冒険者ギルドの日常

冒険者ギルドの日常

トピ主  2024-07-26 06:44:45 
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舞台となるのは交易都市デュランダル。様々な国の行商人が行き交い活気溢れる街です。この街に置かれたギルドに集う冒険者を中心に物語が展開されます。
世界観としてはよくある異世界ものと同じく中世ヨーロッパ風な街並みで、人間のほかにエルフや獣人など様々な種族が共存しています。
冒険者の等級はSを頂点に上からA~Eの等級があります。
募集人数に上限はありませんので興味のある方はご参加ください!
ロルは中ロル程度が好ましいです。冒険者の等級に関しましてもSランク冒険者が大量発生するとバランスが崩れてしまう恐れがあるので出来ればAランク以下の冒険者としてご参加していただきたく思います!


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  • No.987 by クレア  2025-09-27 16:07:25 

>986

ありがとうございます。えへへ…面と向かって褒められると少々気恥ずかしいですね。

(手の握り方、腰への手の添え方からは一切のやましさは感じられない。まるで騎士のような紳士的なエスコートに安心し、クレアはそのままレドに身体を預けて礼を言った。「憧れ」なんて言われたのはいつぶりだろうか、慣れない賞賛に頬を赤くして、上目遣いでレドの顔を見やると重ねての礼の意味も込めてニコッと無邪気な笑みを向けた。)

しかし困りましたね…この先に脅威があるならば今日は帰れそうにありません。となると…朝まで呑むしかないようですね!レドさん、行きましょう酒場へ!あ…勿論無理にとは言いません。お忙しいようでしたらその辺に捨て置いて頂いて構いませんので…

(レドの来た道に脅威があるということは即ちクレアの帰路が封じられたことを意味する。どうしたものかと小首を傾げて思考に耽ると、しばらくしてアル中らしい解答を導き出した。帰れないなら夜が明けるまで呑めばいい。レドが付き合ってくれるなら時間が過ぎるのはあっという間であろうと。瞳を輝かせて、この位置からでも見えるギルドに程近い酒場を指差すが、ふとこれは憧れと罪悪感を盾にした強制ではないかと思い至る。声のトーンを落として、あくまでレドの意思を尊重する旨を伝えるものの、一度入ったアル中スイッチのせいか、話の最中にも欲しいものを前にした子供のようにチラチラと酒場に視線を送っていた。)

  • No.988 by レド  2025-09-27 23:27:39 

>987

え、ええっ!さんざん無礼を働いたのに身体を預けていただけるばかりか共に飲み交わせるなんて……!クレア様、首席殿で不死鳥の貴女と語らえること、剣士としてどれだけ夢見た事か……!う、ううっ……!とにかくこの先はタチの悪い奴が暴れてて危険です。今日はここで泊まった方がいい。早速行きましょう!

(思わぬお誘いに感激して子供のように泣き出して。名門で首席補佐官でSランク冒険者。レドのような一介の冒険者は飲み交わすどころか一目会う事すら叶わない相手だ。それもさっき酷い事したのにここまで信頼してくれるなんて。本当に聖女様のよう……実際今のクレアの状態でこの先を進むのは危険だ。提案通り憧れの人を抱きかかえたまま酒場へ歩くが……)

あっあの、クレア様、大丈夫ですか?今日はもうギルドにお泊りになった方がよろしいのでは……

(最大の懸念を涙に濡れた困り顔で尋ねて。この状態でこれ以上飲ませていいのか、顔色からは明らかに不安が見える。憧れの人を抱いても冷静でいられるのは心配の方が先に立つからであり、逆に言えば酔い潰して何かしようという気は一切感じられないのであった。)

  • No.989 by クレア  2025-09-28 13:51:32 

>988

だ、大丈夫です…!まだ飲めます!

(流石に泣かれるとまで思っていなかったのか、クレアは反応に困り苦笑いを浮かべると、続いて問い掛けられた懸念には語気を強めて「大丈夫」と強調した。レドを真っ直ぐに見据えたその瞳には必死さが感じられる。勿論、クレアの体質や健康上のリスクなどを考慮すれば全く以って大丈夫ではなく、今日に至っては既に相当量の飲酒をしているため泥酔どころでは済まない可能性が大いにあるのだが、一度アル中のスイッチが入ってしまったからには自分の意思では抑えが効かないのだろう。既に自分の足では酒場に入れる状態にないため、今のクレアはレドに縋るほかにないのである。ここで止めるも飲ませるも全てはレドに委ねられていた。)

  • No.990 by レド  2025-09-28 20:08:32 

>989

あっいやもう飲まない方が……
「ハハッよお姉さん、そんなガキなんかほっといて俺と楽しく」
あ?しばくぞ……おっと失礼。夜のデュランダルは治安が悪い。俺もハラ減っちゃったし、早く中に入りましょう。クレア様。俺が貴女に相応しい人物かはさておき……今日ぐらいはお供します。

(これでまだ飲む気なのか……おねだりするクレアに困惑しつつも、ゴロツキ、先の帝国兵にやられたのと同類が近寄ってきたので、一瞬元の荒くれの眼光と怒気を男にぶつけて。ゴロツキが怖気ついて逃げ去ると元の紳士的な青年としてクレアに向き直り、苦笑いを浮かべながら酒場の入口まで歩くと扉を開いて。酒に溺れる傷心の未亡人、デュランダルに巣食う悪い男の格好の餌である。いつまでも外にいるのは危ない。それこそ昨日のアリシアのように徹夜で介護する決意である……自分が決してカルロスの代わりになれないとしても。)

  • No.991 by クレア  2025-09-28 22:19:47 

>990

わぁ…レドさんがいれば安心ですね。ふふっ。

(揉めることなく、手早く輩を追い払ったレドの手腕を目にして思わず感嘆が盛れる。下心のない、安心して身を任せられる異性と最後に触れ合ったのはいつ頃だろうか…なんて考えながら、思ったことをそのまま言葉に出してレドを称えると可愛らしく微笑み、エスコートされるまま店に踏み入った。)

さ、お礼に何でもご馳走しちゃいます!好きな物を頼んでくださいね。う~ん…私はウイスキーの水割りにしましょうか。

(席へ着くとメニュー表をレドに差し出し、助けてくれたお礼にご馳走すると告げて。実際にはそれは建前で、この感情はまるで弟への可愛がりに近いかもしれない。周囲への冷たさとは打って変わって自分に懐いてくれているところ、ちょっと暴走気味なところ…そんなレドの姿をレイラと重ねていた。差し出したメニュー表の裏側のドリンク一覧に視線を向けてしばし考えると、クレアはウイスキーの水割りに決めたようだ。アルコール度数的に身体の状態を考えれば避けるべき部類ではあるが、水割りにしたのはきっと僅かに残る理性によるものだろう。)

  • No.992 by レド  2025-09-29 20:11:03 

>991

ごっごちそう!?そんな、俺ひどい事したのに……あっありがとうございますクレアさん、あっクレア様!えっ、えっとじゃあ俺もウイスキーの水割りに……つまみはえっとえっと……な、なんかオススメありますか?俺ずっと山に籠ってたし、ここは港町だし、魚介でなにか……

(クレアの対面に腰かけると、すっかり頼りにされ気に入られて舞い上がり慌てて注文して。優しい女性に可愛がられて奢られる。ああデジャヴだな。この人も俺を弟のように見ているようだ。それ以上の関係には進めないし進む気も無いが、今後も目にかけてくれるかは今夜の振る舞い次第。酒の頼み方からしてクレアさんも慎みを見せている以上、こちらも相応の振舞いを見せないと。こいつは立派な「面接」だ……と緊張して、クレアを支えている時以上に身体に力が入っている。酒は同じ物を頼むとしてつまみはどうすべきか、奢りだからと言って無節操に頼んだら意地汚いよな……と、そわそわした顔をメニュー表で隠しながらオススメをクレアに尋ねることにして。)

  • No.993 by クレア  2025-09-30 09:59:59 

>992

あはは…そんなに畏まらないでください。オススメですか…うむむ……普段お酒以外頼まないので難しいですね…あっ、そうだ。マスター、このお店の魚介系の料理全部お願いしますっ!!

(強ばった様子から緊張を察して、自分に対する過大評価に苦笑いを浮かべながらも、レドがくつろげるように気遣いの言葉をかけた。その後、オススメを尋ねられるとクレアは悩ましげに小首を傾げる。酒が好きでというよりは、現実逃避の手段として酒に依存しているだけのクレアにとってつまみに特別に意識を向けたことはなく、普段通りの一人飲みに関してはそもそも酒しか頼んでいないのである。全く以ってこの店の魚介系の料理に覚えがない訳でもないが、テキトーに名前を上げるのも誠意に欠ける…そうして暫く思い悩んだ末にクレアはハッとした表情で衝撃の解答を導き出した。魚介系の料理を全て頼むという力技。もっとマシな選択があった筈だが、生憎今のクレアは自力で立つこともままならない酩酊状態、一見大丈夫そうに見えてもその思考回路が正常な訳がないのである。勿論少食なクレアが口にするであろう量は僅かであり、殆どレドが食すハメになるのだから新手のハランスメントと言えるだろう。店主は先に注文を受けたウイスキーの水割り二つをテーブルに置くと次なる注文を聞き届け、店の創業始まって以来の大仕事を前に、やる気満々な様子で厨房へと戻っていった。)

  • No.994 by エリーゼ/セリーヌ  2025-09-30 19:10:17 

同時刻 第二騎士団執務室

ただいま戻ったのにゃ。

…おかえりなさい。

(レドとの打ち合わせを終えて自らの職場、第二騎士団の執務室へと戻ったエリーゼは席に着くと同時に未だ書類仕事に励んでいる同僚に帰還を報告した。その同僚こと副団長セリーヌはエリーゼに視線を向けることもなく、事務的にただ一言返すのみであった。その後はただひたすらに気まずい沈黙が空間を支配する。たまたまセリーヌの機嫌が悪いとかそういった次元の話ではない。エリーゼの就任以降、常にこの執務室には重たい空気が立ち込めているのである。騎士としての序列も経験も、指揮能力でさえも上回っているのに、たった一つ、剣の才だけで自分の座るべき地位を奪われたのだからセリーヌのその屈辱と恨みは計り知れないことであろう。エリーゼもそれを重々承知している為に掛ける言葉が見当たらないのであった。いつまでも慣れない重苦しい空気に嫌気が差し、エリーゼは視線をデュランダルの夜景へと移すものの、暗がりで鏡と化した窓に写るのは空気を読めない自分のにやけ面。抗い難い自己嫌悪に陥ったエリーゼは小さな溜息を吐いた。しかし、いつまでも現実逃避で夜景もとい自分の顔を眺めている時間はない。明日には王都に発つのだから引き継ぎは済ませておこうと、セリーヌに向き直り意を決して話しかけた。)

あ、あの…引き継ぎについてにゃんだけど…

不要よ。自分が何をすべきかくらい分かっているもの。此処での勤務はアンタより長いんだから。

それもそうにゃんね…えーと…

もう帰りなさい。明日は早いんでしょ?後はやっておくから。

あ、ありがとにゃ…しばらく騎士団をよろしく頼むにゃ。

(優秀な部下、それも自分よりも遥かに優れている人間を下に持つと却って扱いに困るものである。薄々予想はしていたが、意を決した引き継ぎをいらないと一蹴されてエリーゼは言葉を詰まらせる。気まずそうにモジモジと指を合わせて次の言葉を探していると、その様子を見かねたセリーヌは呆れ顔を向けて帰宅を促した。部下にマネジメントされては最早どちらが上なのかも分からない。自分の不甲斐なさを噛み締めながら、エリーゼは重苦しい笑顔で礼を言って席を立つ。いっそこの体たらくに恨み言の一つでも吐いてくれれば、むしろ当たり散らしてくれるならどれだけ楽なことだろう。勤勉なセリーヌは仕事に私情を挟まない。だからこそ、この溝が埋まる機会は決して訪れないのである。執務室の扉を前にして、去り際に「しばらく騎士団を頼む」なんて言ったものの、本心ではいつまでも頼みたい。不釣り合いな地位なんて捨ててしまいたい。決して吐けないそんな弱音を胸にエリーゼは帰路に着いたのであった。)

  • No.995 by トピ主  2025-09-30 19:19:30 

エリーゼと七席の関係性を書かせていただきました!エリーゼの自己肯定感が低い理由がここに詰まっています……七席が感情的な人間なら本心でぶつかって、やがて和解して…なんて展開も有り得たのかもしれませんが、如何せん彼女の人間性が真っ当なせいで心の溝が埋まる機会が訪れることがないのが辛いところです(^^;

  • No.996 by レド  2025-09-30 21:41:12 

>993

ヒェッ……こ、こんなどこにでもいるBランクの男のために……こんなおもてなし受けたの初めてだ……ううっ、ありがとうクレアさん……夢なら覚めないで……

(ぜんぶ!?前代未聞の注文に思わずメニューを落とすと、意図はともかく自分に対して目いっぱい接待してくれるクレアに感動してまた泣き出して。連日の政争や死闘で心身疲れ果てたレドにとって、憧れの人にここまでおもてなしをされることは最早夢に等しい光景であり、このままずっと泣いていそうな勢いである……)


>994-995

(/成り上がり者はつらいよ……レドなら「異論があるなら剣を抜け!」って凄んでそうです(そしてろくなことにならない))

  • No.997 by クレア  2025-09-30 22:27:33 

>996

な、泣かないでください…!とりあえず乾杯しましょう…?

(突如泣き始めたレドをあたふたした様子で宥めると、気持ちを入れ替えさせるべく乾杯を促した。既にテーブルに置かれているコップの片方を手に取って突き出し、相変わらずの苦笑いを浮かべたままレドがコップを合わせるのを待つ。
クレアは今まで「尊敬」されることはあっても、何かする度に泣かれるような「崇拝」に近い感情を抱かれたことはない。そのためレイラに近いようで異なる新しいタイプに未だ適応できていないのだろう。その苦笑いが意味するのは若干の疲労であり、即ちレドの言うところの「面接」に於いて、ここで初めて減点が入った形になる。)

(/個での素質と集団での素質はまた違うので難しいところですよね…エリーゼはレド同様に個の素質に優れているので冒険者向けかもしれません(^^;)

  • No.998 by レド  2025-10-01 21:13:31 

>997

うっ、失礼……でもクレアさん、貴女とこうして飲み交わせることが本当に嬉しいです。では冒険者同士の新たな出会いに、乾杯!

(クレアが困惑している様子にはっとして涙をぬぐい、落としたメニューを拾って。いくら名高い「首狩り」様といえども血を見るのは好まないし、褒めすぎるのも巧言と捉えられて印象が悪いようだ。何事もほどほどに……咳払いして平静を取り戻すと、穏やかな笑みでおもてなしに感謝してコップを手に取る。クレアより低い位置でコップを合わせて乾杯し……水割りを一気に飲み干してグラスを置くと、満足げに顔を赤らめて一息吐いて。)

ふぅ……生き返る。

  • No.999 by クレア  2025-10-01 23:04:52 

>998

かんぱ~い!いい飲みっぷりですね。いっぱい食べて、いっぱい飲んでください!

(相当仕込まれたのであろう礼儀作法に感心しつつ、レドのその飲みっぷりに目を見張った。クレアが一口飲んだ合間に既に空になったレドのコップに目を向けて、その飲みっぷりを称えると共に再度遠慮はいらないと告げて。そうしていると続々と注文した料理が運ばれてきた。刺身は勿論ソテーにカルパッチョ、様々な調理法で仕上げられた魚料理であっという間に目の前のテーブルが埋まり、終いには両サイドのテーブルすら運ばれてきた料理に埋め尽くされる。)

  • No.1000 by レド  2025-10-02 00:01:12 

>999

ま、マジかよ、まるで宴会……いっいただきます!はむっ、むぐっ、うまい!うまい!うまい!ああ、デュランダルで冒険者やっててよかったっ!!

(テーブルを埋めつくす魚料理の数々。農民どころか、一般の冒険者でもこれほどの贅はお目にかかれないだろう。なんだか豊穣亭の料理より輝いて見える……すっかり目をキラキラさせたレドはフォーク片手にデュランダルの海の幸を片っ端から口に入れていき。味が淡白な刺身から味の濃いソテーに……なんて順番は一切考えず、目についたものを片っ端からもぐもぐと掘り進めては早速注文した二杯目の水割りで流し込む。連日の連戦で疲れ切った五臓六腑に、酒と魚が染み渡る。これぞ冒険者の生きがいだ!そんな風に興奮するレドの姿はもう獰猛な荒くれでも礼儀正しい紳士でもない、純朴な冒険者の青年といえるものであった。)

  • No.1001 by クレア  2025-10-02 01:03:34 

>1000

ふふっ、そんなに喜んでもらえると私も嬉しいです。

(食べ盛りの子は凄いなぁ…なんて思いながら、クレアは食べ物を頬張るレドの様子を微笑ましそうに眺めていた。クレア自身はというと食べ物には一切手を付けず、チビチビと手元の酒に口を付けるのみである。ただでさえ少食な上に、ギルドの食堂で飲んだくれていたせいで最早その胃には食べ物が入る余裕がないのだろう。そればかりか笑顔の裏で、酒を一口飲み込むだけで嫌な動悸を感じる始末である。いよいよ身体が発する危険信号を無視できなくなったクレアは休憩を兼ねてお喋りタイムへと移行することにした。)

レドさんはどうして冒険者になったんですか?

(食べ物を流し込んだタイミングを見計らって問い掛ける。初対面の冒険者同士がまずするであろう在り来りな話題。社交辞令や間が持たない時にこの手の話題を振ることは多いが、クレアは単純にレドへの興味からこの質問を投げ掛けていた。厳格な家で育ったかのような礼儀作法を備えた人間がなぜ冒険者をしているのか、クレアが言えたことではないが、そこに疑問符が浮かぶのは当然と言えるだろう。)

  • No.1002 by レド  2025-10-02 18:47:39 

>1001

お姉さん水ちょうだい!ピッチャーでな。
レドさんなんてそんな……俺はただの農民ですよ。身寄りも無いし、騎士にもなれない。他に食う方法を知らなくて東刀(コレ)で稼いでる、よくいる冒険者のひとりってわけです……どうぞ。

(さすがに大分飲んでるクレアの体調は良くないようだ。クレアを差しながら店員に水を注文しつつ、苦笑いしながら素性を語って。もう「クレアに憧れて」は見れば分かると思うので、もう一つの理由「農民である以上他に選択肢が無いから」を、椅子に立て掛けた自分の長い東刀に視線をやりながら語って。
その間にも掻き込んで空けた一皿を店員に下げさせ、空いたスペースにコップと水差しを置かせる。自らコップに水を注ぐと、気分の優れないクレアに差し出して。クレアの疑問通りここまで気配りのできる冒険者もいないかもしれないが、本人は「いっぱしの剣士ならできて当たり前」程度にしか思ってないらしく、肝心の回答が出ることはなかった。)

  • No.1003 by クレア  2025-10-02 19:44:00 

>1002

そう…ですよね。すいません、変なことを聞いてしまいました。お水ありがとうございま……

(身分制度のあるこの国では生まれによって就ける職業が決まる。言葉が足りないあまり意図を伝えきれず、国民の中でも最下層の地位にあると言っても過言ではない「農民」と知りながらこの質問を投げ掛けてしまったことに自らの無神経を反省した。シュンとした表情で詫びを入れると、差し出された水を受け取り礼を言おうとしたところで流しそうになっていたレドの言葉を思い出す。「身寄りも無い」、この言葉で嫌な可能性が再び頭を過ぎる。レドの年齢で農村集落、そして身寄りがないとなると、あの弾圧の被害者の線が十分に考えられるからだ。次第にクレアの思考を支配したその可能性はトラウマを呼び起こし、受け取ったコップを床に落としたかと思えば、続けざまに胸を抑え、ガシャンという音を立ててクレアも椅子から転げ落ちた。心的要因と何年にも渡る節操のない飲酒によって既にボロボロな身体、この2つが合わさることで遂にクレアは限界を迎えたようだ。ハァハァと過呼吸に陥りながら、動悸の収まらない心臓を抑えて地面に伏している。)

  • No.1004 by レド  2025-10-02 20:31:59 

>1003

なっ!クレアさん?クレアさんっ!しっかりして!ギルドだ、ギルドの医務室行きましょう……お勘定!

(突然倒れたクレア。その理由は知る由も無いがクレアの酒害がここまで進んでいたこと、何より地面に伏して苦しんでいる事自体にうろたえつつも、慌てて駆け寄っては倒れた彼女を抱えて。もうごちそうどころでは無い。まだ料理の残るテーブルにおそらく足りているであろう銭袋を置き、刀を差し直すと店を出ようとして。とにかくここから近いギルドの医務室に一刻も早く運ばねば……レドは焦りまくっていた。)

  • No.1005 by クレア  2025-10-03 10:07:19 

>1004

ごめん…なさい…

(朦朧とする意識の中、クレアは弱々しい声で謝罪した。折角の食事の席を台無しにしてしまったことに対しては勿論、かつて命乞いに聞く耳も持たず、自らが斬り伏せた農民達の幻影に。ピクリとも動かない身体とは裏腹にクレアの動悸は時間の経過と共に徐々に大きくなり、きっと抱き抱えているレドにまでその鼓動が感じられることであろう。生死の境と言っても過言ではない深刻な状況にあった。)

  • No.1006 by レド  2025-10-03 12:52:50 

>1005

大丈夫、大丈夫ですからクレアさん。何も心配はいらない。さ、ギルドですよ。

(クレアを背負いつつ、急に衰弱した彼女に声をかけながら夜道を走り抜ける。また何か粗相したのかと気がかりに思いつつも、背中に伝わる彼女の弱々しい感触に哀れみを覚える。この三年、これほどにまで身も心も傷ついていたなんて、こんなことならもっと早く寄り添えばよかった。そんな後悔と、一農民が騎士の名門・ライデン家に連なる者を二度も背負って走る運命の奇妙さを胸に抱きつつ、ギルドの門を空けて。)

急病人だ!医務室!医者!早く見てくれ!

(完全に焦って全身に汗を吹き出しながら、受付に向かって叫んで。正直レドの手に負える状況ではない。今頼りになるのはギルドの医者しか思い付かなかった……)

  • No.1007 by クレア/医者  2025-10-03 16:29:33 

>1006

(ギルドへ着く頃には既にクレアは意識を失っており、レドの背中でぐったりとしていた。騒ぎに気付いた気怠げな医者はその様子を見て溜息を吐きながらも、すぐに医務室へと誘導すると、クレアをベットに寝かせて診察と治療を行った。)

これは酷いねぇ。もう既に身体の内側はボロボロだよ。それに加えて何かの呪い…彼女の心臓に何重にも巻かれたドス黒い鎖が見える。おそらく力の代償の類いだろう、解呪は不可能だ。ただ、この呪いは今回の発作に因果関係はなさそうだねぇ。節操のない長年の飲酒と過剰なストレス、主な原因はそれだろう。医者の立場から言わせてもらうと、少しでも長生きしたいなら酒はやめるべきだろうねぇ。ま、そんなことをしたら彼女の精神が耐えられないだろうけども。起きたら聞いてあげなよ。酒をやめて廃人になるか、命を削りながら正気を保つか、どっちがいいかね。これにて私は失礼するよ、ハァ…今日はなんでか急患が多いんだ。

(医者は上位の治癒魔法でクレアの容態を落ち着かせると、魔力を込めた瞳で要因を見定める。まず目を見張ったのは心臓に取り憑く禍々しい呪い。「これは長くはないな…」とボソッと不穏な事を呟いてから呪いの概要を説明しつつ、今回の発作には因果関係がないと付け加えて。根本原因は飲酒とストレスであると断定すると、非情な選択肢を突き付けた。応急処置は出来ても、もはやクレアの身体は治癒魔法でどうにかなる域ではない。酒をやめて廃人になるか、命を削りながら正気を保つか、起きたらクレアに選ばせるようレドに言伝を託し、医者は背を向けて再び溜息を吐いた。クレアの少し前に、なぜか三人もチンピラが運ばれてきたせいで医者には余裕がない。既に出来る処置は終えたため、クレアのことはレドに任せて足早にその場を後にした。)

  • No.1008 by レド  2025-10-03 20:49:48 

>1007

はぁ?呪い!?いったいなんでまた……おい待てよ!
……「酒をやめて廃人になるか命を削りながら正気を保つか」だと?なめやがって。聖教国の件でクレアさんに尻拭いしてもらったくせに!なんて雑な扱いだ……やっぱりギルドも頼りになりゃしないよ。俺がこの人に尽くすしか……

(治療もそこそこに、まるでクレアに寄り添うことなく足早に去る医者を睨みつけて。この前聖教国の司祭がギルドで無礼を働いた時、ギルドの連中は何もできずクレアさんが黙らせたと聞いた。それをなんて恩知らずな扱い……怒って地団駄を踏んで。それにしても「呪い」ってなんだろう。そういえば3年前、姉さんが正気を失ったクレアさんに余生がどーたらと叫んでたけどそれのことか?気がかりになりつつも、眠るクレアの側に椅子を寄せては腰掛けて。
医者の提言など論外である。どちらにしても彼女は死に急いでしまうから。どうせ今後クレアさんが倒れても今回みたいに対症療法だけして捨て置くのだろう。ギルドも彼女の事などどうでも良いようだ。冒険者の雑な扱いに顔を歪めつつも、自分がこの人を救ってみせると誓い、心身共にボロボロになり倒れ伏すクレアの手を静かに握り、穏やかな顔で誓って。)

……クレアさん、必ず貴女を癒してみせます。たとえ国中焼き尽くしても……そして俺が滅びることになっても!

  • No.1009 by クレア  2025-10-03 21:42:51 

>1008

…ん……ここは…あっ…!レ、レドさん…!本当にすみません…!あの…これ、今日の支払い分です。どうか受け取ってください…!

(小一時間程してクレアは目を覚ました。ぼーっとした頭で周囲を見渡せば見覚えのある光景が広がっており、ここがギルドの医務室であることはすぐに分かった。次第に意識が覚醒していき、手の温もりとその主に視線を移して、大方の状況を察することとなる。ご馳走すると意気込んだ挙句に途中で倒れて会計まで任せた…その事実に慌てふためいた様子で謝罪すると、すかさず普段から胸当ての中に忍ばせてある金貨を一枚取り出し、まだ温もりの残るそれを自身の手を握るレドの手に滑り込ませて。今日の会計分は勿論のこと、もう一度魚介フルコースを堪能出来る程の金額だが、これはクレアなりの誠意である。クレアの潤んだ瞳から、恐らく受け取らないなんて選択を取ればきっと彼女の気は済まないことであろう。)

  • No.1010 by レド  2025-10-03 23:02:51 

>1009

あっクレアさん、よかった気が付いて……えっなにもそんな!当然のことしたまでで……ありがとうございます。大切に使います!
ヤブ……医者がとりあえず治療しましたが、今日はここで休んだ方がいいでしょう。たまにはゆっくり寝てください。付き添いますから。

(目を覚ましたクレアにほっとして声をかけると、彼女から金貨を渡される。その優しさと温もりに顔を赤らめ、素直に両手で受け取りありがたく胸にしまい込んで。疲れ切っているクレアを安心させようと再び彼女の手を握り、今日はここで休むよう穏やかな顔で伝えて。昨日のアリシアの時と同じように、今日も徹夜でクレアを見守る所存である。一見好青年のようだが、うっかり「ヤブ医者」と言いかけた時は一瞬眼の鋭い荒くれ顔に戻っていた。どうも医者の態度が気に入らなかったらしい……)

  • No.1011 by クレア  2025-10-04 08:11:44 

>1010

い、いえ…お礼を言うのはこちらの方です。その…では、お言葉に甘えて…

(金貨を受け取るなり礼を言うレドに、首を横に振って、ここまで世話になってむしろ感謝するのは自分の方だと告げて。そして、ここで休むように促され、さらには付き添うとまで提案されると、その抗い難い魅力にクレアは頬を赤くして了承した。普段は酒で誤魔化しているがクレアの心は繊細である。誰かが傍に居てくれる…それだけで彼女が安心を得るには十分であった。自身の手を握るレドの腕を無意識に手繰り寄せ、抱き枕のようにして瞳を閉じる。感じるのは心地良い温もりと罪悪感。もし頭を過ぎった最悪の可能性が真実ならば、クレアの心はきっと耐えられないことだろう。未だ真相を聞けずにいる自分の弱さを軽蔑しつつ、今はただ身体を休めることに専念した。)

  • No.1012 by レド  2025-10-05 03:56:55 

>1011

ちょっ、クレアさん!?ま、まいったな……いいか、幸せそうだし。
……「己が持つ力を愛に使うか我欲に使うかは、人に委ねられた最後の選択肢だ。レド、おめぇは剣だけでなく心も磨け」か。師匠(オヤジ)、いまやっと実践できた気がするよ……

(クレアに自分の腕を抱き枕にされ、顔真っ赤にして。だがその興奮もすぐ安らぎに変わる。これ以上の関係になれない事は承知の上。憧れの人が自分の腕で癒されている、今のレドはそれだけで嬉しい。
クレアの温もりで落ち着き頭が整理されると、さっき帝国兵にやられていた輩がタチの悪いBランク冒険者だったことを思い出す。同じBランク、アイツも俺も紙一重の存在だが、幸い自分の方は今こうして傷ついた冒険者に癒しを与える存在になれたようだ。師匠の言葉を思い浮かべていると、椅子の中でウトウトしだして。憧れの人の体温を腕に感じていると自分まで眠くなる。これが、強く優しい理想の剣士の腕……)

あぁ、あったかいな……こういう人にこの国を導いてほしいなぁ……

(遠のく意識の中、うわごとを呟いて。目の前の憧れの人の、かつての所業を知らぬまま。)

  • No.1013 by クレア/シエル  2025-10-05 11:15:14 

>1012

…んっ…だめです…カルロス……こんな所で…もぅ…ばか…

(どれ程の時間が経ったであろう、医務室にはすっかり朝日が差し込んでいた。未だ心地良さそうに眠るクレアは、レドの温もりをカルロスに見立てて在りし日の過去を夢に見ているようだ。艶かしいその声色から見ている夢の内容は明らかで、カルロスという男は優男の見た目ながらなかなかのやり手のようである。ばかとは言うものの、カルロス(レドの腕)を抱きしめる力は一層強くなる。)

あっ!レドくん、こんな所に居たっすね!昨日からずっと探して……って何やってるんすか!浮気っすかッ!

(そこにタイミング悪く、近衛隊一の雑用係ことシエルが現れた。その口上から、指南役に関わる言伝を預かってレドのことを探していたようだ。何処を探しても見当たらない為、まさか怪我なんてしていないだろうと、駄目元で訪ねてみたギルドの医務室でレドを見つけたはいいものの、何やら女性の冒険者とイチャついている(シエル視点)。女性の艶かしい声からしておそらくは事の最中…レドがアリシアと一夜を共にした事は近衛隊である彼女からすれば周知の事実であるため、浮気現場に遭遇したと勘違いするのは仕方あるまい。ムスッと頬を膨らませて分かりやすく怒りを示すと、親友アリシアの為に声を張り上げて詰め寄った。)

  • No.1014 by レド  2025-10-05 17:38:37 

>1013

………………やばっ、寝ちゃっ………なっ、んなあああっ!?

(気が付けばすっかり寝入ってしまい、差し込む朝の陽ざしで目が覚めると……憧れの人が自分の腕にしがみついて発情している!ああ、クレアは未だ亡き恋人に囚われているのだな、カルロスも意外と床上手だったんだな……と分析する余裕は剣一筋で生きてきたレドには無い。彼女の喘ぎ声と身体の感触に耐えるべく、汗の垂れる真っ赤な顔を片方の手で必死に押さえるばかりであり。)

ばっバカ野郎!病室だぞ!

(そこに見覚えのある顔・近衛隊のシエルがやってきて声を上げるので、顔を赤くしたまま静かに叫んで。病室で叫ぶという非常識に呆れつつも、肩の力が抜けてかえってほっとしており。亡き恋人の想い出に浸っている以上この腕は振りほどけない。さりとて未亡人に手を出す気の無いレドは彼女の艶かしい姿と声に必死で抗うしかない。だが今の騒ぎでクレアは目覚めるはずだ。シエルが現れなければ、彼にとっては拷問に等しい時間が続いたことだろう……)

  • No.1015 by クレア/シエル  2025-10-05 20:49:54 

>1014

それもそうっすね…って!そんなんじゃ誤魔化されませんよ!それに、そこの淫乱女っ!いつまで他人の男に抱きついてるんすかっ!

んぅ…ふぇ…?な、なんのことでしょう…

(ここは病室だと言うレドの忠言にシエルは一時納得しかけるものの、浮気現場にしか見えない光景を前にして平静を取り戻すことなど出来なかった。未だ頬を赤らめてレドの腕に抱きつくクレアを指差すと、そう見えるのも仕方ないが「淫乱女」のレッテルを張って糾弾を始める。あまりの騒がしさにとうとう瞳を開いたクレアは、目覚めと共に夢のことなどすっかり忘れ、状況が読み込めずに困惑した表情で首を傾げた。)

惚けないでください!レドくんとナニしてたんすか!

ああ…これはすいませんっ!恋人がいたとは知らず。その…なんと言いますか。凄く…固くて大きくて…抗いがたい魅力を感じてしまって、つい…

んなっ…!レドくんのサイズなんて聞いてないっすよっ!?

