日ノ本に残花 〆

日ノ本に残花 〆

梔  2019-05-10 21:27:49 
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  • No.61 by 榊 誠  2019-08-30 21:34:38 


>>梔

(階下へ着くと当然のように出迎えてくれる部下と茉莉花。部下も自分に傷付けられたと言うのに純真に笑顔を向けてくれて、今はその笑顔が眩ゆすぎて目を背けたくなる。察しの良い茉莉花は何かを感じ取ったのだろう。部下を制して此方を気遣う問いに眉を下げては困った笑顔を向けて「…今から散歩がてら梔の傷の具合を診てもらってくるよ。茉莉花、来てくれてありがとう。…君も良く療養するんだよ。」と明確に大丈夫とは答えることなく茉莉花と部下にそれぞれ言葉を向けるも顔は合わせているようで目は合っていなく。『さ、散歩って…、』と戸惑いの色を見せる部下に苦笑を向けつつ背を向けては歩を進める。茉莉花は眉間に皺を寄せると梔の右肩を掴んで『…散歩で済ましとうせ。』と小声ながら強い意志を込めて言い肩からゆっくり手を離して。
寂れた廃墟地を抜けて暫く、特に会話をすることなく少し賑わいのある街を横目に路地裏に入っていくと抜け道を通り細い階段を下った先にある古びた木製の扉の前まで来て。ドアノッカーに手をかけトン、トトン…と特異なリズムを刻んで叩くこと暫く、ギィと音を立てて扉が開き中から白衣を着たヒョロリとした初老の男性が顔を出し。この男性は闇医者であるがこの界隈では名医でありヤマトも先代のころから世話になっていて。男性は自分たちの顔を見るなりニコリとして中に通してくれ奥の治療室の椅子へと梔に座るよう促し。『また派手にやったみたいだねぇ。…と、なんだい。お前達、喧嘩でもしたのかい?まあいいよ。とりあえず治療するから上だけ脱いでおくれね。』とまだ梔の身体に触れてもいないのに刀傷を見ただけで全て見透かす口振りで言うと痛み止めを打った腕に意味深に視線を落としてからテキパキ治療の準備に取り掛かり始め。その準備を見届けたあと「…丁寧にお願いね。」と一言残しては彼の傷から目を背けるように治療室から出てすぐ隣の待合室へと足を向けて。)

  • No.62 by 梔  2019-09-01 12:07:25 


>>榊

嗚呼、…ありがとう兄貴。(未だ狼狽える部下と茉莉花にその場の処理等を頼み、上記を一言だけ残してその場を後にする。その謝辞は何に対しての言葉なのか朧げに掴みとった茉莉花は、二人が去った後に現れた応援へ部下を頼み、それともに現場の処理を始める。心の中ではもう一人の自分へ謝辞をくれた相手…自分がいくら傷つき、不穏な影の前であれど他人への心遣いや状況判断の鋭さが消えることはない彼、己が兄弟が互いに思い馳せる榊の様子に引っかかりを覚えるが、今の自分にできることは弟に彼を任せ、安心して帰って来られる場所を構えておくこと。応援に来てくれた部下達も、怪我をした部下から彼が帰ってきた事を聞いて安心した様子を浮かべる者ばかりで、それも難しくはないだろうと思えば自らも作業に加わって。
何処か息苦しさのある静寂の中、訪れた木の戸は馴染みがあるもので笑顔で出迎えてくれた闇医者の言う通り上着を脱いで椅子に座る。徐々にではあるが痛み止めも効力が切れかかっているのか、鈍い痛みが身体中から響いてくるのを感じ取り目頭を抑えるが、彼が立ち去ろうとしているのが視界の端に映ると思わずそれを追いかけそうになる。『こら、どこへ行くんだい。お前はまず治療だよ、お前のボスも言ってただろう?』しかし、ぐい、と襟首を掴まれたことによってそれは阻止される。『お前は全く…若さにかまけて怪我してるとそのうち治らなくなるよ。人の体は無敵じゃないんだからね。』「いっ…!!」バシバシ、と少し乱暴に見えて的確な消毒液を含ませたガーゼで怪我の周りを消毒していく中でかけられたその言葉は耳が痛い一言、自分でももっと考えて戦闘に臨むべきだとは考えているがどうしてもじっとしていることができない己の未熟さが勝り、今回もこの有様である。俯きながらその事実を噛み締めじっと治療を受けて)

