鞍馬之神の嫁(〆)

鞍馬之神の嫁(〆)

鞍馬  2022-06-19 21:20:34 
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…嫁、を。待って、いる。

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  • No.26 by 鞍馬  2022-06-22 19:28:43 

…そう、か。なら、ば…陣。私の、ことは、鞍馬、と。呼んでは、くれないか?
(その言葉にゆっくりと、何度も安堵したように頷くと顔を覆う薄布を静かに下ろし、腕を引き込めて薄く微笑んだ。再び腕を嫁の頬に伸ばし、慈しむ様に、愛し気に何度も触れてはその後瞳を伏せ、これまで以上にたどたどしい言葉で、嫁の名を呼ぶと薄布越しでも判る程顔を赤く染めながら照れ臭そうに続け、嫁を見つめて)

  • No.27 by 陣  2022-06-22 21:27:59 

い、いえ、しかし…。…では…鞍馬様、と――………ふ。
(無自覚の儘に思わず相手の貌に触れていたことに気づくと慌てて腕を引き戻す。再び自身に伸ばされた腕に今度は面映ゆく感じながらも、頬を撫でられる掌の心地よさに目を細め身を委ねる。ふと名を呼ばれ、次いで出た願いに無礼になりはしないかと狼狽えてはいたものの、視線を感じ瞳を合わせると、布越しに微かではあったものの神の赤らんだような相貌に気づき、思わず微かに微笑みを浮かべ)

  • No.28 by 鞍馬  2022-06-22 23:27:23 

……何、が…可笑しい。……そ、うだ…陣、腹、は…減らない、か。何か、用意…し、よう。
(顔の赤らみに己でも気付いたらしく、薄布で覆われた顔を更に腕で覆い隠しつつ、紅葉のように赤い顔を背けては精一杯、虚勢を張るように低い声で問い掛ける。が、其れも束の間、腕をゆっくりと下ろすと逃げるように座椅子を立ち上がり、ぺたりぺたりと心做しか早い足音を鳴らして台所の方へと歩き去ってゆく)

  • No.29 by 陣  2022-06-23 08:22:51 

…はは、本当に…聞いていた話とは全く違う…。なんて優しい――……、っ!
(慌てたように歩き去ってゆく神を目で追いながらも、胸の内から湧き上がる暖かな感情にフと表情を緩める。歩き回る訳にもゆかず座して待とうと踵を返した刹那、足がもつれがくりと膝からくずおれるとその場にへたり込む。張り詰めていた糸が切れたためか、昨日から水以外何も口にしていないためか、いくつかの原因が脳裏をよぎるも、力の入りきらない腕で何とか上体を起こしずるずると下肢を引きずりながらも自身に与えられた座椅子に向かい何とか腰を落ち着けようとする)

  • No.30 by 鞍馬  2022-06-23 10:51:12 

…握り飯、と…漬物、で、いい、か…?…たん、と…食え。
(無数の腕で飯を握り、桶に詰めて台所から戻ってくると再び座椅子に腰を下ろし、嫁の座る座椅子の前の卓袱台に置くと亦立ち上がって台所に戻り、今度は小皿に盛られた茄子の浅漬けを二つ掌に載せ、其れを再び卓袱台の上に置く。それから座椅子に腰を下ろし、柔らかく微笑んで嫁を愛おし気に見つめて)

  • No.31 by 陣  2022-06-23 11:16:40 

…ありがとうございます。――…。おいしい…。
(なんとか座椅子に腰を下ろし息を整えていると、目の前に食事が並べられていく。醜態が神の目に触れなかったことにほっと胸をなでおろしながらも今しがた握られたであろう握り飯と目の前の神を交互に見、本当に食してよいものかと少々躊躇ったものの、空腹には叶わずその中の一つを手に取ると「いただきます」と小さく呟き一口頬張る。久方ぶりの飯の味に思わず顔を綻ばせ感嘆の声を漏らしながら一口一口噛みしめる)

  • No.32 by 鞍馬  2022-06-23 11:55:27 

…そう、か。まだ、ある、からな。
(握り飯を頬張る嫁の姿を心底愛おし気に見つめると頬杖をつき、穏やかな声で言葉を続けてはまだ大量に残っている桶の中の握り飯を卓袱台の上に置いていく。嫁を見ながらも自身で薄布を捲っては握り飯を口に放り込み、漬物を食べて何度か頷き)

