に届く呻き声が聞こえると口端をわずかに上げ引き抜いては残る敵を睨みつけ「死ななきゃ安いんでね。さあ、次は誰が斬られたいんだ?」と僅かに高揚した様にそう告げ )
すまん、敵に隙を与えてしまったようだ。だがお陰で助かったぜ。
( ズバッと容赦なく斬り付けると背後から苦しむ呻き声が聞こえ、其方へ振り返れば既に地面に倒れている姿を見遣り。眼前の敵に集中したあまり隙を作り彼が居なければ同じ目にあっていたと思えば近くに行き上記を述べ、此方も残る敵を睨み付けるが次々と斬り殺されていく光景に怖じ気づいたのか、それともこのままだと自分の身が危ないと判断してかその場から逃げようとする様子に「なんだ、来ないのか?俺達を捕らえて処分するつもりなんだろ?」とまるで挑発するように余裕ありげな笑みを滲ませ )
来ないならば俺達から行くまでだが。神を相手にして無事でいられると思うなよ、人間。
( 残り少ない数になり、逃げ出そうとする姿を見ては嘲笑い。ここで逃がしてもいいが援軍を呼ばれても厄介で、出来るならばここでケリはつけたく。付喪神である刀剣男士よりも仮にも格上である政府も黙っているつもりは無いようで最後のあがきのように捕らえようとしてはそれも次々に斬り伏せていき )
…約束通りにきみの事を守りきれて良かった
( 一人残らずその場で戦いに手こずる事もなく、敵の息の根を止め殲滅すると刀身に付着した血を振り払い流れるように鞘に収めて。何とか被害も出ずに最後まで彼を守り抜く事が出来、約束を破らずホッと胸を撫で下ろし肩の力を抜いては無事な姿を瞳に映すと微笑み )
迷惑をかけたな、すまん。
( 同じように血を振り払い鞘へと戻し。術者がいなくなれば自然に札も消え先程までの激痛も治まっており動きを確かめるように拳を作っては開いたりしていて。自身かこんなことにならなければもう少し早く終わっていたと謝ると「これで俺達は完全にお尋ね者という訳か」と政府に手を出したことによりこれからも狙われ続けるのだろうとそう続け )
ああ、政府に手を掛けた以上は俺達が折れるまで狙われ続けるだろう。
( 飽くまで先に手を出してきたのは政府側であって、やむを得ない事情があり自分達の身を守る為の正当防衛なのだがそれを言ったところで既に死者は出ているので言い訳と判断されるだけだろう。最初から政府に楯突くつもりでいた上、黙って捕まる気も更々無かったため後悔などしておらず上記を返せば「そうなれば返り討ちにするだけさ」と続け )
ははっ!それもそうだな、俺達は何も間違ってはいない。
( 彼の言うとおり、自身たちは何も間違ったことなどしていない。また捕らえようとするならば今日のような目に遭わせるまで、口角を上げ上記を述べてはここに居続ける理由もないと思い「さて…帰ろうか」と告げ背を向けると本丸内へと入っていき )
先の事は一度皆の前で話すべきだな。今後の事を考えればその方が良いだろ?
( その背を追うように本丸内へ入れば玄関で草履を脱いで廊下を歩く中、最前線で戦ったので他の仲間に被害は無いものの政府が潜り込んできたと伝えただけでも不安に思っているに違いない。自身達が政府に手を掛けたこともお尋ね者となった今、知っておいた方がいいのではとちらり彼の顔を見て )
ああ、その方がいいだろう。
( 確かに二人だけで決めることは避けた方がいいと頷けばちょうど心配で出てきていた仲間達を見ては微笑みつつ二人とも無事だと告げた後に一度報告があるがある為に広間に集まるように指示すると自身たちも広間へと向かい )
全員揃ったな。実は先の事で皆に大事な話があるんだ。
( 二人で広間に顔を出すと指示した通りに其処に仲間達が集まってきて、一振りずつ見ていけば障子の前に立ったまま真面目な顔でつい先程までに政府との間で起きた事を包み隠さす打ち明けていき )
…と言う訳だ、俺達はこれから先も政府に狙われるだろう。これからは警備を厳重にしていくつもりだ、もし何かあればすぐに報告して欲しい。
( 先程の出来事を包み隠さずに告げて行けば僅かに動揺しているのが分かり。確かにその反応は無理もないが異論を述べる者もいなければ追加するように続いて上記を述べて。仲間を守る為ならばこの身が朽ち様が構わない、何も出来ないよりして後悔するほうがいいと思い )
大事な話は以上だ、部屋に戻ってくれて構わん。
( 個々の反応を見れば徐に動くと一振り一振りに、目の前にしゃがみ込んで視線を合わせ「大丈夫だ、皆が居るだろ」少しでも不安な感情を取り除こうと柔い笑みを見せつつ優しい手付きで頭をぽんぽんと撫でて遣り。それから立って元の位置に戻ると仲間達に向けてそう告げ、広間から出て行く者達を横目に「長谷部も部屋で休んだらどうだい?俺の事もあって疲れただろ?」と彼の身を案じての発言で )
そうだな、そうでは言葉に甘えさせてもらう。何かあれば気にせず報告してくれ。
( 同様を隠せずにいる仲間達を安心させるためにか頭を撫でながら笑みを浮かべるその姿にどうしてでも彼らだけは守らなければと思い。報告を終え、部屋を出ていく仲間達の背中を見ながら朝から動き続けていたこともあり頷くと一度別れ自室へと向かい。部屋に着けば余程疲れていたのか、ストラや防具を外し簡易な洋装となれば布団を引っ張り出しそのまま倒れ込むように眠って )
…さて、俺も一度部屋に戻るとしようか。
( 皆が去った広間で独り、ぽつんと佇むが特に此処で何かをする事も無い為にその場を離れて自身も一旦部屋へと戻って行き。自室に着けば壁に凭れ掛かるように片膝を曲げた座り方をすると、何かあった時に備え身体を休ませ体力を温存させるためゆっくりとしていて )
―やめろっ!
( 暗闇の中に鶴丸と2人並び立っていたものの徐ろに隣に立つ彼が自身を置いて歩き出し。後を追いかけていこうと思ったものの何故かその足は足枷を付けられたのかと思うように重く動け出せずにいて。離れていく背にその名を叫びながら足掻くもののその声も届かず暗闇の中へと消えていき。独りぽつりと残され、また独りになってしまったのかと思えば足音が近付いてきて。そちらへと顔を向けるとそこには忌々しい主であった審神者の姿。こちらへと歩み寄りながら名を呼ばれ手を伸ばされるところで思わず叫んでしまい勢いよく身体を起こし。変な汗をかいてしまい、肩で息をしながらあれは夢だったのかと思えばホッとした事もあるのかボロボロと涙が溢れ嗚咽を洩らし )
!?、…どうして泣いてるんだ?
( 何もする事が無くて退屈に感じていたところ、部屋が隣同士ゆえに突然壁伝いから叫び声が聞こえびくっと肩を揺らし吃驚すれば何かあったのかと思って立ち上がり自室を飛び出し。すぐ横の部屋に行けば襖越しでも分かるのか咽び泣く声が耳に届き、戸に手を掛け開けるとそのまま中へと入って彼の傍に歩み寄り。畳みの上に座って視線を合わせ眉下げつつ優しく話し掛け )
っふ…どうして、どうして俺を…っ
( 嗚咽を洩らしながら泣いていると突然部屋の襖が開いて。この状況には彼も驚いている様子だが軽く混乱しているのかして視線が合えば着物をぎゅっと握り締めどこにも行かないでくれと言わんばかりの表情浮かべていて「もう、独りにしないでくれ」と続け )
大丈夫だ。俺はどこにも行かないしきみを独りになんてしない。
( 着物を握るその手と表情を見た後、夢の中で自身が彼を独りにさせてしまったのだろうか。そっと腕の上から抱き締めて安心させるように片方の手で背中を優しくぽんぽんと叩きながら目を閉じてそう告げ )
( そっと抱き締められまるで泣きじゃくる子供を安心させるかのように背を優しく叩かれしばらくすると、涙も止まり徐々に落ち着きを取り戻して。主に放置されてから、元々独りになる事が怖くなっていたため夢でも魘されたのだろう、それにしても彼には迷惑をかけたと思えば一度深呼吸をして息を整えると「…鶴丸、済まなかった。」とポツリと呟いて )
別に謝る必要は無い、俺は迷惑とか思っていないからな。それよりもう平気か?
( 一定のリズムで背中を叩きながらも何も言わずに泣き止むのを待ち、暫くそうしていると徐々に落ち着きを取り戻してきたようで。腕を解き身体を放しては先程まで泣いていたため若干目元は赤くなっており、自身に対し謝罪の言葉を口にされ一度首を横に振ると笑って見せるが心配なようで上記を問い掛け )
…ああ、もう平気だ
( 抱きしめられていた腕が離れても尚、無意識に着物を掴んでいて。落ち着きを取り戻せば頷いて「…独りになる悪夢を見たんだ」となぜ泣いてしまっていたのかを話し始めて )
…その夢の中で俺がきみを独りにしてしまったんだろう?…怖い思いをさせて悪かった。
( 顔を見ても大分心の落ち着きを取り戻した事が窺えて、少しだけ安堵しては着物を掴む手が見えその上から自身の手を重ねて。不意に一人で泣いていた理由を話し始める様子に耳を傾け、きっとその夢の中で自身も居て何故か目の前の彼を独りにしてしまったのだろう。独りになる事の辛さや怖さは身を持って知っている為か罪悪感を感じれば申し訳無さそうに眉下げ )
良いんだ、お前は何も悪くない。ただ夢見が悪かっただけだ
( 罪悪感を感じてか自身が話し始めた夢の話を聞いて申し訳なさそうにするのを見ては首を横に振り。目の前にいる彼が悪い訳では無い、ただ自身が見た夢が悪かっただけの話。それに彼がそんな事をするわけが無いということは分かっており「…鶴丸がそんな事をしない事は分かっている」と柔く笑み浮かべて )
…なあ、長谷部。もし俺がきみの事が好きだって言ったらどうするんだ?
( 例え、自身が悪くないとしても夢の中で彼を独りにして怖い思いまでさせた事実が内心許せずにいて。然し瞳に映る彼の表情は柔らかな笑みを見せて此方の言葉にも信じて疑う様子も無く、これまで本当の意味で一度も傍から離れてはいない。それは自身の中で彼の存在が大きく、同時に手放したくないとも思っている。徐に上記の様な言葉を問えばこんな感情は初めてでじっと目を見つめ )
…受け入れるさ。
( 徐ろに口を開き、もしもの話をする彼の言葉に耳を傾けていて。自身も彼と同じ情を抱いている、自身にとって、彼はなくてはならない大切な存在。その中に少しずつ特別な感情も入っていたことは自覚していて。拒む理由も無いとその目を真っ直ぐと見ては「俺も、お前と同じだからな。」とただ言われるままにその言葉を受け入れる訳では無い、好きだから受け入れるのだと笑みを浮かべてはそう言って )
!、…長谷部も俺の事が好き…なのか?
( 人の身を得て刀の頃に経験する事が無かった誰かを好きになる気持ち。彼の事が気になり始める前は心のどこかで後にこれが恋心に変化するとは思っている筈も無く、主だった審神者の酷い仕打ちに耐えつつ共に支え合いながら過ごしていく内に他の仲間に対するものと違う彼に向ける感情が特別なのだと気付き今に至る。決して冗談で口にした訳では無いが予想外の返答に思わず聞き返していて )
ああ、そうだ。
( 確かめるように問い返されると、肯定するかのように頷き柔く微笑んで。互いに傷を付けられその痛みを分かち合うように支えあっていた自身たちはいつしか惹かれあっていたのだろうと思い )
長谷部、好きだ。これからもずっと一緒に居たい。
( もう一度確かめれば肯定するように頷いたのを見ると、互いに胸の内を明かさぬだけで本当は心惹かれ両思いだった事が分かり。彼の気持ちも知る事が出来ると真っ直ぐ見つめて、改めて今度は自身なりに確りとした告白の言葉を口にして )
ああ、勿論だ。これからも共に生きよう。
( 密かに想い続けていた彼と同じ気持ちであったこと、改めて告白の言葉を聞けばじんわりと胸が温かくなるような気もして。握られていた手を握り返せばこちらも視線合わせ柔く微笑見ながらその言葉を受け入れ )
──これは、夢じゃないよな…?現実だよな?
( 自身の告白の言葉を受け入れられると、漸く想い続けていた恋が実り嬉しさ込み上がり照れたような表情を浮かべ。友人関係から晴れて恋仲となれた為に夢でも見ているのではと錯覚してしまっておかしな事を口走り )
…ふふっ、大丈夫か?夢じゃない、現実さ。
( 晴れて恋仲になれば互いに喜んでいたものの、不意に彼が可笑しなことを言い出しては思わず笑ってしまい。しかしそんな所も愛おしく感じる程にぞっこんなのだろう。両手でそっと彼の頬を挟めば額を合わせそう言って微笑み )
…そうだよな。
( 頬を包む両の手、こつんと額同士が合わさる事で必然的に距離は縮まり目の前には微笑む彼の姿。顔が近いので五月蝿い程に胸が高鳴り、夢ではなくまごうことなき現実だと証明して貰えば平静を装いながら「きみと恋仲になれるとは思ってなくてな、だから凄く嬉しいんだ」と目尻下げて )
ふふ、そうか。俺もだ。
( 夢ではなく現実だと知らせると合わせていた額を離し。自身からした行動とはいえ大胆過ぎた上に至近距離でもあった為か僅かに頬を染めつつ彼と同様に嬉しいのか微笑んで )
…長谷部って意外と大胆なんだな。
( 恋仲となった途端に早くも新たな一面を発見し、彼が大胆な行動を遣って退けること自体が意外だったのかにやりと笑み浮かべ揶揄する言葉を発して )
…っ!
( 嬉しさのあまりに取ってしまった行動は自身でも大胆だと思っていたが改めて彼に言われると、僅かに染まっていた頬も一気に赤くなり。それを隠すかのように下を向いて口元隠せば「う、うるさい…!」と続け )
はは、顔が真っ赤だ。いやあ、きみを揶揄するのは面白いな。
( 揶揄すると案の定、羞恥から一気に顔を真っ赤にして下を向いた姿見れば、くすくすと笑いながら彼の反応を面白がり。然しそれもすぐに止め「なあ、顔を見せてくれよ」とそう言えば顔を覗き込もうとして )
面白がるな、馬鹿。
( 自身の恥ずかしがる反応を見て楽しげにクスクスと笑う声が聞こえては不貞腐れたような口調で上記述べ。しかし顔を覗きこもうとするその仕草が視界に入ればチラリと見て「…見たって赤いだけだ」と言いながら顔を上げ其方を向いて )
すまんすまん、これで許してくれ。
( 特に悪びれた様子もなくその状態で居れば、自身の方を向いてくれた彼の顔を瞳に映すとまだ赤いままで。上記を述べると、突然顔近付け何の宣言も無しに敢えて軽く頬へと口付けを落とし )
―!
( 突然顔が近付き、それだけでもドキリと胸が高鳴るというはずなのに頬に口付けされると動きが止まり。許してくれと言われたがこれではお釣りが出ると思い。今ので更に赤くなり )
ん?…おーい、長谷部ー?
( 頬に口付けすれば離れるも更に顔の赤みが増して急に動きが止まった様子を不思議に思うと、此方は恥じらいなど一切無く小首傾げつつ目の前で手を上下に振りながら話し掛けて )
ば…っ、馬鹿かお前は…!
( しばらく口付けされた事により止まっていたがひらひらと目の前で手を振られるとハッとした様子で上記を述べて。恥ずかしがる様子もない彼を見ては恋仲になったばかりというのにどれだけ肝が強いのだろうかと思い「お前は、恥ずかしくないのか?俺は…恥ずかしい」と口付けされた箇所を撫でつつ続けて )
馬鹿とは酷いじゃないか。
( 暫くの間、顔の前で手を振り続けると漸く気が付いたかと思えば二度も馬鹿と言われ自身のした行動にも関わらず、少しむっとした表情になり。だが、続くように発せられた言葉に「恥ずかしいならこんな事しないさ。…さっきの嫌だったか?」と先程の表情は消え、少し間を空けてから反応を窺うかのように尋ね )
嫌じゃない、心の準備がまだだったんだ。
( 自身の言葉に期限を損ねた様子の彼を見ては、どうしても照れ隠しにそのような言葉を使う癖があるようでこれは改善しなければと思い。それから尋ねられた言葉に首を振り嫌なわけではなく、突然のことに驚きと準備が出来ていなかったのだとそう言えば「その、これからもしてくれて構わない。受け入れる」と続け )
きみのご所望なら幾らでもしてやろう。
( 先程の行為は流石に唐突過ぎたためじーっと反応を窺うも、決して拒絶された訳ではないようでその事に良かったと内心安堵して。その後に彼の口から出た言葉を聞けばまさかのして欲しいとの所望に少しばかり目を瞬かせ、すぐに笑んでは「…なら、ここにもしていいんだな?」と人差し指で唇に触れてにやりと笑い )
―…、別に構わない。
( こちらに手を伸ばし、どうしたのだろうかと思えばそのまま自身の唇に触れられるとドキリと胸が高鳴り。チラリと彼を見上げるように視線送ればすぐに視線そらしポツリとそう呟いて )
…、
( 小さな声だが聞こえる距離に居たのもあり、耳に届き彼の許可が出た為にもっと触れたい欲が強まり。手を下ろすと視線逸らしている隙に、再び顔近付け目を閉じて軽く触れる程度の口付け交わし。一度離れるとやはり頬にするのとは意味が違うため「…なんか照れるな」と指で頬を掻きつつ照れ笑いを浮かべ )
っん…?!
( 視線を逸らしたと同時に目の前の彼が動きどうしたのかと聞くよりも前に唇に触れる感触があり。自身が許可したとはいえ、隙を狙ってなのか分からないが突然の口付けに目を瞬かせながら暫し間の抜けたような表情を浮かべてしまい。頬が熱いのは先程からだが、それよりもじわじわと嬉しさも込み上げてきては照れ臭そうにする彼を見て「…一度にこんなに幸せ過ぎたら身が持たなそうだ。」と自身の唇に触れつつ何処か嬉しそうにしながらそう言って )
そりゃ駄目だ。…少し触れるのは抑えるべきか?
( 照れ臭さ残る表情で愛しそうな目で見詰めながら、こうして好いている目の前の彼を独占し触れる事が出来るのが自身だけだと思えば嬉しさがあり何より幸せにも感じていて。先程から欲望のままに動いているのも確信犯的で、彼がどきどきするような事ばかり。恋仲になって間もない時に愛情表現を示しすぎるのも却って強引な気もして、嫌われるような事などしたくはないので軽く首傾げ )
…、
( 彼に触れられるとどうしても心音が五月蝿いほどに高鳴りまるで熱でも出たかのように身体は火照る。しかしその感覚が嫌でもなく、むしろ幸せに感じていて。首を傾げる彼の唇に今度は自身から口付けをしては「これが俺の答えだ」とやってやったと言わんばかりと勝気な表情でそう言って )
っ!?、…不意打ちは狡いだろ…。
( 首を傾げつつ返答待っていたのだが突然唇に柔らかな感触がして、何が起こった一瞬分からず思考停止になり。だが、理解するのにそう時間は掛からないものの、不意を突かれ色白の頬に加え耳まで真っ赤になれば心音が五月蝿い程に高鳴って和装に付いているフードを被ると顔隠して )
ははっ、俺とてやられてばかりじゃ気が済まないんでね。
( 口付けを返すと見る見る間にその名に負けないように顔が赤くなっていくのを見ては思わず笑いを零して。先程から彼に調子が狂わされてばかりでもあった為、やられてばかりではないのだとそう言いながら「なぁ…国永、こっちを顔を見せてくれないか」と敢えて下の名で呼んでみてはフードを被り見えない顔をのぞき込むようにして )
─!、…い、今俺のこと国永って呼んだ、よな…?
( やや俯きがちに視線を下に向けてぎゅっとフードを握りつつ恥ずかしさに顔や身体が一気に火照る。先程までは自身がリードしていたが、この時点で立場が逆転すれば顔を見せまいと隠し続けるも不意に下の名で呼ばれドキリと胸が高鳴り。言われた通り顔を上げて少しだけフードずらせば彼の方を向いて問い )
…?ああ、呼んだが…おかしいか?
( どうしても、顔は見せない様子の彼に苦笑浮かべているとどうやら下の名で呼んだことに反応したようで。僅かではあるが顔を上げたその様子を見ては何かおかしかっただろうかと首を傾げて「その、恋仲になったからこの位は…と思ってな」と続けて )
違う、そうじゃない!…ただ、きみに下の名で呼ばれた事が嬉しいんだ。
( 僅かな視界の中、ちらりと双眸に映った表情は怪訝そうで自身の言い方が悪く少し言葉足らずだった為に今度は確りと顔を見せるがフードは被ったまま首を横に振り。普段は当然“鶴丸”呼びなので初めて呼んでもらった下の名に頬を赤めたまま嬉しそうに微笑んで「…もう一度呼んでくれないか?」とそう頼み )
ふふっ、一度だけで良いのか?俺は何度でも呼んでやるつもりだが?
