巡り巡る貴方への想い《ボカロ小説》

巡り巡る貴方への想い《ボカロ小説》

巡音ルカ  2015-08-06 19:25:43 
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●これはボカロ同人小説です募集はしていません
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●小説は不定期に更新致します
●ちなみに巡音ルカとマスターとのお話です



では始めさせていただきます 

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  • No.9 by 巡音ルカ  2015-08-07 19:55:26 

     ~ログオフ~


マスターに「おやすみなさい」と言い、マスターが戻った後ベットの上でログオフしたのはついさっきの事だ。
先ほどのマスターとのやりとりを思い出すとつい笑顔になってしまう。
不思議な感覚だ。なぜこんなにも暖かい気持ちになるのだろう。
ログオフしたばかりなのにもうマスターに会いたくなる。
マスターは今ごろ何をしてるのだろう?何を思っているのだろう?もう眠ったのだろうか?
そんなふうなことばかり考えてしまう。「早く朝にならないかな」ふっと思わず呟いた言葉に自分自身驚いてしまった。
そんなさっきあった相手をこんなふうに思うなんて、私は何を考えているのか。
無機質な機械音の中。体温と同じ温度。ただ違うのは私の目の前には光の玉と《ログオンをしますか?》と書かれた光の文字に、《ログオン》と書いた光の文字が隣に浮かんでいること。

  • No.10 by 巡音ルカ  2015-08-07 20:05:47 

そして、マスターと先ほどまで過ごしたという記憶(データ)。
たとえ私が作られた物であってもこの記憶(データ)だけは、紛れもない真実であると思いたい。
そう願いながら私は朝が来るのを待った。

  • No.11 by 巡音ルカ  2015-08-07 20:45:38 

     ~ログオン~
《ログオン》ボタンを押すと《ログオンを開始します》と表示され私は機械音の中で目を閉じた。
光の玉が強い光を発するのを、瞼の裏に感じ、そうしてゆっくりと目を開けた。
目覚めたとき、私は自室のベッドの上にいた。
すっと立ち上がりクローゼットを開けマスターに言われた言葉を思い出した。
『明日の朝は君に用意した衣装がクローゼットにあるから好きな服を着ておいで』。
「どれを着たらいいのかしら」衣装を見て悩んでしまう。
マスターに会うまではこんな事気にしなかったのに、なぜこんなに悩んでしまうのか。
私の内の変化に戸惑ってしまう。しかしこうしていてもしかたない。

  • No.12 by 巡音ルカ  2015-08-07 22:14:34 

複数ある衣装の中で一番はしにあった白いワンピースを手に取り、マスターはきっとここにある服は私にあわせて選んでくれたのだろう。
それならばきっとどの服を着ても問題ないのだろう。
そう考え私は初期設定の服を脱ぎ、白のワンピースに着替える。
次に鏡の前に立ち髪を整えた。櫛はなかったので手櫛で整えた。
そのままでもよかったのだが、あまり髪が乱れてるとせっかくマスターが用意してくれた衣装に悪い気がしてしまったのだ。
「これでいいわ」鏡を見直し、自室のドアを開け、リビングに向かった。
「おはようございますマスター」リビングでマグカップにはいったコーヒーを飲みながらソファに腰をかけていたマスターは、私に気がつくとニコリと笑いながら「おはよう。あぁ、ちゃんと着替えてくれたんだね」そういいながらマグカップをテーブルに置き、ソファから立ち上がると私のそぱにゆっくりと近づいた。
「思ったとおりだ。とても似合ってる」。そういって私の髪をなでた。

  • No.13 by 巡音ルカ  2015-08-07 23:25:54 

「ありがとうございます」マスターの言葉に嬉しくなり私は感謝の言葉を述べた。
そのとき、髪になにか硬い物があたったことに気がついた。
不思議に思いマスターに撫でられた所に触れると、なにかが付いてることに気がついた。
リビングの鏡に目をやると、そこには先ほどまではついていなかった桜の花の髪飾りが付いていた。
「あの、マスターこれは?」驚いている私にマスターは「君のソフトを買った日に町で見かけたんだ。衣装は前から用意していたんだけど、それはそのとき買ったものだよ」と、マスターは少し照れながら言ってくれた。

  • No.14 by 巡音ルカ  2015-08-08 00:42:32 

綺麗な髪飾り。ピンク色の花びら、黄緑色の葉に、茶色の止め具。
キラキラと輝く髪飾りに見とれていると、「ルカの髪と同じ、綺麗な色だ。僕はルカの髪、すごく好きだよ」。
マスターはそう言って優しい目で私を見つめてた。
マスターに見つめられると、私の内から音がする。《トクン、トクン》と、音がする。
不思議な音。なぜこんな音がするのだろう?とても気恥ずかしい気がする音。
なぜこんなふうになるのだろう。でも、決して嫌ではない。
そう思いながらマスターを見つめ返した。
私もマスターに何かしてあげたい。私に何が出来るだろう。
そんなことを考えているとマスターは「そういえば昨日の歌さっそく聞きたいんだけど、いいかな?」