  • No.33 by 鞍馬  2022-06-23 11:55:57 

(下げ忘れ申し訳ございません。)

  • No.34 by 陣  2022-06-23 13:58:12 

はい。ありがとうございます。……俺、誰かと、こんなにうまい飯を食べたのは…久しぶりです
(飯に夢中になっていたことに気づきはっとして、ばつが悪そうに漬物を齧るとちらりと神に視線を向ける。同じように握り飯を口に運んでいる姿を見て薄っすらと微笑むと、ふと村でのことを思い返しぽつりと呟き)

(/ 了解いたしました。まったく問題ございませんのでお気になさらず…自分の方も恐らくいつかは忘れる事があるかと思いますので、ご了承いただければと思います。ついでになのですが、今後何か起こしてみたい事象等ありましたらいつでもお声がけくださいませ。)

  • No.35 by 鞍馬  2022-06-23 18:17:46 

(了解致しました。)

……お前、は…独り身、なの…か?………昔、の…私の、ことを。語っても…よい、だろうか。
(己の分らしい握り飯と漬物を平らげ、鞍馬は薄布をゆったりと戻しつつ嫁に問う。暫くした後ぼそり、呟くように零すと許可を求めるように首を傾げ、嫁をじっと見つめた)

  • No.36 by 陣  2022-06-23 19:39:38 

……はい。私は…厄介ものでしたので――…。鞍馬様の話ですか?…是非。お聞かせください。
(神の問いに言葉を濁すようにそう答えると、口に含んだ最後の一口を飲み込み「ご馳走様でした」と呟く。次いで発せられた言葉にはっとして顔をあげるとこちらを伺う視線と重なり、小さく頷くとぴしりと姿勢を正し)

  • No.37 by 鞍馬  2022-06-23 20:01:32 

…私、は…な。昔、から…この姿、だった、のだ。
(鞍馬は許可に一度だけ頷き、ぽつりぽつりと話を始める。かつては奇形の人の子として生まれたこと、多腕多足の姿を見た村の人間には化け物だ、忌み子だと蔑まれたこと、祟り神の贄として捧げられ、人の道を外れた神に成す術もなく食われてしまったこと、そうして次に目が覚めた時にはこの社にたった独りで暮らしていたこと。一通り語り終えると静かに目を伏せ、自虐の色が見える微笑みを口許に浮かべる)

  • No.38 by 陣  2022-06-23 22:55:14 

……っ、そう…だったのですか…。鞍馬様ご自身も…贄、だったのですね
(言葉の一つ一つを静かに聞いていたものの、その生の有り様に目を見開き絶句する。自身が先刻抱いていた恐怖とは比べ物にならない、寧ろそれ以上のものをその身に感じていたのだと思うと胸が詰まる思いがし、苦悶の表情を浮かべながらもどうにか言葉を絞り出す)

  • No.39 by 鞍馬  2022-06-24 07:33:24 

…もう、昔、の…こと、だ。………皿を、片付ける。
………世話役の娘、だ。服、や…飯、は…此奴に。
(気に病むな、と云うように御簾の隙間から外を眺め、暫くそうした後嫁の方に目線を戻すと柔らかな微笑みを湛え、座椅子を立ち上がって桶と皿を手に持ち、台所の方へと戻っていく。鞍馬が台所に消えて直ぐ、廊下の奥から黒髪に狐の面を被った小柄な童女が顔を覗かせるなり、嫁の方へと素早く走り寄ってきては舌っ足らずな幼い声で三つ指をつき、深々と頭を下げる。戻ってきた鞍馬は童女の頭を優しく撫で)
「陣様、おはつにおめにかかります。わたくしはくらま様からあなたさまのおせわを申しつけられました、もみじ、ともうします。」

  • No.40 by 陣  2022-06-24 10:16:07 

――ですが…。 !あ、は、はい…。どうぞ、よろしくお願いいたします…
(気に病むなとの声に開きかけた口を閉じ項垂れ、片付けられて行く膳をぼんやりと眺めていたものの、目の前に現れた童女に驚き目を丸くする。どこか愛くるしいその言葉遣いにふと表情を和らげるも、未だ賓客の様に扱われている事に慣れぬ様子のまま世話役の娘に丁寧に頭を下げる)