( 下の名で呼んだことがおかしい訳ではなかったようで、もう一度だけ呼んで欲しいと強請るその姿を見てはクスリと笑み浮かべつつ上記を述べて。じっと目の前の彼を見詰めては「国永、好きだ」と続けどうしてもこのような言葉は言い慣れてないこともあるのか少し気恥ずかしそうにして )
俺もだ、長谷部。
( じっと自身を見詰めるその瞳をこちらも視線逸らすことなく見れば再度彼の口から名を紡ぐ声が聞きたかったため、強請った事で想いと共に告げられて。恋仲関係故に普段と違いこうも呼び名が変わるだけで、それも恋人に呼んで貰えた嬉しさで頬が緩めば身体が動き思わず抱き付いて。「さっきは一度だけと言ってしまったが…これからも沢山呼んで欲しい」と続くように左記告げて )
―!
( 恋人らしく下の名を呼ぶだけでもこんなに特別感があるものなのかと思い。名を呼べば何とも嬉しそうに微笑む彼を愛おしそうに見ていると突然抱きしめられ。しかしすぐに抱き締め返しては「もちろんだ、たくさん呼ぶ。」と瞳閉じつつ約束を交わして )
こうすると落ち着くな。…俺、今幸せだ。
( ぎゅう、と背中に回した腕に力込めると共に肩へ顔を埋めれば彼の温もりを感じつつ身体が密着する事で心拍数は上昇し、互いの心音が鳴ってるのが伝わり。こうして彼に抱き付くと安心して落ち着くのか穏やかな口調で言葉を紡ぐとこの幸せな時間を噛み締めて )
ああ、俺も幸せだ。
( 人は抱き締め合う事で安心を得る事があると以前に誰かから聞いたことがあり、まさに今彼と自身がそれを体験しているのだろう。彼の心音や体温が伝わりただその時間が流れるだけでもこんなにも幸せだった事など今まで知る事もなく生きていた為同じように幸せを分かち合いながらその時を過ごして )
──もう夕方か。時間が経つのは早いもんだよなぁ
( どれほどの時間が経過したかも気に留める事なくただ彼と抱き締め合って、このまま幸せな時だけが永遠に続けばいいのになと心中で思えば、緩慢な動作で顔上げ一度離れて。ふと後ろを向けば障子越しでも見える様に廊下側が薄暗く、今が夕方である事が分かり。大半の時間を彼と共に過ごした訳だがそれでも時の流れは過ぎるのが早いもので、其方へと向き直れば上記を述べ )
ああ、本当にな。
( しばらく抱き締め合あっていたが 彼が離れたことによってその時間も終わり。視線を追えばいつのまにか夕方になっており。廊下に厨当番の声が響けば「さて…そろそろ夕飯の時間だろう」と立ち上がり )
よし、広間に行こうぜ。腹も減ったしな
( 廊下に響いた厨当番と彼の声にこの時間帯は決まって夕餉の時間。今日は朝から政府との出来事もあって腹はぺこぺこに空いており、遅れて自身もゆっくりと立ち上がると彼を見てそう言いながら襖を開け部屋から出て行き )
( 先を歩く彼について行きすぐにいつも食事をする広間に着けば既に他の者達も席に着いていて。空いた場所へと座れば全員揃ったようで挨拶をすると食事を始めて。今は食料があるが、今後の為にも買い出しに行かなければいかないだろうと思いつつ食事をしていて )
──御馳走様。美味かったぜ
( 席は彼の隣で夕餉に出された料理を和気藹々と皆で会話を交えながら食事を摂っていて。楽しい食事もあっという間に終え湯呑みに入った茶を飲んでふぅ、と一息をつけば食後の挨拶して厨当番に向けて笑みと共に言葉掛け )
…明日にでも買い出しに行くべきか…、しかし外に出るのも容易くないだろうな。
( 仲間達と会話を交えつつ食事を終えては挨拶をして空になった食器などを重ね厨に運ぶとその時にちょうど居た当番に食材で切れているものなどはないかを確認していて。やはり幾つかは数が足りないものもあるらしくしばし悩む仕草をしつつそう呟いて。今となってはお尋ね者である自身達は本丸周辺から監視はされているはずだと思えばどうしたものかと考えていて )
( 食事を終えても尚、周りの者達と少し談笑を交えつつ居ると横目で隣の彼が膳を下げる為に広間を出て行く姿が見え。自身も空になった食器などを重ね厨に運ぶので話を一旦中断し、その場を後にするが夕方とはいえ薄暗い廊下を慎重に歩きながら何とか辿り着き。厨の中へ入ると何やら彼と当番が考え込んでいる姿を目撃すれば流し台に食器を置きつつ「どうしたんだい?何か考え込んでいるようだが。」と問い掛けて )
国永か。明日にでも少し買い出しをしたいんだが…何せお尋ね者である俺達がそう簡単に買い物できるかどうか少し分からなくてな。
( どうしたものかと当番と悩ましい表情浮かべ深くため息を吐いていては背後にいつの間にか彼の姿があり。どうやらこちらが悩んでいたところを見ていたようで、尋ねられると眉を下げつつ上記を述べて )
成る程な。…だったら変装するしかないんじゃないか?それなら少しは監視の目から逃れられると思うんだが。如何だ?
( 二人の前に立つと理由を聞くため困った顔の彼の話に耳を傾けつつふむ、と顎に手を添え暫し考える素振りを見せ。食料は生きていく上で必要不可欠なもの、外に出るにしても堂々と町中を歩く訳にも行かず、そもそもそんな事をしたら即政府に見つかる。人数分なら買い物に時間はそう掛からず、だとすれば少し見た目を変えさえすればどうにか出来るのではと一つ提案をしてみて )
ふむ、変装か。それならば見つかる可能性も低い、その案にしよう。
( たしかに彼の案のとおり、変装さえしていれば見つかる可能性も低くなる。それならば買い物も容易いだろうと思えば頷いて。明日の買い出しするものを紙に書き出してもらいそれを受け取れば「では明日、俺は買い出しに行こう。」と続け )
俺もついて行く。一人だと危険だし俺がいればきみを守れる、いいよな?
( 此方の案に賛成の意を示してくれたものの、幾ら変装するからと言っても万が一の事を考えれば彼と同伴する誰かが傍に居た方がいいだろう。道中で何が起きるか分からない上に心配なので一人では行かせない為、その言葉に上記を告げ )
ああ、それでは頼んだ。
( 彼の言うとおり、1人で行ける場所ではあるが何があるかは予測できない。万が一何があった時にも対応するには同伴してもらった方がいい、こくりと頷いて了承するとここに長居する理由もなくなったので、風呂にも入ろうと一度自室に戻ることにして )
( 特に断れる様子もなく了承されると笑み浮かべ此方も頷きを示せば明日の予定が決まり話も済んだ為、厨から立ち去る彼の背を見送って。自身も一旦自室に戻ろうと思えばその場に居た当番に別れを告げ、厨を出て戻っていき )
( 風呂にも入り、するべき事が無くなれば自室で眠気が来るのを待っており。本を読んでいたら眠くなるだろうと思っていたがどうしても寝付けず、いつの間にか壁に掛けられた時計の針も深夜を指しており。寝着のままではあるが、一度部屋を出て縁側に腰掛けると静かな時の中ただ空に浮かぶ月を眺めていて )
( あの後、順番で風呂に入り火照った身体を冷ますのと通気性を良くする為に少し襖を開け自室の机にぐてーと突っ伏していて。今日は二日酔いの所為で寝過ぎた事もあって此方も寝付けず、その体勢のままどうしたものかと悩むも眠気が来るまでの暇潰しが思い付かずにいて。少し夜風に当たろうと同様に寝着のまま部屋を出たところで、縁側に座る人影が見え目を凝らすとそこには彼の姿。傍に近付いて「…長谷部も寝付けないのかい?」と声を掛け )
ああ、国永もか?
( 特にすることもなく、ぼんやりと夜風を心地よく感じながら月を眺めていると不意に誰かが傍に来る気配がしては其方を視線をやると鶴丸の姿があり。彼もどうやら寝れないらしく今まで起きていたのかと思えば頷きつつ上記を述べて )
困った事に俺もだ。…でも、きみが居るなら眠気が来るまで退屈せずに済むな。
( 此方の気配を感じて振り向いた彼と視線が合えばその問いに苦笑を洩らし、そう口にすると隣に腰掛けて。顔だけ其方へ視線遣れば少し夜風に当たるのつもりだったが朝に支障が来さぬ程度に眠れるまで話し相手に付き合ってもらおうという魂胆で言葉を紡いで口元に弧を描き )
はは、違いない。
( 隣に腰を掛け眠気が来るのを二人で待つ事にして。一人でいるよりもやはり誰かと居ること、更には恋人である彼と一緒にいれるだけでも幸せな時間だと思い。政府を敵に回した今こんな時がいつまで続くかは分からない、今を大切にしていこうと思えば「国永、好きだ」と続けて微笑み )
っ、俺は大好きだけどな!
( 夜風を肌で心地好く感じつつ天を仰げば月が綺麗だと思いながら眺めていると、不意に愛の告白をされて。再び其方へ視線戻すと照れながらも嬉しげで頬が緩むも、何故か彼と張り合うように自身の方が大好きなのだという事を告げ )
なっ…。ふふっ…そうか、大好きか。ならば俺は愛している。
( 自身の愛の告白に嬉しそうに頬を緩ませながらも張り合おうとするその姿は見ていて可笑しく、しかし愛らしくも思えては思わず笑いを零して。大好きだと言われた事にこちらも嬉しいことに変わりはなく僅かに頬を染めながら柔く笑み浮かべて )
!!……俺も愛してる。
( 何方が相手の事を想っているか好き度で張り合った為に自身の更に上を行く彼の言葉で、嬉しさと恥ずかしさが入り交じりかぁあと頬が赤くなって。その顔のまま笑み零し、自身からも愛の告白を伝えては此方を向いているので唇に軽く口付けて )
っん…、
( 彼に張り合う形で愛していると告白すると肌白い頬が一気に赤く染まっていくのが見えて。それと同時に愛していると返され口付けされるとそれを受け入れ。頬が熱くなるのが分かれば照れくさそうにして、こうして誰かに愛され愛すことが幸せだったことなど今まで知ることもなかったと思い )
…きみは可愛いな。誰にも渡したくない、まあ渡すつもりは更々無いがな。
( 唇を離せば瞳に映った照れ臭そうにする彼の姿を見ると頬を赤く染めたまま幸せそうに微笑んで。他の者が寝静まる頃、愛する恋人と二人きりで居れるこの時間が何物にも代え難く、愛おしげな眼差し向けつつ両手で赤みを帯びた頬に触れるとその言葉が口から漏れて )
はは、渡されるつもりもない。俺はお前のものだ、国永。
( 熱く火照った頬を冷ますかのように両手で触れつつそう告げられると、こちらも笑みを浮かべながらそっと彼の手に触れて上記述べ。自身を好きにできるのも恋人である彼だけであって、頬に触れていた手に軽く口付けして )
ああ、俺はずっときみを愛し続けると誓うぜ。絶対に離さないからな、──覚悟しろよ?
( 自身と彼の想いは一緒で頬に触れた両手を離されると、手の甲に軽く口付けを落とす光景を目の前でされて柔く笑い。政府を敵に回した事で今の状況が平和とは程遠いものとなった今、喩えどんな事があろうとも彼だけは絶対に手放しはしないと心中で思い、視線逸らさず見詰めれば口元に笑みを浮かばせ )
ああ、何があっても俺もお前を愛し続ける。お前と共に生きることを決めてから覚悟はしていたさ。
( 月明かりに照らされながら互いに愛し続けることを誓うそれは、まるで人が夫婦になる時にする契りの様だと思いながら笑み浮かべて。彼と共に生きることを選んだあの時から、とっくに覚悟はしていた。こちらも離すつもりは毛頭なくじっと彼の目を見つめてはそう言葉を紡ぎ )
──…さーて、夜は冷えるからそろそろ部屋に戻って寝るとしようか。
( 静けさの中、月光の下で互いに契りを交わせば笑み湛えつつ夜も深まる時間帯に縁側で彼と一緒に眠れるまで居るつもりでいたのだが、言葉を重ね触れ合う内に自身は眠気が遠退き目も冴えてしまい。然し、ずっとこの場に居ると夜は冷えるので風邪を引いてしまえば元も子も無い為に、これ以上は彼を付き合わせるのも悪いと話を変えて立ち上がり )
ああ、おやすみ国永。
( 互いに契りを交わし、微笑んでいると徐ろに彼が立ち上がりそろそろ眠った方がいいと告げられ。正直、まだ起きていられるのだが彼の言うように夜は冷える、ここは素直に戻った方がいいだろうと頷くと自身も立ち上がり上記述べては自室へと戻り布団に横になりいつの間にか眠りについて )
( 月が沈んで日が昇り朝を迎え、あの後自室に戻ったは良いが寝付くのに暫し時間が掛かるも目を瞑ればいつの間にか眠っていて。就寝した時刻が遅かった事もあってか何時もなら既に起床している時間帯でも未だ寝ており )
―国永が起きてない?もう朝餉だというのに…分かった、見てこよう。先に食べていてくれ。
( 眠ったのが遅かったせいか、いつもより遅くに目が覚め。身支度を手早く済ませ、既に朝餉の時間は過ぎていた為足早に広間に着けばまだ鶴丸は来ていないと告げられ。まさか夜風にあたり過ぎて風邪でもひいたのか、起こしに行くためにも一度鶴丸の部屋へと向かい。部屋の前で声を掛けるも返事はなく、仕方ないとそっと襖を開けては「国永、朝だぞ。いつまで寝ている」と傍に膝をつき肩を軽く叩いてやり )
んん…、
( 朝餉の時間を過ぎても尚、起きる気配はなく横を向いて寝ていると誰かが入ってきた事にすら当然ながら気付かずにいて。気持ち良さそうな寝顔で熟睡している中、いきなり肩を叩かれ小さい声漏らし寝返りを打ち仰向けになれば薄らと目を開け。ぼんやりとした視界の中で視線動かすと傍に彼が居て、緩慢な動作で起き上がり「…おはよう。もう朝だったか」と小さく欠伸を洩らし挨拶して )
おはよう、昨夜は遅かったからな。ほら、身支度を済ませたら朝餉だぞ。
( どうやら具合が悪いなどの様子はなく、ホッとしては昨日が遅かったせいで起きるのも遅かったらしく苦笑浮かべては上記を述べて。彼の細い髪を一度指で撫ぜると人が居ては彼も支度しにくいだろうと立ち上がり部屋の前で待っておこうと思い )
ああ、分かった。少し待ってくれ、すぐに済ませる。
( 寝起きで未だ頭が働かず寝惚け眼を擦りつつ少しその状態でぼーっとして、自身の髪を撫でる感覚がするも彼の言葉に其方へ見遣れば一度部屋から出る背に向けて上記述べ。起こしに来てくれたのに更に待たせる訳にも行かず、立ち上がると和装の為に多少着付けに時間が掛かるが何時も通りに身支度を済ませ。部屋を出れば「悪い、ちと遅くなった。よし、広間に行くか」と声を掛け )
気にするな。他の者は先に食事を始めてるが俺達の分は分けていてくれている。
( しばらく彼の準備が終わるのを待っていると襖が開きいつもの見慣れた姿の彼が出てきて。特に急ぐ理由も無いため笑み浮かべて上記述べては広間へ向かい。広間に着くと準備してくれていた場所に当番に座り礼を述べては手を合わせ食事を始めて )
──すまん、昨夜は中々寝付けなくてな。それで起きるのが遅くなったんだ。
( 会話を交えつつ広間に着けば二人分の席が用意されている場所へ自身も座ると、今日の当番である二振りを含めた全員に対し眉下げ先ずは謝罪の言葉と共に理由も告げて。それから腹が減っているので冷めぬ内に此方も手を合わせ朝餉を食べていき )
( 仲間たちと談笑しながら朝餉を食べ、しばらく休憩をしてから立ち上がり食器を運んで。この後は買い出しがある為一度変装する為にも自室に戻ることにして。いつもの服装では分かってしまう、着慣れている訳では無いがここは仕方なく和装にしなければいけないかと以前歌仙から譲られた着物を取り出しては着替え始めたものの少し手こずっていて )
( 此方も食事を終え厨に食器を運んだ後、昨日買い出しに行くと言っていたので変装する為にも一度燭台切の部屋を訪れて。衣装の仕舞われた収納棚の戸を開け放ち着物では普段と何ら変化はなく、それならばこの燕尾服を借りようと早速着替え始め。着なれていない上にネクタイの付け方が分からずそのまま手に持ち一応準備は出来た為、今度は彼の元へと向かい。部屋の前で襖越しに「長谷部、部屋に入っても良いかい?少しやって欲しい事があるんだが…」とそう話し掛け )
国永、丁度良かった。俺もお前に手伝って欲しいことがあってな、入って構わん。
( こんな事になるならば、着付けくらい覚えておけばよかったが和装とは無縁のためもあってそのような事は出来ず。どうしたものかと悩んでいるとタイミングよく襖越しに聞こえた彼の声に上記を返しては入室の許可をして )
…?俺に手伝って欲しい事って…ああ、着付けか。
( 入室の許可を得ると共に自身の様に困り事があるそうで、頼られる事は素直に嬉しいが一体なんだろうかと思いつつ襖を開き中へと入り。すると室内に居た彼の姿は着物の帯を結んでいない状態の格好が視界に入るなり上記を述べ、手に持ったままのネクタイを首に掛け目前まで歩み寄ると早速手慣れた動作で着付けの手伝いをしていき )
済まない、助かった。お前は…なるほど、
( 部屋へと入ってきた彼の姿は見慣れない姿のものであり。歩み寄られ、手慣れた様子で着付けをしていくのを眺めていて。しばらくするとそれを終えて礼述べては次は自身の番だと思うといつものように手馴れた様子で着付けては最後にしっかりとネクタイを締めてやり。「ふふ、これはこれで似合ってるかもしれないな」と笑み浮かべ )
俺の方こそ感謝するぜ。…そうかい?きみの着物姿も似合ってるぞ。
( 確りと彼の着物を着付けさせて帯を結び終えると、次に自身の格好を整えて貰えれば此方も礼を述べ。洋装など着た事があまり無い為にその言葉を聞けば彼に言って貰った事が嬉しい様で、照れ臭そうに頬を掻きつつ。和装の姿は見慣れないのもあり、新鮮でいつもと雰囲気が違って見え微笑みながら服装を褒めて )
はは、お前にそう言われると悪くないな。それでは行こうか。
( 着物などいつ以来だろうか、織田の頃に着ていた記憶はあるが着付けなどは周りの者にして貰っていたような気がすると思い。互いに準備を終えては事前に用意していた金銭と昨日当番に書いてもらっていたメモ、本体を手に部屋を出ては玄関へと向かい。道中は何があるか分からない、気を付けていくようにと仲間に見送られては門を出て「久々に遠征に出た気分だ」と笑み浮かべ )
確かにそうだなぁ。ここ最近じゃ本丸から一歩も出ていないから余計にそう感じるのかもな。
( 外に出る準備は万端で玄関口へ向かう前に一度隣の自室に戻り、自身の本体を手に持ち彼の後を追って行き。仲間達に見送られる形で大きな門を潜れば視界に広がるものは久々に見る景色で、畦道を隣に並んで歩きながら外の空気を吸い彼の言葉に同意する様にうんうんと数回頷いて。晴れ渡る青空を太陽の光で眩しげに眺めつつそう上記を返して )
空はこんなに青かったか…。
( いつも本丸から見える空は澱んでいて、不気味な雰囲気が漂っていたがそれは自身達の環境のせいであって。清々しい程に青い空を見上げてはポツリと上記呟いて。それからチラリと隣を並んで歩く彼に「国永、その…手を、繋いでもいいか」と何とも恥ずかしそうにしながらそっと自身の手を差し出し )
ああ、勿論だ。
( 雲の流れを見つつ前方にも気を付けながら町の方角へ歩みを進んで行く中で徐に隣の彼の声が聞こえ、自然と其方へ向けば此方に手を差し出す様子は恥ずかしそうで。笑顔で了承するとその手に自身の手を重ね指も絡めて所謂恋人繋ぎをしては「こうして見ると何だかデートみたいだな」と此方も恥ずかしげではあるがそう言ってみて )
でぇと…ふふ、確かにそうだな
( 恥ずかしそうにしながら頼んでいると、快く了承してくれては頬を染めつつぱっと嬉しそうな表情浮かべて。恋人つなぎをしてはジッと見つめつつ歩いていて。聞き慣れない横文字ではあるが以前そのようなものに詳しい乱が話していたのを思い出しては頬を緩ませていて )
…よし、何とか無事にここまで来れたな。
( 実際はただ食料調達の為買い出しに行くのが目的ではあるものの誰にも邪魔されず、二人の時間を共有出来るのは彼を独り占めしている事もあり嬉しいもので。初々しい雰囲気で仲良く手を繋ぎながら言葉を交わしつつ、先ずは何事も無く本丸から然程遠くはない町に辿り着く事に成功すると辺りを見回して )
ああ、あとは買い物をするだけだな。
( 何事も無く二人だけの時間を過ごしながら街へと着けばやはり賑やかなもので。ここまで来たらあとは頼まれたものを買って帰るだけ、他本丸の刀剣達も各々が買い物に来ていたりとしていてはもし政府から自身たちの本丸の事について連絡があったのなら気を付けなければと思いつつ買い物を始めて )
( 買い物を始める彼の後ろに付きつつ自身はと言うと手持ち無沙汰ではあるが外に出て来ている以上、町の中でも周囲に警戒を怠らず他本丸の刀剣達が時折視界に入ると自身達の身元防止の為、今は変装した格好なのでなるべく目立った事はしないよう極力誰とも目を合わせずに居ながら終わるのを待っていて )
よし…、こんなものか。
( 順調に買い物を進め、もとより頼まれていたものもあまり無かった為に早めに買い物を済ませて。買い物中も特に気になることも無かった為に後ろについていた彼の方へ視線やれば「待たせたな。帰る前によっておきたい場所などはあるか?」と尋ねてみて )
いや、特に無いな。…そういうきみは?あるなら勿論付き合うぞ。
( 待つこと数十分、どうやら早めに買い物が終わった様で此方に身体を向けた彼と視線合わせて。手に持つ紙袋はそれほど量が無い様に感じて久々の町という事もあってか尋ねてくる問いに、これと言って行きたい場所など思い浮かばず。首傾げつつ逆に彼にも同じ質問を投げ掛けて )
俺も特には…、それならば長居する必要も無い。帰るとするか。
( 彼に尋ねたものの特に行きたいような場所もないようで逆に尋ねられてはこちらも特に気になるような場所がなかったために首を横に振り。意味も無い場所にあまり長居するのは良くないだろうと思えば上記述べて )
ああ、早く帰ってやらんと本丸で留守にしてる奴らが心配するしな。
( 一応尋ねたが彼も興味を示す場所は別段無く首を横に振る仕草見ては買い物へ行く自身達を見送ってくれた時、心配そうにしていた仲間達の顔を思い出すと寄り道しないなら早く帰って安心させてやろうとその言葉に頷いて )
( 互いに行く場所も無ければ来た道を戻る形で二人並んで歩いていて。短い時間ではあったがふたりだけの時間も悪くなかったと思い。今は早く帰って本丸で帰りを待つ皆を安心させなければと歩いていて )
( 再び来た道を戻る様に踵を返して彼と共に町を出る為に歩き出し。周りを見れば自身達の状況と大いに違って此処は平和で賑わいを見せており、その様子を横目に町から出ると誰も居ないところで何も言わずに帰りも空いている方の手を握り行きと同じで恋人繋ぎして )
―!ふふ、
( 街から出てしばらく歩いていれば来る時と同様に手を繋がれては何とも嬉しそうな顔をして頬を染めて。ぎゅ、と握り返しながら2人きり本丸までの道を歩いて )
帰ったぜー、
( 隣で嬉しそうに笑い声を漏らす彼の方を見ては自然と笑みが零れて本丸までの道をゆっくりと歩んで行って。道中は特に何も無く無事に帰り着く事が出来てパッと手を離し、玄関の戸を開けると同時に皆に聞こえるよう大きな声で言葉発して )
ああ、何事も無かった。これでしばらくは大丈夫だろう、其方は何かあったか?