  • No.15 by 巡音ルカ  2015-08-08 01:21:18 

そういえば、たしか昨日マスターに楽譜を渡されていたのだった。
自室に置いたままだったのを思いだし、「あの、部屋に置いて来てしまったので、すぐに持ってきます」
そう言って私は急いで自室に楽譜を取りに行った。
楽譜は、ベットの横のライトスタンドが置いてあるテーブルの上にあった。
楽譜の歌詞は花の歌のようだった。楽譜を手に取り急いでリビングに向かう。
「お待たせいたしました。」急いで戻ってきた私を見てマスターは「うん。じゃあ始めようか」とニコリと微笑んでパソコンのスイッチを入れた。

  • No.16 by 巡音ルカ  2015-08-08 13:16:28 

私の内側から音が溢れてくる。マスターが私のために作ってくれた歌。
私は歌った。マスターの思いに答えたくて、せい一杯の気持ちで。
なのに、どうしてだろうか。全然うまく歌えなかったのだ。
悲しくて、悔しくて、涙が出た。昨日とは違う涙だった。この涙はなぜ出たのだろう?
昨日とは違う感覚に私はまた戸惑う。心がきゅっと痛い。これが悲しいという事なのだろうか?
泣いている私にマスターは困った顔をしている。そんな顔させたかったわけじゃないのに。
そう思うとよけいに涙が溢れてくる。「すいません。マスターがせっかく作ってくれたのに、私うまく歌えなかった」泣きながら言う私に、マスターは「違う、違うよルカ。君は悪くない」そう言って困ったように笑う。
まただ、また私はマスターを困らせてしまった。私は《ボーカロイド》なのに、歌の歌えない私は何の意味があるのか。

  • No.17 by 巡音ルカ  2015-08-08 13:55:23 

思わず私はマスターの手を振り切り自室に飛び込んだ。そして急いで内側の鍵をかけた。
そのままドアに背を向け座り込み声を押し殺して泣いた。涙はなかなか止まらず、私の頬を伝った。
こんな歌をうまく歌えない私の事、マスターはきっとすぐ破棄してしまうだろう。せっかく私のために部屋も、衣装も、歌も用意してくれたのに。
マスターはさぞ残念に思っただろう。私のような《不良品》を買ってしまって。
そう思いながらようやく落ち着いてきた涙を拭うと、《コツン》とかたい物が手の甲にあたった。
ふっと鏡を見たら私の髪に付いていた髪飾りがキラリと輝いていた。
《ルカの髪と同じ、綺麗な色だ。僕はルカの髪、すごく好きだよ》
そう言ってくれたマスターの声が私の内に響いた。
《コン、コン》ドアをノックする音の後すぐに「ルカ、そのままでいいから少しだけ話を聞いてほしい」
マスターは落ち着いた声で続けた。

  • No.18 by 巡音ルカ  2015-08-08 15:53:25 

「さっきのは本当にルカのせいじゃないんだ。僕は初めて歌を作ったんだけど、まだちゃんと音程やリズムが君にインストール出来ていなかったんだ。だからこれからゆっくり君と歌を作りたい。君と僕との歌を」マスターは優しい声で言ってくれた。
私は「私は《不良品》ではないのですか?私のこと破棄しないのですか?」おそるおそるマスターに聞いてみた。するとマスターは「何を言ってるんだ。僕は初めて君が僕の家に来たとき、目を開けてくれたとき、初めて声を聞いたとき、君が笑ってくれたとき、そして」少し焦ったようにしかし嬉しそうに言うと一呼吸置き、「そして僕の歌を歌ってくれたときとても嬉しかったんだ。それなのに破棄なんてするわけないだろ。君は《不良品》なんかじゃない」とマスターは優しくて暖かい声で私に言ってくれた。
私はさっき止まったばかりの涙がまた溢れてきた。しかしこの涙は悲しい涙ではない。嬉しくて溢れた涙だった。そしてドアの内側の鍵をはずし、ドアを開けた。
マスターは安心したかのような顔して「僕は君を泣かしてばかりだな。こんな頼りない僕だけど、どうか僕とともにいてくれるかい?」

  • No.19 by 巡音ルカ  2015-08-08 16:15:40 

と言うマスターに私はぎゅっと抱きつき、「私もマスターとずっと一緒にいたいです」と言いながら微笑んだ。

  • No.20 by 巡音ルカ  2015-08-08 18:02:27 

     第三章 マスターのいない日


《コン、コン》ドアの外からのノックの音にログオンしたばかりの私は「はい、今開けます」とドアを開けた。
まだ着替えていなかったため初期設定の服のままの私に「ルカ、おはよう。起きたばかりなのにごめんね。実は・・・」と申し訳なさそうに「今日はこれから明日の夜まで帰って来れそうもないんだ。だから悪いけど明日の夜までお留守番を任せてもいいかな?」と私に訪ねてきた。
マスターはいつも仕事とか言うものを行いに出かけている。人間とは仕事や学校などというものをしなくてはいけないらしい。
しかし、いつもマスターは朝に出かけて、夕方には帰宅していた。ところが今日はいつもと違うらしい。
「わかりました。では、ご帰宅は明日の夜ですね」と私はマスターに確認をとった。

