鞍馬 2022-06-19 21:20:34 |
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…もう、昔、の…こと、だ。………皿を、片付ける。
………世話役の娘、だ。服、や…飯、は…此奴に。
(気に病むな、と云うように御簾の隙間から外を眺め、暫くそうした後嫁の方に目線を戻すと柔らかな微笑みを湛え、座椅子を立ち上がって桶と皿を手に持ち、台所の方へと戻っていく。鞍馬が台所に消えて直ぐ、廊下の奥から黒髪に狐の面を被った小柄な童女が顔を覗かせるなり、嫁の方へと素早く走り寄ってきては舌っ足らずな幼い声で三つ指をつき、深々と頭を下げる。戻ってきた鞍馬は童女の頭を優しく撫で)
「陣様、おはつにおめにかかります。わたくしはくらま様からあなたさまのおせわを申しつけられました、もみじ、ともうします。」
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