( 本丸へと辿り着き隣に並ぶ彼の声に反応してか本丸内から次々と仲間達の出迎えがあり。厨当番に手荷物を渡しつつ、自身たちの不在中になにか無かったかなどの報告を聞いては得にそちらも無かったらしくホッとして。着替える為にも一度部屋へと戻ることにしては玄関に向かい )
そうか、皆に何も無くて良かったぜ。
( その傍らで不在中についての報告を聞けば此方も同様に安堵の息を漏らし、笑み浮かべつつ言葉を紡いで。すると、真っ先に部屋へ向かう彼の姿が視界に入り、自身も着替えるかと思えば靴を脱ぎネクタイ緩ませつつ自室ではなく再び燭台切の部屋を向かって行き )
( 自室へと戻れば早速着物を脱ぎ、いつもの服装へと着替えて。やはり着慣れているこちらの方が動きやすいものだと思えば休む間もなく次は本丸内の見廻りだと思えば着物を元の場所へと戻し部屋を出ては見廻りを始めて )
( 部屋に着けば緩慢な動作でスーツを脱いで自身の和装へと着替え始め、確りと着付ければ当たり前だが矢張り此方の方がしっくりときて落ち着く様で。ハンガーに掛け収納棚へ綺麗に仕舞いこれ以上此処に長居する理由も無く、部屋から出れば廊下を歩きながら休む為にも縁側の方へ向かい。腰を掛けては両手を床につき空を仰いでおり )
…国永、こんな所にいたのか。
( 一通り本丸内の見廻りも済まして、特に異変や侵入のあともないと分かれば今度こそ休憩しようかと歩いていると縁側に腰掛ける彼の姿。見慣れた衣装に身を包む彼の隣へと座れば「本丸の見廻りもしてきたが特に気になる所は無かった」と告げ )
お疲れさん。…そうか、今の所は何も仕掛けてきていないか。
( 特にする事も無く外とは違って澱んでいる空の雲の流れをどこかつまらなさそうに眺めていると、不意に間違える筈も無い彼の声が耳に届いて。ゆるりと其方へ向いて隣に座ったと思えば、本丸内の見廻りの報告を律儀に知らせてもらうと労いの言葉と共に上記を返して )
ああ、俺達の強さを見て一筋縄ではいかないと思ったんだろう。次に来た時は…苦戦するかもしれないな。
( 労いの言葉を掛けられ柔く微笑みその言葉を受け取り。前の事があってからというものの政府は未だに手を出して来ようとはしていない、おそらく自身たちへの対策が出来ればまた仕掛けてくるはずだ。前のようにはいかないかもしれないがだからと言って諦めるつもりなど微塵もなく、この身が折れたとしても彼らだけは守らなければと思い空を仰いで )
政府も俺達を捕らえるのに必死だろうからなぁ。次こそは何を仕掛けてくるのやら…だが、それでも全力で立ち向かうだけさ。
( 前の事があって日以来、本丸内に何の異変も感じない上に政府の動きすらも無い。本音を言えばこのまま自身達を野放しにしていて欲しい所ではあるものの、お尋ね者を放置するなどあってはならぬ事で前の様に簡単に始末出来れば楽なのだが政府も馬鹿ではない。前の様子から捕らえる事に必死で次こそは手段を選ばない方法で掛かってくるだろう、然しそう易々と捕まる気など更々なく此方も空仰げば彼の言葉の後に続けて )
国永、お前だけは折れてくれるなよ。お前までいなくなったら俺は…俺でいられなくなるだろう。
( 政府の動きがない事はこちらからしたらありがたいことではあるのだが不気味でもあって。彼の言うように前の様子から捕らえることに必死な政府は何をするか分からない、異物同然の自身達を捕らえた後どうするのか。そんな事を考えても答えなど出るわけもなく、隣の彼を見ては上記を述べて )
ああ、勿論だ。俺は政府相手に簡単に折れるほどそんな柔じゃない。それに約束しただろ?きみを独りにしないってな。
( 空を眺めつつ急に隣から不安そうな声色でそう告げる彼の方を向く様に視線を遣ると、じっと真っ直ぐ見詰めながら唯一大切な恋人を置いて折れるほど自身は弱くはない。以前にも縁側や部屋で絶対に彼だけを置いて居なくならない約束をした事をもう一度告げては笑顔を見せ、徐に手をぎゅ、と握って遣り )
ふふ、そうだな。お前はそう簡単に折れる奴でもない。
( 心配そうにしていたのが相手にも伝わったのか、それをまるで安心させるかのように笑み浮かべつつ手を握られてはそれにつられ、こちらも笑みを浮かべてみては握り返して。言葉通り彼はきっと約束を守ってくれるのだろうと思い )
はは、当然だろっ。
( 心配そうな表情から一変し手を握り笑顔を見せた為、不安を取り除けたのか安心した様子で彼の笑った顔が見れては自信有り気に上記を述べ。彼との約束は自身の身が折れるまで守るつもりではいる。だが、もしも状況的に危ないと判断した時はあくまで仲間を守る為に自身の命を政府に渡そう等と考えていて )
( 自身が折れる時は彼が折れる時、最期まで共にいることを望んでいて。口元に柔く笑みを浮かべ彼の言葉に耳を傾けその幸せな時間を噛み締めていて。そんな矢先、耳に届いたのは警報を知らせる鐘の音。ハッとしてはこちらに駆け寄る警備に回っていた者の口から『政府による襲撃』と聞けばすぐさま立ち上がり走り出して )
( 突如部外者が侵入した鐘の音が鳴り響くと同時に、大慌てで駆け寄る警備に回っていた者の口からその報せを受けるなり自身よりも先にこの場から走り去る彼の後を追う為、横にある本体を手に持つと立ち上がり走って。外に飛び出せば視界の先には以前よりも人数を増やした政府がいて、前の方で応戦する仲間達の所へ行くと庇うように自身の背中に隠し。「ここは俺達が引き受ける。きみたちは他の者達の所に行ってくれ」と抜刀しては構えつつ )
これはまた…随分な数だ。だが、ここで退く訳にはいかないんでね。
( 外へと出ると以前よりも政府の役人の数が多いだけでなく、力尽くにでも捕らえるつもりなのかそれともここで破壊するつもりなのか遡行軍によく似た異形の者達も多く居り。自身たちへの対策のために作り出したのだろうと憶測しては目の前にいる敵は斬るだけだと抜刀し直ぐ様持ち前の機動の速さで敵の眼前へと行けば斬りかかり。しかしそう簡単に倒れるはずもなく鍔迫り合いになり舌打ちをこぼし )
やれやれ、少々面倒だが……生憎、黙って捕まる気は無いんでな。ここで死んでもらおうか、
( 自身の横を通り過ぎた彼が先陣を切って敵と戦う姿が視界に入り、周囲を確認するように政府の役人に加え遡行軍に酷似した異界の者達の数をざっと数えて。圧倒的に数では不利な状況だが強さなら此方も負けず、スッと標的を捉え睨み付けるように見れば上記を告げた後に同じく地を蹴り上げ敵の眼前へと行けば斬りかかるも得物で攻撃を防がれ )
―っ!
( しばらく鍔迫り合いになっていたものの、圧斬るように敵を斬り伏せては次の標的へと視線を遣り。駆け出そうとしたその刹那、高速槍に似たそれが特攻する形でこちらへと来ると急所こそ避けたものの脇腹を抉られる様に突かれ、息が詰まり。だがここで折れるつもりは毛頭ない、足に力を込め隙を突き背後へと回り込めばその首を落として。地を赤く染める程の出血量だがまだまだ動ける、これくらいの傷ならばと自身に言い聞かせては彼の方は大丈夫だろうかと気にしつつ敵の残りの数を数えて )
っ…長谷部!怪我しているじゃ───。
( 互いに鍔で受け止め押し合う形になれば見た所敵の持つ得物は自身と同じ太刀に似たそれで、柄を握る手に力を込め。余裕そうな笑みを口許に浮かべ勢い良く敵を押せば脇腹に思いきり蹴りを入れ、その隙に斬り伏せて。此方も彼の事が気になる為に其方へ視線遣ると赤く染まる地が見え、嫌な予感は的中し脇腹を負傷しているのが視界に入り。考えるよりも先に身体が動き駆け寄ろうとした瞬間、大太刀の形をした敵の凪ぎ払った一陣の風を瞬時に本体で防ぐが地を削るように後ろに下がっていき )
国永!俺は無事だ、目の前の敵に集中しろ!
( 少し離れた場所からでも自身が怪我をしたのは分かったらしくこちらへと駆け寄ろうとした途端に大太刀の一振りにより後ろへと下がるのが見えては、自身は無事な為気を取られるなと上記を述べて。こちらが負傷したと分かれば次々と襲い掛かる敵を斬り伏せていき )
…っと、危ない。あと少し反応が遅れていれば確実に負傷していたな。
( 遠くまで後ろに下がった事で敵との距離は大分空いて瞬時に攻撃を防いだから良かったものの、あとほんの僅か気配に気付かずに居たらと考えればゾッとし。無事だと彼は言うがそれでもやはり心配なのは心配で、然し今は眼前の敵に集中しようと体勢を立て直せば此方から大太刀の元へ駆け出し。斬り付けようと試みるが相手と自分では刀身の長さが違う為、善戦していたが身軽な身のこなしで避けつつ敵の隙を突けば背後に回り込み容赦なく斬り殺して )
…ははっ、だからぁ?
( 流石に体を酷使していれば血は流れ続ける為に足元が狂うと敵の一振りにより頬を掠め。頬から流れる血を拭えばニヤリと口元に挑戦的な笑みを浮かべ斬り伏せてやり。数は段々と少しずつではあるが減ってきている、だが気を抜かないようにし。こちらへと襲い掛かる敵と鍔迫り合いになれば、背後に敵が来ているのに気付いておらず )
さーて、次はどいつが相手だ?
( 今のところ自身は無傷で挑発的な態度と笑みを浮かべ、残りの敵の動きを窺いつつも周りを見回せば少し離れた場所で戦い続ける彼の背後に忍び寄る敵の一振りが得物を振り上げた動作が目に入り。これ以上彼を傷付かせるものかとその敵の背後へ行けば「おいおい、背後ががら空きだぜ?」と言いながら急所を切っ先で容赦なく刺してやり )
―っ!国永、助かった。
( 目の前の敵を倒したと同時に背後から彼の声が聞こえては振り返り。そこには今にも斬りかかって来ようと振り翳していた敵の姿、しかしその敵の動きは急所を突かれ既に止まっており。彼がいなかったら今頃自身は折れていたかもしれないと思えば礼を述べて )
ふっ、恋人を助けるのは当然だろ。
( 突き刺した刀を引き抜けば目の前の敵は跡形も無く消え失せ、ふぅと小さく息を吐き出し。すると彼から助けた事への礼を言われ敵がいる中でもニッと笑みを見せると、上記を述べては怪我の具合が気になるもののそんな余裕はなく。敵の方に向き直ると残りもあと僅かで、自身達に迫り来る者の攻撃を躱しつつ次々と斬り殺していき )
ははっ、これは惚れ直してしまうな。
( 自身を助けるのは恋人として当たり前だと笑みを浮かべる彼の表情見てはこちらも微笑み返し。それから互いに背を向け合いこちらへと最後の足掻きのつもりなのか襲い掛かる敵を殺していけば歴史修正主義者に似たそれらは全滅したように見えて。まさかの事態だったのか狼狽える政府の者達へと視線をやれば「どうした?俺達を捕らえるんだろう?」と余裕ぶった笑み浮かべそう言って )
ククッ……いい気味だなぁ。これで俺達を捕らえるとよく言ったもんだ。
( 眼前の敵を殲滅し残りは政府のみとなれば彼の横に並んで同じく役人の方に視線を遣ると、作戦通りに行かなかった事もあってか狼狽える姿が見え。それが何とも面白く嘲笑いながら言葉を紡げば、取り乱しつつある政府の者達が前にも自身達の動きを封じる為に使った呪詛のひとつであるあの札を取り出していて )
さっさと諦めたらいいものを、無駄な犠牲が増えるだけだろう?それとも政府はそのようなことも気にはならんのだろうな。
( これから先何度捕らえようとしようが自身達に何かがない限り結果は同じ。分かっていることなのに未だに足掻くその姿はとても滑稽で。上記述べつつ視線を巡らせると政府の者が何やら怪しい行動をとっており。それに気が付くと同時にそちらへと近寄れば躊躇うことなく呪詛を持っていた手首を斬り落とし「ハハハッ、残念だったなあ?」と嘲笑しつつそう言って )
…なあ、政府よ。そんなに捕らえたけりゃあ、俺を連れて行けよ。──但し、二度と他の奴らには手を出さんと約束できるなら、だが。
( 呪詛の発動を阻止する様に目の前で食い止める彼の姿を見た後、視線を巡らせながら札を手に持っている者はまだ数人居て。使用される前に阻止する事は容易いものの、この場で政府を殺した所で彼方が諦めない以上は同じ事の繰り返し。これから先仲間達が平穏に本丸で生活できるならばと何かを覚悟した顔で刀を鞘に収め、片手で持てば一歩ずつ前へと確実に政府の方に近付きながら耳を疑うような言葉を発して )
なっ…、国永、正気か?!
( さて、こちらが先に政府によって捕らえられるかそれともこちらが殲滅するか。相手方の動きをじっと見据えていると不意に耳に届いた疑いたくなるような言葉。思わずそちらを向いては上記を述べ。彼が冗談で言っていないことはその表情から見て取れる、しかしそんな事を自分が許す訳がない。彼まで居なくなったら生きていく必要などないのだから。「待て、それならば俺が行く。」と彼の代わりになろうと名乗り出ては刀を鞘に戻し )
…悪いな、長谷部。これはもう決めた事なんだ、だから最後まできみ達を守らせてくれ。
( ゆっくりと政府の方へ足を動かすも先程とは打って変わった様な自身の態度を見て流石の政府も驚きを隠せずにいる。まあ、無理もないかと内心思うものの多少距離を空けてピタリと足を止め、まだ返事は貰っていない為にじっと見据え。矢張り彼は自身の言動に黙っておらず、終いには此方の代わりになるのか名乗り出る始末。その言葉に自身としてはもう覚悟を決めた上、辛い事は彼にさせたくない。其方へ視線を遣ればその為に駄目だと首を横に振り )
…約束も守らない癖に何が守るだ、ふざけるな。そんなに政府の元に行きたいなら俺を殺してから行けばいい。
( 自身も知らないうちに彼は何かしらの覚悟を決めてきたようで、こちらの言葉にも首を横に降るばかりに彼を犠牲にしてまで生きていくつもりは無い、それにずっと傍にいるという約束も守ることなく政府に連れられる事を臨むのならば自身を今ここで折ってからいけばいいと自嘲気味に笑いつつそう言って )
…何言ってるんだ、そんな事俺が出来る訳が無いだろ。きみは俺の大事な恋人だ、そんな風に言わないでくれよ…。
( 彼の言葉は尤もで自身の行動は正に約束を破ろうとするも同然な行いで、その様に言われても仕方無い。しかしだからと言って目の前の、それも自身の大切な恋人をこの手で折れる訳が無く。彼の方に行けば決して政府の元に行く事を望んでいるのではない、これも彼らを守るためで悲しげな表情を浮かべ。突然始まった自身達の喧嘩だが、本丸の中から鯰尾と骨喰が駆け付けてきて。『長谷部さん、鶴丸さん。大丈夫ですか?…って、もしかして喧嘩でもしました?』、『俺達も助太刀に来た。』と二振り共に心配で来てくれた様子で )
骨喰に鯰尾…、国永が俺達を守る為に政府に自身を売ろうとしていてな。お前達からも言ってくれないか、俺の言葉ではどうしても…棘が出てしまう。
( こちらへと来た彼をじっと見据えその言葉と表情を見ては、少しばかり感情に任せ過ぎただろうかとバツが悪くなり視線を逸らして。彼も好きで政府の元に行こうとしているわけじゃない、それは分かっているがなんと言えばいいのか分からずにただ沈黙の時間が流れていき。突然それを裂くように本丸から出てきた二振りの姿を見ては言葉選びが不器用な自分の代わりに伝えてくれと告げて )
……、すまん。皆に何も言わず独りで政府の元に行こうとした事は正直悪かったと思ってる。それともう二度とこんな真似はしないと約束する。
( 俯きがちになり三振りの話を黙って聞いていれば、自身の行動に彼らは驚いた声を発して此方へ向き直り。考えを改めさせる為か説得を試みる必死な二振りに言われた事は、何かと独りで物事を解決する節がある為にもう少し自分達を頼って欲しいこと。他にはそれ以外に何か方法はある筈だとも言われて。ここまで言われてしまえば考え直すしかなく、それに何よりずっと傍にいるという彼との約束を守る為にもそんな思考を消し去り。顔を上げて三振りを交互に見つつ、眉下げ申し訳無さそうに上記を告げ )
…分かればいいんだ。二人共、感謝する。
( 口下手な自身に代わって二振りが必死に彼を説得している間、彼らから自身は背を向けて周りを囲む政府の人間が何かして来ないかと見張っており。しばらくして考えを改めたのか彼の口から出た言葉に耳を傾けては、上記を述べ仲裁に入ってくれた2人に礼を述べて。こちらの今までの行動を見ていた政府も、鶴丸の意見が変わったことに驚いた様子でそれを見ては「…と言うことだ、今日は諦めて帰ってくれ。いや、二度と近付かないでくれ。俺達が何をしたって言うんだ」と落ち着いた、だが何処か切に願うような口調でそう言って )
早く此処から立ち去るなら危害を加える様な真似はしない。
( 自身達の大事な話も纏まり政府の方へ向き直ると当然納得がいかないという様な顔をしており、だが今更彼方の意見を聞き入れるつもりなど無く。視線鋭くさせ有無を言わさぬ威圧感のある声色で彼の言葉に付け加える様に紡げば、圧倒されて諦めたのか本丸の敷地内から撤収して行く姿を見据え。完全に気配が消えたのが分かると彼の方を向いては「長谷部、早く手当てをするために手入れ部屋に行くぞ!」と手を引いて本丸の中へと急いで入って行き )
っ…おい、国永?!