  • No.21 by 巡音ルカ  2015-08-08 19:11:29 

「ごめんね。本当は一人になんてしたくないんだけど、仕事が立て込んでて締め切りがぎりぎりなんだ」マスターは聞き分けのいい私を見て、優しく髪を撫でて言った。
「マスターお時間はよろしいのですか?」そう言って私は時計を指さし疑問を投げかけた。
「えっ?あっ、もうこんな時間か。じゃあ行ってくるから、お留守番よろしくね」と、マスターは焦りながら玄関に向かい「行ってきまーす」と言いながら出かけていった。

  • No.22 by 巡音ルカ  2015-08-08 21:26:22 

「行ってらっしゃいませ。マスター」私はドアの閉まった玄関を見つめ少し寂しげに独り言を呟いた。
一人きりになったリビング。先ほどまで座っていたらしい マスターのソファ。脱ぎ捨てられてた、マスターの服。
何もすることのないこの部屋で私はマスターの服を丁寧にたたみなおした。
マスターのシャツは私の衣装の上着よりも大きい。ふっと握りしめたシャツからはマスターの温もりが残ってる気がした。
私はもう寂しくなっているのだろうか?まだ明日の夜まで一日半はあるというのに。
シャツをたたみ直しながら、時計を見つめ早く明日の夜になればいいのにと心の中で呟いた。
マスターのソファに座りそのまま横になる。私に嗅覚はないけれど、マスターの香りがまだのこっている気がした。
私は瞳を閉じゆっくりとログオフした。

  • No.23 by 巡音ルカ  2015-08-09 00:51:29 

     ~ログオフ~


どれほどの時間が経っただろうか。リアルタイムを表示する液晶に目を向けた。
まだようやく昼を過ぎたばかりのようだ。時間の経過の遅さにため息をついてしまう。
マスターはきっと今ごろ忙しく仕事というものを行っているのだろう。
ログオンしてしまおうか。でも、ログオンしても時間の経過は変わらない。
それどころか、マスターのいない部屋をみてよりそのことを思い知らされるだけだろう。
それならばいっそログオフのままこうして一人この機械音の中眠っていた方がましな気がした。

  • No.24 by 巡音ルカ  2015-08-09 12:28:50 

なぜこんなにも時間流れが遅く感じるのだろう。マスターとともにいる時は、時間が早く感じるのに、マスターがいないだけで時間が遅く流れる。
私には《眠る》という概念がない。なぜなら私は生物ではないからだ。
生物は睡眠をとることで意識を手放し、記憶を整理し、脳を休め、体を回復させるらしい。
しかし私は生物ではない。私を構築するのは電気と、データだけだ。
それゆえに私は《眠る》という概念がないのだ。
いっそ眠れたらどんなに楽だろう。こんなふうに、マスターの帰りを待ちわびたり、朝がくるのを一人で待つこともしなくていいのに。

  • No.25 by 巡音ルカ  2015-08-09 14:21:39 

私は一度ログオンする事にした。まだ夕方だが、もしかしたらマスターが一度帰ってくるかもしれない。
浅はかな期待かもしれないが、それでも可能性がないわけではない。
そう思い私は《ログオン》と言う文字に触れた。《ログオンを開始します》と言う文字が現れ私は目を閉じた。
目映い光とともに私はログオンした。


     ~ログオン~


私はすぅっと目を開けた。「あぁ、そっか。私ここでログオフしちゃったんだった」。

  • No.26 by 巡音ルカ  2015-08-09 17:47:06 

そう呟きながら私はソファから起き上がり、ベランダに目をやった。
オレンジ色の夕焼けが夜の闇と混ざりあっていた。淡い夕焼けはベランダの窓を通り、室内を照らしていた。
マスターが帰ってきた様子はなく、なぜか不安に駆り立てられた。
これが寂しいという感情なのだろうか。先ほど丁寧に畳んだマスターのシャツを抱きしめ、寂しさをごまかした。
「早く帰ってきて」そう呟き目を閉じた。

  • No.27 by 巡音ルカ  2015-08-13 13:18:31 

ベランダの外はゆっくりと夜の闇が夕焼けを浸食していく。
歩道の側の街灯は少しずつ明かりがついてゆく。
そんな景色を見ながら私は、マスターに思いを寄せ、早く明日の夜が来ることを祈るような気持ちで待ち望む。

  • No.28 by 巡音ルカ  2015-08-13 17:51:25 

《カチ、コチ》と、リビングの時計の音がなっている。少し寂しげなその音は、より私の寂しさを増幅させる。
不安にかられより強く目を閉じていると、玄関の方から何か音がした。
「マスター?」と私は玄関の方を見ながら呟き、急いで玄関に向かった。
しかし玄関のドアの向こうにいるのはマスターではないようだ。
なぜならドアの向こうからは《ミャー》という鳴き声と、《カリカリ》というドアを引っかく音が聞こえたからだ。
マスターならそんな声も、音もさせないし、なによりも、自分で鍵をあけて入ってくるのだから。

