花一匁(〆)

花一匁(〆)

匿名さん  2023-04-29 15:14:24 
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某トピでお声掛けくださった方をお待ちしております。




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  • No.76 by 椿  2023-05-06 14:19:27 



うふふ。
私だけの魔法使い様ですね。

( これ以上何かを望めるような欠けた気持ちは少したりともないけれど、これからももっとたくさん魔法をかけてくれるという優しい彼にこちらも思わずうふうふと笑ってしまう。顔もよし、性格もよし、家柄もよし。そんな彼がどうして花街の一芸妓として燻っていた自分を人目見ただけで身請けし、更にはこんなふうに面倒を見てくれるのか。その理由が椿には分からずに、だがそれでも少しでも良くしてもらっている恩を彼に返せて行けたらいいなと密かに重い。暫くしてまた大きく豪奢な屋敷につけば、〝例のアツい服〟の袋を後部座席から取ろうとする彼を見て自分も慌てて「 な、直政様!その袋!重いので!私が持ちます! 」と慣れない車の扉を慎重に開け閉めしてはぱたぱたと彼の元へと駆け寄って白魚の指で彼の持っている紙袋を指さして。まずい。少しでも袋が空いてしまい其の中が見えてしまったら。せっかくおハナさんがお膳立てしてくれた作戦が台無しになってしまう、と。 )


  • No.77 by 大祝直政  2023-05-06 14:50:16 





( 花街という場所は忌むべき場所で、あまり好まない。だからこそ、遊郭で見かけた穢れのない人形のような椿をその鳥籠のような場所から出してやりたかったのかもしれない。それは見方を変えれば椿という女を欲しかったという花街に飛び交うのと同じ、卑しい動機でもある。その事実から目を逸らすために、こうやって欲の捌け口としてではなく、健全に寵愛を向けている。それがいつまで保つのかは知らないが。後部座席から荷物を取り出すと、急に相手が騒ぎ出せば何事だと首を傾げて。椿曰く、この模様の違う紙袋は重いから自分が持つとのこと。一度に複数の紙袋を持ったために細かくはわからなくて、はて、それほど重かっただろうかと首を捻れば何を思ったのか、相手の指差す模様の違う紙袋を持ってゆさゆさと揺らして重さを確かめて。確認したところそれほど重くないどころか紙袋の中で1番軽いまである。まるで"布が少ない"ような、はたまた"布が極薄"のような…。ゆさゆさとゆらしたためか、その紙袋の口が次第に開かれていき、あわやと言ったところでかろうじて中身が見えないくらいところで止まれば「 大丈夫、気にしなくていいから椿は残りの袋を持ってきてくれ。 」と中身がわからないまま、その爆弾を持って屋敷の中へ入り。)

  • No.78 by 椿  2023-05-06 17:02:55 



あッ、……!!!!

( 〝重いから〟だなんて言わなければ良かった。寄りにもよって1番自分が彼に中身を暴かれることを危惧している模様の違う紙袋をゆさゆさ振って。小さな悲鳴をあげながら両手で口元を抑えては何時もは信じもしない神様に〝神様助けてだめだめ…!!!〟とあわあわ心の中であわてながら段々と開いていきそうな紙袋をただただ見つめて。なんとかその中身が暴かれる前に彼がそれを止めて先に屋敷の中に入っていく背中を見送れば、今中身が暴かれなくてよかったのかそれとも彼が爆弾を抱えたまま先に歩いていったのを焦るべきか迷った末、彼が殆ど持って行ってしまった為本当に少ししか残っていない袋たちを抱えて「 直政さま、待って、…! 」 と天の川のような美しい髪を揺らしながら自分と同じ色のスーツの彼の背中を追いかけて。だめ、あれは今夜着た状態で初めて見せたいんだから。 )


  • No.79 by 大祝直政  2023-05-06 17:49:23 




そうだ、椿の部屋を決めないとな。

( 後方からぱたぱたと走り寄ってくる相手の足音と声が近づいてくるのを感じながら、屋敷の中を歩いていると思い出したかのように上記のように呟いて。愛玩のために身請けしたとはいえ、同じ部屋で床を共にするなどと考えもせず、自分の部屋と相手の部屋は別にしておこうとして。そうして歩いて向かった先は一つの空き部屋。広さとしてはあの応接室よりも少し小さいくらいか。クローゼットにドレッサー、なんとも寝心地の良さそうなふかふかのベッドと、生活をする上で困ることはないどころか侍女には無相応なくらい設備が整っており「 ここで今日から生活してくれ。 」と両手いっぱいの紙袋(と爆弾)をベッドの上に置きながらそう言って。 )

  • No.80 by 椿  2023-05-06 18:54:12 



……こ、こんな上等なお部屋をお借りしていいんですか、!?
だって、花魁のお部屋よりもずっと広くて綺麗……。

( てっきり同じ床を共にすると思っていた為か、応接室よりも少し小さいとはいえ1人で暮らすには十分すぎるどころか贅沢とすらまで言える広さにふわふわのベッド、今日買った服たちを全て入れてもまだスペースのあるクローゼット、それからお化粧をしやすいドレッサー。いくら身請けをした責任が彼にはあるとはいえあまりに分不相応すぎる高待遇にさすがの椿も不安そうに蘇芳の瞳を揺らして。本当に家事をさせるだけでこんな待遇に?まさか、夜は直政様のお部屋に行けということかしら…と触らなくても柔らかいとわかるベッドにたくさんの紙袋を置いている彼の背中を見つめて考え。「 あの、本当に。家事以外も、何でもいたしますから。…なんでも、仰ってください。 」と手に持った紙袋を抱きしめる力にぎゅと力を込めると彼の切れ長の黒瑪瑙と己の蘇芳を真っ直ぐに絡めて。 )


  • No.81 by 大祝直政  2023-05-06 19:27:59 




気にしなくていい。部屋は貸すほど余ってるんだから。

( この無駄に広い屋敷には無駄に部屋がいくつもあり、使用していない部屋が多数ある。この部屋もその一つで、客人が泊まっていく用に作られたものだがそもそも客人を呼ぶこと自体少ないし、この部屋以外にも客間は複数ある。そうやって持て余している部屋を割り当てただけなのにまるで信じられないといった様子でいいのかと問いかけてくる相手に安心させるように頭を撫でながらそう言えば「 今日はもう遅い。ゆっくり休みなさい。 」と、相手にとって慣れないことばかりあった1日だったため、もうくたくただろうと気遣って。そうして部屋から出て、自身も私室で荷物の整理をしたり部屋着に着替えたりとしていれば、疲れがドッと押し寄せてきて、今日はこちらも風呂に入って早く休もうと思えば入浴の用意をして浴場に向かい。と、そういえば椿には浴場の場所を教えていなかったことを思い出せば相手の部屋の前から扉越しに「 椿。今から俺は風呂に入る。上がったら椿も入りなさい。場所はーーー。 」と風呂に入る旨と場所を教えればさっさと浴場に向かい。 )

  • No.82 by 椿  2023-05-06 21:10:39 



( 自分の頭を撫でる彼の手が大きくて、そして優しくて。生まれてこの方誰かに頭を撫でられた事など今の今まで1度もなかった椿はその温かさに泣きそうになってしまったのは、自分の胸の中だけに仕舞うとして。ゆっくり休めと部屋を後にする彼の背中にもう一度お礼を告げては深深と頭を下げ、サァ自分は急いでこの大量に戴いてしまった服を片付けなければと一息。着ていた上等な服は汚してしまったら大変なので一足先にクローゼットの中へかけ、いつも勝手着として着ていた着物をサッと適当に着付ければたすきかけをしたあとにどんどんと服を紙袋から出してはクローゼットへ。出してはクローゼットへ、と繰り返していくうちにいよいよおハナの心遣い……もとい爆弾の袋に手を伸ばして。どんな武具が入っているのかしら、とゆっくりと袋の中身を確かめようと覗き込んだ瞬間。「 ッッ、わかりました! 」彼からの浴室の場所を知らせる声掛けにまるでイケないことをしているのがバレた子供のようにビクゥッッと肩を跳ねさせて。正直ビックリしすぎて浴室の場所はちょっと記憶に曖昧だったが、マァなんとかたどり着けるであろう。扉の向こうから彼の気配が消えたのを何となく察すれば、深々とため息を吐きつつ今度こそ!と袋の中身を改めるなどなんだか1人で格闘していて。 )


  • No.83 by 大祝直政  2023-05-06 21:38:18 




( 体と頭を洗い、程よい温度の湯船に浸かれば今日一日分の疲れを吐き出すように「 ふぅーー… 」と長い長いため息をついて。衝動に駆られて椿を身請けしたときは正直どうなることかと思っていたが、花街育ちとは思えないほど素直で純粋な少女で助かった。そんな少女を穢すことなど許されることではないと、友人たちの大半は身請けした人形を欲望の捌け口にしているらしいが自分はそんな卑劣なことはしないと決意を固めて。湯船から上がり、水気を拭きとって寝間着に着替えればまた相手の部屋の前まで向かい「 椿、風呂から上がったから入っていいぞ。 」とまた先ほどの様に扉越しにそう声を掛ければ自室へと向かい、くたくたの体でベッドにバフッと沈みこむようにダイブして。)

  • No.84 by 椿  2023-05-06 22:38:41 



─── …はい!ありがとうございます、お風呂戴きます。

( 結果から言うと、マァ袋の中身は大変だった。布地というか、ほぼ全てがレースと紐なのだもの。〝着る〟というよりも〝付ける〟に近い其れは何も着ていない姿よりもよほど恥ずかしい。本当にこれで直政様は喜んでくれるのか…と思案していた頃、丁度渦中の人の声が聞こえれば其れに答えて彼が眠ってしまう前に湯浴みを済ませなければとパタパタ準備を始めて。──浴室にて。慣れた様子で頭やら体をピカピカに洗ってはそろそろと浴槽へと足を踏み入れる。1人でこんなに広い浴槽に浸かるのも、ぬるくも熱すぎでも無い適温に温められたお湯も人の多い場所で生きてきた椿にとってはマッタク初めてのもので、ちゃぷんと口元までお湯に浸かれば体やらの疲れどころでなく、自分自身もお湯に溶けてしまうほど気持ちがいい。暫くそうして穏やかな時間を過ごしていたのもつかの間、自分がしなければならないことを思い出しては慌てて湯船を出、例の爆弾を着て…否、付ける。飾る?と言った方がいい其れは椿の豊満な胸元は黒いレースで飾り程度に彩られ、下半身は一応下着の形はしているがその代わりニーハイソックスをとめる紐ガーターが着いておりなんだか逆に扇情的で。その上から浴衣をサッと留めるだけ着付ければ髪を乾かし漆黒の天の川を背中に流しながら彼の部屋へと。コン、コン。と少し緊張と遠慮の交じったノックをすれば「 椿です。……その、えと。今、お時間よろしいで、しょうか。 」と、今までかたくなに姐さんが許さなかった水揚げが今日行われるのかもしれないと思うとどうしようもなく怖いし、でもそれと同時に彼ならばという気持ちもある。椿はぎゅ、と浴衣の合わせあたりを指先で軽く握っては小さく深呼吸をして。 )

  • No.85 by 大祝直政  2023-05-06 23:14:40 




( ふかふかなベッドに沈みこむ体と同じように意識も夢の中へと沈みこむ…なんてことはなく。イヤ疲れてはいるのだが、今までこの屋敷に自分以外の者が住んでいるという事実が初めてのことなので、胸の奥が穏やかではないというかどこか落ち着かないというか。ベッドの上で目をつむり続けても眠りにつくことはなく、こうなったらとベッドから起き上がれば瞼が重くなるまで読書でもしようと思い立ち。と、そうやって読書の準備をしていれば扉の向こうから椿の声が。なにか屋敷の中で勝手がわからなかったことでもあったのだろうかと思いながら扉を開けて。そこには湯浴みによって白頬が血色よく染め上げられ、髪にもまだほんのりと水分が残っていて上気していればそのもともとの花街育ちの妖艶な雰囲気にさらに拍車がかかっていて、その艶やかな姿にドクンと血流が一気に速まって。「 どうかしたのか? 」とその動揺を悟られないように平静を装いながら相手を部屋の中に招き入れて。 )

( / すいません、確認なのですが、直政はそんなことはしなくていいと紳士的に断るということでよろしいでしょうか?椿様が勇気を出してくれたのに大変心苦しいのですが…。 )

  • No.86 by 椿  2023-05-07 06:49:21 


……っ、

( 彼の部屋に招き入れられ、浴衣のあわせに触れたままそっと中に入る。自分の部屋とはやはり違う落ち着いた彼の部屋は、この一日で自分がすっかり好きになってしまった彼の香りで満ちているから、なんだか少しだけ安心する。呼吸をひとつ、それだけで意を決したようにしゅるしゅると浴衣の帯を解けば、あっという間に前は開けその先にあるレースやらが現れる。そのまま浴衣自体も肩から落としては、ぱさりと音を立てて浴衣が地面に広がる。……嗚呼暗くしてもらうんだった、と灯りに照らされてぴかぴかと光るような白い柔肌を見下ろしては顔を真っ赤にさせて、少しでも彼に見える面積が少なくなるようにと腹あたりで腕をクロスさせるように自分を抱きしめて。「 ……おハナさんから、戴い、て。……その。初めてですが、─── …直政様の、ご随意に。 」と自分でも驚くほど、 はちみつのようにどろりと甘ったるい声の誘い文句は、不安と羞恥入り乱れる中に嫌悪が一切交じっておらずだからといって仕事だからと割り切る風でもない、純粋無垢な少女の誘い文句で。彼の目は恥ずかしくて見ることが出来ないが、大丈夫。きっとこれからたくさんするんだもの、いつか見られるようになるわ、と。 )


( / ご確認ありがとうございます…!!
〝紳士的に断る〟で大丈夫です!椿にとってもきっと其方の方が直政様の優しさに心を開いていくキッカケになりますので、どうぞお気になさらず断っていただければ……!!!)


  • No.87 by 大祝直政  2023-05-07 07:51:22 




……っ!?な、なにを…!?

( 一体どうしたのだろうか。部屋に虫でも湧いていたのだろうか。たしかにあの部屋は長らく誰も使っていなかったが、定期的に呼ぶ家政婦業者に掃除をさせていたはずだがと呑気なことを考えていると目の前の相手が急に浴衣を脱ぎ始めればいきなりのことで目を見開いて。そしてその浴衣の下には椿を美しく艶やかに飾るレース下着が隠れており、その黒い生地と相手の雪のような肌の対比が実に美しく、どこか卑しさも感じるそのデザインとガーターベルトに男心がくすぐられて。どうやらこの下着は華の粋( 余計 )な計らいらしく、あのお節介焼きめ…!と恨むが今は目の前のことをどうにかしなくてはと切羽詰まって。"初めて""好きにしてほしい"と、男の醜い欲望を駆り立てるようなセリフと甘ったるい声で誘惑されると、こんな美しい女の誘惑など誰が耐えられるのだろうか、あっさり悩殺されてしまい。いや、自分は人形で下衆な真似をしている友人たちとは違って高潔なのだと言い聞かせるも、本能が今すぐ目の前の雌を食らえと叫び、その右手はレースに飾られたひどく柔らかそうな豊満な乳房に伸びていき。しかし、寸でのところでぴたりと手を止めればどうやら本能に打ち勝ったようでその両手で己の頬にパン!ときつけをすれば床に広がった浴衣を相手の肩にかけてその肌をすこしでも隠して「 椿、君はもう遊女ではないんだ。だからそんなことはしなくていいから、もっと自分のことを大事にしなさい。 」と相手がどれだけの覚悟と今日1日で芽生えてしまった恋情を抱えてやってきたことなど知るはずもなく、相手が急にこんな行動をしたのはおそらく花街育ちの遊女故の義務感からなのだろう。なのであれば、もうここは花街の外なのだから気にしなくていいのだと、優しく諭すように相手の瞳を真摯に見つめながらそう言って。 )

( / 了解しました!では、そのようにさせていただきます!心を開くと仰られていますが既に全開なのでは…。

まだ先の話になりますが、椿様渾身の誘惑に耐えきってしまったため、どうやって結ばれるように持っていくかが想像できません…。 )

  • No.88 by 椿  2023-05-07 10:26:59 



!?

( パァン。と小気味のよい乾いた音に思わずその音の方へ目を向ければ、そこら辺の女性よりもよほど綺麗な彼の頬が赤くなっておりぱちりと目を丸くして。なにを、と口を開く前に自分の肩にかかった浴衣の感触と彼の手の温もりに、なにだか妙に安心してしまいぽろりとその蘇芳から雫がこぼれる。静かな夜のような彼の瞳はただただ優しく、形の良い唇から紡がれるのはまるで怖い夢を見たと泣くこどもを宥めるような暖かで耳触りのいい言葉たちで。今自分は三味線も持っていないし舞うための扇も衣装もないので芸妓としての価値もなく、それならば捧げられるものは拙い体しかないと〝花街から買われた女〟として生きるつもりだった。でも今現在ここは花街の外で、自分を大切にしてと彼は言う。花街の生活しか知らない自分にとって、〝世間一般的に言う自分を大切にする〟行動にはきっと慣れるまでにずっと時間がかかるはずだ。「 わたし、……直政様に、何が出来るでしょうか、 」と、これだけのものをたくさん与えられたのにも関わらず自分が彼に与えられるものなどなにもないと、はらはら花弁のように雫を落としながら肩に置かれた彼の手にちいちゃな自分の手を重ねて問う。もらったものは家事程度で返せるものでは到底ないのだ。 もらってばかりだなんて厭、とこれはただの椿の我儘なのだが、貰うばかりでは恐ろしいだけなのである。何かを得るには何かを捨てなければならない花街(世界)でしか、生きたことがないから。 )


( / おっしゃる通り確かに椿はもう既にメロメロですね…!
きっと初恋なので、初めての感情に椿もちぐはぐでどうしていいか分からなくなるかなぁと思いますが気長にお話していただけたら嬉しいです…!!

たしかに…。
でもあくまで今回は身請けしてまだお互いのことを深く知らない間まで体だけでの誘惑ですので、また2人の仲が深まればまた直政様の受け取り方も変わってくるのかなぁ、と思ったりしました…!あとは更に椿が直政様の好みを把握して的確に心に刺さるように1人努力をしてみたら今回ギリギリで耐え抜けたところも突破できるのかなあなんて……!! )

  • No.89 by 大祝直政  2023-05-07 10:56:34 




焦る必要はないんだ。なにせ君はこの屋敷に来て1日目だろう?

