蟲卵_大正時代、アングラ、グロテスク、指名式、3L_

蟲卵_大正時代、アングラ、グロテスク、指名式、3L_

蟲  2016-11-26 12:01:37 
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>架空大正時代後期、蟲、グロテスク、恐怖、アングラ、3L、指名式





女学生A「そう言えばあの噺はもう聞かれました__?」

女学生B「えぇ、えぇ、もう誰もが知ってるわ」

女学生A「それにしても恐い話、……寄らば喰らわれる蟲卵だなんて」

女学生B「肌が粟立つ程に恐ろしい、暗くなる前に帰りましょう。」





大正後期、埃の舞い散る古びた喫茶店で品の有る着物の少女が語る。
夕暮れ時、籠の夜が迎える頃に__げにゃりと鳴く猫の鳴き声一つ。






嗚呼、また一人消えた。


>レス禁止



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  • No.62 by 月夜  2016-12-02 12:18:48 



>朝陽


(シンと静まる程静かな空間に一人きり、一定間隔を乱す事無く動く心臓の音までが体中を伝い音として響き渡るのでは。と一人きりだと馬鹿げた事を考える。煩い程に静かだった空間は、待ち侘びる男一人の登場で居心地のいい空間に入れ替わりを見せ、待って居た事を告げようと口を開いては言葉が上手に喉を通らず飲み込んだ。喋りが下手だと意思の疎通すら上手に出来ぬと口惜しく黙りこくる。それもほんの僅かな間で終わり、殻を袋に詰めただけのその行為を余りも恥ずかしげもなく偉い偉いと褒めしきるものだから撫でる手の平の温もりに文句をつける隙すら与えられずに視線を逸らすばかり。暖簾のようにずしり…と重たい前髪のその奥では隠されるように口元が緩む、嗚呼、この感情は何だと言うのか。詰る所、自信に満ち溢るる自身と真逆の男に褒められる事が糧となるように嬉しくて堪らない。言葉や行動でその嬉しさを素直に表現できないのが難点だが、彼の優しい声を一つとして聞き逃したくないと欲を持ち、柔らかく温かいその手の平で触れて欲しいとまた欲を一つ重ねる、その表れが大人しく彼の言葉と体温を受けている現状に繋がり。この時間が、ずうと続けばいいと願ってしまう。__が、そんな事が叶う筈も無く手が離れて剰えその身体すら離れてしまうと思わず引き下げる顎を上げ、目でその姿を辿り、そして見惚れる。胸を張り背筋を伸ばす男のなんと凛々しく見目奪う麗しさを持つことか、その彼が当然のようについて来る事を示すものだから断る考え一つ生まれずに丸めるその身をのたり…のたり…と引き摺り起こす。道中にはやはり未だ少し警戒を保つように泳がす目線でその一々を確認し、ここで孵化してから一度も他の人間を見ていない事が気にかかる。住まいはこんなにも立派だと言うのに、だ。ぺたりぺたり、裸足の音を歩く度に響かせて「__……此処では、一人で住んでんのか」そろり、と泳がせていた視線を彼へ向ける。横向きの面は矢張り凛として美しい、欲しいと願ってしまう。邪な欲がこれ以上生まれる前に向けた眼を再び落とし「俺は此処に居ても――」”良いのか”と問いかける言葉は途中で尻すぼみ、「駄目だと言われても、厄介になることになる」明確な拒否を聞くより先に言葉を急ぐ。本能以外の生きる術を彼から盗み学ばなければならない、と咥内に溜まる唾を飲み込んで)


  • No.63 by 白雨  2016-12-02 12:49:07 



>薫子

(少しずつ遠のいていく肉の動き、足音、触れた指先も近付く柔らかな存在も、本能の赴く儘に食らいたいと欲が産れる事は不思議と無かった。その肉に歯を立てて温かい内に血を啜れば腹が満たされるのだろうか、疑問にも近いその感情は蟲として確かな感情の欠落の表れで。雨の音だけは蟲卵の中と一寸違わず見せる顔を変えない、だから良い。両方の瞼をそっと閉じ、暗闇の中に居る筈なのに焼きつく程眩しく思うのは命の光を確実に燃やしているからか。雨の音ばかりでは時間の感覚が狂ってしまい、待っている時間が早くとも遅くとも感じる。待っている間は近付く足音にもう来てくれたのかと感謝の気持ちを思ったのに、閉じていた瞼を上げて、彼女のその姿を瞳に捉えたその瞬間に考えが一転し、やっと来てくれたのか待ち望んだぞと変化を遂げた。そして、ギイギイと身悶えし金切り声を上げる鶏は細身の彼女に笑いが込み上げる程似合わなかった。にこり、頬を緩ませて一層と強い雨の香りを連れた彼女に眉尻を落とせば「__外へ?、 あなたから雨の匂いがします。」外は冷えたことだろうに、温めてあげる事すら叶わない使い物にならない自らの手を一瞥し小さく息を漏らす。選ばせてくれる食事が並べば迷いを見せる事無く鶏へ手を伸ばし、どうやって食べようかと考えた時に共に添えられる肉切り包丁の鋭利さにその使用用途を理解する。「いただきます」添えるのは一言ばかり、力の弱いその声は容赦も躊躇いも見せずに包丁を握らせ鶏の頭をゴトンと落とす。どぷ…どぷ…どぷと切り口から溢れだす獣臭さと赤黒い血液に無意識の内に舌なめずりを、グラスに唇を添えるように頭の途切れた首へ唇を宛がい生き血を啜る。__この鶏が今の今まで生きていた事実を殴りつけるか如く、喉に流れ落ちた血液は熱かった。命に感謝をするためか、部屋を少しでも汚さないようにと考える為か、飲む量を急がずに調節して零さないようゴクリと飲み込む。肉を喰らわずとも、生き血を啜るだけで青白かった顔色は赤みを取り戻し、その後も数分かけてゆっくりとした食事を行う。傾けても血液が滴らなくなった頃、漸く唇を引き離し「御馳走様でした。」と言葉を呟く、食前の挨拶よりもその声は確かに力を帯びる。浅い呼吸も整い、発光する瞳は黒々しく輝きを消して「――育ての親と、そう言ったでしょう。雨が僕とあなたを引き合わせたように、今度は引き離してしまうまで……長いか、短いか、今はわからないけど」粘液に汚れる着流しの上へ血抜きされた鶏を置いては確りと向き合い言葉を綴る、すうと呼吸を置いて「白雨を、あなたの傍に置いてください」嫋やかなこの女性が持つ何処か違和のその部分に寄り添いたいと思ってしまった、勿論自らを孵化させてくれたと言う恩も有るが此処に残りたいと思う経緯はその思いも混じっていて)

  • No.64 by 藤岡 朝陽  2016-12-02 14:30:48 



>月夜

( 悟るのは春、求めるのは夏、誰でもよくなって秋、誰もいなくなるのが冬なのだと、決まっていると己は思う。何度も季節を繰り返してきた大人達は、気付かぬ内に上手い生き方を会得していく。それは固まった墨汁を捏ね回した様な黒海に、音も無く降り注ぐ白雪みたいに儚い欲の殺.し方。“本能だけじゃ人は死.ぬの。あたしは理性で生き残るのよ。”そう語ったのは誰であったか、あるいは何らかの本で読んだのかもしれない。ぺたりぺたりと吸い付くような素足の音が、冬の夜を静かに彩る。一人で住んでいるのかと聞かれれば、ああ、と短く視線も寄越さず返事をした。他に人がいたらお前を連れ回したりなんかしないさ、と内心思うも口に出すことはせず、自室の前でぴたりと立ち止まる。―――聞き辛いなら、咎められるまで黙っていれば良いのに。長い前髪に覆われた表情を窺い知る事は到底出来ない。紡がれる言葉のみで彼の心中を探ろうとして、すうっと目が細まっていくのを何処か他人事のように感じた。肯定されたがるのは、求められたがるのは自信の無さの表れだ。言葉を欲しがる子なのは十分に分かった。聞き辛いから中途半端に促して、びくびくしながら求められるのを待っている。突き放されたら死にたい位傷付くのだろう。だったら、咎められるまで黙っていれば良いのに。それでも、否定される恐れと求められる喜びとを量りにかけて、後者を選び取った承認欲求は中々のものである。もしくは、見限られた時に「わかっていたさ」と吐き捨てる為の予防線。その確認癖がどちらのせいであったとしても、盲目的な恋に落ちる女の様だ。そう思ったら、加虐心の強い己の中でむくむくと、この男を否定したい欲が生まれてしまう。理不尽な平手打ちでぞくりと渦巻き迸ったあの興奮は、他の何にも代えがたいのだ。…調子に乗るなよ、化け物が。そう言われて絶望に伏すこの子の顔が見てみたい。手放す気なんて少しもないけど、己の興奮の為だけにそう言い放ってしまいたい本能を理性で抑え込む。優しい表情を心掛けては、「…お前を追い出してしまう様な男に見えるのかな。頼んでも離してやらないから、そのつもりで、ぬくぬく閉じ籠っていたら良い。」等とつらつら告げた。返事を待たずに引き戸を開けると、「今日はここで眠ろう、入って。」と言いながら、真ん中に木机があって、端の方に服棚と畳まれた布団が置いてあるばかりの四方を本棚に囲まれた自室に足を踏み入れる。手拭いを持っていない方の手で器用に服棚を開け寝巻用の着流しを取り出すと、着替え兼手拭いを置きに行く為また彼を一人残して部屋を出た。 )


  • No.65 by 月夜  2016-12-02 21:50:13 


>朝陽

(もし今より少し人の気持ちに敏感で有ったならば、恐らく問いかけに生じる妙な間が何を意味しているのか察する事が出来たのだ。生憎にも己と言う男は自らの気持ちの整理一つですら真っ当に行えない訳で、自身の事すら把握できないのに他者の気持ちを探るとは困難を極めてしまう。返事が戻らないその間に疑問一つを持たず、繕われる優しさが全てと受け止めた。盗み見た表情が余りにも優しくて、頼んでも離さないと言う言葉が自らを必要としてくれるようで単純にも生きていることを許されたと思う。その自惚れは何処までも感情を揺さぶり、流れているかもわからない血を滾らせて、先の言葉を頭の中で繰り返すたびに実感が増しじわり…じわり…と体温が上がる。唇を噛みしめるも口角は緩み、目元は細まる。笑顔と言うには不器用で、恥噛む気恥ずかしさを纏った嬉の面を。集まる熱を逃がす為、冷たい酸素をす―と吸い込み齷齪と我慢をする。人の気持ちに寄り添えない己は浅はかにも、彼の真意に辿り着く事が出来ず上面だけの優しさにどっぷりと心を惹かれている。先程、叩かれた頬が痛みを鈍くしたのと同様、過ぎ去った衝撃は今や目先の作られた優しさで上塗られている。情緒不安定の如く裏表と応対の変るそれを狂気と気付く事は無い、が、自らを必要としてくれたその言葉はそれほどまでに何にも代えられない全てとなり心に刻まれて。招かれた部屋は本の匂いのせいか、紙の特有な香りが交わる。それでいて、濃密な彼の匂いがした。近付いた時にふわり、と鼻を掠める些細な物ではなくその部屋に足を踏み入れた瞬間にもし少しでも飢えを覚えていては堪えきれなかっただろう程の彼を食したいと言う思いに駆られ。そんな自分にゾクリと背筋を震わせた。己を必要としてくれた、彼を今どうしたいと思ってしまったのか。繰り返す様に自問自答を行うと再び部屋から彼が離れると、自分を置いて彼が何処かへ行ってしまうのではと不安を抱く。その不安は言葉にならないが、反射的に上げた顔つきに明確に表れて「――ッ。 早く戻って来ないと、戻って来た時に…部屋の中がごった返しになってるぞ」可愛げのある引き留め方等知らぬ、出来る事と言えば迷惑を掛ける事を前提に匂わす事で少しでも早く戻ってきてくれることを意識付ける事だけ、うろうろと場所が落ち着かずに徘徊をしてから部屋の隅に身体を落ち着かせ。布団の上に乗る事はより濃く彼の匂いを感じてしまいそうで出来ずに、腰を下ろした格好で顔を上げ、部屋の中をぐるりと見渡し多くの本に囲まれる部屋から、これほどの本を読む彼だからこそ知識が豊富で有り、知識が有るから自らに自信を持てるのだろうかとぼんやり考え。)

  • No.66 by 久坂 薫子  2016-12-02 23:23:18 

>白雨

(暗闇の中で淡い光を放つ青年の、なんと幻想的で美しい事か。ゆっくりと彼の瞼が持ち上がるのに合わせて二つのあかりが灯るのに、魂がふうわりと吸い寄せられるような心地がした。光に集う羽虫とはこのような気持ちなのだろうか。と、何とも皮肉めいたことを取り留めも無く考える。そんな事に気を遣っていたからだろうか。見上げる顔が笑みを形作るのに心当たりはなく、はて、と首を傾けてから問いへの肯定に頷きを一つ。雨水を含んで僅かに重くなった着物の裾を捌いて先ほどのように正面へと座せば、並べた食事から一瞬の迷いもなく選ばれたのは不運ないきもの。噂話が正しかったのだと思う以上に、彼が蟲卵だと言う事がすとんと胸に落ちる。一体どのような食事が行われるのかと、じぃと視線を注ぐ先。淡白ながら食前の挨拶を忘れずに、誰に教わるでもなく道具をきちんと使いこなす姿は親としてとても誇らしく、知らず知らずのうちに口元は弧を描いた。――こんなにも美しく、丁寧に命に意味を与えられた鶏はさぞ幸せだろう、なんて。双眸には同情でも悲哀でもなく侮蔑の色が確かに滲んでいるのに、祝福にも似たとろけるような笑みを床に転がる頸部に向ける。しかしそれも一瞬のこと。もうそちらに用はないとばかりに視線を彼に戻すと、以降はごくり、ごくりと真っ赤な命を嚥下するたびに白い喉が動くのを熱心に見つめ続けた。――やがて永遠にも思えた食事の時間が唐突に終わりを告げれば、死の影が遠ざかった気配を食後の挨拶で確信してそうっと息を吐く。もう少しあの光を見ていたかったと望む気持ちが無かったとは言わないが、それ以上に燻る焦燥感がすぅと失われたことに確かな安堵を覚えた。光源を失った部屋でもつやりと輝く黒瞳に視線を合わせて、頼まれるまでもないことに綻ぶように微笑めば「勿論よ、わたくしの愛しい子。……でも一つだけ覚えていてね」とびきりの秘密を告げるように立てた人差し指を自らの唇へとあてがったかと思えば、人ひとり分ほど空いていた彼我の距離を音もなく詰め、まだ乾ききらぬ粘液に塗れることも厭わずに両の腕を彼の首に絡めて「――――わたくしはね? ひどい人は嫌いなの」ザアザア、ザアザアと。響く雨音に今にも掻き消されてしまいそうな囁き声を彼の耳元へ吹き込めば、するりと腕を解いて「さ、まずは身なりを整えましょうね。――背格好は似ているから、あの人の服が合うはずだわ」と何事もなかったかのように胸の前で両手を合わせて微笑みかけ)