  • No.63 by 榊 誠  2019-09-01 22:21:26 


>>梔

『はい、出来た!…それでお前んところのお頭さんは何であんな辛気臭い顔してんだい?って言えないか。……随分強い痛み止めを打ったようだけど今晩は覚悟しときなさいね。数日は安静。分かったかい、坊や。』
(闇医者は的確な治療を終えると相手の腰をバンッと叩いて陽気に笑い、軽い調子で続ければ相手の顔を覗き込み目尻の皺を深くして口元を緩ませつつ静かな圧を掛けて。それからササッと片付けを済ませると『お頭さんを呼んでくるから待ってなさいね。』と声を掛けて治療室に相手を残し部屋を出ていって。
待合室、壁際にある長椅子に腰掛け一人気持ちの整理をしているところ闇医者が近づいてきて梔の傷の具合や痛み止めの副作用について聞かされる。それと共に傷薬を渡され何故自分に、と顔を上げれば『この後も暫く一緒にいるんだろう?…可愛い部下たちを大事にしないと駄目だよ。』と。更にしっかり多額の医療費を請求されれば思わず苦笑が漏れ、この闇医者には敵わないなと思うと共にほんの少しだけ心にゆとりが生まれた気がして。そのあと暫く世間話をさせられ闇医者に後で治療費を払う旨と礼を言っては背中を押される形で未だ少し気が引けながらも彼の元に足を向け。「…梔、」コン、と開けっ放しになっていた治療室の扉を軽く叩いて彼に話しかけ静かに名を呼ぶと、彼と目が合うよりも先に視線を横に流し「…此処には長居出来ないから、そろそろ行くよ。」と何処にと行き先は言わずにいつもなら傷の具合や体調面を気遣う言葉を添えるのを目を合わすこと無く足先を外へと続く扉に向けて。)

  • No.64 by 梔  2019-09-03 22:18:21 


>>榊

(彼を呼んでくる、と一人残された治療室の蔦が絡まる窓から外をぼんやり眺めつつ、これからのことについて考える。自分の傷は治療すれば治る。しかし、彼の心についた傷はどうだろうか、深々と刺さった今回の一件は簡単に癒えるようなものではない。それは、いつもは月をも見通さんとする曇り一つない叡智の瞳が、美しくも憂いを帯びて伏せた睫毛に隠れてしまっていることが何よりも多くを語っている。そして、新たに分かった『大蛇』への情報…つい先程処理をしていた部下から少ないながら大蛇に関する情報が2、3ほど入手したとの連絡があったばかりだ。彼ならきっと立ち直ってくれるはずだ、と信じる反面、もし立ち直った後には大蛇を潰す為に無茶をされるのではないだろうか、と不安に思う気持ちもある。自分の…先代を手にかけた敵らの敵討ちを実現させてくれた事もあり、なにより彼の復讐だというのなら自分の全力を持ってそのお手伝いをしたいのは当然だが、今の自分の実力で彼を守ることができるのか?そんな悩みを頭の中で整理していると聞こえてきた彼の愛しい声。「承知。」彼の視線が自分に向かないのは気付かないフリをして僅かに微笑む。このくらい、何ともないです、そんな意味をこっそりと込めて。「…榊さん、この間してくださった“出掛け”の約束、今使っても構いませんか」今きっと彼に必要なのは、静かな空間と、穏やかな時間。彼がこの約束を飲んでくれたのなら、自分の知る限りで一番の場所へ案内しよう。そう決めて上記の誘いを彼の後に続いて闇医者の戸を抜けた後に提案して)