( 相手も相当な恐怖と不安を感じていたのだろう。それもそうだ、自分よりもひと回りもふた回りも大きい体躯の男にめちゃくちゃにされるかもしれなかったのだから。肩を小さく振るわせながら緊張の糸が切れたように愛らしい蘇芳の瞳から一筋の涙を流す相手が今日一日の恩を返せるのだろうかと心配していると、身請けして初日でなにを馬鹿なことをと、刹那に生きようとする相手を重ねられた手を優しく握り返しながら上記のように優しく諭して。堪えていた涙腺が決壊したようにほろほろと椿の頬を伝う雫を指で優しく拭ってやりながら、「 椿が俺に何かを返してくれるというのなら、これから…これからなんだ。だから今日はもう休みなさい。 」と、これから2人はお互いに何かを贈り合い、何かを返し続けるのだろう。それがどんなものかはわからないが、未来は誰にもわからないのである。相手がこの屋敷に突然来たように。その未来に希望を抱かせるようにそう言えば、「 …似合ってたよ。 」と最後に、相手の決死の勇気の賜物である、レース姿を頬を赤らめながら褒め称えて。 )

( / 了解しました!ゆっくりじっくりやっていきましょう。

なるほどです…。そこもゆっくりじっくりですね!自分からも少しだけ提案があって椿様が屋敷で家事をしている間、直政は外の世界で華やおりょうと会ってふとした形で女の影を感じた椿様が躍起になってなりふり構わず…。といったおいしい発破のかけ方もあるのかなぁと。完全に私得ですが…! )

  • No.90 by 椿  2023-05-07 20:13:30 



わたし、……直政様のお傍に居られて幸せです、

( 一度零れてしまった雫たちは止まることなく、椿の白磁の頬をはらはらと滑り落ちていく。優しく握り返してくれる大好きな手は、それだけで自分の心を穏やかにさせる魔法の手。人間は悲しい時だけではなく嬉しい時も涙が零れるんだなと17年間も生きてきた中で初めての感情が胸の中に眼を出しては、涙に濡れた花街育ちの椿人形はふわりと微笑んで。どうしてこの人はこんなに暖かくて優しいんだろうと、本当につくづく彼に身請けをしてもらった自分は幸せだと、今日1日何回思ったか分からないことをまた思う。未来の話をされると、自分が一時的にではなく彼の傍に居てもいいんだと言われているような感覚がして酷く安心する自分は、きっとまだ刹那の生き方しか許されない遊郭の生き方が染み付いているのだろう。早くこの考え方も直さなくっちゃ、と改めて思い直すものの、その決意は彼の〝似合っていたよ〟という言葉に全部塗り替えられてしまう。頬を赤らめながらもそう褒めてくれた彼にぱぁあ、と表情を明るくさせては「 おハナさんのお墨付きですもの! 」と心底嬉しそうに笑って。自分でも単純だなと思ってしまうけれど、それでも慕っている相手から褒められたら人の当たり前として乙女は嬉しくなってしまうものなので。 )


( / わ!たしかに……!!
自分で知りえないところで想い人に女の影が見え隠れしていたらなりふり構わなくなってしまうし、遊郭の女なので押せ押せのはずですもんね……!それは私もニコニコしてしまいますので、ぜひ……!!)


  • No.91 by 大祝直政  2023-05-07 21:47:31 




泣くほどのことじゃないだろう。

( いくら拭っても相手の瞳は枯れることなく涙があふれだしてくる。しかし、ふわりと笑みを浮かべながら泣き笑いの表情をしているところを見るに悲しい涙ではないことが一目でわかり。相手と共にいる時間はまだ一日にも満たしていないのに、心の底から幸せだと言われると、その笑顔につられるように思わず微笑んでしまいながらいつまでも泣き止まない相手に大げさすぎだと上記の様に言って。先ほどの恥ずかしがりようはどこへやら、こちらからの誉め言葉に表情を明るくする相手が華が選んでくれたからだと豪語するがその姿はまだ浴衣を掛けただけで、肌色の面積が多い。はだけたところから豊かな双丘とそれが織り成す谷間が覗いておりなんとも破廉恥な眺めで、なるべくそれを視界に入れないように顔を逸らせば「 あー…とにかく、今日はもうゆっくり寝なさい。明日から仕事が始まるんだから。 」と、浴衣の合わせ目を閉めてあげ、相手を扉の方へ方向転換させながら背中を押して休むよう伝えて。 )

( / 気に入っていただけたようでよかったです…!椿様は直政と出かけるとき以外は家にしかいないので、家に帰ってくるたびやきもきする椿様が見れるのではと思いまして…!そのタイミングが来ましたらまた相談させていただきます…! )

  • No.92 by 椿  2023-05-08 10:00:04 



、……おやすみなさい、直正さま。

( ふ、と綺麗な夜空の瞳を逸らしてしまいながら肩に羽織っただけの浴衣のあわせをしっかりと閉じられて、彼に優しく扉の方へ背中を押されなすがままに扉へとたとたと歩く。彼も明日仕事なのかしら、と首を捻りながら扉を開けて、眠る前の挨拶を忘れていたと後ろに振り向けば深深と頭を下げた後にそのままぎゅう、と彼に柔らかな肢体を押し付けるように抱擁を。いつも自分の姐さんが、眠る前に必ず自分を抱きしめてくれていたのでそれがきっと習慣づいていたのかもしれない。いつも自分を抱きしめ返してくれる柔らかくて細い体では無いことに少し違和感があるが、それでもなにだか彼の大きな体が安心するのかその体や表情に緊張はなく。…マア最も、遊郭の眠る前は夜中の3時や4時なのでおやすみにはまだまだ早い時間なのだが。そのままにこりと微笑めば「 失礼します。 」と入った時の緊張の入り交じった声とは真逆の、警戒心の一切ない鈴のような声で彼の部屋をあとにして。そのまま真っ直ぐに自分の部屋…と認識するにはまだ抵抗のある一室に戻ればふらふら、ぽふん、と柔らかなベッドに雪崩込むように倒れて。まだ眠気は全くないはずなのに、自分でも知らないうちに初めてだらけの環境に疲れていたのかもしれないのかその体をまたベッドから起こすのは至難の業で。もぞもぞ、となんとか潜り込んだベッドはまるで雲の上にいるかのようにふわふわでふかふかで、そして何よりも広い。今迄眠る時は、何かしらの物音だったりだとかか人の声だとかが聞こえていたのに今ではスッカリなんの音もない空間にいるのがどこか寂しくなってしまい、椿はぎゅっと体を丸めるとそのまますうすうと寝息を立て始めて。 )


( / かしこまりました…!!
素敵な提案ありがとうございます、よろしくお願いします…!!!! )


  • No.93 by 大祝直政  2023-05-08 16:14:39 




…っ!?あ、あぁ…おやすみ…。

( 嬉し涙で泣きじゃくる相手を泣き止ませ、そして部屋に帰してこれで一件落着…と思っていたところにふわりと抱きつかれると突然のことで目を見開いて。相手は今、レースの下着に帯を結んでいない浴衣という薄着の格好で、それ故に相手の柔肌の感触がダイレクトに伝わってくる。その官能的な感触にまたも本能が叫び声をあげるともう我慢ならんと力任せに抱き返そうとして。しかし相手はどうやら就寝の挨拶をしただけのつもりのようで、パッと離れていつものように花のような笑顔を浮かべながら部屋を出ていけば、足音で相手が遠ざかっていくのを確認してから長く大きなため息をついて。こんな調子では相手と過ごす上で、いったいいつまで相手に手を出さないでいられるだろうかと先が思いやられる。ひとまず、この短い時間で煽られてしまった熱情を自身で慰めてから眠りについて。翌朝、いつもの生活サイクルで目が覚めると、まずは顔を洗ってから部屋を出て。広い屋敷はしん、と静まり返っており、椿はまだ起きていないようだと思えば、まだこの屋敷に来て間もないため勝手がわからないだろうと気遣えば台所で2人分の朝食を作り始めて。今朝の献立はトーストにベーコン、目玉焼きといったシンプルなもの。目玉焼きとベーコンが焼かれる音をBGMに、フライパンにひいたバターが焦げる香りが屋敷に漂い始め。 )

( / こちらこそ、採用してくださってありがとうございます! / 蹴可 )

  • No.94 by 椿  2023-05-08 18:05:52 


ん、…………もう昼見世……、?
………………ッ!?!?!?

( 窓から差し込む優しい朝の光。其れに柔らかなベッドですぴ…と穏やかな寝息を立てている中穏やかに照らされれば薄らと美しい蘇芳を露わにして。もう昼見世か、今日は屋形が静かだななんて寝ぼけ眼で上体を起こせば自分のも周りの見なれない風景にビクッと肩を跳ねさせたあとに〝そういえは身請けされたんだ〟と昨日の記憶をまだ覚醒しきっていない脳内からなんとか引っ張り出せばきゅうと縮み上がった心臓はだんだんと落ち着いていく。と、鼻腔を擽る香ばしい匂いに何かしらとベッドからそろそろ降りて部屋を出ようとするも、ふと自分の格好を見下ろしては自分の体を彩る黒いレースやら紐やらに白い頬に朱を散らしては慌てて其れを脱ぎ、シッカリと浴衣を着付けて髪を緩く低い位置でお団子にしてから部屋を出て。香ばしい匂いと、それから何かが焼ける小気味の良い油の跳ねる音のする部屋までなんとかたどり着けば、キィ……と小さな音を立てて扉を開け、ひょっこりと顔だけを覗かせてはキッチンに立つ美丈夫に思わずほう、と見蕩れてしまい。美人は何していても絵になるというがマッタクその通りである、だって菜箸を持ってるだけでも役者さんのようだもの。と思っていたのも一瞬、彼のしている料理は紛れもない自分の仕事だと気付けば「 お、おはようございます直政様!すみませんお料理、私ゆっくり寝てしまっていて…! 」と慌てて部屋の中に入り彼に駆け寄ればよく寝た証拠の艶やかな肌をサッと青くさせてなにか自分に出来ることは無いかと挨拶もそこそこにあわあわ問いかけて。 )


  • No.95 by 大祝直政  2023-05-08 20:31:53 



おはよう、椿。

( パチパチと油のはじけるフライパンを眺めながらベーコンと目玉焼きの焼き加減を見定めていると、台所に慌ただしく入ってくる相手に、その慌てようがおかしくて笑ってしまいながらも、朝日に照らされながら笑顔で挨拶をして。どうやら相手にとってはじめてのベッドは効果抜群だったようで、夢の世界へ深く引き摺り込んで離さなかったらしい。たっぷりと睡眠をとった証拠のように健康的な色になった白頬を見ながら「 よく眠れたならよかった。 」と慣れない環境でなかなか眠れないのではないかと心配していたが杞憂に終わったようで安心して。なにか手伝うことはないかとあわあわ問いかけてくれば「 じゃあ、そこの棚から食器を出してくれ。 」と、今自分は目玉焼きとベーコンの最高の焼き加減を見定めなければいけないため、手が離せないので頼んで。 )

  • No.96 by 椿  2023-05-08 21:12:33 




!もちろんです!

( 漸く仕事が始まる、とぱあっときらきら表情を輝かせては慣れた仕草で浴衣をたすき掛けにしてガッツポーズで気合いをひとつ。人のお家の(これから自分のお家になるのだが)棚をこうしてまじまじと見る機会がなく、遊郭でも台所は自分の持ち場でもなかったので新鮮そうにたくさんの皿が入った棚を眺める。どれもなんだか高級そうなお皿ばかりで扱いに気をつけなければな、と思いながらそうっと1枚ずつ取り出せば、それを彼の近くだが邪魔にならない場所に何枚か重ねていき。無事に作業を終えれば「 終わりました! 」とニコニコ笑い次の指示を待つ。どことなくボール遊びでボールを持ってきたあと褒めて!と目を輝かせる犬のようにも見えるが、台所周りの雑事をやったことがない椿にもってどれも真剣な〝仕事〟だそうで、それでも経験したことの無いお仕事は楽しいのかにこにこきらきらと楽しそうで。 )


  • No.97 by 大祝直政  2023-05-08 23:00:54 




ん、ありがとう。

( 遊郭での相手がどんな人間だったのかはわからないが、仕事を与えるだけでこんなにも嬉しそうに表情を輝かせているところを見ると、相当な働き者だったか素直な女の子だったことが窺える。欲望や騙し合い、人間の醜い部分が飛び交う花街でよくもこれだけ純粋な心を持ったまま生きてこられたものだと感心しながら、だからこそ、自分のエゴで穢してはならないのだと改めて己を戒めて。にこにこきらきらと笑顔を浮かべながら皿を取り出し来る相手に礼を述べれば丁度、目玉焼きとベーコンと、トーストも焼きあがったようでそれを皿に盛って「 じゃあそれ、持ってきてくれるか。 」と、どうせならとその二人分の皿を食卓にもっていくよう仕事を与えて。 )

  • No.98 by 椿  2023-05-08 23:48:37 




美味しそう…!
パンを食べるのとっても久しぶりです!

( 2人分の皿を持っていくよう頼まれれば、はぁいと愛嬌良く返事をしながらわくわくと軽い足取りでテーブルの方へと持っていき。花街では基本的に和食が多く、偶にパンを食べる機会があるとすれば自分が芸妓として担当した座敷の客から貰う程度なので滅多に食べる機会のなかったパンにワクワクしているようで。2人分の皿を全てテーブルに並べ終えては、実に食欲をそそられる朝食に「 直政さまは料理もお出来になるのですね。とっても素敵です! 」とにこにこふわふわ彼の方を振り返り。顔も性格も家柄も器量も良くて料理もできる(あと凄まじくモテる)というのだから、天は二物を与えずというのは嘘ではないかと昨日からずうっと思っていた仮説が定説だと確信する。この人に欠点なんてあるのかしらだなんて勘ぐってしまうけれど、少しでも自分が心休まる場所になればいいなあと分相応にも椿は思って。完璧な花魁だと謳われていた姐さんが本当は影で努力していたように、きっと彼も彼の中でしか見せられない弱い部分もあるはずなのだから。 )





  • No.99 by 大祝直政  2023-05-09 11:38:09 



椿は珈琲は飲めるか?

( 相手が朝食を食卓に持っていっている間、自分は飲み物の用意をしていて、サイフォン式のコーヒーメーカーから己の分の珈琲をカップに注ぎながら上記のように問いかけて。てっきり、外界と隔絶された遊郭ではもっぱら米食なのだろうと思っていたが、意外にも相手はパンを食べた経験があるらしい。まぁ区画された土地とは言え、人の流入はあるのだし、客の差し入れや客自体がパン職人だったりしてそれらで食べたことがあるのだろう。それでも珍しいパンを嬉しそうに眺めながらこちらにふわふわと笑顔を向けてくれば「 1人で住んでると嫌でも出来るようになったからな。 」と、たまに家政婦を呼ぶことはあっても大半は自炊するのでその影響だと応えて。朝食の用意も終わり、いよいよ食べるだけどなれば食卓につき「 じゃあ食べようか。 」と、相手も食卓につくよう促して。 )

  • No.100 by 大祝直政  2023-05-09 11:41:32 



椿は珈琲は飲めるか?

( 相手が朝食を食卓に持っていっている間、自分は飲み物の用意をしていて、サイフォン式のコーヒーメーカーから己の分の珈琲をカップに注ぎながら上記のように問いかけて。てっきり、外界と隔絶された遊郭ではもっぱら米食なのだろうと思っていたが、意外にも相手はパンを食べた経験があるらしい。まぁ区画された土地とは言え、人の流入はあるのだし、客の差し入れや客自体がパン職人だったりしてそれらで食べたことがあるのだろう。それでも珍しいパンを嬉しそうに眺めながらこちらにふわふわと笑顔を向けてくれば「 1人で住んでると嫌でも出来るようになったからな。 」と、たまに家政婦を呼ぶことはあっても大半は自炊するのでその影響だと応えるが、やはり褒められるのは嬉しいので、その言葉に対するむず痒い照れと花のような笑顔に頬をほんのりと染めながら。朝食の用意も終わり、いよいよ食べるだけどなれば食卓につき「 じゃあ食べようか。 」と、相手も食卓につくよう促して。 )

( / すいません、少しだけ書き直しました。 )

  • No.101 by 椿  2023-05-09 16:16:05 



こおひい……。
飲んだことないです、でも直政様が好きなものなら私も好きになりたい。

( 珈琲。聞いた事はあるけれど飲んだことはなく、けれどたしか姐さんのお客さんが飲んでいたのを見た程度だが匂いが苦そうだなという思い出しかないもので。だがしかし朝食に飲むくらいならばきっと彼が好んでいるものなのだろう、と考えては椿はこてりと首を傾げた後に自分も好きになりたいと答え。彼はこんなに広い家で1人で住んでいるのだな、と改めて実感しては今迄色んな人々に囲まれて生きてきた自分にはよほど想像ができないほど寂しいことだとどうしても思ってしまう。昨日1人で眠る時すら自分は寂しかったのに。頬を染めながら嬉しそうに謙遜する彼にきゅん、と庇護欲というか、母性というか、女性の柔らかな部分にとすんと刺さってしまえば椿はニコニコと笑って「 私も、直政様みたいに上手に作れるように頑張りますね。 」と、彼の言葉に甘えて静かに席につけば改めて美味しそうで豪華な朝食にきらきらと瞳を輝かせては彼は朝食だと洋食が好きなんだなと頭の中のメモにまた1項目を書き足して。パンやベーコンの焼き加減だったり、目玉焼きの焼き方だったり。少しでも彼の好きな物を作れるようになろう、と。 )


  • No.102 by 大祝直政  2023-05-09 18:27:18 




…無理はしないように。

( メーカーから珈琲をカップに注げば豊かで香ばしい香りが食卓に広がっていく。うん、今日もいい塩梅だと我ながら納得の出来に淹れることができたようで。飲んだことはないが、こちらと好きなものを共有したいと、まるで恋人のような不意打ちの台詞に「 ん゛んっ 」と吹き出しそうになって。己の好きなものを誰かに好きになってもらうということはそれは嬉しいものだが、相手にそんなことを言われてしまうと思春期男子にありがちな勘違いをしてしまいそうになる。頬をほんのりと赤らめながら、相手の分の珈琲をカップに注ぎ、相手の前に持っていき。飲むのが初めてならばおそらく…というより確実にその味に驚いてしまうだろう。一応、助け舟としてシュガーポットと牛乳も持ってきて。ニコニコと笑いながら、これからは食事は任せろと頼もしい台詞を吐く相手に、そういえばまだ相手の手料理は食べたことがなく、いったいどんな料理を作るのだろうかと気になりながら「 あぁ、楽しみにしてる。 」と自分以外の誰かの家庭料理というのが初めてなため、その期待を胸に笑顔を浮かべながらそう言って。手を合わせていざ食事。目玉焼きの黄身の部分を割ればとろりと完璧な半熟加減で、それをベーコンに絡めて口に放り込めば「 うん。 」とだけ頷くが、出来栄えはそのなんとも幸せそうな表情を見れば簡単に察することができて。 )

  • No.103 by 椿  2023-05-09 19:20:56 



─── …… いただきます。

( 両手を合わせて、深々と頭を下げる。ふわりと香ってくる珈琲の匂いも、ベーコンやトーストの焼けた香ばしい匂いも、それから部屋へ穏やかに降り注いでいる朝の光も全てが新鮮で柔らかくて、椿の心も陽の光によってどろりと溶けていくようで表情は穏やかで。早速、と彼の淹れてくれた珈琲の入ったカップをそっと持てばゆらゆらと湯気の立ち上る珈琲にふうふうと息を吹きかけてこくん、と一口。途端、口の中に広がる苦味とコクに思わず蘇芳の瞳を見開けば思わず噴き出してしまいそうなのを必死で飲み込み 「 っ、げほ、っっごほ、に、にが…! 」 と人生で初めて経験する苦味に目を白黒させて。直政様も姐さんのお客さんも美味しそうに飲んでいたのに、珈琲ってこんなにも苦いものなの、と普段甘いものを好んでいる自分にとっては未体験のものらしくその瞳は〝珈琲がにがい!きらい!〟と言うよりはただただビックリしているだけのようで。 )