(惚けているようにも見えるクレアの態度にシエルは尚のこと腹を立てて、指した指をぶんぶんと振りながら問い詰める。クレアの方も寝起きの回らない頭で何とか目の前の状況を整理すると、自身がレドの手どころか腕にまで抱きついていることに気が付いて慌てて放した。きっと、目の前の女性はレドの彼女で、恋人の腕を抱き枕にして眠っていたことに腹を立てているのだろう…聖教国の意匠の入った剣から察するに、厳しい戒律を重んじる敬虔な信徒であるならば恋人に気安く触れただけで激高するのも無理はない…と、誤った解釈に行き着き、身を起こすなりベッドの上で正座をしてぺこりと頭を下げた。レドの腕を枕にしてしまったことを、誠心誠意、言葉を尽くして弁明しようとするが寝起きの語彙力では限界があり、これまた誤解を生む表現をしてしまう。そして、案の定言葉の意味を誤解したシエルは、あまりの衝撃と羞恥心に顔を真っ赤にして後ずさる。その様子を未だ怒りが収まっていないと捉えたクレアは顔を上げ、気まずそうな表情と視線でレドに助けを求めた。)

  • No.1016 by ザルヴァド・レティシア  2025-10-07 07:39:47 

過去編「戦場の花嫁」

(政変から半年、共和制へと移行した反動でフリード共和国の国内情勢は混迷を極めていた。噴出した国民の不満を外へ向けるべく「王家に弾圧されている民衆の保護」なんていう大層な建前を掲げ、共和国首脳部が王国に対し宣戦布告を宣言したのがつい三日前である。初日こそ不意打ちじみた侵攻で優位に立っていたが、やはり兵力・経済力ともに勝る王国に分があり、たったの数日で共和国軍は王国の地を追いやられ、逆に越境される始末であった。そして今まさしく、ザルヴァド・ライデン率いる一団が国境付近の共和国の地方都市「ヴァルモン」を包囲していた。)

ハァ…いつかはこうなるとは思ってましたが、案外早かったですね。

始まってしまったものは仕方あるまい。我々がすることはただ一つ、勝利を決定的なものとして敵の戦意を挫くだけだ。

(都市を一望できる丘の上で、ザルヴァドと副官は攻撃準備が整うまでの間雑談に興じていた。ヴァルモンの街並みは辺境の都市ということもあり閑散としており、聖教会の立てた一際大きな教会だけが異様な存在感を放っている。今回の戦に聖教国は中立を表明しているが警戒するに越したことはない。介入の口実を作らない為にも教会への被害を最小限に抑えるべきだろうと、雑談の傍らにザルヴァドが作戦を思案していると、風に乗せられて、耳触りの良い鈴のような声色の歌が聞こえてきた。古代語で紡がれるその歌が何を意味しているかはまるで分からないが、不思議と耳をすまさずにはいられない魅力が感じられる。名残惜しくも歌声が聞こえなくなった頃、上空に都市を覆う程に巨大な魔法陣が現れ、そこでようやくその場の全員が、歌の正体が魔法の詠唱であったことに気付かされた。)

伏せろッ…!

(ザルヴァドは叫ぶ。それと同時に魔法陣から剣を模した光の雨が降り注ぎ、都市諸共王国の軍勢を一掃した。攻撃が止み、舞い上がった砂塵が落ち着いた頃に姿を見せたのは瓦礫の山と化した都市と、無数の死体と負傷者。今この都市周辺で立っているのは二人だけ、並外れた反射神経で攻撃を躱したザルヴァドと、崩れた教会の中から姿を現した女の司教。魔法の発動者は此奴に違いない…そう確信すると、少なくない仲間を失った怒りに拳を握り締めて司教を睨み付け、司教もまたこちらに気が付いたのか振り返ってザルヴァドに視線を向けた。その瞬間ザルヴァドの中の怒りは消え去り、代わって初めて抱く感情を自覚する。神々しさすら感じる白い祭服に同系色の白髪。日差しを遮る建物が全て倒壊したことでそれらは一層輝いて見えた。「天使が…舞い降りた…」そう呟くと、ザルヴァドは丘を下り、一心不乱に彼女目掛けて走った。なぜ教会が攻撃に踏み切ったのか、本国の意思が働いているのか、考えるべきことは山ほどあるのだが、今はそんなものはどうでもいい。ただ彼女と言葉を交わしたい。溢れんばかりの気持ちを胸に、ものの数十秒で教会の跡地に辿り着くと、ついに二人は対峙することとなる。)

まだ動ける人間がいたとは…恐れ入りました。王国の野蛮人ともなると生命力もお強いのですね。

結婚しよう。

(仕立ての良い祭服に、身に纏う魔力の性質。彼女こそがこの国の枢機卿であることをザルヴァドは一目で見抜くが一切動じることはない。しばらくの見つめ合いの末、先に口を開いたのは枢機卿ことレティシアであった。穏やかな口調とは裏腹に、心底軽蔑した眼差しを向けて皮肉交じりの賞賛を述べる。彼女は聖教の信徒である前に一人の共和国人であり、王国へ恨みや偏見を抱いているのは当然であろう。今回聖教国の意思に反して攻撃に踏み切ったのも彼女の独断であった。そんな敵愾心丸出しのレティシアを前にして、ザルヴァドは片膝を着き、真剣な面持ちで衝撃の一言を放つ。)

……え?は…?い、意味が分かりません…!なぜそうなるのですか…!?

結婚とは男女が生涯を共にする契りを交わすことで…

そんなことは知っています!そういうことではなくてっ!今しがた私は貴方の仲間を大勢手にかけました。そんな相手に求婚するなどとても正気とは思えません!

(初対面、敵同士、それも第一声でプロポーズするなど正気の沙汰ではない。ある種の狂気すら感じる行動を前に枢機卿たる威厳はどこへやら、レティシアはすっかりたじたじになっていた。意味が分からないという言葉を文字通り受け取ったザルヴァドは表情を変えず淡々と結婚の意味を説明するが、彼女が言いたいのは当然そういうことではない。首をぶんぶんと振って、仲間の仇に結婚を申し込むなど有り得ないと、至極真っ当なツッコミを入れた。)

ならば失った命の数だけお前が産めばいいだろう。

なっ…!?そんなに産めるわけないじゃないですか!野蛮人は発想も野蛮なのですねっ!私の身体が目当てなんですかっ…!?

一目惚れだからな、突き詰めればそうなる。で、何人なら産めるんだ?

二人くらいなら…って何を言わせるのですか!そもそも私の純潔は神に捧げるものであって、断じて貴方などに…

そうか…じゃあ信仰を捨てろ、そして結婚しよう。これで解決だな。

(尚もザルヴァドは臆することなく常軌を逸した発言を続ける。奪った命の数だけお前が産めなど、到底まともな倫理観を持った人間からは出ない言葉であろう。恋は盲目と言うが、ここまで来ると狂信の域である。狂信者と狂信者、後のおしどり夫婦なのだから皮肉にもこの時点で既に相性は良かったと言える。ザルヴァドが運命を感じたのも必然であった。瓦礫と死傷者が散乱する凄惨な戦場の真ん中で、その場に似つかわしくない漫才はしばらく続いた。)

あぁ…もうっ!埒が明きません。分かりました…どうせ今日が貴方の命日となるのです。その戯言を聞き入れましょう。貴方が勝てたらですけどねッ…!

(どこまで行っても平行線…というよりは話が通じないことに痺れを切らしたレティシアは実力行使に打って出た。元より王国の軍勢など一人とて生かすつもりはなかったのだ。戯言など適当に流して最初からこうすれば良かったと、無駄な時間を浪費したことに苛立ちを感じながら無詠唱で魔法を放つ。先程の大魔法の簡易版、しかし規模こそ小さいとは言え数百の光の剣がノータイムでザルヴァドに降り注いだ。並の人間であれば為す術なく細切れになることであろう。枢機卿たる超越者にのみ許された理不尽。レティシアは勝利を確信して微笑んだ。舞い上がった砂塵が次第に落ち着きを取り戻し、その先には肉塊…となっている筈のザルヴァドがなんの気なしに立っていた。手には剣が握られており、それは即ち数百発の光の速さの攻撃を全て見切った上で捌いたことを意味する。その現実を見てレティシアは「は…?」と再び間の抜けた困惑の声を漏らす。)

話が早くて助かる。では、次は俺の番だな。

…ちょっ…まっ……うぐっ…!

(勝てば結婚。随分とシンプルに話が纏まったものだと、ザルヴァドの脳内は歓喜に支配されていた。口角を二ッと吊り上げ、ここで初めて笑顔を見せる。まるで獲物を前にした捕食者のような顔に、レティシアは恐怖して半歩後退った。ザルヴァドは傷付けることなく花嫁を迎える為に剣を鞘に収めると、瞬く間に距離を詰め彼女の腹に目掛けて拳を突き出す。これにさすが枢機卿、未だたじろいでいるもののしっかり攻撃に間に合わせ、生み出した魔力障壁で攻撃を受け止める。しかし、既に大魔法の発動で相当量の魔力を消耗しており、目の前の捕食者を止めるには強度が不足していた。バリンと音を立てて障壁は砕け散り、拳が腹にめり込むとその衝撃から痛みを感じる間もなく気を失った。)

うむ、実に清々しい気分だ。まさかこんな場所で運命の出会いを果たすとは。失った同胞達には申し訳ないが…俺は俺の幸福を追求するとしよう。元よりあのような攻撃、防ぎようがないのだ。こうなる運命だったのだと割り切るほかにあるまい。それに、無礼を承知で言うならば失った戦力は彼女一人で十分に補完できる。否、補完どころではないな…払い値の倍額で釣りが来るようなものだ。しかし、気持ちが昂るあまりすっかり失念していた。まだ彼女の名を聞いていないではないか…帰ったらまずは互いに名乗ろう。

(レティシアが倒れる前に先回りして、お姫様抱っこで迎え入れる。ザルヴァドは己が腕に天使を抱いているという事実に、まるで天井知らずの高揚感に浸っていた。そのまま後方部隊と合流すべく歩みを進めながら、報告を取り纏める為に此度の損失について思考する。ハッキリ言ってしまえば失ったものよりも得られたものの方が遥かに大きい。個人的な感情を抜きにして、戦力的な一面だけを見ても枢機卿クラスの大司教というのはそれ程の価値があるのだ。人の上に立つ者としての冷酷な勘定を終えると、ザルヴァドはハッとした表情で天を仰ぐ。ザルヴァドは気持ちが昂るあまり、レティシアは勝利を確信するあまり、方向性は違えど、どちらも目の前のことのみに気を取られて名乗っていなかったのである。斯くして、互いに名前も知らぬまま、ここに一組の夫婦が誕生したのであった。)

  • No.1017 by トピ主  2025-10-07 07:44:21 

少々長い文章になってしまいましたが、クレアの両親であるザルヴァドとレティシアの馴れ初めを書きました!自分で書いておきながら、この両親からまともな感性を持つ子が生まれて良かったと思います…
ちなみにクレアの素の口調が敬語なのは母親の影響です。

  • No.1018 by レド  2025-10-07 23:15:19 

>1015

……ああもう……この駄犬が。

(……ダメだこりゃ。いったいどんな会話してんだよ……顔を手で覆い、天を見上げて呆れ果て。とにかくこのバカ、シエルがいる限り収拾がつかない。腕の拘束が解け自由になったレドは立ち上がり。)

あークレアさん、楽にしててください。この大バカをシメてきます……身の程を弁えない駄犬には、教育が必要です。

(正座するクレアを制しつつ、シエルの背中を片手で引っ掴んで持ち上げると、廊下へと向かって。顔を強張らせ、髪を逆立てる怒りの表情からはまるで悪魔のような殺気が溢れている……)


>1016
(/こ、これは団長が一目置くのも当然か……S級クラスの騎士の父に枢機卿の母、クレアもとんでもない血統だなぁ……二人ともクレアの親とは思えないくらい、なんかおかしいですけど。特に父親……)

  • No.1019 by クレア/シエル  2025-10-08 00:12:17 

>1018

えーと…わ、分かりました…

レ、レドくん…?顔が怖いっすよ…?騒いだことは謝りますから…痛いのだけはやめてくださいね…?

(レドの気遣いに頷き脚を崩すと、クレアは心配そうな面持ちで二人の背中を見送った。クレアは未だ二人が恋仲にあると誤解している為、シエルの身を案じながらも下手に口を出すべきではないと判断したのだろう。一方でシエルは、レドの殺気に完全に萎縮して、まさに飼い主に叱られることを察した犬のような状態である。その困惑が感じられる青ざめた表情から、何を反省すべきなのか未だ理解していないことは明らかだが、恐怖で抵抗する気すら起こさず成されるまま連行される彼女に出来ることは必死の命乞いのみであった。)

(/クレアの父親は直情筋肉ダルマなので、一言で言えばバーサーカーですね…一方で母親は典型的な聖教の信徒らしく特定の相手を除けば基本的には温厚です。父親の強さと母親の容姿・内面を上手いこと受け継いだ結果がクレアになります(o^^o))

  • No.1020 by レド  2025-10-08 19:42:21 

>1019

まったく……とりあえず、あの夜の襲撃から無事生還できて嬉しいと言っておこう。シエル。
だがな、お前は謝らなきゃいけない。俺にじゃなくて、あの人に……Sランク冒険者・「不死鳥の翼」のクレア・ライデン様にだ!

(シエルを引っ掴んだままズンズン廊下を歩き、人気のない所でシエルを下ろして壁を背に立たせて。再会を喜びつつも、腰に手を当て困り顔で説教を始めて。さらには顔をずいっと近づけるとクレアに謝れと迫って。その顔は殺意より呆れが強く、犬の飼い主というより子供を叱る母親のようである。)

  • No.1021 by シエル  2025-10-08 21:10:57 

>1020

レドくんこそご無事でなによりっす…一時はどうなる事かと…ってクレア・ライデンってあの…!?で、でも…何を謝れと言うんですか…相手が誰だろうとアリシアちゃんを差し置いてほかの女とイチャつくなんて到底許せないっす!むしろレドくんの方こそアリシアちゃんに謝るべきっすよ!

(再開の喜びにシエルも同様にほっとした様子で返すも、クレアの名を聞いて目を見開いた。騎士団においてクレアの名を知らない者などいない。ましてやシエルにとって、親友であるアリシアと縁のある相手なのだから尚のことである。しかし、相手がクレアだから何だと言うのだ。浮気は浮気、アリシアの為にもここは自分が間違いを正さなければならない。そう覚悟したシエルは先程までの怯えを振り払い、真っ直ぐにレドの瞳を見据えて抗議した。誤解とは言え、真っ直ぐな心魂の持ち主であるシエルは親友の為に本気で怒っていた。まずは誤解を解かないことにはクレアへの謝罪はないであろう。)

  • No.1022 by レド  2025-10-09 13:09:56 

>1020

イチャつく……?……俺の手など、あの人には届かん。

(怒りに震え浮気を問い詰めるシエルに対し、レドはその怒りを流すかのごとく、何も知らぬシエルを哀れむがごとく、ただ無表情で溜息を吐いてシエルの脇を通り抜け)

クレアさんは3年前に恋人を亡くされてな。それ以来酒浸りの毎日だ。これは冒険者なら誰でも知っていること……今のも倒れたクレアさんを介抱していただけだ。
……「淫乱女」か。むしろそうであった方が俺も憧れなくて……あの人も幸せだったかもしれない……

(力なく廊下をゆっくりと歩いては、ぽつぽつとクレアの過去と今朝の事情を話して。窓の前に立つと両手を後ろに組んで外を眺めつつ、クレアも「淫乱女」である方がよかったと呟いて。あの人は今も亡き恋人、いや半身の幻影に囚われている。そしてこれからも……そんな憧れの人を男として抱くのは不可能だが、その姿を捨て置くこともできない……残酷な運命を悲しむレドの横顔を伝う涙が、窓から漏れる朝陽でキラキラと輝きを放っており。)

  • No.1023 by シエル  2025-10-09 17:44:07 

>1022

三年前に…恋人を……?…その…ごめんなさい。私…そんなことも知らないで、浮気なんか疑っちゃって…酷いこと言って…後でクレアさんにもちゃんと謝ります……あ、あの…こんな雰囲気で言うのも気が引けますけど…戻る前にレドくんへの要件を先に伝えてもいいっすか…?内容が内容なんで、部外者に聞かれる訳にもいかないので…

(事情を聞くなりシエルは暗い表情で俯いた。レドの涙からこれは嘘ではないと確信すると、自分の犯した軽率な行動を振り返り、罪悪感に胸が締め付けられるような感覚に陥る。何とか自分まで泣くのを堪えて言葉を紡ぎ、浮気と決めつけて詰めたことをレドに謝罪すると、勿論、酷い暴言を吐いてしまったクレアに対しても後ほど謝罪すると誓った。そして、顔を上げると潤んだ瞳のまま彼女は自分の職務を遂行しようと言葉を続ける。こんな雰囲気で切り出すのも気が引けるが、本来ここへ来たのは指南役に関わる重要な言伝を預かっているからである。空気を読めていないことは承知の上で、人気のない場所にいる今だからこそ話を切り出した。)

  • No.1024 by レド  2025-10-10 21:22:25 

>1023

ん……分かればいい。

(潤んだ瞳で誤解を謝罪するシエルに向き直ると、心底ほっとした顔で彼女の肩をポンと叩き。)

内容?……下手に他の冒険者に聞かれたら殺し合いになる事……指南役の件だな。

(辺りを見回しながら人気の無いのを確認し、シエルの正面に立って。灰色の瞳は涙で輝きながらも静かにシエルを睨み、声は冷たく、閉じた口は真一文字に結び、シエルの言伝を真剣に待つ。近衛隊の彼女が来たからには重要な内容だと察している。おそらくは他の冒険者が耳にしたらレドから名誉を奪おうと争い血が流れるであろう話……近衛隊剣術指南の件だと。)

  • No.1025 by シエル  2025-10-11 12:44:27 

>1024

お察しの通りっす。肝心の日程なんですけど、準備が出来次第速やかに王城に参じて欲しいとのことです。今まさしく第二騎士団長が庁舎に視察に来てるんですけど、どうにも裏がありそうで…アリシアちゃんとしてはレドくんにその監視を任せたいみたいっす。ギルドの前に馬車を停めてあるので、午前中には出発出来るように準備を済ませてください。

(察しの良いレドの言葉に頷くと、シエルは自らの涙を拭ってから詳細を話し始めた。この時期の第二騎士団長による視察、その動きを怪しんだアリシアはどうやらレドにその監視を任せたいようである。指南役という中立的ポジションに置かれているレドを内偵に使うという点は、奇しくも宮廷もアリシアも考えることは同じであった。特にアリシアに至っては一夜を共にした仲である為、レドに向けている信頼は相当なものであろう。急な依頼の為、少しでも早く伝えるべくシエルは昨日から夜通しレドを探していた訳だが、結局こうして当日に伝える形になってしまったこともあり、その表示は申し訳なさそうに眉尻を下げていた。)

  • No.1026 by レド  2025-10-12 00:36:03 

>1025

おいおい急な話だな……フン。成り上がりの田舎者が近衛隊に挑むとは、愚かな……
……了解した、言伝ありがとう。他に用件は?

(午前中に王城へ来いとはまた……急な話に頭をかいて。バカエルフに不意討ちを決めるアリシアだ、流石に鋭い。第二騎士団長・エリーゼを怪しんで俺に監視せよと来たか。しかし一歩遅かったな……と、視線を逸らしつつも素知らぬ顔でエリーゼを「成り上がりの田舎者が近衛隊に挑むとは愚かな」と吐き捨てて……自分も同じ立場なんだが。
シエルも自分を探すのに苦労したようだ。ふぅ、と一つ息を吐いて肩の力を落とし表情を緩めれば、穏やかな顔で言伝を受け、他の用件を尋ねて。)

  • No.1027 by シエル  2025-10-12 13:30:00 

>1026

あはは…レドくんもアリシアちゃんみたいなこと言うんすね。あとは…レドくんへの用事はそれだけなんですけど、実はもう一人探してる人がいまして…帝国の武官さん、どこかで見たりしてないっすか?昨日から見当たらないんで、放っておいて外交問題になるのも面倒なんで連れ帰るよう言われてるんすよ。レドくんが支度してる間に探しておくんで、心当たりがあれば教えて欲しいっす。

(レドが吐き捨てたセリフがアリシアと重なり、シエルは苦笑いを浮かべた。演技だとは微塵も気付かず、内心でやっぱり二人はお似合いかもしれないなんて思いながら話を続ける。レドのほかにもう一人、帝国の武官を探していることを明かして。帝国の人間をあまり長時間野放しにしていると何をしでかすか分かったものではない。アリシアとしては外交問題に発展する前に庁舎に連れ戻したいのだろう。武官の所在に心当たりがないか尋ねるシエルの表情は不安から少しだけ強ばっていた。帝国の野蛮人とこれから一人で相対することになるのだから当然の反応である。)

  • No.1028 by レド  2025-10-12 21:52:24 

>1027

北のグラキエス帝国か。そもそもこの国で帝国の人間など見たことないが……ああそういえば。昨日の夜、灰色の軍服を着た銀髪の女がこの辺をうろついていたような。案外近くにいるかもしれないぞ。
……ところでシエル、お前はこの国に帝国の人間が来る事、アリシアが帝国を招いた事をどう見る?……少しは考えて答えを出せよ。そうでなきゃアリシアも浮かばれないぞ。

(帝国武官の所在を尋ねられ、腕を組みながらそれらしい人物、昨日の路地裏の女のことを答えて。それから腕を組んだままシエルを睨みつけ、侵略国家の帝国がわざわざ遠方のこの国に訪問する事、アリシアもアリシアで帝国の人間を招いた事に対する見解を求めて。近衛隊なのだ、ただ剣を振るうばかりでなく政治にも通じておけよ。アリシアもそのために付きっきりでお前に勉強教えたんだろ?……と冷たく睨みつけるレドの視線は厳しい。)

  • No.1029 by シエル  2025-10-12 23:00:39 

>1028

そうっす、まさしくその人です!ありがとうレドくん、お陰で捜索が楽になりました。

(灰色の軍服に加えて帝国人に多い銀髪、レドの語った特徴はまさしくシエルの探している人物に合致していた。捜索の手間が省けることに喜びを隠せず身を乗り出して礼を言うが、続けられた難しい問いかけと厳しい視線に怯んですぐに半歩後退る。)

か、顔が怖いっすよ…ええと……あの帝国のことですし、友好関係の促進はまずないとして…視察を建前にした何らかの取引きと見るのが無難ですかね…?

(圧に押されるままシエルは必死に頭を捻る。こうした政治ごとはシエルが最も苦手とする分野だが、アリシアの名前を出された以上はそれなりの回答を用意するのが筋である。しばらくの思考の後に、視察を建前にした何らかの裏取引きだと結論付けた。自信なさそうに答えるシエルだが、帝国の特性を考えるなら無償の友好などまず有り得ない。情報の少ない現状では具体的な狙いまでは分からないが、帝国に取って利のある何らかの取引きが行われることは間違いないだろう。)

  • No.1030 by レド  2025-10-13 00:27:09 

>1029


ふーむ、取引か。まあいいだろう。正直俺も連中が何しに来たのかさっぱりわからんからな……
まあ、どのみちお前にはもう関係無い事か。剣士を人前で「淫乱女」と貶めたのだからな……さあ、騎士なら腹かっさばいて詫びてもらおうか。

(どうにか答えをひねりだしたシエルにほっとして一息吐いて。正直それだけとは思えないが、なにせ自分でも帝国兵がこの国に来る意味が分からないのだ。シエルが自分なりに結論を出しただけでも満足である……が、今度はドス黒い殺気を帯びながら仁王立ちして、クレアへの非礼を切腹して詫びろとシエルを指差すが……)

……と言いたいが、それはあの人の望むことではない。しかし一剣士としてお前をこのまま帰すことはできない。捜索に行く前にお前にはやるべきことがある……わかっているな?
(すぐ殺気を納めると、すっと歩いて窓にもたれかかって。昨日出会って分かった。クレアは名誉のために血が流れることを好まない。だがせめて帰る前に一言謝るべきだ……やわらかな朝の陽ざしを背に浴びながらシエルを諭すレドは、どこか穏やかだ。)

  • No.1031 by シエル/クレア  2025-10-13 10:33:13 

>1030

ひえっ…わ、分かってます!ちゃんと謝りますから!

(ドス黒い殺気を前にして、シエルは自分の身を抱いて露骨に怯えた様子を見せるが、その後にレドが穏やかな様子へ変わるとホッと一息ついて、筋を通してしっかりと謝罪することを再度誓った。)

クレアさん、本当の本当に申し訳ありませんでしたぁ!

わ、私は大丈夫ですから…汚れちゃいますから、どうか顔を上げてください…

(場所は移り医務室。ベッドに腰掛けたクレアの前でシエルは額を床に擦り付けて土下座をした。立った状態からのスムーズな土下座への移行、洗練された所作から、シエルは相当土下座に慣れている様子である。アリシアの下で日頃から叱責されているのが丸分かりだ。
戻ってきたかと思えば速攻土下座。その光景を前にしてクレアは苦笑いを浮かべながら、シエルに顔を上げるように促した。これは明らかに引いている。必死に謝るあまりクレアの言葉が届いていないシエルのことは一旦放っておいて、反応がオーバーなところを若干レドに重ねながら、クレアは視線をそのレドに移した。)

ひとまず誤解が解けたようで安心しました。レドさん、何から何までありがとうございます。私の介抱はもう大丈夫ですから、あとはご自分のことをなさってください。

(ぺこりと綺麗な所作で頭を下げると、クレアは事態を収拾してくれたこと、そして一晩介抱してくれたことに礼を述べた。近衛隊の人間が尋ねて来たと言うことはレドには何らかの仕事があるのだろうと察し、憂いを断つために、一晩休んだこともあり自分の体調は大丈夫だと告げる。)

  • No.1032 by レド  2025-10-13 19:34:31 

>1031

そんな、お構いなく……まだ出立まで間はありますし、一服くらいしてから行きますよ。クレアさんもいかがですか?ホットミルク……疲れた身体には丁度いいかと。

(ひとまずシエルは謝ってくれて安心した……所作がアレだが、と安心した顔を見せる。だがクレアに対しては帰るどころか、手をもじもじとさせながらお互いにホットミルクで一服しないかと提案して。その顔には安心の陰にさみしさが滲んでいる。正直レドは帰りたくない。もっと憧れの人と一緒にいたいのもあるが、何よりクレアの精神面が心配なのである。アリシア、レイラ、あーハゲはいいや。そして……。……次々と親しい人に去られた今、自分が去ってしまったら、誰が彼女の孤独を癒すというのだ……)

聞こえたなシエル?さ、ホットミルク2つ、持ってこい。もちろんお前のおごりでな。それで手打ちにしてやる。いいな?

(土下座ばっかりしているシエルの側にしゃがみ込み、背中をバシバシ叩くと、指二本立てて「ホットミルク2つ持ってこい」と指示して。剣士に向かって人前で「淫乱女」と叫ぶなど斬られてもおかしくないが、これで和解としよう。よろしいかと、クレアにちらりと視線を向けて。低い声に荒い所作、クレアに対する純朴な青年の姿とはまるで異なる、剣に生きる荒くれ者の姿があった。)

  • No.1033 by シエル/クレア  2025-10-13 21:42:28 

>1032

では…お言葉に甘えて。シエルさん、よろしくお願いしますね。

イテテ…は、はい!こういった雑用は得意なので任せてください!

(レドの提案を聞いて、クレアは顎に手を添えて少しだけ考える素振りを見せる。かつて騎士であった身の上から、シエルのことを考えれば贖罪の機会を奪うほど残酷なものはないだろうと結論付けると、小さく頷いて提案を了承した。シエルに向き直り、よろしくと使命を託す様は、窓から差した陽が後光となりまるで聖女のようである。レドに叩かれた背を擦りながら顔を上げたシエルはその様を目に焼き付けて、ぴょんと立ち上がると自信満々に駆け出した。普段ならアリシアに土下座をすれば頭を踏みつけられたまま延々と詰られるのだが、姉妹のごとく容姿が似ているクレアの振る舞いはまるで優しかった頃のアリシアと相対しているような高揚感を与え、シエルはすっかり浮かれていた。しばらくして廊下からは「走るな!」と咎める職員の怒号と「ごめんなさいー!」と情けなく謝るシエルの声がこだました。その声を聞いて、しばらく無縁だった平和な喧騒を身近に感じたことでクレアは思わずクスッと笑みを零して見せた。)

  • No.1034 by レド  2025-10-14 18:39:11 

>1033

ふぅ、やれやれ。まだまだ教育が必要と見えるな…….

(しゃがんだ姿勢のまま、騒々しいシエルの様子に思わず苦笑いを浮かべて。シエルが織りなす平和なギルドの喧騒が、気心の知れた冒険者仲間と共に歩んだ昔を思い出す。小言を呟きながらも、どこか穏やかな微笑みを浮かべており。)

クレアさん……一度とならず二度までも、お見事な取り計らい。不名誉は血ですすぐばかりが剣士では無いと……一剣士として勉強になるばかりです。

(後光を背負うクレアに片膝をつき、自分に続いてシエルの事も穏便に解決したことに礼を述べて。「屈辱には血の贖いを」。そんな剣士の在り方を貫いていたら自分の命も、今の平和な光景も無かっただろう。聖女様は聖教国だけではない、この国にも存在する……目を伏してクレアの慈悲に感謝するその姿は実に静かで、穏やかだ。)

  • No.1035 by シエル/クレア  2025-10-14 21:55:54 

>1034

えへへ…私はそんな大層な存在じゃありませんよ。

(照れくさそうに頬を掻きながらレドの言葉に謙遜して。だいぶ酒も抜けたことでテンションが落ち着いたこともあり、さて何を話そうかと小首を傾げて思案していると、丁度よくシエルが戻ってきたのが見えた。盆には二つのホットミルクに加えて皿に乗せられたリンゴとフルーツナイフが置かれていた。)

ただいま戻りました!食堂のおばちゃんに気に入られたみたいでリンゴもサービスしてもらったっす!

おかえりなさい。ふふっ、丁度小腹が空いていたので有難いですね。では、皆で頂きましょうか。

(戻るなりシエルは盆ごとベッドの近くに備えられた机に置くと、フフンと鼻を鳴らして誇らしげに自分の胸に手を添えて、リンゴをサービスしてもらえたことを自慢した。食堂のおばちゃんに初見で気に入られるとは相変わらずのコミュ力である。クレアはシエルを労うと、すかさずナイフを手に持って…瞬間、リンゴは皮を綺麗に剥かれ、一口大に切り分けられた状態で皿に盛り付けられた。シエルにはその動きを目で追えなかったようで、目を見開いて思わず皿を二度見する。腐ってもSランク冒険者、落ちぶれてなおその剣技は健在であった。クレアはナイフを盆に戻し手を合わせると、二人に視線を向けて優しい声色でたった一言放つ。)

いただます。

(かなり軽めの朝食だが二日酔いには調度良い。こうして誰かと朝食を共に出来るだけでクレアの心はいくらか救われたことであろう。)

  • No.1036 by レド  2025-10-15 22:42:40 

>1035

お、戻ったかシエル。すごいじゃんかオマケしてもらえるなんて。こればかりは俺も……!?

(椅子を引っ張ってクレアのそばに腰掛けると、ホットミルクに加えてリンゴまで持って戻ってきたシエルに微笑んで。こればっかりはシエルに敵わんなと笑みを浮かべたままリンゴを持つクレアの手元に視線を向けていたが、彼女がナイフを手に取った途端……顔が凍り付いて。な、なんという早業、これがSランク……正直俺が真似できるだろうか。同じく呆然としているシエルを肘で小突いて、耳打ちして。)

な?パネェだろ。これがクレアさんだよ……

  • No.1037 by カイナ  2025-10-15 22:55:34 

参加してもいいですか?参加したいですよ。いいですよ。

  • No.1038 by シエル/クレア  2025-10-15 23:14:01 

>1036

そ、そうっすね…まったく以って真似できる気がしないっす…

ほら二人とも。早くしないと全部食べちゃいますよ~

(追う気すら起きない圧倒的な技量の差を前にして、シエルは未だ呆然とした様子でレドの言葉に頷いた。一方で、何か芸を披露したつもりなど更々ないクレアの目には、二人が自分を蚊帳の外にして何やら仲睦まじく喋っているように映ったらしい。焼きもちで少しだけ頬を膨らませると、リンゴを一片頬張りながら「全部食べちゃいますよ」と、二人の気を引こうと可愛らしい試みをしていた。)

  • No.1039 by トピ主  2025-10-15 23:16:31 

>1037

すみません。現在新規参加者様に対応できる人間がいない状態でして、心苦しいですがお断りさせていただきます。

  • No.1040 by レド  2025-10-16 10:06:46 

>1038

おっと、いただきます……むむ、うまい。
さあシエル、これはクレアさんの御体(おんからだ)。ありがたく拝領するがいい。

(クレアに促されるとリンゴの一片を口に運んで咀嚼して。アゴを動かすたびに口の中でシャクシャクと小気味良い音を立て、しゃっきりした酸味と優しい甘味が口の中でハーモニーを奏でる。リンゴってこんな美味かったっけ……と、ほのぼのした顔で堪能しており。
もう一片を手でつまむと今度はシエルの口の前に持っていき、仰々しい言い草の後に「はい、あーんしろ」と促して。ジト目でぶっきらぼうな言い方だが、身体はリラックスしている。こういう対等な仲間と接するのも一年ぶりだから……)

  • No.1041 by シエル/クレア  2025-10-16 12:23:06 

>1040

もぅ…子供じゃないっすよ!ま、食べますけどね!

ふふっ、では私からも。はい、あ~ん。

クレアさんまで…!でも、食べますけどね!

(口元にリンゴを運ばれて、シエルはムスッとした表情で子供扱いするなと言うものの、リンゴの甘い香りに抗えずに結局は態度を一転させて頬張った。頬に手を添えて心底幸せそうに味と触感を堪能しているシエルの様子に、思わずクレアも微笑む。仰々しい言い草で食欲をなくしていないかと心配していたがどうやらクレアのその心配は杞憂だったらしい。であれば折角の機会に便乗しようと、クレアもリンゴを一片シエルの口元に運んで「あ~ん」とノリノリで目を輝かせた。レドに見せた反応同様に最初こそ不服そうな態度を取るシエルであったが、結局はリンゴの魅力に抗えずに頬張る。その光景はさながらペットの餌付けであった。)

  • No.1042 by レド  2025-10-17 06:52:40 

>1041

ふふ……。……これはクレアさんの御血(おんち)、では無いか……

(クレアとシエル。飼い主と犬……いや姉と妹のように微笑ましい姿にふと笑みを漏らして。だが両手に取ったホットミルクに口をつけると急に沈んだ顔になり、ぼそっと呟いて。口の中でアリシアとのファーストキスの思い出が蘇る。アリシア・ライデン。クレアさんの家……名誉と帰る場所を奪った一族。そんな人間と結ばれておきながらこの場に座るなど、彼女への背信行為ではないのか。この輪の中に入っていいのだろうか……そう考えると一歩椅子を退いてクレアとシエルから遠ざかり、今一度ミルクを口に含みながらさらに呟いて。)

……アリシア……

  • No.1043 by シエル/クレア  2025-10-17 20:11:34 

>1042

レドさん、ぼーっとしてたらシエルさんに全部食べられちゃいますよ~。はい、あ~ん。

そんなに食い意地張ってないっすよぉ!

