巡り巡る貴方への想い《ボカロ小説》

巡り巡る貴方への想い《ボカロ小説》

巡音ルカ  2015-08-06 19:25:43 
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●これはボカロ同人小説です募集はしていません
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●小説は不定期に更新致します
●ちなみに巡音ルカとマスターとのお話です



では始めさせていただきます 

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  • No.40 by 巡音ルカ  2015-09-03 07:14:00 

植物園はわりと近くにあったらしく、マスターと話をしながら歩いているとあっと言う間に着いてしまった。
「此処だよルカ。ちょっと待っててね」とマスターは私の顔を見て微笑むと、チケット売場で「すいません、大人2枚下さい」と言いチケットを買ってきてくれた。
「おまたせ、じゃあ入ろうか」とマスターが私の手を引いてくれた瞬間、私は「あっ」と思わず反射的に小さく声を上げた。
それに対して「うん?・・わぁ、ごゴメンそんなつもりじゃ」とマスターも気づいたらしく慌てて手を放す。
しかし私は「えっ・・あの放さなくても、というより・・」と一瞬残念そうな顔をして、モジモジとしながら顔を赤らめてしまう。
その様子を見てマスターも改めて少し照れたように、「えと、ぁっあのさ、手繋いでもいいかな?」と私に手を差し出してきた。
「ぁ、は・・い・」と私も赤らめた顔のまま少し嬉しそうに手を差し出した。
「じゃあ、入ろうか」とマスターは優しく私の手を握り、植物園の中に導いてくれた。
その温もりが心地よくて私は微笑みが溢れてしまう。それを気づかれないように少し俯きながら、マスターと共に植物園の中に入って行った。

  • No.41 by 巡音ルカ  2015-09-03 13:07:30 

植物園の中は思っていたよりも広くて、綺麗な花や樹で溢れていた。
私とマスターは、ゆっくりと歩きながら花時計のあるエリアに向かった。
花時計は色鮮やかな花で溢れていて、見つめているだけで嬉しくなってしまう。
「マスター、見て下さい。とっても綺麗ですよ」と私は嬉しそうに微笑見ながらマスターを見つめる。
「うん。すごく綺麗だね」とマスターは振り返る私と花時計を見つめ目を細めて言っていた。
「ねぇ、マスター。私、今とても幸せなんですよ」と私はマスターに近寄り、嬉しそうに言いながら「だって、マスターに出会って、とても大切にして下さって、いろんな感情が生まれて、マスターと共にいられる。すごく幸せです」と言って、頬を染めながら微笑んだ。
そう、幸せなのだ。マスターがいるだけで幸せに感じる。マスターがいないと悲しくて、寂しいと感じてしまう。
もしかして、これが《好き》という感情なのだろうか?だとしたら私は、マスターが好きなのかもしれない。

  • No.42 by 巡音ルカ  2015-09-03 13:33:25 

そんな風に初めて気づいた感情に頬を赤らめていると「僕も幸せだよ、君に出会えて。初めて会った時も、いろんな君を見つめている時も、今こうして共にいれる時も幸せだ」とマスターは、私を抱きしめて言ってくれた。
抱きしめられている腕の中で、マスターの体温を感じ、赤らめていた頬は少し落ち着き、マスターを抱きしめ返した。
たぶん私はマスターが好きなのだろう。けれど、今はまだこの温もりだけでいい。
もう少し、この心地良い体温を感じていたいから。
私達はそれから園内を散策して、閉園時間ぎりぎりまで楽しんだ。
「今日は楽しかったですね、こんな綺麗な場所に連れてきてくれてありがとうございました」と私はマスターにお礼を言い微笑んだ。
「僕もルカが喜んでくれて嬉しかったよ」とマスターは嬉しそうに笑ってくれた。
私はマスターに「ねぇ、ルカ。まだ夕方だし、少し寄りたい所があるんだけど良いかな?」と少し遠慮がちに聞かれ、「いいですけど、何処に向かうんですか?」と私は小首を傾げながら聞いてみた。