  • No.104 by 大祝直政  2023-05-09 21:36:59 




( ベーコンと目玉焼きの具合がよければお次はトーストを。バターを塗れば黄金色に輝きながら、溶けて染み込んでいき、それを大きく口を開けて迎え入れようとした瞬間、目の前の相手が初めてのコーヒーの味にむせれば、「 まぁ、そうなるな。 」あぁやっぱりと苦笑して。自分だって、初めてコーヒーを飲んだときには苦くて渋くてとても飲めるものではなかったのだから、まだ18にもならない少女がコーヒーの味を理解できるはずがないだろう。しかし、自分の好きなものを好きになろうとしてくれた相手の気持ちを無碍にできずになにも注意しなかった自分にも非があるため、助け舟として用意しておいたシュガーポットから角砂糖を1個…いや2個、相手のカップに入れてあげ、仕上げに牛乳をほんの少し垂らして応急処置を施せば「 はら、これでどうだ? 」とカップのコーヒーは漆黒から柔らかな茶色に染まっていき。 )

  • No.105 by 椿  2023-05-09 22:27:35 



あう…………

( まだ舌に苦味がこびり付いているような気がして顔をムキャ!とくしゃくしゃにさせながら椿が悶えていると、何やら彼が珈琲になにかを施してくれたようでもう一度飲んでみるように促される。生理的に出てきた涙で潤んだ蘇芳で彼を本当?と言いたげに見つめては、恐る恐るといったようにカップに手を伸ばして。先程の何もかも飲み込んでしまうような黒ではなく滑らかな茶色になってどことなく匂いも甘ったるくなった其れは、今ならばなんだか飲める気がして椿はゆっくりと一口飲んで。「 !あまくて美味しい……! 」 と先程の表情からは一転、きらきらと瞳を輝かせては先程よりもずっと滑らかで甘くなった珈琲にこれなら飲めるとこくこく頷いて。これならば彼の好きなものもきっと自分も好きになれると、まるで彼が魔法を施したかのようにスっと飲みやすくなった珈琲に視線を落とせばにこにこふわふわ上機嫌に笑って。 )


  • No.106 by 大祝直政  2023-05-09 23:56:16 




( 苦虫をつぶしたような(実際にそういう状況なのだが)表情で初めての味にあわあわと苦しめられる相手が、魔法(砂糖)を施された珈琲を改めてくぴ、と口をつけるとたちまち表情を明るくさせていく様を見ればその子供のような単純さに思わずふふっと笑ってしまい。これならば相手でも珈琲を楽しめ、いずれ本当の味にも慣れていくことだろう。それがいつになるかはわからないが。そんな甘ったるい珈琲を楽しむ相手を横目に、「 ま、この味がわかるまではまだお子様だな。 」と、何も味変を施してないブラックを優雅に味わうさまを見せつけながらそうからかって。バターを塗ったトーストを平らげれば、二枚目はいちごのジャムを塗り付け味を変えて、また珈琲を味わって、穏やかな朝食の時間を送っていればふと、誰かと食事を共にすることなど久しぶりだったことに気付くと、誰かとともにこうやって食卓を囲むのはこんなにも心温まるものだったのかと思い出せば「 ふふっ。 」と幸せそうな笑いが零れて。)

  • No.107 by 椿  2023-05-10 15:00:36 



ぅ…。
すぐに飲めるようになりますもん。私だって立派な大人の女ですから!

( ふうふうとシッカリ冷ましながら甘ったるくなった珈琲を飲む姿はどこからどう見ても…10人が見て9人は子どもだと答えるだろうが、白磁のような餅頬をぷくりと膨らませる椿は大人の女だと言い張って。だがしかしブラックコーヒーを優雅に嗜む彼は立派な一紳士で、朝の光を纏う彼はなにだか宗教的な美しさすら感じてしまう。椿はぽ、とそんな様子の彼に頬を染めては慌てて自分もご飯を食べようと視線を食事に落とし、早速とトーストをかじればサク…と軽々しい食感の中のふわりとした食感に〝美味しい!〟と瞳を輝かせて。何も付けなくてもトーストってこんなに美味しいのねとそのまま咀嚼を続けていたものの、ふとかれの幸せそうな笑い声に気がつけば彼の笑顔に自分も何だか笑顔になってしまい「 どうかしましたか、直政様。 」と自分が想像していたよりもずっと優しい声で問いかけて。自分の慕っている人が幸せそうに微笑んでいると言うだけで自分の心まで暖かくなってしまう単純な乙女心は、にこにこふわふわと朝から椿の心を柔らかくしてしまい。 )


  • No.108 by 大祝直政  2023-05-10 20:34:03 




立派な女の人は自分のことを立派なんて言わないものだよ。

( 子供扱い…というか実際に子供なのだが、揶揄われたことでぽこぽこと白桃のような頬を膨らます様子はますます子供のそれで、自分で大人だと言い張る相手に、本当に大人ならばわざわざ誇示しないものであると、ふんすと自身ありげに息を吹く相手の鼻をピンッと人差し指で弾きながら指摘して。バターもジャムもつけずにトーストを小さく齧る相手がなんとも美味しそうに表情を綻ばせる様を見れば、噛み締めていたこの朝のひとときの幸せがさらに暖かみを増していき。いつものように花のようなふわりとした笑顔を向けてくる相手がどうかしたのかと問いかけてくると、幸せを噛み締めていたことでどうやら表情にまで出てしまっていたみたいで、その理由を話すのもなんだか恥ずかしく思えば「 いや、椿はいつも美味しそうに食べてるなーって。 」と、本心を誤魔化すために、昨日から食事の度に表情を綻ばせる相手のことを引き合いに出して。 )

  • No.109 by 椿  2023-05-10 22:03:43 



ん、…………うー。
じゃあ直政様が大人の女性にしてくださいまし。

( ぴんっ、と彼の長くしなやかな指で鼻先を弾かれてはキュ!と瞳を閉じては不満そうにさくらんぼ色の唇を尖らせて。だがしかし大人の女性というものが一体どんなものか、自分の周りには遊女しか居なかったため見本となれる女はきっと外の世界の常識とは外れていると自分でも自覚はあるのか彼の中の大人の女性ならばきっと世間一般でも〝れでぃ〟と胸を張れるものだろうと、自分がとんでもない発言をしていることにも気づかず実に真面目な表情で彼へと返して。と、 自分が美味しそうに食べると微笑む彼にあまり自覚はなかったのか、きょとん、と不思議そうに蘇芳を丸くした後に嗚呼!とすぐに笑えば「 だってね、とっても美味しいものばかりなんですもの。初めて食べるものばかり。お外は美味しいものが沢山あるんですね。 」 と幸せそうにふにゃりと頬を緩め。〝お外〟とは言わずもがな遊郭の外。これから自分が生きていく世界のことなのだが、未だに外という感覚が抜けないのか椿の表情はただにこにこと幸せそうで。 )


  • No.110 by 大祝直政  2023-05-10 23:21:18 




んぶふっ、!

( ベーコンの塩分とトーストで乾いた口の中を流そうと珈琲を啜っていると、また揶揄われたことによって血色の良い柔らかそうな唇を尖らせる相手が大人の女にしてほしいと、突飛で素っ頓狂なその申し出に思わず口に含んでいた珈琲を吹き出しそうになり。幸い口の中にあったのは少しだけだったためか、カップに噴き出すだけに止めることができたが口元から珈琲を垂らしてしまって。いきなりなんてことを言い出すんだこの少女はと呆れながらハンカチで口元を拭っていれば「 そういうことはまだ椿には早い。自分を大切にしなさいと昨日言ったばかりだろう。 」と、大方、花街で女が男を手球に取るときの決まり文句として学んでいたのだろう。よもや相手が無意識にそういうことを申し出たなどと思うはずもなく、昨日の相手の思いがけない行動のことを思い出しながらそう言って。どうやら誤魔化しは成功したようで、騙されたことに気づくこともなく幸せそうに笑顔を浮かべると少しだけ罪悪感を感じてしまって。遊郭の外は美味しいもので溢れていると、ふと、遊郭の中での食事はどんなものだったのかと気になれば「 これまではどんなのを食べてたんだ? 」と問いかけてみて。 )

  • No.111 by 椿  2023-05-11 00:08:08 



ひゃっ、……だ、大丈夫ですか……?

( 先程まで一片たりとも優雅さを欠くことのなかった彼が突然珈琲を吹き出しそうになったのを見てこちらも驚いたのかよもや自分が原因とは思わないまま、器官にでも入ったのかしらと心配そうに眉を下げて。「 ??そういうこと……? 」と彼の言葉の意図が分からずはて、と首を傾げては点と点が繋がったのか顔をぶわっと真っ赤にさせれば「 あ、いいえ、違うの、そういう意味で言ったんじゃなくて、その、あの! 」とあわあわと両手を振りながら先程のは全く無意識下のことで、〝そういう意図〟を意識をして言った訳では無いと彼にアピールをするように一生懸命言葉を紡ぐも焦り故か上手い誤魔化しが出てこず、小さな耳まで朱色に染めて〝ちがう〟と否定して。遊郭の中での食事を聞かれれば、マァもちろん彼のような上流階級の人間に嬉々として聞かせられるような食事環境という訳では無いので、少し困ったように眉を下げながら「 基本的に食事は一日に2回、白米と、それから沢庵。……階級によってはお魚や副菜が着いてくることもありますが、水揚げもまだだった私や禿たちは基本的にそれだけです。あ、でも姐さんたちが気を利かせてくだすっておかずを貰えることもありましたよ。 」と〝生きているだけで借金がかさんでいく〟遊郭では、格下の遊女たちには滅多のことでは豪勢な食事が出されることは無かったと答えて。 )

  • No.112 by 大祝直政  2023-05-11 07:33:12 




えっ、?そうなのか!?

( 花街の女がそういうことをいうのはそういうことなのだろう。しかし目の前の椿は『 はて? 』とゆるりと首を傾げていてなにやら様子がおかしいと感じ始めて。しかしすぐにこちらが考えていたことを察したのかすぐにあわあわとして顔を赤らめると、まさか無意識に先ほどの誘い文句を口にしたのかと目を見開けば末恐ろしく感じて。相手が拙い言葉で否定しようとすると、こちらもこちらで盛大な勘違いをしてしまったことが恥ずかしくて頬を赤らめれば「 とっ、とにかく、大人の女っていうのは誰かにしてもらうものじゃない。自分でなりたいと思って意識してれば自然となってるんだ。 」と、相手の大人になる=床入りすると盛大に勘違いしていたくせに、いけしゃあしゃあと説教して。相手から聞かされた遊郭での食事事情は想像よりも酷いもので、「 そう…か…。 」と余計なことを思い出させしまっただろうかと言葉尻が小さくなっていき。それでは栄養状態がいいわけなく、よくもそんな食事であそこまで実っ…ごほん。よくもそんな食事でいままで生きてこられたなと思えば、これからはそんな不幸な目に合わせてはならないと決意し「 昼は自由に食べていいからな。 」とここでは遠慮する必要はないことを告げて最後の一口のベーコンを口に放り込んで手を合わせて。 )

  • No.113 by 椿  2023-05-11 17:20:41 



はっ、はい!頑張ります…!

( なぜだか自分と同じように頬を赤らめる彼に不思議そうに首を傾げたものの、彼の言う〝自然となっているもの〟になれるように努力をしようとまたひとつ決意して。直政様も案外しゃいぼーいなのかしら、と斜め上の認識をしてはなんだか可愛いなと此方は逆にほっこりと女心の柔らかい部分にそれが刺さったのかにこにこと頬が緩んでしまい。彼の言葉尻がだんだんと小さくなっていくのを感じては気を遣わせてしまったかしらと少し不安になり「 ええと、でも、私生まれた時から遊郭にいてあの生活しか知りませんから、それが当たり前だと思ってたので!あの、お気になさらず! 」とフォローのつもりが逆に自分の悲壮感を上げてしまう発言とは露知らずにこにこへらへらと言葉を返しては、その時の生活に比べたらまるで天国のような食事たちを自分も全てたいらげてご馳走様でした、と両手を合わせて深々頭を下げて。「 ありがとうございます、でも本当にお気になさらず!そんなに沢山はきっと食べられませんもの。 」と彼の此方を気遣う言葉に嬉しそうに表情を和らげては、家主が不在の間に家の食材を自分のためにどうこうするのはまだ少し気が引けてしまうのかゆるりと首を振り。 )


  • No.114 by 大祝直政  2023-05-11 18:51:15 




( 相手の身の上話は遣り手婆からあらかた聞いており、女衒を通して花街に来たのではなく、遊女と客の間にもうけられてしまった子供なのだとのこと。だからこそ、わかっていたはずなのに相手から改めて、産まれたときからあの卑しい街での生活を余儀なくされたことを告げられるとさらに相手に同情してしまい。相手を身請けしたからには、必ず幸せにせねばと義務感のようなものにかられると気にしないでほしいとふるふる首を振りながら表情を和らげる相手に対して「 …わかった。でも、ちゃんと食べるんだぞ。」と、ここは相手の気持ちを尊重するが、もう我慢はしなくていいということだけを真摯に伝えて。お互いに食事が終われば、そろそろ仕事の時間。自室に戻り、仕事用のスーツに着替えれば「 それじゃあ椿、今日はまず屋敷の掃除と夕方には風呂の掃除を頼む。」と、今日1日の相手の仕事を与えて。まずは簡単に単純な家事作業を頼めば、今日の弁当にと昨日、おりょうからもらったカツサンドが入った包みを手に持っており。 )

  • No.115 by 椿  2023-05-11 19:51:58 



─── …はい、ありがとうございます、直政様。

( 彼の真摯な優しさに、じわじわと心が解けていくような心地がする。無理矢理この食生活を改善させるわけでもなく、放っておく訳でもない。近過ぎず遠過ぎないこの優しい距離感がどうしようも無く椿にとっては心地が良くて嬉しくて、浮かべた笑顔はまるで蜂蜜のようにとろりと蕩けてしまうような笑顔で。仕事用のスーツに着替えた彼を見送ろうとぱたぱたと駆け寄れば、単純な椿の乙女心はきゅん、と高鳴ってしまう。元々の精悍な顔立ちとすらりとした彼のスタイルを強調するようなピッシリとした仕事用スーツはまた外出用のスーツの印象とはまた違うようで、こんなに素敵な人が職場にいたら女の人みんな好きになっちゃうわ…!と小さな焦りを胸にして。だがそんな可愛らしい嫉妬も束の間、彼の手にある見覚えのある包みにむ、と小さな唇を尖らせてはこれから早くお弁当も作れるようになろうと決意をして。だがしかしその黒い感情を隠すように精一杯にっこりと愛嬌のある笑顔を浮かべては「 はい、お任せ下さい!…いってらっしゃいませ、直政様。お早く、帰ってきてくださいましね。 」と彼から頼まれた家事作業に力強く頷いては、彼の胸元にそっと手を添えそのまま背伸びをしては彼の耳元で囁くように左記を告げて。 )


  • No.116 by 大祝直政  2023-05-11 20:17:06 




( こちらの与えた仕事に、不自然なほどに愛らしい笑みを浮かべる相手が頼もしく頷くと、途端に心配になってきて。いきなり相手を屋敷に1人にしてしまっていいのだろうか、怪我をしたらどうしようかと不安に駆られ、子供にはじめてのおつかいを頼む親とはこのような気分なのだろうかと考えてしまって。それでも、力強く頷いてくれる相手を信じるしかなく、壁掛け時計の針に急かされればいざ出勤となって。そこで、相手が不意にこちらの胸に手を添えて耳元で囁いてくると、まるで朝の夫婦の睦み合いのようなひと場面に心が暖かくなるような、むず痒くなるような。その鈴のような声が耳元近くで優しく鳴ると頬を赤らめれば「 あ、あぁ…行ってきます。 」とこの屋敷に来てから誰かに見送られたことなど初めてのことで、帰りを待ってくれる人がいるとはこんな気持ちなのかと思わず表情が綻んでしまいながら、屋敷を出ていき。 )


~夕方~

( 今日も一日つつがなく仕事を終え、おつきの運転手が運転する帰りの車に乗る。普段と違ったのは、仕事中、椿は何してるだろうか、大丈夫だろうかといった不安が幾度も頭の中によぎったこと。そのおかげかいつの間にか終業時間になっていて、なんだか既に相手に毒されている気がすれば末恐ろしく感じて。途中、星ノ喫茶に立ち寄り、おりょうに包みを返してから屋敷に戻れば「 ただいま。 」と、己の帰りを待ってくれている椿になんだか口に出すのも久しぶりな気がする言葉を口にして。しかし、その手には朝に持っていった包みと似た趣味の包みを提げていて…。 )

( / スキップさせていただきました!一つ相談なのですが、これからどんな話を展開させていきましょうか? )

  • No.117 by 椿  2023-05-11 21:45:10 



( さて。彼が仕事に出たとなれば、この屋敷は椿の仕事場へと早変わりする。椿は改めて自身の浴衣をたすき掛けし直せば、そういえばおハナさんがくださった服の中に可愛いエプロンがあったんだと思い出し、クローゼットの中からふんわりとした白地にフリルの着いた可愛らしいエプロンを着けて気合いは十分。まずは掃除から取り掛かろうと、掃除は上からやっていくのよ、なんて遊郭の婆たちが言っていた所謂〝おばあちゃんの知恵〟を駆使して自分たちの廓よりもずっと広く美しい屋敷を上の方からホコリを叩いて、窓を拭いて、それから床を磨いて、慣れない手つきながらも一生懸命掃除をしていく。…途中屋敷が広すぎてめげそうになることもあったけれど。マァそうこうしているうちに先程まで頭のてっぺんにあったはずのお天道様は沈みかけている頃で、これはいけない!とぱたぱた風呂場へと走れば頼まれていたお風呂掃除を初めて。改めて見ても自分が足を伸ばしてもまだ余る広い浴槽は実に磨きがいがあり、あわあわもこもこに塗れて浴槽をご機嫌よく鼻歌も歌いながら磨いているうちに帰宅した彼の〝ただいま〟の声は慕っている相手の優しい声を決して逃さない乙女の耳が器用に拾い上げて。まだ浴槽を流せてはいないけれど兎に角御出迎えをしなきゃ!と掃除に一生懸命なうちに解けてポニーテールのようになった髪やら頬やらに泡を付けながら「 おかえりなさいませ! 」と玄関へと駆けていき。視界に彼を入れてぱっ、と蘇芳の瞳を輝かせたのも束の間、鞄を預かろうと手を差し出したところ彼の手元にある家を出る際にはなかった包みに目線が行けばキュ、と形の良い眉が顰められて。 )


  • No.118 by 椿  2023-05-11 21:48:38 



( / スキップしていただきありがとうございます…!
そうですね…!折角おりょうさんの手料理を持ち帰ってきていただいたのでまたそこで一悶着あってもいいのかな、と…!もしくは直政様のお休みの日に2人で動物園や水族館、遊園地などに2人でお出かけをしたりしたらどうかなあ、と思いましたがいかがでしょうか……?? )

  • No.119 by 大祝直政  2023-05-11 23:04:19 




( ただいま、の一言は誰もいない屋敷によく通っていき、やがて染み込むように静まり返っていく。何も反応がないところを見ると、どこかを掃除しているのかと思いきやぱたぱたと慌ただしい足音が聞こえてくればどうやらちゃんと聴こえていたようだと安心して。屋敷の奥から出てきた相手はフリル付きのエプロンを身につけており、まさに侍女と言った出立ちで、頬に泡をつけているところを見ればちょうど風呂掃除をしていたことがうかがえて。ただいまと言えばおかえりと返してくれる、己の帰りを待ってくれている人がいる。そのことがこんなにも嬉しいものかと、心に暖かな感情が広がっていけば手に提げている包みに眉を顰める相手に気付き「 あぁ。これ、おりょうさんが2人で食べてくれってさ。 」と、包みを返したらまたお土産を持たされてしまったと、鞄を受け取る相手に包みもついでに渡せば「 着替えたらすぐに飯にしよう。 」と己はスーツから着替えるべく自室に向かって。そうして直政がいなくなれば包みからひらひらと舞い落ちる紙が一欠片。『 横取りするな 』と、どうやら椿に宛てられた便りのようで。 )

( / お出かけイベントいいですね!是非やりましょう!