  • No.67 by 匿名  2016-12-03 05:21:29 

名前 及川 樹 ( oikawa ituki )
年齢 27
性別 男

外見 濡鴉の様な漆黒の髪はウェーブが掛かった様な生まれ付きの癖っ毛。つい切る事を先延ばしにする面倒臭がりの性格故かだらしなく肩程迄伸びているのでひとつ結わき。やや垂れ下がった瞳はアーモンド型、笑うと目尻に皺が寄る。色は髪同様に黒色。比例してやや吊り上がった眉毛とスンと落ちる筋の通った鼻にパーツ自体は悪くないが髪が前髪に掛かってしまい台無しの風貌である。色素の薄い、紫陽花の様な薄紫の着流しに灰色の羽織が何時ものスタイル。

性格 良きにも悪しにも自分のペースを大切にする、自由気儘な猫の様な性格。面倒臭がりが災いし悪しに転ぶ事が多く見てとれる。生への執着が無さ過ぎて死への危機感が疎かになりがち。その癖好奇心は人一倍に働く為興味のあるものには突っ込んでいくタイプ。「まあなんとかなるだろう」精神の為決断は本能が赴くままに何時も直感。愛やら恋やらには鈍感である。

備考 両親が残した小さな屋敷に一人と、黒猫が一匹。小説を書きながら生活をしている。時々小説を受け取りにくる男が一人屋敷に訪れるだけでご近所付き合いはなく家から出るは最低限の買い物の時のみ。家には本が溢れ、暇な時には本を読みしがない毎日を送っている。

ロル __

( 己の性格を此れ程迄に恨む事になろうとは後にも先にも恐らく此れが最後となるだろう。視界の先で今にも生まれんとする蠢く気味の悪い物体をまるで他人事の様にぼんやりと見詰めながら押し寄せる波の様な後悔。大きな溜息と共に零れ落ちた言葉は現状に似合わず「やア、こいつは…驚いたな。」と何とも自分らしい一言であった。事の発端はと云えばこの屋敷に唯一訪れる男の「巷で噂の蟲卵を拾ったので、小説のネタにひとつ育ててみませんか。」という言の葉であり「そんなの唯の噂話に過ぎないだろう。見てろ、どれ程温めようがこれは”噂話”に過ぎない。」と言って退けた己の生緩い発言であった。己の中では単なる” 噂話 ”であったが為に男が帰った後で適当に放置しようと考えていた訳だが、子供の様に瞳を輝かせる男を目の前にしてはそれも気が引け仕方無くその日の内に使わぬ布団にくるめ空部屋の隅に放置していた。大した興味も抱かなかったその事等寝て仕舞えば忘れるも早い話で。日に日に大きくなっていた卵の事など露知らず、ついに布団の丸まりが可笑しい等と剥がした時には時既に遅しの今に至る。「明日確認すればいい」が積み重なった結果は自分では取り返しのつかない事態を招いてしまった。情け無い。その場によっこらとしゃがみ込み未だうごうごと生き物の様な動きをする其れを間近で見遣れば心臓が脈打つ様にびくり、びくりと震えている。噂通りこの中から化け物が産まれてくるとするならば一番初めに見る己の事を化け物は父や母だと思うのか。其れとも人間は何て美味そうなんだと口にするのか。単なる噂話が” 未知なる生態 ”に変わった時生まれる好奇心と面倒臭いものを押し付けられてしまったというこの上ない後悔が相対し夢を見ている様なぼんやりとした思考回路をぶら下げただ只管に脈打つそれを見詰めていた。__みゃあご。遠くで飼い猫の鈴が鳴いている。さて、この化け物は果たしてどんな鳴き声で己を呼んで見せようか。何を考えるにも後悔するにも此処に産まれてくる以上はもうどうしようもないと諦める他ない。視線をゆるりと其れから離し「…鈴、」此方へ近付く黒の毛玉に手を伸ばしたーーと、ほぼ同時。狙った様にぴきりと何かが割れる音が静かな部屋に響いては吸い寄せられる様視界は再び其れへと流れ )

( / 素敵な世界観につられてやってきました…!参加者様や主様には到底及ばぬ覚束ぬ言葉達が織り成すロルとなってしまいますが…!是非手招くんとお話がしたく思いますので息子を投下します……!えいっ…!もし宜しければお相手して頂ければ泣いて喜びますので宜しくお願いします )

  • No.68 by 白雨  2016-12-03 10:50:26 



>薫子

(言葉通り、命を貰い受け延命をする。少し命を続ける為に一つの命を丸々奪うのだ、何と残酷な事だろう。それでも今確かに産まれついてから身体に纏わり付いていた息苦しさも指先一つ動かすのすら億劫な感覚から解放が出来ているのだから形容しがたい感覚に落ちる。近付いた彼女からは雨の香りがして、その冷たさすらも心地が良いと感じる。首に回された腕は何処までも細いのに、底抜けの測りきれぬ強さを向けられた気がした。それも束の間、乱れることの無いザアザア音を掻き切るように決して張り上げる訳じゃない静かで落ち着いたその声が呟く一言に心臓を掴まれた気分になる。思わず眉が上がり瞳孔が開く、繰り返す呼吸さえ咎まれる様に動きを止めれば黙りこくりその言葉の真意を探り。脳味噌を叩く様に雨音だけが一定と、自分の彼女だけを逆さの傘の上へ閉じ込めるように他の全てを遮断した。腕が解かれ、傍で感じていた彼女の雨が遠のいてしまえど頭には先の言葉ばかりが延々と繰り返し、結局は真意を掴めないその言葉の重さに惑ってしまう。次ぐ言葉に釣られる様に微笑を浮かべれば「他にも誰か――?、嗚呼、着替えながらで良いから。僕にあなたの事を教えてください、…だってまだ、あなたの名前すら僕は呼べないのです」現れる"あの人"と言う第三者の呼称、それは此処に他の人が存在する事を臭わせるもの。その一点を問いかけたが疑問は直ぐに回収する、此処に誰が住まおうと関係が無いと思い立ったからだ。頭に被る帽子を下し、顔を一層と晒せば困ったように微笑を浮かばせて「あなたは__僕とさして変わらないことでしょうから。母様と呼ぶには違和が拭えない」年頃は同じ位だろうか、瞳に映る女性の麗しさがそう語る。そんな彼女が自らと比べて凛とし落ち着きを払うのは経験の差だけじゃない事は明確であり。かといって、それを失礼に当たらぬように問いかける自信が無ければ少しばかり頭を傾けて先ずはその疑問を下し、今此処にいない"あの人"と呼ばれる誰かの服を準備してくれるその様子を目で追掛け、その合間には他の音など一つとしないような静寂のこの部屋の中を一度見渡す。必要以上の物が置かれない綺麗な部屋は彼女がどんな女性なのかを少しだけ教えてくれるようで無意識の内に表情を緩め「僕は蛍の蟲卵です。他の蟲に比べればさして役立たずの事でしょう__でも、あなたにひどい事をしたいとは思わないのです。あなたと素敵な雨夜を過ごしたいと、そう思うばかり」ゆったりとした声色で自分なりに彼女の先程の言葉を理解しようと一度自分の口で言葉を落とし、肌に触れればベタベタと張り付く様な粘着が気味悪く、季節を感じさせる雨の素敵な香りではない血腥く醜悪な香りを纏う自らに嫌悪を抱きつつ羽織る着流しを上半身だけ脱ぎ落とし)

  • No.69 by 蟲  2016-12-03 11:12:45 


>匿名様


(/このように趣味丸出しのトピに興味を持って下さり有難う御座います。折角のお声がけ誠に嬉しい限りなのですが、今回はとても悩みまして交流の過程等を考慮し手招きとの相性を考えさせて頂き、見送りをさせて下さい。とても素敵な息子様のプロフィールを提出して頂いたのに良いお返事が出来ず申し訳ございません。此方のプロフィールは引き取って頂き、他のトピで使って頂いて大丈夫です。重ねてになりますが、今回は興味を持って下さり有難う御座いました!貴方様に良いご縁が有りますようお祈りしております。)

  • No.70 by 匿名  2016-12-03 13:15:16 


>主様
( / 此方こそ態々御返事をして下さり有難う御座います。それはとても残念に思います、厚かましいお願い事では御座いますが此方のロル回しでの相性の問題ではなければ(ロルが合わない場合は引き下がりますのでご遠慮なくお申し付けください)主様の意見を取り入れた上、新しく息子を提出させては貰えませんか。世界観にとても惹かれております故、お相手は他の息子様でも構いません。相性もありますから、先程も申した通りロルのお話であれば無理にとは申しません。それはなりきりをする上で仕方ない事ですのでお気に為さらずに。スペースを頂き申し訳ありません、此方こそトピの繁栄を心から祈ります/ 深礼 )

  • No.71 by 蟲  2016-12-03 13:33:11 


>匿名様

(/再びお声掛け頂き本当に有り難い限りです。ロル回しに関しまして相性は問題が御座いません、手招自体が愛を向ける構ってちゃんの性分ですので恋愛に疎い面、ロルテの中に含まれました蟲卵に関する関心の低さが手招との相性の悪さに思いました。加えてプロフィール内に身長の記載を頂けると有難いです。逆に手招の相性のいい性格ですと、厳しくも甘やかしてくれる宛ら不器用な父親の様な傾向になりますので参考までに。世界観を褒めて頂き本当に嬉しくて仕方が有りません、もし疑問質問が有りましたら遠慮なさらずにまたお声掛けくださいませ。)

  • No.72 by 匿名  2016-12-03 14:40:43 


>主様
( /ロルに問題がない様で安心致しました。以下、新しく作成した息子になりますのでお目を通して頂き何か直すべき点が御座いましたら遠慮なくお声掛けください!回収した息子とは職業を覗き全く別の息子となります。この度は厚かましいお願い事を聞いて下さり本当に感謝しています /深礼 )


名前 米倉 千鶴( yonekura izuru )
年齢 27
性別 男

外見 艶のある黒髪を丁寧に切り揃え肩下辺りまで長く伸ばしてひとつ結わき。洋風の文化が押し寄せる現代にて日本らしさを求めた結果であると本人は気に入っている様子。凛とした月目の瞳は微笑むと三日月の様に折り曲がる、色は髪と同色の黒。口許は常に弧を描いている為か、真剣な面持ちになる際や怒る際などはがらりと変わった印象を与える。家に籠もりがちの性格故深緑やグレーの着流しに身を包み外出の際は上に羽織を着る。身長は178㎝と高くひょろりとした外見だが触れればやはり男らしい。

性格 柔らかな風貌を裏切らない優しく温厚な性格。緩やかに毎日を楽しみ生きて行くタイプ。生き物や植物に優しく何者においても「生命が宿るものは大切に」精神。子供大人に関わらず間違いは間違いと正し、導いてやらんとする御人好しの面も持ち合わせている為周囲からは頼られる事も少なくない。また困っているものを見過ごせない事もあってか、同時に断れない事もあってか、時には損をする事もあるのがこの男だが逆を言えば人生の経験が豊富なのだと物事を前向きに捉える傾向がある。

備考 今は亡き両親が残した小さな屋敷に独り暮らし。庭には植物が息をし、野良猫やら小鳥やらが訪れる事が多い為独りでいる事は対して気にならない様子。小説を書きながら生活をしている為家に籠もりがちだが、やれ残り物だやれ頂き物だとご近所からの訪問者が多い為人付き合いはそれなりに。

ロル __

( 嗚呼、もうそんな頃合いかと。縁側にごろりと転がる黒い其れを見詰めていた。日光の光に照らされ鳥の卵の様薄皮の下が脈打つ様が見て取れるがそれは奇妙なものを見ているという印象よりも噂話が実話に変わろうとしているこの瞬間こそが神秘的な様なものに思えて堪らなく胸を擽っていた。気味が悪いのではと問われれば答えはそうだなと頷いてしまう程の眼の前で蠢く黒い塊も己が育てたのだと思えば何故か可愛くさえ思えてしまう。此れが母親が子を授かった際に抱く母性の様なそれなのだろうか。噂話の通りに事が運べば中から産まれるは化け物となろうが口から零れ落ちた言葉は「…御前、もう直ぐ孵るのか?」などといった呑気なそれだった。思えば此れを受け取る際にも、近所に住む女が泣く泣くに持ち運び「噂の卵を子が拾ってしまった、助けて欲しい」と言われまるで飼えないので頼むと猫を差し出されたのを貰うと同じ様に大事に受け取り「なあに、心配いらないよ。」等と会話したのはまだ記憶に新しくつい昨日の様にも感じていたが。些か考えていたよりずっと早くこの子は成長を遂げてしまったらしい。育てないという手もあった筈なのにこうして育ててしまったのは持ち前の好奇心と此奴も生きているのだからといった生き物に対する己の中の底知れぬ感情の所為であり生まれんとする目の前の奇妙を目にしても新たな生命の誕生を喜ぶ己がいるのだから、此れで生まれた者に喰われようがそれは仕方のない話なのかも知れない。「…人の世に産まれるとは、御前も中々冒険家だな。」父が悪戯をした子に向ける様な、困った様な笑みをその顔に浮かべては今一度その生を確かめようと蟲卵に手を伸ばし )

  • No.73 by 匿名  2016-12-03 14:46:37 


( /続けての書き込みお許しください…!此方の見間違えで「厳しくも優しい父親」ではなく「優しく時に厳しい父親」の様な息子になってしまって…申し訳ないです…。好奇心と生き物への優しさを兼ね揃えすぎてしまった様にも思え不器用とは程遠いかも知れません。此方の解釈違いとなりますので手直しは幾らでもさせて頂きます。出来るだけ主様のご意見にそった息子に仕上げたく思っておりますので、ご意見は遠慮せずにどうぞ申し上げてくださいませ…! )

  • No.74 by 蟲  2016-12-03 14:53:34 



>匿名様

(/お早い提出ありがとうございます。もし、PL様が扱いにくく無くご負担で無く、甘えても良ければ容姿、備考とそのままで構いませんので性格だけ前述通りの厳しさを兼ねた物にして頂ければ背後の事情にもなりますが大変好みでして…。ただ、PL様にとって扱いにくいとの事でしたら、今のままでも大丈夫ですのでご意見を頂けると助かります!あぁだのこうだのと煩くて申し訳ないです…!)