(愛らしくリンゴを頬張っているシエルの頭を撫でていると、少し引いた位置で何やら浮かない表情を浮かべて考え事に耽るレドの様子が目に付いた。誰しも悩みの一つや二つはあるものだが、人によってその性質は大きく異なる。迂闊に踏み込むべきではないのだろう。そう思考しつつも、せめてこの時間だけは楽しくあってほしい…その一心で、クレアはすかさずリンゴを一片つまみレドに歩み寄り、口元まで運んで「あ~ん」と笑いかける。その後ろでシエルが何やら吠えているが、抗議しながらも皿に乗ったリンゴを次々に頬張る姿からはまるで説得力がない。)

  • No.1044 by レド  2025-10-18 10:55:55 

>1043

えっ、俺!?いやそんな……あ、あーん……

(物思いにふけっているといつの間にかクレアが近づいてきてリンゴを片手に「あ~ん」と笑いかけてきた……憧れの人のまぶしい笑顔、母性に抗えるレドではない。顔をほんのり赤くして恥ずかしがりながらも、言われるままに口を開け、リンゴを口に入れてもらい。口の中でリンゴを噛みしめていると、いつも以上に甘くて美味しく感じられる……ひとしきり味わってから飲み込むと、顔を赤くしたまま頬に手を添え、シエルに話しかけて。)

シエル……リンゴっておいしいな……

  • No.1045 by シエル/クレア  2025-10-18 13:15:49 

>1044

ん…?そ、そうっすね。あっ、もうこんな時間です!私は人を探しに行かないとなのでこれにて。レドくんも遅れないようにしてくださいね!

(相変わらず勘の悪いシエルはリンゴの味を称えるレドの言葉に、何を当たり前なことを今さら…と、キョトンとした様子で首を傾げるもリンゴが美味いのは事実であるため、すぐに思考を放棄して頷いた。時計に目を向ければ既に小一時間ほど経過しており、連れ戻す相手の特性を考えるならば捜索や説得込みで決して長い時間は残されていない。二人に頭を下げて別れを告げると、慌ただしく医務室を後にした。)

行ってしまいましたね。なんでしょう…杞憂であれば良いのですが、何だか嫌な予感がします…

(手を振ってシエルの後ろ姿を見送ったあと、ベッドに腰掛け直したクレアは自身の胸に手を添えて俯いた。デュランダルで人を探すだけ。普通なら近衛隊の人間を相手に心配する程の事ではないが、シエルの姿が見えなくなった瞬間から不吉な予感に胸騒ぎが止まらない。部外者としてシエルの任務の詳細を知らされていないクレアだが、悪魔と違わない帝国人の影に、高位の冒険者としての勘が警鐘を鳴らしていた。)

  • No.1046 by レド  2025-10-18 17:48:48 

>1045

ああ、またなシエル。気を付けてな。
……ありゃ近衛隊にいる俺の友達(ダチ)でしてね、この国に来た北の帝国兵を探してるそうなんです。実は昨日そいつと遭遇したんですが、これがとんでもないイカれ女だった……昨日の夜クレアさんにお会いした時も、そいつに絡まれて逃げてきたところだったんですよ。
……クレアさんのおっしゃる通り、どうも気分が悪い。何しに来たんだあの略奪者どもは……

(退室するシエルに手を上げて挨拶すると、ベッドに腰掛け直したクレアに椅子を近づける。外に漏れないよう声を潜めつつ、改めてのシエルの説明と、クレアの嫌な予感の元凶たる帝国兵の話をして。あまり広めるべきでは無い話だが、元騎士団の高官として節度のある彼女であれば大丈夫だろう……さっきまでの照れ顔とは打って変わった真剣な表情が、事の重大さを裏付けており。)

  • No.1047 by クレア  2025-10-18 19:17:08 

>1046

帝国兵が…!?レドさん、すぐにシエルさんの後を追いましょう…!もし人目に付かないところで遭遇したら彼女はっ…!

(帝国兵と聞いてクレアは胸騒ぎの正体に合点がいった。過酷な環境で生きるが故に人を人とも思わない帝国人の残虐性を、騎士団時代の外交経験からクレアは熟知している。シエル一人で会わせるのはあまりにリスクが大きい。そう結論付けるとクレアは立ち上がり、ベッド脇に置いていた剣を腰に携え、すぐに後を追おうと必死な剣幕でレドに訴える。もう身近な誰も失いたくない…焦りからクレアの手は小刻みに震えていた。)

  • No.1048 by セレステ/レイラ  2025-10-18 20:17:48 

同時刻 王城にて

ハァ…それで、本日はどういったご用件でしょうか?勇者様。

(王城の地下に備えられた取調室。質素な机と椅子しかない薄暗い地下牢のようなその空間で、セレステと、堅牢な手枷を嵌められたレイラは机を挟んで向かい合っていた。大きな溜め息を吐いてからセレステは尋問を始める。いったいどんな理由があれば衛兵ごと正門を吹き飛ばして城に侵入しようという発想に至るというのか…眉間に皺を寄せたセレステの表情には明らかな呆れの色が見えた。)

べつにお前に用があって来たわけではない。枢機卿から、私の弟子がもうじき此処(王城)に来ると聞いてな。ちょっとしたサプライズで待ち伏せしてやろうと思ったんだ。

色々と突っ込み所がありますが…馬鹿な貴女には理解が難しいでしょう。ですので、ここはシンプルに一言だけ。速やかにお帰りください。

(そんなことだろうと想像はしていたが、悪びれる様子もなくレイラの口から語られたあまりに稚拙な理由にセレステは頭を抱えて項垂れた。こんな子供のような感性の人間が「勇者」であっていいのか。あぁ、神よ…教皇よ…心の中で、この世で最も尊い存在に抗議しつつも、それらに肩を並べるべき目の前の存在への深い失望の気持ちを抑え、なんとか平静を装って顔を上げる。なぜ枢機卿が騎士団の内部事情を把握しているのか、許可なくサプライズに王城を使うなとか、聞きたいこと言いたいことは山ほどあるが、懇切丁寧に言葉を尽くしたとしてこの女との問答が成立する気がまるでしない。セレステはある種の諦めに近い感情で割り切ると、早期に面倒事を片付けるべく淡々とした口調で帰宅を促した。)

馬鹿とはなんだ貴様ッ!

ああ、一つご忠告を。この場でそれを解けば拘束具は無意味と判断して手足を折ります。

チッ…

(馬鹿呼ばわりされて直情的なレイラが我慢出来る筈もなく、感情の赴くままに手枷を破壊しようと力を込めるが、意外にもセレステの忠告を聞いてすぐに試みを諦めた。そもそも衛兵の呼び出しでレイラを拘束したのはセレステである。今しがた抗い難い力量差を分からされたばかりのレイラは、その言葉は脅しではないと理解したのだろう。まるで反抗期の子供のように小さく舌打ちをして、不貞腐れた様子でそっぽを向いた。)

それでは帰りましょうか、正門までご案内します。立ってください。

…帰らない。

また我儘を…早く立ってください。

…帰らない。

(一先ずは手荒な真似をせずとも言うことを聞かせられたことに安堵しつつ、セレステは椅子から立ち上がると、レイラの腕を引いて帰宅を促した。しかし、何度腕を引こうとレイラは断固として動かない。意地になっているのだろう。キッと睨みつつも、セレステを見上げるその瞳は今にも泣き出しそうな程に潤んでいた。まるで駄々をこねる子供そのものだが、年下で小柄の女の涙はセレステの庇護欲を大いに掻き立てた。余談だが不死鳥の翼の活動時、クレアはレイラの涙には決して逆らえなかったという。クレアに歳の近いセレステも例に漏れず効果は覿面のようだ。「ハァ…」と再び大きく溜め息を吐くと、ついにセレステが折れて幾つかの条件を提示する。)

分かりました。しかし条件があります。「私の元を離れない。」「身分を隠すために侍女服を着用する。」「お弟子さんと言葉を交わしたらすぐに帰る。」それを守れるのなら暫しの滞在を許可しましょう。

うむ、分かった!早速着替えるぞ。案内しろ!

(先程までの不貞腐れた態度はどこへやら、提示された条件をあっさり飲んだレイラは晴れやかな笑みを浮かべて立ち上がり、自ら更衣室への案内を急かす始末である。その変わり様を前にしてセレステは苦笑いを浮かべつつも、掻き立てられた庇護欲は満たされたようだ。やれやれといった様子でレイラの腕を引き、取調室を後にした。斯くして、レドへ宛てたサプライズ計画は出だしこそ盛大に躓いたもののセレステの協力を得てなんとか成功へと近付いたのであった。)

  • No.1049 by レド  2025-10-18 20:43:11 

>1047

クレアさん!?……しかしいくら帝国でも使いの者を斬るはすが。それにそのお身体では……ご、ご心配なら俺一人で追ってきます!

(クレアの剣幕に押される形で立ち上がると、壁に立てておいた自分の長い東刀を引っ掴んで……だがいくら帝国でも外交で来ているのだ、相手の国の者を襲うだろうか?そして何より、病み上がりの彼女を戦わせるのは危険だ……とはいえシエルの無事を確認できないことには彼女のパニックも収まりそうにない……冷や汗をかきつつも焦るクレアを手を突き出して制止し、自分一人で行くと提言して。)


>1048
(/なにやってんだ姉さん……そして次席補佐官……こんなに強いのか……)

  • No.1050 by クレア/シエル/エルフリーデ  2025-10-18 22:52:18 

>1049

分かり…ました。それではレドさん、よろしくお願いします。私の杞憂であったことを願っています…

(レドの制止にクレアは渋々頷いた。今しがた少し興奮しただけで心臓の鼓動が異様に早くなったことを自覚すると、確かに今の状態では戦いどころかシエルの元に辿り着けるかも怪しいであろうと納得する。悔しさに拳を握りしめながらも、深くレドに頭を下げて想いを託した。)

…ハァ…ハァ…

(昨夜レドが帝国兵エルフリーデと遭遇した通りの路地裏、朝だと言うのに陽も届かない薄暗がりのこの場所で、血溜まりの中にシエルは倒れていた。致命傷は免れているが脇腹を剣で貫かれたことで出血が酷く、呼吸をするのがやっとである。どうしてこんな事になったのか、薄れゆく意識の中でもはやシエルに思考する余裕などなかった。)

あちゃー…やってしまいました。私としたことがつい飲み過ぎてしまいましたねぇ。反省反省っと。どうしましょう?いっそ息の根を止めて証拠隠滅でもしましょうか。

(通路脇のゴミ箱に腰掛け、虫の息のシエルに嘲るような視線を向けながらエルフリーデは思考に耽っていた。手に持つのは度数の高いウイスキーの酒瓶と血に濡れた剣。泥酔状態で背後から声を掛けられたことでシエルを敵と誤認し、条件反射で突き刺したのが事の顛末である。すぐに治療を施して然るべき謝罪をすれば不幸な事故として処理され、大きな外交問題にはならないであろう。しかし、彼女は帝国人の中でも選りすぐりの人格破綻者。それも泥酔状態。まともな判断などする訳もなく、剣の切っ先でシエルの輪郭をなぞりながらニヤっと口角を吊り上げ、いっそ殺してしまおうかなどと物騒なことを呟いていた。)

(/レイラは思い立ったらすぐ行動してしまうので、たまにこうして暴走してしまいます。次席補佐官にお灸を据えられて少しでも反省すればいいのですが……次席補佐官は固有魔法のお陰で日中はスターマリオ状態なのでレイラに勝ち目がないんですよね。固有魔法なしでも、剣技が全盛期クレア並の技量なのでどのみちレイラでは勝ちの目は薄いですが…しかし、レドであれば今後の成長次第で倒せる可能性は十分にあると思います!日中だろうと陽が届かなければ無敵状態になれないので、地面に竜狩りを打ってセレステごと深い穴の中に落ちて、陽の届かない深い底で決着をつける等々…条件付の無敵状態なので攻略法は色々あります!一番の問題はその上でどう勝つかなのですが…)

  • No.1051 by レド  2025-10-19 08:13:05 

>1050

ハッ!行ってまいります!

なあ、今黒い軍服の女の子が出ていかなかったか?……チッ、よりにもよって……ありがとう、ごちそうさま。

(案の定、満足に動けないクレアに対して直立不動の姿勢から敬礼をすると急いで退室して。だが出る直前でホットミルクを飲み干すことは忘れなかった……何だかアリシアの加護が受けられそうな気がしたから。
医務室とは一転して明るく賑わう食堂で職員を捕まえ、シエルの行き先を尋ねる。よりにもよって昨日の路地裏の方へ向かったことに舌打ちしつつも、空になったカップを渡しながら礼を言い、ギルドを出て。)

シエル、シエル!……シエルっ!?……なるほど、クレアさんが危惧するわけだ……!
そこまでだ帝国兵。彼女はこの国の近衛兵だ。罪人として裁かれたくなければおとなしく退け。

(シエルの名を呼びながら街道を駆け抜け、昨日の路地裏へ入る。血の匂いを辿れば案外彼女はすぐ見つかった……最悪な形で。朝でも薄暗い路地裏、その血溜まりに倒れ伏すシエルに呼びかけて。
それからシエルを傷つけた者……昨日の帝国兵の女を睨みつけて。血に加えて酒の匂いまで漂ってくる……この女がここまで異常だったとは、甘く見過ぎていた……!今度ばかりは間抜けの演技などしていられない。親指で刀の鯉口を切りつつ、帝国兵エルフリーデを止めるべく叫んで。)




(/うむむ、この帝国女と違ってセレステは話が通りそうだからあまり戦いたくありませんが……戦うとしたら、レドにとっては課題の多い戦いになりそうです。)

  • No.1052 by シエル/エルフリーデ  2025-10-19 14:49:16 

>1051

あれぇ…?昨日のお兄さんじゃないですかぁ。こわ~い男達をお兄さんが差し向けるから、私の心はとっても傷付いちゃいました。これはそう、傷心を癒していた最中の不幸な事故なんです。ふふっ、なので誠心誠意の謝罪を見せてくれるならこの子を返してあげてもいいですよ?見たいなぁ…お兄さんの土・下・座。

(レドの顔を見たエルフリーデは小首を傾げて記憶を辿った。昨夜鉢合わせた青年であることに気が付くと、外向きの笑顔を浮かべて酒をあおりながらテキトーな持論を述べる。要するにレドが悪いという滅茶苦茶な論理だが、剣の切っ先はシエルの首に添えられており、エルフリーデの機嫌一つで胴から切り離されることであろう。既に破壊衝動は治まっていることもあり、今度は別の娯楽としてレドに醜態を晒すことを迫った。反応を待つ彼女の顔はまるで悪魔のように悦に浸っている。)

  • No.1053 by レド  2025-10-19 17:56:28 

>1052

……俺は近衛隊剣術指南・レドだ。お前も近衛隊に呼ばれているのだろう。これ以上事を起こせば外交問題になる。帝国のためにもここは退くがいい。

(エルフリーデの邪悪な言動に一瞬顔をしかめつつもすぐ無表情になり、淡々と身分を明かしてはこれ以上危害を加える愚を説いて。こんな女の言われるままに土下座したところでシエルが無事でいられる保証は無い。多少の脅しなど気にも留めず平然としているのが強者のやり方だ、いつぞやの糸目女のように……人気の無い路地裏に、レドがエルフリーデへとゆっくり歩み寄る足音が響き渡り、その度にレドの黒いシルエットが大きくなっていく。)

  • No.1054 by シエル/エルフリーデ  2025-10-19 20:02:58 

>1053

あ~あ…つまんないですねぇ。昨夜にその調子を期待していたのですが、生憎今は気分ではありません。玩具としては不適格なのでこれはお返ししますかぁ…

うぐ…

(期待していたものとは違うレドの反応を見て落胆したエルフリーデは剣を鞘に収めると、腰掛けていたゴミ箱から降りて、襟首を掴んで乱雑にシエルを立ち上がらせる。意識が混濁しているシエルは痛みに反応して小さな呻き声を上げるのみであった。)

これが死んだら私も帰りが面倒ですし、貴方の言うように外交問題にもなるでしょう。それは少しばかり困ってしまうので。あぁ、安心してください。使った玩具はしっかり綺麗にしてあげますから、私は誇り高き帝国軍人なので♪

…っ…!?やめっ…ゲホッ…たすけ…ゴホッ…

(レドの説得は一応はエルフリーデにも届いていたようだ。確かに外交問題となっては計画が破綻しかねない。その為に彼女は剣と同時に敵意も収め、努めて友好的な振る舞いに切り替えたのである。しかし、クレアが懸念していた帝国人の倫理観、価値観の違いが尚のこと顕著に現れることとなった。彼女の言う玩具の掃除、これは純粋な善意によるものだが、そもそも自然に「玩具」と呼んでいる時点で王国人を人として見ていない。その方法も常軌を逸したもので、まだ半分以上残っている決して小さくはない酒瓶の飲み口をシエルの口に差込み、殆どまっすぐに傾けて無理やり飲ませる。消毒のつもりなのであろう一連の行動だが、文字通り酒に溺れて呼吸もままならず、飲みきれず口から溢れる酒は服を伝い傷口を刺激する。あまりの苦しさと激痛にシエルは意識を覚醒させるが抵抗する力は残っておらず、涙を流しながら目の前のレドに助けを求めた。)

  • No.1055 by レド  2025-10-20 06:23:09 

>1054

…………治療はこちらでやる。手当の術も知らないとは、帝国軍も練兵でお困りと見える……せっかくだ、この国で一流の兵学を学ぶといい。

(な、なんだこいつ……!人を人とも思わぬ態度。今すぐ斬り捨てたい!……そんなはやる気持ちを無表情で抑え、エルフリーデの手首を掴んでシエルの口から酒瓶をはがし、酒瓶を投げ捨てて。投げた酒瓶が砕け散り中身が撒き散らされると同時にシエルの身体も奪い、シエルを壁に座らせて。淡々とした口調で冷静に話しつつも、王国人を見下す女に言い返すことも忘れない。)

もう大丈夫だぞシエル、ギルドへ帰ろうな……
……あんたもさっさとアリシア様の下へ向かうがいい。騎士団に捕まらない内にな……では、またいずれ。

(シエルが怯えないよう自分の身体でエルフリーデを隠しつつ、穏やかな口調と表情でシエルに話しかけ、傷口に布を当て包帯を巻く応急処置を済ませるとシエルを背負って。影の中で光る灰色の眼光を背中越しにエルフリーデへぶつけると、ギルドへ戻るべく歩を進めて。いずれこの借りは返す!……シエルとそんな覚悟を背負いつつ。)

  • No.1056 by シエル/エルフリーデ  2025-10-20 12:39:28 

>1055

あら?何か無礼を働いてしまったようですね。それならば申し訳ありません。外の文化に併せるのも大変でして。

(酒瓶を投げられ、強引にシエルを奪還された挙句に皮肉まで添えられると、エルフリーデは呆気に取られた様子で小首を傾げた。相手の要求を呑んで友好的に振る舞い、ゴミに等しい王国人に治療まで施してあげたというのに…と、終始無礼を働いておきながらその自覚はないらしい。未知の価値観など考えても無駄なことだと割り切り思考を停止して、きょとんとした表情のまま建前上の謝罪を述べると軽く頭を下げた。)

それではレドさん、また後で♪あぁ、私の名前はエルフリーデと申します。覚えるも忘れるもご自由に~。

(トラブル(自分で起こした)は解決し、もはや此処に留まる理由はない。新しい玩具(レド)も見つけたことで、よくよく考えれば大きな収穫を得られた事に気が付いたエルフリーデは再び笑みを浮かべると、「また後で」と何やら含みを持たせた別れの言葉を残して歩み出した。去り際に名乗りを上げると、軽い足取りで大通りへと出て人混みの中に消えていく。)

うぅ…怖かったっす……レドくんが助けに来てくれなかったら…今頃は…

(エルフリーデが去ったことでシエルはようやく口を開いた。いきなり刺されて死の淵を彷徨ったかと思えば治療と称した拷問で目を覚まし、シエルの感じた恐怖心は相当のものであろう。痛みと、未だに脳裏にこびりついて離れない恐怖に震える声で言葉を紡ぎ、レドに抱きつく力を一強めた。)

  • No.1057 by クレア/セレステ  2025-10-20 16:42:06 

過去編「甘いひととき」

夕刻の執務室。窓の外では沈みゆく陽が、庭園の白い石畳を金色に染めていた。
その中でクレアはただ一人、机に向かっていた。
書類の束、無数の判、冷めきった紅茶。
金髪の束が肩に落ち、瞳には疲労の色が滲んでいる。

けれど、彼女は顔を上げない。
この国の秩序を守る――それが自分の使命だと信じているから。
感情よりも義務を、温もりよりも責務を優先してきた。

──だからこそ、気遣いを感じる控えめなノックの音が、張り詰めた彼女の心を僅かに緩めた。

「…入れ。」

扉を開けたのは、青い髪の少女。
セレステは深く頭を下げ、いつものように礼儀正しく立っていた。
けれどその手元には報告書ではなく、小さな箱。

「……何だ、それは。」

クレアの声は、いつも通りの冷静さを保っていた。
だが、セレステの指が少しだけ震えているのを見て、胸の奥に微かなざわめきが走る。

「ケーキです。……私が、焼きました。」

「お前が?」

信じられない、というよりも、ただ意外だった。
騎士学校時代から剣一筋だったこの少女が、自分のために何かを作るなんて。

「先輩、最近ずっとお忙しい様子だったので…。少しでも、リラックスできればと…」

その声は、小さく、けれど真っ直ぐだった。
まるで剣先のように澄んでいて、偽りの欠片もなかった。

クレアは息を呑む。
「首狩り」と蔑まれるようになったあの一件以降、自分が周囲からどれほど冷たく見られているか、誰よりも知っている。
けれど、この部下は――それでも自分に優しさを向けてくる。

「……セレステ。」

名を呼ぶ声が、かすかに揺れた。
セレステははっと顔を上げ、金の瞳がまっすぐにクレアを見つめる。

「ええと…先輩。お口に合うかどうかは……その……」

クレアは言葉を遮るように、そっと箱を開けた。
甘い香りがふわりと広がる。
その香りに、ずっと張りつめていた心の糸が少しだけ緩んだ。

フォークで一口。
やわらかな生地が舌の上で溶け、ほんのりとした甘みが広がる。

「…お前らしい味だな。」

「えっ……?」

「まっすぐで飾り気がない。でも、温かい。」

セレステの頬がわずかに赤く染まる。
それを見てクレアの口元も、ほんの僅かにほころんだ。

「ありがとうセレステ。お前の気持ち、確かに受け取った。」

静かな部屋に、二人の小さな笑みが重なる。
それはどんな名声よりも求めていた、僅かな温もりの瞬間だった。

(/過去編に於ける書きやすい文章スタイルを模索中でして、読みにくかったら申し訳ありません!)

  • No.1058 by レド  2025-10-20 19:37:30 

>1056

いや、すまないシエル。俺もついていくべきだった。まさかあれほどの屑だったとは……とにかくギルドへ戻ろう。お前の看病があるし、拝謁も延期してもらわないと。それに……あいつの非道を訴えなきゃならないからな。

(自分の背中で怯えるシエルに首を向けながら、申し訳なさそうに詫びて。とにかく今はシエルのことが第一。険しい顔を正面に向け、シエルを背負いながらギルドへ戻りつつ、今後の方針を伝えて。こんなアクシデントがあった以上、とても今日中に王都へ赴くなんてできない。何より王国兵が領内で帝国兵に殺されかけたのである。立派な外交問題だ、しかるべき所に訴えなければ……そのように逸るレドの足はどんどん速くなっており。)

ちくしょう、こんなことなら巡回中の騎士を捕まえてくりゃよかった。帝国兵エルフリーデ……同じ「エルフ」でも、あのバカエルフの方がまだマシだったな。



>1057

(/いえいえ、これはこれで見やすいと思います!
エリーゼに対しては外道なセレステも、クレアにとっては救いだとは……この国の信仰問題は根深いですね。)

  • No.1059 by シエル  2025-10-20 20:58:59 

>1058

…延期……?だ、ダメっす…!今のアリシアちゃんには…レドくんが必要なんです…!ハァ…ハァ…私は大丈夫ですから…どうか、アリシアちゃんの元に…駆け付けてあげてください…!

(拝謁を延期すると聞いてシエルの顔は青ざめる。不穏な動きを見せる宮廷と第二騎士団長を前に、自分のせいで親友を無防備な状態で曝すことなど到底納得が出来なかった。自分の容態よりも、そして帝国兵の横暴を訴えるよりも、シエルにとっての最優先事項は常にアリシアである。痛みに耐えながらも必死に言葉を紡ぎ、自分をギルドに捨て置いてでもアリシアの元へ駆けつけるように懇願した。)

(/ありがとうございます!
教義を元にした価値観というのは変え難いですもんね…ただ、セレステはこれでも獣人に対して温厚な方なので、実はエリーゼが安易に触りさえしなければあそこまでブチギレなかったんです…
セレステは基本的に自分含めて4人分(団長・バカエルフ・首席)の仕事をしていて、会議後の尚のこと心身共に疲弊しているタイミングでデカイ虫(聖教徒視点の獣人の見え方)にダル絡みされた挙句に触られるというブチ切れ要件を満たしたからこその衝動なんです。なので、仕事の話であれば獣人相手でも普通に対応してくれます!)

  • No.1060 by レド  2025-10-21 06:51:30 

>1059

シエル!私情を挟んでいる場合じゃ……!……それでも俺に行けと言うのだな、シエル。分かったよ、お前のため、アリシアのため……涙を呑んで馳せ参じるとしよう。
誰か、急患だ!兵士が刺されたっ!

(シエルの主張はとても呑めない。泣き寝入りさせたくないし、そして最早シエル一人の問題では無いからだ……だがそれでも、彼女は病室を抜け出してでも俺をアリシアの下へ行かせるだろう。それに、アリシアがあの帝国の女と組んで取り返しのつかない事をする前に止めなければならない……振り向いてうなずくと、シエルの命がけの懇願を受け容れて。
気が付けばもうギルドの前にいた。扉を勢いよく開けると、また昨日のように受付に向かって叫んで。)

  • No.1061 by シエル  2025-10-21 12:36:28 

>1060

ありがとう…レドくん…!私のことはもう大丈夫…です。レドくんは取り急ぎ準備を…あんまり遅いと、アリシアちゃんが怒っちゃいますから…

(レドの決断を聞いて、冗談交じりに話せるくらいには元気を貰えたようだ。駆け付けた職員に抱きかかえられ、医務室へと運び込まれるのを制止してレドに向き合うと、別れを惜しみつつも強がりの笑みを浮かべてレドを急かして。予期せぬトラブルにだいぶ時間を取られてしまったが、レド単身であれば今から準備をして近衛隊の馬車に乗り込めば予定時刻には間に合うことであろう。シエルが言葉を言い終えると同時に職員は足早に医務室へと歩みを進める。シエルはレドに心配をかけまいと、その姿が見えなくなるまで小さく手を振っていた。)

  • No.1062 by レド  2025-10-22 12:37:36 

>1061

シエル!お大事にな、後のことは任せろ……!

(心配そうに手を上げてシエルに別れを告げて。シエルの言う通り急いで準備すべきだが、レドが焦る様子は無い……こんな事もあろうかと、実はもう用意を済ませてあるのだ。)

「う、うわぁ……これが掲示板……」
「どうだい、実績稼ぎには丁度いいだろう?アボット」「「月追いの城」近辺の道路整備……ちょっと寒くない?タルボット」
「フン、「首狩り」なんて過去の遺物さ。今日から俺が賞金首狩りで名を上げてやるぞ!」
「トロルの群れの討伐!?Cランクの俺らに務まるとも思えないぜ」「大丈夫!私にいい考えがあるの」

……Bランクのレドだ。預かってた荷物を引き取りに来た。ああ、「アレ」も忘れずに……「アレ」?それはだな……

(朝からガヤガヤと依頼掲示板に殺到する冒険者達を脇目に見て。俺達も不死鳥の翼の皆も、昔はああして掲示板の前で騒がしくしていた。だが今はもう……と、一瞬切なそうな表情を浮かべると、音も無く静かに歩き出し、出立に備えて預けていた荷物一式を渡すよう受付に伝えて。)

「おっおい、あんたそこは……」
いいんだよ、減るもんじゃなし。
「しっ、知らねえぞ」

(受付に用件を伝えると、そばにあった「勇者」専用席に平然と腰掛けて。事情を知る他の冒険者に注意されても気にせず、むしろ睨み付けて追い返すくらいだ。
三年前に冒険者ギルドの門を叩いた持たざる農民が、今や聖教国の英雄「勇者」に認められ、そして近衛隊剣術指南として王国の闇に迫る者となった。もう自分はBランクという型にはめて語れる存在では無い……自らの数奇な運命に想いを馳せつつ、目を閉じて。)

…………行く前にクレアさんに挨拶した方がいいかなあ。

(それでも出発前に、自分の冒険者の原点たるクレアさんには挨拶しておくべきだろうか。シエルを守れなかった負い目はあるが……と考えを巡らしながら、天井を見上げて。)

  • No.1063 by クレア  2025-10-22 17:35:57 

>1062

…お疲れ様でした、レドさん。無事…という訳ではありませんが、シエルさんが助かったようで何よりです。

(急患としてシエルが運び込まれたことで病床の余裕がなくなり、既にそれなりに回復しているクレアは医務室からの退室を余儀なくされた。ふらいついた足取りで医務室を出て、ギルドの出口へと歩みを進めていると一際目立つ席に腰掛けるレドが目に付く。進路を変えてそちらに歩み寄り、友人の負傷に気を落としているであろう彼を少しでも元気付けようと、控えめな笑顔を作って労いの言葉をかける。今のクレアは酒が抜けたことで健康状態は確かに回復しているが、その反面精神的に不安定な状態にある。笑顔を作っているものの、手は小刻みに震えてどこかソワソワとした様子であった。そのせいなのだろう、普通ならレドを想ってレイラの特等席に腰掛けていることをそれとなく指摘すべきなのだが、そこまで注意が回っていない。)

  • No.1064 by レド  2025-10-23 06:12:45 

>1063

く、クレアさん!?貴女が懸念された通りでした。俺も同行していれば……申し訳ありません。
ひとまずおかけください。まだご気分が優れないようですし……ああご安心を。貴女がここに腰掛けること、誰にも文句は言わせませんから。

(行く前にクレアに挨拶すべきかと思案していると、彼女の方から声をかけてきた。思わずハッとして椅子から立ち上がると、シエルを守れなかった事を頭を下げて詫びて。
医務室を出られたというより追い出されたのだろう……どう見ても調子が戻っていないクレアに空いた椅子を手の平で指し示し、着席を促して。これはレイラの特等席だがそれを気に留める様子は無い。それどころか、この席の事情を承知の上でクレアを座らせる気でいるようだ……)

  • No.1065 by クレア  2025-10-23 10:47:43 

>1064

いえ、レドさんが謝ることでは……悪いのは帝国の方ですし…
ええと…その…お気遣いは有り難いのですが、私は少し用事が…

(シエルと今日知り合ったばかりの自分よりもレドの方が当然辛いはず…それにも関わらず頭を下げて誠意を示すレドを宥めると、謝るべきは帝国の方だと諭した。そして、続け様に腰掛けるように勧められると、クレアは申し訳なさそうにモジモジと指を合わせて遠慮する。それには幾つか訳があり、レイラとの決別に負い目を感じているのは勿論、喫緊の理由としては手の震えからも分かる通りアルコールの禁断症状が出ているためだ。このまま無理に酒を我慢しては精神が持たない。傷心のレドを後目に酒を求める自分の弱さを内心で蔑みつつ、用事があると言って断りを入れた。)

  • No.1066 by レド  2025-10-24 06:29:23 


>1065

待ってください、まだ例の帝国兵がうろついてるし危ないですよ。そ、それに、俺も出発までクレアさんとお話していたいですし……あー、そうだ。もう少し休憩していきませんか?その、個室で……

(理由を付けて帰ろうとするクレアの正面に回り込んで、こちらもあれこれ理由を付けて引き留めて。中腰姿勢からの上目遣いであたふたと説得する有り様からは、帝国兵と対峙していた時の冷徹なオーラは見られない。どこにでもいる青年と化している。
クレアの手の震えを見て「こっ、ここまで症状が進んでるのか……」と内心で冷や汗をかきつつも、適当な個室を借りて休憩することを提案して。これ以上彼女に酒を飲ませていいのか、そもそもギルドの個室で朝っぱらから飲酒なんてできるのか……と不安になりながらも、酒が飲みたくてたまらなそうなクレアに「……クレアさんレベルだったら打ち合わせだとか称して個室で酒飲むくらい、ギルドも許してくれるでしょう……たまには人目を気にせずお飲みください。」と耳打ちして。)

  • No.1067 by クレア  2025-10-24 11:31:40 

>1066

わ、分かりました…レドさんがそう言うなら…

(相変わらず年下のおねだりに弱いクレアは上目遣いされたことで心臓がバクバクと音を鳴らす。真意を知られているのなら断る理由もないと判断すると、高鳴る心臓を抑えながらも何とか言葉を紡ぎ、小さく頷いて了承した。)

その…本当にすみません。私だけこんな時間にお酒なんて…

(場所は移りギルドの応接室。やはりS級冒険者だけあり職員に事情を説明すればあっさりと使用許可が降りた。テーブルを挟んでレドと対面する形でソファに腰掛けるクレアの前にはビールの入ったジョッキが置いてある。友を傷付けられて傷心中の人間の前で平然と酒を飲めるほど冷徹でも鈍感でもないクレアは、手を付ける前にしっかり断りの謝罪をしてからジョッキを口に運ぶ。半分程飲んでようやくジョッキをテーブルに戻すと、未だ申し訳なさそうに眉尻を下げているものの頬は酔いで赤みを帯びており、手の震えはすっかり止まっていた。命を削って正気を保つとは正しくこの事なのであろう。)

  • No.1068 by レド  2025-10-25 09:16:19 

>1067

いやいや!大丈夫ですよ……俺、どういうわけか王城に呼ばれちゃって、クレアさんとお話して緊張をほぐしたかったですし。なにせBランクの農民が王城入りなんて有り得ないことですから。あはは……

(手をバタバタさせながら、謝るクレアを制して。朝から飲酒する彼女を責めるどころか、前向きになれと促す様子さえ無い。昔は酒に溺れるクレアに失望と困惑を抱いたものだ。だが自分も仲間と死に別れ、そして彼女の現実を間近で見た今となってはもう咎める気など起きない。いや、下手な慰めさえも意味を為さないだろう……
密室で憧れの人と二人きり、そしてこれからの任務の重さ。緊張で頬は赤く染まるし、つい頭をかいてしまう。それでもクレアに罪悪感を抱かせまいと、引き止めた理由を説明して。今のクレアにあんまり下手な事……特にアリシアやレイラとのつながりを明かしてしまうと余計に気を重くしてしまいそうだが、シエルとのやり取りやギルド前で待機している馬車の存在からして、自分が今から王城へ行くことは彼女も把握しているだろう。ひとまずそこから話すことにする。)