こちらとしては、いつか、椿様が慣れない環境のせいで知らず知らずのうちに疲労を溜めていて風邪を患ってしまい、看病イベントのようなものもやってみたいなと思うのですがどうでしょうか…? )

  • No.120 by 椿  2023-05-11 23:53:27 



─── ……まぁ。お気遣いいただいて。
お優しい方ですね、お料理もとってもお上手だもの。中は何かしら。

( 彼から鞄と包みを受け取れば、にこりと貼り付けただけの美しい女の笑みを浮かべて思ってもいない台詞をぺらぺらと。自分でも思わないうちに方便も随分と上手になったもので、着替えようと自室に向かう彼の背中をちらりと見やった後に視線で虫程度なら殺せてしまいそうなほど冷たい目で落ちた紙切れを見下ろし。「 ……ふふ、お可愛らしいこと! 」と厭なくらいぱっと花の綻ぶような笑顔を浮かべれば、椿はそうっと其れを拾い上げた途端にぐしゃりと握りつぶしクズ籠へなんの躊躇いもなく捨ててしまう。……横取りするな、ですって。蜘蛛の巣から蝶々を逃した蜘蛛が悪いんでしょう!沸々と湧き出てくる自分の中の独占欲のような悪い癖がこの胸の中でどんどんと大きくなっていく。彼が着替え終わる前に、と、自分のそんな醜悪な女の感情を浴槽の泡と共に急いで洗い流してしまえば、椿はまるで何事も無かったかのように夕飯のテーブルセットやらに取り掛かり。致し方のないことなので、あの女からの土産とやらも一緒に食卓に出してあげるとしよう。そんな事を考えながら彼が着替え終わるのを待って。 )


( / 看病イベント!めちゃめちゃ素敵です……!!!
椿としても家事雑用をしなければ自分の存在意義がないのに体が動かないちぐはぐさがあったりで進展がありそうでとっても良いと思います……!!!是非やらせてください…!! )


  • No.121 by 大祝直政  2023-05-12 14:15:37 




うん、おりょうさんにはよくお世話になってるよ。

( 今日も花のような笑顔で微笑む相手が包みを受け取ると、その台詞の真意と笑顔の裏に潜む何かに気づくことなく、相手を身請けする以前から交流のあることを思わせる発言をして。実際、星ノ喫茶に行けば何かと不思議なほど手厚いサービスを受けており、相手には世話になってばかりだと申し訳なさそうにしながら話して。自室にて、今日1日の疲れをため息に込めるように深く息を吐きながら部屋着に着替えていると、途端にゾッと、何かおぞましい気配を感じて。凍てつくような、それでいてどろどろと溶けているような。それが椿の漏れ出すドス黒い感情などと気づくはずもなく、気のせいだろうとなんとも思わないようにして。今日の部屋着は和服。着物の合わせ目から肌が見え隠れさせながらダイニングに向かえば「 おぉ、メンチカツか。 」と、どうやらおりょうからのお土産はメンチカツだったようで、すでに整えられた食卓の上で揚げたてなためかまだ湯気を立ち上らせていて。 )

( / お気に召していただけたようでよかったです!タイミングとしてはくだんのお出かけの帰りに体調を壊してしまう感じかなと思いました。 )

  • No.122 by 椿  2023-05-12 16:19:49 



……すてき、

( スーツから和服に着替えた彼に、ぽぽぽと頬を桃色に染めてはそっと口元を隠した掌の中で乙女の呟きをひとつ。昨日は自分が彼に合わせるように洋服を着ていたけれども、今日は2人の和服でお揃いのようなのがとても嬉しい。単純な乙女心に椿はにこにこ微笑んではもうすっかり夕飯も食卓に並べ終わったのでエプロンとたすき掛けをほどいて「 はい、お夕飯にはぴったりですね。…私も、早く上手に作れるようになりたい、 」と、彼の言葉に同意をしたものの、自分とはあまりにレベルの違う其れに、思わず小さな声でキュッと眉を寄せて呟く。生憎人生で料理をする機会などなく、むしろ芸妓の命である手を怪我するなと台所になんて立たせてもらったことのない自分はそこらの娘っ子よりよほど素人で。その他のことでおりょうさんに負ける気はしないのに、料理だけはどうしても経験の差が浮き彫りになってしまう。それがなにだかとても悔しくて。椿はそれを隠すように慌ててぱっと微笑めば「 さ!冷めないうちにいただきましょう、揚げたてですもの。 」 と丁寧にエプロンとたすき紐を畳んで自分の椅子の背もたれにかけては、冷めないうちに食べようと促して。 )


  • No.123 by 大祝直政  2023-05-12 16:46:19 




…なにか言ったか?

( 立ち上るカツの香りを胸いっぱいに味わっていると、口元を隠している相手からなにやらぽつりとした声が。あまりにも小さい声だったので聞き取れなかったため、ほんのりと頬を染める相手に問いかけて。並べられた夕飯をなにだか思い詰めたような表情で眺める相手が、小さな声でつぶやくと、料理の経験の差というものを見せつけられてどうも焦っているようで。その白魚のような細腕を見れば炊事などをしてこなかっただろうことが窺える。すぐにでも役に立ちたいとする相手に「 ゆっくりでいいんだ。椿はまだここに来たばかりなんだから。 」と、慰めの言葉をかければ食事を促す相手に頷いて手を合わせて。お土産のメンチカツは、完璧な味加減、揚げ加減で一口齧り付けばたちまち肉汁が溢れてくる。「 うん、うん。 」とその味に満足するように頷けばそういえばと口の中のものを飲み込んでから「 今日一日、どうだった? 」と、この屋敷に来て初めての一日は大事なかったかと問いかけて。 )

  • No.124 by 椿  2023-05-12 18:36:29 



……直政様の、お着物姿が…、格好よくて。
いつもは洋装をしていらっしゃるから。お着物姿も素敵です。

( えへ、と少し照れたようにはにかみながら素直に自分の思った気持ちを吐露しては薄桃色染まった両頬にいじらしく手を添えて。いつもおうちだと和装の方が楽なのかしら、だなんてこれから知っていけるであろう彼の一面をまた新しく頭の中にメモをしては、自分の小さな呟きにも優しく寄り添ってくれる彼の暖かさになにだか鼻の奥がつんとするような心地を覚え。「 …直政様の好きな物を、たくさん教えてくださいまし。そのお料理から、頑張ってお勉強いたしますから。 」と自分も両手をそっと合わせつつ、彼が言ってくれているように少しずつではあるが彼のおうちのことを全て自分が任せられるようにとまずは主人の好みを知ることから始めようと。いただきます、と深々頭を下げては自分もお土産のメンチカツをひと齧りすれば、じゅわりと広がる肉汁と実に歯ごたえのある衣に目を真ん丸にして。と、彼から今日一日のことを聞かれればむぐむぐ咀嚼してごくんと飲み飲んだあとに「 お掃除がとても楽しかったです!この御屋敷はとても広いので、すごくお掃除のしがいがあるの。それからお部屋が沢山あるので、ここは何かしらって想像して開けるのも楽しかったです。 」 と、にこ!と本当に楽しかったのかうふうふ微笑みながら答えて。狭いところをちまちましていくよりも広い箇所を掃除するというのはなにだか全ての動きが大仰になって、それから広いお家なので途中からどこかお城探検のような気持ちにすらなったらしくその瞳はきらきらと輝いていて。 )

  • No.125 by 大祝直政  2023-05-12 20:32:31 




…っ、!そういうことを面と向かって言うんじゃない。

( まるで恋をするうら若き少女のように桃のように染まった頬に両手を添えながら、聞いているこっちが恥ずかしくなる言葉をあけすけにものを言う相手に、まるで不意打ちを喰らったかのようにこちらも頬を染めながら、本心は嬉しいくせに上記のように注意をして。こちらのことを教えてほしいと手を合わせながら請われると、まずは作るものを明確にしておくのもいいかと思い、ふとあることを思いつけばなんならと「 じゃあ、今度一緒に料理してみようか。 」と、それならば自分が教えながら料理を作ることができるだろうと提案して。本当に家事をしていたのだろうかと思ってしまうほど瞳を煌めかせる相手が今日一日の冒険譚を大仰な仕草で聞かせてくると、こちらもそれにつられて笑顔を浮かべながら聴いていれば日中のこちらの心配はどうやら杞憂だったようだと安心して。しかし、気になる点があと一つ。今朝、念を押しておいたあれはどうかと気になれば「 ご飯はちゃんと食べたか? 」と変に我慢して腹を空かせなかったかと問いかけてみて。 )

  • No.126 by 椿  2023-05-12 22:22:14 



え、えぇ……???
だって、姐さんが思った事は素直に口にしろって…

( なぜだか彼までも頬を染めているのにぱちり、と目をぱちばちと瞬きをさせてはこてりと首を傾げながら花街での姐さん花魁はそう言っていたと。外の世界は難しい…と改めて育ってきた環境のギャップを感じれば少しずつこちらの世界に慣れていかなければと改めて感じて。一緒に料理をしてくれるという彼の言葉にぱぁあ、と瞳を輝かせては「 ほんとうですか!?直政様と一緒にお料理したいです、! 」と心底嬉しそうに彼の提案に乗り。彼と共に料理をすれば、好きな献立だけでなく彼の好みの味付けなども一緒に分かるという正に一石二鳥の提案だと。今から既にうきうきわくわくと高鳴ってしまう胸を収めることも出来ずに自然と頬が緩んでしまい。……そうなっていたのも束の間、彼から本日の昼食について聞かれればぴた、と一瞬動きを止めたあとに「 ……あまりお腹が、空いてなくて。 」 とゆっくりと彼から蘇芳を逸らして。元々1日2食だったことや、そもそも掃除に熱中してしまっていたこともあり今彼に指摘されるまでスッカリ忘れていたと。 )


  • No.127 by 大祝直政  2023-05-12 23:59:47 




…これからは気をつけるように。

( 何とも不思議そうにぱちくりと蘇芳の瞳を瞬かせる相手を見ていると、もしかしたらこちらが間違っているのかもと思えてくるほどで、まるで自分は間違っていないと言わんばかりのその表情からはそれだけ花街での生活、常識が身に染み付いているのだとわかり、今回は育ての親の姐さんに免じて許すようで。たかが炊事場に一緒に立つだけで瞳を輝かせながら表情を綻ばせる相手に苦笑すれば「 そうだな…明日の夜にしよう。 」と今日はもうメンチカツを食べているために、これ以上は食べきれなく、であれば明日の夕飯を一緒に作ることを告げて。昼食のことについて問いかけた途端、ぎくりと動きを止める相手が昼食を取らなかったことを正直に白状すると「 そうか…。」と未だに花街での体内時計が抜けきっていない相手になんだか考え込むような素振りを見せれば「 俺が作ったものなら食べるか? 」と、ならば無理矢理相手のための料理を作れば食べてくれるのではないかと考えて。 )

  • No.128 by 椿  2023-05-13 07:14:51 



?……分かりました……。

( 未だきょとんと不思議そうに瞳を丸くしているものの、主人の言う事に背く訳にはいかないので小さくこくりと頷いて。できるだけ彼にきゅんとした時は自分の胸の中に秘めておこう、と自分の中で取り決めては〝言いません〟とでもアピールするように口元を両手でそっと隠し。明日の夜に一緒に料理ができると分かればこくこくと嬉しそうに頷き「 はい、どうか早く帰ってきてくださいましね。 」 と今から楽しみです!と言わなくてもわかるくらいにこにこと嬉しそうな表情で答えて。何を作るのかしら、上手く作れるといいな、なんて彼の黒瑪瑙とぱちり、と目が合えばふにゃりと眦を下げて微笑み。彼の料理なら食べられるかという問いに「 へ、 」と自分でも予想だにしなかった彼の提案にぽかんとしてしまえば、暫くしてその意味を理解しては「 そ、そんな!お仕事でお忙しい直政様のお手を煩わせるなんて! 」と慌てて遠慮して。正直、彼の手料理は食べて見たい気持ちもあるしきっとそれならば自分で作って食べるよりもきっと使命感から昼食を食べるようになるだろう。だがやはり仕事で忙しい彼の手を煩わせる訳にもいかず迷ったように眉を下げて。 )


  • No.129 by 大祝直政  2023-05-15 10:09:10 



うん、なるべく早く帰る。

( 蘇芳の瞳がふにゃりとだらしなく下がり、ささやかなわがままを口にされると、己もその愛い笑顔に勝てないようで。まるで夫婦の生活の一場面のようなこのひと時で、改めて、これまで1人で過ごしていたこの広い屋敷に、己の帰りを待ってくれる人がいるという幸せを大切に噛み締めながらつられるように微笑んで上記のように返して。こちらの言った言葉に一瞬理解ができなかったみたいで、一拍おいてから慌てて遠慮し始める相手に「 気にしなくていい。こっちもそんなに手の込んだものを作るわけではないから。 」と、手を煩うほどのものではなく、おにぎりやサンドイッチなどの手軽なものを作ろうと考えており。そうして食事を食べ進めて、やがて完食すれば「 ご馳走様。おりょうさんにまた返しに行かなきゃなぁ。 」と包みを見ながらそう言って、しかしこれを返しに行けばまた何か持たされるかもしれなくて、まるでいたちごっこのようだと苦笑して。 )

  • No.130 by 椿  2023-05-15 23:02:48 



いいえ。直政様が作ってくださるならどんなものでもご馳走ですもの。
お気遣いいただきありがとうございます。

( 彼の言葉にふる、と緩く首を振れば手の込みようではなく彼が作ってくれる事実だけがどうしようもなく嬉しいのだと心底嬉しそうに表情を綻ばせて。慕っている相手からの手料理というだけでも嬉しいのに、それが自分の為だけに作ってもらえるというこれ以上ないまでの乙女へのご褒美にこれは自分も晩御飯を気合を入れて作れるようにならなければと。暫くし自分も全ての料理を間食すれば手を合わせてごちそうさまでした、と頭を下げれば彼の言葉にぱちり、と目を丸くして。確かにまた彼が言っても彼女は〝自分に対してのマウント〟としてお土産を持たすだろう。そうなれば戴いてばかりだと彼も気を使ってしまうだろうとふむ、と納得しては「 もしよかったら、私がお返ししてきましょうか…?もちろん、おうちでのお仕事を全部終わらせてから行ってきます! 」と実際のところ気は進まないのだが、マァでもいつまでもこんな風に相手ばかりを気持ちよくさせるのも腹が立つし、何よりも自分の知らぬところで彼が彼女と会うのが嫌なので、致し方なく…無論彼にはその黒い気持ちを見せないようにこてりと可愛らしく首を傾げながら提案してみて。 )


  • No.131 by 大祝直政  2023-05-15 23:27:34 




…いいのか?喫茶までの道、わかるのか?

( また返しに行かなくてはと眺めていた包みを相手自ら返しに行くというがこちらは少々不安のようで、喫茶店までの道は昨日1日で覚えていたとしても、そこまで無事に辿り着けるのかどうか。今の今まで花街という狭い世界で生きてきたのだから外の世界を1人で歩かせるというのもそうだが、人目を引く相手の美しい容姿に悪い男が群がったりしてしまうかもしれないと思うと「 いや、やっぱりダメだ。1人で行かせるのは危ない。 」と、相手の中に渦巻く暗い感情など知る由もなく、こてりと笑顔を浮かべる相手を心配する姿はまるで過保護な親のようで。2人とも夕食を食べ終えれば「 それじゃあ椿、洗い物を頼む。俺は風呂に入ってくる。 」と、椅子から立ち上がれば今日1日の疲れを洗い流すために風呂場へと向かい。)

  • No.132 by 椿  2023-05-16 00:05:14 



???
あぶない……ですか?

( てっきり懸念点といえば喫茶店までの道のりだけだと思っていたが、自分が思っていた懸念点とはまるで違う彼の指摘に思わず不思議そうに椿も目を丸めてしまい。危ないとはなにだろう、昨日の彼の様子から見て〝女同士で喧嘩になったら危ない〟とかそういう意味では絶対にないだろうし、ハテそれならば彼の指摘する危ないとはなんだろうか。車通りが多いからかしらなんて自分の中でぐるぐると疑問をかきまぜていれば、風呂に入ると席を立った彼に続いて自分も慌てて席をたち「 はい、いってらっしゃいまし。 」とにこりと微笑んで。彼が部屋を出たのを見届けてから食器たちを台所に運び、さァやるぞとまたたすき掛けやらエプロンをつけてあわあわもこもこと皿洗いをはじめて。やはり皿洗いも新鮮なのか、ご機嫌そうににこにこ楽しく一通り皿を洗い終わっては続いて洗い終わった皿たちを乾拭きして棚へと戻す作業に移り。「 ふんふん~ 」 と誰も聞いていないのをいい事に鼻歌なんかを歌いながら作業に没頭し続けては、丁度目に付いたヒラヒラ可愛らしいレースの着いたエプロンをそっと摘んでくるりも回転したりと楽しそうで。 )


  • No.133 by 大祝直政  2023-05-16 07:12:45 




椿、外には怖い人がいっぱいいるんだ。

( こちらの懸念点などよそに、外の世界に危険が満ちていることなど想像できないと蘇芳を丸める相手に、まるで子供に言い聞かせるように上記のように脅かしてみて。もし、相手が変な男に連れて行かれでもしたらその細腕では抵抗もできないだろう。そうなってからでは遅いと、相手の身を心配していて。体の洗浄を終え、浴槽に浸かれば今日1日の疲れを全て吐き出すかのように長い長いため息が出る。しかし、屋敷で己の帰りを待ってくれる相手のことを思えばなんだか明日への活力が湧いて出てくるようで、美女のためにとはいえここまで簡単な男だったことに苦笑して。体も暖まり、頃合いかと浴槽から上がれば体を拭き上げ、また先ほどの和服と同じように胸元をチラリと覗かせるような和装の寝巻きを身に纏って。屋敷の中を歩いていればなんだか楽しそうな声が炊事場から聞こえてきて、なんだろうと覗いてみればそこにはご機嫌に鼻歌を歌いながら時折エプロンのレースを摘んで回転したりする相手がおり。まるで童話の中の少女のようなその光景に、このまま眺めているのもいいかと、相手がこちらの存在に気づくまで黙って相手のダンスを鑑賞して。 )

  • No.134 by 椿  2023-05-16 12:49:30 



ふふん、ふーん、
───、…………な、直政様…!!!