  • No.41 by 鞍馬  2022-06-24 12:23:57 

「くらま様は、陣様がいらっしゃってたいへんおよろこびになられているのですよ。ですから、陣様ののぞむことならば、なんでもしてやれとおおせつかっております。陣様のおへやにあんないいたします、こちらですよ。」
(童女はゆったりと顔を上げ、面の後ろで楽しそうに笑う。一頻り楽しそうに笑った後、頭を撫でる鞍馬の方を見上げて頷くとすっくと立ち上がり廊下の奥へと踵を返し、嫁の方を振り返ると、奥の一部屋、障子が閉められた座敷を開く。その座敷の御簾は上がっており、開いた窓からは季節外れの美しい紅葉の景色が覗いていて、よくよく見れば障子にも紅葉の柄が染め付けられている。童女は一足先に部屋へ入ると押し入れからその小さな身体のゆうに二倍はあろうかと思われる厚い蒲団を取り出し、慣れた手付きで敷いていき)

  • No.42 by 陣  2022-06-24 20:07:13 

そう、ですか…。――あの。もみじ殿はずっとこちらであの方と一緒に過ごされているのですか?
(童女の言葉にちらりと神の表情を窺うも、立ち上がり廊下へと歩き出した娘の後に慌ててついて行く。物珍しそうに辺りを見渡し、自身の部屋だと通された座敷の窓から覗く紅葉の美しさに暫し呆然と見とれていたものの、布団を敷き始める童女に向かいふと問いかける)

  • No.43 by 鞍馬  2022-06-24 21:16:09 

「ええ、そうですよ。わたくしは、昔からくらま様といっしょにいるのです。」
(童女は頷き、蒲団を敷き終わると次は服の支度に移る。桐箪笥から幾つもの服を取り出し、あれやこれやと支度をしつつぽつり、零す。「けれど、わたくしといるときのくらま様は、いつもどこか寂しそうでいらっしゃいました。」童女の声は少しばかり微かに低く漏れ、服の支度をする手が一瞬止まるものの、すぐに支度に戻って)

  • No.44 by 陣  2022-06-24 22:56:26 

そうですか…お一人では無かったのですね。それは――…
(よかった、と言いかけてぽつりと呟いた童女の言葉に口を噤む。過去の贄を想い涙を流す神の事を思い出し眉をひそめると、てきぱきと支度をしてゆく童女をぼんやりと目で追いながら壁に軽く背を預け、襲い来る倦怠感をやり過ごそうと目を閉じゆっくりと息を吐く)

  • No.45 by 鞍馬  2022-06-25 17:37:55 

もみじ…支度、は終わった、か…?…陣、少し…外、を。歩かない、か。
(ぺたりぺたりと足音を鳴らしながら鞍馬が姿を覗かせる。何時の間にか着ていた和装は先程より厚手のものに変わっており、髪も後ろで束ねられており、そんな神の姿を見た童女が微かに笑って「ええ、したくはおわりましたよ。陣様とおでかけですか、くらま様。」と問うと鞍馬は頷き、嫁の方におずおずと手を差し出し)

  • No.46 by 陣  2022-06-25 21:52:39 

――鞍馬様。外、ですか…?
(耳に届いた声にはっと瞼を開き、装いを変え現れた神に視線を移すと慌てて軽く頭を下げる。童女と神のやり取りを静かに見つめて居たものの、差し出された手に一瞬躊躇った後、そっと自らの手を重ねる)

  • No.47 by 鞍馬  2022-06-26 16:24:13 

…あ、あ。美しい、紅葉…だから、な。
(伸ばした手を握られ、薄っすらと顔を赤らめながらも童女の頭を軽く撫で、部屋の縁側から外へと一歩足を踏み出す。外の空気はひやりと冷たく、吹き抜ける風には紅葉が舞い、筆舌に尽くしがたい程に美しい景色が広がっている山を眺めていると、上機嫌そうな口元が僅かに捲れ上がった薄布の隙間から覗き)