  • No.75 by 倉井 ルリヲ  2016-12-03 15:35:02 


>黒鈴

あ――っう……(不満なくせにうまくもない鉄を食むなんて思いの外食い意地の張っている、それとも小鳥の二羽程度では異形の腹は満たされないものなのか。ともあれ空腹に目を濡らして見上げてくる表情は本当にひもじそうで、放っておくよりはまだ癒されるだろうと気紛れにくすねてきた干し肉を差し出すより早く反応したのは今まで濡れていた瞳。雰囲気の変化を肌に感じた視界の隅に落ちる鳥籠を捉えるとまた大きな音を立てては今度こそ部屋をのぞかれかねない、女を連れ込んだなどと誤解されては心外だと咄嗟に庇って足の甲で受ければ籠はゴト、と鈍く転がり。骨に響く音の通り重い鈍痛、片目を細めて息を詰まらせながら耐えると物音を抑えられた事に殆ど溜息めいた安堵の息を小さく吐き、改めて相手を見る。余程鼻が利くらしく瞬きの前まで悲哀を感じさせていた相手はすっかり食欲にやられているようで、面影もなく可憐な顔には爛々とした捕食者の息遣いを浮かばせ、そのくせ決して奪おうとはせずにそれ、などと目敏くねだる強かさはこうまで分かりやすいといっそ愛嬌じみてくる。「良かった。その呼び方の方が好きだ」計算高くさえ思える呼び方の変化に知らず口角を緩めて出た声は今までよりはいくらかおかしそうで。桶を机に置くとポケットから出した包み紙を開き、そう多くはない肉に指を迷わせてから数切れを相手に差し出し「ご褒美になるか分からないけど、ね」残りは再びポケットに戻して。そうしてから改めて相手を眺めればあのドロドロとした粘液は粗方拭えたのが分かるが着物に染み付いた分は簡単には乾かないらしく畳を見れば歩いたのだろう蛞蝓の這ったような跡が僅かだか光っているのに気付き、本当は風呂にでも入れてやりたいところだが銭湯はとっくに終わった時間だしそもそも相手が一人で風呂に入れるのかも分からないのも本音。「水のままだから冷たいけど、体を拭きたければこれを使って。今、着替えに出来るものを探そう」聞いているかは分からないが押入れに近付きながら桶を示してそう言うと下段に積まれた荷物の中から行李を一つ取り出し、蓋を開けて探すのは以前夫婦から贈られた浴衣。少ない私物の中で、一度袖を通したっきりしまい込んだそれならば相手にも十分足りるだろうと)

(/ありがとうございます。参加させていただいてとても楽しいので、遅筆ですがこちらも読んで、絡んで、楽しんでいただけるものを提供出来ればと思います!こちらのロルで分かりにくい部分や勘違い、その他、何かありましたらお声がけください。それでは、引っ込みます)

  • No.76 by 匿名  2016-12-03 16:04:24 


>主様

( / 全然大丈夫です…!厳しい一面を考え以下の息子を提出いたしますので確認の程をお願い致します。自分の芯を只管ぶれないよう生きている為にやや生き難い性格にしてみましたが、如何でしょうか…?ただ生き物を大切にする性格はそのまま残してみましたので、人と呼ぶには難しい手招くんに厳しくも何処か優しさを残した対応ができるかなと思っております!ロルの方は人が見ていない場では見せない一面とし、あの儘でと思いましたが回し直しも勿論大丈夫ですので其方もお声掛けください!何度もスペース頂き申し訳ありません…!宜しくお願い致します )

名前 米倉 千鶴( yonekura izuru )
年齢 27
性別 男

外見 艶のある黒髪を丁寧に切り揃え肩下辺りまで長く伸ばしてひとつ結わき。洋風の文化が押し寄せる現代にて日本らしさを求めた結果であると本人は気に入っている様子。凛とした月目の瞳は微笑むと三日月の様に折り曲がる、色は髪と同色の黒。口許は常に弧を描いている為か、真剣な面持ちになる際や怒る際などはがらりと変わった印象を与える。家に籠もりがちの性格故深緑やグレーの着流しに身を包み外出の際は上に羽織を着る。身長は178㎝と高くひょろりとした外見だが触れればやはり男らしい。

性格 芯を持ち己の考えを真っ直ぐに貫き通す良きにも悪しにも頑固者。他人にも自分にも厳しい一面があり駄目なものは駄目とはっきり区別してしまう。また、根は優しい性格を持ち得ているにも関わらず人に優しくする事が上手く出来ない不器用者の為誤解を招く事ややや生き難いと感じる場面に出くわす事が多い。生き物や植物が好きで「生命が宿るものは大切に」精神を心掛けているが普段の性格を気にしてか人前ではその姿を見せる事はない。また生前の父が口にした「困っているものを見過ごすな」という教えを馬鹿正直に守り抜く為何かとものを押し付けられ文句を言いつつ呑んでしまう。時に損をする。

備考 今は亡き両親が残した小さな屋敷に独り暮らし。庭には植物が息をし、野良猫やら小鳥やらが訪れる事が多い為独りでいる事は対して気にならない様子。小説を書きながら生活をしている為家に籠もりがちだが、やれ残り物だやれ頂き物だとご近所からの訪問者が多い為人付き合いはそれなりに。

  • No.77 by 黒鈴  2016-12-03 18:11:59 



>ルリヲ

まあ、まあ、__少しは柔らかくなった?(漂う肉の匂いに現を抜かしていれば放り投げた鳥籠とは既に意識の外に有り。だからこそ堪える様な絞り出した苦々しい声と跳ね返る重たい音にぱちくりと悪気一つない幼気な面を見せ、落ちた鳥籠が足の甲を赤く染めればさぞや痛かったことだろうに、それを労わる感情をこの蟲は生憎哀れと持ち合わせていなければ痛々しい程の赤を躊躇なくピンと伸ばした人差し指の腹でグイグイと押して。それも戯れとしか捉えておらず、差し出された数枚の肉を目前にはどうでも良い事と思考は埋まり。手の平にその肉を広げれば嬉しそうに表情を綻ばせ、先ずは一枚を。上下の歯を使い噛み締めるようにモグモグと咀嚼を繰り返す、唾液で解けた肉の旨味が口内に広がると初めて食べた食事が基盤になるのは仕方がなく。嗚呼、さっきの鳥は温かくて美味しかった__なんて無意識の内に比較しては贅沢な舌が嘆きを落とす。そして順繰り思い出すのは次に口にした鉄篭、なんて事は無い今食べているのはとても美味しい物じゃないかと考えをクルクル変化させ、それに伴い大きな変化は無くとも眉を上げたり下げたり忙しく動かして。飲み込む事は名残惜しいと思いながらぐちゃぐちゃに変わった肉を飲み込む、手の内には未だ肉が残る。それを配分良く振り分けて食べる事は出来ない、食べ終われば次の肉へ指を伸ばしては同様に咀嚼を行って。口内の肉を幾度も幾度も繰り返して噛み続けるだけでも満腹中枢は満たされるようで、無意識の内にモゴモゴと歯を動かす回数は多く。桶の中で波を打つ水をぼんやりと眺めてから覗き込む、水鏡に映るその姿を見て初めて己と言う存在を把握した「 死んじゃうほどに冷たいのは困るのよ。でも、これくらいなら__へいき 」己の見た目と言う物に関心が薄いのか、桶に貼られる水を手で掬えばゴクリゴクリと喉に流し喉を流れた水の冷たさを体感する。と、同時に喉の渇きまでが満たされる。ふう、と小さく息を漏らしては有る分だけを食べてしまおうと口は忙しなく休みを知らない、もぐもぐと動かしながら自らに向けられる言葉を確りと聞く。ぱさり、と布ずれをする音を纏えばべた付く着物を脱ぎ床に広げちゃぷ…ちゃぷと手を桶に泳がせてはその冷たさを楽しんで。何をするにも粘つきを与えていた感覚が消えると気分が良い、長い髪を桶に垂らして毛先を濡らしギュウと絞る。それを数回繰り返すだけで人と交われば違和が無いだろう有触れた姿に変わり。最後の一枚、渡された干し肉の最後を口に放り込み「 おかわりは終わり?もひとつ、もひとつだけ黒鈴にちょうだい 」底抜けの食欲は胃が壊れているとしか形容できず、頼りない月明かりの中ついに貪る肉は消えてしまう。ぐったり、桶に体を寄せては衣類を纏わない事の恥じらいなんて一つも持たずに濡れる髪を体に貼り付け途切れない食事の香りに言葉を続けて。彼が何をしているかはわからないが、何かを探しているガタゴトガサゴソと言う音を遠くに感じ「…何をさがしているの」ひたり、頭を拉げ二つの目に男の姿を確りと映す。ぼんやりとした声色で問い掛けるのはそこまで知りたいことではない、ただ声を掛ける切欠を作りたいに過ぎず。「 おてつだい、しましょうか。まだ食べたいの、ご褒美はわすれないで 」んふふ。と漏らす様な笑い声は少しばかりこのやり取りを楽しむように軽やかで)

  • No.78 by 手招  2016-12-03 18:18:35 



>千鶴

(揺り籠で守られるか如く、蟲卵の中とは居心地が良くて敵わない。優しく暖かく、それでいて生涯を終える気にならない退屈を与えるのだ。蟲卵の中で成長する体は背を丸める体制に痛みを帯び、そうなる事が必然であると語るかのごとく腕が伸びる。グイと押しやる手の平では殻が割れない、ごん…がん…と地響きのように音は次第に大きくなりそしていよいよ、偶然にも彼が手を伸ばしたその時に手の平ほどの穴が開く。その隙間から入る空気が少し冷たくて今が冬に足を踏み入れた季節と思い知る、冷たい酸素を肺に落とすと途端に飢えを覚えてしまうから蟲と言う存在は余り良い物じゃないなと孵化したての働かない頭で考えを描いた。パキパキと爪先で殻の穴を広げて行き、ぬちゃりと粘液を纏い月明かりにてらてらと身体を光らせて急ぐことなくゆっくりとその身を殻から覗かせて。瞑っていた瞳を開くのはほんの一瞬、直ぐにその両目を吊り上げるように細め上げると「招チャン、お腹すいた」開口一番にその言葉、それに合わせて開かれる口の歯はギザギザと鮫の如く鋭くてガチンとその歯を鳴らす。「招チャンお腹すいたから、何か食べる」_浮かべる表情は化物、そう呼ばれる由縁宛らに気味悪くにんまり笑顔。殻から上半身ばかりが出る様な体制でぺろり、と舌なめずりを行って。纏う空気は警戒心交じり、まるで狩りに出るそのタイミングを間違えないように慎重に図っているようでもあり同じ部屋にいる彼の動向を逃さぬように探り、ずるり…いよいよ殻からその身体を取り出して)

(/先に出ておりますロルテに絡まさせて頂きました。何度も何度も申し訳ないです、本当に有難う御座います。不甲斐無い主ですが、どうぞこれから宜しくお願い致します。/こちら蹴って頂いて大丈夫ですので!)