( ふわり、くるん。と遊郭での舞踊とはまた違うステップながらも元々のリズム感が良いのか、まるで童話に出てくるお姫様になったかのようにワルツにも似たステップを踏みながら鼻歌を歌っていたものの、はた、と彼の美しい黒瑪瑙に気付けばぱっと白んだ頬に朱が差せば指先で摘んでいたエプロンをキュ!と握ってわなわなと蘇芳の瞳を丸くさせて。「 な、いつ、…!!(なんで、いつから) 」と驚きと羞恥で上手く動かない唇を必死に動かしながら一体いつから見られていたのかと問い掛けるも、冷静に考えてみれば鼻歌なんて歌ってしまったらそりゃあ扉の外からだって気になってしまうものなのだ。歌はまだ仕事として使っていたし鼻歌程度だからまだ、まだ100歩譲って良いとしても、お姫様気分でエプロンを摘んでくるくる回っていたのはどうしようもなく恥ずかしい。だってその場の適当な振りだったし誰も見ていないのににこにこしているなんて変な子だと思われたわ…!と穴があったら入りたいとその場にしゃがみこんでは真っ赤な頬を隠すように両手で抑えてはおずおずと彼を見上げて。 )


  • No.135 by 大祝直政  2023-05-16 13:46:34 




( よほど夢中になっていたのか、部屋に入ってもこちらの存在にしばらく気づくことなくて、お陰でじっくりと椿のダンスを鑑賞することができて。遊郭でリズム感などが鍛えられたためか、そのステップは乱れることなく、相手がくるりと回る度にそのエプロンがふわりと楽しそうに舞う様はまるでドレスのようで。ようやくこちらの存在に気づいたようで、その白頬にぶわっと朱が染まっていけば「 可愛らしい舞だったよ。 」と、舞を堪能させてくれた相手にお礼を言うが、羞恥に悶える相手からしたら追い討ちにしかなっていなくて。わなわなと蘇芳の瞳をこれでもかと見開く相手がいつと問いかけてくると「 エプロンを摘み始めたところから。 」と、これまでの相手の舞を初めから全部見ていたことを暴露してさらに追い討ちをかけて。耐えきれずにしゃがみ込んでこちらを見上げる相手に「 魔法が効いてるみたいでよかったよ。 」と、昨日の車の中での会話で、自分は椿の魔法使いという仰せつかった役を引き合いに出せば、かけた魔法を存分に楽しんでくれているようでよかったと微笑んで。 )

  • No.136 by 椿  2023-05-16 18:16:36 



ま、また…!
どうして声をかけてくださらないんですか…!仰ってくださればちゃんと踊るのに…!

( そういえば昨日だって彼は自分が準備をしている所を見てたのに声をかけてくれなかった、と思い出せばムキャ!と拗ねたようにさくらんぼ色の艶やかな唇を尖らせて。折角見てもらうのならあんな適当な踊りじゃなくちゃんと花街で培った玄人の舞を見て欲しいのにと可愛らしく拗ねてみせて。それに話を聞いてみれば本当に最初から自分の踊っていたのは彼に見られていたようで「 あぅ、 」と声にならない声を上げてはまたぽぽぽと表情を赤らめて。おハナさんのお店で買ったこのエプロンがただ着ているだけでも可愛いのにひらりと回るとまるで花が咲くように広がるのが楽しくて何度もくるくると初めて足を手に入れた人魚姫のように遊んでいたのを見られていたとどうしようもなく羞恥心を擽られては、〝魔法使い〟たる彼の優しい笑顔にどうしようもなく心ときめいたもののすぐに自分は拗ねているんだと思い出せばふい、と柔らかな黒髪を揺らしながらそっぽを向けば「 い、…いじわるな魔法使いさんはしりません! 」と鈴のような声でぷんすこ幼く拗ねては〝嫌(や)〟のポーズを。 )


  • No.137 by 大祝直政  2023-05-16 18:38:02 




こういう時しか見れない舞も見たいだろう?

( ぷるりと柔らかそうな桜色の唇を尖らせて精一杯拗ねてみせる椿がちゃんとした踊りをとは言うが、こうやって人知れないところで自分の舞台に浸る相手の一面も見てみたいとからかって。お陰で相手の朗らかな一面と、こうやって子供っぽく頬を染めていく相手が見れたのでよしとしては「 その舞もまたいつかな。 」と言えばそうか…花街の舞か、と考え込むような素振りを見せて。花街の芸妓は三味線や扇などを使うが相手は今それらが手元にない。「本当の舞」を見るにはそれらを用意しなくてはと考えて。魔法をかけられた姫がついには完全に拗ねてしまい、流れるような黒髪を揺らしてそっぽを向くと「 あ…と、悪かった…。 」と、その可愛らしい仕草で拗ねられてしまうと弱いみたいで、確かに乙女のひと時を覗き見をした挙句、それをまじまじと見ていたのだから失礼だろうと反省すれば「 どうすれば許してくれる? 」と、この頑固そうな態度は謝っただけでは許してくれそうにないため、代わりに何でもしてあげようとして。 )

  • No.138 by 椿  2023-05-16 19:27:55 



だって、
……折角見ていただけるなら1番自信が持てる私がいいんですもの。

( 確かに彼の言うこういう時にしか見られない一面を見たいという気持ちもわかるし、きっと自分が逆の立場だったら彼のようにこっそりと見ていてしまうかもしれないけれど。それでも想い人には一番可愛くて自信の持てる自分を見てほしいのも乙女のわがままで。ふ、と彼の方を見れば何かを考えるような仕草をしていることに気づいてこてりと首を傾げては「 どうかしましたか、? 」と不思議そうな声で問いかけて。何か舞で気になることがあったのかしら、と該当しそうな項目を浮かべるも特にしっくりくるものはなく、椿の疑問は深まっていき。…と、どうすれば許してくれるかとこちらを切なそうな黒瑪瑙で見つめる彼をちらり、と横目で見てはおずおずと立ち上がりそのまま彼の耳元に唇を近付けては「 じゃあ、ほかの女の方のとこに行かれる時は椿も連れて行ってくださいまし。……直政様1人で行っちゃ嫌(や)。 」と周りに自分と彼以外がいる訳でもないのにぽそぽそ小さな声で囁いて。それからそっと彼から離れると、だめ?と言うように緩く眉を下げながら首を傾げてみせ。 )


  • No.139 by 大祝直政  2023-05-16 20:23:07 




椿はいつでも綺麗だよ。

( 女の矜持というものだろうか。見てもらうときには万全の状態でとささやかなわがままを口にする相手に、そうでない時も椿は可憐だと歯の浮くようなセリフを吐いて。しかしまぁ、相手のその見栄はこちらのことを想ってくれてのことなのだと反省すればこれからはバレないように覗こうと、斜め上の決心をして。三味線と扇を買うとはいっても、なんの知識もない自分が下手に手を出してもいいのだろうかと考え込んでいると傍から不思議そうな声で問いかけられれば、「 あぁ…椿の三味線と扇を用意しないとって思って。 」と小首をこてりと傾げる相手にそう告げれば、そうだ、ここにはプロがいるじゃないか。それに、相手の手に馴染むものを選んで貰えばいいと思えば「 そうだ。今度、三味線と扇を買いに行こうか。 」と外出がてらに買いに行こうと提案して。相手から許しをもらうためにはどうしたらいいのだろうか。なにか無茶なことを言われなければいいのだがと不安になっていると、しゃがみ込んでいた相手が立ち上がり、不意にこちらの耳元まで唇を近づけて、その鈴の声で囁かれると、まるで2人の秘め事の約束をするような状況にドキリとしては頬を赤らめて。「 あ、あぁ…わかった…。 」と、とどめと言わんばかりに困ったように眉を下げて可愛らしく小首を傾げてくればその条件を飲み込むことしかできず。しかし、その要求の真意や相手の胸の内に渦巻く黒いなにかを知るはずもなく、少女のただのわがままだろうと軽く受け止めては「 片付けが終わったら椿も風呂に入って今日は休みなさい。 」と、一日中掃除していたので疲れているだろうと気遣って。 )

  • No.140 by 椿  2023-05-16 21:52:49 



っ、…!
そんな、こと……。

( 乙女というものは実に単純なもので、それ以上の意味を持たないというのにそれが分かっていても想い人からのその言葉にはきゅんとアッサリと心が落ちてしまうもの。椿は彼からの言葉にパッと桜が舞うように薄紅色に染った頬をそのままに、ふにゃふにゃよわよわと彼の言葉を否定して。嗚呼だめ、姐さんが褒められてもお上手なんだからって平気な顔して笑いなさいって言ってたのに。他のお客さんに言われた時はできたのに、なぜ今はできないのかしら。なにだか暑い頬を両手で抑えながらきゅうと締め付けるように痛む胸をそのままにゆるりと首を振って。と、まるで流れの読めない彼の水流のような言葉に更に蘇芳を丸くしては「 へ、?な、直政様、どうしてそんな、しゃ、三味線も扇もそんなホイと買えるお値段では、 」と、ただでさえ現状彼が自分にかけてくれたお金を考えるだけでもくらりと気が遠くなるのにそこから更に三味線やら扇やらまでプラスされてしまえばとんでもない金額になってしまうと慌てて両手を横に振りながら、だがしかし彼が1度決めたことを簡単に覆すような人ではないということはこの2日間で充分に理解してしまっているのでせめて高級店でなければいいななんて叶いそうにない願いを脳裏にかけ。彼からの気遣いにふわりと頬を緩めては、もう片付けも終わっているのでその気遣いに甘えさせてもらおうと「 はい、じゃあお風呂戴きますね。おやすみなさいませ、直政様。……さっきの、約束ですよ。破ったら怒っちゃいますから。 」と言いつつ両手でそっと彼の手を取っては、彼の小指と自分の小指をするりと絡めて指切りを。彼の黒瑪瑙と自分の蘇芳を絡めてにっこりと可愛らしく微笑んでは、軽い会釈の後にぱたぱたと素直にお風呂の方へと向かって。 )


  • No.141 by 大祝直政  2023-05-17 07:28:52 




本当の舞を見せてくれるんだろう?

( ふにゃふにゃとだらしのない顔が、お金の話になると途端に慌てふためき始めると先程言った『 ちゃんとした舞を。 』と言う言葉は嘘だったのかと問いかけて。三味線と扇の良し悪しはわからないが、どうせ相手に舞ってもらうのなら極上のものを用意しなければと、うちに秘められた相手の望みはこの時点であっさりと儚く崩れ去ってしまい「 大丈夫。お金のことは気にしなくていいから任せなさい。 」と、頼もしそうに胸を叩く姿から既にとびっきりの代物を用意しようとしていることが伺えて。耳元でぽそぽそとした囁きも、今こうやって小指を絡められてしているゆびきりげんまんも、可愛らしい小娘のささやかなわがまま程度にしか受け取っておらず、バレなければいいのだと愚かな考えでいれば愛らしく笑みを浮かべた椿を見送れば、こちらもそろそろ休んでしまおうかと自室に向かい、布団に入れば程なくして寝息を立て始めて。 )

( / これからどうしましょうか?以前おっしゃられていた外出イベントまでにあと1日くらいクッションをおきますか? )

  • No.142 by 椿  2023-05-17 15:29:07 



───…ん、…。

( ぱちり、と目が覚める。いつの間に昨日は眠ってしまったのかしらいうくらいには深い眠りで、確かにそう言えば昨日は屋敷中を掃除したんだから体が疲れているはずだとひとり納得してしまう。だがしかしその分昨日よりもずっと早い時間に起きれたのか、まだ当たりは夜の匂いを薄らと残した夜明けで椿はそろそろとベッドから下りて。朝の身支度を軽く整え、今日はお気に入りの椿柄の浴衣の上からエプロンをつけては髪型もそれに対応して今日はお姉さんみたいに前髪をあげてみて。つるん、とした白い額は〝まだあげそめし前髪の〟といったようではあるがそれでもぱちりと上向きのまつげが強調されるようで椿は満足気に頷き。直政様はもう起きていらっしゃるかしら、と台所に早速向かいながら首を捻るもそもそも自分一人で朝ごはんを調理できるかと言われたらマァ無理な話で、それなら食器類を先に用意しちゃいましょうとカトラリー類やらを準備し始めて。 )


( / そうですね…!2人で料理するイベントで1日挟んでから外出イベントに以降出来ればなあ、と思います…!! )

  • No.143 by 大祝直政  2023-05-17 16:51:12 




( 窓から差す穏やかな陽射しに微睡の中から現実へと意識が引き上げられると、瞼越しでも届くその眩しさに眉間を顰めて。もう朝か、と寝起き特有の気だるい意識でなんとかベッドから降りると、寝巻きの浴衣ははだけ、寝癖もぴょいと一筋跳ねさせたまま、なんの支度もせずにそのまま部屋から出て。おぼつかない足取りで台所へと向かうとそこには既に朝食の用意をし始めている椿がいて「 おはよぅ、椿…。 」と、まだむにゃむにゃと微睡の余韻に浸っているのか、拙い呂律で挨拶をして。しかし、そんな朧げな意識の中でも相手の花のような美しさ、可憐さは損なわずに己の瞳に映り、曙光に照らされたその笑顔に思わずため息がこぼれてしまい。 )

( / 了解しました!そのように進めさせていただきます!おりょうの包みはどうしましょうか…? )

  • No.144 by 椿  2023-05-17 18:16:12 



─── …まあ。
うふふ、おはようございます。

( テーブルセットも丁度終わる頃。いつもの精錬された美丈夫はぽやぽやとまだ半分夢見心地のような少し抜けた愛らしい姿で現れれば、椿は思わずふは、と気の抜けたような笑顔を浮かべてしまいまた乙女の心はきゅんと高鳴り。彼の元へパタパタと駆け寄ればうふうふと可愛らしく笑いながら「 じっとしていて下さいましね。 」と優しいちまこい手で彼の柔らかな黒髪をそっと撫で付けてはぴょこんと可愛らしく跳ねた寝癖を手ぐしで梳かして。朝日に照らされた起き抜けの美丈夫の破壊力というものは、数多の男たちを掌で弄んできた遊女の女でさえころっと落ちてしまうほど可愛らしくそれでいて母性を擽られるような幼く、だがしかし乱れた浴衣のあわせから見える胸元が妙に扇情的で。それでもいつも紳士的な彼のそんな姿を見て椿はなんだかお姉さんになったような気がしてにこにこと微笑み「 まだお目覚めさんではありませんのね。 」 とぎゅうと抱きしめてしまいたい気持ちを我慢しながら、彼の意識が覚醒するのを待つように春のような暖かく穏やかな声で話しかけて。 )



( / そうですね…!2人で返しに行ってまたばちばちと乙女の水面下戦争が怒るのも楽しそうですし、直政様がこっそり1人で返しに行って椿が怒ってしまうという展開も楽しそうです…!前者ならばお出かけと一緒に行って、後者ならば今晩それが把握してお出かけの際に直政様がご機嫌取りのようにプレゼントをたくさん買い与えて椿がまたそれに怒ったりと広げられそうだなぁ、と…!! )


  • No.145 by 大祝直政  2023-05-17 19:51:10 




( 相手の笑顔で意識がだんだんとハッキリしてくるが起き抜けは起き抜け。心地よい気温の朝に思わず「 くぁ…。 」とひとつあくびをしていると、なにやら気の抜けた笑顔の相手が近寄ってくるとどうやら寝癖が跳ねていたようで、それを手櫛で梳かされると情けないところを見られてしまったと反省するが「 あぁ、ありがとう。 」と、柔らかい体温の手とその手つきに癖になってしまいそうで、気持ちよく感じながらむにゃむにゃと笑顔を浮かべてお礼を述べて。春の陽気に乗って朗らかな相手の声が聞こえてくると「 あぁ、椿は今日は早いんだな。 」と、昨日とは逆の立場でまだおぼつかない意識の己とは逆の相手にそういえば「 よし、朝食を作ろうか。 」と、いつまでもだらしのないままではいけないと頬をぱち、と叩いてきつけをすれば今朝の献立を何にしようかと炊事場に立って朝食の準備を始め。 )

( / なるほどいいですね!個人的には後者のルートで嫉妬して怒る椿様を見たいなと…! )

  • No.146 by 椿  2023-05-17 21:20:53 



うふふ、早起きは三文の徳なんですよ。

( かわいい、という言葉を飲み込んで、いつもよりも幼くふにゃりとした笑顔の彼を見て此方もなにだか頬が緩んでしまう。こんな彼を見ることが出来るのなら、夜の街の生活リズムとは違う早起きも全く苦ではなくなってしまうなとこれからの生活に光が差すようで。ぱちん、と気付けをした彼に「 はい、直政様。 」とこちらも朝らしく爽やかに返事を返したものの、心の中ではもうちょっと可愛らしい彼を見ていたかったなと複雑な乙女心が渦巻いて。まだ包丁を持ったり火を扱ったりという本格的な料理には朝の忙しい時間には携われないものの、それ以外のことで朝の炊事を手伝おうと改めて気合いを入れ直しては「 直政様は朝ごはんは洋食がお好きですか、? 」とそういえば昨日はパンだったな、とふと思い出しては彼の方を見てこ照りと首をかしげ。 )


( / かしこまりました…!!
ではそのように進められたらと思います、よろしくお願いいたします…!! )


  • No.147 by 大祝直政  2023-05-17 22:48:04 




耳が痛いよ。

( 相手にとってはそんなつもりはないのだろうが、椿より寝過ごしてしまった自分にとっては痛いところを突かれてしまったような言葉で、たははと苦い笑みを浮かべながら頭をぽりぽりとして上記の様に述べて。今日の献立は何にしようかと冷蔵庫の中を眺めていると、不意に傍らの相手から問いかけられれば「 そうだな…俺はどっちも好きだよ。 」と、特に和洋の好き嫌いはないと、冷蔵庫の中を覗きながら応えて。昨日は米を炊く用意をしていなかったために手軽に済ませられるパン食にしたのであって、今日は忘れず前日に用意していた米を炊飯器にセットすれば「 椿は包丁は扱えるか? 」とサラダの用意を相手に任せようとしていて。 )

( / こちらこそ、よろしくお願いします!疑問なのですが大正時代に炊飯器ってあったのでしょうか…?大正時代の世界観があやふやなので申し訳ないです…。 )

  • No.148 by 椿  2023-05-17 23:26:02 



だって早起きしないとかわいいのも見れませんから。

( さては気づいていないな、と彼の様子から薄らと感じとってはいたずらっぽく笑いながら敢えて何がとも言わずに可愛いのが見られるんだと答えて。朝食の和食洋食はどちらも好きだと彼の答えを聞けばフム、と1つ頷いてエプロンのポケットからメモ帳を取りだしてはそこにさらさらと〝朝餉 和洋どちらも〟と書き込んでまたポケットに戻し。どうやら彼の食の好みだったり傾向を書き留めるメモらしく、まだ新しいものではあるがきっとこれから沢山書き込みが増えるのであろう。と、彼からの問い掛けに少し悩ましげにむむ、と眉をひそめれば「 まだ扱ったことがなくて…。でも頑張ります。 」 と、花街では芸妓の命である手に傷が付かないようにと触らせてすら貰えなかった包丁に挑戦してみたいと恐怖半分好奇心半分で答え。だって早くお料理を作れるようにならなければ彼の胃袋を捕まえることなんてできないもの。 )


( / 調べてみたら昭和からみたいですね…!!
ただ私も大正時代のことはあまり詳しくは無く、かまどだきだと描写も難しいし屋敷のイメージ的にも違うなぁってなりますし、昭和初期ならありそうだな~程度の家電とかは出していただいて全然大丈夫です…!!
態々大正時代にあるかな?で調べていただくのも手間だと思いますので、そこらへんはイメージでやっていければ幸いです……!! )



  • No.149 by 大祝直政  2023-05-18 00:33:01 




…かわいいもの?