  • No.29 by 巡音ルカ  2015-08-18 13:24:56 

そこで私はそっと玄関のドアを開け、おそるおそるドアの外を覗いてみた。
するとそこには、三角形の耳に、長くしなやかに動く尻尾。そして全身に毛皮を纏う生き物がいた。
おそらくこれは猫という生き物だろう。
私の内にある《基本データ》の中の情報がそれを教えてくれた。
猫は私の足元に近寄ると「ニャー」と一度鳴き自分の体を擦り寄せてきた。
そんな猫の背中を優しく撫でながら「君も寂しいのかな」と私は呟いた。
その声に答えるように猫は《ごろごろ》と喉を鳴らしながら私に甘えてきた。

  • No.30 by 巡音ルカ  2015-08-18 13:46:28 

私が甘えてくる猫を寂しげに微笑んでいると、ふと何かに気づいたように「ニャーン」と私の顔を見て鳴くと玄関の外へ向かっていき、そのまま立ち去っていた。
一人残された私は「さようなら」と呟き、玄関のドアを閉め鍵をかけた。
そのままリビングに戻りベランダに目をやると、外はもう夜の闇に染まり街の明かりが星のように輝いていた。
私は自室に戻りマスターに頂いた楽譜の歌詞を見つめ、声に出さず心の中で歌った。
マスターの顔を思い浮かべ、いとおしげに歌う。
それはまるで寂しさを紛らわすように、自分は一人でも大丈夫だと言い聞かせるように、マスターといるときの暖かな気持ちを思い浮かべながら朝がくるまで歌い続けた。
そして朝日が上り始めた。その頃にはもうすでに時計は6時を回り、小鳥の鳴き声が聞こえ始めていた。

  • No.31 by 巡音ルカ  2015-08-18 13:54:12 

私は一度ログオフをして、マスターの帰りを待つことにした。
楽譜をベットの横のテーブルに置き、そのままベットに横になり目を閉じログオフをした。


     ~ログオフ~


あぁ、もう少しでマスターが帰ってきてくれる。

  • No.32 by 巡音ルカ  2015-08-18 14:09:43 

たった一日半マスターがいなかっただけでこんなにも寂しく感じるなんて思いもしなかった私は、もうすぐマスターに会えることが嬉しくてしかたなかった。
そんなことを考えるだけでこの無機質な空間が、ほんの少し暖かく、優しく感じてしまう。
リアルタイムを表示する液晶を見るとまだ8時なったばかりだった。
私はいてもたってもいられない気持ちになり、まだ帰ってきてないと知りながら《ログオン》という文字に触れ、心を踊らせながら目を閉じた。


     ~ログオン~

  • No.33 by 巡音ルカ  2015-08-18 14:29:52 

すっと目を開けると私はベットから起き上がり、急いでクローゼットを開けその中の衣装を一着ずつ確かめるように見比べた。
そしてその中の青と白のストライプのドレスを選び着替えた。
マスターは喜んでくれるだろうか?なんてことを考えながら、今度は鏡の前に立ち、髪を整えると衣装のリボンを見て次に鏡にうつる自分の髪に付いているマスターにもらった髪飾りを見た。
本当ならばリボンを付けるべきなのだろう。しかし、なぜか髪飾りを外したくないと思い、リボンを引き出しにしまいながら、「よしっ」と一言いいながら微笑んだ。
私は自室のドアを開け、リビングに向かおうとしたとき、玄関の方から《ガチャガチャ、ガチャン》という音が聞こえた。

  • No.34 by 巡音ルカ  2015-08-18 14:57:49 

私が急いで玄関に向かうと、「ただいまー」とマスターが疲れた顔をしながら私に気づくと、優しく笑って「ただいまルカ。お留守番ご苦労様でした」と優しく髪を撫でてくれた。
私はその温もりに気持ちよさそうに目を細め、「マスター、お帰りなさいませ。お仕事ご苦労様でした」と言った。
するとマスターは鞄を置き、靴を脱いでから「ようやく終わったよ。でもこれで明日から二連休だ」と嬉しそうに言った。私は「に・・れんき、う?」と小首を傾げマスターの顔を見た。
するとマスターは「えーっと、ようは二日間ルカと一緒にいられるってことだよ」と笑って答えてくれた。
そして「そうだ、明日は一緒に外に出かけてみようか?」と言ってくれたマスターに私は「お体の方は大丈夫なのですか?」と心配そうに聞いた。
しかしマスターは「これくらい一晩眠れば疲れも取れるよ」と笑っていってくれた。
私は「よかった」と言いながらマスターの顔を見て笑った。
そうして私たちはリビングに向かった。

  • No.35 by 巡音ルカ  2015-08-28 02:42:00 

     第四章 初めてのお出かけ

  • No.36 by 巡音ルカ  2015-08-28 11:14:27 

次の日、私はいつもより早めにログオンをした。
なぜなら今日はマスターが初めて私をお外に連れて行ってくれるからだ。
初めての外出という理由もあるが、マスターと一緒だということが、とても嬉かった。
私はクローゼットを開け、どの服が良いだろうかと考え込んでしまう。
そんな時ドアを《コン、コン》とノックする音が聞こえた。
「ルカ、おはよう。今日の外出のことでお願いがあるんだけどいいかな?」とマスターの声がして、私は急いでクローゼットを閉め「はい、なんでしょうか?」とドアを開けマスターを部屋に招き入れた。
「じつは、今日外出するとき、是非着てもらいたいと思って新しい衣装を用意したんだ。もしよかったら着てもらえないかな?」と、後ろ手に隠していた大きな紙袋を私に差し出してくれた。

