鞍馬 2022-06-19 21:20:34 |
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「くらま様は、陣様がいらっしゃってたいへんおよろこびになられているのですよ。ですから、陣様ののぞむことならば、なんでもしてやれとおおせつかっております。陣様のおへやにあんないいたします、こちらですよ。」
(童女はゆったりと顔を上げ、面の後ろで楽しそうに笑う。一頻り楽しそうに笑った後、頭を撫でる鞍馬の方を見上げて頷くとすっくと立ち上がり廊下の奥へと踵を返し、嫁の方を振り返ると、奥の一部屋、障子が閉められた座敷を開く。その座敷の御簾は上がっており、開いた窓からは季節外れの美しい紅葉の景色が覗いていて、よくよく見れば障子にも紅葉の柄が染め付けられている。童女は一足先に部屋へ入ると押し入れからその小さな身体のゆうに二倍はあろうかと思われる厚い蒲団を取り出し、慣れた手付きで敷いていき)
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