トピ主 2024-07-26 06:44:45 |
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んにゃ、レドくんが嫌ならそうするにゃ。それじゃあ案内するにゃ~。
(レドの要望に頷いて呼び方を戻すと、エリーゼは軽い足取りで食堂までの道中を先導する。空腹を満たせることが余程嬉しいのだろう、レドの目の前で彼女の尻尾が右へ左へとリズミカルに揺れていた。これ程の仕打ちを受けてもすぐに切り替えることや、一時的なものとは言えペットの身分にすんなり適応するなど、エリーゼもまた不憫な扱いに曝され過ぎて人格が歪んでいるのだろう。人懐っこい仕草の裏にはそんな闇が潜んでいた。
雑談もそこそこに、近衛隊庁舎を出て、騎士団の本庁舎へと繋がる長い渡り廊下に差し掛かる。渡り廊下の脇、薔薇の咲き誇る庭園にエリーゼはふと視線を向けるなり、思わず顔を引き攣らせた。ベンチに腰掛け、自らの膝を枕にして第二王女を寝かしつけているエルフの姿…レドにとっては本日二度目のエリスとのご対面である。門の修繕が終わったことでようやく臨時の警備任務から開放されたのだろう。その間に癇癪を起こした第二王女との埋め合わせの最中なのだが、心地良く眠る王女の頭を撫でるエリスの表情はいつもの腹の立つニヤケ面ではなく随分と温かいものであった。のも束の間に、エリスはレド達の気配に気付くなり口角を吊り上げ、侮蔑の意を孕んでいるかのような見慣れたニヤケ面へと戻る。)
やあ少年、奇遇だね。それと七席のおまけの子。私になにか用かな?
っ……な、なんでもないのにゃ…たまたま目に付いただけで…
(エリスは当然の疑問を投げかける、単に挨拶する訳でもなくただ視線を向けられたとなれば何か用事があるのではないかと勘繰ったのだろう。まずはそれなりに印象に残っている将来有望な若者のレドから声を掛け、次にさして興味のないエリーゼ。エリーゼに至っては名前も覚えていないかのように振る舞い、第二副団長である七席のおまけという不名誉なあだ名で呼ぶ始末だ。性悪エルフのそんな扱いには、さすがのエリーゼもご立腹なのだろう、苦笑いを浮かべて視線を逸らしながらも、握った拳が怒りと悔しさで震えているのが分かる。)
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