  • No.65 by 榊 誠  2019-09-04 20:45:17 


>>梔

(彼のたった一言の返事、文字にして2文字のその言葉は此れまでに何度も自分に向けられた言葉であり、変わらぬその言葉から彼の己に対する信頼が、想いが伝わって来て胸にじわりと染み渡る。それでも振り返ることなく歩を進め、彼が後ろから付いてくるのを感じながら闇医者の戸を抜けて細い階段を上がっていき。と、階段を上りきった辺りで不意に彼から声を掛けられたかと思えば、それは思いがけない誘い。思わず振り返ってははたとすぐ視線を横へと流して。彼からの…本来であれば此方からしなければいけない気遣いを怪我人である彼に背負わせていて不甲斐ないばかりだが、此処でまた彼に背を向けてはいけない気がした。まだ正面から彼と向き合う覚悟は出来ていないが、『榊誠』として己を見てくれた彼に、その彼くれた機会をふいにしてはならない…、そう思えば微かに目を伏せ「その誘い方はずるいよね…。」と聞こえるか否かの声量で呟いたあと彼へと少しだけ顔を向けて「…傷に触るようならアジトに帰らせるからね。」となるべく普段と変わらない緩やかな声色で告げて先に彼を通すよう道を開ける。この後は彼の療養のためにも自宅で休ませるつもりだったが…、一体彼はどこへ行こうと言うのか。全く想像も付かぬままこの後どう彼と向き合うかに思考を巡らせて。)

  • No.66 by 梔  2019-09-07 11:33:53 


>>榊

ありがとうございます…こちらになります。(あぁ、今日は我儘を言ってばかりだな、と彼の少しだけこちらを向いてくれた横顔を前に反省しながら彼の前に出る。閑散とした路地裏の道をさらに一本奥に入り、しばらくすると錆びと蔦で元の素材が見えなくなってしまった建物が見えてくる。割れた窓ガラスや朽ち落ちた壁、天井の部分からは緑が芽吹き、夕焼けが迫ってきた橙色の光が差し込んで妙な空間を作り出している、そんな建物の中へ続く扉の前に立つと「お手をどうぞ」と彼に向き直り手を差し出して。
中のある壁の一面は仮にも建物の中ということを忘れるような雨水の小さな滝とその水溜り、名前など分からないものの見事、きれいに咲き揃った雑草の花達、そこに寄る小さな蝶…自然と廃墟が一体化したような不思議なそこへ彼を案内し終えると眩しげにそこへ差し込む夕日を一瞥して「…俺、ここの妙な雰囲気が好きなんです。静かで、落ち着いてて…誰も来ない所も。」振り返った視界に映る彼は、水に反射した夕日と蝶の薄い羽から落ちる鱗粉を纏い、美しく見えた。今は憂いを帯び、深い悲しみと混乱を写す瞳であれど、自分にはこの一件が起こる前と、今の彼の美しさ…心身とものそれに変わりは無い。「誠さん、貴方はお優しい。貴方の今の心境を残念ながら自分は察し切れるものではないと思っております。…ただ、これだけはお伝えしたいんです。自分の忠誠は朽ちておりません、他の皆もそうです。自分が貴方を疑ってしまった時、部下が敵に捕まった時、貴方は自分達を見捨てたりせず、暖かく手を伸ばしてくれました。そんな貴方に我々は付いて行こう、貴方を支えたい、と思ったんです。