( 彼の協力もあり、撤退していく政府の者達を眺めては何とかなったようだとホッと息をついて。当然深手を負った自身の身体からは未だに血が流れており立っているのもやっとの所で先程までの雰囲気とは一転しこちらの手を引かれては体制を崩しそうになり。何とか持ち堪え遅れないようにとついて行き手入れ部屋へと入って緊張も解けたせいかその場に座り込み )
…少し痛いかもしれんが、我慢してくれ。
( 手入れ部屋へと着いた瞬間、その場にストンと座り込む音が耳に届き彼の方に向いて未だに流れ続ける血を止める為救急箱を探し出して。いつもはして貰う側だが今はそんな事を言っている場合ではなく、彼の前に座ればなるべく優しくはするつもりだが何分慣れていないので上記を述べると少し不慣れ感はあるものの消毒や包帯を巻き手当てを施していき )
っ…、死ななきゃ安い。
( 不器用ながらも自身の手当をしてくれる彼の言葉に頷くも、やはり受けた傷は深手ということもあり痛いものは痛いようでビクッと肩揺らし。まるで自身に言い聞かせるかのように苦笑浮かべ。しばらくして、手当てを済ませると「すまない、助かった。」と礼を述べては手当てをしてくれていた彼もいつの間にか薄らと額に汗をかいていたようでそれを拭ってやり )
これで問題は無いと思うが、暫くの間は部屋で安静にしてくれよ。
( 手当てと言っても所詮は応急措置に過ぎず礼を受け取りつつも彼は先の戦闘で深手を負った身、完全に傷が塞がるまでは治療に専念した方が良いだろうと告げて。そう言葉にする前に自身の額の汗を拭ってくれた事に対して今度は此方が礼を述べた後、脅威も去り今更ながら張り詰めていた緊張が解けてはホッと安堵の息が漏れ )
ああ、すまないがそうさせてもらう。迷惑をかけるがよろしく頼む。
( 彼の言うように今は安静にして治療に専念する方が大事だろう。いつ何が起こるか分からない状況下でこうなってしまったのは痛手だが、早く治してからの話だと頷いて。ホッと息をついたのに気付けば「今回も何とかなったが…いつまで続くのだろうな」と政府と自身たちの争いはまだ終わる事は無いのだろうと思いつつそう言って )
さあな…政府が諦めるまでだろう。俺達は別に争いたい訳じゃないんだがなぁ…
( 今回も誰一人欠ける事なく政府を追い払ったものの、彼の言うようにこんな望んでいない争いを政府といつまで続くのかなど全ては彼方次第。自身達はただ静かに暮らしたいだけなのに、こんな事をずっと続けても無意味な上に犠牲者を生むだけで。考え出した所で政府の考えなど分かる筈も無く上記を返しては「まあ、暫くは政府の動きも無いだろう。兎に角今は長谷部に出来る事は早く怪我を治す事だ、その間俺が本丸の見廻りを引き受けよう」とそう続けて )
ああ、ただ静かに暮らしていたいだけだとしても…許されないか。
( 自身達は闇堕ちしているとはいえ、歴史改変するわけでも謀反を起こすわけでもない。それでも存在することを許さない政府は異物である自身達を消すことに必死でいて。いつまで続くか分からない争いが今はただ早くなくなるようにと願うことしか出来ずにいて。自身が治療に専念している間は彼が見廻りの役も引き受けてくれるようで心配ではあるがその腕には信頼もしているため「それでは頼んだ、すまないな」と眉下げ申し訳なさそうにして )
なあに、気にするな。見廻りは毎日きみがしてくれているからな、これ位は当然さ。
( 自身の申し出た事なのだが申し訳無さそうにする様子を見れば普段から本丸内の見廻り係を彼一人に任せている為、こんな時くらいは無傷の自身が動くしかないと思っての発言で。ぽん、と軽く肩に手を置き微笑んで上記を述べるも「嗚呼、 何か欲しいものがあれば言ってくれ。俺が取りに行こう」と付け加えるように口にして )
…水を持ってきてもらってもいいか、喉が渇いていてな。
( 気にする必要は無いと微笑みかけられてはこちらも頷いて微笑み。何か欲しいものは、と言われても何かを口にしたいとは思えず。しかし喉は乾いていたようでそう告げ。今はどうしても身体が怠く、重く感じるようで傍に敷かれたままだった布団へと横になり熱を持ったかのように熱い傷口へそっと手を添え )
分かった、すぐに持ってくる。
( 布団へ横になった彼を心配げに見つめるも、すぐに立ち上がるとそう言い残して一度部屋を出て。そのまま急いで厨へと続く廊下を歩く途中で先程の二振りと会えば長谷部の怪我の具合が心配の様だったので、自身が手当てした旨を伝えてはその場で別れて目的の場所へ向かい。頼まれた水を用意すると手入れ部屋に戻って行けば、そっと襖を開け彼の横に座ると「長谷部、水を持ってきたぞ。一人で起きれるか?」と話し掛けて )
…ん、これくらいなら平気だ。すまないな。
( 彼が部屋を出て行ったのを目線で追いながらこれの帰りを待っていて。しばらくすると戻ってきた彼は自身の傍へ座り起きれるかと訪ねてきたのでゆっくりとだが身体を起こして。やはり怪我をすると厄介なものだと思いつつ水を受け取ればそれを飲んで。カラカラに乾いていた喉も潤えばホッと一息ついて )
…どうだ、少しは落ち着いたか?
( 傍に寄り添いながら水を飲む姿を眺めては、余程喉が渇いていたであろう空になったコップを受け取ると、彼も薄らと額に汗をかいていたのでそれを優しく拭ってやりつつ問い掛け )
ああ、ありがとう。
( コップを手渡すと同時にいつの間にか額に汗をかいていたようでそっと優しく拭われると礼を述べて。先程よりも幾分か落ち着いたようで「ふふ、それにしても…国永に世話をされるとは思ってもいなかったな」と笑みを零しそう言ってはこれはこれで悪くないと思い )
ははっ、だろうなぁ。俺は何方かといやあ、される事の方が多いしな。
( 受け取ったコップを自身の横に倒さぬよう置いてから彼の方へ向いて、先程よりも落ち着いた様に見えては内心ホッと安堵して。次いで出た言葉を耳にすると普段という程では無いにしろ、誰かに世話をされる方な為に、いざ自身が彼の世話をする方に回ればあまり慣れない事ゆえその発言肯定してはくすりと笑って )
しかしまあ、この身であるのは不便だがお前に世話をされるのならば悪くは無い。
( 彼の世話をしている方が多い為、彼自身誰かの世話をすることに慣れていないようで。このような機会は少ないとはいえ、怪我をしていることには変わりはなく。しかし彼に世話をされるのならば少しはいいのかもしれないと笑み浮かべては「しばらくの間は国永が俺の世話係という事だな」と続け )
ああ、任せておけ。何なら俺にたっぷりと甘えてくれてもいいんだぜ?
( あまり世話係など得意な事では無いものの、それこそ彼が他の者に頼むのはあり得ないが嫌な為に元々自身が世話をする前提だったゆえ、そう言われると矢張り恋人として嬉しいもので冗談半分で上記を発すれば声を出さずにやりと笑い )
なっ…、甘え方が分からんのだが…。
( 彼に甘えられるのならばそれこそ嬉しいのだが、そのような事を自身が誰かにするということ自体が無いためにどこか気恥しい様子でそう言ってはやはり年長者である彼はそのようなことにも慣れているのだろうかと思いチラリと見やり )
!、…はは、長谷部らしいな。
( 此方は冗談半分で言ったものの真に受けてかそう口にする反応を見ては、普段から真面目な性格の彼が誰かに素直に甘えるという行為をしている場面すらあまり見た事が無く。不器用な所もあるためその言葉に思わず笑みが零れるも、部屋で独りにさせるのも寂しいだろうと思い「そうだなぁ…添い寝でもしてやろうか」なんて言い出してはじっと見詰め )
―!す、好きにしろ…。
( まさか彼の口から添い寝でもしようかという提案が出てくるとは思っていなかったようでその言葉を耳にした途端に僅かに頬を染め恥ずかしそうにしながらもゆっくりと身体を横にして「怪我人のそばに居ても退屈じゃないのか」と尋ねて )
じゃあ、その言葉通りにさせてもらうぜ。
( 予想通り添い寝の言葉に反応し僅かに頬が色付く瞬間を目にすればくつくつと喉奥を鳴らし、恥ずかしそうにする彼を他所にそう声を掛けつつ真っ白な羽織りを脱ぎ武装も解除し端に追いやり。彼の隣で横になれば必然的に距離も縮まり、そんな中突然尋ねてきた言葉に「退屈じゃないさ。…それに俺がきみの傍に居たいんだ」と答えて )
…俺の傍に?
( 自身の反応を見て楽しげに笑う彼をジトリとした目で訴えるように見ていて。それからすぐに羽織りを脱ぎ武装解除するのを眺めており。横になった彼との距離はいつも以上に縮まっていては僅かに火照る頬は冷めることなく。自身の問いに答えた彼の答えを聞いては目を瞬かせ不思議そうに上記を返し )
ああ、そうだ。…あの時は皆を守るという理由であんな事を言ってしまったが、きみの傍に居たい気持ちは本当だ。
( 自身が返答を返した途端、僅かに色付いた頬を残して不思議そうに鸚鵡返しする彼の表情を瞳に映せば、先の出来事を思い出すと自業自得であり。あの時の言葉と今の言葉を比較すれば何とも都合が良すぎるもので、自身の事ながら思わず苦笑を浮かべ。その表情も一瞬で普段と変わらぬ顔で視線を逸らす事なく上記を告げて )
…そうか。だが、お前に言ったことも事実。お前のいない世界で生きていく意味など無かった。
( 先の戦で一度彼は皆を守ると言う理由から自身の傍を離れようとした。その時は捨てられるのかと内心では恐怖で一杯だった、そんな苦しみを抱えるくらいなら彼の手でいっそ殺された方が良いのではと“折ってくれ”と頼んだようなもので。しかし、結局は彼は考えを改め傍に居てくれて。そっと彼の手を握り「これからも傍にいてくれ」とじっと彼を見つめそう言って )
ああ、勿論だ。もうきみを悲しませる様な事は二度としない。
( 仲間を守るという理由とは言え、彼にさえもろくに相談せずに自身の意思で物事を決めたのは不味かったと今では反省しており。徐に手を握ると共に此方を見つめそう言う目の前の彼と同じく目線を逸らさず、信じてもらう為態度で示して言葉を紡げば「…もし、また同じ事をしようとした時は頬を叩いて目を覚まさせてくれないか?…まあ、そんな事にならん様にはするけどな」と続けて )
ふん、頬を叩くだけで済むと思うなよ。その時は圧し斬ってやる。
( きっと彼は言葉通り、今度こそ同じような真似はしないだろう。それは直感的に分かり。それでももし同じことを繰り返す時は目を覚ましてくれという言葉に口端を上げ上記述べて。握った手から伝わる心地よい彼の体温と大量の流血により身体は疲労しているせいか睡魔が襲ってきて。まだ彼と話していたいのかウトウトとしながらも「…ん、約束だぞ国永。」と続け )
…はは、こりゃあ今度こそ約束は破れんな。
( もう二度と同じ過ちは繰り返しはしないと言った矢先にその言葉と彼の表情にどこか冗談に聞こえないのか苦笑を浮かべてぽつりと呟き零し。すると、間近でも分かる通り先の戦で怪我をした影響で余程疲労感が増しているのだろう、無理もないかと思いながら「ああ、約束だ。…疲れただろう、俺の事は気にせず寝てもいいぞ」とそう言って )
…。すまない、少しだけこのまま寝かせてくれ。
( 自身が疲れているのに気付いたのであろう、気にしないで寝てもいいという言葉を耳にすると数秒彼の顔をじっと見詰めた後にまるで甘えるかのように彼の胸へと顔を埋めるようにしてはポツリと上記呟いて。ウトウトとしていたのも瞼を閉じるとそのまますぐに眠りについては静かに寝息を立てて )
…ああ、おやすみ。
( 自身の胸の中で顔を埋めてすやすやと寝息を立てつつ眠りについたのが分かると、小さな声で聞こえないだろうがぽつりと呟いて。握られたままの手をそっと離したと思えば代わりに優しく抱き締めるようにしては、近頃になると季節も関係あるが少し肌寒く、こうしているだけでも温もりが感じられてとても暖かく且つ心地好さもあり )
ん…、
( 眠りについてからどれ位の時間が経っていたのだろうか、薄らと目を開き。いつの間にか抱き締められるように背に腕が回っているのに気付いては微笑んで。その当の本人はと言うといつの間にか眠ってしまったのだろうか、静かな寝息を立てていて。こちらも起こさぬようにとしながら彼の背に腕を回せば「…好きだ、国永。」と呟いて )
( 体を密着させた互いの体温は暖かい事もあり眠気を誘われ、すやすやと安心した様な寝顔で静かに寝息を立ててはいつの間にか眠ってしまっていて。無意識にぎゅう、と離さまいと背に回した腕に力を込め、熟睡中ゆえに彼の呟いた声が聞こえる筈もないのだがまるで聞こえたかのように「……俺も好きだ、……。」と寝言を呟いて )
―!?
( やはりどうしても恥ずかしいのもあるのか、一人で顔を真っ赤にしていると眠っていたはずの彼から声が聞こえビクリと肩揺らして。そろりと彼の顔を確認するかのように覗いては先程と変わらぬ顔で熟睡しており、寝言だったことがわかり。深くため息をついては聞かれたと思いさらに赤くなってしまった顔をまた胸へと埋め「〜っ、心臓に悪いだろう馬鹿」と呟いて )
──んん…、俺も一緒に寝てたのか。
( 自身の寝言で彼の顔が真っ赤になった事など露知らず、ふと徐に薄らと目を開き。ふぁあ、と大きな欠伸を洩らしつつ、気が付けばいつの間にか抱き付いて一緒に眠っていたようでぽつりと呟いて。起き上がろうにも未だに自身の胸に顔を埋めている様子に寝ているのだと勘違いしていて、眠りの邪魔をする訳には行かず起こさぬよう動かずにじっとしており )
―…起きたか、国永。
( 彼の寝言にまで顔を赤らめていることなど知る由もない彼はすやすやと眠りについていて。顔の火照りが冷めるのを待ちつつ彼の心音を聞いていると不意に先程とは違いしっかりとした声音で話すのが聞こえて。もぞりと身体を動かし彼の顔をじっと見ては上記延べ )
…ん?ああ…って、起きていたのか。
( 身動き一つもせずに同じ体勢で未だに勘違いしたまま腕の中で寝ているであろう彼が起きるのを待つ。――だったが、もぞりと身体を動かし此方の顔を見るなりそう口にした言葉を聞いて上記のように返しては「いやまさか、気付いたら俺まで寝てしまうとはな」と苦笑混じりに続けて )
お前より少しまえに目が覚めたんだ。
( ふわりと欠伸を洩らしつつ彼の言葉に耳を傾けていては今先程目が覚めたばかりだという事を告げて。「いいんじゃないか、眠れる時に眠っておけ。疲れが溜まるより余程いい。」と続け微笑んで )
なんだ、そうだったのか。…まっ、それもそうだな。
( どうやら自身が眠っている間に起きていたらしく、てっきりまだ寝ているのかと勘違いしてたようで。彼の言う通りこの状況下で眠れる時に眠らなければ、いつ政府の襲撃に合うか分からない為に身体を休めるのも大事なことでそう告げては一度彼から離れむくりと上体を起こし )
…随分と長い間寝ていたんだな、すっかり夜だ。
( 彼が離れてから漸く外の景色を見ようと視線を動かすと先程まではまだ明るかった空も既に暗くなっており。自身はやはり食欲が湧かないが、彼はお腹が空いたりしていないのだろうかと思えば「国永、俺は平気だから何か食べてきたらどうだ?夕餉の時刻は少し過ぎてるがなにか厨にある筈だ」と続けて )
ああ、ならそうするかねぇ。
( ぐぐっと天井に向けて両腕を上げ伸びをしては彼の言葉で自身も外の景色を見る為に一度其方へと視線を動かし、真っ暗な空を眺めつつ自身達の分の夕餉は適当に厨に残してくれているだろうと思い。再び彼の方へ視線戻せば少し腹も空いているのでその言葉に頷いて上記を返すと立ち上がり「じゃあ、適当に食べてくる」とそう言って手入れ部屋から出て行き )
( 彼が部屋から出ていったのを見送ると静かになった部屋がいつも以上に広く感じて。眠ったからといって傷が治るわけでもない、まだ熱を持つ傷口は鈍い傷みを含んでおりそっと手を添えて。下手したら熱が出るかもしれないなと思えば小さく舌打ち零して。自身が動けない間、何も無ければいいがと思いながら再び来た眠気にそのまま意識を飛ばしては眠りについて )
( 手入部屋を出た後、彼と別れて少しの空腹を満たすべく遅めの夕餉を済ます為に言われた通り厨へと暗い廊下を進んで。厨に着くと早速何か腹に入れるものが無いかと漁り始め、冷蔵庫には恐らく自分と彼の分の料理がラップされていて。それらを取り出すとお盆に乗せて居間へ持って行き、其処で落ち着いて料理を食べ始め思えば独りで食事をするのは初めてだと感じて。あまり腹も減っていない為、早く食事が済んで再び厨に行けばもう一度彼の様子を見ようと手入部屋に戻り )
っ…う、
( 予想していた様にやはり熱が出てきては寝付ける訳もなく、眉を寄せ。怪我をすれば熱が出るのは仕方ない事だとはいえ、火照った身体は汗を流すため煩わしく思えて。弱っている時は何処までも弱気になってしまうのか、彼が居ない今がとても寂しく心細く思えては掛けられていた毛布を握り締めて「…国永、」とまるで助けを求めるかのように呟いて )
…っ熱いな。熱を下げる薬はあったか…
( 部屋の前に着くとスーッと静かに襖を開けて中を窺えば、どこか苦し気な表情にも見える様子に後ろ手で一度閉めて。傍まで近寄りその場で腰下ろすと徐に彼の額に手を当てて、案の定酷い熱を発症しており既に持ってきていた水桶にタオルを浸して絞りそれをゆっくりと乗せ。医療関係に詳しい薬研に任せっきりだったが故に何処に何があるかも分からずぼそりと呟いて )
ん…、そこの棚に無いか…?
( 熱によって体温は酷く上がっており視界と頭はぼんやりとし、徐ろに額に当てられた彼の手が冷たく感じて。既に用意されていたのだろう、冷水に浸され絞られたタオルが額に乗せられるとひんやりと心地よく感じては、ほっと息を吐き。彼の呟きが耳に届いては側にあった棚を指さし、薬研が以前そこから薬を出していたのを思い出したようでそう言って )
ここか?──…あったぜ。あとは水を用意すればいいだけだな、少し待っていてくれよ。
( 此方の呟きに反応したかのように側にあった棚を指差しそう言う彼の言葉に、従うままに棚の引き出しから結構な数の薬が入っており。この量ならば暫くの間薬が底をつく事は無く、取り敢えず風邪薬を取り出すも次に必要なのは水で。再び立ち上がると水を取りに行く旨を伝えてから一度部屋を出ると数分後には戻って来れば、ゆっくりと彼の体を支えるように起こしてやり )
…何から何まですまないな
( 自身の言葉に従い薬を見つけ出してはすぐに戻ると言葉を残し水を取りに一度部屋を出た彼を見送り。ズキズキと頭を鈍い痛みが襲い悪寒や節々の痛みもあるのかそれら全てが煩わしく眉を寄せて。しばらくして彼が戻ってくると身体をゆっくりと起こされ、何から何までしてくれる彼に申し訳なさそうに眉を下げ。出された薬を飲めば「……苦い」と眉寄せ苦笑を浮かべて )
なに、気にする事はないさ。…俺にはこれくらいの事しか出来ないからな。
( 背中に腕を回して辛くならないよう支えつつ申し訳無い様子で言うその表情に、首を横に振り彼とは対照的に柔い笑みを浮かべ。それ以前に彼と一緒に月見酒をした次の日は飲み過ぎで二日酔いになった時も、こうやって自身がしたように世話をしてくれた。その時の礼も含めてか上記を述べ、ふと手渡した薬を飲んで苦かったらしく苦笑を浮かべる姿見ては「はは、薬だからなあ…。まあそこは我慢してくれ」と流石に自身とて薬をどうこう出来る訳もなく眉を下げて笑み )
はは、頼れる奴だ。
( 背中に腕を回されるだけでも楽なようでほっと息をつき。何とか苦い薬も飲み終えるとまた横になるためにゆっくりと支えてもらいつつ身体を横にして。それから彼の方を見ては「国永、今だけでいい。此処に居てもらっても構わないか」と続けて )
ああ、勿論さ。何なら今だけとは言わずにずっと長谷部の傍に居るぞ?