  • No.37 by 巡音ルカ  2015-08-29 08:03:13 

私はマスターから紙袋を受け取り「ありがとうございます。とても嬉しいです」と嬉しそうに微笑み、マスターにお礼を述べた。
「喜んでもらえて良かったよ。じゃあ、僕はリビングにいるから準備ができたらおいで」とマスターは嬉しそうに言い、リビングの方へ向かっていった。
私は急いで紙袋を開けてみた。すると中には薄いグリーンの七分丈のカーディガンに、クリームイエローのレース付き膝丈ノースリーブワンピース、そして琥珀色のビジュー付きのミュールが入っていた。
「綺麗・・・」私はいただいた衣装を見つめ、吐息を漏らすように呟いた。
淡くて、優しくて、とても綺麗な衣装。こんな素敵な衣装を着てマスターと出かけられるなんて。
こんなに嬉しいと感じられるなんて、きっとこれが《幸せ》ということなのだろう。
私は、マスターをお待たせしていることを思い出し、急いでいただいた衣装を着て、マスターの待つリビングに向かった。
「お待たせいたしました、マスター」と私はリビングに入り、ソファに座って居たマスターに声をかけた。

  • No.38 by YUKI  2015-08-30 00:19:29 

マスターはお出かけ用の格好なのか、いつもの仕事用の紺色のスーツとは違う、薄手のクリーム色のファスナー付きロングパーカに、白いシャツを中に着て、少し濃いめの青いジーンズを履いていた。
私に気づいたマスターは「えっ、凄い綺麗だ」と一瞬言葉をなくし私を見て頬を赤らめながら言ってくれた。
私は私で普段と違う格好のマスターを見て「マスターもとても素敵です」同じく頬を染めながらマスターに伝えた。
互いに照れながらも「じゃあ、そろそろ出かけようか」と、もしもなにかあった時のためにノートパソコンと私のソフト、バックアップデータと予備のバッテリーを持ち、後は財布と携帯を鞄につめ二人で玄関に向かった。
私は玄関でビジュー付きのミュールを履き、マスターに手を引かれ玄関を後にした。
初めてこの家から外に出た私は、嬉しいという気持ちと、少しの不安に揺れていた。
マンションの外は暖かい太陽と、優しい風が吹いていて、その風に道の脇に咲く花が揺れていた。

  • No.39 by 巡音ルカ  2015-09-03 06:19:54 

「気持ちいい」私は優しい暖かさに目を細め、風に靡く髪をかきあげた。
「ルカがこんなに喜んでくれるならもっと早く外に連れていってあげれば良かったかな」とマスターは言いながら、一歩前を歩く私を見つめながら囁いている。
その言葉に私は「えっ?何ですか?マスター」と言い振り返ったとき、一陣の風が吹いた。
風はマスターと私の間を何処からか連れてきた花びらと共に吹き抜けていく。
マスターはそんな中私を見つめ、呆然としていた。
私が「あの・・どうしました?マスター」とそんなマスターの元に近づき話しかけると、マスターはようやく正気になり「え?いっいや、なんでもないよ」と少し目をそらし、頬を赤らめ答えた。
私は不思議そうに小首を傾げ、まぁ、いいかと再び歩きだしくるりと振り返り「今日は何処に行くんですか?」と訪ねてみた。
すると「うーん、特にはまだ決めていなかったけど、とりあえず植物園にでも行こうか?」とマスターに提案され、私は余りよくわからないけれど「はいっ」と元気よく笑顔で答えた。

  • No.40 by 巡音ルカ  2015-09-03 07:14:00 

植物園はわりと近くにあったらしく、マスターと話をしながら歩いているとあっと言う間に着いてしまった。
「此処だよルカ。ちょっと待っててね」とマスターは私の顔を見て微笑むと、チケット売場で「すいません、大人2枚下さい」と言いチケットを買ってきてくれた。
「おまたせ、じゃあ入ろうか」とマスターが私の手を引いてくれた瞬間、私は「あっ」と思わず反射的に小さく声を上げた。
それに対して「うん?・・わぁ、ごゴメンそんなつもりじゃ」とマスターも気づいたらしく慌てて手を放す。
しかし私は「えっ・・あの放さなくても、というより・・」と一瞬残念そうな顔をして、モジモジとしながら顔を赤らめてしまう。
その様子を見てマスターも改めて少し照れたように、「えと、ぁっあのさ、手繋いでもいいかな?」と私に手を差し出してきた。
「ぁ、は・・い・」と私も赤らめた顔のまま少し嬉しそうに手を差し出した。
「じゃあ、入ろうか」とマスターは優しく私の手を握り、植物園の中に導いてくれた。
その温もりが心地よくて私は微笑みが溢れてしまう。それを気づかれないように少し俯きながら、マスターと共に植物園の中に入って行った。