  • No.1069 by クレア  2025-10-25 10:30:28 

>1068

王城…ですか。それは大変名誉なことですねっ!しかしお気を付けください。あそこは様々な謀略が渦巻く魔境…下手に政治に干渉しては碌な目に遭いませんから。

(王城と聞いてクレアは顔を引き攣らせて暫しの間固まった。幾つかの思い出と、それを覆い隠す程の苦難の日々。様々な情景がフラッシュバックしてフリーズしたのだろう。ハッとした表情で意識を現実に戻すと、無理をして笑顔を作り、努めて明るい声色で王城に招かれた名誉を称えた。なぜBランク冒険者が招かれるに至ったのか、近衛隊とはどういう繋がりなのか、腑に落ちない点は幾つかあるが、王城に関連する話には秘匿義務があっても可笑しくはない。あえて詮索せずに、経験に則った王城でのアドバイスのみを伝えることにした。)

  • No.1070 by レド  2025-10-26 13:51:36 

>1069

……!心得ております。あの栄華な王宮こそ、地獄の門。俺の剣の師は事ある毎にそう呟いていましたから。
オヤジ……いや師匠はこの国を快く思っていませんでした。その様子では貴女も……そんな国に剣士として尽くすのが果たして正しいのか……俺には分かりません。

(引き攣る顔、痛々しい作り笑い、重い言葉……そんなクレアの様子に自分も真顔になって、冷や汗をかいて。彼女の様子から騎士時代は名誉どころかむしろトラウマであったことを察すると、師匠の言葉を交えて同調しつつ自らの長い刀を膝の上に乗せて。
宮廷に従いアリシアを止め、救うことは、クレアを虐げた宮廷を増長させることになる。本当に密命を受けて良かったのか?いっそアリシアに従って腐り切ったこの国を転覆させる方が、クレアやアリシアの救済になるのではないか……迷いを語りながら両手に取った自らの刀を見つめるその視線は下に落ちており、表情も憂鬱で。)

  • No.1071 by クレア  2025-10-26 14:56:16 

>1070

なるほど、お師匠様が宮仕えを…それならば無用な心配でしたね。
正しさというのは曖昧なもので、立場によって如何様にも変わります。焦って決めずとも、実際に色んなものを見てから決めても良いかもしれません。とは言いっても、間違いだらけの人生から今も逃げ続けている私が偉そうに言えたことではありませんが…

(師匠が宮仕えだったことを知ると、今さら要らぬ心配だったことを悟り苦笑いを浮かべる。それでも、自らの正義を見い出せずに憂鬱な表情を浮かべるレドを放ってはおけず、余計なお節介かもしれないとは思いつつ、「正しさ」への持論を述べた。早計な判断の連続で後悔まみれの自分の経験から、物事を見極めることの重要さを解くクレアの顔は至って真剣である。しかし、言い終える頃には、何もかも間違えて大切なものを全て失った自分の現状を自虐気味に笑ってみせた。)

  • No.1072 by エルフリーデ  2025-10-26 21:08:11 

過去編「美しい世界」

凍てついた風が吹き荒れるグラキエス帝国北辺。
その雪原の外れに、ひとつの貧しい農村があった。
そこに生まれた少女――エルフリーデ・グリムハルトは幼くして飢えと寒さを知り、弱者が踏みつけられるこの国の「掟」を身をもって学んでいた。

ある晩、村が闇に包まれたとき、使いに出ていた彼女は運悪く人攫いの一団に捕まった。

「嫌だ、離してっ!お願い誰か、助けてっ…!」

助けはない。叫んでも誰も振り向かない。
こんな光景は、この国では日常の一幕に過ぎないからだ。

「グヘヘ、上玉じゃねぇか。売れば銀貨十枚はくだらねぇ。」

必死の抵抗も虚しく、数発殴られて大人しくなった彼女は、鎖で繋がれ馬車に押し込まれた。虚ろな瞳には月光が冷たく映る。
同乗した人攫いの下衆な言葉も既に届かない。混濁した意識の中で、ただ積荷と共に揺られていた。

希望なんてない。
力こそが全てのこの国の不条理を呪い、そして受け入れたとき、皮肉にもその「力」こそが彼女の運命を変えた。

道中、馬車が立ち寄った廃墟の教会。
かつて聖教の神を祀っていたその場所は、帝国軍によって焼かれ、黒く炭化した木材と崩れた石壁が残るだけだった。
しかし、そこにはまだ“何か”が潜んでいた。

人攫いたちが焚き火を囲む中、馬車を引き摺り降ろされ、男達の欲望に染まった視線を一身に受けた正にそのとき、エルフリーデは囁きを聞いた。

――「力が欲しいか?」

それは耳ではなく、魂に直接響く声だった。
次の瞬間、焼け焦げた祭壇の奥から黒い霧が溢れ出す。
それは「腐敗の悪魔」――聖教会が祀っていた未知の存在だった。

叫び声とともに人攫いたちは一人、また一人と崩れ落ち、腐り果てた。
血と肉が溶ける匂いが辺りに漂う。
焚き火が消え、静寂と暗闇が支配する中で、少女の瞳だけが青く輝く。

「……あぁ、これが、力。…ふふっ、あははっ!」

返事を待たずして、未知の存在が自分の魂と溶け合ったことを実感する。心臓が高鳴り、言い知れない不快感に自らの身を抱くが、それが治まった時、青黒く禍々しい魔力が全身を覆った。
この力があれば、もう理不尽に怯えることなんてない。これからは私が奪う側に立つんだ。
自信に満ちた彼女の瞳が捉えた世界は、生まれて初めて美しく見えた。

  • No.1073 by レド  2025-10-28 01:31:40 

>1071

ありがとうございます……そのお言葉、痛み入ります……!
自分が苦しくても、こうして人のために寄り添える……クレアさんは強い人です。それにひきかえ俺は……クレアさんに憧れて冒険者になって三年、貴女のために何もできなかった。「少しくらい話したら」って仲間の声も聞かずに、今の貴女から目を背け続けた……逃げ続けてるのは俺の方なんです。すみません……

(クレアの諭しにはっと顔を上げると、姿勢を正し、深々と頭を下げて。経歴に見合わぬ自信の無さ。よほど苦しい人生を送ってきたのだろう……それでもこうして自分に手を差し伸べてくれる彼女の優しさが胸に沁みる。
一方の自分はそんな苦労も知らず、酒で苦しみを紛らわせるクレアを敬遠するばかりだった。自分の方こそクレアの側に立つ資格は無い。でもこればかりは白状しなければならない……と、涙を流しながら今一度頭を下げて詫びて。)


>1072

(/レドより先に破滅による救済を願っていたとは……エルフリーデ、案外レドと似た者同士かもしれませんね……)

  • No.1074 by クレア  2025-10-28 11:13:55 

>1073

あ、謝らないでください…!決してレドさんが負い目を感じることでは……それに、謝るべきは私の方なんです。お聞きした素性から薄々勘づいていましたが、ずっと…黙っていたことがあります。到底、許されることではないのは重々承知の上で、それでも謝らせてください…

(頭を下げられたクレアは慌てた様子でレドを宥めた。自分の心を蝕む数々の要因とレドは当然ながら何の関係もない。それでも彼が負い目を感じているのは偏に優しさ故であろう。その優しさが一層クレアの罪悪感を膨れ上がらせる。自分の犯した罪を知らずに、あまつさえ憧れを持っている。その姿を見ていられず、覚悟を決めたクレアは姿勢を正してレドを真っ直ぐに見つめた。許されるなんて思ってもいない。今すぐにでも逃げ出したい。そんな臆病な気持ちを無理矢理抑えつけて、震える声でクレアは前置きを述べる。)

…かつて行われた農村への大弾圧、その全ての指揮を執ったのは私です。本当に…申し訳ありませんでした…

(深々と頭を下げて己が罪を告白した。何をされても構わない。奪った命は決して戻らないのだから、それくらいは当然のことだ。そんな覚悟を持っての行動だが、やはり本能には抗えず、レドの次なる言葉と行動を待つクレアの身体はビクビクと震えていた。まだ何を言われた訳でもないのに涙が止まらない。レドの気が済むのなら、罵声を浴びせられた方が、殴られた方が、何もされず贖罪の機会を奪われるよりきっと良い筈なのに、人間の身体というのは難儀なものである。本能的に恐怖する一方で、クレアは自分のその臆病な振る舞いが間違ってもレドの優しさに付け入ることのないように祈っていた。)

  • No.1075 by トピ主  2025-10-28 11:16:19 

>1073

(/同様に辛い境遇を持ちながらも、曲がりなりにも真っ当に生きているレドを見て、エルフリーデが人の心を取り戻すことを信じています!)

  • No.1076 by レド  2025-10-29 21:43:13 

>1074

なっ……!?嘘だ、そんな……!

(まさかのクレアの懺悔に、思わず立ち上がって。静まり返った応接室に、膝に乗せた刀がガチャンと床に落ちる無機質な音が響く。
自分は別に被害を受けてない。それでも「首謀者に会ったら斬り捨ててやりたいぜ……」と憤慨した非道な弾圧。目の前の憧れの人がその首謀者だったのか。無辜の人の血に塗れた手で、俺にリンゴを分け与えていたのか……今までの人生すべてを否定されたような気がして、何もかも切り刻みたくなる。)

………………。

(一方で落とした刀を拾う素振りは無い。ガタガタと震えたまま、青ざめた顔でクレアを見つめるばかりだ。レドは葛藤している……なぜ斬れる。自分一人の罪では無く国家の罪と言えるのに、明かさなければ目の前の青年はクレアを慕う無垢な存在でいられたのに……それでも逃げずに自ら十字架を背負わんとする人をなぜ斬れる?罪の報いにしては重すぎる生き地獄を味わってきた人をなぜ斬れる?手が血に塗れてもなお、人に尽くし、人のために戦い、優しくリンゴを分け与えてくれる人をなぜ斬れる!?斬れるわけねぇだろ!!!)

………………………………。

(レドの次なる言葉と行動を待つクレアであったが、肝心のレドは立ち尽くしたまま一向に動かず、口さえ開かずにおり。否、動けないし何も言えないのだ。冷や汗と震えが止まらぬ身体が崩れ落ちないよう全身に力を入れ、吐き気を抑えるために口を噤むので精一杯だから。
レドは激情に駆られてクレアを斬るほど馬鹿では無いが、罪を背負うクレアに救済を与えられるほど人間が出来ているわけでも無い。だから何もできない……それでも今度こそ、今度こそ、憧れの人の真実から逃げずに向き合うんだ……何もできないレドであったが、瞳孔の開き切った瞳を泣き崩れるクレアから逸らすことだけは決してしなかった。)

  • No.1077 by クレア  2025-10-30 08:19:39 

>1076

…レド…さん?…ひっ…

(いつまで経っても殴られるどころか罵声の一つもない。恐る恐る顔を上げると、瞳孔を開き切ったレドと目が合い、反射的に小さく悲鳴を上げてびくりと身体を震わせる。きっとこれがレドなりの向き合い方なのだろう。そうとは分かりつつも、心の奥底では報復的手段を以ての救済を求めていたクレアにとって、それはあまりに残酷な現実であった。レドが救いを与えてくれないのなら、いっそ自分の手で…と無意識に腰に携えた剣に手を伸ばす。リンゴの皮剥きと同様、首を落とすにしても、腹を貫くにしても、クレアの技量であれば柄に触れた瞬間に事は済む。本能的な生への執着からか、柄へと伸ばしつつある手には僅かな躊躇があった。)

  • No.1078 by レド  2025-10-31 01:14:04 

>1077

……!まっ、待ってください。

(ついにクレアが剣に手を伸ばし始めると、愕然と口を開いて。自分に恥をかかせた相手すら血を流さずに赦す人が、自らの罪を命で贖おうとしている。な、何か言わなきゃ……と、震えながら手の平を突き出し、何とか言葉を絞り出しながら制止して。)

俺は……ちっぽけな男です。貴女を裁くことも、慰めることもできない。だからせめて、貴女のご決断を見守らせてほしい……ただご決断の前に……これだけは言わせてください。

(突き出した手を胸に置き直すと深呼吸して気持ちを落ち着かせ、口を開いて。この短時間で急激に疲れ果てたのか声は弱々しいが、それでも瞳孔が元に戻った灰色の瞳をしっかりとクレアに向け、「ただ見守る」という決意を語って。
この人の闇は深すぎる。俺などが裁いたり慰めたりする資格は無い。だからせめて見守りたい……自分が挫折に沈んだ時そばで見守ってくれた、バカエルフとは比べ物にならないほど優しいエルフの人のように。)

逃げて……逃げてくださいクレアさん。俺には貴女が重荷を背負いすぎて……どうにも立ち行かなくなっているように見えます。
俺は貴女と向き合うことから逃げない。でも貴女はもう逃げていい……もう逃げてもいい頃だと、俺は思うんです……

(クレアの側に寄って跪くと、クレアを見上げて涙を流しながら「もう逃げていい」と懇願して。優しいエルフの人はそっと依頼書を差し出すことで俺を奮起させた。が、この人の場合は逆だ。この人はもう戦い過ぎた。これ以上自分一人で何もかも背負わないでほしい……捉え方によっては自決を促すような残酷な発言に聞こえるかもしれない。それでもいい、このどうにも立ち行かなくなって絶望した魂が救われるなら……静まり返った応接室に、クレアを想って流す涙が床に落ちる音までもが響き始める。)

  • No.1079 by クレア  2025-10-31 10:49:05 

>1078

レドさん……ありがとうございます。であれば…もう少しだけ逃げてみます…

(レドの言葉を聞いてクレアは剣に伸ばしかけた手を膝の上に置いた。「逃げていい」、その言葉は偶然にもかつての主人が最後に下した命令と同じものであった。このまま命を絶つこともある種の逃避ではあるが、きっと、あのお姫様はそんな事を望んでいない。それに、元より長くはない命。今それを捨てたところで何になるのか。自分の軽率な行動を恥じると共に、大切な事を思い出させてくれたレドに礼を言った。何かが解決した訳ではない。けれど、今はそれでいいのかもしれない。先程まで泣き崩れていたクレアの表情は、ほんの少しだけ憑き物が取れたように晴れていた。)

  • No.1080 by レド  2025-11-01 14:21:02 

>1079

(思い止まってくれたようだ。緊張の糸が解け、大きく息を吐くと、両腕がだらんと垂れ下がって。このつかの間ですっかり力が尽きてしまった。アリシアとの会食や第一王子に連なる政治屋との交渉……なんならバカエルフ、副団長との戦い以上に消耗したかもしれない。)

……貴女の血塗られた手は、俺とシエルを赦し、リンゴを分け与えてくれた手でもある。そのように……俺は信じています。

(涙を拭い、床に膝をついたまま、安らぎの見え始めたクレアの片手に自らの両手を添えて。俺は忠義や信念から逃げた情けない男。クレアさんの家を奪った一族のアリシアと、クレアさんとその主君の仇である第一王子……騎士としてのクレアさんを追い詰めた者どもに与する男だ。本来ならこんな汚い手でクレアさんに触る資格など無い。恨まれるべきは俺の方……それでも今だけは、一人の人間としてクレアさんの側にいたい……俯きながら膝をつき手を添える姿は、まるでレドの方がクレアに赦しを乞うているように見える。)

  • No.1081 by クレア  2025-11-01 21:03:18 

>1080

こんな手で良ければ、またいつでもリンゴを切ってあげますね。

(すっかり消耗した様子のレドを見て、無理をさせてしまったことを反省して眉尻を下げると、握られていない方の手で優しくレドの頭を撫でた。己が罪を告白しても、こうして慕ってくれることにクレアの心がどれ程救われていることであろう。レドのサラサラの髪の感触を確かめるように、しばらく気の向くままに撫で回していると、応接室の壁に掛けられた振り子時計が十一時を伝えた。もうじきギルドを発つべき頃合のようだ。)

  • No.1082 by リズリット  2025-11-02 20:08:09 

こらこら、お菓子は逃げませんからちゃんと並んでくださいね~

(王都に聳える聖教会の大聖堂、その隣に併設された孤児院に第三王女の侍女リズリットは、クッキーやチョコなど個包装された菓子が満載された台車を引いて訪れていた。彼女の姿を見つけるなり、孤児院の中から駆け出してきた子供達はきゃっきゃと興奮した様子で台車を取り囲む。子供達の元気な様子にリズリットは柔らかな笑みを浮かべ、手馴れた様子で一列に並ばせた。なぜ宮仕えの彼女が孤児院で菓子を配っているのか、答えは同じ第三王女陣営に属する近衛隊副長のアリシアにある。大の子供好きであり、聖教国との繋がりを持つアリシアは時たまこのような形で孤児院の面倒を見ており、多忙な自分に代わって身近な侍女、とくに人間種であり性格の良いリズリットを派遣しているのであった。)

(/アンナ背後様、絡み文を投下させていただきました!)

  • No.1083 by アンナ・ランストリウム  2025-11-02 21:09:29 

>1082

午前の外回りはこれで終了、大分信徒も増えてきてこの国で活動するのも楽になってきたものね。"獣臭い"のが難点だけど


(先程までフィリア王国内の信徒の集まりに参加していた様で一息つきながら、大聖堂までの道を歩いており。大通り1つ見ても聖教国の国章や、関連する建物が増えてきている事を感じ取れてか、自分や同じく活動する同志達、そして本国の威光が徐々にこの国を侵食していくその様子に、満更でもない顔を浮かべる。人間種以外の種族も住まうこの土地は、古くから聖教国で育った自分にとっては人間種以外の存在は度し難い苦痛もあったがこうして王国に住む人間が自分の信ずる国の信徒になっていく事は救済であると信じて今まで活動してきたので些細な障害にしかならない。決して態度に出さずに仮面の笑顔を浮かべて道行く信徒や民に会釈しながら大聖堂の近くまで来ると何やら大聖堂の横が騒がしい事に気付いて)


…?何か催し物でもあったかしら…はっ!?あの御方は!!

(疑問符を浮かべながら考える仕草をして、何か行事でもあったかと考え込むのも束の間、姿が見えたのか慌てた様子で小走りに大聖堂の横…孤児院へ向かい)

ふぅっ…いつもありがとうございます、リズリット様。アリシア様からのお恵みにございますか…?

(自分も何度かギルドでも見た事のある、この王国に住むものならば知らない者は少なくない、そしてこの王国の大聖堂で働く者ならば馴染も深い人物である彼女を見て、急いで駆け付ければ声をかけ、恭しく頭を垂れる。こうして何度も孤児院へ来訪してはさまざま事情でこの孤児院に身を寄せる孤児たちの面倒を見てくれている存在である為、聖堂や教会の聖職者の間でもとりわけ人気の人物を前に、山積みのお菓子の台車を見ながら来訪の目的を聞き)



(/ありがとうございます!!早速絡ませていただきます…!気難しい子ではありますがどうぞよろしくお願いいたします!)

  • No.1084 by レド  2025-11-02 23:44:57 

>1081

クレアさん……へへっ。

(クレアに愛おしく頭を撫でられると思わず彼女を見上げ、子供のようにはにかんで。もう彼女には届かないと思っていた自分の手が、彼女の安らぎになれたことが何より嬉しい。この手の温もりこそ、血塗られた過去の哀しみを乗り越えた先にある優しさか。やっぱり俺は間違っていなかった。彼女に憧れた俺の目に狂いは無かった……と、しみじみしながら頭を撫でられて。
だがふと視線を逸らした途端、その瞳は怜悧な戦士の目つきへと変わる。視線の先にあるのは十一時を指す振り子時計。クレアのような優しき者が排除される魔境。人を手にかけても何の罪悪感も抱かぬ悪漢どもの伏魔殿……王都への旅立ちの時だ。)

おっと、そろそろ出発しないと。このまま一緒にいたかったのに……
あの……もしよろしければ、最後に教えていただけませんか。リーダー……貴女にずっと寄り添い続けたカルロス様のことを。いや、なんというかその、貴女が愛するに足ると信じた男なら、同じ男として目標にすべきだと……そう思いましてね。

(一歩下がってクレアの手から離れつつ、膝をついたまま彼女を見上げ、神妙な表情で尋ねて。「不死鳥の翼」リーダー、カルロス。今もクレアの胸の中にある長年の恋人……否、半身の事をだ。
今回の任務は危険極まりなく、生きて帰れる保証は無い。これがクレアさんとの最初で最後の出会いになる可能性は捨てきれない以上、今聞いておきたいのだ。彼女には酷かもしれないが、同じ女性を愛した男として俺も心に留めておきたいから……と、恐る恐る言葉を選びながらも、その眼差しは真剣で。)

  • No.1085 by リズリット  2025-11-03 00:11:50 

>1083

こんにちは、アンナさん。ええ、そうなのです。ふふっ、アリシア様ったら本当に子供が大好きなのですから。

(顔馴染みの司祭アンナに声をかけられると、リズリットも軽く会釈を返した。子供達のみならず、わざわざ駆け寄ってきてくれた司祭様も元気なことだなと感心しつつ、アンナの推察通り今日もアリシアの使いで来たことを告げる。あの冷徹で、人を人とも思わない副長の人間らしい一面を改めて認識すると、安心感からか思わず笑みが零れた。)

私としても、ずっとお城勤めだと息が詰まってしまいますので、こうして息抜きが出来る機会は有り難い限りです。最近では帝国の武官が視察に訪れているので気が気ではありませんよ…はぁ…

(続けて、こうして使いに出されることへの自身の心境を語る。王位継承を巡る謀略が渦巻く王城では些細な事でトラブルに巻き込まれる為、誰が誰を支持しているだとか、小難しい政治の話を常に意識して振る舞わなければならない。それに加えて今は帝国の人間までも招かれており、情勢は混沌を極めているのである。そんな魔境から離れることを許される時間はリズリットにとって束の間の休息のようなものであり、開放感から大きな溜息を吐いた。)

  • No.1086 by クレア  2025-11-03 01:04:44 

>1084

カルロス…ですか?ええと、彼は…顔は良いですけど、ちょっとおバカで、変態で、剣もダメダメで……う~ん…言葉に表すと難しいですね。ただ一つ、はっきりと言えることがあります。彼は誰よりも優しかったです。

(不意にカルロスについて尋ねられると、クレアは暫し苦い表情で固まった。当然、カルロスのことを片時も忘れたことはないが、だからこそ自ら心の傷を抉るような真似をしたくはないのが正直なところである。しかし、レドの真剣な眼差しを見て、きっと彼にとって必要なことなのだろうと意を決すると、ついに重たい口を開いた。何年も連れ添った、隣に居るのが当たり前だった半身とも言える恋人を言語化するというのは思いのほか難しく、クレアはたどたどしい様子で思い立った特徴を一つ一つ挙げていくが、咄嗟に出てくるものと言えば悪いものばかりである。事実であるのだから仕方ないが、これは不味いとクレアは唸りながら小首を傾げ、今一度カルロスについて考える。自分はカルロスの何処に惚れたのか…長考の末に一つの結論に辿り着いた。「優しさ」、それこそがカルロスの本質である。辛い時に常に寄り添い、求めている言葉を掛けてくれる。クレアにとって、勉学や腕っ節などどうでも良いと思える唯一無二の魅力であった。)

  • No.1087 by クレア  2025-11-03 01:14:35 

>1084

カルロス…ですか?ええと、彼は…顔は良いですけど、ちょっとおバカで、変態で、剣もダメダメで……う~ん…言葉に表すと難しいですね。ただ一つ、はっきりと言えることがあります。彼は誰よりも優しかったです。

(不意にカルロスについて尋ねられると、クレアは暫し苦い顔で固まった。当然、カルロスのことを片時も忘れたことはないが、だからこそ自ら心の傷を抉るような真似をしたくはないのが正直なところである。しかし、レドの真剣な眼差しを見て、きっと彼にとって必要なことなのだろうと意を決すると、ついに重たい口を開いた。何年も連れ添った、隣に居るのが当たり前だった半身とも言える恋人を言語化するというのは思いのほか難しく、クレアはたどたどしい様子で思い立った特徴を一つ一つ挙げていくが、咄嗟に出てくるものと言えば悪いものばかりである。事実であるのだから仕方ないが、これは不味いとクレアは唸りながら小首を傾げ、今一度カルロスについて考える。自分はカルロスの何処に惚れたのか…長考の末にハッとした表情を浮かべて一つの結論に辿り着いた。「優しさ」、それこそがカルロスの本質である。辛い時に常に寄り添い、求めている言葉を掛けてくれる。クレアにとって、勉学や腕っ節などどうでも良いと思える唯一無二の魅力であった。カルロスの優しさを語るクレアの表情は最初の苦い顔から一転して、温かな笑みを浮かべていた。)

(/少し訂正致しました!)

  • No.1088 by アンナ・ランストリウム  2025-11-03 02:04:35 

>1085


教会としてもアリシア様のご厚意には感謝のしようもございません。子供達もリズリット様がいらっしゃるのを楽しみにしておられましたよ?ふふっ…子供は私も好きです。元気いっぱいで純粋で穢れを知らない。此処にいる子供達はそれぞれ事情がありますが…私も元気を貰っています

(既に多数の聖教国の司祭や諜報員…果ては工作員が多数入り込み、策謀が巡り人間種至上主義が着々と根付きつつあるこのフィリア王国で例え偽善であっても、孤児に対して救いの手を差し伸べる存在には打算抜きで感謝を述べる。お菓子を貰ってはしゃぐ子供達を見て、笑みを浮かべながら自分も子供が好きだと零す。だが彼女の言う「好き」の中には純粋あるが故に政治思想を植え付けやすく、知恵をつけて賢しくなった大人よりも信徒化させやすいからという邪悪な感性も入っている。)


確かに…お付きともなるとご苦労も絶えないでしょう。こうして少しでも息抜きが出来るならば今後もいらして下さい、子供達も待っていますから。何ならば私で良ければお話をお聞きしますよ?



(聖教国の教会内でも派閥闘争なんてものは多々あった。彼女にとっては教皇を信ずる者同士何を争う必要があるのか無意味な争いにしか見えなかったが王国の、ましてや彼女は第三王女の侍女と記憶している。王族内では日常茶飯事なのだろう。相手の声色からもその気苦労が聞いて取れたため労う様に言葉をかけて。ゆっくりと大聖堂を指差し、司祭として祈りのポーズを見せれば告解もやりますよ、と笑みを零す)

…帝国の武官までも…ですか。色々としがらみも多い中で遠方の国とも牽制合戦…心中、お察し致します。教会としても帝国とは因縁浅からぬ間柄故、何も起きなければ良いのですが

(だがその後に聞こえてきた帝国の武官、というワードを聞けばその顔からすぐに笑みが消える。彼女にとっては仇敵にも等しい国でもある為憎悪の感情が滲み出そうになるが気取られないように言葉を選んで、既に国交断絶状態にある祖国と帝国に対して王国がどうなってゆくのかを憂いて)

  • No.1089 by リズリット  2025-11-03 09:35:00 

>1088

あぁ…聖教は帝国との間に色々あったのですよね…では、暗い話題はこのくらいにして、お言葉に甘えて世間話でも致しましょうか。罪の告白は少々気恥しいので…またの機会に。

(笑みの消えたアンナの表情から帝国の名前を出したことは迂闊だったと反省し、告解まではいかずとも世間話でもしようと提案して。自らの罪、主君を裏切る行為の数々はとても人に明かせるものではない。いつか罪悪感に苛まれ自死すらも選択肢に入れることがあるのなら、その時に利用しても良いかもしれないと、気恥しさを装う照れ笑いの裏で重たい考え事をしていた。話しているうちにも並行して菓子を配り終え、孤児院の中へ戻っていく子供達の笑顔に、リズリットの荒んだ心も幾分か癒されたようだ。)

  • No.1090 by レド  2025-11-03 21:38:06 

>1087

ふっ、あははっ!俺の師匠(オヤジ)も似たような男でしたよ。つまりなんとも人間臭くて……誰より人間らしい方だったわけですね。

(ハハ、カルロス様は聖人どころか案外抜けてる男だったとはと、思わず大笑いして。だがそこに師匠(オヤジ)……剣の教えは立派だったけど、その実ガサツで寂しがり屋で未練がましいダメ男……たとえ不完全でも、人に愛を与える優しい男の事を見出だした。カルロスも師と同じように、なんとも人間らしい方と締めくくると、同じく温かな笑みを返して。その笑みには感心とあきらめが含まれる。「あぁ……こりゃ勝てんわ」と。)

クレアさん、貴重なお話をありがとうございました。俺はちっぽけなカラスに過ぎないが、剣士として行ける所まで羽ばたこうと思います……貴女方おふたりの、優しさを胸に。

(そろそろ退室する頃合いだろう。立ち上がって落とした刀を拾い、差し直して。カルロス様……クレアさんを長年支え続けたその優しさは尋常では無い。そして罪に苦しみながらも人を救わんとするクレアさんもまた……二人に届くのはいつの日か。改めてクレアの側に立つとカラスのように黒ずくめの身体をピンと伸ばし、穏やかに微笑みながらの敬礼を別れの挨拶として。)

  • No.1091 by クレア/エルフリーデ  2025-11-03 22:48:09 

>1090

ふふっ、そうかもしれませんね。
…はぁ…それではレドさん、お城勤め頑張ってください。レドさんならきっと、どんな壁も乗り越えられると信じています。

(「人間らしい」。この表現にクレアは心底納得がいき、レドの大笑いに釣られたことも相まって思わず吹き出した。よく食べ、よく寝て、夜にはどこに隠していたのであろう体力を発揮する。まさに人間らしさを体現したカルロスの振る舞いを鮮明に思い出し、笑わずにはいられなかったのである。しばらく思い出し笑いで肩を震わせていたが深呼吸をして平静を取り戻すと、レドを真っ直ぐに見つめて激励の言葉を掛けた。)

…スー…スー…

(ギルド前に停められた近衛隊の馬車の中、エルフリーデは片側の座席を占有して横になり、心地良さそうに眠っていた。夜通し遊び呆けた挙句に朝から酒瓶を空けていたため眠気に抗えなかったのであろう。悪魔のような性格とは裏腹に、窓から差した光に照らされて輝く銀髪も相まり天使のような寝顔である。別れ際にレドに告げた「また後で」という台詞はこの馬車での再会を指していたのである。シエルが任務を優先するあまり刺されたことを事件化しないことを見越していたようだ。帝国の武官を連れ帰れというアリシアの命令もあり、馬車の御者も特段気にする素振りはない。)

  • No.1092 by アンナ・ランストリウム  2025-11-03 23:18:10 

>1089


はい…お察しの通りかの国と聖教国は既に敵対関係といっていいもので。リズリット様もお気を付けください。帝国の者達は危険な思想を抱いております

(帝国内の教会で働いていた彼女にとってはまさしく思い出したくもない思い出の1つでもあった。幸い地理的にも王国と帝国は遠く、互いに牽制し合っている段階の為まだ脅威という脅威は見えてはいないが帝国で受けた焼き討ちの被害者でもあった為か、王族に近い位置にいるリズリットに忠告の意味も込めて気をつけろと零して)

ふふ、神はいつも皆を見ておいでです。悩まず告解する事できっとお許しになられます…いつでもお待ちしておりますよ。して、貴女は第三王女の侍女であった筈。第三王女…ルイーズ様はご息災であられますか?

(両手を合わせて祈りの格好を取ったまま、目を瞑って静かに告げる。彼女の抱える事情の全てを知っている訳ではない為聖職者としての言葉で、優しく諭すように声色を落とし、そして目を開けて笑みを浮かべて。ふと、思い出したかのように彼女が仕える主君、第三王女について問うて。孤児院へは王国騎士副隊長、アリシアの名代で来てはいるが本当の主君は第三王女ではないのかという口調でリズリットを見ては、その主君の身を案じて)


  • No.1093 by リズリット  2025-11-04 19:21:44 

>1092

ご忠告痛み入ります。はい…ルイーズ様は今朝も変わらず元気なご様子でしたよ。最近では嫌いだったピーマンも食べられるようになられたのです。うぅ…立派に成長されました。

(本音を言えば聖教徒でないリズリットにとって、帝国も聖教国も似たようなものだと考えているのだが、当然ながらそんな失礼な印象は心の内に留めて素直に忠告に感謝を述べた。続けてルイーズの話題に移ると、リズリットは己が抱える罪悪感から一瞬だけ視線を逸らすもののすぐに戻し、今朝の様子、そして嫌いな食べ物を克服できたことまで伝える。ルイーズの成長を語る際には大袈裟にもハンカチで涙を拭う仕草を見せる。ルイーズのことが好き過ぎてという訳ではなく、これは罪悪感を紛らわす為の空元気である。)

  • No.1094 by アンナ・ランストリウム  2025-11-05 02:13:43 

>1093


まぁ…それはそれは。まだまだお若い身ではありますが1つ1つ、成長なされているのですね…アリシア様もさぞお喜びでしょう。


(彼女の素性を知らないアンナは、その心に住まう闇と罪の重さを測り知る事は出来ない。しかしながら聖教国とも関わりの深い王国の近衛騎士の長たるアリシアが擁立する王位継承者候補の微笑ましい一面に、聖教国出身者としての思惑抜きで若き第三王女の成長を喜んで)


しかし…こうしてお恵みを下さるアリシア様とは一度お会いしてお話を聞きたくはありますね…もしかすれば聖下(教皇)や聖女様あたりは既に会われているのかもしれませんが。

(こうして孤児院へ寄付や孤児たちに施しを与えてくれる存在は、いち聖職者としても尊敬に値するものであり羨望の眼差しを向けながら、王城のある方向を見て。派閥闘争うず巻く伏魔殿とも言えるその場所は何も知らないアンナにとっては手の届かない、高みにある場所のようで)


  • No.1095 by レド  2025-11-05 06:52:12 

>1091

ありがとうございます!ではこれにて。……あっ、またリンゴ食べさせてください!