( 意地悪そうな笑みを浮かべながらその言葉の真意をはかりかねて、それは一体なんなのだろうかと首を傾げればそれが己のことなどとわかるはずもなく、朝に囀る小鳥のことなどを言っているのかと頓珍漢な思考をして。朝の朝食はという質問に答えた途端に相手がポケットからメモ帳を取り出してそこに何かを書き込んでいくと、その勤勉さに感心しながらも少し大袈裟すぎやしないかと苦笑しては「 美味しい料理ならなんでも食べるよ。 」と、あまり気を張らなくていいと相手の頭をポンポンと撫でてそう言って。今まで生きてきた中で包丁を扱ってなかったことを白状すればやはりというべきか。その白魚のようなきめ細やかな手は明らかに食事を作ったことがないことが窺えるほどで、そんな相手に一人で包丁を持たせては危ないと「 じゃあ、一度一緒に持ってみようか。 」と、相手の背後から立てばそのちいちゃな手に己の手を添えて包丁を握らせて。 )

( / わざわざ調べていただき、そして寛大な配慮に感謝します!ありがとうございます!お言葉に甘えてそうさせていただきますね! )

  • No.150 by 椿  2023-05-18 14:42:26 



── …っ、

( ふわり、と彼の体が自分に覆い被さるように、包丁を握る自分の小さな手が彼の暖かくて優しい手に包まれる。なんだか彼に抱きしめられているような感覚の其れに、人生で初めて包丁握るという緊張よりも意識は彼に向いてしまう。どきどきと早鐘のように煩く高鳴る心臓の音は今にも彼に聞こえてしまいそうで、「 あ、ありがとう、ございます…。 」と親身になって教えてくれる彼に対してのお礼の言葉は情けなく震えている。いつもよりもずっと近い、優しく香る香水の匂いとは違う彼自身の優しい香りと、否が応でも意識してしまう自分の体よりもずっと逞しい男性の体。ぎゅう、と目を瞑ってしまいたいけれど、それだと包丁が扱えない。でも、いつもエスコートをしてくれる時とは違う、彼の手にすっぽりと収まった自分の手を見るにはあまりにも心臓に毒で。火照った頬や耳が、せめてどうか彼にバレませんようにと信じもしない神様に祈りながらも椿は必死に平静を装って。 )


( / とんでもないです…!
私も探り探りで大変申し訳ございませんが、お互いに楽しくお話出来れば幸いです…!!! /蹴 )


  • No.151 by 大祝直政  2023-05-18 17:22:54 




左手は猫の手でーーー。

( やはりはじめての包丁に対して恐怖を抱いているのか、握っている相手の手元が少々おぼつかなくて、それの原因が自分などと知る由もなく、なおのこと相手のことをしっかりと支えてやらねばと、思えば先ほどよりもぎゅ、と力強く、それでいて優しく力を込めてやり。そうやって包丁の扱い方をレクチャーしていけば終始手伝った甲斐もあってか切られたトマトや胡瓜などが盛られた目にも鮮やかなサラダのプレートが出来上がり。「 よし、次は卵焼きと魚を焼いていこう。 」と、緊張していたためか、ほんのりと頬を染める相手に、次々と調理の手ほどきをしていって。 )

  • No.152 by 椿  2023-05-18 18:13:09 



ぅあ、えっと、は、はい!

( 此方の事情など(隠しているので当たり前に)お構い無しに料理工程をどんどんと進めていく…どころか先程よりも更に手を握る力を込めた主人に、覚えるどころかその場を乗り切るだけで精一杯の椿はぐるぐると緊張と羞恥で混乱したままそれについて行き。なんとか彩り鮮やかなサラダが完成すれば、行き着く間もなく火を扱う工程に移るそうで未だ赤みの引かない薄桃色の頬で「 が、頑張ります… ! 」とギリギリ元気よく返事をして。主人直々にこうして料理の手ほどきを受ける。それはとても有難いことなのであるが、如何せん自分の顔の良さを理解していなかったり女心に疎かったりとどうにも彼は椿の乙女心(だけではなく他の女性の乙女心も)を乱すのが上手く、まだ目覚めたばかりの清々しい朝であるはずなのに椿はなにだかもう1日働き詰めたあとのような心労具合で。だがしかしこれもお仕事のため。それに自分は男を手玉に取る花街出身花街育ちだ。こうしてやられっぱなしではいけない。花街の女の維持を見せなければとパシン!と自身の柔く白い頬を両手で気付けては改めて気合いを入れ直し。 )


  • No.153 by 大祝直政  2023-05-18 19:27:43 




…よし、!

( これから作る献立を計画立てていれば、相手はいつぞやの己と同じか頬を叩いてきつけをしてぴくりと驚いて。しかし、その様子からは相手も気合十分だと受け取ることができ、ならばこちらもそれに応えねばと褌を締め直して相手に料理を教えていき。卵焼きの甘い味付けや、魚の塩加減、味噌汁の出汁の取り方など丁寧に教えていけば、数十分後には米もちょうど良く炊き上がり。そうして2人で出来上がった料理を盛り付けていけば食卓にはいかにも日本の朝食と言った風景が出来上がり、そのどれもが暖かな湯気を立ち上らせていればぐずぐずしてはいられないと「 よし、早く食べようか。 」と足速に食卓について。)

  • No.154 by 大祝直政  2023-05-18 19:27:43 




…よし、!

( これから作る献立を計画立てていれば、相手はいつぞやの己と同じか頬を叩いてきつけをしてぴくりと驚いて。しかし、その様子からは相手も気合十分だと受け取ることができ、ならばこちらもそれに応えねばと褌を締め直して相手に料理を教えていき。卵焼きの甘い味付けや、魚の塩加減、味噌汁の出汁の取り方など丁寧に教えていけば、数十分後には米もちょうど良く炊き上がり。そうして2人で出来上がった料理を盛り付けていけば食卓にはいかにも日本の朝食と言った風景が出来上がり、そのどれもが暖かな湯気を立ち上らせていればぐずぐずしてはいられないと「 よし、早く食べようか。 」と足速に食卓について。)

  • No.155 by 西園寺 桜華  2023-05-18 20:26:54 



で、できた…!


( 慣れない料理。にプラスして自分の慕っている相手と予想以上に近い距離を乗り越えればなんとか朝餉が完成し、ぱぁと瞳をキラキラ輝かせながらぱちぱちと小さな手を鳴らして。前半のことはあんまり覚えていないけれど、後半の卵の味付けだったり味噌汁の好みの濃さだったりというのは手と目が覚えている。元より記憶力がなければ生き残れない厳しい芸妓として育ってきたからか記憶力は良い方なのだ。何だかいつもよりそわそわとしている彼を見て此方もなんだか胸が騒がしくなって、自分も倣うように食卓についてはごくごく有り触れた一般的な和食なのにいつもよりもなにだか美味しそうに見えて。成程これが料理をする楽しさと達成感、確かにこれならたくさん誰かに作って食べさせてあげたくなってしまうなと納得してしまえば「 はい、冷めないうちにいただきましょう。 」とふわふわ微笑み。 )


  • No.156 by 椿  2023-05-18 20:27:28 



( / 失礼しました名前変換できておりませんでした…! )

  • No.157 by 大祝直政  2023-05-18 23:13:40 




( 相手に料理の手ほどきをしていると、なにかと飲み込みや手つきが良く、その分教え甲斐があってついつい教え込んでしまい。花街で働いているうちに手先の器用さや、学習能力が鍛えられたのだろうかと思うも、今は湯気を立ち上らせて2人に食べらることをいまかいまかと待つ料理達を片付けるのが先で、それらを前にしてほわほわと幸せそうに微笑む相手が席に座ったことを確認すれば手を合わせて「 いただきます。 」と。まずは味噌汁を一口。優しい塩味と出汁の味が見事に調和していて思わず「 ほぅ。 」と一息ついてから「 すごく美味しいよ。 」と、指示したのはこちらだが、それでもその手で料理したのは紛れもなく相手で、「 毎日飲みたいくらいだ。 」幸せそうに微笑みながら相手の味噌汁を褒め称えて。 )

( / 大丈夫ですよ!こちらこそ、不具合で二つ投稿してしまい申し訳ありません。 )

  • No.158 by 椿  2023-05-18 23:53:13 



!……おいしい、

( いただきます、と両手を合わせてまず最初に箸を進めたのは卵焼き。遊郭に居た時から大好きだった甘い味はふわふわと優しい食感の卵を噛む度に口いっぱいに広がり、きらきらと瞳を輝かせながらぽつりと呟いて。まさか料理初心者の自分がここまで上手に作れるようになるだなんて、自分が作れるだけでなく人に教えることまで上手とは本当に自分の主人はなにでもこなしてしまうんだなあと改めて感心してしまう。彼の美味しいの言葉に、きゅう、と心を締め付けるような幸せを感じてはふにゃりと嬉しそうに花の綻ぶ笑顔を浮かべ、その後の彼の言葉にぱっと瞳を丸くした後にそのままぱちぱちと瞬きをし「 ……うふふ。はい、喜んで。 」といじらしく頬を染めながら微笑んで。きっと他意はないのだろうけれど、それでもプロポーズのような言葉が彼から紡がれた事実に胸をときめかせながら椿はいつまでもこの人の為にお味噌汁を作りたいな、だなんて普通の少女らしいことを思って。 )


( / ありがとうございます…!!
いえいえ!よくあるバグ?で私もたまに二重投稿になってしまう時がありますのでお気になさらず…!! )


  • No.159 by 大祝直政  2023-05-19 10:30:40 




椿には料理の才能があるな。

( 味噌汁に続いて焼き魚、卵焼きと食べていけばそのどれもがいい塩梅の焼き加減、味加減で、調理が初めてとは思えないほどの完成度で上記のように賞賛してはこの流れに乗って相手を褒めて伸ばそうとして。相手もこの朝食のせいか頬をふにゃりと綻ばせれば、まさかこちらが原因などとは知るはずもなく、そして捉えようによっては爆弾発言を口走ったことに気づくことなく、相手につられて笑みを浮かべて2人で穏やかな朝食の時間を送って。そうして2人で朝食を食べ終え「 ご馳走様。 」と手を合わせれば、仕事の時間までにはまだ少しだけ余裕があり、すると何かに気づいたように「 そうだ。 」とだけ呟いて席を立ち上がってまた台所に立ち。何をするのかと思えば炊飯器に余っていたご飯を使い、ものの数分でおにぎりを3個ほど握っては「 椿、今日のお昼にはこれを食べなさい。 」と昨日言っていた約束通りの相手の分の昼食を作って。 )

( / ありがとうございます!

一つ相談なのですが、前に相談していた今日もおりょうの包みを返しに行くシーンですが、おりょうに引き留められて昨夜約束していた料理を一緒に作るという約束を反故にしてしまうというのはいかがでしょうか…? )

  • No.160 by 椿  2023-05-19 12:38:42 



いいえ、直政様の教え方がとても分かりやすかったおかげです。

( 今まで自分が褒められるとすれば、顔がもしくは芸妓としての腕前だった。後者は確かに自分の力で身につけたものではあるが、身につけたくて身につけたものではなく生きるために致し方なく身につけた能力であるが故か、こうして自分の意思で身につけたことを褒められることに慣れておらずてれてれと頬を薄紅色に染めながらはにかんで。そうして穏やかな朝餉の時間が過ぎ、自分も全て完食すれば同じように〝ごちそうさまでした。〟と両手を合わせて。するとなにか思い出したかのように席を立った彼に何かしらと首を傾げるも、ものの数分で戻ってきた彼の手には形の良いおにぎりの3つ乗った皿が乗っており昨日の夜に約束した自分の昼食を作ってきたくれたのだとわかるとまるで辺りに花が見るように雰囲気が輝けば「 わぁ、…!ありがとうございます…!美味しそう…。 」とどうしても緩んでしまう口元をそっと両手で隠しながらふわふわと微笑んで。 )

( / とっても良いです……!
今私の中で浮かんでる椿の反応が二種類ありまして、〝怒りと悲しみを押さえ込んで花街上がりの従者として「気にしないで」とにっこり笑う〟か〝素直に嫉妬心を表して怒ってしまう〟の2択で迷っているのですがお好みの方はございますか…?どちらも私の中で想像出来てしまうのでどうしようかなあと… )


  • No.161 by 大祝直政  2023-05-19 13:48:53 




じゃあ、どっちもだ。

( いいえと相手は謙虚にしているが、本心は隠しきれないようで雪のような頬を朱に染め上げながら照れていて。こちらもいやいやと謙遜しようとするが、それではどちらも譲らないまま時が過ぎてしまうだろうと思えばこちらもはにかみながらお互い様だと上記のように言って。具は梅干し、昆布、余っていた焼き魚のほぐし身と、相手に飽きが来ないようにこまやかな気遣いをおにぎりに施しており、そのおにぎりを見てなんとも嬉しそうに瞳を輝かせてくるとなんとも冥利に尽きて、今後も相手の昼食を用意してみようかと思って。と、時計を見やればそろそろ身支度をしなければならない時間帯。椿に洗い物を頼めば自分は私室にてスーツに着替えれば「 それじゃあ、行ってくるよ。 」と玄関まで律儀に見送りに来てくる相手にそう言って。 )

( / そうですね…。個人的には前者がいいかなと思います。というのも、それは今回だけで今後女の影を匂わせて帰ってきた時に爆発してしまう、というような流れがとてもいいなと。とても私得な展開ですいません…。)

  • No.162 by 椿  2023-05-19 17:27:13 



はい、お気を付けていってらっしゃいませ。

( 無事に食事も終え、洗い物を全て片付けたあと。こうして出掛けていく誰かを見送るというのは花街でスッカリ慣れたものだが、仕事に行く彼を見送るというのはどうにも寂しいなぁという心が邪魔をしていけない。そんな顔を見せては主人の迷惑になってしまうだけだ。椿は仕事用のスーツに着替え、どんな女をも虜にしてしまうような微笑みを携えた彼に此方も穏やかな笑顔を返せば、「 直政様、お早く帰ってきてくださいましね。約束ですよ。 」とそっと小さな小指を立てて昨日の指切りを思い出させるように首を傾げて。朝餉も一緒に料理が出来たけれど、きっと夜の準備の方が時間的にもゆっくり共に料理ができるだろうと椿も今からわくわく楽しみにしている様子で微笑み。朝の時間で簡単な料理はお手伝いできるようになったし、きっと夜はもっとお役に経とうと。 )


( / とんでもないです!一度蓄積されていった感情が爆発するのすごくリアリティがあって私も好きです…!ありがとうございます、ではそのように進めさせて頂きますね…! )


  • No.163 by 大祝直政  2023-05-19 19:43:21 




あぁ、約束だ。

( 朝に相手に料理の手ほどきをしたとはいえ、朝というあまり余裕のない時間帯のせいで調理したそれは簡単なものばかり。相手はまだまだ足りないらしく、『 一緒に料理を。』という、昨夜に約束したことを思い出させるかのように小指を立ててくると、わかっていると頷きながらこちらも小指を立てて上記のように述べて。屋敷で己のことを待ってくれている相手に加えて、約束という、早く帰ってこなければならない理由ができれば、昨日よりも頑張れる気がして、晴々しい気持ちで胸を張りながら屋敷を出ていき。相手に気づかれないようおりょうの包みを持って行きながら…。 )

~夜~

( あたりはしんと暗くなった午後11時頃。相手と一緒に料理をするという約束を果たすには少々…いやかなり遅い時刻で。遅れてしまった理由というのも、おりょうに包みを返しに喫茶店に寄るも今日は本人は休みらしく、仕方がなくおりょうの家に直接返しにいき。そこで家の中に招き入れられたのが運の尽き。人がいい己は断ることができず、今度は相手の手料理フルコースを馳走になってしまい、長々と居てしまったためにこのような時間帯になってしまって。ようやっと解放され、屋敷に着けば「 ただいま~…。」とまるで叱られるのを怖がる子供のような小さな声で屋敷の扉を開けるが、その体にはおりょうの家の匂いを引っ提げて帰ってきており。 )

( / こちらの私得な提案を採用してくださり、ありがとうございます…!この後、お詫びとして翌日に外出に連れて行くという流れでよろしいでしょうか? )

  • No.164 by 椿  2023-05-19 21:09:01 



( 今日はとても良い日だった。お天気も良くて、それからお掃除だってコツを掴んだのか昨日よりも早く終わった。余った時間はお料理の復習をしたり、それからお布団を干したり、早めに浴槽を洗ったり。昼間になれば彼が作ってくれたおにぎりを食べて、その味の種類の豊富さやお米の甘さにきらきらと目を輝かせながら舌鼓を打ったり。そうこうしている間に日は落ち、昨日主人が帰ってきた時間となれば調理道具やらを出し料理の準備をして、あとは彼が帰ってくるのを待つだけで。

……だが幾ら待っても屋敷の扉のドアが開く音は聞こえてこず、時計の針は進んでいくばかりで椿の端麗な眉はどんどんと下がっていき。お仕事が忙しいのかしら、それともお外で何かあった?約束の事は忘れちゃっているのかしら。一度椿の胸の中に芽吹いた不安の種は留まること無くどんどんと大輪の花を咲かせていき。いつも2人で食事を取っているテーブルにそっと突っ伏しては「 ……直政様、まだかしら。 」 と言葉を零して。いつの間にやらそのまま眠ってしまい時間が経っていたのか、キィ、という扉の小さな音にハッと目を覚ませばぱたぱたと玄関へと駆けていき、〝おかえりなさい〟とで迎えようとした刹那。ふわりと彼から香ってきたのは紛れもなくおりょうの匂い。─── …嗚呼。なるほど。「 おかえりなさいませ、ご主人様。お鞄お持ちいたします。 」 にこり、と椿は花街で良く映える美しい笑顔を浮かべては丁寧な仕草で彼のカバンを受け取る。あんなにワクワクしていた気持ちはシンと胸の中から消え失せ、怒りよりもずっと、心を締め付けるような悲しみが新しく身体中を支配する。きっとあの人のところに居たのね。…私の約束なんかよりも、優先して。 )