  • No.43 by 巡音ルカ  2015-09-04 05:08:19 

「まぁ、ちょっとした雑貨屋さんだよ」と言いながら歩くマスターの手に引かれ私は、よくわからないというような顔をしながら後について歩いた。
しばらく歩くとその雑貨屋は植物園とマスターのマンションの間位の距離の少しわき道に逸れた所にあった。
その雑貨屋はモダンな感じのなかなか素敵なお店で、私が「此処ですか?」と嬉しそう にマスターに聞くと「うん、中に入ろうか」と優しく答えながら、私の手を握り店の中には入る。
《カラン、カラン》とドアに付いていた呼び鈴が鳴ると、店の奥からマスターより少し年上らしい男性が「いらっしゃいませ」と穏やかな笑みで挨拶をした。
おそらくこの店の店員なのだろう。マスターと私は軽く会釈し店内には入った。
店内には、ガラスの小物、陶器の食器、ビーズや焼き物、ガラスのアクセサリー等、たくさんの雑貨で溢れていた。
そのどれもが優しく暖かみのあるデザインで、私は目を奪われてしまう。
そんな中「すいません。この間注文していたの出来上がっていますか?」とマスターはなにやら先ほどの店員と話しているらしい。

  • No.44 by 巡音ルカ  2015-09-04 10:01:34 

「はい、出来上がっていますよ。こちらの品物でよろしかったでしょうか?」と店員はマスターに何か小さい箱のような物を渡し、中身を確認したマスターは「はい、確かに。ではこれは品物代です。」と代金を支払った。
私がどうしたのだろうと気になっていると「おまたせ、用事は済んだから帰ろうか」と私の側に来てマスターは嬉しそうに微笑んだ。
よく分からないが用事は済んだようだったので「はい、帰りましょう」と言って私もニコリと微笑み返した。
マスターと私は店を出て、ゆっくりと歩きながら、たわいのない話をしながら帰路についた。

  • No.45 by 巡音ルカ  2015-09-05 03:08:54 

部屋に帰るとマスターと私はリビングに向かって行った。
外はもうすっかり夜でカーテンを閉め、リビングの明かりをつけた。
おそらく、マスターはこれから夜ご飯を食べるのだろう。その間にでも私は着替えを終え、髪を整えてくるとするかと思い自室に向かおうとした時、ふいにマスターが私の腕を掴んだ。
驚いた私は振り返って、マスターの顔を見る。
マスターは少し顔を赤らめて「あの、さ、渡したい物があるんだ」と緊張したような顔をして、鞄の中から小さな箱を取り出した。
あれは、先ほど雑貨屋さんで受け取っていたものだろうか。
どうしたのだろうと私がマスターの様子を見ていると、「誤解しないで聞いてほしいんだけど」とマスターは小箱から何か銀色に光る物を取り出した。
その手に握った物を私の目の前に見せて「これを受け取ってほしいんだ」と顔を赤らめながら言った。

  • No.46 by 巡音ルカ  2015-09-05 04:20:33 

マスターの手のひらの上には銀色の金属で出来た二つのリングが乗っていた。
そのリングは片方が大きく、片方がそれより少し小さかった。
おそらく指に填める、指輪と呼ばれてるアクセサリーの一種だろう。
指輪には金属加工によって、私の髪飾りと同じ花のデザインが施されていた。
「駄目・・かな・?」と不安そうな顔でマスターは私を見つめて言う。
私は「嬉しい・・」と小さく呟きマスターを見つめ微笑んだ。
そうしてマスターは「よかった」と一言言って、小さなリングを私の右手の薬指に、大きなリングは自分の薬指に填めた。
二つのリングはよりキラキラと輝いたように見え、私は「綺麗・・ずっと大切にしますね」とマスターにいただいたリングを見つめ、嬉しそうに答えた。
「うん。僕も大切にするよ」と照れたようにマスターも答えてくれた。

  • No.47 by 巡音ルカ  2015-09-07 08:45:13 

私はその後自室に戻り初期の服に着替え、鏡の前で髪を整えた。
薬指のリングはキラキラと輝き、嬉しくて何度も見てしまう。
マスターから頂いたものだという理由もあるが、なによりもマスターとお揃いのリングだという事がとても嬉しかったのだ。
大好きな相手とお揃いのリング、たとえ離れていてもマスターが側にいてくれるという気持ちになれる。
幸せな気持ちのまま私は明日また逢えるマスターを想いログオフをした。