(クレアさん、いい顔になった。満面の笑みで激励の言葉に応えて退室……そして廊下に出ると無邪気に笑いながらリンゴの話を持ち出すと一礼してドアを閉め、今度こそクレアの前から姿を消して)

ふぅ…………分かったか?俺が会うのをためらった意味が。
「あー……うん、まあね。昔のレドが相手しちゃダメな人だったわあれは……メンゴメンゴ」
「アハハ……ごめんよ、ボクも見抜けなくて……いい顔になったねレド。あの人の言う通り、今のレドなら何でも乗り越えられそうだよ。」
「いってらレド。生きて帰ってくるんだぞ。愛しのアリシアちゃんと一緒にね。」
ああ、行ってくる。土産話ならたっぷり持って帰るから楽しみにしていろよ、お前たち……

(静まり返った廊下。ふと脇を見やれば、光差す窓の下に昔の仲間・眼鏡の魔法使いと褐色の女戦士の姿が見える。彼らには「敬遠してないでクレアと会え」と尻を叩かれたが、昔の未熟な自分がクレアと会っていたらお互いを傷つけるだけで終わってただろう、と、仲間に呆れ顔を向けて。しかし十分な経験を積んだ今の自分は多少なりともクレアさんの癒しになれた。剣術指南としてもやっていけるだろう……仲間の見送りの言葉に親指を上げて応えると、踵を返して廊下を出て。もっとも、傍から見ればレドが誰もいない窓の光にブツブツ独り言を吐き、親指を立てているようにしか見えないが……)



「あっお前!向こうに「首狩り」がいただろう!俺と会わせろっ!」
ああ?何だよ急に。いいからどけよ。というか、会ってどーすんだよ。
「知れたこと!あの女を倒して、今日から俺が「首狩り」として名を上げてやる!」
…………バカなことを。
「なっ、なんだと!?」
そんな二つ名、喜んでお前にやるよ。その方があの人も安心するだろう。というか、もういないんだ「首狩り」は。今あそこにいるのは「首狩り」でも騎士様でもない。長い戦いで哀しみを背負った、一人の女性……
「ふざけんな!」

(食堂に戻ると、先ほど掲示板の前で「首狩り」に代わり名を上げると息まいていた男に絡まれる。レドは元の荒くれとして冷たく睨みつけていたが、やがて目の前の男が「賞金首狩りとして悪を倒す剣聖」などと「首狩り」の意味も知らずに崇めていた昔の自分と重なって憐れみを覚え、静かに説得し始める。そんな姿に逆上した男が襲い掛かってくるが……)

「グッ……!?ガハッ……!」
……お前じゃあの人には勝てない。いや、あの人を斬って名を上げたところでその先には何も無い……無駄なことだ。
「たっ、たす……ぐがっ……」
覚えとけ。これこそが、首を狩られる痛み……血に酔う前に引き返すんだな。
(突っ込んでくる男の首に左手を差し込むと、そのまま壁に叩きつけて。首から血が流れるほどにきつく締め上げられ苦しむ男をレドは冷徹に睨み、淡々と諭し、諭し終わったところで手を離す。)

あぁ……やっちゃった。俺もまだまだ、あの二人のように優しくなれねぇなぁ……

(首を押さえてせき込み泣きながら去る男を尻目に、男の血の付いた左手を残念そうに眺めて。俺もクレアさんやカルロス様には程遠いな……血を見ずにはいられない性分という意味では、俺もあの帝国兵の女と同類かもしれない……と溜息を吐くと、手近にあった布巾で血を拭って。唖然とする周囲の冒険者には目もくれず受付に向かって静かに歩き、預かっていた荷物一式を引き取ると、新たなる試練……外に控える近衛隊の馬車に乗り込むべく、扉を開けてギルドを出た。)

  • No.1096 by リズリット  2025-11-05 14:59:09 

>1094

はい、つい先月に聖教国に赴かれて、その際に教皇様に謁見し、聖女様とは会食をされたと聞いているのです。こちらにも何度か予定の合間を縫われてお伺いしていたのですが…ご多忙の身ゆえ滞在時間も限られますし、おそらくアンナさんとはタイミングが合わなかったのでしょう。私の方からもアリシア様にそれとなくお伝えしておきますね。

(アンナの推測通り、アリシアは既に教皇や聖女との接触を図っていた。リズリットにはその目的は不明だが淡々と知り得る事実を告げる。上位の騎士とはいえ一国の長に謁見出来ることには確実に裏がある。諜報機関に属する者として、あわよくばこの機会に教会側の人間から情報を収集出来ればと考えていたが、反応を見る限りアリシアとの接点がないアンナは白のようだ…と、笑顔の裏で品定めしていた。であれば詮索は程々に通常の会話を維持すべきだろうと判断し、会って話をしてみたいと言うアンナの要望をアリシアへ伝えることを約束した。)

  • No.1097 by クレア/エルフリーデ  2025-11-05 15:01:11 

>1095

ええ、勿論です。はぁ…

(応接室を去るレドの後ろ姿を、クレアは温かな笑みを浮かべたまま手を振って見送った。完全に姿が見えなくなると、また一人になってしまった寂しさから小さく溜息を吐き、ビールに口を付けてその孤独を紛らわす。しばらく感傷に浸っていると、応接室のドアがノックされギルドの職員が顔を出した。職員の手には王家の家紋の封蝋で閉じられた手紙が握られており、事態を察したクレアは顔を引き攣らせる。レドのお陰もあり少しだけ前を向けるような気がしていたタイミングで、黒い鷲の紋章が新たな波乱の幕開けを告げた。)

貴殿が冒険者のレド殿とお見受けする。シエルの救出ご苦労であった。さ、あまり時間は残されていないんだ。準備が済んだのなら速やかに乗車してくれ。

(全身黒ずくめのポニーテール、この特徴からレドを特定することは容易かったことであろう。レドがギルドから出てくるなり甲冑に身を包んだ馬車の御者が声を掛けた。近衛隊は当番制で御者を回している為、面識のない様子から以前会食の場に手配された御者とは別の人物である。御者は同じ近衛兵としてシエルの一件で建前上の礼は言うものの、随分あっさりと話を済ませて乗車を促した。近衛隊一の雑用係と自称するだけあって、シエルはアリシア以外にも邪険にされていることが容易に窺える。そのことを一層肯定するかのように、御者が馬車のドアを開けると、中には騒動の犯人であるエルフリーデが心地良さそうに眠っているのであった。)

  • No.1098 by アンナ・ランストリウム  2025-11-06 00:44:40 

>1096


やはり既に御目通りを…少し羨ましい部分もございます。私達のような司祭職では聖下に御目通りすら叶わぬ身。アリシア様のような高潔で聡明な御方ならば、と聖女様もお考えになられたのでしょう…
お口添え感謝いたします。父なる神の下に、貴女の進む道に光多からん事を

(王国の騎士の長たるアリシアが既に教皇や聖女と接触している事を聞くと、何となく分かっていたのか視線を下に向ければぽつりぽつりと言葉を紡ぐ。諸外国に赴き動向を探りながらその地で信徒を増やす諜報、工作員の一面を持ち程度行動の自由が許されている駐在司祭という立場の彼女でも雲の上の存在にも等しい教皇や聖女には個人での御目通りすら叶わないと漏らして。そして卑屈になってしまったと顔を上げればリズリットの心遣いに再び手を合わせて静かに目を閉じ感謝の意を伝えて)


…そういえば、最近は王国内で亜人達の抗議活動も活発化してきておりますね。つい先日も少し離れた教会近くでありまして…「鎮圧」にあたったのです。リズリット様の方は大丈夫ですか?奴ら、しきりにアリシア様のお名前を出しておりましたので…

(ふぅ、と一息ついてから切り出した話題は、王国内で起きている獣人のデモの事で。人間種至上主義を掲げる聖教国にとって人間種以外の存在は差別の対象とされる存在であるが故に、アンナの口調も当然と言わんばかりに獣人とすら言わず亜人呼び。とても聖職者とは言えないがアリシアと関わりのある彼女も何か被害は受けていないかと心配したようで)






  • No.1099 by レド  2025-11-07 00:12:06 

>1097

「おい見ろよ、近衛隊だぜ……チッ、聖教国の手先が何でギルドに」
「誰か乗るぞ……あれ誰?」「さあ?なんか見たような気もするが」
「近衛隊の関係者にしちゃ野暮ったいな」「こら、早くしなさい!こっちだって馬車乗るんだから」

(昼前を迎えたギルド前。正面に堂々と停車する近衛隊の馬車の周囲に人だかりができている。高貴さとは縁の無い冒険者たちの拠点に似つかわしくない荘厳な馬車はそれだけで冒険者の注目の的になるが、近衛隊の排除対象となる獣人やエルフは忌々し気に馬車を睨むか、そそくさと立ち去っていく。
やがてポニーテールを揺らした黒ずくめの青年……レドが無造作にギルドの扉を開けて馬車へと歩き出すと、冒険者たちの注目はそちらへ集まる。周囲の冒険者たちには目もくれず、横柄な態度を取る御者を無言で睨みつけると、催促を無視して馬車の後部に回り、荷物を積み始める。積み終わると荷物をガサゴソまさぐってから、御者の正面に立って。)

言葉に気を付けろ。

(御者に鋭い視線を突き刺すレドの肩回りには白布がはためいており。これは受付で「アレ」と指示しておいた、師匠・ショウカクから誕生日に貰い受けたケープである。いつの日かレドが宮仕えをする日のためにとショウカクが着用していた羽織をリメイクして作られたこのケープは太陽を浴びてなめらかに輝き、カラスのように黒いレドを彩る。)

本来なら「勇者」レイラを通して抗議すべきところを我が友・シエルに免じて行ってやるのだ。お前の顔が潰されないだけありがたく思え。

(眉間に皺を寄せながらドスのきいた声で御者を罵るレドの姿からは、クレアに応対した時のような純朴な雰囲気は消えている。そもそも王国内で帝国兵が兵士を襲うなど本来は剣術指南どころの話ではない上、帝国兵を連れ帰るために身体を張ったシエルを邪険に扱われては怒りが隠せないものだ。御者を睨みながら馬車に乗ると、自分でドアを閉めて)

はぁ……なんでこんな帝国兵なんかと……。こん……な……?

(赤鞘の野太刀を抱きながら腰掛けると、まるで子供のように眠る帝国兵の女にちらりと視線をやり、うんざりして溜息を……あ、あれ。帝国兵……?おかしいな。何度も何度も視線をやると、隣で安らかな寝息を立てているのがあのシエルに暴行した女・エルフリーデと確認し……「は、はぁ!?」と口を押さえながら叫んで。口を押えたまま、驚きと困惑と……絶望に目を開きながら、呟いて)

おいおいクレアさん……いきなりとんでもない壁が来ちゃいましたよ……

  • No.1100 by リズリット  2025-11-07 18:59:50 

>1098

なんだか最近は物騒ですよね…私は何ともありませんが、近衛隊の方は大臣クラスの獣人から説明責任を追求されたりと、忙しそうな印象を受けるのです。

(聖職者らしい仰々しい感謝の言葉に、なんだか身に余る栄誉を受けたような気がして、リズリットはにかんだ笑みを浮かべた。話題が獣人達の抗議活動へと移ると、アンナのなんとも攻撃的な表現に顔を引き攣らせるのを我慢して、神妙な面持ちとなり自身の近辺の状況を伝える。当然ながら、同じ陣営とはいえアリシアとの直接の上下関係を持たないリズリットには飛び火していないが、アリシアの属する近衛隊は宮廷内の獣人有力者達を中心に槍玉に上がっていた。亜人に偏見を持たないリズリットにとって、本心では自業自得だろうと思っているものの神妙な面持ちを崩さずに哀れんでみせる。)

  • No.1101 by エルフリーデ  2025-11-07 19:01:39 

>1099

チッ…庶民風情が…

(鋭い視線を突き刺された御者は吐き捨てるようにレドの出自を罵ると、踵を返して馬に跨った。プライドの高い近衛兵にしてみればアリシアに気に入られただけと捉えている、ぽっと出の冒険者に凄まれたことが癪に触ったのだろう。レドが乗車したことを確認すると、乱暴に馬車を走らせた。)

…うぐっ…痛いなぁ…
おや、レドさんじゃないですかぁ。待ちくたびれて寝てしまいましたよー。これからしばらくは同じ屋根の下で寝食を共にする身、今から親睦を深めようではありませんか。

(馬車が急発進したことでエルフリーデは壁に頭を打ち付けた。ここに来るまでに宿でシャワーを浴びてきたのだろう、甘い石鹸の匂いを漂わせながら身を起こすと、レドの姿を視認するなりニヤついた笑みを浮かべて話しかける。その様はまるでシエルの一件などなかったかのように馴れ馴れしく、そもそも自分が過ちを犯したという認識がないのであろう。今のところは敵意を見せておらず言葉通りの友好を求めているが、美しい見てくれとは裏腹に悪魔にも等しい倫理観である。)

  • No.1102 by レド  2025-11-08 09:59:33 

>1101

ったく、こんな血生臭いシンデレラを世話をしろってのか。夢もへったくれもねぇな……アリシア様も別便にしてくれよ……

(エルフリーデを拒絶するがごとく、眉間に皺寄せ腕を組んでブツブツ呟いて。冒険者から近衛隊剣術指南というシンデレラストーリー。だがその実態は胡散臭い近衛隊の馬車に横柄な御者、お城にいる王子は継母より意地悪な第一王子、そして何より、馬車に乗るのはシンデレラではなく血と酒の臭いしかしない帝国兵……夢と希望もあったもんじゃない地獄のような現実に、がっくりと溜息を吐いて。
雑な発進で身体が揺れる。そこに御者の怒りと侮蔑を察して「野郎、なめやがって……」と吐き捨てていると、今の振動でエルフリーデが起きてしまった……げんなりした顔を、目覚めた彼女に向けて)

……俺は嫌だね。誰かさんのせいで疲れてるんだ、寝るから起こしてくれるなよ。

(今朝の所業など無かったかのようにいけしゃあしゃあと挨拶するエルフリーデに、腕を組んだままぷいっと顔を背けて。その顔に案外怒りは無い。今は波を立ててはいけない、シエルに制されている、というのもあるが、倫理観が違い過ぎて話が通じそうにない諦めの方が勝るのである。
それでも、一瞬ちらっとエルフリーデに視線が行って。密室に漂う石鹸の香りに、どこかアリシアに通ずる悪魔的な美貌と魅力……完全に無視できるレドではなかった。)

  • No.1103 by エルフリーデ  2025-11-08 11:55:02 

>1102

冷たいですねぇ…王国人には人の心がないのでしょうか。

(当然の如くつれない態度を取るレドに、エルフリーデは身を身を乗り出して顔を覗き混むと、ジト目を向けて抗議した。人の友人を刺しておいて驚くほど綺麗なブーメラン発言である。透き通るような蒼眼にレドの顔を映しながら、どうすれば彼の気を引けるのか思案していると、帝国人らしい野蛮な発想に至った。)

我が覇道を~…ふふっ、冗談です。けど、レドさんが寝てしまうのなら、暇を持て余して使ってしまうかもしれませんねぇ。

(完全な脅迫である。レドのよく知る魔法の詠唱を口ずさみ、途端に赤黒く禍々しい魔法陣が車内に顕現しかける。しかし、全貌を現す前に詠唱を中断したことで霧散した。忌憚のない笑顔で冗談とは言うものの、自分に構わなければ使用する可能性を示唆している。レドの技量を持ってすれば発動前に止めることも可能だと思われるが、無視されるくらいなら、そのいざこざでさえエルフリーデにとっては娯楽なのだろう。大人しく暇つぶしに付き合うか、相手にせずに無理やり付き合わされるか、ないも同然の選択肢を提示した。)

  • No.1104 by レド  2025-11-09 11:23:56 

>1103

んなっ!?…………あぁ、なんて野蛮なんだ、アリシア様も何故このような帝国兵を……なあ、なんでだよ。

(見覚えのある悪魔の魔法によって車内が赤黒い地獄絵図と化すとさすがに身震いするが、霧散と同時に呆れに転じて溜息を吐いて。近衛隊の馬車でこんなことを実行に移したら王国に断罪されるどころか本国に帰れない。そんなこともわからないのか?脅迫の仕方さえ知性のかけらもない……
こんな奴にシエルを刺したことを非難したところで、それは害鳥に「畑を荒らしてはいけません」と説くようなものだ。なんでこんな害鳥が近衛隊に招かれたのやら……ひとまずその蒼い瞳にジト目を刺しつつ、そもそもアリシアに呼ばれた理由を聞いて。)

  • No.1105 by エルフリーデ  2025-11-09 20:36:37 

>1104

そんなもの決まってるじゃないですかぁ。両国の親睦を深める為ですよー。私としては貴方が剣術指南役に指名された理由の方が気になりますけどねぇ。若い無名冒険者を招くなんて、何か裏があるとしか思えません。宮廷、聖教国、はたまた新勢力か…果たして貴方はどこの差し金なのでしょうか。ふふっ。

(レドから話題を振られたことに嬉しそうにニコッと微笑むと、派遣された建前上の理由を述べるに留めた。後先を考えない愉快犯と言えど、流石に帝国側の真意を易々と明かすほど愚かではないらしい。エルフリーデは言葉を続け、逆にレドが指南役に選ばれた真意を尋ねる。レドがエルフリーデを訝しむのと同じように、エルフリーデから見たレドもまた同様の対象であった。なにも暴れる為だけにデュランダルを訪れた訳ではなく、選択肢の最初に「宮廷」を持ってくる辺り、調査対象の姿形を知らない制約の中で短時間の内にレドの素性や総合庁舎での宮廷役人との接触まで調べ上げたことが窺える。返事を待つエルフリーデの顔は心底楽しそうにニマニマとした笑みを浮かべており、そこに敵意はなく、一愉快犯として状況がより煩雑化することそのものを楽しんでいるかのようであった。)

  • No.1106 by アンナ・ランストリウム  2025-11-10 01:07:01 

>1100


本当に物騒です…帝国も軍備拡張を進めているとの噂もあります。亜人達もそうですが本当の敵は神に背く人間…差し迫った脅威ではないとの事ですが名が通るという事はそれだけ敵も作りやすくなる…王国の象徴である王家ともなれば毎日の様に糾弾が起きているでしょう。ああ、神よ…

(他国文化を排斥し独自路線を推し進め始めた帝国を間近で知ったアンナは、偏見も勿論あるが脅威度は獣人達と同じなのか常に槍玉に上げられ続ける王国の近衛隊、及び王族の面々を憂いて静かに神に祈って。リズリットが抱える事情、立場、そして王国内で渦巻くどす黒い闇の部分を知らないアンナはこうして2人きりで喋っているからなのか奥底に眠る性格が垣間見えた。聖教国の人間として植え付けられた根底意識もあってか発言は無礼極まりないものだが情勢を憂い神に縋り、そして導かんとする信仰心は本物なので歪にも見えて)


………名残惜しいですがそろそろ巡回の時間が近づいてきました。長々とお時間を頂戴してしまい申し訳ございません、リズリット様。
お恵み頂いたアリシア様…そして第三王女ルイーズ様にも宜しくお伝えください。…貴女に神のご加護があらんことを。

(大聖堂の大時計を見やれば、自身の職務を遂行せねばと腰を上げる。孤児院への寄付の礼、としては長々と時間を取ってしまったと深々と頭を下げて謝罪を述べれば、仮面の笑顔に等しい柔和な笑みを浮かべて。重ねて礼を申し上げれば権杖を手に持つと、外回りに行く為に法衣のフードを被ってはシャンシャン、と数回打ち鳴らしてその場を後にしていき)




(/返信遅れて申し訳ございません;一度区切りとさせていただきたいです。別の絡み文を出し直そうと思います!)

  • No.1107 by リズリット  2025-11-10 17:39:10 

>1106

いえ、こちらこそ巡回前だと言うのに息抜きに付き合って頂いたこと、お礼申し上げるのです。それでは、いってらっしゃいませ。

(時間を取ったことを謝罪されると、リズリットは自分の方こそ巡回前という忙しい中で時間を取ってしまったと、忌憚のない笑みを浮かべて感謝の言葉で返した。お互いに謝ってはなんだか辛気臭いという、場をしらけさせない為に王城内で培われたコミュニケーション能力からの判断である。話を終えると、侍女らしい丁寧な所作で頭を下げて、「いってらっしゃいませ」とアンナの後ろ姿を見送りながら思考に耽った。一見人が良さそうな司祭でさえ亜人への差別を隠そうともしない…自らの真の主人である第一王子ジェラルドの為にも、やはり危険分子たる聖教会の動向には気を配っておくべきだろうと心に刻んだのであった。)

(/了解致しました!こちらこそあまり返信出来ず、また、お互いに特殊なポジションのキャラということもあり、なかなか方向性を見い出せずにグダってしまい大変申し訳ありません…)

  • No.1108 by レド  2025-11-10 20:01:43 

>1105

俺は「勇者」の弟分だ。あの人は無名だろうと分け隔てなく接してくれる方だが政(まつりごと)は好まない。だからアリシア様との会食に俺が代理で行くことになって……そこでお眼鏡にかなったというわけだ。
というわけで、それは俺に聞いてもしょうがない。アリシア様に直接伺うことだな……親しいんだろう?今朝みたいなことしでかしても見逃してもらえるくらいには……

(エルフリーデを横目に見ながら、刀を抱きながら腕を組んで質問に答えて。今朝正体を明かしてから今までの間に自分の素性はおろか、宮廷の事まで探り当てるとは……単なるサイコパスではないと眉間に皺を寄せるが、宮廷のことは触れなかった。なにも嘘ではない。宮廷の存在は横槍に過ぎない。「勇者」の伝手でアリシアと出会い、糸目野郎と切り結んだ腕を認められ、それから……という経緯自体は事実であり、そこに招かれる側の意志が介入する余地は無い。
レドがこうして宮仕えする日が来る時のためにと師匠が遺した白いケープを指で撫でながら話し終えると、「なにが親善目的なものか、他国で暴れておいて」と言わんばかりにエルフリーデを睨み、アリシアとの関係を質問して。ここまでの分析力がありながら今朝の暴挙、アリシアに抗議されないと知った上での行動だろう。アリシアもまた招聘当日になって部下に捜索させる辺り、エルフリーデの気性を把握しているらしい。何より今朝の狼藉の黙認……この帝国兵とアリシアは親しい間柄か……あるいは相当な利害関係がある、とレドは見ていた。)

  • No.1109 by エルフリーデ  2025-11-11 19:54:26 

>1028

へぇ、つまり貴方とアリシアさんはそういう関係ってことなんですねぇ。これは思いがけない収穫を得ました。
そうですねぇ…私は貴方ほど親密ではありませんが、彼女にはそれなりに親近感を抱いていますよ。きっと彼女もまたそうなのでしょう。なにせ同類ですから。

(会食を機にお眼鏡にかなったと聞いて、エルフリーデはニヤッと口角を吊り上げると、揶揄うような口調で二人が恋仲なのだろうと推測を立てた。間違いではないのだが、その特異な経緯の詳細を話せない為にこのような結論に至るのは当然であろう。皮肉交じりにレドほどアリシアとは親密ではないと前置きしつつ言葉を続けると、自分自身とアリシアとの関係を「同類」と例えた。レドがその意味に辿り着くわけがないと踏んでいるのか、挑発的な笑みを浮かべているが淡々と事実を述べたに過ぎない。自分もアリシアも同じく悪魔憑きであると。)

  • No.1110 by レド  2025-11-12 18:50:28 

>1109

同類ねぇ……あんたアリシア様と違って子供好きには見えないが。
ああ……せっかくだから観光案内してやろう。あの城みたいなのがデュランダル中央庁舎だ。デュランダルは冒険者の都……冒険者になりたくてここに移住する奴は、まずあそこで住民登録をする。いわば冒険者のはじまりの地というわけだな。

(頬杖を突くと、エルフリーデに「子供を慈しむアリシアとお前のどこが同じなんだ、一緒にするな」とばかりにジト目で溜息を吐いて。アリシアとの関係は見抜かれたが、周知の事実だから何の痛手も無い……というかそうでもなければ無名の平民が近衛隊に招かれるはずもないから。だがこの恋も、いま自分が帯びている使命を果たせば壊れるであろう、脆く儚いものだ……
ふとエルフリーデ側の窓の外から見えるデュランダル中央庁舎に視線が行くと、思い出したかのように指をさしつつ説明して。冒険者のはじまりの地、天を衝く城のごとき庁舎。レドはあそこに控える宮廷=第一王子派に呼び出され、「国の平和のためアリシアの罪を暴け」という密命、人間として終わっている任務を受けた。密命を受けてもなおレドの心は迷っている。「農民を弾圧せよ」「愛する者を裏切れ」と命じる国がもたらす平和。そんな偽りの平和などいらない、クレアさんを苦しめ泣かせた国などむしろ滅びればいい、とレドは考える。
だが宮廷の助力を得なければ、アリシアの「同類」……アリシアと同じ悪魔の魔法を操るこの帝国兵に、この国もアリシアも、そしてクレアさんも呑まれてしまう……葛藤に苦しみながら説明をするレドの声には覇気が無い。)

  • No.1111 by エルフリーデ  2025-11-13 21:25:53 

>1110

お察しの通り、たしかに子供は甚振っても面白くないので好きではありませんねぇ。今の貴方みたいに覇気がない人も。ですから…私を楽しませる為にも元気を出してください。こうすれば多少は気が晴れますか?

(レドの推察の通りエルフリーデは子供を好いていない。玩具になり得ないからという極めて自分勝手な理由を、さも当然のことかのように淡々とした様子で述べた。そして、その対象には覇気のない声色で観光案内をするレドも当てはまったようだ。中央庁舎には目もくれず代わりにレドの顔を覗き込むと、その頭に手を置いてニコッと微笑む。不憫な動機に似合わず、その様はまるで傷心の青年を慰める天使のようである。頭を撫でれば元気が出る…親しい人や憧れの人、このような関係性の人間からされたなら、それも有り得ることであろう。しかし、そういった人間関係を無視したエルフリーデの思考は短絡的で、まるで子供のような発想と言って差し支えない。それは彼女自身が人との温かな繋がりを経験したことがない故であり、帝国の劣悪な環境が今の彼女の人格を形作ったことを如実に表していた。)

  • No.1112 by レド  2025-11-15 10:40:25 

>1111

あの、人の話を……様子のおかしい人だ。バカエルフ以上に……

(人の話を聞かずに頭を触ってくるエルフリーデに呆れ顔を向けながらも、されるがままに頭を撫でられて。人を刺したり突然頭が良くなったりと思ったら、今度はまるで子供のような無邪気な有様……考えが読めない。バカエルフ以上に。「エルフ」なだけに。
動機はひどいが……何はともあれ子供をいたぶる趣味は無く、人を元気付けようと寄り添う気はあるらしい。頭を撫でられるたび、レドの顔も穏やかになる。)

帝国兵エルフリーデか……愉快な遠足になりそうだな。

(エルフリーデの微笑みを見つめながら、彼女の頭に自らの手をポンと置いて。天使のような笑顔に、酒浸りなところ……何故かクレアさんを思い出す。あの人も罪悪感を捨てたらこの帝国兵のようになるのだろうか。この女と共に往くこれから先の道中、そして生活に、一体何が待ち受けているのか……と思いを巡らせながら、ただ彼女の蒼眼に自らの灰色の瞳を向けて。)

  • No.1113 by エルフリーデ  2025-11-15 19:07:17 

>1112

…な、何をしているんですか…べつに私は気を落としていませんよ…?

(頭に手を置かれる直前、エルフリーデは怯えたようにびくりと身体を震わせると、反射的にレドの頭から手を離して腰に携えた剣に添えた。帝国では人に触れられる時、悪意や敵意によるものが殆どである為だ。そうした事情から、自分が触れるのならまだしも人に触れられることには特に警戒している事が窺える。一連の所作から、今朝の騒動も結果的に楽しんでいたとはいえ故意ではないのだろう。レドに敵意がないと判断すると、抵抗することなくその手を受け入れるものの、きょとんとした様子で小首を傾げてその意図を尋ねた。)

  • No.1114 by レド  2025-11-16 11:29:02 

>1113

む……!?
あっいや、同じ屋根の下で寝食を共にする身なら、お互い触れ合って元気を分かち合おうと思ったんだが……触られるのは嫌か。すまない。

(頭を触った途端急に剣に手をかけるエルフリーデに真顔になって。今まで多数の女性に触れてきたが、ここまで警戒されたのは初めてだ。クレアさんですら俺に接触を許したのに……と戸惑っていると、エルフリーデが再び自らの手を受け入れる。シエルを刺した経緯はともかく、シエルを蹂躙したことには変わりが無い。そして一方的に人の頭を触っておきながら自分の頭を触るのは許さないでは、身勝手が過ぎる。コイツに謝る必要など本来は無い。無いが……もしかしたらこの女もまた、接触を極度に恐れるほどに虐げられた人間なのかもしれない……こればかりはどうも俺の方が軽率だったかもしれない……と、困り顔になりながら頭を触った経緯を説明し、ゆっくりと彼女の頭から手を離しつつ詫びて。)

  • No.1115 by エルフリーデ  2025-11-16 16:03:46 

>1114

いえ、嫌というわけでは…ただ、怖いんです。祖国では、隙を見せると命も有り金も全て奪われてしまうので。平和なこの国ではそんなこと滅多にないでしょうし、この国の価値観に沿った振る舞いを心掛けてはいるのですが、触れられるとなるとつい反射的に身構えてしまうんですよねぇ。

(語られた経緯に納得するとエルフリーデは完全に警戒を解いて、友好的なビジネススマイルを貼り付けた。決してレドに触れられることが嫌だった訳ではなく、寧ろ心地良いとすら感じていた。気恥しいそんな感情は内に留め、決して不快感からではなく祖国で培った防衛本能が働いたに過ぎないことを説明すると、比較的治安の保たれている王国に合わない自らの体質に、困ったように頬に手を添えて眉尻を下げた。)

あぁ…決して同胞が野蛮だと言いたい訳ではありませんよ?そこは誤解なきように。
剣術指南に選ばれるほど学のあるレドさんであれば歴史の一端はご存知かもしれませんが…少々遠い遠い昔話を致しましょうかぁ。
我々の御先祖様は大陸中央の肥沃な大地に住まう農耕民でした。しかし、悲しいですねぇ…恵まれた土地というのは誰もが欲するものです。欲に目が眩んだ周囲の異民族は剣を手に、農具しか握ったことのない非力な御先祖様達を雪と氷に覆われた不毛の地に追いやりました。ふふっ、可哀想そうですねぇ。食い繋ぐには獣を狩るしかありません。生きる為に、農耕民だった御先祖様達は鍬ではなく初めて剣を手にしました。けれど、獣など無限に湧いて出てくるものではありません。狩れば狩るほどその数を減らしていき、やがては小兎すらもいなくなってしまいます。そうなれば、後は隣人から奪うしかありませんねぇ。仲間内は勿論、かつて自分達を追いやった異民族すらも新たな狩りの対象です。鍬の振り方は忘れてしまっても、剣さえ振るうことができれば食い繋げると、御先祖様達は素晴らしい気付きを得てしまいました。そうして誕生したのが「力こそ正義」を国是とする我が祖国です。めでたしめでたし。
我々は奪うほかに生きる術を知りません。かつて我々がされたように、弱き者から奪うのは正当な権利です。だから決して野蛮などとは思わないでください。これは立派な文化なのですから。

(前述の説明では帝国人が野蛮だという誤解を生みかねない。そう考えたエルフリーデは、指南役に選ばれるほどの人間ならば知っているかもしれないと前置きしつつ、帝国誕生にまつわる長い昔話を語った。明るい口調に似合わず紡がれる物語は迫害の歴史。奪う以外に生きる術を失った哀れな農耕民達のお話である。今や農具の振り方も忘れた帝国人が、それも雪に閉ざされた不毛の大地で自給自足の生活を営むことは不可能であろう。生きる為に奪う、かつて奪われたのだからそれは正当な権利なのだと、たとえ同胞に命や金品を狙われようとそれは文化なのだと、エルフリーデは本気で信じている。おそらく彼女のみならず殆ど全ての帝国人に共通する認識なのだろう。その振る舞いは、クレアが懸念していた帝国人の価値観の違いを如実に表していた。)

  • No.1116 by レド  2025-11-17 19:13:29 

>1115

そうか、そんな歴史が。きっとご先祖も再び弱者として抑圧されたくないと必死で戦ったんだろう。野蛮どころか当然の帰結だな……

(エルフリーデの語るグラキエス帝国史を頷きながら聞き入って。「力こそ正義」。だがその実態は、侵略により祖国を追われ、生き残るためには暴力に縋るしかなかった弱者による復讐国家……暴力や略奪に走るのは自らを強者と示したいため……弱者になりたくないという恐れの裏返しだろうと、静かに目を閉じ結論付けて)

(レド!あんたなに絆されてんだよ!こんな……略奪者なんかに!)
(早まるなペトラ。今こいつ一人をぶちのめしても意味がない)
(だって……)
(これは……単なる悪の帝国なんかじゃない)

(ふと窓の外に視線をやると、帝国に迫害された昔の仲間・女戦士ペトラの怒りの形相がレドにだけ見える。憤慨する仲間に首を振りつつ、自らの東刀を撫でて。俺だって、飢饉には弾圧で返すこの国で生き残るために鋤でなく剣を握った身の上だ。正直気持ちは分かる……)

ま、立派か野蛮かはさておき……触られるのが嫌な理由はよくわかった。ここまで生き延びるのも大変だったろうな。

(どうやら帝国人の暴力性は文化や信条として根付いているようだ。王国の価値観とは到底相容れそうにないが、咎めたところで不毛な問答になるだけだろう……ひとまずエルフリーデに静かな目線を送り、触られることすら恐怖を感じる帝国でここまで生きてきたことを労って。)

  • No.1117 by エルフリーデ  2025-11-18 13:59:49 

>1116

ええ、それはもう大変でしたよぉ。人攫いに捕らえられたことだってあります。だって私可愛いですから。ふふっ、あははっ!…ハァ…ハァ…

(レドの労いの言葉に同調すると、人攫いに捕まった過去を冗談交じりに明かした。神秘的にも見える銀髪を靡かせて、忌憚のない笑みを浮かべるエルフリーデは確かに王国の基準で見てもかなりの美人である。可愛いのは事実だが、この傲慢な自画自賛に自分でツボって、耐えきれずに吹き出した。腹を抱えてしばらく笑い転げ、ついには疲れ果てると、ストンと自身の頭をレドの肩に置いてもたれかかる。触られることを恐れるエルフリーデが自分の身体を人に預ける、その行動は言葉にしないまでも、レドがエルフリーデから一定の信頼を得たことを意味していた。帝国の歴史を聞いて理解を示してくれたレドに対してのある種の敬意なのだろう。自分の雪のように冷たい肌とは違うレドの体温をその身に感じながら、エルフリーデはニコッと微笑んで「人肌の温もりも悪くはありませんね。」と耳元で囁いた。
そうこうしている内にも馬車は王都の地を踏み、窓から見える光景には陽の光で純白に輝く王城が姿を覗かせる。)

  • No.1118 by レド  2025-11-19 06:50:09 

>1117

エルフィ……

(人攫いに捕まった過去を自画自賛をまじえて笑いながら語るエルフリーデに、悲し気な目を向けて。一見傲慢だが、人はどうにも辛い事を話す時はかえって笑うという。城勤めの過去を思い出して作り笑いを浮かべたクレアさんのように、この女もまた……憐れみのあまり返す言葉が無く、エルフリーデの愛称を呟いて。)

んなっ!?近ぇよばか!……まあいいや。

(突然自分の肩に頭を預け、耳元で囁いてくるエルフリーデにびくっとして、顔を赤くしながら叫んで。アリシアがいるのに異性と、それも帝国兵となんてくっついていられないが、アリシアのような悪魔的な魅力と、今まで人の温もりを知らずに生きてきたかのような肌の冷たさに負けて引き?がせず、結局恥ずかしがりながらも彼女の接触を受け入れて。そうこうしている内に見えてきた王城を見ながら、どこか観念したかのように呟いて。)

……女慣れするのもまたカルロス様に近づく一歩だしな。

  • No.1119 by レド  2025-11-19 06:51:56 

>1117

エルフィ……

(人攫いに捕まった過去を自画自賛をまじえて笑いながら語るエルフリーデに、悲し気な目を向けて。一見傲慢だが、人はどうにも辛い事を話す時はかえって笑うという。城勤めの過去を思い出して作り笑いを浮かべたクレアさんのように、この女もまた……憐れみのあまり返す言葉が無く、エルフリーデの愛称を呟いて。)

んなっ!?近ぇよばか!……まあいいや。

(突然自分の肩に頭を預け、耳元で囁いてくるエルフリーデにびくっとして、顔を赤くしながら叫んで。アリシアがいるのに異性と、それも帝国兵となんてくっついていられないが、アリシアのような悪魔的な魅力と、今まで人の温もりを知らずに生きてきたかのような肌の冷たさに負けて引きはがせず、結局恥ずかしがりながらも彼女の接触を受け入れて。そうこうしている内に見えてきた王城を見ながら、どこか観念したかのように呟いて。)

……女慣れするのもまたカルロス様に近づく一歩だしな。



(/一部文字化けがあったので訂正します……)

  • No.1120 by エルフリーデ  2025-11-19 12:53:20 

>1119

エルフィ…随分と可愛い名前で呼んでくれるんですねぇ。軍では「馬鹿」や「愚図」だの碌なあだ名を付けられないので、なんだか新鮮な気持ちです。

(呟かれた可愛らしい愛称を繰り返すと、少しの間を置いてエルフリーデは口角を吊り上げた。馴れ合いを良しとしない帝国軍に於いてあだ名とは悪口が常である。初めての愛称が余程気に入ったのか無意識にレドの腕に抱きつくと、真っ直ぐにその瞳を見据え、言語化出来ない内なる喜びを「新鮮な気持ち」と言い表した。あまりに強く抱き締めているため、エルフリーデの豊かな双丘はレドの片腕を完全に飲み込んでいる。そんなやりとりの最中にも馬車は進み、遂に城の正門に到着した。改修工事でもしているのか門は幕に覆われており、警備に当たる衛兵も通常数人のところを数十人体制の厳戒態勢である。そして、眠たそうにあくびをしながら、臨時で編成されたであろう警備隊の指揮を執っているのは緑髪のエルフの騎士…レドもよく知るバカエルフであった。)

  • No.1121 by レド  2025-11-19 22:51:05 

>1120

く、苦労してんだなエルフィ……ああっでも、そろそろ離れた方がいいぞ?ほら、城に着くし!アリシア様に見られたら大変なことに……

(なにげなく呟いた愛称が相当気に入ったエルフリーデがレドの腕を強く抱きしめると、ますますあたふたし出して。しなやかにきらめく銀髪、華やかな香り、吸い込まれそうな蒼き瞳、そしてつい視線が行ってしまう、自らの腕を飲み込む……で、でかい……なんだか心まで飲まれそうだ。でもここまで懐かれたからには振りほどくわけにもいかず、ひとまずついに目の前に現れた窓の外の王城を指差して気を逸らそうとして。
だが城の正門に入って「あるもの」を目にした途端、レドのあたふたした動きは急に止まり、歯を食いしばり始めて。エルフリーデに抱かれていない方の手は自らの東刀をがっちりと握りしめ、抱かれた腕を包み込む豊満な感触の源には目もくれずに、瞳孔の開いた瞳を窓から見える「あるもの」に突き刺して。「あるもの」とは?なぜか幕に覆われた正門ではない。レドが睨みつけている「あるもの」とは緑髪のエルフであり、本来は正門の警備などするはずのない人物。自分とレイラの命を狙い、自らの技をことごとく防いだ挙句に野原へ捨て置いた因縁の相手。共和国数十万殺し。百年王の側に仕える魔女にして、王に仇なす者を闇に葬るフードの死神……フィリア王国騎士団副団長・第二席エリス・フィンベル!その忌むべき名の代わりに、自らが付けたまたの名を顔を歪ませながら呟いて。)

バカエルフ……!馬鹿な、なぜこんなところに……!