( 再び横になる彼の身体を支えてやれば額の上にもう一度冷水に浸したタオルを乗せて、ちらりと此方を見るその顔を眺めつつこの時間帯は特にやる事も無ければ手持ち無沙汰で。後は寝て朝を迎えるだけの事故に快く了承すると上記を尋ね )
ふふ、じゃあそうしてもらおうか。
( 身体を横にしては彼が額へと再びタオルを乗せられると、ひんやりとする心地に目を細めて。自身の言葉に快く了承してもらえば僅かに微笑み上記を述べて。体調が思わしくない今、いつもに増して一人が寂しく感じるのか彼の手をそっと握って )
長谷部もちゃんと甘えれるじゃないか
( 不意に握られた手に此方からも包み込むようにして握り返せば先程聞いた言葉に甘え下手故に甘え方を知らないと言っていたが、自身に此処に居て欲しいというのも一つの甘えであり。思わずくすりと笑みを零しつつも敢えて揶揄い言葉を選んで )
なっ…!だが、こんな事はお前にしかできないから…仕方ないだろう。
( まさかこれが甘えているという事になるとは思っていなかったのか、彼の言葉を聞けば熱を帯び赤い顔もさらに赤くなって。しかしこんな姿を見せられるのも恋人である彼だけであって気恥しそうに視線をおとしてはそう言って )
そうだろうな、むしろ俺以外の奴にそんな事をしたら妬くぞ。
( 自身の言葉一つで熱を出している事もあって元々の赤い顔が見る見る内に更に赤みが増して、可愛らしい反応が返ってくればくすりと笑みを零すとこんな姿は出来れば誰にも見せたくないと思っている為、彼の性格を知っているが故にそんな事はしないだろうが確実に嫉妬すると言って )
他人に嫉妬するお前も見てみたいものだが、生憎そんな趣味は無いんでな
( 感情豊かな彼が、嫉妬するとはどんなものなのか興味がわくところではあるもののわざわざそんなことをするような趣味などなく。薬による眠気と彼がそばに居ることもあるのか安心しきった表情でウトウトとし出せば「国永が隣にいるなら悪い夢も見ないで済みそうだ」と続け )
…よし、一緒に寝よう!こうすりゃたぶん悪夢も見ないかもな
( 先程と打って変わり安心した様子で眠そうにウトウトとし始めた彼を見れば、これ以上話し込むわけにもいかず前に眠ると悪夢を見るとかそういう話を聞いた覚えがあり。夢見が悪いといい気分とも思えず眠れる時に寝るのが一番良いわけで一目を気にする事なく、突然布団の中に潜り込んでくるなり彼の方を向いて上記を述べれば微笑んで )
―!それはそうかもしれんが…せ、狭いだろう…?
( 突如彼が布団へと潜ってきては驚きを隠せない様子で目を瞬かせ。しかしそれよりも、彼と距離が近い事に恥ずかしいのか視線合わせることなく上記述べて。しかし熱によって寒気のする身体には彼から伝わる体温も心地よく感じるようでしばらくしてこの状況に慣れては「国永は温かいな、ほっとする」と微笑んで )
だったら、俺の体温で長谷部を温めてやろう。…どうだ、温かいだろ?
( 一枚の敷布団に自身が無理矢理布団の中へ潜り込んだ上に、大の男が二人で一緒に横になった状態は狭いわけがなく。急に此方が入ってきた事に対して恥ずかしさから視線が交わる事も無かったものの、この状況に慣れたのかそう口にする彼の言葉に布団の中でそっと手に触れて。やはり熱によって指先は冷たく、少しでも身体を温めた方がいいと唐突に優しく彼をぎゅっと抱き締め )
…っ!ふふ、ああ。とても温かいな。
( 自身の零した言葉を聞いて此方の手に触れたと思えばそのまま流れる様に優しく抱き締められて。先程よりも更に温かい体温を感じては此方も抱き締め返しては微笑んで上記述べて )
……長谷部、愛してる。
( 此方が抱き締めると彼の方からも同じようにして優しく抱き締め返されては、冷たい身体だったが自身の体温で包み込んだお陰で徐々に温かくなって。やはり二人きりで触れ合える時はとても幸せな時間で彼を独占できるのも嬉しく、ぎゅう と背中に回した腕に少し力を込め愛おしげにそう言って )
ああ、誰よりも愛している。
( お互いの体温を感じるように抱き締めあっていると、おもむろに彼の口から愛を告げる言葉が聞こえて。じわじわと心まで満たされていくような心地に幸せそうに微笑んでは上記を返し )
こんなにも幸せで胸がいっぱいだ。本当にきみを好きになって良かった。
( 互いに愛を告げ抱き締めあっていれば、目を閉じて甘えさせようとしていたのもまるで自身が彼に甘えるかのように胸元へと顔を埋めて。その状態が数分間続いて、徐に彼から身を離しては一瞬だけ見つめると軽く触れる程度に唇に口付け此方も幸せそうに笑って )
ん、俺もだ国永。この刃生の中で幸せだと思える日が来るなんて思っていなかった。
( 甘える様に自身の胸元に彼が顔を埋めては優しく抱き締めてやり。徐に離れたと思えば次には唇へと口付けをされて。闇に堕ち、主を恨むばかりの日々に終止符が打たれたかのように今ではこんなにも幸せなのが信じられないようなものでそう言って )
ああ、だから……こんな日々がずっと続けばいいのにな。
( 今までの事を思い返すだけで沸々と主に対する幾つもの感情が溢れ心と身体に傷を負ったのは 一生忘れるはずもなくて。しかしそれでも、愛する恋人とこうした幸せな時間を過ごすと何もかもが忘れられ視線を外せば本心から上記の言葉をぽつりと呟いて )
…、そうだな。
( こんな幸せな日々が続けば、そう呟いた彼の言葉に上記を返しては胸元に顔を埋めて。政府から敵視されている今、平穏な日々を過ごすという事にも限界はある。それでも、望むことくらいは許されるだろうかと思い目を閉じて )
…、少し話しすぎたか。これ以上、長谷部の体調が悪化するのは困る。今日はもう寝ようぜ
( 本当の意味で彼との幸せな日々を過ごす為にも、未だに政府と争う事にそろそろ決着をつける必要がある。争うことなく説得で解決出来ればそれに越した事はないが…と思いつつ自身の胸元に顔を埋める彼にそう述べて )
…ん、そうだな。おやすみ国永。
( これ以上話を続けるのは正直きつく感じていたところで。そろそろ休もうと提案する彼の言葉に素直に従えば、挨拶を交わしそのまま眠りについて )
( 抱き締めたまま深い眠りに落ちれば小鳥の囀りが耳に届くと薄らと目を開けて、もう朝かと思いながら隣の彼から身を離して上体を起こし。ぐぐっと伸びをしながら欠伸を一つ、朝餉の前に少し外の空気を吸おうと重い腰を上げ静かに部屋を出れば庭先へと赴き )
ん…っ、国永…?
( 熱と怪我により体力を消耗していたのか、鳥の囀りさえも耳に届かぬほどに熟睡しており。不意に、彼が離れた事で温もりがなくなったせいか、ふるりと身体を震わせると薄らと目を開けて。ぼんやりとした視界の中に、彼の姿がないことに気付けば視線を動かしその姿を探して )
近頃は段々と寒くなってきたなあ…。
( 草履を履き玄関から庭先へ出れば朝方は気温が低い為にふるりと小さく身震いをし、はあ…と白い吐息を吐いて。その後、両手に息を吹き掛け擦りつつ暖めると空を仰げばぽつりと呟き。彼が自身を探しているなど露知らずに暫くその場に佇んでいて )
…―っ、
( 自身より先に起きた彼は何処かに行ったのだろうと思い。目が覚めてしまっては寝るにも眠れなくなり、寝てばかりも身体に悪いとゆっくりと身体を起こして立ち上がるも急に身体を動かしたせいか、ズキリと傷口が痛み息を詰まらせて。廊下へとなんとか出ていけば、顔でも洗いにいこうかと洗面所へと向かい。羽織るものを忘れたせいで寒いのかふるりと身体を震わせ「それにしても冷える…顔を洗ったらさっさと部屋に戻るか」と呟いて )
おはようさん、長谷部。体調はどうだ?
( 無言で空を眺めていればあまりの寒さに耐えかねたのか両腕で身体を包むかの様に擦りながら本丸の中へと戻っていき。ついでに顔を洗いに洗面所に向かう方向の廊下を歩いていくと、前方に彼の後ろ姿を捉え歩く足が速くなれば軽くぽん、と肩を叩いて笑みを浮かべつつ問い )
!国永、おはよう。
( 洗面所に着くと同時に背後から肩を叩かれそちらを見ては彼がいて。ぱっと笑顔になれば具合を聞かれ「傷口がまだ痛むが、熱は下がったみたいだな。お前のおかげだ、ありがとう」と続けて何から何まで世話してくれたことに礼を述べて )
そうか!それなら良かった。…はは、俺は大した事はしてないぜ?…だが、どういたしまして、だ。
( 昨日に比べると彼の顔色も悪くはない上にどこか苦しそうな様子も見られず、その言葉を疑うわけではないが一応確認の為に冷たい手を額へと伸ばし当てて。言葉通り熱は下がった事が分かり手を離してほっとすれば笑顔で上記を述べ、続け様に礼を言われれば殆ど傍にいただけで特別何かをしたわけでもない為、そう言うものの何を思ったのか彼の礼を受け取り )
( 笑みを浮かべ彼の言葉を受け取ると、ここで長話をしていてはそれこそ二人共風邪をひいてしまうと「さぁ、顔を洗って準備をしたら朝餉の時間だ」と告げ。顔を洗うと、怪我人とはいえ寝着のままで歩き回るのはダメだろうと一度部屋に戻ることにして )
ちょっと待ってくれ。自分の部屋に戻る前に一度包帯を巻き直した方がいい。
( その言葉に頷きかけると熱が下がったところでまだ傷は治ったわけではないため、慌ててさっと顔を洗えば彼の格好を見るに恐らく自分の部屋へと行くだろうと思い。その前に怪我の手当てをし直した方がいいと考え、目の前の彼を引き留め )
ん?…それもそうだな。
( 部屋へと戻ろうと歩き出した途端、背後から慌てた様子の彼が引き留めに来て。着替える前に一度包帯を巻き直した方がいいという言葉に、確かに血が滲んでいる汚れてしまった包帯をそのまま使うのは衛生的に悪いだろうと頷いて )
それじゃあ、手入れ部屋に行くか。早く手当てを済ませて飯にしようぜ。
( 自身の言葉に納得したように頷いたのを見ると彼の横まで歩み寄れば昨日は一日中安静にしていてろくに食事も取ってはいない為、流石に空腹だろうと思って上記を述べるなり手入れ部屋の方向へと先に歩き出して )
ああ、そうだな。腹も減った。
( 先に歩き出す彼について行けば、昨日から水以外を口にしていなければさすがに腹も減るようでそう言って。手入れ部屋へと着けばその場に座り寝着を一度脱いでは包帯を変えてもらうのを待ち )
これで……よしっと。巻き終わったぞ。
( 自身も手入れ部屋へと入れば、棚の中にある救急箱を取り出すと彼の元に戻るなりゆっくりと包帯を取り外していきつつまだ治らぬ傷口に自然と眉が下がり。その後、救急箱から新しい包帯を取ってはそっと傷口を刺激せぬよう巻いていけば離れて )
ありがとう、助かった。
( 包帯を巻き直される間、じっとしており。それも終わると彼へ礼を述べて寝着を着直しゆっくりと立ち上がると「俺は1度着替えてくる。」と伝え手入れ部屋を後にしては自室へと向かって )
ああ、分かった。先に行ってるぜ
( 手当ても終わりゆっくりとその場を後にする背中へと上記の言葉を伝えては、出しっぱなしの救急箱を元の場所に仕舞うと内番服のまま手入れ部屋から出ていき。その足で広間に向かえば既に集まっている仲間たちに挨拶を交わしつつ適当な位置に座って待ち )
( 自室へと戻ると、寝着を脱いでは動きやすく傷口を圧迫しないだろうということも考えて内番着であるジャージへと着替えて。部屋を出て廊下を歩き広間へと入ったと途端に心配していたのだろう、続々と仲間たちに声を掛けられ。「迷惑をかけた」と告げ先に座っていた彼の隣へ座り )
……。なぁ長谷部。ここから逃げないか、
( この場に全員集まり手を合わせ挨拶をすると早速食事にありつくが、徐に箸を動かす手が止まると隣で一緒に朝餉を摂る彼の方へ視線を向ければ唐突に口からそんな言葉が零れて )
…は?
( 皆と共に言葉を交わしながら食事をしていると、徐に隣に座る彼がここから逃げ出そうなどと聞き間違えかと疑うような言葉を口にして。進めていた箸も止めてはその真意がわからないのか、眉を寄せて、ここに居る仲間を見捨てて自身たちだけどこか遠くに逃げるという事なのだろうかと「それは…俺たちだけ、助かろうと…そういう意味か」と続けて )
いやいや、違う違う!!…すまん、今のは俺の言い方が悪かった。
( まさかここから逃げ出すのが自分たちだけという意味合いに取られた為に、ぱちぱちと目を瞬かせ首振れば思わず声を上げて。それまで楽しく食事をしていた他の皆の視線が一気に此方に集中すれば「…あっ、悪い。吃驚したよな」と申し訳無さそうに謝罪の言葉を述べて。その後、再び彼の方へ視線戻せば「もちろん全員で逃げる。ここに居たら気が休まんだろ?…それに俺の考えだけで動くのは得策じゃあないしな、だからきみの意見を聞こうと思ったんだが…。」と真剣な表情で言葉を続けて )
ははっ、なんだ俺の勘違いか。
( 自身の考えていた意見では無かったようで何処かホッとした表情浮かべて。今まで支えあっていた仲間を見捨てるなどという話、そもそも鶴丸のような者がする訳もなかったと上記述べて。皆の視線を一斉に集めた後に詫びを入れ、再び話に戻るのを見ては「なるほど、そういう訳か。そうだな…少人数とはいえ一度に動けば流石に政府も気付く。夜に動いたほうがいいだろう、夜目が利かない奴らは夜目の利く奴らと行動する。俺達は政府が追っていかないかを監視し最後に動く…というのはどうだろうか。」と自身の意見を出してみて )
確かに、政府の事を考えればその方がいいな。
( 彼の意見に耳を傾けつつ考える素振りを見せながら此方に聞いてくる様子に、相手はあの政府だ。下手な行動が出来ない上、お尋ね者故に白昼堂々外に出る事も儘ならない。だとしたら動くのならば夜の間しかなく、その意見に対して賛成の意を示すように頷いて。逃げるにしても何処に逃げるかは自分でも考えていなかった為、「あとは何処に逃げるかだが……遠くの方がいいよなぁ」とうーん、と唸り声を発して )
ああ、遠く人目にあまりつかない場所がいいだろう。
( 自身たちがいなくなったと政府が知れば、探し回るだろう。遠い場所へ逃げておけばそう簡単に見つかるはずもない、ここにいる皆が怯えること無く安心して暮らせる人里離れた静かな場所。そんな所があるかどうかは分からないが一度これは皆に聞くのが賢明だろうと思い「まあ、俺たちだけで決めることは出来ない。皆に聞いてみよう」と続け )
まあ、そうだよな。…っと、その前に先ずは朝餉を食ってからだ。話はそれから、だな。
( 毎度のことながら勝手に自分たちで何もかも決めるわけにもいかず、こくりと頷いてはまだ食事の最中だったことを今更気付き多少冷めてしまった料理を一瞥した後、彼にそう告げ。慌てることなく箸を動かしゆっくりと咀嚼しつつ何処か良い場所は無いか、とぐるぐると思考を巡らせ )
( 彼の言葉に頷き、先に食事を済ませようと再び箸を進めて。食事をしている最中も先程の話を思い出していて。ぼんやりとしすぎていたのだろうか、隣にいた鯰尾に大丈夫かと尋ねられるとハッとした様子で何も無いと答え。それから食事を終え、少しゆっくりとしながらお茶を飲み )
――よし。皆、朝餉は食べ終わったな。少し時間を貰ってもいいかい?今から話す事はきみ達にとっても大事なことなんだ。そう時間は取らせんさ。
( 自分も食事を終え周りの者達を一瞥すると、全員朝餉を食べた後だったのでその場から立ち去る前にと考え、楽しく会話する中に突然輪に入るかのように先程彼と意見交換したあの内容を話す為に上記を述べる表情は真剣な顔付きで。「単刀直入に言うと皆でこの本丸から逃げようと思っている。ここに俺達が居る限り政府は処分するまで必ず来るだろう、いつでもここに留まり続ける理由もない。…皆はどう思う?ぜひ意見を聞かせてくれ」と続けて話していき )
…。
( 周りの会話に割り込む様に先程彼と話していた内容を早速話し出す彼をじっと無言で見ていて。突然の話題に、一同騒然するも少しずつ意見が出てきて。逃げ出す際の案はどのようなものが考えられているのか、と問われると横から入るように「それについては軽く考えている。」と先程彼に話した内容を再び話し始めて。それを聞いた上で考えてもらおうと思い )
……どうだ?皆にとっても悪くない話だろ?まだ何処に逃げるかまでは考えていないが…。
( 此方の話を聞いた上で質問してきた内容には代わりに彼が返答を返してくれて、政府の監視下にある居心地の悪い場所にずっと居続ける必要も無い皆の反応は様々ではあるが、話し終えた彼の言葉に続くよう上記を述べて。あとは自分たちの提案に乗るかどうかを口を閉ざして皆の答えを待つ形でおり )
恐らく、政府の目の届かない場所となれば歴史修正の起こっていない時代などになるだろうが生憎この本丸は過去に戻れるような機能などとっくに停止している。それにそのような大きな動きがあれば政府は気付くはずだ。
( 政府の目が届かない場所、そんな所がすぐに見つかるわけもない。過去に戻り政府から逃げる手もあるのではないか、という質問を聞いてはそれは無謀だと告げて )
他の本丸に匿ってもらう…ってのは無理、だよなぁ。
( 自分たちを中心に次々と意見が交わされる中、政府の目を掻い潜ろうにも監視の行き届かぬ場所など限られ。簡単に良い隠れ家があると思っていなかった為、皆の声に耳を傾けつつ考えを巡らせ過去に戻れないとなれば残す手はどこかの本丸に少しの間だけでも身を隠す手助けをしてもらう事しか思い付かず眉を下げつつぽつりぽつり、 と )
…さあな、少なくともそうするのであれば俺達のこの状況を理解してくれる者がいなければいけないな。
( もし、そんな本丸が存在するのであれば喜んで身を寄せるだろう。しかし都合よく、そんな場所があるのだろうかと悩んで。主に虐げられ、その結果が今の自身達。理解してくれるのかどうかも不安でいてはいつも以上に難しい顔をして )
…まあ、そうなるよな…。
( ちらりと見た瞳に映った表情は、いつも以上に難しい顔をする様子に小さく溜息を吐き。自然と表情は曇りはじめ、今すぐにでもこの場所から逃げ出したいと思うものの匆々都合の良い隠れ家など見つからず。しかし、それでもこのまま悩み続けていても良い案は出てこないと考え「この話は一旦止めだ、解散してくれて構わん。俺の話に付き合ってくれてありがとうな」と柔い笑みを見せ )
( 仲間たちが解散し、いつの間にか二人きりになっており。どうしたものか、と未だに悩んでいて。「もう誰も居ない本丸があったとして、そこに移り住んだとて足が付くだろう。人目を騙せるような場所…空間の歪みが大きな場所は神隠しに逢いやすいと聞く。それを逆手に利用するのはできないだろうか」と告げて )
……神隠し、か。成る程な、今を思えば利用できるもんはできる限りさせてもらいたい。
( しーん、と静まり返った広間に自然と横の彼と二人きりで先程自身が発言した内容で頭を悩ませ、ふと徐に新たな提案を口にする話に耳を傾ければ小さな声でぽつりと呟き。今の現状を考えると自身の思案も当てにならないものばかりゆえ、いいのではと思えば返答を返して「…だがそんな場所はどこにあるんだ?」と尋ね )
/新年明けましておめでとう!去年はいっぱい俺と話してくれてありがとうな。返事が遅い時の方が多かったのにそれでも待っていてくれて、こんなにも長くきみとやり取りが出来て嬉しかったし楽しかったぜ。今年はあまりきみを待たせないようになるべく早く返そうと思う。…まあ、そう言って遅くなる時は許してくれ( 苦笑/頬ぽり )
ここまで俺で伝えさせて貰ったのは背後が人見知りで口下手なもんでなぁ。そこは多目に見てやって欲しい。
とりあえず、言いたい事が言えてすっきりした。今年もこんな調子だが背後共々宜しく頼むぜ!( にい、 )
確信できる話かは定かではないが、以前に書物でその様なものを見た。人が踏み入れていない森などにはそのような場所があり、政府も避けていると。実際には時空の間に迷い込むようなものらしい。
( そんな場所は何処に、という問いに以前書物庫でそのような情報が書かれていたのを読んだことがあると上記を述べ簡易的に説明をして。「しかし、前例がある訳でも無い。何があるかも分からないのが本当のところだ」と心配である部分もあると告げ )
/連投すまない、明けましておめでとう。こちらこそ俺の相手をしてくれている事、感謝している。待つことは得意だからな、それにお前が必ず帰ってくることを信じているから待てるんだ( 微笑 )遅くなっても気にするな、俺も時々あるからお互い様というものだろう。
気にしないでくれ、俺の方こそ今年も背後共々よろしく頼む。
…こりゃまた、皆に相談した方がいいな。流石にこればかりは俺達で決める訳にもいかんしなぁ。
( 此方の問いに簡易的に説明してもらうとその情報は前例がなく確信できる話でもない。全部を鵜呑みにする訳ではないが、政府も避けている場所に行けば助かる可能性も僅かにありそうで。しかし、彼の言うように何があるかも分からない所へ仲間を危険に晒すなど出来ればしたくはない為、無責任な事は言えず悩ましげに )
ああ、その先に何があるのか分からない。若しかしたら今よりも危険になるかもしれない、皆にまた聞いた方がいいだろう。
( 彼の言うようにこの件は自身たちの独断だけで決めれるような話題ではない。もう一度仲間たちにこの件について話をした方が賢明だと頷いて。ここにいても何かが変わる訳では無い、一旦この話はやめることにして食器などを片しては自室へと向かいゆっくりと過ごすことにして )
( 彼と厨で解散し、各自自由に過ごす事になり毎度自室に引き篭る生活故に玄関先へ足を向け。外に出れば人間の気配は感じず空気を吸えば空を見上げ、以前買い物に彼と町へ出掛けた時とは大違いでやはり澱んだ空模様に思わず苦笑を漏らし。気分転換がてら本丸の周辺を散歩するように歩き始め )
分かった、分かったからついて来なくていい。
( 自室へと向かう途中で、前田と平野に出会うと早く部屋に戻って安静にしていろと言われてしまい。ついでに書庫に向かおうと思っていたがお目付役が二人も居てはどうすることも出来ない上に、彼らは心配してそう言ってくれているのでその気持ちも無下にはできず。結局部屋に戻り布団の準備をされそこになるまでそこに居て、誰もいなくなった部屋で一人溜息をつき「…退屈だが、仕方ない」と諦めて )
( やがて周囲を歩き回り、ヒュウと吹く風にぶるりと身震いしてはそそくさと中へ入って。次に向かうは書物庫、数分前に聞いた話が気になり廊下を進んで曲がり角を曲がると奥に目的の場所があり。ゆっくりと戸を開け壁に備え付けのスイッチで電気を付ければ、神隠しや空間の歪みに関連した本を探すように手に取ってはペラペラと捲りの繰り返しを行い )
…ん、
( 結局そのまま眠りについていたのか、次に目が覚めた時は昼過ぎで。横になってばかりでもあまり良くない、身体を起こしては水でも飲みに行こうかと部屋を出て歩き出し )
これの事か、長谷部が言っていたのは。
( 書物庫にて例の本を探し続けること約数時間が経った頃。部屋の中は本棚が多く苦労しながらも漸く一冊の本を片手で取り、適当にペラペラと捲れば気になる文章を発見し。それは彼から聞いた事と一致しており、その本を持ったまま直ぐ様書物庫を後にして部屋に向かい )
( 厨で水を飲んでは少し本丸内を歩いてみようと思い。廊下を歩いていると、珍しく本を手にしている鶴丸の姿が視界に入り。これといった用などないが、声をかけることにしては「国永、お前が読書とは珍しいな」と歩み寄りつつ声をかけ )
長谷部。…ああ、実は_きみが話してくれた事が気になって調べていたのさ。
( 自身を呼ぶ声と共に歩み寄る彼の姿を視界に入れるとピタリと足を止め。基本的に自ら書物庫に赴くような事もない為、何故立ち寄ったのか訳を話しては手に持っている本を見せて )
成程。俺たちだけの口頭で説明するよりも皆にも一度見てもらった方がいいだろう、お前が読んだあとにでも広間に置いておけばいいさ。
( 彼の手に持っていた本は先程自信が話をしていた書物だったようで。いくら記憶力に自信があるとはいえ、もし万が一説明が間違っていたら、という杞憂もあった為にそうしてもらった方が良いと思い。後で本丸の皆にも理解してもらいやすいように目を通してもらうことにしてはそう告げ )
ああ、わかった。じゃあ俺は部屋で本でも読んでいるから、何かあればいつでも呼んでくれ。
( 最初からそういうつもりだった為、こくりと一つ頷けば暇潰しにゆっくりと自室で書物庫から拝借した本を読もうと思い。上記の言葉を述べ、彼の横を通りすぎてひらりと片手を振ると部屋に入ろうとし )
…待て国永。読書の邪魔はしない、その…そばに居てもいいか?