  • No.48 by 巡音ルカ  2015-09-07 08:48:34 

     第五章 告白と不安

  • No.49 by 巡音ルカ  2015-09-09 02:23:10 

次の日は少し早めにログオンをした。
たまにはマスターをこっそり起こしてみたいなんていたずら心がおきてしまったのだ。
そっと白いワンピースに着替えて、足音をたてないように静かに自室を出た。
リビングはまだカーテンを閉じたままで少し薄暗く、マスターが起きて来ていないことを表していた。
リビングを静かに通り過ぎて、マスターの部屋のドアノブを静かに回し、ドアを開けてみる。
ベッドの中ではマスターが静かに寝息をたてているようで、私はそっと近づいてみた。
浅く布団を被るマスターは少し可愛らしく思えて、起こすのが可愛そうな気がした。
マスターのベッドの横に座り、私はそっとマスターの顔を見つめ観察してみた。
近づいて見てみると、マスターの睫は女性みたいに長くて、髪は少し茶色がかっていて柔らかそう。
肌はすべすべで少し薄い肌色で綺麗。

  • No.50 by 巡音ルカ  2015-09-10 20:03:37 

そして、唇は。そう思いかけた時、「・・っん・・」とマスターは一瞬寝言を放った。
私はドキっと思い、我に返った。私は何を思っていたのだろう。
マスターの唇に指で触れ、私の、私の、唇でマスターの唇に触れてみたいなんて思うとは。
そんな、眠っているマスターに失礼なことをしようとするなんて、私、少しおかしいのかもしれない。
だってそもそも、ボーカロイドの私がマスターを好きになるなんてあるはずないのに。
無機物の私と生き物のマスターじゃ同じ時間を生きれない、そんなこと分かっていたはずなのに。
そんな事を思うと、目から涙が溢れてきた。マスターの側にいられているのに、どれほど近くにいても、とても遠く感じてしまう。
きっとマスターだって迷惑だろう。私のようなボーカロイドに恋をされても、マスターはそんな関係は望まない。
あくまで私たちの関係はボーカロイドとマスターなのだから。

  • No.51 by 巡音ルカ  2015-09-10 20:28:19 

「・・・っ・ん・ル・カ・?」ベッドの横にいる私に、寝ぼけ眼で朧気な意識のまま私の顔を見て言った。
「おはようございます。マスター」と私はそんなマスターを見て涙を拭いながら、朝の挨拶をした。
「うん・・おはよう・」とまだ意識が朧気なまま、マスターは私の髪を優しく撫でながら言った。
私は「まだ眠そうですね。もう少し寝ていてください」と微笑んで答えた。
「うーん、起きるよ。もっとルカとの時間を大切にしていたいから」と寝ぼけながらもゆっくりと布団から出ながら、私を見つめながらマスターは優しく言ってくれた。
「ありがとうございます。あのっ」と言いかけたその時「あのさっ」とマスターも何かを言いかけ、「どうぞ、マスターから」と私が譲ると「いや、ルカから」とマスターに譲られてしまった。
互いに譲り合うこと数分、マスターが思い口を開け、ゆっくりと話し始めた。

  • No.52 by 巡音ルカ  2015-09-10 21:00:33 

「あの、さ、昨日渡したリングの事なんだけど」と口ごもりながら、マスターは私の手を強く握り、始めは小さかった声が徐々にいつもの声量に変わり、「あれにはちゃんと意味があるんだ」と私の目を力強く、しかし不安そうに言った。
昨日のリングの意味?あれは単なるマスターとのペアーリングなのでは?と不思議そうな顔で私は、マスターの顔を見つめる。
「こんなこと、おかしいのかもしれないけど、聞いてほしいんだ」と精一杯な様子で、マスターは私の目を見て頬を染め言う。
私は余りよく分からないが、マスターのその様子を見て「はい」と小さく答え、優しく微笑みマスターの言葉を待った。
マスターは「僕とルカは『マスター』と『ボーカロイド』だけど、そんな関係は嫌なんだ・・ルカのことが・・好き・なん・・だ」と始めは力強かった声が、徐々に弱まりながらも確かに《ルカのことが好きなんだ》と言ってくれた。
マスターが私を好き?私のことを思ってくれているの?だって私はボーカロイドなのにと私が驚いていると、「こんな事急に言われて驚いているよね。でも、考えてみてほしい、もし駄目なら今まで通りの関係でいいから」とマスターは真剣な顔をして言い、部屋を出ていった。