  • No.48 by 陣  2022-06-26 17:50:15 

本当に、美しい風景です――…鞍馬様。食事も…部屋も…ありがとうございました。自分は、その……食われるものだと覚悟していたので、この生に先があるとは思いも寄らず…
(手を引かれ外へと歩みを進めると、目の前に広がる美しい光景に息を呑む。ふと視線を神へと向けると揺れる薄布の隙間から笑みを湛える口元が瞳に映り、つられるように微かに口元を緩めると握られた手にもう片方の手を添え感謝の意を述べる)

  • No.49 by 鞍馬  2022-06-26 21:46:24 

…そう、か。……陣が、嫌、でなけれ、ば…これより、先の、此岸での命、を…全て…私、に…預けては、くれない…か。…お前、が、望む、なら…彼岸でも、共…に。
(声が若干上擦っているものの、態度はあまり変わらないままであったがおずおずと添えられた嫁の手を上から優しく包み込む。そうして視線は美しい紅葉から外さぬまま、ぽつりと呟くように言葉を零す、それはきっと鞍馬にとって永久にも近いような命の中、一世一代の求婚だったのだろうかー薄布では最早隠せないほどに、眼の前の紅葉にも負けぬほど赤い顔をしていて)

  • No.50 by 陣  2022-06-26 23:55:34 

――…っ。この命は…村の者からはとうに捨てられた命。為す術もなく贄として捧げられたもの…。けれど、貴方様がその手で触れて下さったあの時から、恐れや未練は私の中から消え去りました。然れば此度は自分の意志を持って、心より貴方様に願いましょう。
(重ねられた手と告げられた言葉に驚き一瞬言葉を失うも、見上げた神の頬に差す朱に思わず破顔し、美しい紅葉から視線を逸らすことのない神に向かい一歩踏み出し体を寄せると、凛とした声色で思いを紡ぎ)
もう一度、この命のすべてを捧げます。これからも、お側に置いて頂けますか――鞍馬様。

  • No.51 by 鞍馬  2022-06-27 06:49:12 

……勿論、だ。
(何ともないように頷くものの動きはぎこちなく、嫁の手を少しばかり強く握ったところでふと、村の方に視線を向けると「……村の、人間、を…恨んで、は…いない、のか?」ぞわり、幽かにではあるものの、普段の鞍馬とは全く違う、禍々しい気配を纏って嫁に問う)

  • No.52 by 陣  2022-06-27 22:27:14 

…恨みはなかった、と言えば偽りになりましょう。――鞍馬様。少々自分の話をしても…構いませんか
(緩やかに握りこまれた手にふと微笑みを漏らすも、神の口から投げかけられた問いに口を閉ざし、美しい紅葉の木へと視線を逸らす。背筋が粟立つような気を肌に受けながらも、重ねられていた両手から片方の手を差し引くと、落ち着けるように神の腕をするりと撫で、ぽつりと言葉を溢し)

  • No.53 by 鞍馬  2022-06-28 17:08:52 

……ああ。陣、の話し、か。聞かせて、くれ。
(鞍馬の禍々しい気配はゆるやかに落ち着き、手の平に落ちてきた紅葉の小さな小さな葉を弄びつつ、静かに首を縦に振る。結われた髪が風に揺れ、鞍馬が黙り込むと風もぴたりと止まり、風景全体が厳かな雰囲気を纏って)

  • No.54 by 陣  2022-06-28 22:05:17 

はい。…この目は、随分と幼い頃病によって光を失いました。其れを村の者は何らかの祟りだと信じて疑わず――長い間、疎まれ続けて生きてきたのです。家の者にすらも…。故に私は妹の身代わりに、自ら貴方様に身を捧げに参ったのです。
然れど…貴方様と巡り会えたのであれば、すべてが悪しき事ではなかったと…今はそう感じるのです
(しんと静まり返った景色を片方の瞳に映しながらも、ぽつりぽつりと語り始める。懐かしむように自らの閉じた右目を指でひと撫ですると、ゆっくりと傍らの神に視線を移し、目を細め口元に薄く笑みを浮かべる)

  • No.55 by 鞍馬  2022-06-30 13:36:02 

(返信が出来ず申し訳ありませんでした。)