( 用を済ませ、横を通り過ぎる彼を視線で追い。部屋に入ろうとした彼の袖をクイッと軽く引っ張れば一人で過ごすよりも彼の隣に居たいと僅かに頬を染めそう言って )
もちろんいいさ。…外は冷える、さあ中に入ってくれ。
( 襖に手を掛け今にも部屋の中に入ろうとしたところで、袖を引っ張られ自然と其方を見遣れば頬を染めつつ一緒に居たいと言われて。その姿に可愛いな、と思いながら笑顔で答えれば襖を開け先に部屋へ入るよう促して )
ありがとう、それでは失礼する。
( 自身の頼みを嫌な顔ひとつもせずに笑顔で了承してくれる彼にこちらも自然と笑みを零し返して。その言葉に甘えるように先に部屋へと入れば適当な場所に正座して )
別に正座じゃなくていいぞ。足が痺れるだろ?
( 彼の後に入れば後ろ手で襖を閉め、自身も適当な場所に胡座をかいて座り。自身とは対照的に背筋を伸ばし正座する姿に、長時間足を崩さずに居れば辛いだろうと思っての配慮としてそう告げ )
…ん、それもそうだな。
( 背筋を伸ばし正座をしていると、楽にしてくれていいと告げられ。それにも慣れてはいるものの、言葉に甘える事にしては足を崩し楽にすることにして )
………。
( 自身も言葉で楽な体勢をとった様子に満足げな笑みを零しては、改めて書物庫から拝借した一冊の本を開けて気になる単語や文章を中心にゆったりとしながら読み始め )
…。
( こちらも最初に言ったように読書の邪魔などをすることなく静かにしており。チラリと横目で彼を見ては、やはりこうして普段は騒ぐ彼も静かにしていると儚さが増したようにも思えて )
……、長谷部も一緒に読むかい?
( 無言で頁を捲っては読み続けると、こちらも顔を上げ彼の事を見て読書の邪魔をしないと言ったが流石に退屈だろうと思い。そちらへ近寄れば引っ付きつつゆるりと首傾げ )
…っ!―いいのか?邪魔にならないか…?
( 手持ち無沙汰にぼうっとしていると不意に彼が此方へと近寄りぴとりとひっついてきて。その行動が予測できていた訳でもないため驚きを隠せない様子のままおずおずと尋ねてみて )
俺が言ってるんだ、そう思う訳ないだろう。
( どこか恐る恐るといった感じで尋ねるその様子に一度頷けば自身から提案を持ち掛けたため、柔らかな笑みを向けて上記を述べると彼にも見やすいように再度本を開けて )
ふふっ、それもそうだな。
( 本を開き、自身にも読みやすいようにしてくれて。時々意見を交換しながら本に目を通していき。しばらくして読み終え )
――…これは後で広間に持って行くか。
( 最後の頁に行きつきパタンと本を閉じ自身の横に置いてそう言うと、やる事も無くなり畳みの上に背中から倒れて寝転がり )
国永、そのまま寝たら風邪をひくぞ?
( 本を読み終えると退屈になったせいか横になるのを見ては、苦笑を浮かべつつそう言って。ふとおもむろに彼の髪を手櫛で撫ぜてみて )
…ん、寝ないから大丈夫だ。
( 横になったが特に意味はなく天井を見詰めるも、髪を撫でる感覚に双眸を細めつつ今のところ眠気はない為か彼の方へ視線向けて見上げる形で そう言ってみせ )
ふふ、そうか。
( 髪を撫でてやると気持ちよさそうに目を細める姿に笑み浮かべ。こうしたゆっくりとした時間がずっと続いていけば、と思い )
長谷部もどうだ?
( 撫で受けつつも、見上げたまま両腕を広げて笑みを浮かべながら彼に寝転ばないか、なんて尋ねればじーっと見て )
あれから具合が悪くなったりしてないか?
( 横に寝転がったのを見れば、彼の方へ身体を向けると今朝の様子を思い出しあれから暫く時間が経ったので少し心配なのか聞いてみて )
ん?ああ、平気だ。
( 横になるとこちらの具合を気にしているらしく尋ねられては同じ様に彼の方を向いて。「この調子ならもう走り回れるかもしれないな」と冗談交じりに微笑んで )
ははっ、そうか。ならよかった!
( 彼もこちらを向いたことで目が合えば、冗談を言えるくらいの元気はあるそうで。思わず笑ってしまうと安心しきった表情で上記を述べれば「だったら俺と庭で走り回るか?」と冗談に冗談を重ねて )
ふっ、俺の機動をなめてもらっては困る。
( まさか庭で走り回るのか、それを見た仲間達はきっと驚くだろうと思いクスクスと笑い零して。自身の自慢でもある機動の速さには自信があるようで、もしそのようなことをするなら負けるつもりは無いと告げ )
そうなると、俺はきみより遅いからなぁ。
( 自信ありげに返答を返され打刀と太刀、その中でも機動力が高くて速い彼に当然自分が敵う筈もなく眉を下げて笑み。しかし、ずっと本丸内に篭ってばかりではあまり身体に良いとも言えず「退屈だから外に出て身体を動かすか!部屋に居てばかりは良くないだろ?」と尋ねて )
ん?それは別に構わないぞ
( 身体も動かさずにいると鈍ってしまうのもあり、彼の意見に頷いては起き上がり。「それで?何をするんだ?」と続けて )
そうだなぁ…二人でするなら手合わせか?
( むく、と起き上がり意見を出したものの二人でとなると結構絞られる訳で、身体を動かすという意味で稽古を提案してみて )
ふむ、手合わせか。受けて立とう。
( 彼の提案は手合わせらしく、それならば二人でもできる上に腕もなまることはないだろうとその提案に乗って。それでは早速移動することにしようと告げては立ち上がり廊下へと出て )
ああ。…いやぁ、長谷部と手合わせするのは久しぶりな気がするな。
( 提案に乗ってくれた様で短い返事を返してこちらも立ち上がり、部屋の外に出ては最後に襖を閉め。玄関方面へ繋がる廊下を彼と共に歩き出しつつぽつりと呟き零し )
( 手合わせなど、いつ振りだろうかと思いつつ玄関のほうまで向かい。靴を履き替え外へと出ては適当な場所へと移動し「…よし、このあたりで構わないか?」と告げ )
おう、問題ないぜ。
( 後について行けば手合わせする為、周囲の広さを確認しては一度頷いて。続いて稽古をするならば蔵から木刀を持って来なければいけないので「じゃあ、俺が木刀を取ってくる」とそう言うと蔵のある方へ向かい )
ああ、頼んだ。
( 適当な場所で手合わせすることにしては彼が木刀を持ってきてくれるらしく頷いて。彼が戻ってくる間に軽く体を動かしていて )
持ってきたぞ、ほらよ。
( ここから蔵まで取りに行くだけでそう時間はかからず、数分もしない内に彼の元へ戻って来ては片方の木刀を差し出し )
感謝する、それでは…始めるとしようか
( 数分後に木刀を持ってきた彼から受け取ると、早速手合わせを始めることにして。身構えては彼の準備が終わるのを待ち )
ああ。いつでもかかってきていいぜ?
( こちらも軽く体を動かした後、木刀を構えてながらここは年長者らしく先に先手を譲れば彼が動き出すのを待っており )
それでは…いかせてもらう!
( 先手を譲られては、グッと足に力を込めそのまま駆け出して。手合わせといえど手加減などするつもりは毛頭なく、彼の前へと来ては中腰になり脇腹を狙うかのように振りかざして )
はは、甘いな!
( 一瞬で目の前に来たかと思えば、脇腹を狙うのか木刀を振り翳す動きにさせまいと即座に彼の背後へと回り込み。足を崩すのが狙いなのかしゃがむと木刀で突こうとし )
っ、そう簡単に勝てると思うなよ
( 振り翳した木刀は命中せずに、それを避けた彼は自身の背後へと回って。小さく舌打ち零すとくるりと後ろを向き突いてきたと思えばそれを木刀で打ち軌道をずらして )
おっと…!やるねぇ
( 突こうとしたが直ぐ様後ろを向いた彼の木刀で打たれその反動で体勢が崩れるも、空いた片方の手を地につけ足も使い何とか耐え。立ち上がると木刀を握り直し体勢を整え、手加減はないとばかりに振り翳しつつ距離を詰め反撃を試みて )
く…っ
( 彼の反撃を木刀で受け止めては太刀と打刀その力の差に押され気味になり。だからといって負けるつもりもない為にこちらも応戦して )
遅い遅い!
( こちらが少し優勢の様で木刀同士で互いに打ち込みながらも、勝敗が決まらぬまませめぎあって。やや後方に下がると、彼の持つ手から木刀を落とすのが狙いでそれを仕掛けようとしていて )
( 彼が自身の手から木刀を落とそうとしたのに対して僅かに反応が遅れたのが致命的だったのか。しまった、と思った時にはもう遅く手を打たれてはそのまま木刀を落としてしまい。悔しさを顔に滲ませてはこのまま負けたくないのか足技で彼の持つ木刀を落とそうと狙い )
よし、これで俺の勝ち――……っ!
( 見事に彼の手から木刀が落ちると狙っていた為に、これで勝負あり!と言わんばかりに悔しげな長谷部とは対照的に勝ち誇った様な笑みを浮かべ。勝った事が嬉しい様で上機嫌の様子露にすれば、勝負は終わったと思っていた為か彼の行動に気付かず繰り出された足技で手に持つ木刀を落としてしまい )
ふっ…はははっ、これでは勝敗がつかないな
( こちらが繰り出した蹴りに気付かなかったようで、木刀を落としてしまったのを見ては思わず笑いが零れて。これではどちらが勝ったのか判断出来ず )
…こりゃあ引き分け、だな。
( 勝負は完全にこちらの勝ちだと思っていた為、両者共に木刀を落としたので久々の手合わせは決着がつかぬまま終わる形となり。同じくはは、と小さく笑えば地に落ちた木刀を拾い )
だが、国永の腕は流石だな。力強く、それなのに動きは軽い。
( こちらも落としてしまった木刀で拾えば彼の腕前は流石なものだと褒め称えて。久しぶりに手合わせをし、色々と再確認もできたので引き分けではあったが良かったと思い )
そりゃどーも。長谷部の腕も中々だったぜ。
( 稽古が終了した途端、自身の腕前に対し称賛の言葉を並べられ顔を見れば分かる通り嬉しげな表情をして。こちらも彼の実力は知っているが、手合わせをした事でまた違って見え褒め返しては「少し休憩しないか?」と尋ね )
ああ、そうしようか。
( こちらの腕前も褒められてはニコリと微笑んで。身体を動かし互いに汗もかいたために頷いては一度蔵まで木刀を戻しに行き )
俺は茶の用意するから広間で待っててくれ。
( 蔵に着くと、元の位置に木刀を戻せば彼の分も仕舞って外へ出たと同時に戸を閉め。その後、ここから玄関に移動して引き戸を開け草履を脱ぎくるりとそちらへ向けば喉も渇いたためそう告げ )
わかった、それでは先に行っているぞ。
( 彼が飲み物を用意してくれるらしく、靴を脱いではそのまま広間へと向かい。広間に着くと適当に座り彼が来るのを待っていて )
すまん、茶請けが無いか探していたら遅くなった。
( 厨に来ては茶道具一色の準備すると茶請けは無かったかと棚を漁り出し、奥に箱を見つけ手に取って。箱を開けて見ると中身はどうやら饅頭の様で二つ程盆の上に載せ棚に戻し広間へ向かい。片手で襖を開けて中に入り、机上に盆を置けば向かい合う様に座って )
気にするな、ありがとう。
( 暫くすると足音が聞こえてきて、彼だと思えば襖を開け遅れてしまったことに謝られて。気にすることでもないために柔く笑み浮かべてはお茶と茶請けを持ってきてくれたことに対し礼を言い )
鶯丸のように上手くはないがな。
( 二つの湯呑みに急須で茶を注ぎ入れつつ、茶が好きな一振りの刀を思い浮かべ話の中に出すと彼の前に置いてやり。あまり茶を淹れる側ではない為に少し苦笑して喉を潤す様に湯呑みを持ち茶を啜り )
いや、お前の淹れた茶もうまい。
( 彼の淹れてくれたお茶を受け取れば早速啜り。ホッ、と一息ついては彼の淹れたお茶も美味しかったようでそう言って )
そうか!なら、淹れた甲斐があったってもんだ。
( ふぅ、と息を吐いて湯呑みを置けば、盆の上にある饅頭を取り包み紙を剥がし。自身の淹れた茶も美味いと言われて嬉しそうに笑い )
( 嬉しそうに笑う彼を見てこちらを笑み浮かべては饅頭を一つ手に取り包み紙を剥がして口に運び。身体を動かしたあとの甘味はやはり格別なようなものに思えて )
この饅頭美味いな、茶によく合う。
( こちらも一口齧ると美味さから自然と頬が緩み、疲れた時に食べる甘味は格別と言うが正にその通りで茶を飲めばほっこりとして )
ああ、それに疲れた後に丁度いい甘さだ。
( こうしてのんびりとした時間を過ごしていると、平穏な日々が約束されたようにも思えて。彼の言葉に微笑んでは上記を返し )
( 手に掴む残りの饅頭をぱくりと食べ切ると、次に茶を流し込む様に再び茶を飲み。至福の一時を過ごしながら机上に頬杖をつきじーっと彼を見て )
…ん?どうかしたか、国永。
( こちらも饅頭を食べ終えてゆっくりとしていると何やら視線を感じて。彼の方を見てはこちらをじっと見ている様子、どうかしたのかとそう訪ねて )
いや、きみの笑った顔が好きだと思っただけさ。
( 頬杖をついた体勢で居れば不思議そうに尋ねてくる姿に目を逸らさず、眼前の彼を見詰めたまま心の中で思った事を笑み向けつつ素直に伝えて )
な…っ!
( 返ってきた言葉は予想もしてなかった言葉で、それを耳にしては顔を赤くして。俯きがちに、顔を隠しては「伊達男め」と呟いて )
その照れた顔も好きだぞ。
( 見る見る内に顔を赤くした姿にくすくす、と笑い零して、頬杖をついた体勢から机の上で腕を組めば畳み掛ける様に上記を述べ )
もういい、充分だ!
( まるでこちらの反応を楽しむかのように未だに言われ続けては顔の火照りも冷めるわけなく。膝立ちすると向かい側に座る彼の口へと手を伸ばしこれ以上は言わせないらしくそう言って )
そうかい。きみはすぐに顔を赤くして可愛いな。
( おもむろに自身の口へ手を伸ばしてきたのを見れば心底楽しそうにククッと喉の奥を鳴らし、つくづく彼の反応は面白いと思い。これ以上は、本当に怒られそうだと感じて言うのを止めて赤みを帯びたままの顔を見つめ )
娘じゃないんだ、そんな言葉を言われたことなどある訳がないだろう。
( 自身はどこから見ても男だと分かるような見た目をしている。そんな言葉をかけられたことなど一度も無ければ、耐性があるはずも無く。手を引っ込めては小さく息を吐いて )
すまんすまん、それもそうだ。
( 悪びれた様子もなくけらりと笑っていつもの調子で上記の言葉を発すれば「男なら格好良いと言われた方が嬉しいもんだよな」と付け加える様にうんうん、と数回頷き )
まあ、お前の場合どちらの言葉も似合いそうだがな。
( 目の前で楽しげに笑う彼は、自身とは違いどちらの言葉も似合うだろう。黙っていれば、女だと間違えるやつもいるかもしれないと思いつつそう言って )
言われるなら格好良いのが嬉しいけどな!