  • No.1122 by エルフリーデ  2025-11-20 11:30:05 

>1121

私よりもあんなエルフの方がいいんですかぁ?そうだ、レドさん。今晩はアリシアさんと三人で楽しいことしましょうよ。ね?

(すっかり外にいるエリスにレドの関心が向けられたことに、エルフリーデは少しだけ妬いてしまったようだ。一層身体を密着させると、エリスから興味を逸らすべく甘い声色でレドの耳元に囁く。恋愛においては純真なアリシアが同意する訳もないのだが、エルフリーデにはそんなことは関係ない。断るのならアリシアの目の前で見せつけるまで、がっちりとレドの腕をホールドしている様からはそんな本気度合いが窺える。
一方で馬車は何事もなく正門を通過するが、その刹那、自らに向けられた敵意に気が付いたエリスはレドに視線を返して、挑発するかのようにニヤッと口角を吊り上げた。エルフ種特有の高潔さはどこへやら、相変わらず性格の悪いエルフである。)

  • No.1123 by エリス/カトリーナ  2025-11-20 13:43:08 

過去編「たとえ命に代えても」

近寄らないでッ…!

(王城の一室に、罵声と共にティーカップの割れる音が響く。声の主はカトリーナ、フィリア王国の第二王女である。王族の中でも聡明で、他国に嫁いだ姉に代わり王位継承の有望株に数えられている一人だ。そんな彼女が今、珍しく気が立っている様子であった。罵声を浴びせられたメイドは信じられないといった様子で後退ると、ついには耐えきれずに部屋を飛び出した。後にはカトリーナと散乱した破片のみが残される。)

あちゃー…どうしたのさ。君が取り乱すなんて珍しい。私でよければ話を聞かせてくれないかな?

(騒ぎを聞きつけたエルフが一人、その部屋へと足を踏み入れた。彼女は王国騎士団副団長を務めるエリス。困り顔で頭を掻きながら、ご乱心の王女に臆することなく歩み寄ると、まだ成長途上にある少女の為に膝を折り曲げて、親身に話を聞こうと試みた。)

エリス…あなたは、私の味方…?

勿論だとも。あぁ…王族を守るのが私達騎士の仕事だからね。

(不安げに瞳を揺らしたカトリーナの問いかけに、「勿論だ」とエリスは考えるまでもなく返答する。しかし、あまりに返答が早すぎたためか、カトリーナの目には未だ疑念が感じられた。更なる質問を投げかけられることを察したエリスは少しだけ視線を宙に彷徨わせ、取って付けたかのような理由を並べると、カトリーナは押し黙って頷く。どうやら納得してくれたようだ…エリスは心の内で胸を撫で下ろした。)

お姉様が、亡くなったと聞いたわ…群衆に石を投げられながら…首を刎ねられたと……こんなのおかしいわ、絶対に裏があるの!きっとお兄様が…だから誰が味方か分からなくて…怖くて……私…わたし…死にたくないのっ…!助けて、エリス…!

(涙ながらに心情を打ち明けたカトリーナを見て、エリスの胸は締め付けられる。あぁ…賢いこの子は姉の訃報を聞いて真相に辿り着いてしまったようだ…腹違いの兄弟達が普段と変わらない日常を過ごす中で、この子だけが現実と、身に迫る脅威を見据えている。カトリーナの置かれている状況を冷静に整理すると、エリスは覚悟を決めて瞳を開いた。この子の不安を取り除けるのは私しかいない…私であるべきなんだ。)

そっか…それは怖かったね。大丈夫…全部、私に任せてよ。君は絶対に私が守るから。

本当に…?

私は100年この国を守ってきた副団長さ。人っ子一人守るくらい造作もないよ。

(カトリーナを抱き締めて、頭を優しく撫でる。従者が信用ならないというなら食事だって用意するし、あらゆる身の回りの世話をしたって構わない。文字通り、エリスは全て任されるつもりであった。いつもののらりくらりとした様子など微塵もない姿を前にして、真っ直ぐな瞳でカトリーナが投げかけた問いかけは疑念ではなく最終確認である。エリスは自信満々に胸に手を置いて、己が実績と職務にかけて守り抜くことを誓った。)

そこまで言うなら信じるわ。でも、どうしてそんなにも尽くしてくれるの…?

だって君は………君の亡きお母さんと約束したんだ。何があっても君を守るって。たとえ命に代えてもね。

そう…お母様と……お母様のお話色々聞きたいわ。私、会ったことないもの!

ええと…別の話題にしないかな?もっと楽しそうな話があると思うけど…

勿体ぶらずに教えなさいってば!

(エリスの言葉と表情に嘘は感じられない。しかし、騎士としての使命感に駆られて、というのはエリスの人柄を知る人間であれば誰もが疑問を抱かずにはいられないだろう。どうしてここまで尽くしてくれるのか、カトリーナの尤もな質問に何かを告げようとしたエリスは思い留まり、ばつが悪そうに視線を逸らして暫し言い淀んだ。思考を終えて、言葉を待つカトリーナに視線を戻すと、これは、彼女が産まれてすぐに亡くなったという母親との約束なのだとエリスは語る。「たとえ命に代えても」、この言葉に、決して他人事ではない覚悟を宿して。母との約束と聞いてカトリーナはさらに興味を示すが、これまたエリスはばつが悪そうに天を仰ぎ見た。なんとか話題を逸らそうとするがカトリーナはなかなか引き下がらない。問答の末に最後にはカトリーナが折れて、代わりに一晩中エリスの生い立ちや趣味趣向、果ては恋愛遍歴まで、根掘り葉掘り質問責めされたのであった。)

  • No.1124 by レド  2025-11-21 08:28:15 

>1122

ちょっ!何言ってんだよ!そんな親善あるか!あんた何しに……

(さすがにエルフリーデが密着を強くして、その上耳元で爆弾発言をしてきてはレドの意識もエリスから彼女へと戻る。身体をバタバタさせて彼女の密着に抵抗しようとするが……)

な…………ッ!

(緑髪のエルフがこちらに気味の悪い笑みを返してきた途端、またしてもレドの顔と身体は一瞬で凍り付く。まるで全てを見通したかのようなその笑みに心臓を射貫かれた感覚がする……思わず握りしめた刀も手から落としてしまい。しばしの硬直の後、思わず顔から流れ出た冷や汗を指で拭って)

人を弄ぶしか能の無いバカエルフめ、そうやっていつまでも笑っているがいい!この世に生まれて二十余年、いつも命を張ってきたこの俺だ。百年物の置物とは格が違うと、証明してやる……!

(エリス・フィンベル。百年王に仕える副団長。だがレドからすれば意味もなく自分を生かし、今こうして自分がもがいているのを笑うために何百年も生きている性悪エルフにしか見えない。……そういう女が第一王子派という安牌に属していないのは何故だろう……という疑問を頭の片隅に残しつつも、そのふざけた糸目をいつかひんむかせてやる!と改めて誓うと、冷や汗で湿った手を握りしめ、歯を食いしばり、エリスのいた方へ怒りの形相を向けて)

……というわけでシリアスな雰囲気で行きたいんだ。そろそろ離れてくれないかなエルフィ?

(何はともあれ当面の心配はこの帝国兵、エルフリーデだ。自らの腕を包む柔らかい感触にちらっと視線をやってから、彼女の顔に困り顔を向けて。敵意は逸らしたが別の意味で心配になってきた。夜這いとかされないかな、天井裏とかで寝た方がいいかもしれない……)

  • No.1125 by エルフリーデ  2025-11-21 13:20:55 

>1124

仕方ありませんねぇ…レドさんはほかの女にご執心のようですし、今日は諦めてあげます。

(レドが抵抗する度にぷるんと擬音を出して揺れていた双丘は、困り顔を向けられたことでついに腕から離れた。どんな感情であれ、自分以上にあのエルフがレドの気を引いたことが面白くないのであろう、エルフリーデは不貞腐れて窓の外に視線を向けてしまう。しかし、「“今日は“諦める」という言葉からも分かる通り、レドの貞操の危機は依然として健在のようだ。
しばらくして、馬車は王城の敷地内に併設された近衛隊庁舎前で停車し、黒い軍服に身を包んだ二名の近衛隊騎士に出迎えられる。馬車の中から見える二人の顔は爽やかな笑みとは裏腹に瞳に光が宿っておらず、「不気味な組織」という世間一般的な近衛隊の印象を裏付けるものであった。)

  • No.1126 by レド  2025-11-22 08:36:23 

>1125

ふぅ……そうむくれるなよエルフィ。ありゃ俺の人生を変えた女……命がけの恋人なんだ。

(エルフリーデのとてつもない武器の感触が腕から離れたのを感じ取ると、つい今までその感触が残っていた腕に視線をやり、安堵の溜息を吐いて。すっかり拗ねてしまったエルフリーデに静かな視線を向けつつ、先のエルフの事を語って。エリス・フィンベル。第一王子派でもアリシア派でも無い副団長。行動原理はまるで分からないが、今回の件で介入してくることは間違いないだろう。その時こそケリをつけてやると誓いながら窓の外をちらりと見ると、いよいよ近衛隊庁舎に到着したと気付く。)

さあ着いたぞエルフィ。支度はいいか。

(エルフリーデに呼びかけながら落とした刀を拾い、出迎えの近衛兵を無表情で見つめて。どこまでも人をコケにするバカエルフのものとはまた違う、張り付いたような気味の悪い笑顔だ。会食で初めて会った時のアリシアのような……あれも悪魔憑きなのだろうか、と考えを巡らせつつ、馬車のドアが開くのを待って。)

  • No.1127 by エルフリーデ  2025-11-22 11:03:49 

>1126

へぇ…人生を。それでは、そう遠くないうちに私もレドさんの人生を変えてあげます。楽しみにしていてくださいね。

(エルフによって人生を変えられたと聞いて、エルフリーデは対抗意識を燃やしたようだ。視線をレドに戻したかと思えば、二ッと口角を吊り上げて、自分の手でレドの人生を変えてみせると宣言する。その目はまさしく捕食者のものであり、人生を変えるとは即ち既成事実を作るということに他ならない。レドが身を守る為にも、屋根裏で寝るという選択肢はもはや現実的なものになりつつあった。宣言を終えると同時に外で控える近衛兵によって馬車のドアは開かれ、支度を終えたエルフリーデはレドの確認の言葉に頷いて、共に馬車を出る。)

お待ちしておりました。エルフリーデ殿、そしてレド殿。エルフリーデ殿はコンラッド殿の元へ、レド殿はアリシア様の元へ別々にご案内致します。

(馬車を出た二人に男の近衛兵が恭しく頭を下げる。行き先が異なる為、別々に案内する旨を伝えると、もう片方の女の近衛兵にエスコートされる形でエルフリーデはその場を後にした。またすぐに会えるのだが、名残惜しそうにチラチラとレドに視線を送る様はなんとも乙女らしい。残された男の近衛兵の方も「お荷物はお部屋まで運んでおきますのでご心配なく」と前置きした上で、レドをエスコートすべく背を向けた。VIP待遇に慣れている為か、所作の一つ一つが丁寧で洗練されたものであるが生気のない瞳も相まり、まるで精巧な人形のような不気味さを醸し出していた。)

  • No.1128 by レド  2025-11-22 20:34:14 

>1127

は、はぁ。そりゃどうも……

(なんだか変な方向にスイッチが入ってしまったエルフリーデの宣言に何とも言えない顔を向けて。馬車を降り、近衛兵の片割れにエスコートされ去り行く彼女の背中をげんなりした顔で見送って……ああ、ゆっくり寝られる保証すら無いとはとんでもない話を受けたものだ……だがある名前が頭に引っかかると真顔になる。「コンラッド殿」、連れの帝国兵だろうか。帝国もアリシアも、この王国で一体何を……と考えつつ、案内係の近衛兵に向き直って。)

ん……かたじけない。これからよろしく頼む。

(近衛兵に淡々と挨拶して後をついていき。何とも底の見えない男だ。近衛じゃなくて刺客の間違いじゃ……この配下の有り様といい帝国を呼び寄せた件といい、アリシアも最早悪魔に呑まれてしまったか。あの夜のことは幻だったのだろうか……一抹の不安を抱えつつ、眼前にそびえ立つ白き王城を見上げて。農民が王城などを目の前にしては緊張で立ち竦むだろうが、色々なものを抱えるレドは緊張どころではない。表情も足取りも、むしろ静かだ。)

ま、やるだけのことをやるんだ。そうだろう師匠(オヤジ)。

(師匠から貰い受けた白きケープをはためかせつつ、視線を近衛兵の背中に戻して。天を黒鷲が覆い、地に悪魔が笑うこの王城に、いま一羽のカラスが舞い降りる。)

  • No.1129 by アリシア  2025-11-22 22:34:41 

>1128

レド殿をお連れ致しました。

(シエルが特異なだけで基本的に近衛兵は馴れ合いを好まないようだ。道中振り返ることなく淡々と歩みを進め、ものの数分で近衛隊庁舎の最上階へと辿り着く。そこに佇むのは今やアリシアのものとなった近衛隊長執務室。扉をノックして短く要件のみ伝えると、「通してください。」というアリシアの指示に従い、そのまま扉を解放してレドへ入室を促した。)

レド殿、お待ちしておりました。突然のお呼び立て、申し訳ありません。お疲れでしょうしソファに…と言いたいところですが、すみません。もう一つ我儘を聞いてほしいのです。少しだけ…甘えさせてください。

(レドの顔を見るなりアリシアは仕事の手を止めた。机の上には山積みの書類が並んでおり、騎士団の役職者が如何に激務かを物語っている。視線のみで近衛兵を下がらせると、二人きりになって初めてアリシアはその顔に柔らかな笑みを浮かべた。軽い足取りでレドへと歩み寄り、ひとまずは急に呼び立てたことを詫びる。本来であれば、レドの労をねぎらって休憩がてら雑談と言いたいところだが、今のアリシアはそれどころではない。レドと一夜を過ごしてからというものの胸の高鳴りが治まらないのである。頬を赤らめながら、抑えられない衝動に抗うこともなくレドに抱き着くと、その胸板に顔を埋めた。しばらく全身でレドを感じて落ち着きを取り戻すと、普段とは違うレドの装いに上目遣いで感想を告げる。)

そのケープ、良くお似合いですね。

  • No.1130 by レド  2025-11-23 14:07:31 

>1129

(近衛兵に従いながら庁舎の中を進んで。道中は雑談一つさえ無く、響くのはカツカツという足音ばかり。やがてアリシアの待つ執務室に辿り着くと、ただ事務的な彼女の声が返ってくる。親しみやすさとは程遠い国王直属の近衛隊、二十越えたばかりの俺がどうやって剣術指南するべきか。そして今アリシアはどうなっているのだろう……無表情の下に悩みを隠しつつ、入室すると「冒険者レド、お召しにより参上しました。」とアリシアに一礼して。)

あ、アリシア様!?お会いしとうございました……
……このケープは亡き師の形見にして宮仕えの装い。これを纏いながらアリシア様にお仕えできること、光栄に存じます……!

(意外!アリシアの様子はつい今朝がた友人を帝国兵の生贄にした指揮官と同一人物とは思えないほど優しい。そう、一夜を共にしたあの日の時と同じだ。驚きと安堵に顔を緩めながら、アリシアの身体を受け入れて。上目遣いの彼女に視線を合わせ、照れながら褒められたケープの事を語って。ふと机を一瞥すれば山積みの書類が見える。そこにアリシアが抱える近衛隊の、そして名門ライデン家の惣領としての重責を感じ取れば、彼女を優しく抱きしめて。羽二重で織られた白絹のケープ。冒険に持ち出すには勿体無く、宮仕え用に、アリシアの下へ参じるために取っておいたそれはなめらかに輝き、レドの印象をより柔らかくする。)

  • No.1131 by アリシア  2025-11-23 16:38:03 

>1130

なるほど、お師匠様の美的センスには感服致します。今やご挨拶に伺えないことが残念でなりません…

(レドの話を聞きながらケープへと視線を移すと、形見でありながら非常に状態が良い事に気が付く。きっと仕立ての良い品なのだろう、レドの黒い装いに対象的な純白のケープは良く映える。もし、いずれレドが纏うことまで考えていたならば、そのセンスには感服するほかにない。愛おしそうにケープの手触りを確かめながら、今や挨拶に伺うことも叶わないレドの亡き師へと想いを馳せて、アリシアは顔を伏せた。そして、同時に何かに気付いてピタリと動きを止める。そう、先程まで別の女(エルフリーデ)が密着していた事もあり、石鹸の甘い匂いがレドに移っていたのだ。アリシアはゆっくりと顔を上げると、不安に瞳を揺らしながら問いかける。)

レド殿…その…決して浮気を疑っている訳ではないのです。ただ、ほかの女の匂いがしてはどうにも不安になってしまって……再会して早々にはしたないのは承知していますが…今一度、愛を確かめさせてください。

(まさかレドが帝国兵に目を付けられたなどとは想像もしていないが、冒険者である以上は性別問わず様々な付き合いがあるのだろうとアリシアは理解しているつもりである。決して浮気ではないと、レドに対する信頼は揺らいでいない。しかし繊細なアリシアは、異性としての魅力がないのではないかと、自分自身に対する言い知れない不安が心の奥底で燻っていた。その不安を拭う為にも、再会早々に身体を求めることははしたないと承知の上で、瞳を潤ませてキスをせがんだ。レドも気が付いている通り今のアリシアは本来の人格である。きっとレドとの接触がその人格を呼び覚ますトリガーとなっているのだろう。あの夜と同じく、一人の恋焦がれる乙女としての懇願であり、皮肉にも、これから先アリシアを裏切ることになるレドへの洗礼でもあった)

  • No.1132 by レド  2025-11-23 20:23:08 

>1131

う……事情は後で説明します。ただひとつだけ……アリシア様。俺はいつでも、アリシア様の味方ですよ……

(どうやらエルフリーデの匂いを嗅ぎ取られたらしい。やってくれたなあのバカエルフ二世……と、一瞬気まずそうな顔をしながらも、すぐ穏やかな顔になってアリシアの願いを受け入れて。「俺はいつでもアリシア様の味方」。彼女を裏切る密命を帯びておきながら恥知らずな発言だ。しかしアリシアに潜む悪魔が聖教国どころか、帝国、果ては同じ悪魔まで呼び寄せた以上、彼女を止めなければならない。せめて今だけは彼女の孤独と重責を癒してあげたい……そんな葛藤を胸に目を閉じ、アリシアの頭と身体をそっと抱き寄せれば、彼女の唇に自らの唇を重ねて。)

  • No.1133 by アリシア  2025-11-24 05:16:08 

>1132

んっ…ふっ…レド殿…その言葉を聞けて安心しました。いつまでも…お慕いしております。

(目を閉じ、甘い吐息を漏らしながら身体を委ねる。しばらくして顔を上げると、未だ興奮の冷めない潤んだ瞳をレドへ向け、愛おしそうに彼の頬に手まで添えて、信頼と、変わらぬ愛の言葉を紡いだ。唇を重ねたことで不安が拭えたのだろう、緊張が解けてアリシアの身体は脱力し、一時的に、あの夜と同じくレドの支えなしでは立つこともままならない状態となっている。激務によるストレスの反動でもあるのだが…今はそれすらも心地良いといるほどに、全幅の信頼を置いた相手に全てを委ねるような感覚に快感すら覚えていた。その危うさは、未熟な身体と精神に悪魔を宿し、神経を擦り減らしながら政にかまける彼女の限界が近いことを示すものでもあった。)

  • No.1134 by レド  2025-11-25 01:40:37 

>1133

ん……っっ…………!
……はぁ、はぁ…………アリシア様、だいぶお疲れのようで……一旦ソファで休みましょう。気の済むまで側におりますから。

(愛する人の柔らかい唇を心の赴くままに吸ってから、紅潮した顔、潤んだ瞳をアリシアに向けて。彼女の優しい手を頬に受けるその顔の距離は、お互いの熱い吐息がぶつかり合うほどに密着している。ああ、こうしていつまでも愛を交わせていられたら……と願いつつアリシアを抱き寄せていると、彼女の柔らかい身体にまるで力が入っていないことに気付く。あの「地獄の門」とやらを使った形跡も無いのに。どうやら近衛隊という重責そのものが彼女を苦しめているらしい……アリシアの膝裏に手を回すとお姫様抱っこして、ソファに座って休みましょうと提案して。無論ライデン家としての誓いがある以上、事を起こす気は無い。共に座ることでアリシアを心身共に癒したいだけである。穏やかな顔がそんな下心の無さを物語る。)

  • No.1135 by アリシア  2025-11-25 14:22:18 

>1134

お気遣い感謝します。そうですね…色々と話すべきこともありますし、ひとまず休憩に致しましょう。

(熱い口付けを終えてしまったことに名残惜しさを感じるも、抱え上げられたことで再びアリシアの胸はときめいた。口付けを交わす時とは違ってお互いに目を瞑っておらず、赤く染った顔を見られるのが恥ずかしくて、思わずアリシアはレドの胸板に顔を埋める。そんな状態でも何とか言葉を紡いで休憩に同意すると、ソファに移るまでにレドの負担を減らすべく、身体が揺れないようにギュッと力を入れて抱き着いた。エルフリーデよりは小ぶりなものの、服の上からでも分かる確かな柔らかさがレドの身体を包み込む。)

  • No.1136 by レド  2025-11-26 06:52:54 

>1135

はわっ!?アリシア様!?……こ、こういうのも、心地よいものですね。あはは…………あっいや、すみません。座りましょう……

(アリシアに強く抱きしめられると、彼女を抱きかかえた状態のままうろたえて。密着が強くなって、彼女特有の温かくて柔らかい感触も肌に伝わってくる。このままずっとこうしていようか……と流されそうになると、首をブンブン振って思い直し、動き始めて。御者もそうだが、こうしてアリシアの寵愛を受けて剣術指南になったことを快く思わない人間は近衛隊の中にも腐るほど存在するだろう……「愛人枠で選ばれた男」などと見られては彼女も傷つく。実務面でも支えにならねば……と決意すると、アリシアを静かにソファに座らせ、自らも隣に座って。)

  • No.1137 by アリシア  2025-11-26 08:32:22 

>1136

ふふっ、レド殿が望むなら…好きに触っても構いませんよ。ああ、でも…今はまだ早いですね。そういうのは夜に取っておきましょうか。

(初心なレドの反応を見てアリシアの内なる嗜虐心が刺激された。顔を上げると、レドが狼狽えた要因たる双丘に手を添えて、艶かしい笑みと声色で好きに触っても良いと言ってのける。揶揄い半分、本気半分といったところであろう。相変わらず、隙を見せればすぐに小悪魔的な振る舞いをする女である。アリシアの恋愛観では口付けのみならず、多少なら婚前に身体に触れることもセーフのようだ。レドなら勢いのまま一線を越えることはないだろうという確かな信頼があってこその提案でもあり、返事を聞く前からまるで確定事項かのように夜にしようと言い出すあたり、アリシア自身も乗り気の様子である。座らされたソファで、レドに寄りかかりながら上目遣いで顔を覗き込み、反応を伺うその様子は心底楽しそうであった。)

  • No.1138 by レド  2025-11-28 05:02:09 


>1137

んなっ!?かっ、からかわないでくださいよアリシア様……
あ……そういうことでしたら、夜部屋に人が寄り付かないようにしていただけませんか……その、間違って誰かに見られたり……入ってこられたら大変なので……

(「触っても構わない」、そんな挑発的な言葉に面食らって身体をビクッとさせて。ついその柔らかな双丘に手が伸びそうになるが、おあずけを食らうとピタッと止まって。すっかり翻弄されている。これは悪魔じゃなくて素の性格なんだろうか……と、むずむずした顔になって。レドは小悪魔的な女に弱いのだ。
何か思いだしたかふと天井を見上げると、すっかり赤くなった困り顔をアリシアに向け……いや、彼女の小悪魔的笑顔に目が反らせなくなって、夜部屋に人が寄り付かないようお願いして。男として断る理由は無いが、エルフリーデが乱入してきたら最悪だ……そうなればどんな淫らな、いや恐ろしい光景になることやら……とアレコレ想像すると、指を頬で掻いて。)

  • No.1139 by アリシア  2025-11-28 13:35:38 

>1138

それもそうですね…では、今夜は私の部屋にお招き致しましょう。そこならば誰も訪ねてくることはないでしょうから。
それに……じつは、レド殿の泊まり先はあの猫と同室で手配しているんです。最愛の人を別の異性と寝泊まりさせることは不本意なのですが、自由に動かれては困りますし…やむを得ません。レド殿にはご不便をお掛けしますが、ご協力をお願いします。そ、その……色々と溜まった時は私を頼ってもらえれば…精一杯頑張ります…

(レドの懸念を聞いて、アリシアは顎に手を添えて少し考える素振りを見せると、レドを私室に招くことに決めた。一般の宿舎に比べれば遥かに立ち入りのハードルが高い為、レドの不安を拭うには十分だろうという判断である。そして、言いにくそうに視線を下げ、間を置いて言葉を続けるアリシアは、さらなる理由…衝撃の事実を明かした。その内容はエリーゼの監視のためにレドと同室で宿泊先を手配したというものである。不本意だと言うアリシアの言葉に嘘はなく、説明の最中にも無意識にレドの服の袖を強く握った。年頃の青年が同年代の異性と相部屋、何がとは言わないがきっと溜まるものもあるだろう。万が一にも間違いを犯さぬように、そういった困り事は自分に任せてほしいと告げるアリシアであったが、内容が内容の為に先程までの小悪魔的余裕は既になく、いつの間にか自分を見据えるレドにも負けない程に顔が赤く染まっていた。)