……そう、か。陣が、恨んで、いないの…なら、ば、いい。
(黙って聞いていたが、嫁が己を見たところでようやく口を開き、穏やかな声を漏らす。手持ち無沙汰の片方の腕を嫁の頭に載せ、先程もみじにしたように優しく撫でながら微笑み)

  • No.56 by 陣  2022-07-01 00:40:15 

はい。…ですが、私は貴方様が誤解された儘であると言う事を…口惜しく思うのです
(自らの頭を優しく撫でる掌の感触に何処か安堵したように、面映ゆいような微笑みを浮かべながらも目を細め、微かに頷きを返す。俯き暫し何か考え込んだ後、握った手に微かに力を籠めると神に視線を移し)

(/いえいえ、どうぞお気になさらず…。こちらもゆっくりなので、ご無理のない範囲でよろしくお願いいたします。)

  • No.57 by 鞍馬  2022-07-02 06:45:30 

……私、は…別に、構わ…ない。この、姿…だ。恐れる、のも…仕方、ない。
(何でもないように言うと自身の蠢く無数の腕や足を眺め、ひとつ自虐的に笑ったが嫁の方に目線を移し、柔らかな空気を纏う。「…陣、が。嫁、が…分かって、くれて…いれ、ば。構わ、ない。」鞍馬は顔を覆っている薄布にするりと手をかけ、ゆっくりと捲るーその下には長い睫毛で覆われた、二粒の宝石のように透き通った青い瞳を持った美貌があった。「……村人、たちは。この、目…が…恐ろし、かった、らしい…な。」ぼそり、呟くように零して)

  • No.58 by 陣  2022-07-02 19:32:33 

しかし――…っ
(自嘲めいた笑みを浮かべる神に対し反論に口を開きかけるも、自らに向かって告げられる情に満ちた言葉と空気に思わず口を噤み言葉を飲み込む。次いで瞳に映された神の相貌にはっと息を呑むと、現れた青色の瞳に吸い寄せられるように一歩ふらりと歩み寄り、両の頬に自らの手を伸ばすと親指の腹で目尻を薄っすらとなぞり)
このような瞳を目にしたのは…初めてです。……美しいです。とても…。

  • No.59 by 鞍馬  2022-07-02 21:24:58 

…青い、目は…呪われて、いる、そうだ。
(鞍馬は自身の目に触れ、更に過去を思い出すようにぽつりぽつりと語る。鞍馬が生まれた年の翌年から村に大きな飢饉が訪れたこと、日照りが続いたこと、嵐が起きたこと…村人たちはその全てが鞍馬ーー村に生まれた青い瞳の忌み子のせいだとし、鞍馬を祟り神に捧げただけでなく鞍馬のたった一人の家族であった姉まで焼き殺したこと。「……この、目は…つくづく、呪われ、て…いる。…陣、が…初めて、だ。綺麗、だと…言ってくれた、のは。」薄く頬を赤らめ、柔らかな微笑を湛えて)

  • No.60 by 陣  2022-07-03 00:37:06 

――そんな…。そんな事があったのに、貴方様は…人に報復しようとはなさらなかったのですね…
(聞くに耐え難い程の悲惨な出来事を耳にすると絶句し、胸が締め付けられる想いに眉根を寄せ苦悶の表情を浮かべる。唯その美しいと称した瞳からは一切視線を逸らすことも無く、静かにその容貌を捉えていたものの、自らに向かい柔らかな笑みを浮かべる神の姿に微かに瞳を潤ませると、震える声を何とか絞り出し)

  • No.61 by 鞍馬  2022-07-03 09:12:46 

私、は…ひと、が…好き、だから…な。恨みは、して…いない。
(微笑んだまま嫁の頬にするりと触れ、慈しむように優しい声色で「全く…恨んで、いない…訳では、ない、が…陣、のような…心優しい、ひと…も、いる…から、な。」壊れ物に触れるような手つきで嫁の頬を撫で続けていたが、暫くして顔を紅に染めながら嫁の方を向き、青い瞳を睫毛で覆い隠しながら小さな声で問う。「…じ、ん。…その…接吻…を。したい、の…だが。いい、だろう…か。」)