( 腕の上に顎を乗せ先程彼に揶揄い言葉を言い続けたからか、今度は逆に自身ならば似合うとまで言われ、見た目の話だろうとやはり掛けられる言葉はそちらの方が良いそうで )
はは、それはそうだろうな。
( 男であれば誰しも「格好いい」と言われて嫌なものなどいないだろう。それは彼も変わらないようで、笑み浮かべ上記述べ。ふと、彼の顔をじっと見ては「…俺の自慢の恋人は格好いいな」と続けて彼の反応を伺い )
っ…な、なんだ急に。…でもきみに言われるのが一番嬉しいな。
( その返答に此方も軽く笑みを湛えると不意にじっと見てくる彼に、何だ?と思い口を開きかけたところで〝自慢の恋人は格好いい〟と言われ。いつもなら笑顔で礼を述べる余裕はあるのだが、やはり誰よりも彼にその言葉を言われるのが一等嬉しく少し頬を染めては腕の中で顔を隠し )
ははっ、先程の礼とでも言っておこうか。
( さて、この言葉にどんな反応が返ってくるのかと楽しげに伺っていると、どこか嬉しそうな表情を浮かべすぐに腕の中へと顔を隠してしまい。手を伸ばし彼の髪を撫でながら上記述べて )
…不意打ちはずるいぞ、
( 髪を撫でられつつ、彼はいつも余りあの様な褒め言葉を言う事が少ないからこそ予想せぬ時に放たれると胸がドキッと脈を打つ。嬉しいと思う気持ちは本当だが、先程までの勢いはどこへやら立場が逆転しては少し悔しいのかその状態でぼそりと呟き )
そんなつもりはなかったんだがなぁ
( 彼の髪から手を離し頬杖をついては別に不意をつこうと思った訳では無いとそう言って。しかしこんな反応を見せる彼も珍しい、たまにはいいかもしれないと思っていて )
…、急に恋人から格好良いと言われたらどきどきするんだ。特にきみだと尚更な。
( 髪を触る手が離れたと同時に漸く顔を上げ、彼の方へ視線遣ればどう見ても嘘をついてる様子はなく。すぐに目を逸らし照れ臭そうに後頭部へ手をやると掻き )
本当の事を言ったまでだ。
( やった顔を見れたと思えば目を逸らされてしまい。確かに自身もそうだが、そこまで照れるような事だったのだろうかと少しおかしく思えては思わず笑いが零れて )
わ、笑うことないだろ…!
( 此方が返事を返した後、前から笑い声が耳に届いて其方へ顔を向けると可笑しそうに笑っている姿見れば少しむっとして )
ああ、すまない。お前のそんな顔を見れるのが珍しくてな
( 笑ってしまったことに少し機嫌を損ねたような顔をされると苦笑しつつも詫びを入れて )
あ、いや!別にそこまで怒っている訳では無いからいいんだ。
( そんな顔とは恐らく赤面した様の事を指しているのだと察しがつき、確かに彼の前ではあまり見せる事はない。その為に詫びを入れられ軽く首を左右に振って「…まあ、こんなに照れた事が無いからな」と同様に苦笑し )
ふふ、珍しいものを見れたな。
( そこまで怒っていなかったらしく、ほっとしては笑みを浮かべて。程よく体を動かした後にゆっくりとした時間を過ごしていると眠気も来るようで欠伸を漏らし )
眠いなら昼寝してもいいぞ。
( 話にも一旦区切りがつき欠伸を漏らす様子に気付くと、眠気が来たならこのまま無理に起こしている訳にもいかず。少し体を休めるよう穏やかな声でそう告げ )
しかし…それではお前が退屈じゃないのか?
( 欠伸を漏らしていた所を見られていたのか、眠ってもいいという言葉を聞いてはそれでは話し相手がいなくなり彼は退屈になってしまうのではと思い )
いやまあ…退屈しないと言えば嘘になるが……、なら俺も寝たらいいんじゃないか!
( 彼の言う通り、この場で解散し部屋に戻ってもやる事は無い為に独りで居ても退屈なのは考えずとも分かる事で。然し、眠い中態々自身の雑談に付き合わすのも申し訳ないと感じて上記の言葉を途中まで述べる。が、一緒に昼寝をすれば解決するだろうと思いそう言って )
ん…、それもそうだな。ならば昼寝とするか
( どうやら彼も寝るようにしたようで、頷いてはここで昼寝していては誰か来た時に迷惑になるかもしれないと立ち上がり部屋に移動することにして )
( 今は眠気が来ずとも横になり目を瞑れば何れ寝るだろうという思考の様で、同じく立ち上がり共に自身達の部屋へ戻って。其々の自室にたどり着くと彼の方へ向き「…なあ、あれから悪夢は見ない様になったか?」と唐突に聞き出し )
そう…だな、何かとお前がそばに居てくれるからかは知らないが今は見ていない。
( 自室の前へとやってくると、不意に彼が悪夢は見ていないのかと聞いてきて。ここ最近は1人で眠ることもなく彼がそばにいる事が多かったからか、直接の関係があるかは分からないが見ていないとそう言って )
そうか…なら安心したぜ。
( 前の事を思い出して少し心配だったのかその言葉を聞いて、どうやら見てはいない様でほっと安堵の表情になり。確かに一日中彼の傍に居る事が多いが、それが悪夢を見ないのに繋がるならば「それじゃ一緒に昼寝するか?」ともし一人で寝るならそれでいいと思いつつ揶揄う様に聞いて )
っ、俺は赤子じゃないんだぞ!
( 悪夢は見ていないと告げると同時に揶揄う様子で訪ねてくるのを見ては、顔を僅かに染めて上記述べて。しかし彼のおかげで見ていないことは事実、「…その、お前の邪魔にならないのなら、頼む」と続けて )
ああ、構わないぞ。…どっちの部屋で寝るんだ?俺の方かい?
( 揶揄い言葉を使えば予想通りの反応に楽しそうにふは、と吹き出すも、その後一緒に寝る事を頼まれては優しげな眼差し向けて一度頷き。昼寝するにもどちらの部屋で休息を取るかの質問を投げ掛け )
…どちらで寝ても構わん。
( どちらで寝るのかと問われると、此方としてはどっちでも構わないために上記述べて。自身の部屋は一応片付けはされているために人は入れられる状態で )
じゃあ、俺の部屋で寝るとするか。
( 互いにどちらでも良いという意見なので此方の自室も別段物が乱雑に置かれている訳でもなく、それなら偶には自身の部屋に招いてやろうと柔く笑えば襖を開けて中へと入って )
では、失礼する。
( 結局昼寝をする場所は、彼の部屋らしくそれに頷いては彼の部屋へと入って。久しぶりに彼の部屋に来た気がすると思いつつ、適当に座って )
長谷部、ほら寝るぞ。狭いかもしれんが我慢してくれよ。
( 中に入るとこのまま畳みの上で寝たら風邪を引いてしまう為、押し入れから布団を取り出すと真ん中へ敷いて。生憎布団は一つしかなく先に毛布の中にもぞもぞと潜り込み、とんとんと隣を叩き )
大丈夫だ、むしろ感謝している。
( このまま畳の上で眠ろうかとした途端、彼が布団を引いてくれていたらしく促されるままにそちらへと近寄り布団の中へと入って。やはり男二人で布団1枚に入ると狭く感じるが、こうして自身の昼寝に付き合ってくれていることには感謝しているために上記述べて。身近に感じる彼の体温を感じつつ欠伸を零し )
…俺まで眠くなってきたな。
( ちらりと隣にやって来た姿を見遣ると、緩慢な動作で布団へ横になれば心なしか少し眠くなったのか釣られる様に欠伸を漏らし。彼が横になるまで待っていて )
おやすみ国永、良い夢を。
( 布団へ横になってはつられたように彼も欠伸をしていて。今は時間が許すまで眠る事にしては目を閉じて )
…、
( いつまで寝ていたのか、ふと目を覚ましては壁に掛けられた時計へと視線をやり。まだ覚醒しきっていない為かボーッとしており )
……ん、長谷部…。もう起きていたのか。
( 隣で寝ながらそちらに体を向ける様に寝返りを打ち、無意識に手を動かし彼の手を探せば軽く握って。それから暫くして、ふっと目を覚ましぼんやりする視界の中で起きていた彼に声を掛け )
…!ああ、よく眠れたか?
( 彼の寝顔を眺めていると、不意に此方の手を握られて。起きていたのかと尋ねられると頷いて。彼は眠れただろうかと訪ねて )
ああ、十分寝れたぜ。…長谷部も眠れたか?
( 軽く目を擦りつつ返事を返し、徐々に視界がはっきりと見えて眠そうにしていた彼は熟睡できたのかと此方も同じ様な事を聞いて。横になり続けていては背中が痛いので起き上がる前に無意識の内に彼の手を握っていたらしく「…あ、悪い。寝ている間に手を握っていたみたいだ」とパッと離してから上体を起こし )
ああ、よく眠れた。
( 彼も十分な睡眠はとれていたようで、良かったと思い。同じような問いに頷いて上記述べては特に夢も見た訳では無いようで。手を握っていたことについて詫びられると「あ…いや、構わない」と続けてこちらも起き上がり )
そうか、よく眠れたなら良かった。
( 起き上がると同時に固まった体を解すようぐーっと腕を上げ背筋伸ばし、此方の問いに彼も何事もなく十分な睡眠はとれた様で。手を下ろし彼の顔を見ると、特に夢は見ていない事を察して笑み浮かべ )
( 笑みを浮かべている彼は何かを察したようでこちらも微笑んで。不意に、彼の唇へ自身のを重ねては「おはようのきす、というものらしい」と僅かに頬を染めてそう言って )
…!俺からもお返しだ。
( 寝起きという事もあり完全に気が抜けていて不意に唇へ柔らかい感触がすると、接吻されたのだと理解するのにそう時間は掛からず。嬉しそうに笑っては何もしない訳がなく、自身も彼の唇に軽く触れる程度の接吻を落とし )
っん、
( 勢いのままに接吻をしたことに恥ずかしく思っていると彼からも接吻されて。どうやら彼からのお返しだったようで笑みを浮かべ「はは、おつりがでるかな」と続けて )
( その笑みを見れば何故か無性に抱き締めたい衝動に駆られ、今度は身体ごとそちらへ向けるとぎゅっと抱き付き。「…大好きだ、長谷部」とそう言って )
お、おい国永…?
( こちらへと体を向けるしぐさに首を傾げているとそのまま抱き締められて。咄嗟にバランスを崩さぬようにしていると耳に届いた言葉に「ああ、俺もだ。」と返しこちらも腕を回して抱き締め )
何か無性にきみを抱き締めたくなった。
( 抱き締め返されぎゅう、と背中に回した腕に少し力を込めつつ、理性に勝てる訳もなくて我慢出来ずに体が動いた事を言い。肩口へ顔を埋めて「少しこのままで居させてくれ」と続け )
構わない。好きなだけしてもいいんだぞ?
( 甘えるような仕草に、愛おしく思っているとしばらくこのままで、と告げられて。特に断る必要もなく、好きなだけしていても構わないとそう言って )
ありがとうな。
( この状態のまま居ながら彼の傍が一番落ち着く為に、好きなだけしてもいいとの返答が返ってくると表情は見えないが代わりに嬉しそうな声を出し。甘えるようにしばらく抱き締めたままで居り )
次はきみが俺に甘えてきていいんだぞ?
( ただただ時間だけが流れてゆき、満足したのか腕を離して解放すると自身は十分に甘えたので今度は彼が甘える番とばかりに「ほら、」と両腕を広げて軽く首を傾げ )
( 十分に甘えきったらしく、次は自身の番だと両腕を広げ待っている彼を見ては笑いを零しつつ彼の腕の中へと入り。確かにこれは癒されるものがあると思い )
長谷部が素直に甘えるのも、何だが珍しい気がするなぁ。
( 腕の中へと入ってきた背中に腕を回して彼の体を包み込む様に抱き締めてやり、片方の手で髪を優しく撫でながら真面目な性格と認識しているため思った事を呟き )
お前に甘やかされるのは悪くないと思ってね。
( 確かに、こんな光景を誰かが見たとしたら普段の自身の性格からして信じられないだろう。しかし、このような姿を曝け出せるのは彼の前だけであり笑み浮かべつつそう言って )
そうかそうか!なら、いつも頑張っているきみをたっぷり甘やかさんとな!
( 自身のみに色んな姿の彼が見れる事が何よりも嬉しい様で頬を緩め、普段は性格上自分から甘えにくるなど無い為に先程より更にわしゃわしゃと髪が乱れるくらいに手で撫で回して )
お、おい…!髪が乱れるだろう!
( 自身の言葉に嬉しさを隠すことなく表現してくる彼は容赦も無く、わしゃわしゃと髪を乱すように撫でられては何処かの伊達男ではないが、流石に気にすると慌てた様子で )
はは、すまん。今髪を直すからじっとしててくれ。
( 慌てた様子の姿に、彼の言葉一つでこうも嬉しいと感じるのはやはり好きだからだと思えば容赦無しに撫で回した手を止め軽い調子で謝り。一度離れて少し乱れた髪を軽く整えるように優しい手つきで撫ぜて )
全く…仕方のないやつだな。
( 十分に髪を乱したあとには、優しく髪を撫で整えてもらい。苦笑を浮かべつつも大人しくじっとしていて )
よし、これでいいだろう。
( 髪を整えれば、どこも特に跳ねた箇所もなく元通りにすると手を離して。終わった後に、不意打ちで一つ頬へ口付けを落としてはそう言い )
……っ!
( 彼の髪を撫でる感覚が心地よく、目を細めていると不意に頬に口付けをされて。完全に油断していたのもあり、ぼんやりとしていたのも束の間。みるみるうちに顔を赤く染めて )
っはは、顔が真っ赤だぞ。
( ぼーっとしているところに不意を突いて頬へ口付けをした事で、瞬く間に顔を赤く染めるその姿を見て。楽し気に笑いながら頬を両手で触りつつ、わざと顔が赤い事を言って )
い、言われなくても分かってる…!
( わざとだろう、自身の顔が赤いことを指摘する彼は楽しそうにしていて。彼の手はひんやりとしていて火照っているのが尚更分かるようで少し不貞腐れたようにそう言って )
好きな奴ほど揶揄いたくなる。…だから機嫌を直してくれないか?
( わざと真っ赤な顔指摘すると、機嫌を損ねた様子で案の定言い返してきた反応を尚も楽しそうな姿で見ており。頬を触りながら意地悪な発言の数々は好きであるが故でじっと見つめ )
( じとりとした視線を彼に送り続けていると、機嫌を直して欲しいと言われてしまい。怒っている訳ではなく、照れ隠しでもある為にハァ、と一つ息をついては「分かった、許してやる」と続け )
さすが長谷部!
( 許してもらえると、大袈裟なまでにぱっと表情明るくさせ。調子の良い言葉を紡ぐなり触ったままの手でむにむにと頬をつまんで遊び )
……っふ、
( 特に意味もなく互いに頬のつまみあう光景に最初こそ単純にむにむにと遊んでいたが、何だが段々と可笑しく思えては笑い出し )
ははっ、まるで子供みたいなことをしているな。
( お互いに頬をむにむにとつねっていてはその沈黙も相まっておかしく感じていると、彼の方が先に笑って。それに釣られるように笑えばそう言って )
確かにそうだな。
( 自身が笑い出せば後に彼も笑って頬から手を離すと、その言葉に同意する様に頷いて。まだ笑い足りないのか小さく肩を揺らし、収まった様でふと壁掛けの時計を見遣れば「…そろそろ夕餉の時間か」とぽつり呟き )
ああ、そろそろ行くか?
( 存分に笑いあった後にふと、彼が時計を見てそろそろ夕餉の時間が近づいてると呟き。そろそろ他の者も集まり出す頃だろうと思えば遅れる訳には行かないため上記述べ )
( 夕餉の時間に遅れたら悪いと思えばこくりと頷いて、緩慢な動作で書庫で見つけた本を片手に立ち上がり。布団を片付けようかとも思ったが、食事を摂った後はただ寝るだけなので放置しては襖を開け彼を待ち )
( 先に部屋を出る彼に少し待ってくれと告げると布団を借りたせめてもの礼なのか、布団を整えてから部屋を出て。広間に向かい歩き出し )
( 向かう途中も会話を交えながら広間にたどり着くと、既に机の上には料理が並べられており他の仲間も集まっていて。適当に空いている席に座れば足の上に本を乗せ )
( 広間へと着くと空いた席に座り皆が揃うのを待っていて。しばらくして全員が集まれば手を合わせ食事の挨拶をして食べ始めて )
( 箸でおかずを掴み口に運んでもぐもぐと数回咀嚼しては、今日も美味いと声に出し。頬を緩めながら皆と楽しそうに会話を繰り広げつつも確りと食事も摂って )
皆、ちとこれを読んでくれないか。
( 食事を食べ終えると、何時しか話は自身が提案した内容へと変わっていて。皿を重ね退かすと意見交換が飛び交う中、タイミングを見計らって一冊の本を机に置くとそう告げ )
( 彼の一声で皆が机に置かれた書物へと視線をやり。「それは俺達が今後、この本丸を離れる場合に実行しようと思っている事に応用できそうな内容が書かれている。一度目を通してもらってもいいだろうか」と告げ )
( 書物を置いたと同時に彼がすかさず説明を挟んでくれては、皆が頷き示すと一同が中央に集まって静かに目を通し始めた様子を黙って読み終えるまで待っていて )
――…実例がある訳じゃあないが、この方法を試せる事が出来たらもう…政府に怯えなくて良くなる。
( 様々な反応が見受けられ、再び意見を交わす皆の声に耳を傾けつつも真剣な表情で仲間達を交互に見ながら言葉を発して。初めての試みゆえ、成功か失敗かなんて正直分からないが「俺はこの先も皆と平穏な毎日を送りたいんだ。…その為にもこれを明日にでも実行したいと思ってる」と心情を吐露して )
この先は本丸を離れる事になる。手負いの者ばかりだが、互いに支え合って進んで欲しい。また、一斉に動けば怪しまれるだろう。いくつかにグループを分ける。
( 決行するのは明日、それまでに各々が覚悟を決めてもらう事となる。ひとまとめに動いては流石に政府にバレるだろう、隙を見つつ少人数ずつで本丸から出てもらうことにして「俺は最後に出よう。太刀と夜目の効く奴は同じグループになること。」と続けて )
( 端から自身は覚悟を決めている為、急な宣言にどこか不安な者も少なからずいて。決行は明日の夜に行うので自身の様な夜目の効かぬ者は不利であり、的確に指示を出す彼の話に皆は素直に聞き頷いては「最後に長谷部が出るなら俺も一緒に動いていいか?」と独りで行動する事に心配なのか聞いて )
構わない、夜の間は俺の指示に従ってくれ。
( 一通り説明を終えると、自身が最後にこの本丸を出ることに対して心配だったのか彼が言及してきて。特に問題もないが、彼は夜目が効かないために指示を従うようにと告げて )
構わない、夜の間は俺の指示に従ってくれ。
( 一通り説明を終えると、自身が最後にこの本丸を出ることに対して心配だったのか彼が言及してきて。特に問題もないが、彼は夜目が効かないために指示を従うようにと告げて )
ああ、分かった。
( 特に断られる事も無い返事に良かったと思いながらもこくりと頷いて、皆に伝えておく話も一通り済ませたため後は明日の夜を待つのみ。一旦考える時間も必要だろうと「…少し長くなっちまったな。俺達の話は以上だ、明日の夜までに覚悟は決めておいて欲しい。じゃあ、ここからは各々好きに過ごしてくれ」と解散の意味も含めてそう告げ )
( 一通り説明も終え、明日の夜までに考えてもらうことにしては、各々が広間を出ていき。食器を片すために1度立ち上がり重ねていきつつ「…上手くいけばいいな」と呟き )
( 広間に二人残され、自身も食器を片すのに立ち上がると同時に聞こえてきた彼の声。やはり少しの不安はあるのだろう、それは自身もそう思っているために「…大丈夫だ、きっと上手くいくさ。皆がついているからな」と笑いながらそう返事をしてみて )
…そうだな、何とかなるだろうな。
( 未だに分からないことばかりな上に実例がある訳でもない。少しばかり心配だったようでそう呟いていて。その呟きが聞こえていたのだろうか笑顔で大丈夫だろうと言われては微笑み返して )
ああ、だから信じよう。
( その表情を見れば少しは安心しただろうか、と思いながら笑みを絶やさずにこくりと頷いて。それから自身の分の食器を持ち上げ「さあて、厨に持って行ってから休むとするか」とそう呟くなり広間から出ようと )
( 彼の言葉に頷き、食器を厨へと運んではそのまま自室に向かい部屋の前で彼に挨拶をしては部屋へと入って。やるべき事は終えた為にあとは寝るだけだが寝付けないのか何度も布団の上で寝返りを打ったりしていて )
( 部屋に入ったはいいが昼寝をした事であまり眠気が来ない状況に、どうしたものかと困った様な笑みを浮かべ。眠れたら一番いいがそれで絶対に寝れる訳でもないため、静かに廊下へ出ると部屋の前の縁側に腰を下ろして。ぼんやりと夜空を眺めてながら眠気がくるのを待ち )
…っ!なんだ、国永か。
( やはり寝付けない為に諦めて起き上がっては明日には離れるこの本丸を目に焼き付けておこうと思い立ったのか襖をそっと開け。それと同時に縁側に腰掛ける物陰に気付き一瞬警戒するもののそれが鶴丸だと分かれば上記を述べて )
…ん?どうした、驚かせたか?
( 夜空に浮かぶ星々を眺めていると、突然自身の名を呼ぶ声に後ろを振り向けばそこにはつい先程部屋の前で別れたばかりの彼の姿があり。ただ寝付けずここでボーッと静かに居ただけなためやや苦笑を浮かべて )
少しな。…どうした、寝付けないのか?
