蟲 2016-11-26 12:01:37 |
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>ルリヲ
あらら、ま、あ。雌は気紛れなのよ、おばかさん (喋り声が無ければ何処までも静かな夜、街はすべて眠ってしまったかのように静寂に沈むだけ。そんな夜では独り言もままならなく、誰に聞かせるつもりじゃない呟きもたんと耳に届いて。はらりと睫毛を揺らめかす様に瞬き一つ、んふふと可笑しくて堪らないと笑い声を含ませて少しばかり小刻みに肩を揺らしては体に乗りかかる毛先も空を泳ぎ。月夜の戯れを承諾した彼の言葉に満悦し、ぽってりと厚みのある唇を口付でもするようにツンと尖らせて見せては「 そぉやって、優しくされるの。たまらなく好きよ 」片方の手の平をそろりと自身の頬に宛がうとうっとりと漏らし。それも束の間、再び手を下し肉を確りと持ち直せばぺろぺろと舌を這わせて、咥内に沁み渡る肉に塩気を堪能していれば黙っていても体が温まる今はなんと幸せな事だろうと思いを馳せる。他愛のないこの時間は心から楽しくて仕方がないと口を伝う笑い声だってからころ、からころ、軽やかに変わる。元来、蟲とは知りたがりなのか、将又単純に全ての欲に対して貪欲で貪りたがりなのか。とろん、と開いた瞳にて正面に座る彼を捉えれば「 黒鈴は美味しいお肉を一杯食べないと我慢がならないの。ね_ぇ、だから黒鈴にたんと教えてね 」ひたり、ひたり、背後からにじり寄る様な潜めた声で甘えるように声を掛ける。こしょこしょ話でもしてる気なのか、片手を口元に宛がって見る。すーう、長い呼吸で酸素をたんまり肺に吸い込むと「 ちぃっちゃい子がいちばん。でも次は柔らかい女の肉、……黒鈴がひとりでも狩りが出来るように此処のこと 」べろり…、舌なめずりを行えば赤い舌は唾液に塗れ艶々と光り、唇にもその艶を一つ落として。一度も外に出ていなければ外の世界とは見当もつかない、ゾクゾクと好奇心を煽るのは何も知らないからだろう。真正面で逸らす事無く真直ぐと向けていた目を窓へ向ければ大きな月しか輝きを見せないその景色に瞳を細めて「 ね―…えぇ。 まんまるのお月様、食べたらどんな味だとおもう? 」貪欲歯答えを待たずともふつふつと浮かぶ疑問を我慢できず、もしもの話にだって転化する。ゆらり、頭を垂らしては再び目の先を彼へ戻しながら言葉を続け)
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