  • No.79 by 倉井 ルリヲ  2016-12-03 20:51:52 


>黒鈴

(足の甲でじくじくと疼く鈍痛がなかなかとやまないのは受けた物のせいもあるだろうが、おおかた同情という概念を知らない相手が無遠慮に触れたせいもあるのだろうと思う。それに説教だ説明だをしたところで人間でない相手に通じる気はしないし親でもない自分が教育してやるつもりも毛頭なく、今はあるはずの浴衣を探すのに集中して、ただ、嬉しそうな顔が可愛かったななんてぼんやり思いながら渡した干し肉を食べている気配だけを感じ。一つ目の行李には自分とは関係のないこの家の私物しかなく、そんなに奥にしまっただろうかと物を退かしつつ別の行李を引っ張り出して、少し埃っぽい荷物を漁る単純作業だとつい頭は別の事に考えがいってしまい、咀嚼の気配のせいか目の当たりにした捕食風景を思い出す。案外、綺麗に食べたものだが、あれは行儀が良いというよりはやはり食い意地が張っての事だろうと考えを巡らせ。そうなると今後の食事はどうすれば良いだろうか、雑用夫の少ない賃金も使い道がないので蓄えはあるが微々たるもので文鳥二羽でさえかなりの出費だったというのに、元々は今日殺されるつもりでいたのだ、夫婦にはいつまでこの蟲を隠し通せるのだろうか。ふと、とめどない思考が途中で止まったのは表面に自分の名前が書かれたたとう紙を見付けたから、本来包む必要もないほど平凡な浴衣をわざわざ包んで寄越した夫婦の意図がよく掴めなかったそれ──そんな事はどうでも良い。目当てのものを見付けたので顔を上げたが振り返る直前に衣擦れと水の揺れるがやけにはっきりと耳につくとぴたっと動きを止め、たとう紙を下してまずは行李の片付けをし始めたのは背後で聞こえ出した音がやむのを待つための時間稼ぎ。体を拭くのに使えと言ったのは自分なので感じるのは文句ではなく寧ろ話は聞いているのだな、という感心だが、異形とはいえ外見はああも人間の女性をしていると男が女の裸をそう簡単に見るものではないと思ってしまう、拭いてやらずに任せたのもそれが理由であれば振り返る事など出来るはずもなくやたらもたもたと探す時より手際悪く出した荷物を押入れにしまい込んで「おかわりなら、あと少しだけ」音がやみ、おかわりを欲しがる呟きがすれば行李の蓋を被せながら答えて元の場所に戻し、押入れの戸を閉める。「君の着るもの」相手の問いに一言で返し、探し物は既に見付かっているため笑い声を聞きつつあとは浴衣を渡すだけだとたとう紙を解いて灰色の浴衣と黒の帯を出せば俯いたまま振り返って相手の事は一切視界に入れずに「着替えが済んだらご褒美をあげよう」ずず、と用意したものを相手の方に押しやるともう一度相手に背を向け「男物でも濡れた着物よりはましだろうから。終わったら声をかけて」そう続けて)

  • No.80 by 藤岡 朝陽  2016-12-03 21:10:19 



>月夜

( 引き戸を閉めようとしたその時だ。飛んできた男の声に、はた、と足を止める。頭の中でその言葉を噛み砕いては、数秒経ってからふっと大きく噴き出した。可愛い。余りにもだ。あえて返事も振り返る事もせず、ぱしんと冷たく引き戸を閉めてはあはははと聞こえる様に笑い声を上げ廊下を歩く。己の腹の中で息を潜める加虐欲に気付きもせず、無条件に懐くあの男が異常に可愛い。息を整える様に一つ小さく息を吐いて、流しに辿り着くとシンクに手拭いをぽいっと放った。乾燥でぴりつく冬の空気の中、肌を晒すのは中々に堪え、てきぱきと着替えを済ます。脱いだ服を畳んで籠に入れながら、水で汚れを落とせだなんて本当に酷な事を言ったなあと思い出し、笑ったせいか少し乾いた喉をさすった。棚から取り出した適当な湯呑に水を入れ、ゆっくりと喉に流し込む。ごくり、と飲み終えるとシンクに横たわる手拭いの横に湯呑みを置いて、今日やるべき事はもう無いだろうかと考え始めてすぐ、さすがにそろそろ戻ってやろうと思考を打ち消した。癖のある髪を指で梳きながら、ひたひたと静かに廊下を辿る。すっと開けた引き戸の向こう、薄暗い部屋の隅で丸まるその姿が彼の性格を顕著に表している様な気がして、また少し笑った。「荒らされていなくて良かった。」なんて茶化す様に言い放っては、いそいそと布団を敷き始める。男二人が一枚の布団に寝そべる様子を想像して、寝相が良ければぎりぎりはみ出さないかな、等とぼんやり考えていた。自分は寝相が良い方なので、後はこの男の寝相の良さを祈るばかりだ。ぺらりと布団を捲って、それが当たり前であるかの様に右半分開けて中に潜り込む。「寒いだろ、早く入れよ。」なんて少しぶっきらぼうに言い放っては、一つしかない枕をぐいっと右に寄せた。元々低めの枕が好きな己は枕無しでも寝られるので、卵から出て初めての睡眠位良いものにしてやろうと、自分の腕を枕に背を向け丸まった。しかしすぐに顔だけ振り返っては、「…人の形をしていて、食欲があるなら…睡眠欲もある、よね。眠る感覚は分かるかな。」等と、真剣な顔つきをして今更な事を尋ねて。 )


  • No.81 by 久坂 薫子  2016-12-03 22:55:10 

>白雨

(名前を呼べない。その言葉に虚を突かれたような面持ちを浮かべれば、困惑を表わすようにはたりと瞬きを一つ。どうやら知らず知らずのうちに、都合の良い甘ったるい夢を見ていたらしい。我が子に対して名乗るなど考えもしなかった、なんて。なんと浅ましく悍ましい考えだろうか。生まれ落ちたものがあまりに寂寥を埋めるものだから、何かが手に入ったと錯覚してしまった。世界中でこの腕に抱けるものなんて、もうわが身しかないというのに。「そうね――。貴方が殻の中で過ごした年月を、わたくしは外で過ごした。きっとそれだけのことなのでしょうね」生まれて来たばかりの子はしかし、己とそう変わらぬ歳月を経た姿形をしており、親であることなど土台無理だったのかもしれない。やった事と言えばきっと、そう、子供を現世へ引き摺り出す産婆のようなものだろう。立ち上がり部屋の隅に置かれた和箪笥の元へと向かえば、濃紺の男物の浴衣と黒の兵児帯、それから手拭いを数枚取り出して振り返る。ゆったりと紡がれた言葉は柔く甘く。しかし悦ばしくも無責任だと感じてしまう己の、なんと醜い事か。ぐるぐる、ぐるぐると胸中を占める何もかもを糾弾するような感情に真綿で頸を締められるような心地を覚えて、言葉を寄越す代わりに諦観の笑みを返せば畳の上にそっと浴衣を下ろし「今、湯を沸かしていますからね。先にこの手拭いで、――」こうして言葉を奪われたのは二度目になるだろうか。晒された素肌のぞっとする様な白さ。この世のものとは思えない幽玄の美を醸す様子に呼吸までもを奪われていたと知るのは、酸素を求めて耐えきれなくなった喉がひゅう、と自らの役割を控え目に主張したからで。「――わたくしは薫子、久坂薫子よ。久しいに坂道の"さか"で久坂、薫風の"かおる"に子供の"こ"で薫子」随分と長い事耳にしていなかった己が名はどこか他人行儀に響き、ようやく三度目を口にしたところで知人の顔を取り戻す。そこで一つ瞬けば、気付けばするりと零れ出た、全く意図しない時機の言葉に驚きを隠せない様子で口元を押さえ「……厭だわ。何で…、ごめんなさいね。すぐに湯を持ってきますから、先にこれで拭っておいてくださるかしら」一を望んでしまえば、きっと十を手に入れなくては気が済まなくなってしまう。何かを望むことにも疲れたと、そう思っているのは紛れもない事実であるのに。どうか覚えて欲しい、名を呼んで欲しい、知って識ってしり尽くして――刻んでほしい。そんな際限のない欲に困ったように眉尻を下げて、そんな表情のままそっと手拭いを差し出し)

  • No.82 by 黒鈴  2016-12-04 14:56:36 


>ルリヲ

(渡された浴衣は遊び心の無い落ち着いた物、少しばかり大きいそれを担ぐように身に纏う。落ち着きある灰色の浴衣と黒の帯は宛ら、蜘蛛。当初の衣類よりも何倍と己の種類を表現する様でからころと笑い声を。とは言え、着る事が上手とは言えずに襟をしどけなく合わせた胸元で腰元で結わいた帯がぐにゃっと曲がる。それでも見様見真似、推測の元に着用したのだ上出来と言えるだろう。そう、自画自賛の言葉を頭に浮かべると気持ちは何処か誇らしくなり満足げに両の口角を半円を描く様に釣り上げて。死んだ蛇のように脱ぎ捨てられた衣類を腕の中に拾えば残る体温も粘液も、全てを無くすように桶へ浮かべ。その桶はそのまま、特に端に寄せるなどと言った気配りは出来なく。足音を立てずに距離を詰める、静かに息をも殺して。真後ろまで身体を寄せれば布越しで有る事など遠慮せずに唐突と前触れ一つ感じさせぬままに彼の二の腕へ食らい付き、何も本当に食べるつもりは無いのだろう。単なる戯れの一つ、猫が悪戯と鼠を甚振り遊ぶだけの行為にも似た些細なもの。食べるつもりは無いが食べる事は出来るのだぞと脅しにもならない遊びの心。その癖力加減なんて出来やせず、噛り付く歯の力は何処までも強いのだから性質が悪い。時間がたてば噛み付いた箇所は青くなる事が予想できるほどにギリ…ギリ…と躊躇わずに力を込めて、くっきりと歯形を刻み込ませては纏う着物が唾液をほんのりと吸い込み色濃く変わる。咥えるように触れていた唇を離すと「 よぉくご覧になって。おじょうず? 」背に回っていたその身をひらりと翻し隣に並ばせ、上手に着れたろうと誇らしげに胸を張る。明確な言葉は無いが、その先に望むのは先程食らうた肉をもう一度。隣に並んだ彼は、今纏う着物の大きさからもわかる通りに背丈が有り、その大きさだけを見るならばきっともう食べられないと思うまでにこの胃袋を満たす事が出来るのだろうとぼんやり思う。着物の裾を指先でちょいと摘まむ様に手にすれば落ち着いた濃淡のそれを見せるように披露して「 ね_ぇ、立派な蜘蛛みたい 」くすりくすり、おっとりとした笑い声を息を漏らしながら漏らしては自らが蜘蛛の蟲であることを確り告げる訳ではないが、それを匂わせる様に言葉として蟲の名を上げて「ぽこりと腹を膨らませたいの」丸みを帯びたその虫を頭に描き、印象付ける為に女性にしては長く肉の薄みの無いその四肢を取り出す様に着物の袖口を捲り。)

  • No.83 by 月夜  2016-12-04 15:27:17 



>朝陽

(静かな部屋に籠っていれば小さく些細な音が脳を掻き乱すか如く鮮明に届く。ひたりひたり、決して大きくない筈の音が餌をちらつかされる様に嬉しくてならないのだ。そして、漸く__開いた引き戸の擦れる音に肩を揺らす。黙りこくり我関せずと気の無い素振りなど甚だ無理だったのだ、俯きがちの顔を少しだけ上げて戻って来たその姿をしかと捉える。同時に向けられた茶化す言葉に先の自らが向けた子供染みた当て付けをずるりと撫でられるみたいに居心地悪く照れ臭い。思わず、顔をまた俯かせてしまう。布団の擦れる音、身体の重みを吸収した布が立てる小さな音、そして何よりもしっかりとした音は彼の声。傍に来ることを許可するその言葉に逸る胸を抑え込み、のろのろと布団へ歩み寄りモゾリと入り込む。布団の温かさはつい先ほど、籠る様に過ごしていた蟲卵に似ている気がして無意識に安心を感じ。続く問いかけ、正直なところはわからないと言うのが正しい返事で有り真剣な眼差しの彼に適当な返事を送る事はなぜが憚られ言葉に詰まる。本当はこの場濁しだとしても頭を縦に揺らして分ると答えるのが正しいのだとわかっているのに、だ。布団の中に座ったままの体制で頭を左右に揺らしては芋虫のように布団の中で体を倒し、先の彼の行動を真似るように寸分と違わない同じ体制を取り「わからない…__でも、暖かい」結局噓をつく事は無く素直に答え、眠れない自らに彼が付き合う事は無いと伝える為に後者に言葉を添えれば「此処は蟲卵の中みたいに居心地が良い」暖かく守られているような安心感、おして何よりも蟲卵越しのくぐもる音ではなく鮮明に彼の声を聴く事が出来る、出て来たこの世は己が思っていたよりも案外良い物だったのかもしれないと思ってしまう程に。何もあなたの声が聞こえるから蟲卵より居心地が良いですと伝えるのは野暮な気がして飲み込み、もぞもぞと一層と細長い身を丸くして)

  • No.84 by 米川 千鶴  2016-12-04 21:17:17 


>手招

( 夢の様な出来事だった。と云うのも本来人間が使う言葉の意味合いとして幸せな出来事を思い起こすかの様な其れではない。本当に夢を見ているかの如くあまりに現実離れした映像がその瞳に飛び込んできた為此れは夢を見ているのではないかと脳が錯覚を起こした結果が此れである。手を伸ばした正にその瞬間中の其れは突如として外へ出ようと踠き始めた。大きな揺れと共に起こった音は中に息を潜める化け物がどれ程大きいものかを思い知らされるには十分過ぎるものであり伸ばした指先は黒に触れる前にぴたりと動かなくなってしまった。謂わば此れは危険信号でありこれ以上は危険だと身体が叫んでいるのである。然しその黒にぱりん、と割れた音が響いた時には遅く伸ばした手は其の儘にその不思議な生命の誕生をこの目で見ようと湧き上がる好奇心と共に身体は其処に止まる事を決めたのである。其処から先の出来事こそ、夢の様な出来事。みるみるうちに広がった小さな穴ぼこは気味の悪いぬちぬちとした液を伝い零し乍広がって行き遂にはその中で生を築いた生命が顔を覗かせる。”化け物”と呼ぶにはあまりに人に似ているし、”人”と呼ぶにはあまりに奇妙なその生物は人を喰らうか鋭い歯を覗かせてまるで世に月を描く如く口はゆるりやかな弧を描いてゆく。粘膜でしっとりと濡れた赤くも美しく不気味にも取れる髪が光に照らされれば相手のいるその部分だけこの世のものではないのではないかとさえ錯覚する。更に驚くは唇から溢れる言葉は悲鳴でも鳴き声でもなく、人の言の葉という事であり腹が減っただなどと言う様はまるで人の子の様。遂に相手が此方へと向かい始めたその瞬間一連の出来事を言葉1つ溢さず瞬きすら忘れて見詰めていた身体は底知れぬ危機感に意識を弾き起こされ初めて「あ、」と声を漏らす。俺を喰らうのか、と言葉を紡ごうにも開いた口は開閉を繰り返すばかりで上手く言葉を紡げずに )