  • No.62 by 陣  2022-07-03 19:39:05 

そう、ですか…。やはり貴方様はお優しい方です――…っ
(神の柔らかな表情に遣り切れないと言った様子で眉尻を下げるも、優しく自らに投げかけられた言葉に微かに口元を緩め。頬を撫でられる掌の感触に面映ゆさを感じながらも満ち足りた様子で目を細め、されるがままに身を預けていたものの、次いで耳に届いた微かな問いにはっとし息を呑む。紅に染まった神の相貌を見てつられるように微かに頬を赤く染めると、動悸で震える指先を神の頬に添え、つま先立ちで何とか背を伸ばし自らの顔を目前まで近づけると、両の目を静かに見つめ掠れたような声色で小さく呟く)
……。はい。…鞍馬様。

  • No.63 by 鞍馬  2022-07-03 21:04:08 

…そ、うか。
(ゆるやかに微笑み、嫁の顔を己の方に引き寄せると瞳を伏せたまま、優しく唇を重ねる。微かに吹く秋風が二人の隙間をすり抜けて鞍馬の髪を揺らし、しばらく唇を重ねたままであったが瞳を開くと唇を離して照れたように赤い顔のまま黙り込んでしまい)

  • No.64 by 陣  2022-07-04 09:42:41 

――…っ。……鞍馬様。私は、貴方を…心より愛おしく思います
(優しく触れた神の唇に一瞬小さく体を強張らせるも、その柔らかな感触にふと身体の力を抜くと瞳を閉じ身を委ねる。暫くして徐に離された唇を名残惜しげに追うように眼を開くと、殊更に真っ赤に熟れた神の相貌が瞳に映り、思わずといった様子で破顔すると己の中に溢れる想いをぽつりと零し、腕を首元へと差し伸ばすと今度は自らの唇を神の其れへと柔らかく押し当て)

  • No.65 by 鞍馬  2022-07-04 14:53:53 

…あ、あ。私、も…愛して、いる。
(無抵抗で嫁の唇を受け入れ、倣うように無数の腕を首に回すと静かに、壊れ物を扱うように緩やかな力で抱きしめる。何かを言いかけた所で木陰からもみじともう一人、こちらは鬼の面を付けた小柄な少年が顔を出し、「くらま様、陣様。夕餉のじゅんびができましたよ。」と二人に呼びかけ)

  • No.66 by 陣  2022-07-05 10:57:36 

――!あ、と…あ、ありがとうございます。あの…?
(数多の腕に触れられ布越しに感じる温かさに表情を和らげるとそっと唇を離し、もの言いたげな神の瞳を静かに見つめるも、ふと耳に届いた幼い者の声に我に返った様子でびくりと肩を震わせるとぱっと腕を離し神から離れ、微かに朱の差した頬のままどこか慌てた様子で視線を移すと、童女の横に佇む見知らぬ少年に気づき)

  • No.67 by 鞍馬  2022-07-05 15:42:17 

「ああ、こちらは飯炊きがかりのひがんでございます。恥ずかしがり屋ですが、ごあいさつをさせようとおもいまして。」
(ふと気づいたようにもみじが小柄な少年に挨拶を促すと、少年は口を噤んだままぺこりと頭を垂れる。鞍馬は嫁から離れ、二人の元に向かうと二人の頭を優しく撫で、嫁の方を振り向いて素顔のまま破顔一笑、柔らかな笑顔で「じ、ん。飯、を…食べ、ようか。」と呼び掛けて)

  • No.68 by 陣  2022-07-06 11:54:37 

そうですか…。ひがん殿、よろしくお願いします
(童女より少年の名を聞くと目の前まで歩みを進め片膝をつき、視線を合わせるとにこりと笑みを浮かべ。立ち上がり膝に付いた砂を軽く払うと神の呼びかけに「はい」と頷きを返し傍らまで歩みを進めると、しばし戸惑った後数多のうちのひとつの腕に柔らかく触れ)
…参りましょう、鞍馬様。