  • No.1140 by レド  2025-11-29 23:43:18 

>1139

~~~~~~!!!
いっいけませんアリシア様!シエルから事の重大さは伺っています!おっ、俺もひとかどの剣士、任務に集中しますから!こ、今夜もそういう事はなさらなくて結構ですから……!

(アリシアのとんでもない発言に、袖を握られてない方の手で顔を覆い、声にならない声を上げて。顔などはもう溶岩のように真っ赤で、湯気まで出るほど熱くなっている。私室に招かれるだけでも相当なことなのに、エリーゼの監視に際しての「困り事」の処理までさせたら、もうアリシアの婚前の誓いを守れない……!首をブンブン振りながら、上ずった声でアリシアの提案を否定して。)

  • No.1141 by アリシア  2025-11-30 15:48:18 

>1140

そ、そうですか…それ以外にも何かあれば遠慮せず相談してくださいね。
コホン…では、本題に移りましょう。指南役の具体的な職務内容をこちらの契約書に纏めてあります。ご確認の上、問題がなければサインをお願いします。

(レドの仕草や表情などから自分を思いやってのこととは理解しているが、全力で否定されたことに少しだけ自信をなくしたのだろう。アリシアは暫しシュンとした表情で俯くものの、咳払いをしてすぐに話題を切り替えた。袖から手を離し、そのまま自らの懐に収めていた封筒を取り出す。中には指南役の詳細が書かれた契約書が仕舞われているようだ。正式な書類だけあり小難しい言い回しで記載されているが、内容は大まかに以下の通りである。
・招集期間は二ヶ月 ・出勤は週三日 ・一日の実働時間は二時間 ・給金は月額で金貨十枚 ・成果次第で追加報酬あり
宮仕えだけあり、平民が休まず働いてやっと月収が金貨5枚ということを考えれば破格の待遇であった。そして、最後の追加報酬の一文のみ筆跡が異なることから加筆されたものであることは明らかであり、綺麗ながら丸みを帯びた女性らしい字体を見るにアリシアの好意であることが窺える。)

  • No.1142 by レド  2025-12-01 01:38:28 

>1141

ははっ。では確認します……。……身に余る光栄です。ご厚遇に感謝いたします。…………。

(契約の話に入ると一転して氷のように冷たく静かな顔つきになり、アリシアの懐のぬくもりが伝わる契約書を両手に持ち、その文面を目で追って。たったこれだけの労働時間でこんな大金が……しかも近衛隊剣術指南という名声までつくからには、実際に得られる富はこれ以上と見える。剣を振る以外に生きる術のない、明日も知れない冒険者や剣術使いならこぞって仕官を求め……なんならこの指南役の座をかけて決闘まで始めるだろう。そんな厚遇を改めて認識すると、静かに礼を述べて。
ふと、クレアからもらった金貨が忍ばせてある胸元にそっと手を当てつつ、アリシアの机の書類の山……騎士としての重圧を空しそうに眺めて。クレアさんは騎士として誰より強く清らかだったのに……いや、だからこそ騎士社会に心を壊された。そしてアリシアもまた……おそらくこの国で剣術指南をしていたであろう師匠(オヤジ)が多くを語らなかったのも今は分かる。この王国には優れた者、優しい者を潰す魔性が潜んでいるのだ……
この破格の待遇を誇る剣術指南もまた、剣士の心を歪める甘い罠。もしこんな剣の職など無い、剣を取らずに生きられる世界があったなら、クレアさんもアリシアも幸せでいられたろうか。もしそんな世界が拓ける機会に巡り合えたなら、俺は二人をその先へ送り出し……黙って去ろう。俺は剣を振ることしかできないから……)

……おっと失礼しました。謹んでお受けいたします、ご厚遇に見合う働きを……んん?

(……などという妄想に逃げている暇は無い。首を振って改めて視線を契約書に戻して。いずれ裏切るその日まで、せめて指南役としてアリシアを支えたい……矛盾した想いを胸にペンを取ろうとした矢先、ふと明らかに筆跡が違う最後の一文が気になって、そこを指差しながらおずおずと質問して。)

あの、この「追加報酬」とはいったい……?これはアリシア様が書き足されたようですが……

  • No.1143 by アリシア  2025-12-01 14:49:29 

>1142

さすがレド殿、お気付きになられましたか。ええ、それはほんのお気持ちです。レド殿は指南役の任とは別に監視任務がありますので、その分の報酬を「追加報酬」という形で加えさせていただきました。額にして金貨二枚を予定していますが…ご不満でしたら引き上げることも検討致しましょう。

(契約書を眺めるレドの冷たい顔つきを、アリシアは自身の頬に手を添えてうっとりと眺めていた。レドならば筆跡の違いにも勘づくだろうと予想していたが、案の定それについて質問が飛んでくる。アリシアはニコッと微笑んでレドの慧眼を称えると、「追加報酬」の真意を明かした。通常の指南役とは異なり、監視役としてレドは赤の他人(とアリシアは思い込んでいる。)のエリーゼと決して短くはない期間を同室で過ごすことになる。その心的負担を考慮してのアリシアの計らいであった。勿論のこと監視任務は機密事項の為、あえて成果次第の追加報酬と表情を濁したのであろう。指を二本立てて追加報酬の予定額を伝えるアリシアは、それでも足りなければ増額も考える旨を話すが、この提案は、同室で過ごす中でレドがエリーゼに惹かれてしまうのではないかという恐れの現れでもあった。)

  • No.1144 by レド  2025-12-03 00:12:14 

>1143

なるほどそういう事で……なに、それだけ頂戴できれば満足ですよ。むしろお心遣いに感謝するばかりです。

(「追加報酬」の真意を知るとふっと笑い、増額の提案には首を振って答えて。別にタダでもいいんだが、アリシアの好意を無にするのも失礼だ。最初の提示通り金貨二枚で了承するとペンを取る。”Ledo”。たった四文字、苗字すら無い自らの名をさらっと紙に書き記すと、ペンをそっと置いて。)

もうひとつ。あの猫に魂を売ることはありません。もし約束を違えたら……この命、アリシア様に差し上げましょう。

(サインを終えると、一転してアリシアが懸念している猫(エリーゼ)の事を冷たく語って。アリシアに密命を感づかれないため意識しているとはいえ、騎士として苦しんだクレアを見て以来、エリーゼの事は半ば本気で見下し始めている。獣人だからでは無い。宮廷≒第一王子派だからである。あの男は独自に私兵を飼っていると噂で聞く。エリーゼ……良心的な人とはいえ彼女も結局王子の飼い犬、いや飼い猫に過ぎないのだろうか……
言い終えると自らの長い東刀をわずかに抜く。赤鞘から覗く白刃に右手親指を添えて指に傷をつけると、先の署名の隣に血で濡らした親指を擦りつけて。血判。紙の上に血を置いた物が何の証明になるのだろう。これから裏切るというのに……それでもアリシアへの愛の証は示したい。事が露見したら彼女に刺されても構わない……そんな気持ちを刻んだ契約書を左手でそっと、アリシアの前に滑らせて。)

  • No.1145 by アリシア  2025-12-03 21:05:37 

>1144

ふふっ、謙虚で誠実…貴方のそんな所が堪らなく愛おしいです。
それでは、確かに受け取りました。これからよろしくお願いしますね。レド先生。

(欲をかくこともなく、それでいて自分の不安を汲み取り、目に見える形でそれを払拭して見せたレドの行動にアリシアの頬は堪らず緩んだ。こちらも言葉で愛を示すと、差し出された契約書を懐に仕舞い、未だ血の滲むレドの右手を優しく両手で包み込む。裏切られるとも知らずに眩い笑みを浮かべ、今しがた契約を結んだことで指南役となったレドに対して嬉しそうに敬称を付けて呼ぶその様は、真相を知る宮廷の人間が見れば滑稽に映ることであろう。自ら裏切り者を招き入れ、アリシアの政局が大きく不利に傾いた今、契約書は単なる雇用関係を示す紙切れではなく、アリシアのその後の人生をレドに背負わせる代物と化したと言っても過言ではない。それは対価として得られる金貨よりも余程重たい代償であった。)

  • No.1146 by レド  2025-12-05 07:19:49 

>1145

先生だなんてそんな。はは、こそばゆいな……近衛隊剣術指南、謹んでお受けいたします。この剣をもってアリシア様のために尽くしましょう。

(「先生」、自分とは縁遠い肩書きで呼ばれ思わず照れ笑いして。政治屋め。人の愛を利用して、しかも「ご自身でアリシア殿をお守りすればいい」などとナメた口をきく。まるで任務が終わったら二人とも始末すると宣言されたようなものだ。だからこそ消えても困らない野良冒険者など使うのだろうが。勝負は始まったばかりだ、どっかで出し抜いてやる……まだ何にも思い付かないけど。そんな決意を胸に秘め、血のにじむ自らの右手を優しく包むアリシアの両手に左手を添えると、穏やかに微笑みながら忠誠を誓って。)

  • No.1147 by アリシア/ルイーズ  2025-12-05 19:15:21 

>1146

ありがとうございます。その言葉…とても頼もしいです。
さて、トラブル続きでレド殿もお疲れでしょう。そろそろお部屋に…

(まるでプロポーズかのような忠誠の言葉に、アリシアは顔を真っ赤に染めて感謝を述べる。
この時間が永遠に続けばいいのに…そんな思いを胸の内にしまって名残惜しそうに手を離すと、レドの疲労を考慮して別れを切り出した。エリスとの闘いや報告を受けた今朝のトラブル…自分の前では顔に出さないだけで、きっと休息が必要な状態に違いない。契約書にサインを貰った以上はこれ以上呼び止める理由もない。色んな理由を付けてアリシアは自分を納得させて、なんとか言葉を紡ぐものの、タイミング悪く扉をノックする音に遮られる。続けて「入って宜しくて?」と扉越しに幼い声色ながら格調高い喋りで質問が投げかけられると、その声を聞いてアリシアは苦笑いを浮かべながらも「お入りください」と、そう返すほかになかった。)

ふふっ、御機嫌ようアリシア。少し時間が出来たから遊びに来てしまったわ。あら…先客がいたのね。お邪魔だったかしら?

滅相もございません。今しがた用事を終えたところです。
此方はレド殿。本日より近衛隊の指南役を引き受けてくださいます。

へぇ、若いのに凄いじゃない。指南役の名に恥じない働きを期待しているわね。

(開かれた扉から姿を現したのは第三王女ルイーズ・フィリア。その容姿は瞳の色を除けば今は亡き第一王女の生き写しのよう。そんな彼女がアリシアを筆頭に近衛隊から次期王位継承者として支持されていることは、この国の政治に詳しい人間には周知の事実である。そんな間柄のため、度々こうして近衛隊庁舎まで足を運んでいるのだろう。扉からアリシアの元まで歩み寄るまでの身のこなし、幼い容姿に似合わない丁寧な所作の一つ一つは、王族の教養の高さを示すと同時に年相応の振る舞いも出来ない不自由さを感じさせるものであった。そして、目を引くのは王女だけではない。後ろに従える二人の侍女。一人は犯罪組織「サンクタ・ラミア」の所属を示す黒蛇の刺青を頬に刻んだ凛とした銀髪のエルフ、もう一人は一見朗らかな雰囲気を纏いながらも暗殺者特有の癖で不自然なまでに足音を消して歩く茶髪の侍女。どうにも第三王女陣営は訳ありの人間が多いようだ。アリシアの紹介を聞いてルイーズはレドに顔を向けると品定めするように目を細め、その年齢で指南役に選ばれた栄誉を称えながらも、地位に見合う相応の働きを見せるように釘を刺した。ここは凡ゆる謀略の渦巻く王城、こんな幼子でもそう簡単に人を信用することなど出来ない…まさしく魔境と呼ぶに相応しい場所であった。)

  • No.1148 by レド  2025-12-06 17:58:05 

>1147

……!お初にお目にかかります、ルイーズ殿下。この度近衛隊指南役を仰せつかりました、レドと申します。お目通り叶いましたこと、光栄に存じます。

(思いがけない来客……第三王女ルイーズ、アリシアが擁立する最年少王位継承者。人生において初めて拝謁する王族の存在を確認すると立ち上がり、すっと右手を胸に添えると、静かに頭を下げながら自己紹介して。頭を下げる角度は深すぎず、そして膝はつかない。剣術指南はあくまで外部招聘の技官であり、臣下の礼の義務は無いからだ。
「冒険者」。鍛えた剣や魔法を操り、いくばくかの報酬と引き換えに依頼を遂行する者たち。支配という名の権力、忠義という名の束縛が横行する世界において、何にも与する事のない例外的な存在である。礼は尽くすが服従はしない、レドの立礼はそんな冒険者の矜持の表れと言ってよい。)

若輩者ではありますが、東刀使いとして相応しき働きをお見せする所存。以後よろしくお願い申し上げます。

(頭を戻すと視線は鼻のあたりに向け、そのルミナ姫に似た顔をむやみに睨みつけないようにして。両脇に控えるふたりの侍女には視線を向けず、ただ視界の端に入れるにとどめる。異様な刺青のエルフはもちろん、茶髪の方もただならぬ身のこなし。第三王女の用心棒だろう。こちらもジロジロ見るべきではない。まるで貧民街の犯罪組織のような淀んだ雰囲気を放っているが、呑まれたら剣士として終わりだ。幼子でありながらこちらを小僧扱いする第三王女の挑発的な態度にも流されず、静かに、簡潔に、そして堂々と、ふだんろくに使わない改まった敬語で口上を述べて。)

  • No.1149 by アリシア/ルイーズ/セレナ  2025-12-07 14:56:18 

>1148

ふーん…ま、せいぜい頑張りなさい。
用事は終わったのでしょう?アリシアは私が借りるから貴方は部屋に戻ってなさい。セレナ、ご案内して差し上げて。

(金の為なら何でもする下賎な輩…冒険者に対してそんな偏見を抱いていたルイーズだが、少なくとも目の前の指南役はそれなりの振る舞いを心得ているようだと、ツンとした態度の裏で一定の評価を下していた。しかし、生まれたその瞬間から政争の渦中にある王族の信頼を勝ち取るにはまだ足りない。最初から期待など捨てているかのような歳に似合わない冷めた視線は、無垢とは程遠いこの幼子の心を開くのに相応の時間と実績を要することを示していた。厄介払いするかのように部屋に戻れと催促すると、お付きの侍女…セレナと呼ばれた刺青のエルフに案内を任せた。)

そういう訳ですので…レド殿もお疲れでしょうし、しばらくお部屋でお寛ぎください。…また夜にお呼び致します。

(警戒心を隠そうともしない主の振る舞いにアリシアは再び苦笑いを浮かべつつ、こちらはレドを気遣って部屋への移動を促した。最後にコソッと耳打ちして夜の約束を取り付けると、口元に手を添えて悪戯な笑みを浮かべる。
一方で、案内を任されたセレナは既に扉に手をかけ、レドの様子を窺っている。決して急かす意図はないのだが、人見知りのせいで言葉が出ない上に目つきが悪い為そう捉えられてもおかしくはないだろう。この後、二人で廊下で何を話そうか、どう話題を振るべきか…人見知りなりに色々悩んでいるのだが、その険しい表情は傍から見ればレドを睨んでいるようにしか見えない。)

  • No.1150 by レド  2025-12-07 22:29:59 

>1149

ッッ……!んん、恐れ入りますルイーズ殿下。では失礼いたします。

(去り際のアリシアの悪戯に思わず身震いするがここは殿下の前。咳払い一つして気持ちを切り替えると、第三王女に一礼して。それにしても自らの侍女に近衛隊庁舎の案内をさせるとは、どうやら近衛隊は第三王女の私兵と化しているらしい。第三王女を支持するアリシアを密命で排除した暁には彼女も粛清されるだろう。「政治屋め、何が「我々の最優先事項は抗議運動の沈静化」なものか。完全な権力争いじゃないか」という気持ちと「とはいえ確かに近衛隊も第三王女も歪んでいる。放置すれば内乱が起きて……クレアさんが安心して暮らせなくなる」という気持ちのせめぎ合いを凛とした表情の中に隠しつつ、案内を務める刺青の侍女、セレナに向き直って。)

セレナ殿、私も近衛隊庁舎には不慣れ……よしなに頼みます。

(刺青の侍女、セレナの目つきがやけに鋭い。気味の悪いさっきの近衛兵といいこの侍女たちといい、これじゃ近衛隊じゃなくて暗殺教団だと内心で突っ込むが、セレナの場合は表情が険しすぎる。たぶん緊張だろう……と判断すると緊張をほぐすべく、穏やかに微笑みながら彼女に案内をお願いして。)

  • No.1151 by セレナ  2025-12-08 12:07:27 

>1150

うん…任せて。

(レドの方から話しかけてくれたこともあり、未だ緊張は残るもののセレナの表情は幾分か柔らかいものとなった。口下手なのか最低限の返事を返すに留まるが、僅かに吊り上がった口角を見るに随分と嬉しそうな様子である。ルイーズに一度頭を下げてから、扉を開いて歩みを進めた。)

あ、あの…その…レドさん。初めて会う人だから警戒していたけど…ルイーズ様は本当は凄く良い人なの。だから…嫌いにならないでほしい…

(二人きりの廊下を進みながら、セレナはなんとか緊張を抑えて言葉を紡いだ。厳つい頬の刺青に似合わず、そのたどたどしい喋り方はまるで小動物のよう。話す内容はというと、先程の主の振る舞いの弁明である。幼くしてこんな魔境に身を置いていれば人間不信にもなるであろう…ルイーズのそんな境遇を哀れみ、セレナは少ない語彙力ながら、レドにも事情を理解して貰おうと努めていた。「凄く良い人」なんて言われても抽象的過ぎる表現だが、セレナの瞳と声色からは彼女なりの必死さが窺える。)

  • No.1152 by レド  2025-12-09 12:39:38 

>1151

ふふ、心得ておりますセレナ殿。冒険者とは信頼の得がたい職ですから致し方ありません。なによりアリシア様がお仕えするからには……あっいや、失礼……

(ルイーズの事を弁明するセレナに歩くペースを合わせつつ、心得ていると微笑んで。とはいえレドも多くは語らないし必要以上に褒めない。この王都という魔境、とりわけ王族に関する話題は下手な発言が命取りになる。目の前の純朴そうな刺青のエルフとて、宮廷のスパイかもしれないのだ……と弁えていたつもりだったが、話の流れでエルフと敵対する聖教徒のアリシアを褒めようとしてしまい、気まずそうに顔を逸らして。)

  • No.1153 by セレナ  2025-12-09 17:18:48 

>1152

…気にしないで。確かにあの人は怖いけど…きっと貴方にとっては良い人だから、私はそれを否定しない。

(アリシアの名前が出ると、セレナはピクリと身体を震わせた。エルフである彼女が、身近で権力を持つ聖教徒に恐怖心を抱かない筈もなく、これは本能的な拒絶反応である。しかし、それでも尚セレナはレドの意思を否定せず、真っ直ぐな瞳を向けて、立場によって見え方も異なるだろうと寛容な姿勢を示した。勿論、先程の自らの弁明を受け入れてくれたレドへの配慮という面もあるが、何よりもここでアリシアを否定することはルイーズへの裏切りに等しい。高い忠誠心から自らの意見を押し殺しているようであった。)

それに……本国の司祭よりはマシだから。痛いことはしないし…一応は人として扱ってくれる。だ、だから…そこまで嫌いじゃない……かも…?

(目の前のレド、そしてルイーズの為にもセレナは自らもアリシアの美点を見つけようと考え、良いところ探しというポジティブな思考に耽っているとはとても思えない険しい表情で小首を傾げ、言葉を続けた。思い出すのはアリシアと二人きりになった際に言われた皮肉の数々……アリシアが優しさを見せるのはレドか、ルイーズのような子供だけで、悪魔に憑かれているのだから当然だが基本的に性格が悪いのである。記憶を何周かした後に結局アリシアの良いところ探しは諦め、代わりに聖教国の司祭と比較するに至った。奴らに比べれば幾分かマシという最低クラスの評価だが、セレナはレドを気遣い、それを理由に嫌いではないと断言しようと試みる。しかし、嘘をつけない性分故に意図せず疑問形で締め括っていた。)

  • No.1154 by レド  2025-12-09 23:51:04 

>1153

司祭……セレナ殿、貴女は……いや、よしておきましょう。時には多くを語らない方が良い時もある。

(「司祭よりはマシ」「一応は人として扱ってくれる」。セレナの言葉を聞いて思わず彼女の経歴を問いたくなったが、神妙な面持ちで首を振り、問うのをやめて。顔の刺青、首枷、そして今語った断片的な過去……根掘り葉掘り聞かずとも、セレナが凄惨な人生を送ってきたことは明らかだ。彼女を傷つけないためにも自分からはこれ以上問わないことにする。
ふと、天井を見上げて物思いにふける。聖教国の亜人への暴虐はレドも耳にしている。アリシアに恐怖を抱いてもなお、彼女と懇意にしている自分を立ててくれる優しいセレナが奴隷として痛めつけられるとは、世間は残酷だ。この人じゃなくてあの糸目野郎が代わりに弓矢の的にされればいいのに。ああでも、アイツはその日の内に司祭どもを皆殺しにして脱走しそうだな……と想像すれば、げんなりした表情で首を振って。)

おっと、私は聖教徒ではありませんよ。私が信じているのは己自身……この東刀(ダンビラ)ですから。

(さて、そんな彼女に何を話せば良いのやら。ひとまず聖教徒を恐れるセレナを安心させるべく、ふっと笑って自分は聖教徒ではないと明かして。そして刀を腰から外して右手に持てばギュルギュルと手の中で回転させ、その長さと鞘の紅の深さを存分にアピールしたところでビタッと回転を止めて。)

  • No.1155 by セレナ  2025-12-10 17:08:43 

>1154

そうだとは思っていたけど…確信を持てて安心した。レドさん、貴方も私にとっての良い人。その刀も貴方に扱われて本望だと思う。

(亜人への分け隔てのない態度、過去を詮索しない気遣い、それらの要素からレドは聖教の信徒ではないと予想していたが、本人から明かされたことでようやく確信を得られた。安心から、セレナも釣られて笑みを見せると、レドもルイーズと同じく「良い人」に認定する。語彙力の少ないセレナにとって、良い人というのは最大級の信頼の証のようだ。剣に心得のあるセレナは続けて、レドをその刀に相応しい人間であるとも評価した。これは、上等な武器を持つ者に対して、それが決して飾りなどではないという、一剣士としての惜しげもない賛辞である。言い終えると、立ち止まってレドに向き直り、右手を差し出して握手を求めた。これからの親愛の意味と、剣士としての自らの慧眼を保証する為の行為であろう。奴隷に堕ちるまでに何度も剣を振るってきた彼女の手には癒えることのない幾つもの古傷が付いており、まさしく剣士の手であった。)

  • No.1156 by レド  2025-12-11 10:28:28 

>1155

マジかよ嬉しいな!俺の鬼蟷螂(オニドウロウ)も喜んで………うっ!げほっげほっ……な、何でもありません……
……ルイーズ殿下のお側に仕える貴女のお眼鏡に叶うとは光栄なこと。改めてよろしくお願いします……同じ戦士としてね。

(レドの差し料、師から賜った剛刀「鬼蟷螂(オニドウロウ)」。確かに並の東刀では無いが、その持ち主のレドは掃いて捨てるほど存在する農民上がりの冒険者のひとり。刀も自分も褒めてもらえる機会などそうありはしない。なのでつい行儀の良いフリをするのを忘れ、素の口調ではしゃいでしまった……それに気付くと大きく咳をして紳士のフリに戻る。恥ずかしさで頬を赤くしつつも、セレナが差し出した右手……傷だらけの戦士の手を自らの右手で穏やかに掴み、握手して。)

  • No.1157 by セレナ/エルフリーデ  2025-12-11 16:57:04 

>1156

私の前では楽に喋って。その方が嬉しい。

(レドの素の口調を聞いて、恥ずかしがっている彼の反応を他所にセレナは嬉しそうに瞳を輝かせた。帝国出身の彼女はエルフリーデと同じく人の温もりに飢えている。意図せず発せられたラフな言葉使いに感動を覚えるのは必然であろう。手を握ったまま歩みを再開すると、自分の前では楽に喋って欲しいとレドに注文を付け、その足取りは数段軽いものとなっていた。まるで新しい友が出来たかのような高揚感に浸っているのも束の間に、最悪のタイミングで前述の同郷との邂逅を果たしてしまう。)

あらぁ、レドさんじゃないですかぁ。ふふっ、ラミアの屑と随分親しそうですね。

(廊下の先から現れたのはレドに異様な執着を見せる帝国兵のエルフリーデ。首と右脚には別れの際には着けていなかった包帯を巻き、両脇に松葉杖を抱えてのなんとも痛々しい姿での登場である。おそらくデュランダルでの勝手を上官にこっぴどく叱られたのであろう。仲睦まじく手を繋ぐ二人の様子に妬いたのか、圧を感じさせる笑みを浮かべて真正面に立ちはだかった。手負いとはいえ、帝国兵を前にしたセレナは酷く怯えた様子で震えており、握った手には一層力が込められる。)

  • No.1158 by レド  2025-12-12 14:10:47 

>1157

ははっ、ありがたいね。どうもお行儀よくしてるのに慣れなくてな。じゃあ行こうか…….
……セレナ?なるほど、俺に任せな。

(楽に喋ってほしいと言われるとニコニコしながらセレナの手を握りつつ歩いて。早くも打ち解けられて嬉しい!と足取り軽やかに歩いていると、目の前にあの帝国兵エルフリーデが立ちはだかる。自分の手が強く握られる感触からセレナの怯えを感じ取れば、エルフリーデをきっと睨んで)

エルフィ!なにが屑だ。この人はな……
……なんだよそのケガ。ははーん、さては今朝の件で上官にリンチされたな?確か……コンラッド殿、だったか?

(エルフリーデに指をさしてセレナへの侮辱を咎めようとしたが、見ればずいぶんズタボロではないか。この短時間で外交問題にならずに彼女を暴行できる者、コンラッドとかいう彼女の同行者の仕業だろう。「力こそ正義」を謳い暴力を正当化するエルフリーデが暴力を甘んじて受け入れていること、彼女から聞いた軍内部での扱いのひどさから察するに、そのコンラッド某は上官と見た。今朝の暴走の件で制裁されたんだなと、セレナに握られてない方の手を顎にやりながら、ケガの経緯を推察して。)

  • No.1159 by セレナ/エルフリーデ  2025-12-12 19:19:30 

>1158

ええ、ご名答です。しかし、レドさん…そんなエルフと親睦を深めるとは関心しませんねぇ。彼女の頬の刺青、それは帝国の犯罪組織「サンクタ・ラミア」の紋様です。いくらエルフが好きだと言ってもつるむ相手は選ぶべきだと思いますよ?

違う…私はもうラミアの人間じゃない…

屑は黙っていてください。私はレドさんとお話しているんです。

(レドの鋭い推察に、エルフリーデは心底愉快そうにニヤッと口角を吊り上げて賞賛した。しかし、続けられる言葉は何処か呆れを孕んでいるように低い。セレナの頬に刻まれた黒蛇の刺青は帝国に悪名を轟かせる犯罪組織の所属を示すもののようだ。先程述べられた「ラミアの屑」とはその蔑称なのだろう。敵愾心剥き出しのエルフリーデは見下すような笑みを浮かべながら、馬車の中でレドがエリスに釘付けだったことも踏まえてエルフが好きなのだろうと皮肉を交え、暗にセレナと決別しろと圧をかけた。一方でセレナは怯えながらも声を絞り出し、今は犯罪組織に身を置いていないと否定するも、エルフリーデの牽制を受けてレドに身を寄せて黙り込む。不安そうなにレドの顔を見上げるセレナの瞳は、まるで見限らないでと縋るようであった。任せてと言われながらも口を挟んだのも、今しがた出来たばかりの友を失いたくなったが為だろう。)

  • No.1160 by レド  2025-12-13 08:09:59 

>1159

(グラキエス帝国の犯罪組織「サンクタ・ラミア」。仲間に先立たれてヤケになり、あてもなく彷徨っていた貧民街で聞いたことがある。怯えながら自らを見上げるセレナの頬に刻まれた黒蛇を見下ろすと、彼女の経歴を察する。だがレドにとってそんな過去はどうでもいい。無言・無表情の中に「大丈夫だ」という気持ちを込めてセレナに頷くと、エルフリーデに向き直って。)

そのナントカの屑は俺の友人。そしてこの国の第三王女・ルイーズ殿下のお側衆だ。いま彼女はお役目の最中、そこをどいてもらおう。
……そのナリで何ぬかしたってカッコつかないぜエルフィ。しょうもない八つ当たりなんかしてないで、アンタも大人しく養生するんだな。

(「よく言うぜ、昨日今日と他所の国で犯罪を重ねといて……しかもそれで上官に凹られたくせに」という呆れを込めながら、エルフリーデに強い眼差しを向けて。胸を張り、力強い声でセレナを弁護する一方で、自業自得と言うべき無惨な姿を晒しているエルフリーデには「やれやれ」と呆れた笑いを向ける。どのみち帝国兵に第三王女の使いを阻まれる謂れは無い。言い終わるとあえてかしこまった口調で「ではセレナ殿、まいりましょうか」とセレナに微笑んで、エルフリーデの脇を通ろうとして。)

  • No.1161 by セレナ/エルフリーデ/コンラッド  2025-12-13 18:50:15 

>1160

っ…まだ話はっ…!

なにを遊んでいる、グリムハルト。貴様には別の任を託した筈だが。

ちっ…これは申し訳ありません。少し戯れが過ぎましたね。それではレドさん、また後ほど。

(尚も引き下がらないエルフリーデは、脇を通り過ぎようとするレドの手を引こうと身を乗り出すが、廊下の先から現れた上官の圧に押されて思い留まった。筋肉の塊とも形容すべき巨漢、コンラッド・シュタール。その背丈は長身のレドよりも頭一つ分高く、一歩進む毎に決して古くはない廊下の床が軋む程の体躯である。魔力の量も常人の域を逸脱しており、分厚い鎧のように身に纏ったそれは魔術師でなくとも視認できる。そういった現時点で可視化されている能力値だけ見てもおそらくはレイラと同格であろう。そんな化け物はレドやセレナには目もくれず、エルフリーデに忠告したかと思えば足早にその場を後にした。先程制裁を加えられたばかりのエルフリーデもこれには逆らえず、コンラッドの背に向けて頭を下げ、不本意と言わんばかりに唇を噛み締めてレドを一瞥すると、すぐさまコンラッドの後を追う。)

レドさん…ありがとう。ごめんなさい…少しだけ、休ませて。

(エルフリーデとコンラッドが去った後、セレナはレドの腕に抱きついて顔を伏せてしまった。帝国で迫害されている亜人にとって帝国兵は恐怖の象徴…それも将軍クラスのコンラッドを前にした動揺は相当のものだろう。セレナの心臓の鼓動はレドにも伝わるほどに激しく波打っていた。セレナからすればレドは悪魔から身を挺して守ってくれた存在であり、こうして身を寄せることで心を落ち着かせているようだ。)

  • No.1162 by レド  2025-12-14 09:28:35 

>1161

!!

(突然の床の軋み、そして廊下の先から現れたプレッシャー……帝国将・コンラッドの存在を感知・視認するとピクリと身体を震わせて。まずでかい。俺よりでかい。不死鳥のハゲ並のタッパだ。そして何より、恐るべき魔力。見た目や体格・雰囲気はまるで違うが、かつて戦ったバカエルフ並の強者と認めざるを得ない。瞳孔が開ききり、口が真一文字に結んだレドの顔はコンラッドに釘付けで、エルフリーデの挨拶に反応できない。向こうがこちらに一瞥もくれないまま去っていき、姿が見えなくなると思わずふぅと溜息を吐いて。帝国将コンラッド……まるで氷の魔人というべき男であった。)

セレナ、よく耐えた……昔のことも奴らのことも気にするな。そういうことで俺は離れない。

(連中が去り、自らの腕にすがりつくセレナの頭を片方の手でそっと撫でて。宮廷の密命もアリシアも関係ない。すべては目の前の人を理不尽から守りたくてやったことだ。セレナの気の済むまで彼女を抱きつかせてやりつつ、コンラッドが去っていった廊下の先を苦々しく睨み、呟いて。)

シカトしやがってこの野郎……アレで親睦のつもりかよ。

  • No.1163 by セレナ  2025-12-14 17:17:24 

>1162

うん…信じてる。レドさんのお陰でもう大丈夫…さ、行こう。

(しばらくしてセレナは顔を上げると、離れないと言うレドの言葉を信じて頷いた。その顔にはもう憂いはなく、すっかり平常心を取り戻したようだ。少しだけ頬を緩め、控えめな笑みを見せると、レドの手を引いて案内を再開する。歩くこと数分、宿泊者用のエリアに辿り着く。廊下には複数の絵画に混ざってちゃっかりと教皇の肖像画が飾られており、その額縁だけ埃を被っていないことからエリーゼへの嫌がらせで最近設置したのだろう。アリシアの性格の悪さは相変わらずである。肖像画の真正面、505とドアに刻まれている部屋の前でセレナは立ち止まった。)

ここが貴方と猫ちゃんの部屋。鍵は中にあるはず……その…今日はありがとう。貴方に出会えて良かった。

(やっと手を離し、レドに向き直ったセレナは名残惜しそうに瞳を揺らした。今後もしばらくは会おうと思えば会える距離にはいるのだが、王女の傍仕えも暇ではない上にアリシアという最大の壁がある。仕事上とはいえ、きっと今日のように纏まった時間を過ごす機会はなかなか訪れないことであろう。せめて別れ際に改めて感謝を伝えようと、セレナは丁寧に頭を下げた。)

  • No.1164 by レド  2025-12-15 00:47:21 

>1163

猫ちゃ……いや、何でもない。案内ご苦労だった。俺も新しい友達ができて嬉しいよ。

(仮にも第二団長であるエリーゼを「猫ちゃん」なんて雑に呼ぶセレナについ反応したが、首を振って自らの言葉をさえぎって。分団長なのにナメられてんなぁ、と憐れみつつ、部屋の前に飾られた他国の最高指導者・教皇の肖像画、王国近衛隊に相応しくない異物に視線をやって。アリシアも陰険な……俺と子供に優しいアリシアと悪女のアリシア、どっちが本物なのか……と物思いにふけりたくなるが、今は目の前のセレナに集中するべきだ。彼女に向き直ると、会釈して案内の礼を伝えて。)

セレナ、剣術指南としてアドバイスしよう。過去を気に病むことは無い。罪人上がりの武官てのは、歴史を見れば珍しいもんじゃない。
何より……人は罪を犯したらそれで終わりじゃない。過去の罪を悔いながらも、そこから立ち上がって立派に生きることもできる……それが人の可能性というもんだ。俺が師匠と並んで尊敬する剣士の方が、そうであるようにな。

(互いに忙しく、立場も違うふたり。再び会話する機会がそう訪れるとは思えない。彼女もそう思っているだろう……と、セレナの揺れる瞳を見て察すると、彼女の瞳を見据えながら助言を残して。とりわけ「過去の罪を悔いながらも立派に生きている憧れの剣士」のことは罪人の出であるセレナにどうしても伝えておきたかった。いずれ密命を果たせば彼女とも敵対するだろう。それでも今は一人の剣士として彼女の励みになりたい……アドバイスを終えると右手を上げて敬礼し、「健闘を祈るよ。」と微笑んで。)

  • No.1165 by セレナ/エリーゼ  2025-12-15 10:56:20 

>1164

その言葉…忘れない。レドさんも頑張って。……それじゃ、またね。

(過去の自らの所業に罪悪感を抱えているセレナにとって、レドの言葉は心に響いたようだ。言葉数は少ないながらも、レドを真っ直ぐに見つめる瞳からはセレナの真剣さが窺える。最後にこちらからもレドの健闘を祈ると、踵を返してその場を後にした。
一方その頃、王都の高級な宿と遜色ない内装が施されている505号室の真ん中で、エリーゼはまるで死んだ魚のような目で床にうつ伏せて倒れていた。エリーゼの顔の真横には皿に盛られた粒の山…そう、市販の猫の餌が置かれていたのである。というのも聖教の価値観に毒された近衛隊、その庁舎の内部に於いて獣人は人ではない。宮廷側もやむを得ず近衛隊の意向を汲んで、宿泊届けに指南役のペットとしてエリーゼの名を記載していたのだ。そうなれば当然の如く人間の飯が運ばれてくる訳もなく、また、ペットの独断で庁舎からの外出を認められる訳もない。つまり、この二日間エリーゼは何も食べていないのである。先程のセレナの「猫ちゃん」発言も何ら含みのあるものではなく、単に書類上の情報だけを見て、この部屋の中にレドの飼い猫が先に運び込まれたのだろうという誤解からであった。)

お腹が減ったにゃ…

  • No.1166 by レド  2025-12-16 06:41:36 

>1165

ふっ……セレナ、いいエルフだなぁ。それにひきかえあの糸目は。優しい人が苦しんで、あんなのがのさばるなんて世も末だぜ。アイツが奴隷になればいいのによ、あの人殺し野郎……。……まあいい。

(やわらかく微笑みながらセレナを見送るが、彼女が見えなくなると一転険しい顔になってエリスへの悪態を吐き始めて。セレナといいクレアさんといい、優しい人ほど苦しみ、踏み潰される世の中。のうのうと生きているのは、バカエルフのような権力者の悪党ばかり。アイツこそ奴隷になればいいのに……と、悪態を吐きつつも未だ腑に落ちないことがある。あの戦闘中の猟奇的な態度と戦闘後の達観した態度、どうも同じ人物に見えない。戦闘中の悪態は挑発だったのか?何よりなんで、俺を見逃したのか……首を振って考えを止め、ドアノブに手をかけるが……)

