蟲 2016-11-26 12:01:37 |
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>朝陽
(髪を梳くような優しい手つきで頭部に触れられると真似て伏せていた眼を薄らと開く、二度程繰り返されたその行為が何処までも優しい物に感じると又も依存が心に住み着き。欠片も無い睡魔が一層と距離を置く様に触れるその手をもっとと願い、あやす様な声色で向けられた目を瞑ると言う指示に慌てて両目をまた瞑る。両目を瞑り、黙りこくって、時間を過ごす。静寂が煩くシィ――ン…と頭に響くようで暗闇の中で薄らと目を開いた。もぞり、背を向けていた体を振り向かせ、一定の落ち着きを持つ寝息を立てる彼へ顔を覗かせると両目を閉じても尚見せるその顔は凛とした男前なのだ。ゾッとするほど、美しくて黙っている彼を見れば極上の肉を皿に置かれたような気になるのだ。彼に名を貰うだけで自らも強くなった気がするのだ、彼の肉を喰らえば自身も彼のように背を伸ばし堂々とした佇まいが出来るのでは、そんな思いが胸に落ちるまで夜と言う存在は人の気を狂わせる。布団の中で温まる片手をぞろりと這わせ取り出せば乱れ一つないその顔へ指先をそろと触れさせて、__やわらかかった。触れる顔の感触は柔らかく、それは同時に彼の浮かべる優しいその笑みを連想させるようで心臓のあたりが痛みを帯びる。熱い物でも触ったように触れた指先は反射的と弾かれて、「__俺の分の良い夢を、全部朝陽に」起こさないよう潜める声はひっそりと、静寂に落ち。ゆるりと小さく微笑を浮かべては再び目を伏せる。眠る彼が起きてしまわないか、恐れながら長い片腕を伸ばすと彼の腹上を通る様に背後から抱きしめる形を取り、密着する事で一層と強く暖かさを貰い、また渡して。眠りについたのはそれからどれ程時間を過ごした後だろうか、太陽が顔を乱す頃に漸く意識は途切れ。ただ、只管と、無条件に彼の温もりを貰い彼の凛々しさに触れたいと身を寄せて、土の中に埋まる芋虫のようにモゾモゾと顔を彼の項辺りへ沈めては短い睡眠に溺れ)
(/此方こそいつも素敵な文章に心を惹かれております!是非時間軸を飛ばして翌朝に持って行って頂けると有り難く思います…!確認をして頂けてそのお心遣いを嬉しく思います。ありがとうございます!)
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