  • No.41 by 巡音ルカ  2015-09-03 13:07:30 

植物園の中は思っていたよりも広くて、綺麗な花や樹で溢れていた。
私とマスターは、ゆっくりと歩きながら花時計のあるエリアに向かった。
花時計は色鮮やかな花で溢れていて、見つめているだけで嬉しくなってしまう。
「マスター、見て下さい。とっても綺麗ですよ」と私は嬉しそうに微笑見ながらマスターを見つめる。
「うん。すごく綺麗だね」とマスターは振り返る私と花時計を見つめ目を細めて言っていた。
「ねぇ、マスター。私、今とても幸せなんですよ」と私はマスターに近寄り、嬉しそうに言いながら「だって、マスターに出会って、とても大切にして下さって、いろんな感情が生まれて、マスターと共にいられる。すごく幸せです」と言って、頬を染めながら微笑んだ。
そう、幸せなのだ。マスターがいるだけで幸せに感じる。マスターがいないと悲しくて、寂しいと感じてしまう。
もしかして、これが《好き》という感情なのだろうか?だとしたら私は、マスターが好きなのかもしれない。

  • No.42 by 巡音ルカ  2015-09-03 13:33:25 

そんな風に初めて気づいた感情に頬を赤らめていると「僕も幸せだよ、君に出会えて。初めて会った時も、いろんな君を見つめている時も、今こうして共にいれる時も幸せだ」とマスターは、私を抱きしめて言ってくれた。
抱きしめられている腕の中で、マスターの体温を感じ、赤らめていた頬は少し落ち着き、マスターを抱きしめ返した。
たぶん私はマスターが好きなのだろう。けれど、今はまだこの温もりだけでいい。
もう少し、この心地良い体温を感じていたいから。
私達はそれから園内を散策して、閉園時間ぎりぎりまで楽しんだ。
「今日は楽しかったですね、こんな綺麗な場所に連れてきてくれてありがとうございました」と私はマスターにお礼を言い微笑んだ。
「僕もルカが喜んでくれて嬉しかったよ」とマスターは嬉しそうに笑ってくれた。
私はマスターに「ねぇ、ルカ。まだ夕方だし、少し寄りたい所があるんだけど良いかな?」と少し遠慮がちに聞かれ、「いいですけど、何処に向かうんですか?」と私は小首を傾げながら聞いてみた。

  • No.43 by 巡音ルカ  2015-09-04 05:08:19 

「まぁ、ちょっとした雑貨屋さんだよ」と言いながら歩くマスターの手に引かれ私は、よくわからないというような顔をしながら後について歩いた。
しばらく歩くとその雑貨屋は植物園とマスターのマンションの間位の距離の少しわき道に逸れた所にあった。
その雑貨屋はモダンな感じのなかなか素敵なお店で、私が「此処ですか?」と嬉しそう にマスターに聞くと「うん、中に入ろうか」と優しく答えながら、私の手を握り店の中には入る。
《カラン、カラン》とドアに付いていた呼び鈴が鳴ると、店の奥からマスターより少し年上らしい男性が「いらっしゃいませ」と穏やかな笑みで挨拶をした。
おそらくこの店の店員なのだろう。マスターと私は軽く会釈し店内には入った。
店内には、ガラスの小物、陶器の食器、ビーズや焼き物、ガラスのアクセサリー等、たくさんの雑貨で溢れていた。
そのどれもが優しく暖かみのあるデザインで、私は目を奪われてしまう。
そんな中「すいません。この間注文していたの出来上がっていますか?」とマスターはなにやら先ほどの店員と話しているらしい。

  • No.44 by 巡音ルカ  2015-09-04 10:01:34 

「はい、出来上がっていますよ。こちらの品物でよろしかったでしょうか?」と店員はマスターに何か小さい箱のような物を渡し、中身を確認したマスターは「はい、確かに。ではこれは品物代です。」と代金を支払った。
私がどうしたのだろうと気になっていると「おまたせ、用事は済んだから帰ろうか」と私の側に来てマスターは嬉しそうに微笑んだ。
よく分からないが用事は済んだようだったので「はい、帰りましょう」と言って私もニコリと微笑み返した。
マスターと私は店を出て、ゆっくりと歩きながら、たわいのない話をしながら帰路についた。

  • No.45 by 巡音ルカ  2015-09-05 03:08:54 

部屋に帰るとマスターと私はリビングに向かって行った。
外はもうすっかり夜でカーテンを閉め、リビングの明かりをつけた。
おそらく、マスターはこれから夜ご飯を食べるのだろう。その間にでも私は着替えを終え、髪を整えてくるとするかと思い自室に向かおうとした時、ふいにマスターが私の腕を掴んだ。
驚いた私は振り返って、マスターの顔を見る。
マスターは少し顔を赤らめて「あの、さ、渡したい物があるんだ」と緊張したような顔をして、鞄の中から小さな箱を取り出した。
あれは、先ほど雑貨屋さんで受け取っていたものだろうか。
どうしたのだろうと私がマスターの様子を見ていると、「誤解しないで聞いてほしいんだけど」とマスターは小箱から何か銀色に光る物を取り出した。
その手に握った物を私の目の前に見せて「これを受け取ってほしいんだ」と顔を赤らめながら言った。