( / もちろんです!ぜひその流れで宜しくお願いいたします…!! )


  • No.165 by 大祝直政  2023-05-19 23:46:24 




( 何か悪いことをしたわけでもないのに、いや、実際にはしたのだがそろりそろりとゆっくり屋敷の中に入り、扉を閉め時でさえも音をたたないように慎重に閉めるのはもう寝てしまっているかもしれない椿を起こさないようにという最後の配慮で。しかし、その配慮も無駄に終わり、屋敷の奥からパタパタと足音が聞こえるとドクンと心臓が跳ね上がる気がして。いつものように花の笑顔を浮かべてこちらを出迎えてくれると、どうやら怒ってないようだとホッとしたのも束の間。普段は名前で呼んでくれるのに今回はどこか他人行儀なご主人様呼びで、前言撤回、やはり怒っていると冷や汗をかき始め。甲斐甲斐しく鞄を受け取る相手に申し訳なさが最高潮に達すると「 ご…ごめんな?椿。おりょうさんがなかなか帰してからなくて…。料理は明日しよう!な? 」と、料理の約束の他に昨夜に約束した一人で女性に会いに、それもその家に行ったことを必死に相手からの許しを得ようとして「 椿、お腹空いてないか?いなり寿司買ってきたんだ。一緒に食べよう。 」とみっともなく手土産で相手の機嫌を取ろうとして。)

( / ありがとうございます!それではよろしくお願いします! / 蹴可 )

  • No.166 by 椿  2023-05-20 06:32:44 



─── …いいえ、お気になさらず。
ご主人様に今朝懇切丁寧に教えていただきましたので。

( 口から零れる言葉は自分が思っている数倍も落ち着いていて、それから色のない無機質な声色で紡がれる。申し訳なさそうな主人の声色や表情に対して椿の表情は何処までもにこやかで、まるで美しく咲く花のごたる美しさであり。夜飯の準備をする為に早めに帰る、それから女の人と2人で会わない。見事に2つも約束事を破られた女というのは実に非常になれるのか、こちらの機嫌をとるように手土産があると告げる彼にゆるりと首を振れば「 お昼間にご主人様の握られたおにぎりをいただきましたので。お気遣いありがとうございます。 」と正に花街の女のように男性を掌に転がす甘ったるい声と笑顔で其れを断れば、「 お風呂の準備が出来ておりますので、どうぞお入りください。 」と恭しく頭を下げてそのまま踵を返し、先程ぱたぱたと嬉しそうに、忙しなく走ってきた女と同一人物とは思えないほどしずしずと音を立てずに部屋へ戻ろうと歩き出して。 )

  • No.167 by 大祝直政  2023-05-20 09:37:09 




( 冷たささえ感じるその無機質な声と言葉は自分にとってははまるで背中につららを入れられたかのような冷酷さで、その末恐ろしさに喉元がヒュッと縮こまり。ご機嫌取りの手土産にさえも目もくれず、ただいつものように、しかしどこか影を感じる花のような笑顔にそこしれぬ危うさを感じてはゾッと鳥肌を立てて、箸にも棒にもかからない相手の背中を立ち尽くしたまま見送ることしかできず。ひとまず、相手に言われた通りに風呂に入ることにして、体を洗い終えればざばっと勢いよく湯船にはいる。しずかな空間と暖かいお湯のお陰でさっぱりとしたためか、自分はなんてことをしてしまったのだとあらためて自分のしでかしたことの重さを理解して。このままではいけないと決心すればまた勢いよく湯船から上がり、体から水分を拭きあげて着替えれば、すでにおりょうの匂いはついておらず、いつものよつに石鹸の花の香りを漂わせている体で相手の部屋の前まで行ってコンコンとノックをして。「 椿、入ってもいいか? 」と、扉越しに相手に呼びかけるその声はまるで怯えた子供のような恐る恐ると言った声で。 )

  • No.168 by 椿  2023-05-20 19:36:44 



……どうぞ。

( ふかふかのベッドで横になる気にもならなければ、乙女らしくしくしく泣くことも感情に任せて怒り狂うこともない。言わば今の椿は無であった。花街で〝椿人形〟と呼ばれていた美貌からスッカリ色を消し、能面のような顔でただひたすら窓辺の椅子に腰掛けて月を見上げているだけで。控えめなノックの後に聞こえたまるで母に叱られている子供のような声にぴく、と先程まで1ミリも動かなかった眉を動かして。彼の問いに答える声は相変わらず色のない無機質な声ではあるものの入室の許可を。何時もなら返事をする前に自分が開けるだろうし、彼の屋敷なのだからそもそも入室の許可を得ることなどおかしな話なのだが。部屋に入ってきた彼は先程の女の匂いはせずただただ石鹸の優しい香りと華やかな香りだけで、だがそれでも椿の鼻腔に残った女の香りは消えることなく一瞬だけ眉を顰めた後に怒りを分散するように小さく息を吐いて。 )


  • No.169 by 大祝直政  2023-05-21 08:51:58 




…っ、

( 扉越しに掛けた声に反応した相手の声は相変わらず凍てつくようなプレッシャーを放っており、それにまた鳥肌が立たされてしまうと一度深呼吸をして気持ちを整えてから相手の部屋に入って。部屋の中の相手は窓から指す月灯りに照らされてどこか儚げな雰囲気を醸し出しているが、その表情は慈悲のかけらさえ見当たらないほど凍りついており、そこからため息を吐かれると本当に許して貰えるのだろうかとどんどん弱気になっていって。しかし、どこまでいっても悪いのはおりょうの誘いを断れなかった自分で、これはしかるべき報いなのだと受け入れれば相手の下まで歩み寄り、深々と頭を下げて。 )

…ごめんなさい。

  • No.170 by 椿  2023-05-21 10:54:29 



、……。

( 静かに自分の元に歩み寄り深く頭を下げる主人を見て、椿はシンと静まり返る。彼は自分の主人だし、許すも何もない。そもそも自分が勝手にした約束なのだから。だがしかし自分の中の乙女が約束を違える男など、と静かに囁いてくるのもまた事実であり。実際にしては直ぐだけれど、体感として十分や数十分にも感じてしまう長い沈黙のあと、椿は音も立てずにゆっくりと椅子から立ち上がれば彼の元へと歩み寄り「 ……直政様。頭をお上げください。 」と、まだ幾分か冷たさは残るものの先程よりも余程温度感のある優しい声で言葉を零して。「 なぜ私が怒っているか、……いいえ。怒るよりも悲しかったわ。悲しい気持ちなのか、お分かりの上での謝罪とお見受けしてよろしいですね、 」続いて紡いだ言葉は、いつもの天真爛漫とは掛け離れた、遊廓の中で生き足掻いてきた強い淑女らしい顔─── 或いはそう見えるように強がっているだけかもしれないが─── で、その蘇芳は逸らすことなくただひたすら真っ直ぐに彼の黒瑪瑙を射抜いており、その瞳の色には怒りも悲しみもなく、ただ淡々と事実確認をする、書類を見るような色が映し出されていて。 )


  • No.171 by 大祝直政  2023-05-21 12:45:28 




( 主人が侍女に頭を下げるなど、後にも先にも聞いたことがないが誰がどう見てもこれは自業自得の行いで、猛省の意を込めて頭を下げ続ける。その状態のまま、相手の言葉をいまかいまかと待つが時間にして数秒だろうが、時間が永遠に感じられて、裁きを待つ罪人とはこんな気分なのだろうかと自嘲して。そうして頭の上から投げかけられた言葉は、先ほどよりも温もりの感じられる、まるで子供を叱った後に諭す母親のような声色で。その声に従うように顔をあげ、続けて綴られる淡々とした事実確認は自分のしでかしてしまったことをあらためて理解させるような言葉で、いつものようにほわほわふにゃふにゃとした表情からは想像できないほど真剣な表情で見据えてくると「 …うん。料理をする約束も、一人で女性に合わない約束も破ってしまったこと。申し訳ないと思ってる。 」と、その真剣な表情に応えるように、こちらも相手の蘇芳を見つめ返しながらそう言って。 )

  • No.172 by 椿  2023-05-21 16:01:30 



─── ……はい。
分かっていただけたのであれば。

( こちらの瞳を真っ直ぐに、そして真剣に見つめる彼の黒瑪瑙を暫く見つめたあと。ふわりといつもの花のような笑顔を浮かれればその謝罪を受け入れるように話は終わりだと告げて。そのまま優しい手で彼の頬に手を添えては「 仏の顔も三度までと申しますもの。今回はこれでこの話はご破算に致します。 」とスッカリいつもの調子に戻った様子でにこにこと。…マァその言葉には暗に次は無いという言葉が隠されてはいるのだが、椿自信も己の中にヒッソリと佇む鬼女の顔には気付いていないのか恐らく無意識下に零れ落ちた言葉で。彼の家柄や地位からしてこんな花街上がりの女に頭を下げるというのは絶対に世間的には許されないことなのに、それでも自身の破った約束に対して真摯に頭を下げてくれる主人に、椿の氷の心もすっかり溶けたようで、彼の頬に添えた手でそっと其れを撫でては「 私こそ、厭な態度をとってしまってごめんなさい。 」 と、喧嘩両成敗ではないが自分も必要以上に彼に刺々しい態度をとってしまったことに対して謝罪して。 )


  • No.173 by 大祝直政  2023-05-21 19:02:46 




( 相手の鉄仮面のような、強固な意志さえ伝わってくるその表情がほろほろと解けるように綻んでいけばその表情から許しを得たとわかるとホッと胸を撫で下ろして。こちらもつられて表情を緩めていけば不意に頬に手を添えられると、紡がれた言葉に冷や汗をたらりと一筋垂らして。仏の顔も三度まで。つまり、もう仏の顔を二つ消費しているということであり、次はないと言う暗に意味していて。そのまま頬を撫でてくる相手がこちらも申し訳なかったと、端麗な眉根を下げながら謝罪してくるとこちらが悪いのに相手を謝らせてしまったという事実にさらに申し訳なさに拍車がかかり、相手の仏の顔にも限りがあるということで、自戒をこめて相手に誠意を見せなければと思えば「 そうだ、お詫びに明日いいところに連れて行こう。 」と、以前言っていた、三味線と扇を買わなければと、それ以外にも相手に必要なものがあれば買ってあげようとして。 )

  • No.174 by 椿  2023-05-21 19:44:22 



へ、
……あ、そんな。いいえ!お詫びだなんて。

( 彼の言葉にきょとん、と目を丸くしたと思えばぶんぶんと手と首を横に振り、先程のいなり寿司の土産の際とは天と地の差を感じられるような対応を。謝って貰えただけで充分だとでも言うように眉を下げれば、彼もきっと忙しい身なのに自分に時間をかけるなんてと不安そうで。「 直政様のせっかくのおやすみなのに、 」 とスッカリ彼の呼び方もいつものような呼称に変わり、自分の機嫌取りのために彼の休日を潰すのが忍びないという乙女の不安げな表情に変わり。でも実の所は彼と一緒に出掛けられるというのは嬉しくて、強くNOと言えないのが困ったところなのだが。 )


  • No.175 by 大祝直政  2023-05-22 06:54:46 




いいや、決まりだ。明日行こう。

( 相手の表情がいつものようにほわほわふにゃふにゃとしていけば、先ほどとは立場がまるで逆になってしまったかのように、今度はこちらが手綱を握り相手を振り回し始めて。呼び方も普段の名前呼びになれば、いつもの相手が戻ってきたことに安堵して、不安げな表情の椿がいやいやでもと躊躇っていると「 遠慮しなくていい。それを、椿の舞を早く見たいんだ。 」と、そのためには三味線と扇を用意しなければならないと、相手にとって断れないだろう理由を述べては「 ほら、今日はもう遅いから風呂に入って早く寝て明日に備えなさい。 」と、相手の背中を押して風呂場へと急かして。 )

  • No.176 by 椿  2023-05-22 09:57:20 



舞って、─── な、直政様!高いのはダメですからね!
あ、ちょっと、あああ……

( 彼の〝舞〟という単語に自分が明日どこに行くかは検討がついたのかハッと表情を変えてはあわあわと彼に釘を刺すように口を開くも、敢え無くその言葉はいそいそと風呂場へ背中を押す彼に阻まれてしまい。だってきっとお詫びだとかなんとか託けてすごくすごく高級なものを買おうとされるような気がする。ただでさえ自分にとんでもない額をかけていただいているのに、これ以上はいけない。だがしかし彼の言うとおりもう湯浴みを済ませて布団に入らなければ明日の朝に響くだろう、ただでさえ今は生活習慣を一般人に合わせるように修正している最中なのだから。風呂場の前まで到着しては椿は観念したかのようにキュッと眉を下げ、彼の方を振り向けば「 …おやすみなさいませ、 」ふにゃりと微笑んでは風呂場へと入っていき。
頭からつま先に至るまでぴかぴかに洗い、それから1人で使うには広いと感じる浴槽にしっかり肩まで浸かれば自分でも認知していなかった疲れがあったのだと厭でも実感してしまう。否、今日はどちらかと言うと精神的な疲れだろうか。こういう時はサッサと布団に入って寝るが良いと思うが早く風呂から上がれば、寝巻きである浴衣を着て寄り道することなく真っ直ぐに部屋へと向かい、明日はどこへ行くのかしらなんて考えながらそのまま気絶するように眠ってしまい。 )





  • No.177 by 大祝直政  2023-05-22 13:57:17 




( 相手の釘を刺すような言葉に聞く耳など持っていないのか、気にせず背中を押して、寝る支度を勧める。二人とも部屋を出て、観念して微笑みながら明日の外出に備えて浴場に向かう相手にこちらも笑みを返しながら手を振って見送って。そうして短い修羅場はこれにて一件落着。すると、今まで気が張っていたためかリラックスした途端にどっと疲れが押し寄せてきたような気がして、自室に戻れば沈み込むようにベッドにダイブして。明日はあそこに行って、それからどこに行って。それからそれから…と今のうちから計画を立てているうちに意識は夢の中に沈み込んでいき。翌朝、眠りについたのも遅かったためか、カーテンの隙間から日差しが差しても一向に起きる気配がなくて。 )

  • No.178 by 椿  2023-05-22 18:45:26 



ん、……んん。ふぁ。

( まだ朝の光が差し込むよりは少し早い時間。なんとも言い難い寝苦しさに目を覚ましたのか、可愛らしいうめき声を上げながらクシャ!と顔をしかめてはゆるゆると体を起こし欠伸をひとつ。なにだか体が怠いような気がするのは寝起きだからだろうか、後で白湯でも飲もうと寝起き特有の回らない頭でふらふらと諸々の朝の準備を済ませては朝食を作らねばとエプロンをつけてそのまま台所へと。まだ時間が早いのもあるせいかどうやらまだ主人は起きていないそうで、昨日と献立は同じになってしまうが自分で朝食を作ってしまおうと判断すれば漸く開いてきた蘇芳をごし、と擦った後に米の準備から朝食準備を1人始めていき。焼き魚もできた、卵焼きもできた、米は炊けるのを待つだけ、問題は味噌汁だった。出汁もちゃんと取れたのだが、そのあと具のねぎを刻んでいる時に思わず左手の人差し指の先を包丁で切ってしまい「 っつ、……! 」と人生で初めて刃物で自らの手を傷つけた痛みに思わず顔を顰めて。ジンジンと熱を持つ指先から流れる鮮血に〝やってしまった!三味線の婆に怒られる!〟と一瞬焦ったもののここが花街でないことを思い出せば安堵したように息を吐いて。そんなこんなで、〝商品〟を傷つけた事で怒る者は居ないなと安心したのかそれとも女が痛みに強いのか、それとも単に絆創膏が見つからずに諦めたのか。患部に一旦布巾の端切れを巻き付けるという荒療治で味噌汁を完成させてしまえば朝食の準備は一旦終わり。まだじくじくと指先は痛むが、せっかく1人で作ったのだから冷める前に食べてもらわないと!とぱたぱた彼の部屋に駆けていけばコンコンコン、と控えめなノックのあとに「 直政様。起きていらっしゃいますか? 」と部屋の主へと声をかけ。 )



  • No.179 by 大祝直政  2023-05-22 21:27:31 



んん…?っくぁ…。

( カーテンの隙間から指す柔らかな日差しに穏やかな微睡を味わっていると、不意に扉の方からノックが聞こえれば、意識は夢の中から現実へと強制的に引き上げられて。しかし、まだ夢の中に片足を突っ込んでいるらしく、緩慢な動きで伸びと欠伸をしながらおぼつかない頭で状況確認をすると、どうやら椿が起こしに来てくれたことが把握できて。緩慢な動きは変わらず、のそりのそりとベッドから降りて扉へと歩み寄り、開ければ「 あぁ…おはよぉ椿…。 」と昨日の朝のようにむにゃむにゃとしており。昨晩、自分が相手に早く寝るよう急かしたというのに己は寝坊してしまっていてしっかりしなければと黒瑪瑙の瞳をごしごしとすると、相手の指にあてがわれた布巾に目がいき「 …椿、それどうしたんだ? 」とその付近を指差しながら問いかけて。 )

  • No.180 by 椿  2023-05-22 22:13:25 



うふふ。おはようございます。
─── …嗚呼!すみません。料理中に少し切ってしまって…絆創膏の場所が分からなくて布巾の端切れを使ってしまいました。

( 寝起きの彼はやっぱりぽやぽやとかわゆくて、まだ眠たそうに瞳を擦る姿はやはり庇護欲やら母性を擽られる。椿はくすくすと穏やかに笑っていたものの、自分の指先の端切れを指さされればきょとんと目を丸くした後に怪我よりも勝手に端切れを使ってしまったことに対して言及して。料理中に自分の血液が紛れ込んではいけないと思ってのことだったけれど、やっぱり絆創膏を探せば良かったわ。なんてだいぶ的外れなことを考えては困ったように眉を下げて笑い。まだ慢性的なずきずきとした痛みや出血こそあるものの、椿としてはそんなことよりも冷めないうちに朝ごはんを食べて欲しい気持ちが多いのか「 朝ごはんができてますよ。 」と〝たべて!〟と言わんばかりに能天気ににこにこふわふわ微笑み。 )


  • No.181 by 大祝直政  2023-05-23 06:15:45 




ダメじゃないか!そのままにしてたら!