  • No.67 by 榊 誠  2019-09-11 20:16:18 


>>梔

(彼の怪我や体調を心配しつつ後ろを一定の距離を保って歩いてついていくと蔓に包まれた建物に辿り着く。その怪しくも不思議と心を引きつける外観に目を奪われながら差し出された手に数秒の逡巡のあと自分の手を重ねて建物内へ足を進め。
扉を潜り建物内へ足を踏み入れ少し俯かせていた顔を上げた瞬間、広がる光景に小さく目を見開き息をのむ。まるで外界から切り離された絵画のような神秘的な空間は、外の薄汚れた世界、人の醜い謀略や陰謀、殺戮が蔓延る世とは全く無縁の場所を思わせ、真の己を暴かれて見透かされる畏怖を感じさせながらも如何なる人間も平等に無償で迎え入れてくれる神聖さを感じて。そんな光景に心奪われていた時、耳に届いたのは決してこの空間を邪魔することのない彼の透き通った優しく澄んだ声。小さな滝の水音と溶け合うその声色に引き寄せられるように視線が絡めば、ドクンと鼓動が跳ね上がる。───ただ綺麗だった。夕日に煌めく艷やかな黒髪が、その瞳が、佇むその姿が、そしてその心が…。朽ちてはいないと言う彼の言葉通り確かに其処には一輪の花が咲いていて彼の言の葉がしとりと胸に染み渡るのと同時に己の愚かさが浮き彫りになるようで息が詰まって。それでももう目を逸らすことはなく彼の言葉を受け止めるといつも緩く飾った微笑みではない、静かな微笑みを向けて。「ありがとう、梔。…君たちの忠誠心は疑ったことはないよ。特に君はまっすぐに俺を見てくれて今回の1件も君なしでは終結には至らなかった。他のみんなも俺を信じてヤマトの為によく動いてくれてるし、みんなの信頼は痛いほど感じてるよ。俺には勿体無いくらいにね。」視線を流れ落ちる滝へと移し穏やかな声色で話すと最後に眉を少し下げて微笑みを零し。そして彼へと視線を戻すとゆっくり歩を進めて彼の前まで来て視線を合わせたままその頬へと手を伸ばす。触れる瞬間自分が触れたら朽ちてしまわないか、そんな不安から微かに指先を震わせつつひたりと滑らかな肌に触れて「……俺の傍にいるとまた傷つくかもしれないよ?」と。そう、一番の懸念は己の弱さで再び彼らを傷付けてしまうこと。彼や部下たちが弱くなくないのは知っている。ただ危険に晒すことは変わりない。不安なのだ。自分がいることで大事な仲間を、彼を傷付けることが。しかしそれを理由に頭領の立場を簡単に背けないのも理解しているため混迷していた。その不安を口にすることなく彼の頬に触れる手を今は治療された肩へと滑らせると優しく撫でて微かに揺れる瞳で彼を捉えて。)

  • No.68 by 梔  2019-09-14 16:46:00 


>>榊

(ゆるりと春の渓流を彷彿とさせる彼の微笑みはいつもの穏やかなそれとはまた違う魅力を帯びた、静かな笑みに心の奥がジワリと熱を持つ。彼は、こんな風にも笑むのか、と鼓動がうるさく鳴り始めるが、彼の穏やかな声は秋空の下で舞う風のようにそれを鎮めてくれる。彼の声だけではない。仕草や言葉の端々に隠された思いやり、彼の一挙手一投足に常に自分は陶酔し、全てに従う。崇高な彼の意思と比べると浅ましさしかない自分のそんな心情に恥を覚えることは多々あるが、それでも彼のそばに居られるなら安いものだ。「構いません。」彼のしなやかな指先が震え、僅かに不安という波紋がその澄んだ瞳を揺らすことが、何を意味するのかは重々承知している。彼のその問いは、痛みを、今までずっと頑強に押さえつけていた心の悲鳴を奥底に含んでいるように聞こえた。肩に置かれたその美しくも強い手にそっと自らの手を重ね「自分が一番恐れるのは怪我よりも、あなたの側にいられなくなることです。…どうかまた、自分をあなたのお側に置いてくださいませんか…?」と言葉を続けながらその繊細な指に自分の指を絡めて手を握り、?には自然と微笑みを浮かべて彼を見つめながらその場にゆっくりとかしづいて。)

  • No.69 by 榊 誠  2019-09-18 20:12:33 


>>梔

(彼の凛と澄んだ声が空気を震わせ、風となってふわりと己の中の惧れを包み込み吹き浚っていく。真っ直ぐ迷いのない念い──、絡まる指先から伝わる熱に万感胸に迫り微かに瞳を震わせては目を伏せて。愚生にはあまりにも勿体ない彼の弛みない忠誠心がいつか彼自身を傷付けてしまわないか…その懸念は拭えぬが我慾が許されるのであれば今一度この手を取りたい…。微かに聞こえる小さな渓流の音を聞きながら静かに瞼を開くと彼と視線を交じり合わせ「…我等が花が朽ちる其の時まで……─なんてね。正直なところ、最低な話だけどまだ気持ちが割り切れていないんだ。でも君がこの場所に連れてきてくれて君の言葉を聞いて随分楽になったよ。」静かな声色で詩を詠む如く彼の言葉に応えたあと、常の微笑みを零して肩を竦めてはスッと彼の目線に合わせて屈み。そして絡まる指先はそのままにもう一方の手で彼の滑らかな頬に触れて「…暗闇の中、君の声が何度も聞こえてきて俺をあるべき場所まで引き戻してくれた。俺は他の組のボスに比べたらまだまだ未熟で君たちがいないと何も出来ない無能な男だけど…君たちが、君が望んでくれるならその声に応えたい。」微かに眉尻を下げつつも穏やかな声色で言葉を紡ぐとすりっと彼の頬を撫でて。「でも1つ…俺の側に居てくれるなら今はその怪我の治療に専念してくれるかな?……アジトではなく俺の家で。…駄目かな?」)