  • No.46 by 巡音ルカ  2015-09-05 04:20:33 

マスターの手のひらの上には銀色の金属で出来た二つのリングが乗っていた。
そのリングは片方が大きく、片方がそれより少し小さかった。
おそらく指に填める、指輪と呼ばれてるアクセサリーの一種だろう。
指輪には金属加工によって、私の髪飾りと同じ花のデザインが施されていた。
「駄目・・かな・?」と不安そうな顔でマスターは私を見つめて言う。
私は「嬉しい・・」と小さく呟きマスターを見つめ微笑んだ。
そうしてマスターは「よかった」と一言言って、小さなリングを私の右手の薬指に、大きなリングは自分の薬指に填めた。
二つのリングはよりキラキラと輝いたように見え、私は「綺麗・・ずっと大切にしますね」とマスターにいただいたリングを見つめ、嬉しそうに答えた。
「うん。僕も大切にするよ」と照れたようにマスターも答えてくれた。

  • No.47 by 巡音ルカ  2015-09-07 08:45:13 

私はその後自室に戻り初期の服に着替え、鏡の前で髪を整えた。
薬指のリングはキラキラと輝き、嬉しくて何度も見てしまう。
マスターから頂いたものだという理由もあるが、なによりもマスターとお揃いのリングだという事がとても嬉しかったのだ。
大好きな相手とお揃いのリング、たとえ離れていてもマスターが側にいてくれるという気持ちになれる。
幸せな気持ちのまま私は明日また逢えるマスターを想いログオフをした。

  • No.48 by 巡音ルカ  2015-09-07 08:48:34 

     第五章 告白と不安

  • No.49 by 巡音ルカ  2015-09-09 02:23:10 

次の日は少し早めにログオンをした。
たまにはマスターをこっそり起こしてみたいなんていたずら心がおきてしまったのだ。
そっと白いワンピースに着替えて、足音をたてないように静かに自室を出た。
リビングはまだカーテンを閉じたままで少し薄暗く、マスターが起きて来ていないことを表していた。
リビングを静かに通り過ぎて、マスターの部屋のドアノブを静かに回し、ドアを開けてみる。
ベッドの中ではマスターが静かに寝息をたてているようで、私はそっと近づいてみた。
浅く布団を被るマスターは少し可愛らしく思えて、起こすのが可愛そうな気がした。
マスターのベッドの横に座り、私はそっとマスターの顔を見つめ観察してみた。
近づいて見てみると、マスターの睫は女性みたいに長くて、髪は少し茶色がかっていて柔らかそう。
肌はすべすべで少し薄い肌色で綺麗。

  • No.50 by 巡音ルカ  2015-09-10 20:03:37 

そして、唇は。そう思いかけた時、「・・っん・・」とマスターは一瞬寝言を放った。
私はドキっと思い、我に返った。私は何を思っていたのだろう。
マスターの唇に指で触れ、私の、私の、唇でマスターの唇に触れてみたいなんて思うとは。
そんな、眠っているマスターに失礼なことをしようとするなんて、私、少しおかしいのかもしれない。
だってそもそも、ボーカロイドの私がマスターを好きになるなんてあるはずないのに。
無機物の私と生き物のマスターじゃ同じ時間を生きれない、そんなこと分かっていたはずなのに。
そんな事を思うと、目から涙が溢れてきた。マスターの側にいられているのに、どれほど近くにいても、とても遠く感じてしまう。
きっとマスターだって迷惑だろう。私のようなボーカロイドに恋をされても、マスターはそんな関係は望まない。
あくまで私たちの関係はボーカロイドとマスターなのだから。

  • No.51 by 巡音ルカ  2015-09-10 20:28:19 

「・・・っ・ん・ル・カ・?」ベッドの横にいる私に、寝ぼけ眼で朧気な意識のまま私の顔を見て言った。
「おはようございます。マスター」と私はそんなマスターを見て涙を拭いながら、朝の挨拶をした。
「うん・・おはよう・」とまだ意識が朧気なまま、マスターは私の髪を優しく撫でながら言った。
私は「まだ眠そうですね。もう少し寝ていてください」と微笑んで答えた。
「うーん、起きるよ。もっとルカとの時間を大切にしていたいから」と寝ぼけながらもゆっくりと布団から出ながら、私を見つめながらマスターは優しく言ってくれた。
「ありがとうございます。あのっ」と言いかけたその時「あのさっ」とマスターも何かを言いかけ、「どうぞ、マスターから」と私が譲ると「いや、ルカから」とマスターに譲られてしまった。
互いに譲り合うこと数分、マスターが思い口を開け、ゆっくりと話し始めた。

