梔 2019-05-10 21:27:49 |
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>>榊
(こんなにも早くこの落ち着いた雰囲気を纏う、控えめながらも華やかな屋敷に足を踏み入れるとは思っていなかったが、やはりここには実家のような妙な安心感がある。まだ訪れて2回目でありながらもそんな風に感じてしまうのは、この家だけの魅力か?否、この家に住む主の魅力も相成っての事だろう。そんなことを考えていると丁度頭に浮かんだままだった彼が頭を横に振るのが視界の端に移り、そっと彼の側によると頭に触れる暖かい掌の感触。「ありがとうございます。…ただ、今は何よりもあなたのこの手が…」ゆるりと浮かんだ笑みのまま、その言いかけた続きを暖かな掌が去りゆくと共に飲み込む。イチや闇医者から言われたように、徐々に体には様々な痛みが響き始めているが、それらが彼の微笑みと暖かな掌によると一瞬で霧散してしまうようだ。彼が自分に心を許してくれているようで嬉しくて自然と笑みを深くすると布団を敷くことを手伝おうと押入れから寝具を取り出した所ではた、とあることに気付いて彼に向き直り「榊さん、自分より貴方がお疲れだと思います。ゆっくり一番風呂に浸かって疲れを癒してください。」と申し出て。)
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