( / 此方こそ有難うございました!せめて御礼はと思いましたので言葉置かせて頂きます。これからどうぞ宜しくお願い致します )

  • No.85 by 白雨  2016-12-04 23:10:10 



>薫子

――、薫子さん。(誰の事を指しているかもわからない"あなた"だなんて余所余所しい呼称を使いたくなかった、それは単なる我儘なのだ。問うた答えが中々戻らず、代わりに空気が一つ死んでしまったかのように不思議と背がひんやりとした。それも短い時間の間、教えられた名前を耳にすれば耳馴染みが良く季節を連れた品のある名は正に目の前の女性に相応しい物だろうとスンと腑に落ちた。そう思えば教えられた名をちゃんと、自らの唇を動かして己の声で呼んでみたいと願ってしまう。自己分析をした己はこうまでも欲深かったのかと初めて知る、差し出された手拭いではなく細いその手首を恐る恐ると握るように触れて。先程指先を感じた時もそうだ、彼女と言う存在は自分の力加減一つであっと言う間に壊れてしまいそうで触れるのに勇気を要する。それでも優しく温かいその手に触れるのが心を穏やかにするもので、触れたいと思うのが罪なのか。綺麗な響きのその名を伝える彼女の表情が何処か曇りを持ち、微笑んでいるのに表情と内面が伴っていないような違和を生み、その些細な表情の違和が何を意味しているのか、経験も知識も下手をすれば思いやる心すら持ち合わせていない己にとって理解し推測するのは難しい。こうして手を掴み触れているのに、その心にほんの少しと寄り添えない事の歯がゆさが息苦しさに変るのだ。もい、自分にもっと知識が有れば彼女の心の陰に触れて退けてあげることが出来たのだろうか、もしもを考えるときほど虚しい事は無いとなんだか少し寂しくなる、「…薫子さん、俺はお湯なんかじゃなくて水だけ頂ければ十分なのです。だから__お湯を用意するのに必要な時間を傍にいるのに使ってください」掴み、触れていた手をするりと離せばそこで漸く本来の目的である手拭いを受け取って。)

  • No.86 by 手招  2016-12-04 23:52:26 


>千鶴

――くん、くん、…招チャン、いっぱい食べる(ずるり…ずるり…細長い身体を滑らせて距離を詰めれば匂いを嗅ぐ動作を言葉で表しながら鼻を使い酸素を肺に送り込む。生物の匂いと言うのは何処まで自らの鼻孔を心地良く擽り空腹を煽るのだろう、嗚呼お腹すいたなぁ。べろり、と下唇を舐めり食事を目の前にされたように後は食らうだけ。細長い腕を伸ばし掛けたその時に、にゃあごと猫が一声何処かで鳴いた。ぱちくり、拍子抜けをしたように瞬きをすればその声を辿る様にか、満月に導かれてか粘液の足跡を一つ二つと廊下に残しては歩き始め、外へと出向く。「招チャンこっこの方が好き」見つけた、それは庭に住み着く猫の家族。目当ては大きな母猫なんかじゃない、巣の奥に守られるように丸まり眠る数匹の子猫。ギラギラ、と月夜に瞳を光らせて「美味しそお」生唾をごくりと飲み込み手の平ほどしかない生まれたばかりの子猫の尻尾を掴み、母猫から引っ掻かれるのも気にせずに「ニャアゴにゃあご。招チャン何言ってるかわかんないョ」悪気なんて感じないのだ、生き造りの魚を食べるのと同じ気持ちで有り罪悪感だって一つも無い。鋭い歯を突きさす様に柔らかな子猫の柔らかな腹肉へ突き立ててガヴりと貪り付き滴る血液をソースに変えて未だ未発達な骨ごとがりがりと、子猫の顔だけを地面に落せばもう一匹へ手を伸ばし。残る子猫を全て食したところで指をペロペロと舐めり「招チャンまんぞく」ごろん、と身体を横に倒し真ん丸の月を見上げる。独り言のように漏らした呟きが静かな夜に響き、この不幸を嘆くのか母猫がどこか遠くてにいにい鳴いている。それはとても心地よくて母親の子守歌のように両目を伏せ、鋭い歯は生き血を啜る事で変化を遂げる。体に浮き出ていた入れ墨がスーと引き、異常なまでの食欲が消えた。モゾモゾ、と身体を動かして倒していたその身を起こすと「招チャンのとおさま探さなきゃ」はた、と思い出したように名付け親を思い。きょろきょろと周囲を見渡して)

  • No.87 by 藤岡 朝陽  2016-12-05 00:15:40 



>月夜

( 今度はもぞりと身体ごと振り返り、また自身の腕を枕に小さく息を吸った。これを緊張と形容してしまうのは何だか憚られるけれど、多分限りなくそれに近い感覚が、呼吸音を立てない様にと変に意識をさせるのだ。まるで結婚初夜の女の様。鼻息が聞こえてしまわないかと意識して、寝返り一つに気を使い、指摘された事の無いいびきを今日に限って立ててしまわないかと心配になる、あの神経が張り詰めてしょうがない恥じらい。いやにむず痒いその感覚を、この歳になって大の男と同じ布団に潜り込む事で抱くなんて誰が予想できただろう?その上この男は、巷を賑わせる「化け物」だ。…さすがにそこまでの緊張ではないものの、生憎心臓に毛は生えていないので己も普段通りとはいかず、細く頼りない身体を丸めて布団に潜り込む男の黒いつむじをただ黙って見ていた。しんと暗い部屋の中、静かに耳を立て彼の言葉を飲み込むと、「…そう。それは良かった。」と内緒話みたいに優しい語り口で返事をする。下にしていない方の腕を伸ばすと、はらりと彼の黒髪に指を通した。緩慢な動作で二度撫でつければ、「目を瞑って、黙っていたら良い。」と子供をあやす様に告げ、すっと手をひっこめるとまたくるりと背を向けこちらも蹲る。―――こんな就寝は今日限りだ。暗闇に慣れ始めた瞳を遮るように瞼を閉じて、いつもより深く掛布に入り込んだ。こんな夜はもう御免だが、それでも隣の温もりは誰にも譲ってやれない。他のどんな喜びも楽しみも今は、この男と秤にかけるまでもないのだ。“お前がいればそれで良い”なんて、恋愛小説にありそうな一文は事実、有り得るものだと一人思った。冴えていた目がすう、と微睡んでいくのが自分で分かる。もう、月夜は夢の中の存在ではない。あの黒い卵と出会う前、夢で見たお前が今、背中越しに息をしている。朝に襲い来る虚しさとて、幻の逢瀬には敵うまい。そう思っていた過去の自分に、声高々と言ってやりたい!―――幻の逢瀬等絶対に、見て触れられる現実に敵いはしないのだ。 )

( / いつも丁寧で素敵なお返事を有難うございます。月夜君もこのまま眠りにつく様であれば、次から翌朝の描写に移らせていただきますね。勿論、夜中に目覚めて何かしら行動を起こしたいという場合も喜んで対応させていただきますのでお好きな様にしていただけたらと思います。 )


  • No.88 by 月夜  2016-12-05 15:47:45 


>朝陽

(髪を梳くような優しい手つきで頭部に触れられると真似て伏せていた眼を薄らと開く、二度程繰り返されたその行為が何処までも優しい物に感じると又も依存が心に住み着き。欠片も無い睡魔が一層と距離を置く様に触れるその手をもっとと願い、あやす様な声色で向けられた目を瞑ると言う指示に慌てて両目をまた瞑る。両目を瞑り、黙りこくって、時間を過ごす。静寂が煩くシィ――ン…と頭に響くようで暗闇の中で薄らと目を開いた。もぞり、背を向けていた体を振り向かせ、一定の落ち着きを持つ寝息を立てる彼へ顔を覗かせると両目を閉じても尚見せるその顔は凛とした男前なのだ。ゾッとするほど、美しくて黙っている彼を見れば極上の肉を皿に置かれたような気になるのだ。彼に名を貰うだけで自らも強くなった気がするのだ、彼の肉を喰らえば自身も彼のように背を伸ばし堂々とした佇まいが出来るのでは、そんな思いが胸に落ちるまで夜と言う存在は人の気を狂わせる。布団の中で温まる片手をぞろりと這わせ取り出せば乱れ一つないその顔へ指先をそろと触れさせて、__やわらかかった。触れる顔の感触は柔らかく、それは同時に彼の浮かべる優しいその笑みを連想させるようで心臓のあたりが痛みを帯びる。熱い物でも触ったように触れた指先は反射的と弾かれて、「__俺の分の良い夢を、全部朝陽に」起こさないよう潜める声はひっそりと、静寂に落ち。ゆるりと小さく微笑を浮かべては再び目を伏せる。眠る彼が起きてしまわないか、恐れながら長い片腕を伸ばすと彼の腹上を通る様に背後から抱きしめる形を取り、密着する事で一層と強く暖かさを貰い、また渡して。眠りについたのはそれからどれ程時間を過ごした後だろうか、太陽が顔を乱す頃に漸く意識は途切れ。ただ、只管と、無条件に彼の温もりを貰い彼の凛々しさに触れたいと身を寄せて、土の中に埋まる芋虫のようにモゾモゾと顔を彼の項辺りへ沈めては短い睡眠に溺れ)

(/此方こそいつも素敵な文章に心を惹かれております!是非時間軸を飛ばして翌朝に持って行って頂けると有り難く思います…!確認をして頂けてそのお心遣いを嬉しく思います。ありがとうございます!)

  • No.89 by 蟲  2016-12-05 15:55:58 



_ 蟲卵決定表 _


蜘蛛__黒鈴(クロスズ)
「"おかわり"は、いずこ?未だ満たされないの、もひとつ、おかわりをちょうだい」
 /女/20~24/160cm/NGL/
 スラリと伸びた細身の身体、凹凸の無い薄ぺらい物。黒色の髪は腰元まで伸び、白装束を乱しながら着用する。黒い髪に白い肌、赤い眼が特徴。伏せ目がちの垂れ目はおっとりとした性分を表している。
 食い意地の張る常時飢餓に悶える蟲、要求が強く欲しい物は欲しいと無自覚の女王気質、年相応に大人びたかと思えば不相応に幼稚、従順と見せかけて主を喰らう隙を狙い息を潜めているだけ。
 満月の夜には腹と額に幾つもの眼が浮き出して抑えが利かない強い食欲を持つ、生血を啜らなければ戻らない。
主人
>№18_倉井ルリヲ(クライ―)



蛾___月夜(ツクヨ)
「要らないのなら欲が生まれる前にあなたの手で俺を消して、欲が産まれればもう手遅れ」
 /男/17~20/177cm/ML/
 黒色の髪は月明かりで色味を変える濡れ羽色のマッシュボブ、顔を隠す様に前髪が長い。細身で貧相な身体付き、所謂書生スタイルの和洋折衷な服装。切れ長の垂れた瞳は垂れた形、極度の猫背。
 産まれた事を後悔し息をする事も悔やむ蟲。堅物、卑屈、陰鬱、の三大苦を抱える。欲を一度持つと堪え性の無い欲しがりに変貌する為、そうなる前に消えてなくなりたい。閉鎖的な思考。蝶と双子。
 満月の夜には薄汚い茶色の羽が生え広がり、抑え込んでいた欲が全て表に立つ。生きている事の肯定をしなければ戻らない。
主人
>№11_藤岡朝陽(フジオカアサヒ)



蜂___砂乱(スナミダレ)
「泣く泣くお前を宥めよう、俺の幸せは――嗚呼、お前の幸せだ」
 /男/14~16/165cm/NBL/
 黒髪被せの下が金色の金黒ツートンの髪、襟足が項を覆う程の短髪。愛嬌のある猫目と口角の上がる顔、幼くあどけない。藍色の半袖短パンの甚平を着用。犬歯のように鋭く八重歯が尖る。
 無邪気の毒を世に蔓延らせる蟲。人見知り知らず、懐っこく愛嬌の固まり。子供扱いをすると不貞腐れる、凛とし古びた喋り方が特徴。口達者で話をする事が好き、輪を掛けて無知な知識。
 満月の夜には瞳の色が赤くなり、透明な羽が生え、犬歯から毒が出る。その幼さを受け入れて愛でなければ元に戻る事が無い。
主人
>№4_津崎雪呼(ツザキユキコ)



蛍___白雨(ハクウ)
「篠突く雨が僕とあなたを引き離すのです。ザアザアと降り続けては、終わりを知らせずに__」
 /男/20~24/175cm/NBL/
 黄金色の柔らかい猫毛の短髪、黒色の瞳は切れ長で余り大きくない。足元から白、黄、藍、黒、と色が変わる着流しを着用し上に紫色の羽織を纏う。紅色の下駄。黒色の少し大きい山高帽子を被る。
 自由を好み短命を謳歌する蟲。縛られる事を良きとしない、気儘で気紛れな飄々とした自由な存在。執着や独占欲が薄く、己もまたこの存在を記憶に残される事無く生きる事を望む。欲が極端に薄い。
 満月の夜には黒色の瞳が黄色に輝き、髪もまた闇夜に光る。食欲は薄いが無理にでも肉を喰わせて元に戻さないと元が短命の蟲なので直ぐに死ぬ。
主人
>№54_久坂薫子(クサカカオルコ)