  • No.52 by 巡音ルカ  2015-09-10 21:00:33 

「あの、さ、昨日渡したリングの事なんだけど」と口ごもりながら、マスターは私の手を強く握り、始めは小さかった声が徐々にいつもの声量に変わり、「あれにはちゃんと意味があるんだ」と私の目を力強く、しかし不安そうに言った。
昨日のリングの意味?あれは単なるマスターとのペアーリングなのでは?と不思議そうな顔で私は、マスターの顔を見つめる。
「こんなこと、おかしいのかもしれないけど、聞いてほしいんだ」と精一杯な様子で、マスターは私の目を見て頬を染め言う。
私は余りよく分からないが、マスターのその様子を見て「はい」と小さく答え、優しく微笑みマスターの言葉を待った。
マスターは「僕とルカは『マスター』と『ボーカロイド』だけど、そんな関係は嫌なんだ・・ルカのことが・・好き・なん・・だ」と始めは力強かった声が、徐々に弱まりながらも確かに《ルカのことが好きなんだ》と言ってくれた。
マスターが私を好き?私のことを思ってくれているの?だって私はボーカロイドなのにと私が驚いていると、「こんな事急に言われて驚いているよね。でも、考えてみてほしい、もし駄目なら今まで通りの関係でいいから」とマスターは真剣な顔をして言い、部屋を出ていった。

  • No.53 by 巡音ルカ  2015-09-10 21:24:36 

私はマスターの言葉に答えたいと思いマスターの居るリビングに向かった。
確かに私たちの思いはおかしいのかもしれない。でも、戸惑う私の思いと同じ気持ちを、マスターはちゃんと私に伝えてくれた。
早く伝えたい、私の気持ち。ちゃんと聞いてほしい、そう思いマスターの居るリビングにつき私は声を張り上げ「マスター。もしマスターがおかしいのなら、きっと私もおかしいのでしょう」とコーヒーを入れ始めていたマスターに言った。
その言葉に驚いているマスターを見つめ、「だって、私もマスターのこと好きなんです」と震える手を握りしめ必死に伝えた。
おかしくてもいい。マスターと一緒ならおかしくても、同じ時間を生きられなくても、無機物と生物でも私は良いの。
そう思い、伝えたい思いを私は精一杯伝えた。
マスターはコーヒーを入れる手を止めて、私に近づき「本当に?本当に僕のことを好きでいてくれるの?」と震える手で私の頬に触れた。
私は一度だけ頷いて、私の頬に触れたマスターの手に触れ幸せそうに微笑んだ。

  • No.54 by 巡音ルカ  2015-09-10 21:30:49 

     最終章 巡る巡る貴方への想い

  • No.55 by 巡音ルカ  2015-09-10 21:51:10 

あれから数週間が経ち、今日は久しぶりにマスターがお休みの日だ。
あの後私たちは初めて口付けをして、互いの思いを確かめあった。
あの日から私は毎日朝マスターをおこしに行くという日課ができ、日々楽しく過ごしている。
今日は久しぶりにマスターと、出かける予定で、朝から私は少し浮かれていた。
場所はあの日初めてマスターと外に出かけた植物園で、服装もあの日にプレゼントされた薄いグリーンのカーディガンに、クリームイエローのワンピース、琥珀色のミュールと決めていた。
なぜならあの日は私にとって特別な日だから。
準備を終えた私は、リビングで待つマスターの元へ急いで向かった。
「マスター、お待たせいたしました」と私は明るい声でコーヒーを飲みながら待っていたマスターに声をかけた。

  • No.56 by 巡音ルカ  2015-09-10 22:13:01 

その声に振り向きマスターは「またマスターって呼んでる。ちゃんと名前で呼んでほしいな」と青みがかった髪に少し掠れる優しい瞳で、マスターは微笑みながら言う。
その言葉を聞いて私は自分の言葉を思い出し「あっ、ごめんなさい。カイトさん」と少し恥ずかしそうに答えた。
「まあ、そのうちなれるよ」と私の髪を優しく撫で、鞄を持ち、「そろそろ行こうか」と私の唇に優しくキスをした。
少し照れた後に「はい」と短く答え、私たちは玄関に向かった。
外はあの日と同じ、綺麗な青空で私は小さく微笑んだ。
あの日、私がマスターへの気持ちに気づいた日に、実はマスターも同じく私への思いを抱いていたらしく、それに気づかないで二人して色々悩んでいたのだ。
そんな日と同じ空の下、今は思いが通じ、共に笑って歩いている。
このマスターを想う気持ちは何度マスターと離れてしまっても、何度データが消されたとしても必ずまた貴方《カイト》へと想いを巡らせこの心《データ》が完全に消えることはないだろう。

  • No.57 by 巡音ルカ  2015-09-10 22:15:16 

          E N D

  • No.58 by 巡音ルカ  2015-09-10 22:29:31 

     あとがき


お疲れさまです。長々おつきあいいただきありがとうございましたm(_ _)m
しかもなんか最後の方が少し強引な感じになってしまい、本当にすいませんでしたm(_ _)m
もう、誤字・脱字にいまいちな終わり方と酷い感じでしたが、ルカとマスターこと、カイトの想いが通じたという事だけは理解していただければと想っています。
他にも短編を2本ほど書いていますので、YUKIでぜひ探してみてください。
まぁ、気に入ってくれるかはわかりませんが(^_^;)
そんな感じで、またいつか小説を書くことがあれば応援のほうよろしくお願いします(^o^)
以上!!YUKIでした。ばいばい☆
《↓ご意見・ご感想はこれ以降にお載せ下さい》

  • No.59 by YUKI  2015-09-17 09:48:29 

上げます

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