  • No.70 by 梔  2019-09-20 23:13:37 


>>榊

(彼の静かな声はわずかな音量であれど、自分の頭の中でこだまし、じわりと体に溶け込むかのようだ。その柔らかな音色が飾る言葉は更に温もりを持ち、自然に「我等が花朽ちる其の時まで…」と自分の口からも流れ落ちる。彼が作り上げたこの言葉が自分と彼を指すものだと分かるや否や、それは今この瞬間どんな言葉よりも美しく、汚れのない音であり、唄であり、呪文のようでもあった。恍惚。彼の隣に自分が並べた、と勘違いをしてしまいそうになるがぐっ、と唇を噛み締めて自惚れの無いように身を引き締めるが、彼が戻ってきてくれる、その事実だけで目の前が霞みそうだ。「我々が望むのは貴方だけです。…それ以上でもそれ以下でもございませんとも。」彼の指がなぞった皮膚だけ暖かく、心地の良い、春を思わせるその所作に触れられた側の瞳だけをつい細める。「……はい。お邪魔してもよろしいですか?」はじめ、口をつこうとしたのは『滅相も無い』。しかし、眉尻の下がった彼の視線と自分の視線が絡まった後に口から出たのは上記。ずるい人間だな、と自分へ嫌味を送りながら、困ったように笑む。そして少し悪戯気な笑みを加えて彼のこちらへ伸びた腕の内側に唇を寄せて「こんな男ですが。」と。)

  • No.71 by 榊 誠  2019-09-22 16:38:27 


>>梔

(彼の一歩引いた控えめな言葉、そしてその表情が花の色が移りゆくように艷やかに変化していくのに目が逸らせなくなる。自分が望めば、望まなくとも傍らに咲いてくれている花はただ美しいだけではなくて、悪戯に自分の心を燻り高揚させる。先程まで彼を遠ざけていたというのにその熱が腕のほんの一部に触れただけでトクリと鼓動が跳ね上がり離したくないと心が震え。こんなにも単純で利己的な自分など呆れられたりしないかと不安を抱きながらも視線も心も彼から離せなくなっていて「…こよなきお附きだよ。」と小さく頷き柔く微笑みを零して。
彼と共にその場を離れて持ち家に着く頃にはすっかり日も暮れており、彼を客間に通してはそう言えば以前も此処に彼を招いたときも彼は怪我をしていたなと。思えば彼には怪我をさせてばかり。特に今回の傷は…とまた落ちそうになる気持ちに首を横に振ると彼に振り返って「…疲れたでしょ。布団はすぐに準備するけどもし身体を流したかったりお腹が空いていたりしたら遠慮せずに言うんだよ。」と以前の調子に戻しつつ彼の髪をぽんと撫でてやりせめて今は彼の怪我の療養に専念できるよう尽くそうと微笑みを向けて。)

  • No.72 by 梔  2019-09-25 12:56:11 


>>榊

(こんなにも早くこの落ち着いた雰囲気を纏う、控えめながらも華やかな屋敷に足を踏み入れるとは思っていなかったが、やはりここには実家のような妙な安心感がある。まだ訪れて2回目でありながらもそんな風に感じてしまうのは、この家だけの魅力か?否、この家に住む主の魅力も相成っての事だろう。そんなことを考えていると丁度頭に浮かんだままだった彼が頭を横に振るのが視界の端に移り、そっと彼の側によると頭に触れる暖かい掌の感触。「ありがとうございます。…ただ、今は何よりもあなたのこの手が…」ゆるりと浮かんだ笑みのまま、その言いかけた続きを暖かな掌が去りゆくと共に飲み込む。イチや闇医者から言われたように、徐々に体には様々な痛みが響き始めているが、それらが彼の微笑みと暖かな掌によると一瞬で霧散してしまうようだ。彼が自分に心を許してくれているようで嬉しくて自然と笑みを深くすると布団を敷くことを手伝おうと押入れから寝具を取り出した所ではた、とあることに気付いて彼に向き直り「榊さん、自分より貴方がお疲れだと思います。ゆっくり一番風呂に浸かって疲れを癒してください。」と申し出て。)