百足__手招(テマネキ)
「招チャン、鶴チャンの事好きだよ。好き。鶴チャンも招チャンの事好きでしょ?」
 /男/20~24/178cm/ML/
 赤ワインのような深い赤色をした髪は肩口に掛かるまでの長さが有り、項の所でお団子のように括る。黒色の着流しを着用する。狐目と言うのか細い釣り目は線のように瞑られている事が多い。
 自己中心的な貪る愛を強要する蟲。一方的に愛して愛を押し付ける、口下手の喋りたがり。語彙が無いせいで説明不足の喋り方をする。息継ぎ無しの早口。自己犠牲の性分が見られる、好きな人は好きだから仕方ない。
 満月の夜には鮫歯のように歯が鋭くなり、脇腹から胸に掛けて百足の刺青が浮き出る。満月が明けるまで一時も離れずに触れていないと戻らない。
主人
>№76_米倉千鶴(ヨネクライズル)



_ 蟲卵未決定表 _




蝶___籠女(カゴメ)
「熟れて落ちる寸前の愛を私に贈りなさい、ピンセットで額縁に貼り付けて飾りたいの」
 /女/17~20/155cm/NGL/
 艶やかで華やかな、幼くも熟したアンバランスの美を持つ女。紫色から桃色のグラデーションの髪は胸元までの長さが有る。簪と着崩す花魁着物、凹凸の有る体に咥えるのは金細工の派手な煙管。釣り目。
 愛を玩具にする愛に酔う蟲、気が触れた情緒不安定な気紛れ、愛されたがりの愛したがり、愛せないならもう要らないと身勝手に相手を振り回す。気高いナルシスト、常識知らず。自己中心。蛾と双子。
 満月の夜には背中に大きな蝶の羽が艶やかに生え広がり、堪えきれない欲情に駆られる。口付と満足する贈り物が無ければ戻らない。



蟻___ 朝な、夕な(アサ―、ユウ―)
「もう一斗缶の焚火に思いを馳せる事ないでしょう」『帰る故郷なんざ無きに等しく!さあさ、諦めろ!』
 /女(朝な)男(夕な)/8~10/146cm/NBL(男性募集)/
 黒色の肩口までのおかっぱが夕な、白色の肩口までのおかっぱが朝な。揃いの深紅の着物を着る。右目が黒、左目が白目黒目の反転した物。 朝なは垂れ目、夕なは釣り目。朝なの右手首、夕なの左手首がくっついている。
 依存が強く戯れに進む道を惑わす蟲。朝なの右手首の先、夕なの左手首の先がくっつく為身体が離れることの無い双子。理性の朝なと本能の夕な。控えめな朝なと賑やかし、喧しい夕な。鏡写しの正反対。
 満月の夜にはその身が離れ、その身が20程まで成長をする。が、菓子を喰わせて戻さないと一定以上体が離れると呼吸が出来ずに死んでしまう脆い蟲。



蚯蚓__甘露(カンロ)
「夜が更ける前に何を語ろか、__月明かりじゃ少し物足らん。真丸の月が死ぬ前に生を謳おうぞ」
 /男/34~37/180cm/ML/
 くすんだ桃色の短髪はオールバックに掻き上げられて、毛先は黒く襟足に掛かるまで。年相応の皺が顔に刻まれる中年の面。白の警察服を纏い、同様の警察帽を被るが全く関係は無い。姿勢が良い。
 戯言で人を振り回す自己満足の蟲。口にする言葉は八割が嘘二割が適当。凛とし誠実な見た目とは裏腹に適当に生きる豪快な性分。小さい事は微塵と気にせず、信じるのもまた己だけと冷静を欠かない。
 満月の夜には蛇の如く細身の身体が疼き、縄の痕のように体中に痣が浮き出る。この際に告げる言葉は普段と変わり本心が多いが、言葉を述べるより先に人を喰らってしまう。生肉が無いと戻らない。


>※現在、上記蟲卵の御相手を募集しております。



_ 蟲卵について _
>№43(http://www.saychat.jp/bbs/thread/611409/res/43)

  • No.90 by 蟲  2016-12-05 22:45:42 



(/募集上げです)

  • No.91 by 久坂 薫子  2016-12-05 22:47:16 

>白雨

(伸びてくる繊細な指先が手拭いを通り越し、己の腕を掴んだ時には大層驚いたものだ。しかしそれよりも、まるで壊れ物でも扱うかのような手付きに込み上げてくる笑みが押さえられず、つい口許が緩んでしまう。──わたくしより、貴方のほうがずうっと儚げなのに、と。だがいつまでも余裕を保っていられた訳でもなく、決して強い力で押さえられているわけではないのに、まるで彼という存在そのものに絡め捕られてしまったかのように動くことができない現状に僅かな戸惑いを滲ませて。やがて手が離れれば知らず詰めていた息をそうっと吐き出し、同時に告げられた言葉に瞳を丸めて首を横に振り「だめよ、それでは風邪をひいてしまうわ。──大丈夫。もう沸く頃ですから、良い子で待っていて、…ね?」水だなんてとんでもない。人とは違う生き物なれど、冷え込む雨の夜に冷たい思いをさせるなんてできるはずもなく。先ほど包丁を取りに寄った際に火にかけて来ているからそう時間は変わらないと宥めるように微笑んでは、黒曜の瞳を覗き込むように見つめて濡れる髪を軽く撫ぜる。つい、いつまでもこうしていたいと思ってしまうのは何故だろうか。そんな願いと呼ぶには即物的な感情を何とか振り切って立ち上がれば、畳に転がる血濡れた包丁と鶏の死骸とを拾い上げて先程と同じように部屋を出た。野良猫にでもあげてしまおうか、と血の通わない生肉の処遇を考えながら台所へ赴き、多少は雨音が掻き消してくれるとは言え極力物音を立てないように。しかし急いで片付けと準備を終え、新しい手拭いと湯を張った大きめの盥を抱えて足早に来た道を戻る。襷掛けを怠ったせいで寝間着の袖が汚れてしまっているが、そんな事よりも早く彼の元に戻りたいのだ。そんな浮ついた気持ちでいる己をもう一つの視点からどこか冷静に見つめながらも、まるで幼い頃に両親に内緒で出かけた時のようだと、重いものを運んでいるせいか僅かに上気した頬に幽かな笑みを浮かべては彼の待つ自室へと戻り、一度廊下に盥を置いてから襖を開き)

  • No.92 by 白雨  2016-12-06 15:36:26 



>薫子

(掴んでもするりと消えてしまう、手の平に少しばかりの余韻を残して無くしてしまう彼女の温もりを触れていた手の内に残してはカチリと重なる視線の先に焦点を合わせ。髪に触れる手付きに心地よさを覚えながら、無条件に自分に良くしてくれる彼女の温かみを嫌と言う程に味わうのだ。きっと己はこうして彼女に縋り、貪るまでに彼女の優しさに付け込んで身勝手に生を謳歌するのだろうと思う。嗚呼、なんと情けない事か__小さく細身のその身体に自分と言う存在は重たすぎるだろうに、気丈にも彼女は折れる事をしないのだと察することは容易くて。出来る事と言えば余韻ばかりを残して部屋から立ち去るその姿を瞳に残すだけ。少しずつ遠退いてしまう足音が次第に雨音に掻き消されてしまえば残るのは自分一人ぼっちと嫌でも自覚し、それ以外の音を求める為に受け取った手拭いを使っては身体を拭う。糸を引く粘液が途端、吐き気を呼び起こすようで気持ち悪さが喉奥から競り上がる。彼女が傍にいるときはそんな事無かったのに、だ。彼女が傍にいるだけでどれ程までに無条件の安堵を貰っている事かと言い締められているようだった。おぇ、と嗚咽を一つ漏らせば手拭を反射的と口元に宛がいひゅう、ひゅう、と嘔吐感を堪える事で喉の隙間を使うような呼吸を数回行う。込み上げるその感覚が薄れると口に当てていた手拭を離して、近づく足音に瞳を大きく喜んだ。「薫子さん、」瞳をゆうるり、細め上げれば独り言がぽつりと漏れる。そして直ぐに開かれた襖の先にその姿が見えればよろりと身体を起こして立ち上り、「すみません、大変だったでしょうに。__僕よりも薫子さんが倒れてしまう」眉尻を少し落として困惑を滲ませ、それだけじゃないのは待っていた彼女の姿を見た事で嬉しさを隠す事の出来ない微笑で。ふと、先ほどまでは無かった彼女の袖に汚れが作られている事に気が付いて「__僕に出来る事が有れば何でも、何でも言って下さい」して貰うばかりでは申し訳ない、生血を啜った事で身体が確りとしてきた自覚が有るのだろう。力仕事だって彼女より出来る自信が有るのだと伝える為言葉を綴り。そこまで言葉を綴ってはくすくすと小さく笑い声を上げて「薫子さんに声を掛けられるの、ずっと楽しみにしていたから。今の僕は少し熱に浮かされて足が地についていないんです」考える事も浮かぶ言葉もたくさんで選択するのが難しい、それ程までに蟲卵である己に声をかけ名を付けてくれた彼女と顔を合わすことを楽しみにしていたのだと無自覚だったそれに気が付いて少しだけ照れくさくなる。気恥ずかしさを持った笑みを零せば、やっぱり雨音が心を穏やかにしてくれるのだと瞳を細め)

  • No.93 by 蟲  2016-12-07 10:10:05 


(/募集上げです。)

  • No.94 by 倉井 ルリヲ  2016-12-07 20:57:45 


>黒鈴

(衣擦れの音が聞こえても襖を見るともなく見て考えを巡らせればとりとめがなかろうが瞑想じみた静けさがある。そのせいか差し迫った気配に気付いたのは息遣いを腕に感じたその時で、瞬間「――ぐっ。うっ……」目は見開き唸り声を噛み殺す、油断していた体中が強張って嫌な汗がどことなく滲みたった一瞬で息の仕方を忘れたように喉が閉じた。顔を顰めて奥歯を食い縛っても噛みつく歯にギリ、と力が入れば濁った唸りが零れ良くも悪くも痛みに意識ははっきりとしていて、食い千切るなら容易いだろうにそうしないのはこれが食事ではないからだと冷静に堪えていられる。可愛いげのない戯れは終わるのも唐突で、思い出した呼吸をぎこちなく整えながら二の腕を抑えると湿り気を感じるがやはり食われてはいない、隣に並ぶ姿を見れば「黒鈴……」どこかか細い低い声、目に浮かび頭を占めるのはひたすらに切なさ。可憐で無邪気で官能的に残酷な美しいこの蟲に食われてみたいと思う、しかしそれを良しとしない、どうしたって相手を少女とは思えない本能と薄れない異常嗜好はもはや不治の病でしかない。見つめる相手が口にした虫の名前に漸く複眼の意味が分かり、女郎蜘蛛だと言うのなら納得が出来る白くしなやかな四肢が晒されるとそっと目を逸らし「一人にしてはお上手。ご褒美をやるから、俺を食べるんじゃあないよ」ポケットから紙ごと残りを相手に渡せば立ち上がってもう一度襖を開き、使えない掛け布団の代わりにさせようと掻巻を引っ張り出してほら、と頭から被せてしまいぽん、と一度頭に手を乗せ「あとは良い子にお休み」そのままのそのそと掛け布団やら殻やらを部屋の隅に片付け)

  • No.95 by 久坂 薫子  2016-12-08 00:21:38 

>白雨

(開いた襖の先。己を待っている誰かが確かにそこに居ると言うのはこんなにも心弾むことだったのかと、近づいてくる姿をぼんやりと見つめて思う。できることだなんて、ただそこに居てくれるだけでいいのにと向けられた微笑に笑みを返せば、微かな笑い声と共に告げられた言葉に驚きと歓喜とを綯交ぜにした表情を浮かべてぱちりと一つ瞬き「まぁ。奇遇ですね、わたくしもですよ。――ふわふわと覚束なくって、まるで夢でも見ているかのよう」今ならば分かる気がする。蟲卵を拾ったその日から欠かすことなく声を掛け続けたのは、きっと今この時を望んでいたからに違いないのだ。想っていた。待ちわびてた。――日ごと成長する黒き卵から何が生まれるのだろうかと、まるで恋に焦がれる少女のように。気持ちの共有とはかくも暖かなものなのかと、思わず堪らなくなって再び黄金の髪を撫ぜる。数度指先を髪に通してそれでもやや名残惜し気に腕を下ろせば、盥を室内に引き入れて新たな手拭いをその横に積み「さ、冷めないうちにどうぞ。――着ていた服は日が昇ったら洗いましょうね。そのまま乾いてしまうと困るから、盥の中に入れておきましょうか」畳は丁度張り替えようと思っていた頃で、敷布と毛布もきっともう使う事の無い来客用の一組に過ぎない。粘液に濡れて困っているものと言えば彼自身と彼の纏う服のみで、部屋の片づけはそう急ぐことでもないと思えば翌朝以降に持ち越すことにして。和室には少し不釣り合いだが使い込まれた鏡台から黄楊の櫛と、自身の着替え用に箪笥から白の浴衣と紺の伊達締めとを取り出し「貴方の部屋の準備が終わったら、呼びに来ますからね」と一度微笑みかけてから再度部屋を後にする。廊下に踏み出した瞬間から早く戻りたいと思ってしまうのが可笑しくてつい笑い声を零せば、隣の書斎で着替えを済ませてから客間の一つへと布団を一組持ちこみ「まるで、あの人が居た頃みたい――」違うとは分かっていてもそう思わずにはいられない。彼のために寝床を整えている今の自分が記憶の中の自分の姿と重なり、しかしそれでも、"あの人が戻って来たみたい"とは微塵も思わない。懐かしさと新鮮さとがせめぎ合う中で隣の客間にも同じように布団を敷けば、自室へと戻り室内に向かって「……終わりましたか?」と襖を開けてもいいか確認するために声を掛け)

