トピ主 2024-07-26 06:44:45 |
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…レド…さん?…ひっ…
(いつまで経っても殴られるどころか罵声の一つもない。恐る恐る顔を上げると、瞳孔を開き切ったレドと目が合い、反射的に小さく悲鳴を上げてびくりと身体を震わせる。きっとこれがレドなりの向き合い方なのだろう。そうとは分かりつつも、心の奥底では報復的手段を以ての救済を求めていたクレアにとって、それはあまりに残酷な現実であった。レドが救いを与えてくれないのなら、いっそ自分の手で…と無意識に腰に携えた剣に手を伸ばす。リンゴの皮剥きと同様、首を落とすにしても、腹を貫くにしても、クレアの技量であれば柄に触れた瞬間に事は済む。本能的な生への執着からか、柄へと伸ばしつつある手には僅かな躊躇があった。)
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