  • No.73 by 榊 誠  2019-09-27 17:48:22 



>>梔

俺の手…? ……って、梔。また君は…、
(柔く緩む彼の目元…その表情に自分がどれほど救われてきているか彼は知っているだろうか。そう思ううち、途中で飲み込まれた言葉に小さく首を傾け自分の掌に暫し視線を落とす。と、いつの間にか押入れから寝具を取り出し抱える相手に気づけば小さく目を瞬かせ、続く彼らしい気遣いが痛いほど沁みる言葉に、それだからこそ短い嘆息を零してしまって。やや大股にそちらへ近づいていくと有無を言わさず彼の腕から寝具を奪い取って「…ありがとう、梔。でも君の立場もあるから仕方ないとは思うけど君は自分を後回しにしすぎだよ。それが君自身の本心だったとしても少しは俺よりも自分を大切にしてくれないと。……今は君の体調を優先させて。…お願いだから。」始めは目をまっすぐに見て言うも最後は微かに声を震わせながら弱々しく微笑み。これは頭領としてではなく“榊誠”としての願い。でも、それにしたってこんなにも感情が揺れ動き表に出てしまうなんて。組織を率いる者としては失格。普通に言うつもりだったんだけどな…と内心苦笑を零しつつ彼に微笑みを向けたまま返答を待って。)

  • No.74 by 梔  2019-09-27 23:40:20 


>>榊

(小さいながらも確かに聞こえた溜息に、何か失敗をしてしまったと慌てて自分の手元から突如消えてしまった寝具を視線で追いかけるとばちり、と視線が彼とかち合う。彼の瞳にはまっすぐな光が宿っていたが、彼の言葉が進むにつれて水彩絵の具のようにそれがじわりと揺らぎ、淡く様々な光が混ざる綺麗なその瞳が鮮明に網膜に焼き付く。自分にかけてくれた彼の暖かい言葉が、まるで氷を溶かすようだ、なんて一瞬だけ脳裏をよぎるがそれよりも彼のその弱ってしまったその微笑みがひどく痛く見えて、心臓がきゅう、と締め付けられる。「…申し訳ありません…自分は…。」あぁ、確か先代にも同じ事を言われたな、と思い出すと自分も視線が揺れてしまうのを感じた。自分の行動に後悔はないが、彼にこんな表情をさせてしまうのは自分の落ち度だな、と反省を胸に抱えるとどうしても言葉が詰まってしまう。「……はい。…今日は、お言葉に甘えてもよろしいでしょうか…?」それでも漸く戻ってきた彼の笑顔を曇らせたくなかった。少しだけ視線を下げたものの、すぐに彼をまっすぐに見ると、照れ臭さと戸惑いの混ざった視線を彼に送って。)

  • No.75 by 榊 誠  2019-09-28 13:32:22 


>>梔

(微かに揺らいだ紫銀の瞳はすぐに真っ直ぐに此方に向けられるもその表情は何処か戸惑いの色が見られて。思慮深く懇切丁寧な彼のこと、此方の気持ちを汲んで言わせてしまったかとも思うがそれだけでもない気がして。もしかしたら彼はただ甘えることに慣れていないだけではないかと。生まれながらにしてマフィアの生まれ。自分では想像も付かぬ厳しい教育や訓練を幼い頃から受けてきて、親に甘えるという一般では当たり前のことも出来なかったのかもしれない。…思えば自分は彼のことをあまり知らない。元々深入りする性分でもなく聞く機会もなかったこともあるが…まあ過去など関係ないかと。それよりももし彼が甘えることに不慣れなら自分が甘やかしてやりたいと、調子の良いことを思えば抱えていた寝具を一旦畳の上に置くと何処か子供を褒めるように彼の髪を柔く撫で「…うん、ありがとう。そうして貰えるかな?今日に限らずその傷が癒えるまで。」と小さく微笑んで。それから風呂場の浴槽に湯を溜めると以前も彼に着せた先代の着流しを用意して持たせて背中を押すように風呂場まで付き添い「ゆっくりしておいで。もし何か困ることがあれば呼びつけてくれていいから。」再び彼に艷やかな髪を指を梳くようにして撫でると怪我をしていない右肩をぽんとして)

