梔 2019-05-10 21:27:49 |
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>>榊
(小さいながらも確かに聞こえた溜息に、何か失敗をしてしまったと慌てて自分の手元から突如消えてしまった寝具を視線で追いかけるとばちり、と視線が彼とかち合う。彼の瞳にはまっすぐな光が宿っていたが、彼の言葉が進むにつれて水彩絵の具のようにそれがじわりと揺らぎ、淡く様々な光が混ざる綺麗なその瞳が鮮明に網膜に焼き付く。自分にかけてくれた彼の暖かい言葉が、まるで氷を溶かすようだ、なんて一瞬だけ脳裏をよぎるがそれよりも彼のその弱ってしまったその微笑みがひどく痛く見えて、心臓がきゅう、と締め付けられる。「…申し訳ありません…自分は…。」あぁ、確か先代にも同じ事を言われたな、と思い出すと自分も視線が揺れてしまうのを感じた。自分の行動に後悔はないが、彼にこんな表情をさせてしまうのは自分の落ち度だな、と反省を胸に抱えるとどうしても言葉が詰まってしまう。「……はい。…今日は、お言葉に甘えてもよろしいでしょうか…?」それでも漸く戻ってきた彼の笑顔を曇らせたくなかった。少しだけ視線を下げたものの、すぐに彼をまっすぐに見ると、照れ臭さと戸惑いの混ざった視線を彼に送って。)
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