  • No.96 by 黒鈴  2016-12-09 16:08:36 


>ルリヲ

(底抜けの食欲を言葉にするならいっその事、それも個性の一つなのだろう。喰えども食えども満たされない胃袋を少しでも穴埋めしてやろうと、渡されるだろう先の干し肉を待ち侘びて。褒め言葉よりも肉が欲しいと思うのは犬ころでさえ褒め言葉を望むのだからそれ以下の畜生とでも。再び取り出されたその包みに両の眼を奪われるとその動きを逐一と逃さずに追いかけて、渡されたそれを手の内にしては人によってはたかが干し肉。されど飢えに飢えた胃袋の蟲にとっては極上の肉に違いなく" まあ、おいしそう "そうとでも言いたげに口角を上げて。ぺたりとその場に座り込んで包みを開き。干された固い肉を唾液を塗すことで少しでも柔らかく戻しては、むしゃり…むしゃり…と食べ始め。その中で何やら仕度をしているその様子をぼんやりと眺めればクルリ、機械人形か梟のように頭を垂らし「 黒鈴はいま起きたばっかりよ。ねむたくなんて無いわ 」出された掻巻を頭から被されればそれの温かさに心が震え、されど納得がいかないと頭は垂らしたままに不満を訴えて。温かいそれを落とす事無く頭から被ったまま「 おしゃべりしましょ。初めての満月なのに、落ちる姿を見れないなんて我慢ならないの 」己にとって真丸の月は大きな意味を持つと教えられた訳じゃなくとも本能に刻まれるのか、見ているだけで心臓が戦慄くようなのだ。瞳は爛々と冴え渡るし、美味しい食べ物だって手の内に残っているのだ。寝るなんて、なんと勿体ない事か。「 るりを、貴方が少しでも目を離したら…__わたしはきっと、おかわりを探しにいくわ 」にこり、にこり。澄ましたように微笑ながら被さる掻巻の隙間から動き回る彼の姿を見やり、時折ぺちゃりと干し肉に舌を這わせ歯を立てて。謳う様に一人でつらつらと綴るのはなんたる脅し文句か、自分が寝れないからと彼まで道連れにしたがるのは自分本位の我儘でしかなく。"ああ"と吐息を漏らすほどに小さく声を上げれば「 雄の肉だって黒鈴はぺろりと食べちゃうのよ 」おかわりはお前かもしれないぞ、暗にそれを含ませた言葉をしたり顔を浮かべては満悦と続け)

  • No.97 by 倉井 ルリヲ  2016-12-11 04:12:27 


>黒鈴

ははぁ、聞き分けの良い子はどっかに行ってしまったらしい(お休みと言えば素直に従うと思っていた、起きていても腹は減るだけなのだし渡した干し肉を齧りながら掻巻でぐるりと丸くなるものだと。それなのに聞こえたのは拒否であり夜更かしへの誘い、とりあえず隅に片付けた物の始末をこれから考えようとしていたのだから思わず乾いた笑い声が漏れてもう随分前の事にさえ思える相手の言葉を思い出して軽く呟き。動いた様子はない相手を振り返ったその表情が僅かに固まったのは澄ました微笑みが告げた脅迫のせいで、肉を舐る蟲の食欲を認識した今ではあまりにも真実めいていて、聞いて思い当たるのはこの家の家主である老夫婦の事だが次いで思う心配は夫婦の命ではなく食われてしまっては食と住に困ってしまうな、などという不謹慎なもの。そのうえ更に声が続けば『おとおさま』なんて呼んでいたのはどの口でお転婆に見えないと思ったのは誰だったろうとまで思えてきて、先程噛みつかれた二の腕の痛みはまだ生々しく疼いているというのに焦りよりも危機感よりもかえって面白い気になってくる。思い返せば不思議な事に、食われたくないとは思うくせに切羽詰まって逃げようとかは一つも思わない「お前は言う事をきかせるのが上手だねぇ」くつ、と喉を鳴らして砕けた口調を漏らせば六畳一間、たった数歩離れた相手へと足を向け「お喋りは得意じゃあないが、食われてもやれないから。黒鈴、月が落ちるまで付き合おう」蟲卵の殻は今度こそ女学校の焼却炉へ、どうせ粘液を吸い込んで乾いてしまった畳も布団も日が明けてからどうにかすれば良いと決めてしまえば相手の正面に胡坐をかき、腿に肘をついて掻巻から見える顔をのぞき込むように首を前に倒して)

  • No.98 by 蟲  2016-12-12 17:53:25 

(/お返事が遅れており申し訳ないです!PLが体調を崩しておりまして、文章が考えられない状況です。先ずはこちらのご報告が遅れてしまったことお詫び致します。体調が良くなり次第お返事をさせて頂きたく思いますので、今暫くお待ち頂けると有難いです。)

  • No.99 by 久坂 薫子  2016-12-13 20:23:15 

>主様
(/まずはお知らせくださりありがとうございます。
ここのところすっかり冷え込んで参りましたので、どうか無理をなさらずにご自愛ください…!お返事はいつになっても構いませんので、お元気な姿を見せていただければ幸いです。本体からのみとなりますので、下げで失礼いたします。)

  • No.100 by 倉井 ルリヲ  2016-12-15 21:55:22 

>主様
(/体調を崩されたとの事で、こちらは気にせず体調が戻るまでどうかゆっくりとお休みください。
また、他参加者様につきましても忙しい時期ですし病気も色々と流行っていますので無理はなさらずご自愛ください。交流こそありませんが、素敵なロルや展開を楽しく拝見させていただいております。それでは、失礼致します)

  • No.101 by 蟲  2016-12-17 16:56:02 



(/優しいお言葉を有難う御座います。少し体調が戻りましたのでお返事を今からさせて頂きます!遅れてしまったことお詫び致します。
 寒い日々が続きますので、皆様もお体を大事にご自愛くださいませ!)

  • No.102 by 白雨  2016-12-17 16:56:22 


>薫子

(殻を一枚隔てた先に何が有るのかは言葉通りの未知であり、視力の無い蟲卵に一つ二つと送られるのは外から降り注ぐ言の葉ばかり。宛ら雨音のように優しく、時に痛い程に寒さを訴えるその言葉が白雨という存在にとって全ての世界だったのだと思い返す。ゆっくりと落ち着く間もなく、甲斐甲斐しく己の為にあれも、これも、と動いてくれる女性の声が今も変わらずに白雨と言う存在の全てであると物語り。渡された浴衣に腕を通すと布に染み付いた誰ともわからない匂いに蛇が絡みつくほどの醜い嫉妬をぞわりと覚え。こんな感情など、教えられていないのだから不要な物と不慣れな手の動かしで浴衣を着用し己に言い聞かせる。襖越しの声は、声が聞こえるのにその姿が見えぬと蟲卵の頃を思い出させて歯痒く、居心地の悪さに変わり思わずその身をすうと立たせる。静かな動きで襖へ近づけば迎え入れるように先に開いてから「__どうでしょう、僕も案外捨てたもんじゃない。かな、」渡された浴衣を纏うその姿を披露し、冗句めかした声色で言葉を一つ。慣れない冗句は口にするだけで聊か照れくさく、羞恥を掻き消す様にくすくすと小さい笑い声を落としては彼女からの反応を伺う様に少しだけ瞳を伏せて。ソロリと指先を這わせれば己の頬を指先で数回掻き、彼女の姿が見えただけで無条件の安堵を得るのだから仕方がないと下唇をきりり、と少しだけ噛み締め。「薫子さん、何から何までして貰ったのに。図々しくも僕は未だ我儘を言いたいのです。__今夜は雨雲が何処かへ出向くまで僕の傍にいてはくれませんか?」再び唇を開くと眉尻を落としながら何とも控えめな声色で、指して口にする内容はずけずけと。大かた寝間着だろうか、着替えを済ませた彼女はこのまま自分と離れてしまうかもしれないと浮かぶ不安に堪らずと視線をジと送り。細い体に触れるのは勇気が必要で、その勇気は自分にはまだ足らず。だからこそ強請る為に控えめと彼女の袖口に人差し指と親指を触れさせて)

  • No.103 by 黒鈴  2016-12-17 16:56:39 


>ルリヲ

 あらら、ま、あ。雌は気紛れなのよ、おばかさん (喋り声が無ければ何処までも静かな夜、街はすべて眠ってしまったかのように静寂に沈むだけ。そんな夜では独り言もままならなく、誰に聞かせるつもりじゃない呟きもたんと耳に届いて。はらりと睫毛を揺らめかす様に瞬き一つ、んふふと可笑しくて堪らないと笑い声を含ませて少しばかり小刻みに肩を揺らしては体に乗りかかる毛先も空を泳ぎ。月夜の戯れを承諾した彼の言葉に満悦し、ぽってりと厚みのある唇を口付でもするようにツンと尖らせて見せては「 そぉやって、優しくされるの。たまらなく好きよ 」片方の手の平をそろりと自身の頬に宛がうとうっとりと漏らし。それも束の間、再び手を下し肉を確りと持ち直せばぺろぺろと舌を這わせて、咥内に沁み渡る肉に塩気を堪能していれば黙っていても体が温まる今はなんと幸せな事だろうと思いを馳せる。他愛のないこの時間は心から楽しくて仕方がないと口を伝う笑い声だってからころ、からころ、軽やかに変わる。元来、蟲とは知りたがりなのか、将又単純に全ての欲に対して貪欲で貪りたがりなのか。とろん、と開いた瞳にて正面に座る彼を捉えれば「 黒鈴は美味しいお肉を一杯食べないと我慢がならないの。ね_ぇ、だから黒鈴にたんと教えてね 」ひたり、ひたり、背後からにじり寄る様な潜めた声で甘えるように声を掛ける。こしょこしょ話でもしてる気なのか、片手を口元に宛がって見る。すーう、長い呼吸で酸素をたんまり肺に吸い込むと「 ちぃっちゃい子がいちばん。でも次は柔らかい女の肉、……黒鈴がひとりでも狩りが出来るように此処のこと 」べろり…、舌なめずりを行えば赤い舌は唾液に塗れ艶々と光り、唇にもその艶を一つ落として。一度も外に出ていなければ外の世界とは見当もつかない、ゾクゾクと好奇心を煽るのは何も知らないからだろう。真正面で逸らす事無く真直ぐと向けていた目を窓へ向ければ大きな月しか輝きを見せないその景色に瞳を細めて「 ね―…えぇ。 まんまるのお月様、食べたらどんな味だとおもう? 」貪欲歯答えを待たずともふつふつと浮かぶ疑問を我慢できず、もしもの話にだって転化する。ゆらり、頭を垂らしては再び目の先を彼へ戻しながら言葉を続け)

  • No.104 by 黒鈴  2016-12-17 17:00:16 



_ 蟲卵決定表 _


蜘蛛__黒鈴(クロスズ)
「"おかわり"は、いずこ?未だ満たされないの、もひとつ、おかわりをちょうだい」
 /女/20~24/160cm/NGL/
 スラリと伸びた細身の身体、凹凸の無い薄ぺらい物。黒色の髪は腰元まで伸び、白装束を乱しながら着用する。黒い髪に白い肌、赤い眼が特徴。伏せ目がちの垂れ目はおっとりとした性分を表している。
 食い意地の張る常時飢餓に悶える蟲、要求が強く欲しい物は欲しいと無自覚の女王気質、年相応に大人びたかと思えば不相応に幼稚、従順と見せかけて主を喰らう隙を狙い息を潜めているだけ。
 満月の夜には腹と額に幾つもの眼が浮き出して抑えが利かない強い食欲を持つ、生血を啜らなければ戻らない。
主人
>№18_倉井ルリヲ(クライ―)


蛍___白雨(ハクウ)
「篠突く雨が僕とあなたを引き離すのです。ザアザアと降り続けては、終わりを知らせずに__」
 /男/20~24/175cm/NBL/
 黄金色の柔らかい猫毛の短髪、黒色の瞳は切れ長で余り大きくない。足元から白、黄、藍、黒、と色が変わる着流しを着用し上に紫色の羽織を纏う。紅色の下駄。黒色の少し大きい山高帽子を被る。
 自由を好み短命を謳歌する蟲。縛られる事を良きとしない、気儘で気紛れな飄々とした自由な存在。執着や独占欲が薄く、己もまたこの存在を記憶に残される事無く生きる事を望む。欲が極端に薄い。
 満月の夜には黒色の瞳が黄色に輝き、髪もまた闇夜に光る。食欲は薄いが無理にでも肉を喰わせて元に戻さないと元が短命の蟲なので直ぐに死ぬ。
主人
>№54_久坂薫子(クサカカオルコ)





_ 蟲卵未決定表 _




蝶___籠女(カゴメ)
「熟れて落ちる寸前の愛を私に贈りなさい、ピンセットで額縁に貼り付けて飾りたいの」
 /女/17~20/155cm/NGL/
 艶やかで華やかな、幼くも熟したアンバランスの美を持つ女。紫色から桃色のグラデーションの髪は胸元までの長さが有る。簪と着崩す花魁着物、凹凸の有る体に咥えるのは金細工の派手な煙管。釣り目。
 愛を玩具にする愛に酔う蟲、気が触れた情緒不安定な気紛れ、愛されたがりの愛したがり、愛せないならもう要らないと身勝手に相手を振り回す。気高いナルシスト、常識知らず。自己中心。蛾と双子。
 満月の夜には背中に大きな蝶の羽が艶やかに生え広がり、堪えきれない欲情に駆られる。口付と満足する贈り物が無ければ戻らない。