  • No.76 by 梔  2019-09-28 23:41:17 


>>榊

(嗚呼、やはり彼の掌は暖かい春の陽だまりの如くじわりじわりと温もりを与えてくれる。不思議と気持ちが晴れやかになるのもそれと同じだ。それを唯一与えてくれるこの手を自分は守りたかった。危うく失いかけた。その事実を思い出すと目を伏せかけるが、その時耳に届いた『ありがとう』に驚いて視線を彼に戻す。マスクがあって良かった、この情けなく染まり緩んだ頬は誰にも見せられない。
勧めてもらった風呂場もやはり清潔で頭の中の整頓も楽になりそうだ。程よい温度の透き通ったお湯が張られた湯船に浸かるとじわじわとこみ上げてきていた痛みも揺らぎ、これからのことに少し思考を巡らせる。組は彼が戻ってきてくれたから大丈夫だろう…残念ながら彼に反発を覚えるものもいるとは思うが、その時こそ自分の出番だと考えれば良い。今の組に彼が必要なのは間違いないのだから。問題は大蛇だ。大蛇といえばろくな話を聞いたことが無かったが、まさか彼の仇であったとは…己の情報収集の甘さに反省しつつ湯浴みを終え、渡された以前と同じ着流しに袖を通し終えると客間に戻り、襖を静かに開けて。)

  • No.77 by 榊 誠  2019-09-29 17:56:32 


>>梔

(彼を風呂場へと送り出したあと、客間に戻ると畳の上に置きっぱなしになっていた寝具を敷いて皺を綺麗に伸ばし整える。続いて空気を入れ替えるために縁側に続く襖と硝子引き戸を開けるとほんの少し肌寒い風が頬を撫でていき季節が巡りゆくのを感じて。ここ数日、様々なことが立て続けに起こり彼には多大な負担を強いた。彼は頭も冴えて立ち振舞いも上手いから辛い部分も見せなければ弱音も吐かない。悪いことではないのだが、欲を言えばもっと甘えてほしい。まあ、今の自分はそんな所望を言える立場でもないのだが…。もう二度と今回の過ちを繰り返さぬために、自分を慕ってくれる尊い部下たちを裏切らぬために己の精神を鍛え直さねばと強く誓い、吐きかけた息を飲み込んで。さて、そろそろ彼が湯浴みから上がるころかと思えば、彼が体を冷やして更に体調を悪化させてはいけないと押入れを開けて丁度良い羽織はないか探して。丁度そのとき襖が開かれては彼が顔出し、以前と同様、その普段とはまた異なる佇まいに目を奪われ、そこはかとなく纏う儚さと色気に小さく息を飲む。ふつりと沸いた不心得な感情を抑え込み、平常心を保てば「…湯加減どうだった?」と微笑みかけて今取り出したばかりの羽織を持って彼に近づきそっとその肩に掛けてやって。「…俺も今から入ってくるけど先に休んでていいからね。…って言っても起きてそうだから先に布団の中に押し込んでしまったほうがいいかな?」以前のように軽く冗談を交えて緩く笑みを浮かべて顔を覗くと、柔く手を取り布団へ誘うように軽く手を引いて)