  • No.53 by 巡音ルカ  2015-09-10 21:24:36 

私はマスターの言葉に答えたいと思いマスターの居るリビングに向かった。
確かに私たちの思いはおかしいのかもしれない。でも、戸惑う私の思いと同じ気持ちを、マスターはちゃんと私に伝えてくれた。
早く伝えたい、私の気持ち。ちゃんと聞いてほしい、そう思いマスターの居るリビングにつき私は声を張り上げ「マスター。もしマスターがおかしいのなら、きっと私もおかしいのでしょう」とコーヒーを入れ始めていたマスターに言った。
その言葉に驚いているマスターを見つめ、「だって、私もマスターのこと好きなんです」と震える手を握りしめ必死に伝えた。
おかしくてもいい。マスターと一緒ならおかしくても、同じ時間を生きられなくても、無機物と生物でも私は良いの。
そう思い、伝えたい思いを私は精一杯伝えた。
マスターはコーヒーを入れる手を止めて、私に近づき「本当に?本当に僕のことを好きでいてくれるの?」と震える手で私の頬に触れた。
私は一度だけ頷いて、私の頬に触れたマスターの手に触れ幸せそうに微笑んだ。

  • No.54 by 巡音ルカ  2015-09-10 21:30:49 

     最終章 巡る巡る貴方への想い

  • No.55 by 巡音ルカ  2015-09-10 21:51:10 

あれから数週間が経ち、今日は久しぶりにマスターがお休みの日だ。
あの後私たちは初めて口付けをして、互いの思いを確かめあった。
あの日から私は毎日朝マスターをおこしに行くという日課ができ、日々楽しく過ごしている。
今日は久しぶりにマスターと、出かける予定で、朝から私は少し浮かれていた。
場所はあの日初めてマスターと外に出かけた植物園で、服装もあの日にプレゼントされた薄いグリーンのカーディガンに、クリームイエローのワンピース、琥珀色のミュールと決めていた。
なぜならあの日は私にとって特別な日だから。
準備を終えた私は、リビングで待つマスターの元へ急いで向かった。
「マスター、お待たせいたしました」と私は明るい声でコーヒーを飲みながら待っていたマスターに声をかけた。

  • No.56 by 巡音ルカ  2015-09-10 22:13:01 

その声に振り向きマスターは「またマスターって呼んでる。ちゃんと名前で呼んでほしいな」と青みがかった髪に少し掠れる優しい瞳で、マスターは微笑みながら言う。
その言葉を聞いて私は自分の言葉を思い出し「あっ、ごめんなさい。カイトさん」と少し恥ずかしそうに答えた。
「まあ、そのうちなれるよ」と私の髪を優しく撫で、鞄を持ち、「そろそろ行こうか」と私の唇に優しくキスをした。
少し照れた後に「はい」と短く答え、私たちは玄関に向かった。
外はあの日と同じ、綺麗な青空で私は小さく微笑んだ。
あの日、私がマスターへの気持ちに気づいた日に、実はマスターも同じく私への思いを抱いていたらしく、それに気づかないで二人して色々悩んでいたのだ。
そんな日と同じ空の下、今は思いが通じ、共に笑って歩いている。
このマスターを想う気持ちは何度マスターと離れてしまっても、何度データが消されたとしても必ずまた貴方《カイト》へと想いを巡らせこの心《データ》が完全に消えることはないだろう。

  • No.57 by 巡音ルカ  2015-09-10 22:15:16 

          E N D

  • No.58 by 巡音ルカ  2015-09-10 22:29:31 

     あとがき


お疲れさまです。長々おつきあいいただきありがとうございましたm(_ _)m
しかもなんか最後の方が少し強引な感じになってしまい、本当にすいませんでしたm(_ _)m
もう、誤字・脱字にいまいちな終わり方と酷い感じでしたが、ルカとマスターこと、カイトの想いが通じたという事だけは理解していただければと想っています。
他にも短編を2本ほど書いていますので、YUKIでぜひ探してみてください。
まぁ、気に入ってくれるかはわかりませんが(^_^;)
そんな感じで、またいつか小説を書くことがあれば応援のほうよろしくお願いします(^o^)
以上!!YUKIでした。ばいばい☆
《↓ご意見・ご感想はこれ以降にお載せ下さい》

  • No.59 by YUKI  2015-09-17 09:48:29 

上げます

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