蟻___ 朝な、夕な(アサ―、ユウ―)
「もう一斗缶の焚火に思いを馳せる事ないでしょう」『帰る故郷なんざ無きに等しく!さあさ、諦めろ!』
 /女(朝な)男(夕な)/8~10/146cm/NBL(男性募集)/
 黒色の肩口までのおかっぱが夕な、白色の肩口までのおかっぱが朝な。揃いの深紅の着物を着る。右目が黒、左目が白目黒目の反転した物。 朝なは垂れ目、夕なは釣り目。朝なの右手首、夕なの左手首がくっついている。
 依存が強く戯れに進む道を惑わす蟲。朝なの右手首の先、夕なの左手首の先がくっつく為身体が離れることの無い双子。理性の朝なと本能の夕な。控えめな朝なと賑やかし、喧しい夕な。鏡写しの正反対。
 満月の夜にはその身が離れ、その身が20程まで成長をする。が、菓子を喰わせて戻さないと一定以上体が離れると呼吸が出来ずに死んでしまう脆い蟲。



蚯蚓__甘露(カンロ)
「夜が更ける前に何を語ろか、__月明かりじゃ少し物足らん。真丸の月が死ぬ前に生を謳おうぞ」
 /男/34~37/180cm/ML/
 くすんだ桃色の短髪はオールバックに掻き上げられて、毛先は黒く襟足に掛かるまで。年相応の皺が顔に刻まれる中年の面。白の警察服を纏い、同様の警察帽を被るが全く関係は無い。姿勢が良い。
 戯言で人を振り回す自己満足の蟲。口にする言葉は八割が嘘二割が適当。凛とし誠実な見た目とは裏腹に適当に生きる豪快な性分。小さい事は微塵と気にせず、信じるのもまた己だけと冷静を欠かない。
 満月の夜には蛇の如く細身の身体が疼き、縄の痕のように体中に痣が浮き出る。この際に告げる言葉は普段と変わり本心が多いが、言葉を述べるより先に人を喰らってしまう。生肉が無いと戻らない。



百足__手招(テマネキ)
「招チャン、○○チャンの事好きだよ。好き。○○チャンも招チャンの事好きでしょ?」
 /男/20~24/178cm/ML/
 赤ワインのような深い赤色をした髪は肩口に掛かるまでの長さが有り、項の所でお団子のように括る。黒色の着流しを着用する。狐目と言うのか細い釣り目は線のように瞑られている事が多い。
 自己中心的な貪る愛を強要する蟲。一方的に愛して愛を押し付ける、口下手の喋りたがり。語彙が無いせいで説明不足の喋り方をする。息継ぎ無しの早口。自己犠牲の性分が見られる、好きな人は好きだから仕方ない。
 満月の夜には鮫歯のように歯が鋭くなり、脇腹から胸に掛けて百足の刺青が浮き出る。満月が明けるまで一時も離れずに触れていないと戻らない。


蜂___砂乱(スナミダレ)
「夜毎、泣く泣くお前を宥めよう、俺の幸せは――嗚呼、お前の幸せなのだ」
 /男/14~16/165cm/NBL/
 黒髪被せの下が金色の金黒ツートンの髪、襟足が項を覆う程の短髪。愛嬌のある猫目と口角の上がる顔、幼くあどけない。藍色の半袖短パンの甚平を着用。犬歯のように鋭く八重歯が尖る。
 無邪気の毒を世に蔓延らせる蟲。人見知り知らず、懐っこく愛嬌の固まり。子供扱いをすると不貞腐れる、凛とし古びた喋り方が特徴。口達者で話をする事が好き、輪を掛けて無知な知識。
 満月の夜には瞳の色が赤くなり、透明な羽が生え、犬歯から毒が出る。その幼さを受け入れて愛でなければ元に戻る事が無い。



蛾___月夜(ツクヨ)
「要らないのなら欲が生まれる前にあなたの手で俺を消して、__欲が産まれればもう手遅れだ」
 /男/17~20/177cm/ML/
 黒色の髪は月明かりで色味を変える濡れ羽色のマッシュボブ、顔を隠す様に前髪が長い。細身で貧相な身体付き、所謂書生スタイルの和洋折衷な服装。切れ長の垂れた瞳は垂れた形、極度の猫背。
 産まれた事を後悔し息をする事も悔やむ蟲。堅物、卑屈、陰鬱、の三大苦を抱える。欲を一度持つと堪え性の無い欲しがりに変貌する為、そうなる前に消えてなくなりたい。閉鎖的な思考。蝶と双子。
 満月の夜には薄汚い茶色の羽が生え広がり、抑え込んでいた欲が全て表に立つ。生きている事の肯定をしなければ戻らない。



>※現在、上記蟲卵の御相手を募集しております。
>※連絡無いまま2週間の無言でしたので一部リセットしております。



_ 蟲卵について _
>№43(http://www.saychat.jp/bbs/thread/611409/res/43)

  • No.105 by 砂乱  2016-12-18 18:54:57 


うむ!呼ばれてはいないが蟲卵の中は暇でならんのだ!__ただ募集上げをするのも芸が無いこと。この砂乱の一時の一人語りに暫しお付き合い願えるだろうか。何々?人聴きの悪い…俺は出会い頭のお前さんを取って食おうとは思ってなどいないのだ。何より、取って喰らうにはこの卵が邪魔をする。さあて、さぁて、今回は蝶と蛾の二人にピントを合わせた語りにしよう。そうだ、宛ら砂乱はラヂオの進行係のようなもの__なんて光栄だろうか、この砂乱一人で話を進めるのが上手なのだ。安心をしておくれ。
先ずは蝶の籠女……謳うような金切声をあなた様はその耳に聞いたことは?夢見心地、宛ら噂の桃源郷に足を踏み込んだと錯覚をさせる程に麗しいソレは意識を混濁させるほどの美貌で釘をその指先に打ち込むような残虐性を隠しては獲物を狙うのだ。憐れみの感情など母胎に落としてきたと言わんばかり、華やかな羽を開いてはヒラヒラハラリと粉の代わりに毒でもまき散らすのだと語られる。絢爛豪華な煌びやかですら、ソレの麗しさには歯が立たないのだ。一度、その目と合ってしまえば__その心はすでに狂気の沙汰。あなたは平生とは言えぬこと。
さてさて、そんな煌びやかな後に語るには陳家な内容だ。籠目の双子の弟にあたるのは、蝶の無い損ない。蛾の月夜__この男は己が失敗作と知り過ぎたうえでこの世に生れ落ちるなんとも不遇な存在です。醜悪な容姿こそ、神が与えたバツでありこの男が息を吸うツミなのだ!恨み羨み妬みを重ねる、この男のじっとりとした梅雨のような眼を見ればあなたもお気づきだろうに。三日三晩繰り返されるのは生きている事を悔やみ苦しむ蠅の羽音のようなぶつくさの懺悔。嗚呼、可哀想な成りそこない。いっそ死人になれば煩い口は仕事をしないですむと言うに。

先に語らせて貰った通り。蝶と蛾は二匹とも似てはいないが双子のソレなのだ。落ちる蟲卵の場所は一緒かもしれんし、別々かもしれん。それを知るのは拾うた___あなただけ。

蝶や蛾だけじゃあ無いぞ。醜く気味の悪い、ソレは「もおいいかい」と拾われる事を待ち望み、暖かい血を啜る未来を待ち望んでいるのだ。このままでは…腐っている事にも気づかずに朽ちるかもしれんね。


>多くの蟲の拾い手様を募集中
※蝶と蛾のみ、同時引き取り可能

  • No.106 by 蟲  2016-12-19 20:14:20 


(/募集上げをさせて頂きます!質問等、気になる事が有りましたらお気軽にお声がけ下さい。)

  • No.107 by 蟲  2016-12-21 17:20:27 

(/募集上げです。)

  • No.108 by 倉井 ルリヲ  2016-12-21 22:39:10 

>主様
(/体調が戻られたようで何よりです。それでも、どうぞ無理はなさりませんよう!
現在お返事を考えていますが、多少の体調不良と年の瀬のばたつきで今暫くお時間いただければと思います。申し訳ありません)

  • No.109 by 蟲  2016-12-24 10:41:02 


>ルリヲPL様
(/暖かなお言葉を有難う御座います。
 年末とのことでばたつく頃合いかと思います…!何よりも私生活を優先して頂ければ!連日と寒い日ばかりですので、お体を大事に…!お返事はいつでも大丈夫ですので!)

  • No.110 by 久坂 薫子  2016-12-24 12:13:26 

>白雨

(返事の代わりに聞こえるのは僅かな衣擦れの音。応えがない事に不安になったのは一瞬で、襖が開き彼の姿を視界へ収めれば、それは何事も無かったかのように霧散する。思った通り、黄金の髪と濃紺の浴衣はまるで夜空とそこに浮かぶ月のようで、月光が如き儚さを持つ相手によく似合う。ああでも、もし次があるのなら。その名の示す明るい空と雨の色を着せてみたいと、細やかな願いを胸に抱き「ええ、とても似合っているわ。……素敵よ、白雨」照れたように頬を掻く様子が愛らしくて思わず目元を緩めれば「失礼」と帯が少し曲がっていのを指先で軽く整えて満足げに微笑む。過去と現在が目の前で重なり、交わるような、そんな光景。代わりにしようなどとは露ほども思っておらず、あの人代わりなど居ないし、目の前の彼は彼だから心惹かれるのだと分かってはいるのに、彼が動くたびに懐かしいあの人の香りが掠めるのに少しだけ複雑な心持ちでいれば、強い視線と弱く引かれた袖にハッとして考え込む様に伏せていた視線を上げて「もちろんよ、気の済むまでお話をしましょう。……だってわたくしはまだ、貴方に名前しか伝えられていないのだもの」自身の事を教えて欲しいと言う先ほどの要求にまだ応えられていないのだから、こんな事は我儘のうちに入らないと言わんばかりに二つ返事で了承をし、袖口に触れる彼の手を両手でそっと包み込む様に握ればそのまま自身の頬に触れさせるように宛がう。先ほどからまるで壊れ物のように扱われるものだから、大切にされている事が嬉しい反面、少し寂しくもあり。故に触れても大丈夫なのだと伝えたかったのだが、流石にはしたなかっただろうかと不安を覚えて僅かに指先に力が入る。「その…ね。人に触れられるくらいでは、壊れたりだなんてしないから……だから…」続く言葉は口にすることができず、ちらりと一瞬だけ視線を彼の瞳に向けては気恥ずかしくなってしまい、顔を俯かせて)

(/ご快復なさったようで何よりです!ですが気温の安定しない日が続きますので、ぶり返しには十分にご注意くださいませ。
また、ただ今暮の怱忙に追われておりまして、お返事が安定しないことをお詫び申し上げます。)

  • No.111 by 倉井 ルリヲ  2016-12-27 23:19:15 


>黒鈴

(近付いた相手からは水と干し肉の少し塩っぽさ混ざったなんともいえないにおいが決して嫌ではなく香り、耳元で響くような笑い声はいかにもくすぐったく真正面から受け止めるとても生餌に食いつくとは思えない顔立ちもあればそれもひとしおで、頬に宛がう指の動きをぼんやり気にしながらほんの僅かに首を曲げ心中で優しい、と復唱する。零れた言葉の意味がまるで分からないのは幼い頃から奉公生活にやつしてきた身には言う事をきくのに程度の差はなく当たり前の事でそれを優しいと思ったり言われたりした事はないからで、とはいえ相手は雇い主ではなく、そうなれば夜更かしを良しとしたのは客観的に見れば優しさになるのかもしれないがそんなような事を考えても自分に優しさ、なんて言葉はあまりに馴染みがなくどこを見るでもなくなっていた焦点を相手に合わせ直して。あまりに理想に近くあんまりに理想とかけ離れた蟲、失望こそし切ったのに未だ魅力を感じている蟲、好きと言われて悪い気はしないあたり蜘蛛だと言うのなら巣を巡らせるのがなんて上手なのだろうと思う。それか案外、難儀な嗜好のせいで気付かなかったが自分は単なる面食いなのかもしれないと瞬間に思いつつ「どうにも、このお馬鹿さんはお前が可愛いらしい」それは他人事じみた大した事でもないような、実際些事にしか思ってもいない口調で。ふと赤い瞳がこちらを向くとその視線も声までも甘ったるく、潜めた声がかえって反響して聞こえる錯覚。一息ついて続く紛れもない捕食者の願望を聞くと何故だが口角が緩んでしまいそれでこそ可愛いとさえ感じるのがこの蟲の魅力であるように思えるが、実際に浮かぶのはいささか苦い笑み。「そいつをどうしたものか、夜の徘徊者にでもなってしまおうか」即座によしと言えないのはこの六畳一間が住処の身の上のせいで、相手を匿うのさえいつまで持つか分からないものの月が踊るこんな夜中にしんとした街を徘徊する様など想像しながら呟いて。そんな事をしているうちに相手も自由にしていて月の味などと言い出したので戻ってきた目を見てから、一度月に目を遣りそれから改めて見つめ返して「さぁねぇ……ゾッとするほど生ぬるそうかな」窓向こうで暗い空にぽっかりと浮かんだ月は柔らかい黄色に見えたがそれに温かみよりも不健康な色味を感じ、味など思いつきもしないがもしもあの月が舌に乗ったならば、ひどく嫌な舌触りだろうとは思って)

(/こちらこそ温かなお言葉ありがとうございます。
それと、もしかしたら今年最後の顔出しになるかもしれませんので一言。素敵なスレに参加出来て、想像以上に可愛い黒鈴さんにお相手してもらえて幸せです!これからもお返事が遅れる事があるかと思いますが、あまり遅くなるような時は報告するようにしますので、これからも宜しくお願いします。良いお年を!)

  • No.112 by 通りすがりさん  2017-01-16 18:06:21 



(/応援上げ )

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