( 彼も寝付けずにここに居るようで、隣へと座れば彼の方を見やりそう言って。昼寝をしたのもあり寝れなくても仕方が無いかと思えば「国永、眠気が来るまで俺とデートしないか?」と微笑みつつ退屈しのぎにもなるだろうと誘い )
ああ、そういう長谷部もだろ?
( 隣へと座った彼の姿を目で追いながら夜という事もあり寝付けない以上、退屈で仕方なく苦笑いをして返事を返せば少し間を空けて彼の口から紡がれた言葉に「…!まさか、きみからデートの誘いがくるとは思わなかったぜ。…勿論、俺もしたい」と嬉しそうに笑って頷き、デートの誘いを受けて )
はは、長谷部が言うと違和感がないな。
( 目の前に差し伸べる手と科白に様になるなぁと思いながら、その掌に自身の手を置き立ち上がらせてもらいつつも少し揶揄ってやり )
俺よりもお前の方がきっと似合うさ
( 自身なんかより、彼の方が様になるだろう。そう言い返してはゆっくりと歩き出し本丸内を眺めつつ何があったとしてもこの場所は自身にとって忘れられない場所になるのだろうと思い )
なら今度は俺が言ってやろう
( ゆっくりと歩き出した動きに此方も遅れないようにと足元に気をつけ歩を進め、へらりと笑い冗談混じりに言葉を放ち。真っ暗な視界はあまり何も見えておらず、しかしじっと目を凝らせば微かに見える程度で「この本丸とは明日でお別れ、だな」と何気無くポツリと呟き )
…ああ。いいと思える思い出なんて一つもないが俺たちにとっての大切な場所だった事には変わりない。
( 明日にはこの本丸を去らなければいけない、それに異論はないしこれから先を考えての行動なのだから仕方が無いことであり。彼の呟きに答えるように上記を述べて )
…そうだな、色んな事があったが忘れたりしないだろう。
( 自身の提案で皆を巻き込む形となるが今後の事を思えばこの選択に後悔はなく、彼の返答に更に返事を返して「何だか湿っぽい話になったな…。折角のデートなんだ、楽しくしようぜ?」と笑みを向け )
ふふ、それもそうだな。何か面白い話はないのか?
( 少しだけデートには相応しくないような雰囲気になりかけたものの彼の言葉でそれも終わり。かと言って自身が話せるような面白い話は思いつかないようで、ここは彼の番だろうと任せることにしては彼の方を見やり )
面白い話ならあるぜ。いつだったか忘れたが…広間にビックリ箱を置いていたら、見事に俺の罠に引っ掛かった奴がいてなぁ。あと、ホースにちょいと小細工を仕掛けたりもして内番中の者がびしょ濡れになっていた、とかな!
( 突然話を振られふむ、と少し考える素振りを見せつつ、まだこの本丸が平和な頃に数々の驚きをもたらした話を思い出し、彼の方を見ながら楽し気に声を弾ませて話していくが今となっては全くと言っていい程興味を示さなくなったなぁとしみじみと思っていて )
ふっ、そう言えばそういうこともあった様な気もするな。お前が誰かに追い掛けられているのを見掛けたり、怒鳴られる声が俺の部屋まで聞こえていたよ。
( 誰よりも驚きのある人生を好み、それを誰かに仕掛けてみたりするのが彼の楽しみだったのだろう。楽しげに語る彼を見てはそんな頃もあったかもしれないと頬を緩ませ懐かしむ様子でそれを聞いていて。自身はといえば所用で部屋に籠ることが多かったが、それでも遠くから聞こえる声に耳を傾けていたものだと思い。 )
ははっ、だろうな!いやあ、あの頃は楽しかったなあ。…しかし、きみにはあまり驚きを届けた記憶がないぞ。
( 誰彼構わず驚きをもたらす事に対して余念がなく、純粋に人が驚いている反応を見るのが好きだった為柔らかな笑みを浮かべて懐かしむ様に言葉を紡ぎ。ふと、今更ながら他の刀剣達には散々驚きを与えてきたが目の前の彼には大して驚かしてやっていないとそう付け加え )
言われてみればそうだな。まあ、何かと部屋で仕事ばかりしていたからな。
( そう言われてみれば、彼が誰かを驚かせるというのは何度も見ていたが実際にされたというのはそんなになかったかもしれないと思い。主の近侍でもあった為に仕事をしたりとしていたので、出くわすということも少なかったのだろうと思いそう言って )
いつも長谷部は主命で忙しそうだったしな。…まあ今となりゃそうでもないが。
( 本丸内の廊下ですれ違う事も無かった上、近侍の仕事で大変だったのを知っていた故にあまり用が無い限り部屋を訪れる等しなかったので小さく苦笑を浮かべた後、「それならもっと驚きを届けてやれば良かったか?」なんて冗談っぽくそう言葉を口にし )
それはさぞ、良い気分転換にもなっていたかもしれんな。度がすぎていなければの話だが。
( 今となっては彼が進んで驚きを求めることもなくなった為に届けられることもないが、少しくらい経験しておけば良かっただろうかと思い。仕事に追われるばかりの毎日にそんな刺激があれば少しは良かったかもしれないと上記を述べて )
…そうか、それは悪い事をしたなあ。
( こうも自身の驚きを求められていた事実に、他の仲間同様に彼にもたくさんの驚きを届ければ良かったなと少し眉を下げ。今はもう前のような自身に戻れないがその分、この命が尽きる時まで傍に居る事ならば出来る為「もう驚きを求める事に興味は無くなったが…、代わりにこうしてきみの傍なら居れる。」と真っ暗な暗闇では彼の姿を捉える事が難しいが、握ったままの手を握り返して微笑み )
何、お前が気に病むことではないさ。
( 申し訳なさそうに眉を下げて謝る彼を見ては柔らかい笑み浮かべつつ首を振り鶴丸は悪くないと上記を告げ。その代わりなのかは分からないが、自身の傍に居てくれるという言葉に「ふふ、ならばそうしてくれ。存外俺は寂しがり屋というものらしい」と続けて )
ああ、もちろんだ。この命が尽きる時まできみの傍から離れないぜ。
( 寂しがり屋ならば尚の事、彼を悲します様な事は出来ぬ為に一度頷いた後にい、と白い歯を見せる様に笑って。不意に視線外すも夜という事もあり真っ暗な空間に「しっかし、夜目が利かんと何も見えないな…。」と少し不満げな様子で )
こればかりはどうにもならんだろう。ふふ、だが俺は見えるからな。例え国永がおかしなことをしたって見え見えだ。
( 自身の傍から命尽きるその時まで離れないと告げられては満足そうに微笑んで。次いで彼が太刀故に夜目が利かないことを愚痴り出してはそれを聞きつつ苦笑浮かべ上記を述べて。「だが安心しろ、俺がお前の目の代わりになってやる」と続けて )
おお、そりゃあ頼もしいねえ。
( この状況だと間違えて柱に頭を衝突させる事も有り得るため、夜目が利く彼に絶対に見られたくないのか気を付けようと思い。そんな事を思っていると、何とも頼もしい発言を聞いては視線を戻すなり笑み浮かべ。デート中とは言え、同じ場所に居るのも退屈なのか「屋根の上に登ってみるかい?彼処は夜空が綺麗に見れるぜ」と一つ提案してみて )
確かにそれもいいだろうな。
( ふと彼が何か思いついたようで。屋根の上に上がって夜空を眺めてみようという誘いは何とも興味があるもので素直に頷いては上記を述べて )
おっ、興味あるか?なら見に行こうぜ。…っと、その前に蔵から梯子を取りに行かないとな。
( こちらの誘いに、素直な言葉と共に頷いてくれたので嬉しそうな笑みを見せ。早速とばかりに移動しようかと思ったものの、屋根に登るための道具が必要でそう告げ )
なら俺が取ってこよう。夜目の効かないお前に任せるには心許無い。
( 梯子を取ってくるのならば、夜目の利く自身が取りに行った方が賢明だろうと思えばそう進言して。少しだけ待っててくれと告げては蔵に向かい、難なく梯子を取ってきて )
ありがとうな、長谷部。
( その場から動かずに大人しく待っていれば、数分もしない内に梯子を取りに戻って来た姿を見ると礼を述べて「…なぁ、手を握ってくれないか?」と移動する前に頼み )
…?ああ、構わんが。
( 礼を受け取り、さて移動するかと思った矢先に手を繋いでくれと頼まれて。彼から頼むとは珍しいと思いながら手を伸ばしては彼の手を握って )
…悪いな、どうにも視界が悪いとどこかにぶつかりそうでなぁ。
( 手を握ってもらうとこれで一安心だと内心で思いながらこんな暗闇の中、上手く歩けそうにもなくて。やや苦笑混じりに呟いては彼に先導してもらうのが魂胆で )
はは、それで怪我をしたと言われても困るな
(彼の手を握り、どうやら先導してもらおうと考えていたのかと分かれば歩き出して。しばらく歩けば梯子を置き「ここからなら登れそうだ、俺が先に行こう。国永はここで待っててくれ」と言えば梯子を登り屋根の上に上がって)
ああ、
( 足が止まりその声と共に梯子を置く音を聞き短い言葉で返事を返し、言われた通り道具を使い登って行く後ろ姿を見つつ待っており )
おい、国永。上がってこい
( 屋根の上に上がれば下を見て梯子のそばにいる彼へと声を掛けて。足を踏み外さないように気を付けろと忠告し、彼が無事に上がってこれるかじっと見ていて )
( 少し待っていると上から声を掛けられ、その忠告に頷きで返しては梯子を掴みながら一段目に足を乗せるとそのまま慎重に登って行き )
国永、月が見える。
( 彼が屋根へと上がりきれば、再び手を握り少し屋根の上を移動してそれから空を見上げると月が見え。感嘆の息を吐けば上記述べ )
ああ、月が綺麗だな!
( 隣で同じように自身も空を見上げて夜空に浮かんで見える、一等美しさを放っている月を瞳に映しては視線外す事なく言葉を発し )
( 月明かりに照らされる彼は普段よりも儚さが増し、美しく見えて。無意識のうちに見惚れていたようで月を見ることなく彼の方ばかり見ており )
――…ん?どうした?
( 暫くの間、月を眺めていたがふと隣から視線を感じて。それに気付いたように彼の方を見ては緩く首を傾けて問い )
…あっ、いや……。
( こちらの様子を伺う彼に気付き漸く見つめ過ぎてきたことに気付けば、何とも気まずそうにしながら視線逸らして。それから黙り込んだものの「…お前が、余りにも…綺麗だったから…」とポツリと呟き )
―――っ!
( 何故だか視線を逸らされた挙げ句、黙り込まれると更に疑問符が浮かんで不意に彼が喋ったと思えば放たれた言葉に顔を赤くさせ。「ありがとうな。きみに綺麗と言われるのは嬉しいな」と照れた感じで嬉しそうに笑い )
本当の事だ
(嬉しそうに微笑む彼を見てはこちらも微笑んで。こんな時間がずっと続けば、と思い。不意に彼の唇へそっと自身のを重ねては「国永、愛している」と僅かに頬を染めそう言って)
ん、俺も愛してる。
( 突然感じた唇の感触に接吻されたのが分かると、まだ顔の熱は引かずに嬉しそうに微笑んだままそう言葉を返して。屋根の上ではあるが今幸せな気分な為にぎゅっと彼に軽く抱き付き )
( 月の下、お互いに抱き締め合いながら静寂が二人を包み双眸閉じてこの幸せな時を噛み締め。ずっとこのまま時が止まればいいのにな、と思いながら満足するまで離さないでおり )
( しばらく夜空を眺めていたが、そろそろ戻った方がいいだろうと判断してはそっと彼から離れて。ゆっくりと立ち上がれば「国永、そろそろ戻ろう。朝になってしまう」と手を差し伸べて )
…ん、そうだな。
( そっと体を離されその科白にやはり傍に居ると落ち着いて、眠気が来たのか眠そうな声で返事を返しつつ手を取り。立ち上がると梯子が掛けられた場所までゆっくりと歩いて )
( ゆっくりと梯子を伝い降りると梯子を倉庫に戻しに行き。それから本丸へと戻り自身の部屋へとたどり着けばあと数刻は眠れるだろうと彼の方を見ては「おやすみ、国永」と微笑み )
…ん…──もう朝か…?
( " ああ、おやすみ " と小さく笑みを零しつつ就寝前の挨拶を交わし自室の襖を開け、中へと入れば布団の中に潜って眠かったため目を瞑るなり規則正しい寝息を立てて眠りに落ち。それから時間は流れ、夜が明けて障子から朝日が射し込みその眩しさで目が覚め )
( 眠った時間が遅かったせいか、欠伸を漏らしながらも身支度をしていて。今日はこの本丸を離れる日、政府に気付かれぬように過ごしながら日が沈んでから決行する事を頭の中で思い浮かべ。着替え終えると顔を洗うために部屋を出て洗面所へと向かい )
( 上体を起こして大きな欠伸を洩らし、しょぼしょぼする目を軽く擦りつつゆっくりとした動作で着替え始め。数分後、身支度が整えば完全に目を覚ます為に顔を洗いに行こうと部屋を出て。移動の際に仲間達とすれ違い軽く挨拶し、洗面所へと向かった先に彼の姿があり「おはようさん、長谷部」と後ろで朝の挨拶を声に出し )
ああ、おはよう国永。
( 顔を洗い、しっかりと目を覚ましタオルで顔を拭いていると背後から彼の声がしては視線やり挨拶して。「朝餉が終わったら最終確認を皆でしよう。」と続けては先に広間に行くことを伝え広間へと向かって歩き出して )
ああ、分かった。
( その言葉に深く頷いて彼と入れ違う形で洗面台の前に立ち、水道の蛇口を捻り水を両手に溜めればそっと顔にかけ。水を止めてタオルで顔を拭けばすっきりとして目も冴え、朝餉に遅れぬよう広間へと歩んでは襖を開けると同時におはよう、とまだ挨拶していない仲間に向けて声掛けながら適当な場所に座り込み )
( 全員が揃ったところでいつもの様に食事の挨拶をして時々話を交えながら箸を進めていき。しばらくして食事も終えれば皆が広間から出る前に「すまないが、今夜のことについて再度確認しておきたい。」と一度断りを入れ皆が決意を固めているかを確認していき )
( 食事後、彼の一言で場の空気が変わり此方も黙って皆の方へ視線向けつつ、もしまだ答えを出す事に躊躇いがあるならば説得する気でいて。然しそんな自身の考えは無くなり、考える時間を設けた事によって皆の決意は既に固まっていたようで。安心したような表情見せ「皆、よく決心してくれたな。感謝するぜ。…なら最後に作戦の内容を確認するぞ。」と後記の部分で真剣な顔付きでそう言うと、全員で改めて作戦のお浚いをしていき )
今日の夜実行する、政府に悟られることが無いように過ごせ。大丈夫だ、俺たちならできる。
(作戦の内容に抜かりがないかじっくりと確認しつつ、時々意見にも答えて。しばらくして、皆が作戦の内容を理解すると同時にそう言っては立ち上がり片していなかった食器などを運び始めて)
( 作戦の確認が終了し、その場で一時解散という形を取れば彼が出て行った後に自身も緩慢な動作で立ち上がると食器を重ねて厨へと運んで。夜まで政府に作戦を悟られぬよう出来るだけ部屋で身を潜めた方が良いだろう、ギシギシと軋む音が響く廊下を歩きながら顔だけ横に向かせ外の景色を見るも自室へと進んでゆき )
(自室に戻り、部屋から見える荒んだ庭を眺めていて。この景色も今日で見納めかと思うも不思議と寂しい気持ちはないようで。いい思い出のない場所だから当たり前と言えばそうなる。本来ならば刀の手入れなどもしたいところだが生憎そのような道具はこの本丸にないために壁に寄りかかってぼんやりと過ごしており)
( それから各自の過ごし方で夜まで時間を潰しながらもその時を待つ。ゆっくりと時が流れつつ朝から昼になり、忘れず軽食を摂ればまたも部屋で身を潜ませ。あれから何れ程経っただろうか、やる事が無くいつの間にか眠っていた様でむくりと起き上がり小さく欠伸を洩らし。廊下側から足音が聞こえ、自身の部屋の前で止まると襖越しに夕餉の用意が出来た事を伝えに来てくれた様で。わかった、すぐに行く。とだけ伝えて立ち上がり本体を手に取れば部屋を出て、本丸で食べる最後の食事を摂りに広間へ向かい )
(同じように夕餉の時間を告げられると本体を持ち自室を後にして。広間に行けばどうやら自身が最後だったようで適当に座ると同時に食事を始める挨拶をして。いつものように他愛ない会話をしながら食事を済ませると厨へと運んで)
( 普段と変わらぬ食事を摂り各自で食器を厨へ運び終えると再び広間に集結し、昼間は特に何事も無く作戦実行の時を迎えて仲間達の格好を確認すれば全員腰に帯刀しており。自身も手にはしっかりと本体を握り締め準備万端、何時でも作戦の合図が送れる状態で彼が来るのをじっと待ち )
待たせたな。これから作戦を実行する、集合場所は例の場所、集合してから一週間来ない刀は折れたと思え。武運を祈る。
( 作戦実行の時間となれば本体を手に広間へと向かい。既に鶴丸、他の仲間も来ており一度見回すと淡々とした口調で上記述べて。酷な事ではあるかも知れないが、それくらいの危険もあるためそう言って。仲間たちが頷くのを確認すると次々と息を潜めつつ裏道へ移動していき )
──…俺達も行こうぜ、長谷部。
( 少人数で次々と裏道へ移動して行く仲間の背を見送りながら夜の静けさも相俟ってしん、と静寂が包み込む広間で最後の時を待つ。この本丸内には自身達以外誰の気配も感じず、指示通りに事が進めば仲間は今例の場所に向かっている最中、政府にこの作戦が気付かれる前に行こうと彼の方へ向いて )
( その後自身たちも同じように本丸を後にして政府の人間に見つからぬようにしながら例の場所へ移動を始めて数日が経ち。順調とまではいかないが現時点で大きな問題は起こっておらずあと二日ほど歩けば目的地に辿り着くであろうと思っていた矢先に検非違使に遭遇をしてしまい。何とか応戦していたもののいつの間にか鶴丸とはぐれてしまっていたようで彼の姿を探し求めていて )
──おーい、長谷部ー?……居ないな。こりゃあ夜までに合流できるといいが…
( 本丸を離れ彼を先頭に森の中を歩いていたもの、最悪な事にも夜の内にはぐれて朝を待ち今に至る。森の中が広い分、下手に動き回ると行き違う可能性はあるだろうがただこのままじっと待っている訳にも行かず、日没までに合流できるよう自身も大きな声を出しながら彼の姿を探して )
っ!最悪だな…、
(彼は太刀であるため夜までに合流しなければ彼が危険だと思いつつ森の中を走りながら彼を探しているとふと邪悪な気配を感じてはその足を止めて。いつの間にか囲まれてしまっていたのか、敵の脇差の姿を見れば苦笑を浮かべ刀に手を添えて)
( 森の中を走りながら時折声を発して足を止め、左右をきょろきょろと人影が無いか等の確認しつつ彼の姿を探していって。一向に見付からぬ上にまるで道を塞ぐかのように敵の姿が眼前に現れると今は相手にしている暇は無いとばかりにあっさりと倒し、ただひたすら道なりに進みながら彼の名を叫んで )
っ…、
( 次々と襲ってくる敵を難なく斬り伏せるとその場から離れ再び走り出して。今は戦っている暇はない、一刻も早くはぐれてしまった彼と合流し目的地に行くことが最優先で。肩で息をしながら周りを見渡すと僅かに耳に届いたのは誰かの声。そちらへと駆け出すとしばらくして彼の姿を見つけ「国永!…はぐれてすまない、怪我はないか」とまずは彼の安否を確認して )
──長谷部!いや、俺の方こそ悪いな。…何とか合流できて良かった。
( 前方に人影を見つけ此方へ近付いてくる何者かにやや警戒しつつも目を凝らすとそれが彼の姿だと分かるなり、傍まで駆け寄れば日没まるでに会えた事にホッと胸を撫で下ろし。自身の安否を確認する言葉に「ああ、大丈夫だ。…そういうきみも怪我はないか?」と正直に答えると彼の事も心配して )
こちらも怪我はない。では行くぞ
(こちらの安否を同じように確認されると特に怪我をした訳でもなくそう言うと次こそは彼から離れないようにしながら歩きだして。それから二日経つとようやく目的地である場所にたどり着き。先程まで何も無かったはずなのに歩を進め続けるといつの間にか濃霧が出てきていて。周囲を警戒しつつ歩いているといつの間にか時空の歪みに入り込んでいたのであろう。濃霧が晴れ視界が鮮明になると先程まで森であったはずのその場所は少し寂れた建物と先に到着した仲間たちの姿があり彼の方を向くと「国永!やったぞ、成功だ」とこれからは脅威に晒されることは無いだろうという安堵から微笑んで)
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