  • No.78 by 梔  2019-09-29 22:20:47 


>>榊

ありがとうございます、榊さん。先にいただきました…とても良いお湯加減でしたよ。(たん、と軽い音を立て襖が閉まるのを確認して正面に向き直ると手に羽織を持った彼が思ったよりも近くに見えると驚きよりも先に嬉しさから笑みが溢れる。ふわりと肩にかけられた羽織は優しい香りがした。思いやりと信頼の成す柔らかな香り。こんな幸せを独り占めしてしまっては、明日バチにでも当たるんじゃないだろうか?わりと真剣にそんなことを考える。戦いの中、勇ましい光を宿す瞳が慈愛の色彩を帯びて弧を描く様子は美しくも可愛らしいと愛でる気持ちが強く、独占欲が鎌首をもたげ、その笑みと同じく柔らかく映る皮膚に手指を伸ばしかけるが、それよりも早く彼の口から悪戯気な声が文字を紡ぐ。「…はは、やはり榊さんには敵いませんね。」彼の冗談は冗談でありつつ、的確に相手の考え、行動を読んでくるものだから返す笑い声は脱帽の意が強く出る。つまりは図星だ。彼が戻って来るまで大蛇やヤマトの事について考えようかと思っていたが彼の読みの方が鋭かったらしい。取られた手は彼の仕草の柔らかさに雲を触っているのかと勘違いをしたが、この強く、美しい手を雲と見間違える筈はないので助かった。のそりと身体が緩慢な動きで彼と布団に引き寄せられる。師匠、今日だけは主人よりも先に布団に入る悪事を許してください…痛み止めが切れてきた頭ではぼんやりとしか許しを請えないし、まして彼の暖かい手に逆らえるほど我慢強くもない。「…榊さんの手は暖かいですね。」ゆるり、と目元と口元を緩めて布団に入るものの、手が離れるのが惜しくて、指を絡めて引き止めた挙句、その手の甲にマスク越しの口づけを。)

  • No.79 by 榊 誠  2019-09-30 18:05:40 


>>梔

…そうかな?…っ、
(手が暖かい、そう言う彼は疲労や眠気のせいかどこかぼんやりとして幼く見え、そこに湯浴み上がりの艶っぽさが差し絶妙な色気を纏っていて。そんな彼に見惚れているうちに彼の細く長い指先が絡めばトクンと鼓動が跳ねる。それだけで終わらずマスク越しではあるが手の甲に柔らかな感触が伝わればピクリと指先を震わせあっという間に鼓動は早鐘を打って。全くこの子は…、敵わないのは君ではないのかとさっき落ち着かせばかりの不心得な感情が再び胸中で揺れ動きだす。彼とは紆余曲折あったが口付けを交わした仲、その関係にまだはっきりとした名はなくとも自分の彼に対する想いだけは変わっていなく。つい数時間前で彼を避けていたというのに貪欲な我が心は単純明快。でも今は堪える時だと少し困ったような微笑みを浮かべて「…梔、あまり煽らないで。君にそのつもりは無くても俺も男だから。…今夜は君を寝かせないといけんだから、ね?」絡められた手はそのままに彼の素顔が見たいななんて色欲を抱きながら空いている手で彼の艷やかな髪をどこか子供に言い聞かすように優しく撫でて目元を緩く細めて)

  • No.80 by 梔  2019-10-02 22:19:21 


>>榊

(嗚呼、しまった。やはり怪我なんてするもんじゃないな。逃した魚は大きいと心の中で後悔するも怪我が早く治るわけではなく、ただ頭を撫でられる心地良さを甘受するに留まる。しかし、自分も男であれば自分の好意を寄せる相手が白百合のように微笑む様を目の当たりにしたら欲が芽生えるというもの。彼の頬に手を伸ばし、その滑らかな肌を親指の腹で存分に堪能した後にやや癖のあるふわりとしたサイドの髪に指先を移してその形良い耳にちょい、とかける。常の自分が見たら卒倒しそうなほどの浮ついたそんな事を霞みがかった脳みそは存外すんなりとやってみせて。緩く弧を描く瞳から迸る慈愛の柔らかさは朝日のように軽やかで暖かく、それを存分に貪ると、自然に目蓋が落ちてくる。ぼんやりとしてきた視界に映るのが彼の微笑みだなんて贅沢だな、などと心の底で思いつつなんとか「…すみません、榊さん…、先に…就寝を…」と会話とも言えないような単語を呟きながらぷっつりと意識を手放して。
一方その頃ヤマトでは、大蛇についての情報収集をしていた茉莉花がふと気になったメールの内容を吟味している最中。「…闇カジノね…。」ポツリと呟いた単語はもちろんメールの内容の一部。そのメールにはある大きな闇カジノに大蛇が一枚噛んでいるかもしれない、というような嘘か本当かも曖昧なことが書かれていて。)

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