……誰かいる!バカエルフか?まさかそんなはずは……

(ドアの向こうに気配を感じ、手を止めて。近衛隊の庁舎に忍び込むとは大胆不敵な。エリスか?それにしてはさっきの帝国将のようなプレッシャーが無いが……一歩下がって刀の鯉口を切ると、バン!とドアを開け放って勢いよく室内へ突入し、前転しながら部屋の中央へ躍り出る。だが目についたのは猫の餌と……見覚えのある猫耳の獣人が力なく倒れている姿。まったく状況が飲み込めずに呆然と立ち尽くすと、エリーゼに声をかけて。)

えっ、エリーゼ殿!?どっ、どうしたんです……?

  • No.1167 by エリーゼ  2025-12-16 12:55:53 

>1166

……。レドくん…!待ってたにゃ!

(声を掛けられたエリーゼは虚ろな瞳でレドに視線を向けた。こんな状態でもなお薄ら笑いを浮かべているあたり、次席に刻まれたトラウマは相当なものなのだろう。しばらくして目の前の人間がレドであることに気が付くと、瞳に光が宿って飛び起きる。)

宮廷も近衛隊も酷いのにゃ!どうやら私はここに泊まるにあたってレドくんのペットとして登録されてるらしいにゃ…それで毎食猫の餌が届けられるんにゃけど……こんなの食べられるわけないにゃ!という訳で私は空腹にゃ。レドくん、いや、ご主人様!一緒に食堂に行ってほしいにゃ!

(エリーゼは尻尾をぶんぶんと振って、笑顔の中に怒気を込めながらも自分の置かれた状況を説明した。知らぬうちにペット扱いで登録されていたこと、猫の餌しか運ばれて来ないこと、そして当然ながらペットは一人で外出出来ない。エリーゼがこれ程までに不満を顕にするのも当然の扱いである。アリシアによる嫌がらせという面も勿論あるが、ペット扱いとすることでエリーゼの行動を制限する狙いが主だろう。権力を持つ聖教徒ならではの策略だ。二日間に渡り何も食していないエリーゼはすぐにでも腹を満たしたいようで、身を乗り出してレドの顔を覗き込むと、あくまでペットの立場から共に食堂に行って欲しいとお願いした。)

  • No.1168 by レド  2025-12-16 20:02:49 

>1167

なに、ペット!?近衛隊はともかく宮廷もひっどい扱いだな。多種族共生が聞いて呆れる……とっ、とにかく急いで何か腹に入れましょう。ああ、ご主人様はよしてくださいよ。仮にも第二団長からそう呼ばれるとどうもしっくりこないので……

(第二団長がペット扱い!?空腹!?あんまりなエリーゼの扱いに呆然として。アリシアの立場からすればエリーゼをペット扱いすることで動きを封じる策にもなるから理に叶っているが、問題は宮廷の方だ。多種族共生を謡う国、しかもエリーゼを密命で送り出す立場でありながら、国是に反する近衛隊の言われるままに彼女をペットとして登録するなんて、分団長に対する扱いとは思えない。こんな扱いをする国のために命を賭して戦えと言うのか……エリーゼを気の毒に思いつつも、笑ったまま怒る彼女の顔や、栄えある騎士団の分団長なのに人を「ご主人様」と呼ぶプライドの無さには困惑する。顔を引きつらせつつ、食堂へ向かうべく部屋を出ることにして。)

  • No.1169 by エリーゼ  2025-12-17 19:22:20 

>1168

んにゃ、レドくんが嫌ならそうするにゃ。それじゃあ案内するにゃ~。

(レドの要望に頷いて呼び方を戻すと、エリーゼは軽い足取りで食堂までの道中を先導する。空腹を満たせることが余程嬉しいのだろう、レドの目の前で彼女の尻尾が右へ左へとリズミカルに揺れていた。これ程の仕打ちを受けてもすぐに切り替えることや、一時的なものとは言えペットの身分にすんなり適応するなど、エリーゼもまた不憫な扱いに曝され過ぎて人格が歪んでいるのだろう。人懐っこい仕草の裏にはそんな闇が潜んでいた。
雑談もそこそこに、近衛隊庁舎を出て、騎士団の本庁舎へと繋がる長い渡り廊下に差し掛かる。渡り廊下の脇、薔薇の咲き誇る庭園にエリーゼはふと視線を向けるなり、思わず顔を引き攣らせた。ベンチに腰掛け、自らの膝を枕にして第二王女を寝かしつけているエルフの姿…レドにとっては本日二度目のエリスとのご対面である。門の修繕が終わったことでようやく臨時の警備任務から開放されたのだろう。その間に癇癪を起こした第二王女との埋め合わせの最中なのだが、心地良く眠る王女の頭を撫でるエリスの表情はいつもの腹の立つニヤケ面ではなく随分と温かいものであった。のも束の間に、エリスはレド達の気配に気付くなり口角を吊り上げ、侮蔑の意を孕んでいるかのような見慣れたニヤケ面へと戻る。)

やあ少年、奇遇だね。それと七席のおまけの子。私になにか用かな?

っ……な、なんでもないのにゃ…たまたま目に付いただけで…

(エリスは当然の疑問を投げかける、単に挨拶する訳でもなくただ視線を向けられたとなれば何か用事があるのではないかと勘繰ったのだろう。まずはそれなりに印象に残っている将来有望な若者のレドから声を掛け、次にさして興味のないエリーゼ。エリーゼに至っては名前も覚えていないかのように振る舞い、第二副団長である七席のおまけという不名誉なあだ名で呼ぶ始末だ。性悪エルフのそんな扱いには、さすがのエリーゼもご立腹なのだろう、苦笑いを浮かべて視線を逸らしながらも、握った拳が怒りと悔しさで震えているのが分かる。)

  • No.1170 by エリーゼ/エリス  2025-12-17 19:25:48 

>1168

んにゃ、レドくんが嫌ならそうするにゃ。それじゃあ案内するにゃ~。

(レドの要望に頷いて呼び方を戻すと、エリーゼは軽い足取りで食堂までの道中を先導する。空腹を満たせることが余程嬉しいのだろう、レドの目の前で彼女の尻尾が右へ左へとリズミカルに揺れていた。これ程の仕打ちを受けてもすぐに切り替えることや、一時的なものとは言えペットの身分にすんなり適応するなど、エリーゼもまた不憫な扱いに曝され過ぎて人格が歪んでいるのだろう。人懐っこい仕草の裏にはそんな闇が潜んでいた。
雑談もそこそこに、近衛隊庁舎を出て、騎士団の本庁舎へと繋がる長い渡り廊下に差し掛かる。渡り廊下の脇、薔薇の咲き誇る庭園にエリーゼはふと視線を向けるなり、思わず顔を引き攣らせた。ベンチに腰掛け、自らの膝を枕にして第二王女を寝かしつけているエルフの姿…レドにとっては本日二度目のエリスとのご対面である。門の修繕が終わったことでようやく臨時の警備任務から開放されたのだろう。その間に癇癪を起こした第二王女との埋め合わせの最中なのだが、心地良く眠る王女の頭を撫でるエリスの表情はいつもの腹の立つニヤケ面ではなく随分と温かいものであった。のも束の間に、エリスはレド達の気配に気付くなり口角を吊り上げ、侮蔑の意を孕んでいるかのような見慣れたニヤケ面へと戻る。)

やあ少年、奇遇だね。それと七席のおまけの子。私になにか用かな?

っ……な、なんでもないのにゃ…たまたま目に付いただけで…

(エリスは当然の疑問を投げかける、単に挨拶する訳でもなくただ視線を向けられたとなれば何か用事があるのではないかと勘繰ったのだろう。まずはそれなりに印象に残っている将来有望な若者のレドから声を掛け、次にさして興味のないエリーゼ。エリーゼに至っては名前も覚えていないかのように振る舞い、第二副団長である七席のおまけという不名誉なあだ名で呼ぶ始末だ。性悪エルフのそんな扱いには、さすがのエリーゼもご立腹なのだろう、苦笑いを浮かべて視線を逸らしながらも、握った拳が怒りと悔しさで震えているのが分かる。)

(/名前欄にエリスを入れ忘れたので再掲です!)

  • No.1171 by レド  2025-12-18 15:24:42 

>1170

あぁ……俺までハラ減ってきたな。エリーゼ殿、ここの食堂のおススメは……
……エリーゼ殿?……え……?なんだあれは、いったい何がどうなって……

(なんだかすっかりペットの振る舞いが板についてしまっているエリーゼのご機嫌な尻尾を見ていると、こっちまで腹が減ってきた。鳴り出したお腹をさすりながら彼女の後をついていき。なにせ朝から、いや連日心身をすり減らしているのだ。早く食事したくてウズウズしていると急にエリーゼが顔を凍り付かせて立ち止まる。自分も彼女の視線の先に目をやると……同じく立ち尽くして。
バカエルフ!?なんだあの聖母のような優しい微笑みは……本当にバカエルフなのか!?驚くのはエリス本人ばかりではない。彼女の膝で眠る第二王女を視認すると冷や汗が出始める。第二王女カトリーナ・ローゼンベルク・フィリア。「王国の至宝」と謳われる美女だが中身は愚物と聞く。一方でさしたる有力な支持者は聞かない。奴はあの穴馬にすらなれない駄馬を支持しているのか?宮廷にも近衛隊にも与せずに?一体どうして!?信じがたい光景を目の当たりにして、口が半開きになって。)

なっ、クレアさん!?ううっ……!バカな、こんなバカな……!

(そうやって二人を見ていると急に顔を押さえてふらつき出して。目眩がしたのだ。あろうことか、第二王女を母親のように慈しむエリスがクレアに見える錯覚を覚えてしまったのである。バカな、クレアさんとあの女が重なるなんて……見てはいけないものを見た気がしたレドの顔は急に青くなり出して。)

……行きましょうエリーゼ第二団長殿。こんな雑兵、相手するまでもない。

(だが気がつけばエリスも元のしたり顔に戻ってエリーゼを侮辱している。やっぱり幻覚か。俺も疲れてるんだ……と思い直すと、背を丸めたままヨロヨロと歩き始める。どのみち王女の前で事を荒立てるわけにはいかない。エリスへの当て付けとしてエリーゼを役職付きで呼び、城門の警備などという副団長に似つかわしくない任務を行っていたエリスを「雑兵」と力無く腐すのが精一杯だ。先の死闘では羽織っていなかった白いケープをはためかせながら歩くとエリーゼの肩をそっと叩き、エリスを無視して立ち去ろうと促して。)

  • No.1172 by エリーゼ/エリス  2025-12-18 22:10:51 

>1171

そ、そうだにゃ…こんな所で道草食ってる場合じゃないのにゃ。

無視とは傷付くなぁ。君達が何を企んでいるのかは知らないけれど、せいぜいその結果が私を利することに期待しているよ。

(先を急ごうというレドの提案を聞いて、冷静さを取り戻したエリーゼはこくりと頷く。エリーゼにとって七席との比較は地雷であり、先のエリスの発言は彼女にとってペット扱い以上に癪だが、今は密命の最中。下らない挑発に乗ってエリスに情報を探られるようなことはあってはならない。そう決心が付くと、再びレドを先導する形で歩みを進めた。
そんな2人の背を見送りながら、エリスは不敵な笑みを崩さずに語りかける。言葉通りに何を企んでいるか知らないなんて事はなく、含みを持たせた言い方から分かる通り、エリーゼの警戒も虚しく実際には宮廷の意向を把握しているのだろう。第一王子派閥に身を置く分団長の派遣や、無名に等しい冒険者と宮廷の接触。レドに全幅の信頼を置き、ある種のフィルターがかかっているアリシアは例外として、それなりの情報収集力を持つ第三者目線からでは、宮廷が何かを企みそれにレドが関わっていることを察する程度は造作もない。無視された手前、当然ながら返事が返ってくる期待などしていないが、要するにこの性悪エルフは「全部知ってる。利害が一致しているから私の為にも頑張れ。」と神経を逆撫でするエールを送ってきたという訳だ。その意味に気付いたエリーゼの苛立ちはブンブンと揺れる尻尾に現れているが、それ以上の反応は見せない。言葉を送り終えたエリスもついには2人への関心は失せ、視線を王女へと戻すと慈しむような表情を浮かべて、割れ物を扱うような繊細な手つきで再び頭を撫で始めた。)

  • No.1173 by レド  2025-12-20 11:19:48 

>1172

ハッタリですよエリーゼ殿……獣人の貴女が近衛隊から出てきたんだ。誰もが怪しむことを自分だけ見抜いたと吹いて、優位に立とうとしてるだけ……ちょっと待っててください。

(エリスに手が出せぬまますごすごと立ち去ろうとした矢先、彼女の挑発を聞くと丸まっていた背筋を伸ばし、苛立つエリーゼに耳打ちする。第一王子派=宮廷の獣人が無名の冒険者を引き連れて、獣人禁制の近衛隊庁舎から現れたのだ。一目で怪しいと王城の人間なら誰もが気付くだろう。疑って当たり前のことをさも自分だけが見抜いているように振る舞ってマウントを取りたいだけ……という真相(であってほしいこと)を呟いて。
密命の事、察していようがそれは構わない。察した上で傍観者を気取ってる奴の態度が気に入らない!せめて口喧嘩で打ち負かしたい!眉間に皺寄せ、歯ぎしりすると、180度ターンしてエリスに鋭い視線を突き刺して。)

期待している?何を偉そうに。何も分かってないくせに超越者を気取りやがって。そうやっていつまでも脇から人を弄んでいられると---ちっ、またか!

(本来の粗野な口調でずけずけとエリスをなじりながら彼女に詰め寄る。そしてエリスを指差しながらさらに罵り眼前に迫ろうとするが……あと数歩の所で指差したまま止まってしまって。さっきの穏やかな顔と、王女が枕にして安らかに眠る膝。それを目の前で見ると振り上げた拳が下ろせない。今度ばかりは幻覚として片付けられない、またしても奴に負けてしまったと思い知らされると、苦々しく指差した手を下ろして。)

……クレアさん、まさか奴の中にもあるんでしょうか。正しさってヤツが……

(指差していた手をクレアからもらった金貨が眠る胸の上に添え、彼女の教えを思い出しながら呟いて。副団長エリス、どう見ても傍観者を気取って人を弄ぶバカエルフにしか見えないが……もしそうであったなら、王女がこうも安らかに彼女の膝で眠るわけがない。ますますこの女の事が分からなくなってしまった……ただの悪女であったなら、ただただ憎んで断罪できたものを。
それでもいつかこの女の心の内を解き明かし、その糸目を開かせてやる。そう胸の中で誓うとケープをばさりと翻しながらエリスに背を向け、エリーゼの下へ戻って。)

  • No.1174 by エリーゼ  2025-12-20 20:02:40 

>1173

取り付く島もないにゃんね……でも、レドくんカッコよかったにゃ!今回は相手が悪かっただけで、きっと常人なら押されていたに違いないにゃ。気を取り直して美味しいもの沢山食べるのにゃ!おすすめはハンバーグ定食にゃ~。

(「取り付く島もない」、レドが詰め寄った先にいるエリスの様子を見てエリーゼはそんな感想を漏らした。あれだけの近距離でなじられて聞こえていない筈はないが、まるで何事もないかのようにエリスは王女の頭を撫でるのみである。あの我が道を往く副団長が一度興味の失せた相手の言葉に耳を傾けるとも思えない、そしてレドもまた引くことはないだろう。そんな想像をしていたが、どういった心境の変化か、存外すぐにレドが引き返してきた。エリーゼはレドが戻ってくるなり、その肩を尻尾で撫でる。レドの何か考え事をしているかのような表情を見て、落ち込んでいるものと思っての彼女なりに励ましであった。レドの一歩先を歩いて先導しながら、エリーゼは努めて明るく振る舞い、空気を変えようと昼飯の話題に話を逸らした。)

  • No.1175 by レド  2025-12-21 12:57:38 

>1174

エリーゼ殿……へへっ、どうやらお互い気持ちよくメシが食えそうですね。副団長怖くて指南役が務まるかってんだ!


(未練がましくエリスの方に首を向けていると、肩にふわふわした感触を覚える。エリーゼが尻尾で撫でて励ましてくれたようだ。あのバカエルフに何か届いたとも思えないが、一方的にアレコレ言われたまま黙って去るよりはお互い気が晴れたかもしれない。エリーゼの励ましに応えるべく握った右腕を上げ、左手で右腕を叩くガッツポーズをしてみせると、悪ガキのような笑いを浮かべながら彼女の後を付いていき。思えばこんなガキ大将みたくドヤ顔で笑えたのは同年代の冒険者仲間と共に活動していた時以来かもしれない……エリーゼの励ましは確かにレドの気持ちを軽くしたのであった。)

  • No.1176 by エリーゼ/セレステ  2025-12-21 17:16:36 

>1175

そうにゃそうにゃ、その調子にゃ~。何事も恐れていては始まらないにゃ!

(まるでガキ大将のような振る舞いを見せるレドに、エリーゼはノリノリで調子を合わせる。レドと一つしか変わらない年齢ながら騎士団の分団長の地位に就いている彼女にとっても、同年代とのこうした関わりは希少なのだろう。まるで友達のような掛け合いを今や懐かしい騎士学校時代の青春に重ねていた。「何事も恐れていては始まらない」、レドの調子を上げるべくなんの気なしに口から出た言葉であるが、まさかこの言葉がすぐに自分に降ってかかるとは、この時のエリーゼは思ってもいなかったことであろう……)

それを食べたら私の執務室まで来てください、大切な用事があります。案内はソレがしてくれることでしょう。

(数百人が収容できる巨大な食堂、レドと共に人気のハンバーグ定食を受け取り席に着いたのも束の間に、エリーゼにとっての恐怖の象徴は現れた。ウェーブのかかった青髪に鋭い金色の瞳、そして何より目を引くのは、腰に携えた聖教国の意匠の刻まれた白い東刀。王国騎士団長次席補佐官にして第四席、「傷無し」のセレステである。現役の騎士の中でも間違いなく最強格に数えられる一人が、レドを視認するなり颯爽と目の前に現れたのだ。対してエリーゼはセレステの気配を察知した段階から既に喋らず、ただカタカタと震えるのみである。レドの案内を任されてもなお言葉を発することも出来ず、まるで人形かのように何度も肯定の意で頭を前後に振っていた。刻まれたトラウマは余程深刻な様子である。そんなエリーゼの様子を見て、セレステもまた、返事くらいしろと言いたげに不満そうに眉間に皺を寄せた。)

  • No.1177 by レド  2025-12-21 23:20:20 

>1176

うへぇ、すげぇな。騎士団の食堂ってのは。ギルドとは大違いだ……へへ、何はともあれメシだメシだ!いただきま……

(騎士団の食堂、大規模ながらも整然とした光景は雑多な雰囲気のギルドの食堂とはまるで違って見えた。ケープを背もたれに掛け、辺りをキョロキョロ見回しながら初めて見る光景を堪能する。そして子供のようにニコニコしながらおススメのハンバーグ定食にあり付こうとした矢先……エリーゼが凍り付いているのと、人の気配……青い髪の女の気配に気が付いて手が止まり。言葉すら発せぬほどに怯えるエリーゼを見て気配の主を察した……「番号付き」の四番手にして神竜すら傷つけられぬと言われる騎士団最強格。そしてクレアさんの元部下……次席補佐・セレステ、エリーゼにトラウマを植え付けた張本人だ。
エリーゼを「ソレ」と呼び、冒険者にとって数少ない楽しみである食事を邪魔して、そして部下ではない自分に対して名乗りもせずに一方的に用件を押し付ける。クレアさんの教えを受けたとは思えない傲慢な態度にはエリーゼ抜きでも腹が立つ。すっと立ち上が……らずにナイフとフォークを再び動かして。)

あの、失礼ですがどちらさまで?なにやら私をご存じのようですが、私は現在近衛隊副長・アリシア様の指示のもと行動しております。御用のおもむきに関してはアリシア様のお許しを得てからにしていただきたい。
そもそもご覧の通り私は食事中です。他人の食事中にやむを得ず用件を伝える時は、まず非礼を詫びて名乗るのが騎士の作法ではないのですか。

(どうやら向こうはこちらを知っているようだが、そもそもレドはアリシアと契約した外部の技官である。名乗りもしない無礼な人間からアリシアの頭越しに指示を受ける筋合いなど無い。セレステのことは見向きもせずにハンバーグを口に運び、敬語でセレステの無作法を指摘して。口調こそお行儀良くしているが、全身から纏う雰囲気は冷たく他人を寄せ付けない、本来の荒くれ冒険者のそれだ。)

  • No.1178 by エリーゼ/セレステ  2025-12-22 00:37:49 

>1177

にゃにゃにゃ…!レドくん…にゃにを……

ああ、それは失礼致しました。私はセレステ、次席補佐官を務めている者です。今は詳しくは言えませんが、これは貴方にとっても大切な用事です。勿論私が強制出来ることではありませんので、貴方のご意思に判断は委ねますが…来なければきっと面倒事になるとだけ言っておきましょう。アリシアさんに関してもご心配なく、むしろお喜びになるかと。

(レドの見せた素っ気ない態度に、隣に座るエリーゼはセレステへの恐怖心から顔が青ざめていたが、そんな扱いを受けた当の本人、セレステは特に腹を立てる様子もなく、むしろ納得したようにポンと手を叩き素直に受け入れて訂正してみせた。レイラの我儘を聞いてあげている手前、その弟子が指示に従うのは当然というスタンスで話を進めたが、レドの立場に立って考えてみれば、事情を知らない状態で行動を強制されることは良い気分ではないのだろうと、そして、無知無学な冒険者(セレステの偏見)、それもあのバカ(レイラ)の弟子ならば王国十騎士に名を連ねる自分を知らなくても何ら不思議ではないという、悪意なく失礼極まりない誤解を同時にしていた。典型的な聖教徒らしく人間種には優しいことで定評のあるセレステだが、レドには誤解に起因した哀れみの視線を無意識に向けてしまう。
レイラのサプライズ成功のためにもどう誘導すべきかとセレステは頭を捻りながら、言葉を選んで説得を試みる。レドが来なければレイラが癇癪を起こすことは想像に難くない…そのままの意味での面倒事になるという意味なのだが、言い終えた後にまるで脅しのようなニュアンスであることに気が付くと、アリシアが喜ぶような内容であると補足した。これは、兼ねてよりレイラと親睦を深めることを狙っていたアリシアにとって、レドを貸し出すことでレイラのご機嫌取りが出来るのだから、きっと事後報告でも構わないだろうという考えであるが、やはり事情を話せないことがネックとなって政治的な意味に捉えられかねないことにセレステは内心で辟易していた。)

  • No.1179 by レド  2025-12-22 20:07:13 

>1178

…………。

(目を閉じたままセレステの主張を聞き、付け合わせのブロッコリーを咀嚼して。口では「判断は委ねる」と言っておいて、実際は権威と脅迫により選択を押し付ける。しかもどうやら冒険者である自分を見下しているようだ。これを無自覚のうちにやってるのが腹立たしい……傲慢な権力者ムーブに不快感を覚えて眉間に皺を寄せて。口の中でブロッコリーを転がしながらクレアと聖教国司祭の揉め事の噂を思い返す。ギルドで狼藉を働いてクレアさんに酒をぶちまけられ、その腹いせで権威を盾に依頼を押し付けた司祭とこの女は同類だ。クレアさんの教えを受けたくせにあの人から何一つ学ばなかったんだな……どこまでも腐りきった奴め。かつての部下が人々を苦しめている姿を見たらクレアさんも悲しむだろう。あの人のためにもこの女……斬る!
……という蛮行を働くわけにもいかず、固茹での緑の塊を歯で噛み潰すことで殺意を抑える。水を一口つけてそれを流し込むと布巾で口を拭い、すっと立ち上がって。)

「傷無し」のセレステ殿でしたか。これは失礼いたしました。しかし重ねて申し上げますが、私もアリシア様から近衛隊指南役の任を賜り、彼女の指揮下で行動する身の上。いくらセレステ殿のお頼みといえどもこの場ではいそうですかと同行してはアリシア様の面目が立ちませぬ。正式な要請であれば、まずはアリシア様に権限と目的を明記した書面を通してからにしていただけますかな。

(頭を下げてセレステに詫びつつも、再度アリシアの許可を要求して。用件も言わずに独断で近衛隊指南役を連れ回す無礼に従ってはアリシアやエリーゼのためにならない。苦笑いを浮かべ穏やかに話してはいるが、この場でセレステに従う気は一切見せないのであった。)

  • No.1180 by エリーゼ/セレステ  2025-12-22 23:50:13 

>1179

はぁ……分かりました。そちらの事情もあるのでしょう、速やかに手続きを済ませますので後ほどアリシアさんに確認してください。

(エリーゼはすっかり白目を向いて動かないがそんなものはどうでも良い。その横で、頑なにこの場で了承しないレドの姿勢を見て、師匠(レイラ)が頑固なら弟子も同様だなと、セレステは思わず溜息を吐いた。王城内の政になんら関係のない外部の人間だからこそ簡単に動かせるものと考えていたが、この様子だと着任早々に既に何かしらに巻き込まれているのだろうと察し、今まさしくレイラのせいで振り回されている自分と重ね合わせて少しばかり同情を寄せる。渋々と言った様子でレドの要求を呑むと、手続きの為にその場を離れようと背を向けかけるが、ふと思い立って一つの質問を投げかけた。)

クレア先輩はお元気でしたか?

(レイラの弟子ともなればクレアと何らかの関係を持っている可能性は十分に有り得る。そうでなくとも、S級冒険者の近況ぐらいは同じくデュランダルの冒険者ならば知っていてもおかしくない。そうした可能性を踏まえての何気ない質問であった。アリシアが反対する可能性は限りなく低い為、この後またレドとは顔を合わせることになる筈だが、現状のクレアとレイラの関係が複雑なことくらいは噂に聞いている。故にレイラがいない今しか聞けない内容なのである。かつての憧れであった先輩が、恋人を失って以降長らく落ちぶれていた筈が最近になって、自らの信仰の聖地である聖教国からの依頼を見事にこなしたと聞く。きっと何か良い意味での心境の変化があったのではないかという淡い期待を寄せて、返答を待つセレステはその金眼を少しだけ輝かせた。)

  • No.1181 by レド  2025-12-24 07:10:48 

>1180

エリーゼ殿、起きてくださいエリーゼ殿。
……セレステ殿、お心遣いは感謝いたしますが何も個人的な事情でお頼みしているのではございませぬ。これは同じような事があればいつ、どなたにでもお願いしていたこと。指揮系統と目的を明確にした上で主から離れなければ、主を蔑ろにすることになってしまいますから。
クレア殿に関しても……私からはあれこれ申し上げられません。あの方は今も悩んでおられる。他人が軽々しく語ればあの方を傷つけることになりますから。ただ……クレア殿は正義の剣よりも、傷ついた人の隣に立つ剣を選んでおられる。それだけは申し上げておきます。

(セレステに逆らったからなのか、気絶してしまったエリーゼを起こそうと彼女の肩を揺さぶって。それからセレステに向き直ると、自分の越権行為をこちらの事情の問題にすり替えてくるセレステにやんわりと「事情は関係ない、一般論だ」と釘を刺して。
クレアの話も首を振って、多くを語らないようにして。どうもセレステは自分が正しいと信じて疑わず、無自覚に人を見下し、自分の都合よく物事を解釈するタイプらしい。はっきり言って自分の正しさを疑いながらも人に寄り添い続けるクレアさんには相応しくない女、酒を浴びせられた司祭と同じく彼女に拒絶される存在なのだ。むやみに語ってコイツの自己正当化の材料にされたら、クレアさんはますます傷つく……と考えながら、言葉を選んで慎重に話して。)

  • No.1182 by エリーゼ/セレステ  2025-12-24 12:01:44 

>1181

はぁ…
そうですか…もし先輩と会う機会があれば、くれぐれもお身体に気を付けてとお伝えください。それでは、また。

(自分に向けて釘を刺すようなレドの言葉に、セレステはまともに聞く気がないのか視線を明後日の方向に逸らした。レドの言ってることはご尤もだが、セレステの立場からすれば、単にそっちの身内のバカを迎えに来いと言うだけの話なのである。そこに何か別の目的がある訳でもなく、お迎えに許可もなにも必要はない。事情を話せればここまで話が拗れることもないのに…と視線を逸らしたまま再び溜め息を吐いた。いっそ全部話してしまおうかとさえ思ったが、レドの驚く様を想像しながらウキウキと侍女服に袖を通していたレイラの顔を思い出すと良心が痛む。そもそも、問答無用でレイラを城から叩き出せば良かったものを、こうして自ら面倒事を引き受けてしまった自分の甘さに無性に腹が立つ。その苛立ちを間違ってもレドへ向けてしまうことがないように視線を逸らしているのだが、傍から見れば態度が悪いように映ることであろう。そして、クレアの話へと移るとやっとセレステは視線を戻すが、期待していたような返答は得られずに僅かに輝いていた瞳も残念そうに色褪せた。しかし、レドの発言の意図は分かりかねるが、「傷ついた人の隣に立つ剣を選んだ」という言い回しには少しだけ興味を唆られる。かつて、副官だった自分とクレアが方針を巡って初めて口論となった農民の大弾圧。その時に持ったクレアの印象は正義と秩序を重んじる堅物……時を経て、もしくは何かのきっかけで良い意味での変化があったのだと思い至ると、セレステの心にはほんの僅かに温かな感情が芽生えた。顔には出さず、最低限の社交辞令上の口上をレドに託し、ついにセレステはその場を後にする。)

んにゃ……はっ…!気を失ってたのにゃ…もうあの人はいないにゃんね。うぅ…レドくん、食欲がなくなったからハンバーグあげるにゃ。

(セレステが立ち去ってしばらくして、エリーゼはハッとした表情で目を覚ます。辺りを見渡せばセレステはレド達の席から遥か遠く、食堂の出入口付近でなにやら首席と痴話喧嘩(日常と化した光景のため騎士達にはそう揶揄されている。)しているが、それだけ離れていればエリーゼの精神状態に問題はないようだ。しかし、受けたショックのせいで二日分の食欲はどこかへ消え、ブロッコリーを一つ自らのフォークに刺すと、それ以外を皿ごとレドに寄せた。)

  • No.1183 by レド  2025-12-26 15:35:42 

>1182

……行ったか。エリーゼ殿すみません、あんまり力になれなくて。にしても次席補佐め、分団長を召使いみたいに扱うなんて。そもそもなんの用事……

(一礼し、立ち去るセレステの背中を静かに見つめ、ため息を吐いて。心なしかクレアの話題の時は穏やかに見えた。ただ気配りと余裕が無い女なのかもしれない。であれば共にクレアを慕う者同士で親しくなれる……ある一点さえなければ。
着席すると、いまだセレステへのトラウマを負い、食欲を失くしハンバーグを寄越してくるエリーゼに眉尻を下げて詫びて。それから遠方にいるセレステを苦々しく見つめ……ていると彼女が口論しているのが見えた。その相手の……見覚えのある覆面男を指差しながら、エリーゼに尋ねて。)

え、エリーゼどの?あのマスクマンはいったい……

  • No.1184 by エリーゼ  2025-12-26 17:02:13 

>1183

あ、謝らないでほしいにゃ!レドくんが負い目を感じることじゃないのにゃ。

(何ら非がないにも関わらず誠実な対応で詫びるレドに、エリーゼは目を丸くして慌てた様子でそれを止める。書類上の一時的な関係とはいえ主従関係にあるにも関わらず、こうして会って日も浅い自分に気を配ってくれる。そんなレドの人柄にエリーゼの警戒は僅かに解けつつあった。一呼吸置いて落ち着きを取り戻すと、続けられたレドの質問に答えて。)

あのマスク男はヴァルター殿。今の首席補佐官で、最も強く美しき獣人…を自称してる変人にゃ。美しいとは欠片も思わにゃいけど、強いのは確かなのにゃ。一度手合わせしたこともあるけど、私の剣がかすりもしにゃかった…にゃはは。
たぶん、あの人に攻撃を当てられるのは団長と前任のクレアさんくらいかにゃ?

(レドが指差す仮面の男、ヴァルターに視線を向けながら頬杖をついて、エリーゼは彼への私見を述べた。嫌いとまではいかないもののあまり良い印象は抱いていないようで、最も強く美しき獣人を自称する変人と、そう彼を語るエリーゼは苦笑いを浮かべている。ただ、自らの経験から彼の剣の腕は認めているようで、エリーゼの見立てでは勝負が成り立つのが団長とクレアぐらいのものだと断言した。クレアに関しては全盛期を基準にしているが、どちらも王国の剣士の最高峰と言っても差し支えない。それに準ずる技量を持っているからこそ、ああしてセレステを怒らせることに何ら危機感すら覚えていないのだろう。)

  • No.1185 by レド  2025-12-26 20:18:06 

>1184

ヴァルター……そうかあいつか!しっかし奇天烈な仮面だなぁ、顔隠して何が美しいだよ。
……バカエルフの次はバカマスクか、揃いも揃いってどっから拾ってきたのやら……おもしろくないっ!

(エリーゼの説明を聞きながら自分のハンバーグをがっついて。あれがクレアさんの後任の仮面男ヴァルターか……見た目も中身も変な男だなぁ、騎士団の上位者はろくでもない連中ばっかりだ、とヴァルターをジト目で見ていたが、彼の強さの話になると急に真顔になって目を見開いて。団長とクレアさんしか敵わないだと!?次席補佐セレステですら相当出来る女と見ていたのにそれ以上とは……そして糸目野郎より上なのか。面白くなさそうな顔で一気に自分の皿を空にすると、エリーゼのハンバーグに視線をやって。)

……エリーゼ殿、食べましょう。食事は剣に油を差すみたいなものだ。剣士は食べたくなくても食べなきゃいけない。食べて力つけて……連中を追い越しましょうよ。


(エリーゼはヴァルターも好かないらしい。いけ好かない性格の相手に剣士としての自信を折られたらそうもなろう。次席補佐はいわずもがな、バカのくせにエリーゼをバカにするバカエルフ、そしてあの仮面男……嫌な上司に囲まれ、宮廷からはペットとして送り出されてはエリーゼも気が滅入るだろう。せめて自分が出来る範囲で彼女を元気づけてやりたいと、差し出されたエリーゼのハンバーグの皿を戻して、微笑んで。)

  • No.1186 by エリーゼ/ヴァルター  2025-12-27 17:01:41 

>1185

…分かったにゃ。もっと強くなって、みんな見返してやるにゃ!

(レドの説得に応じて、すっかりスイッチの入ったエリーゼはようやく食事に口を付けた。美味しそうにハンバーグを頬張っていると、今しがた話題に上がった人物、ヴァルターが軽快な足取りで二人に歩み寄る。既にセレステの姿はなく、暇を持て余しているのだろう。)

久しいなエリーゼ。ジェラルド殿下との会食以来か。良い良い、若人は沢山食べなくてはな。
して、其方の若人はもしや…噂の指南役とお見受けする。我が名はヴァルター!最も強く美しき獣人だ。しばらくはこの城で顔を合わせる機会も多いだろう。よろしく頼む。

(断りなく二人の正面の席に腰掛けたヴァルターは、まず目に入ったエリーゼの食に対する姿勢を褒めると、満足そうにうんうんと頷いた。対するエリーゼは「久しぶりにゃ。」と短く返すだけの塩対応である。その声色からは、面倒なやつに絡まれたという心の声が漏れ出ているかのよう。そんな様子はお構いなしに、ヴァルターが次に目を付けたのは指南役を引き受けたばかりのレドであった。二十歳そこそこの年齢でその任を引き受ける例は稀で、内情に詳しい騎士団の上位者レベルには既にレドの存在は知れ渡っている為である。高らかに名乗りを上げたヴァルターは、表情すら読み取れないその気味の悪い仮面の瞳にレドの顔を映しながら、己の手を差し出して握手を求めた。)

  • No.1187 by レド  2025-12-28 15:40:34 

>1186

おいでなすったか、マスク怪人!

(エリーゼに食欲が戻ってほっとしたのもつかの間、あの仮面男が迫り来るのを見てぼそっと呟き。噂をすればナントヤラとはよく言ったものだ。やたら足取りが軽いわ勝手に正面に座るわ、なより疫病対策に使われるという嘴みたいなマスクが実に不吉だ。もう騎士というより怪人に見える。とはいえ騎士団の高位者に粗相もできない。まずは目の前に着席したヴァルターに一礼して。
エリーゼと共にジェラルドと会食したということは、こいつも第一王子派らしい。そして獣人……意地悪ジェリーちゃんはケモナーなんか?と淡々とした表情の下で分析していたが……)

噂の……?なんと、私をご存知でしたか首席補佐ヴァルター殿。近衛隊指南役レドと申します。よろしくお願いいたします。

(こちらを把握しているヴァルターの発言に目を丸くして。どうやら俺の話は想像以上に騎士団の中で広まっているらしい。ひょうきんなくせに、仮面のせいでバカエルフ以上に表情が読めない。そしてエリーゼの塩対応からして次席補佐とは別ベクトルで厄介な相手なのだろう。そんな相手にこちらを知られているのは癪だが、まずは礼儀正しく挨拶してから手を差し出してきたヴァルターと握手して。)

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