  • No.69 by 鞍馬  2022-07-06 21:29:55 

…あ、あ。
(鞍馬は頷き、嫁の手をその腕で握り返すとそのまま歩き始める。秋の冷たい風が二人と、まるで二人を先導するかのように歩いてゆくもみじ達の間をすり抜け、やがて一行の姿は見えなくなり、その場には美しい紅葉と秋景色だけがいつまでも風にそよいでいた)
…う、ん。ひがん、の…飯、は、美味い、な。
(社に戻り、奥座敷で鞍馬は嫁と二人、ひがんの作った夕餉を食べつつ頷いて誉め言葉を口にして)

  • No.70 by 陣  2022-07-07 11:04:25 

はい。とても。……本当に何から何まで用意して頂いて…、自分も何か手伝いが出来ればと思うのですが、恥かしながら飯炊きすらまともに手を付けたことが無いのです
(目の前に運ばれてきた夕餉を口に運び、その美味さにふと表情を和らげながらもどこか申し訳なさげに箸を止めると、眉尻を下げ手に持った碗の中身をじっと見つめ「何かできる事があれば良いのですが」とぽつりと呟き)

  • No.71 by 鞍馬  2022-07-08 06:34:48 

…陣、は…私、の…側に、いてくれれば、いい。
(鞍馬がなんともないように言うと、横に控えていたもみじとひがんが顔を見合わせてくすくすと笑い合う。一頻り笑った後、もみじが陣の方を向いて「ええ、陣様はそのままでよろしいのですよ。…でも、どうしてもとおっしゃるなら時々そうじを手伝ってくださいませ。このおさなき身ではたいへんなこともあるのです。」面の下でにこりと微笑み)

  • No.72 by 陣  2022-07-08 20:44:44 

それ、は…、勿論です…鞍馬様
(さらりと告げられた言葉にどこか照れたように俯き微かに口元に笑みを浮かべ、素直に一つ頷きを返す。耳に届く小さな笑い声を面映ゆく感じながらも照れ隠しの様に椀の中身を一気に食べ尽くすと、かけられた童女の言葉にぱっと顔を上げ表情を明るめ「はい」と笑みを返すと、ふと隣に控える少年にも視線を移し)
ひがん殿も…いづれ厨にお邪魔しても構いませんか

  • No.73 by 鞍馬  2022-07-09 06:19:52 

…あま、り…こき、使って…やる、なよ…もみじ。
(漬物に手を付けながら童女に釘を刺すかのようにボソリと零す。が、その声色は至って優しく穏やかで、もみじも「わかっておりますとも、くらま様。」と答えながら陣の椀と鞍馬の皿を下げて厨の方へと歩いてゆき、急に己に声を掛けられて驚いたらしいひがんはびくりと身を震わせるがややあって小さく首を縦に振り、「…はい。」声変わりはしているもののまだ幼さの残る声で答え)

  • No.74 by 陣  2022-07-09 12:16:53 

有難うございます。お役に立てるようで安心しました…。おふたりの邪魔にならぬよう気をつけます
(自らの分の膳を食べ終え箸を置き手を合わせると、ほっと胸を撫で下ろしたように礼を述べ、穏やかに言葉を投げ掛ける神に視線を移すとふふと自嘲交じりの笑い声を溢し。次いで肯定の意を示した少年に改めて向かうと「宜しければ、いづれは料理も教えてください」と頼るように告げると僅かに頭を下げ)

  • No.75 by 鞍馬  2022-07-09 19:24:07 

「…そんな…邪魔、など。滅相もない…」
(ひがんは慌てたように面が取れるのではないかと思えるほど首を横に振り、陣の方を向いて深々と頭を下げる。厨から戻ってきたもみじはそんなひがんの様子を笑いながら眺めていたが、「では、さっそくですみませんが陣様、庭のおそうじをてつだってくださいませ。ひろいゆえ、ひとりではなにかと…」急にすっくと立ち上がり、立てかけてあった箒を手に取ると陣には雑巾を手渡して)

  • No.76 by 陣  2022-07-10 16:35:07 

(/ 突然ですみません。力不足故に此方自身に対して色々と思う所ありまして、今後のお相手を辞退させて頂ければと思います。
此方からお声がけしておきながら、長期お相手が叶わず本当に申し訳ありません…。色々と学びもありまして、短い間でしたがとても楽しかったです…!お付き合いしてくださってありがとうございました。
それでは、背後様の良縁を心よりお祈りしております。)

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