( その布巾の正体を聞けば、曖昧な意識の頭の中が一気に覚醒し、カッと目を見開いて上記のように声を上げて。いや、放っておいたらダメなのはそうなのだが、救急箱の場所を教えてなかった自分も悪いのだと気づけば、のほほんと笑みを浮かべながら呑気に朝ごはんの用意ができたと告げる相手に「 来なさい。 」と、それだけ伝えれば、切った手に負担をかけさせるわけにはいかないため、手を引かずにある場所へと歩き始めて。というのも向かったのは台所。既に朝食の穏やかな香りが立ち込めるその場所の一角に戸棚があり、そこから救急箱を取り出せば「 見せてみなさい。 」と、どうやら処置は己がするようで。患部を見せて貰えば、それほど大きい傷ではないのだが、白魚の手に傷がついているのがなんとも痛々しく、そして愛おしくて。救急箱からまずは消毒液を取り出せば「 染みるぞ。 」と液を含ませた綿で消毒していき、それから異様に手慣れた手つきで処置を済ませていって。 )

  • No.182 by 椿  2023-05-23 11:11:30 



っ、ひ、…

( ジン、と傷口にしみた消毒液にびくりと体を硬直させて小さな悲鳴を上げてはぎゅうと蘇芳色の瞳を瞑って。包丁の切れ味が良かったせいか、切った時の痛みより今の方が余程痛く感じてしまう。椿は生理的に出てきた涙で瞳に膜を張りながら、侍女でありながら主人に手当をさせてしまっている事実にだんだんと申し訳が立たなくなってきてしまい。「 ありがとう、ございます…。 」とよわよわ彼にお礼を言えば、怪我をし慣れていない自分とは対照的に手馴れた手つきの彼に慣れてるのかしら、なんてぼうっと考えて。遊郭では下手をしたら折檻というのが日常だったが、マァ当然のようにその後の手当に必要な消毒液だったり包帯などは支給されるはずもなく体に折檻の痕の残った遊女たちも何人書いた記憶がある。ここはそういったものは使っていい場所なんだ、と改めて再認識しては自分の手当を真剣な顔で進めてくれている彼を見つめて。 )


  • No.183 by 大祝直政  2023-05-23 14:41:37 




( 染みる消毒液に耐えきれないのかピクピクと跳ねる指を、処置がしやすいように優しく包み込むように抑えて、消毒の後は絆創膏をぺたりと貼れば「 よし。 」とひとまず応急処置は終えることができたようで。痛みで張り詰めていた気が緩んでいく相手がへなへなとお礼を述べると「 どういたしまして。これから気をつけるように。 」と、食事を用意してくれるのは嬉しいのだが、そのせいで椿のしなやかな指が傷付くのは見たくないと、相手の身を心配するがそのことは口にせずにいて。手当も終わったことでさぁ食事だと救急箱を直せば「 さぁ、ご飯にしよう。 」気を取り直すように振り返り、未だに湯気を立ち上らせる暖かな朝食をいただき、外出の用意をしなくては。 )

  • No.184 by 椿  2023-05-23 17:03:02 



はい、昨日と献立は同じになってしまいましたが、召し上がれ。

( 綺麗に、丁寧に絆創膏の巻かれた指をきゅ、と包むようにしては彼の言葉にふわりと微笑んで。ぱたぱたと炊飯器の方に駆け寄り彼の分と自分の分のご飯をよそって、それぞれ完成した料理たちをテーブルに並べていけば彩りの良い食卓が完成する。卵焼きは少し形崩れをしてしまったが、マァ昨日初めて1人で作ったものにしてはしっかりと形が作られており、味噌汁はアクシデントこそあったものの味としては昨日と遜色ないものができたのではないかと割と自信作で。「 おみそ汁の具はおとうふとねぎです。あとね、お魚は上手に焼けました。……卵焼きは、少し難しかったんですけれど、 」と1つずつ自分一人で何とか作った料理たちを説明していけば、どうかしらと彼の顔色を伺うようにそっと上目遣いで彼を見つめて。 )


  • No.185 by 大祝直政  2023-05-23 21:17:44 




ふむ。

( 椅子に付けば、食卓に並べられたのは昨日の朝食と同じ献立。たった一度とはいえ、変に冒険せずに作り慣れたものを作った相手の堅実さに心の中で敬意を表して。上記のように品定めをするように一度並べられた皿全てを眺めて、気になる出来のものはあるが肝心なのは味だと思えば「 いただきます。 」と静かに手を合わせて。まずは味噌汁を一口。「 ふぅ。 」と流れ込んできた熱を吐き出すように一息つけば次は卵焼きを、その次は焼き魚を。そうやって並んだ皿に一通り手をつければ「 うん、美味い。 」穏やかに笑みを浮かべながらそう呟いて。昨日の朝食に比べれば拙いところはあるものの、椿が切り傷を負ってまで作ってくれた想いが染み込んでくるような味と暖かさで、それからも次々に相手の作ってくれた朝食を食べすすめて。 )

  • No.186 by 椿  2023-05-23 23:40:21 



─── …よかった。

( 〝美味い〟と、彼の優しいテノールの呟きが鼓膜を揺らせば、まるで春の花がじんわりと咲くようにパッと微笑んで。昨日彼と作ったばかりとはいえ、人生で初めてのひとり料理。形が崩れたり指を切ったりと失敗こそあったもののこうしていちばん美味しいと思って欲しい人にそう言って貰えたのが嬉しくて、椿はなにだかふわふわと宙に浮かぶような気持ちになって。これで一安心だと自分も箸を取れば、彼に続くように少しずつ食を進めて。この調子ならばきっとほかのお料理もひとりで作れるようになるかもしれないと、御屋敷の中に料理の本がないか今度探してみようと思案してはもうすっかり指先の痛みや朝の妙な怠さのことは忘れてにこにことご機嫌そうで。「 早くほかのお料理も作れるようになりますね 」と、寝起きのぽやぽやとした可愛らしさはすっかりなりを潜めてしまった傾国の美丈夫にふわりと微笑みかけては、こんな風に穏やかな朝が毎日来たらいいのになあとぼんやり思って。 )


  • No.187 by 大祝直政  2023-05-24 07:32:57 




向上心はいいことだ。けど無理はしないように。

( 焼き魚の塩味と脂を味噌汁で流し込んでいると、花のような笑顔をパッと咲かせてこれから料理のバリエーションを増やすという相手に、上記のようにその勤勉な姿勢は敬意を表するが今朝のように切り傷を増やしてまではしてほしくないという、椿の白魚のような手に傷がつくのは我慢ならんという半ばわがままのようなものも混ざっていて。そうして二人で穏やかな朝食の時間を終えれば「 ご馳走様。 」と優雅な所作で手を合わせて挨拶をして。「 片付け、俺がやるよ。 」と、寝坊して相手に朝食を作ってもらった身として、これくらいはやらねばと思えば相手と自分の分の食器を流しに盛っていって洗い始めて。 )

  • No.188 by 椿  2023-05-24 17:09:07 



……ご馳走様でした。

( 自分で作った料理を食べるのも悪くない。……とは言っても、こうして料理の元となる材料は全て主人が労働して稼いだものなのだから無駄遣いをしないようにしなければと考えながら自分も両手を合わせて。と、片付けを率先して担当してくれようとする彼に思わず目を丸くしてしまえば慌てて彼の後をぱたぱたと追って「 そ、そんな!家事は私のお仕事ですから…! 」と止めようとするも既に洗い始めてしまった彼を見て〝気を遣わせてしまった〟と眉を下げてはその隣にちょこん、とちまく立っては「 お皿拭きは私がやります。…ありがとうございます、 」と、本当はちょっぴり傷口に水が染みたりするのが怖かったので彼の申し出は願ってもいないことだったのかふにゃりと笑って。それに2人でやった方が直ぐに終わって早く出かけられるし、と彼には言わずに自分の中だけで呟いては布巾を持ってこくん、と頷き。 )


  • No.189 by 大祝直政  2023-05-24 21:29:18 




手、切ってるだろ。絆創膏が剥がれたらダメなんだからこれくらいやるよ。

( 皿を持てばぱたぱたと慌てる相手に、そんな状態のおなごに水仕事なんてさせられないと頑なに譲らずに己がやろうとして。一人暮らしの賜物か、手慣れた手つきで皿を洗っていると、水拭きだけでもと食い下がり、隣に立ちはだかる相手に、働き屋の癖が抜け切っていないのだなとやれやれと小さく息を吐き、まぁ水を扱わないそれくらいならとこちらも折れれば「 ん、じゃあ頼むよ。 」と泡をゆすいだ皿を相手に渡していき。作業する人間が増えれば仕事が進む速度も比例して早くなり、思いの外早く片付けが終われば「 よし、じゃあ出かける準備をしようか。 」と待ちかねた時間に備えようと。「 そうだな…1時間後くらいに出発するから、それまでに支度をすること。いいな? 」と時間も決めれば己もその準備をするために私室へと向かって。 )

  • No.190 by 椿  2023-05-24 23:01:36 



お任せくださいな!

( 彼から直々に頼まれればぱあっと表情を輝かせてこくんと頷き、次々に渡される食器たちを丁寧に布巾で拭いていき。随分と手際の良い彼をぽけーっと眺めてはお独り暮らしが長いのかしら…と邪推しつつも皿を拭く手は止まることなく動き、自分一人で行う時よりも余程早く作業が終わり。1時間後に出発だと告げられれば「 畏まりました。お洒落して参りますね。 」と人懐こい笑顔を浮かべながら小さくガッツポーズをして見せて。彼と同じく私室へと向かえば、もう着る服は既に決めていたのかクローゼットから直ぐに白いワンピースを取り出して。ふんわりとしたパフスリーブに細腰をキュッと強調させるような切り返し、ひらりと広がる全円スカートは何枚ものレースが重なっているようなチュール素材で襟元は可愛らしい丸襟となっている可愛らしいこのワンピースはこの屋敷に来た日に彼が選んでくれたものである。靴は可愛らしいパールが足首を彩る白のパンプスを履いて、髪は美しく波打った黒髪を惜しげも無く下ろして顔周りを耳にかければ、頭に白いレースの中に金の小花刺繍が散りばめられたカチューシャをつけてコーディネートは完成。白粉やら頬紅を軽くはたいて、大人過ぎず子供過ぎないさくらんぼ色の紅を引いて化粧も完成。大きな姿見でなんどもくるくると回ってどこもおかしな所がないと確認すれば、準備が出来たと玄関の方へと向かって。 )

  • No.191 by 大祝直政  2023-05-25 07:37:07 




( ふんすと鼻息を荒くしそうなくらいに気合いを入れて、愛い笑顔を浮かべながらお洒落をしてくると宣言する相手に、おハナさんがとびきりの服を選んでくれたのだからそれはそれは大層な美女が出来上がるのだろうなと、その気合いの入れように思わず笑みがこぼれてしまえば期待が高まって。さて、自分の方はというと、外出なのだから仕事行きよりもカジュアルなものをと黒のスラックスに爽やかな水色のカッターシャツを身につけ、上から黒のジャケットを羽織れば、せっかくなのだからと普段はやらない髪のセットをして、オールバックに整えれば額にかかっていた髪が上げられたためか精悍さに磨きがかかり。仕上げにいつものように花の香水を振って準備完了といったところで、集合場所の玄関へと向かえばそこには天女と見紛うほどの椿がいて。てっきりおハナ特選の服を着るかと思っていたのに、こちらが選んだ可憐な白ワンピースを身に纏う相手を見ればなんだかむず痒くも嬉しく感じ。顔に白粉と頬紅がはたかれれば、もともとが化粧いらずの美貌だというのに更に磨きがかかっていて、これでは遊郭に通う男どもを手玉にとることなど赤子の手をひねるようなものだろう。つくづく、相手の美貌に畏れを感じればあまりの美しさに一瞬言葉を忘れていたのかハッと我にかえり「 綺麗だ…。綺麗だよ。椿。 」と感嘆の息を漏らすように相手を褒め称えて。 )

( / 服装の表現がお粗末で申し訳ありません…。椿様の表現には驚かされてばかりです。

外出の流れなどいかがいたしましょうか?ひとまずなんでも揃う百貨店のようなものに行くよう考えておりますが、それ以外にどこか行かせますか? )

  • No.192 by 椿  2023-05-25 18:38:20 



、─── っ、…。

( 物語の中で少女が王子様に恋をするときに花が散るようなよく有るようなことだが、成程これは。いつも下ろした前髪をオールバックに整えれば切れ長の月のような彼の黒瑪瑙がよりハッキリと強調されて彼の視線が射抜く全てを恋に落としていくような感覚にすら陥ってしまうほどの美しさ、それからふわりと香る花の香水も合わされば桃源郷に自分が迷い込んでしまったのかと思ってしまうような感覚に陥り椿の呼吸と周りの時間がはた、と止まってしまったかのようで。此方を綺麗だと評する彼の言葉にすら桃のような優しい甘さを称えているようで、椿は少し見惚れたあとによわよわと目尻を下げては「 直政様も、…とても素敵です…。 」と恥じらう乙女のごたる桃色の頬を隠すようにもじもじと足元に視線をやれば、嗚呼どうしようこのままじゃ今日1日彼を見られないわと自身の天の川のような黒髪を肩からさらりと落としながらきゅ、と胸元で両手を握り。 )


( / お褒めいただきありがとうございます…!!
とんでもないです、男性のお洋服の構造や説明がとても難しい中此方でも鮮明に脳裏に浮かぶような文章とても助かっております…!

そうですね…!相当色んなお店が集まっているでしょうし、椿が百貨店に行ったことないでしょうから、本日はひとまず百貨店だけでいいんじゃないかなぁと思います…! )


  • No.193 by 大祝直政  2023-05-26 12:13:20 




( お互いのことを褒め称えれば、2人してまるで付き合いたての番のようによわよわてれてれと甘ったるい空気を醸し出し、そのむず痒さにこちらも頬を赤らめながら、相手の生娘のような反応と言葉を受け取って。こちらははたちを超えたというのに、まるで思春期同士の交際のような椿との時間に、調子を狂わされてばかりだと自嘲気味に心の中で思えば、相手が水揚げを済ませてしまったのならいったいどれだけの男が群がったのだろうかと鳥肌を立たせて。と、このまま2人でもじもじしていたのでは一向に外出に出ることができないため「 んんっ 」と咳払いをして気を取り直せば「 よし、行こうか。 」と声をかけながらいつものように、相手に手を差し出し、その手に相手のちいちゃな手が乗せられればその手を引いて屋敷を出て。 )

( / いえいえ…!こちらはファッションに疎くて調べながら手探りでやっておりますので変なところがないか不安です。

了解しました!以前言っていた水族館や遊園地などはまた今度ですね! )

  • No.194 by 椿  2023-05-26 18:40:51 



─── …はい、

( 彼の暖かくて大きな手に包まれれば、本当に絵本の中の王子が姫にするようにいつもの様にエスコートをされてふにゃふにゃと微笑んで。屋敷の外に出ると今日も気持ちの良い日本晴れで、花街にいた頃にはこうして健康的にお天道様の下を歩き回るなんて想像もできずになんだかくすぐったい様なまだ慣れていないそわそわとした気持ちが胸を踊らせて。そう言えば、とふと彼の方へ視線を向けては「 今日はどちらに行かれるんですか、? 」と、良いところとは言われていたが具体的な行き先を聞いていなかったと思い出したのかふわりとした黒髪を揺らしながら緩く首を傾げて。舞に必要な道具などどこに売っているのかしらと、常に身の回りに道具があるのが当然の生活を行っていた椿には想像がつかずただただ不思議そうに長いまつ毛に縁どられた蘇芳をぱちぱちと瞬きさせて。 )


( / 私も男性の服装については全く疎い側ですのでどうぞお気軽にやっていっていただければと…!!
そうですね…!以前仰っていた看病のくだりも今回でやってしまおうかなと思っているので、また次回に回せればと……!)


  • No.195 by 大祝直政  2023-05-27 08:57:45 




( 外に出れば穏やかだった朝の陽射しが燦々と輝く日光になっていて、この様子だとジャケットは要らなかっただろうかと思いながら、相手の手を引いていて。そうして車の中までエスコートし、自分も車に乗っていざ!と車を走らせると、傍の相手がまるで遠足を翌日に控えた小学生のように期待を胸にしながら問いかけてくれば「 そうだな…。 」と、なんでもそろう百貨店に行くことは計画していても、相手に一口に百貨店と言っても想像が出来ないだろうからとどう説明したものかと考え込み。しばらく考え込んでもうまく説明できる言葉が見当たらず、諦めて「 なんでも揃うところ。まぁ、行ってみてのお楽しみだな。 」と、簡潔な説明だけをしては相手の期待を煽るようにはぐらかし、「 おハナさんの店より大きい、とだけ言っておこうかな。 」と、相手が想像するところを見るのも面白そうかと思ってヒントだけ出して。 )

( / なるほど!帰ってきて疲れが溜まって…という感じですね! )

  • No.196 by 椿  2023-05-27 17:18:14 



おハナさんのお店より……大きい……。

( 彼の言葉にぽつりと不思議そうに瞳を丸くしたものの、今まで自分の中での大きな建物と言えば郭しか思い浮かばなかった自分にとっておハナの店でさえお城と見まごうほどに大きかったというのに、それ以上とは。むむむ。と端麗な眉を寄せながら真剣に悩むものの、やはり外に出たことのない自分には想像がつかず。「 直政さまはよく行かれるんですか、? 」と、ふと隣の彼を見上げてはその場所に彼はよく行くのかと。もしかして舞に必要な道具だけじゃなくてもっとたくさんの他の品物が売ってるのかもしれないわ、と名探偵ぶって正解の分からぬ問題を当てようと世間知らずながらも自分の中でだんだんと情報を整理していって。……マァ今のところおハナの店より大きいことと舞に必要な道具が売っているということしか分からないのだが。 )


( / そのような形にしていこうかなと思います…!!!
よろしくお願いします…!! )


  • No.197 by 大祝直政  2023-05-28 10:05:47 




そうだな…。

( 運転している最中、隣からそこを贔屓しているのかと問いかけられればフロントガラスから目を離すことなくなにやら考え込むように遠くを見つめて。確かに贔屓にしてはいるものの、よく行くかと問われるとそうでもない。ちょうど赤信号で止まればどう言ったものかと悩み果て、頭の中に浮かんだのは「 特別な時に行ったりするな。 」と、なにか大事な時に赴くことが多いと、更に相手の想像力を煽るような台詞を吐いては赤から青に変わった信号を確認すれば発車させて。そうして運転すること数十分。「 よし、着いた。 」と呟いた時に見えるのは五、六階建てはあろうかという高さの百貨店で。おハナの店のように外観は豪奢とは言わないが、それでも見るからに清潔で上等な外観で、何より、賑やかささえ伝わってくるような大きさで車から降りれば「 さぁ、行こう。 」と助手席の相手に手を伸ばして。 )

( / 了解しました!こちらこそよろしくお願いします! / 蹴可 )

  • No.198 by 椿  2023-05-28 16:52:43 



とくべつなとき……、

( ふむ、と彼の言葉を復唱しながらそれぞれ貰ったヒントたちで自分の中の知りうる限りの建物を想像するも、矢張りどのヒントをとっても遊郭しか出てこず首を捻り。だって女を買うのはお金がかかるから特別な時だけって姐さんのお客さんが言ってたし。そんなこんなと思考の海にどっぷりと使っている間に目的地に到着したらしく、彼の言葉でふっと意識を浮上させては目の前にドンと鎮座する大きく上等な建物にぱちぱちと何度も瞬きをして。入らなくてもこの店には上等な人間しか入ってはならないというような謎の威圧感を感じるし、確かにこれは特別な時でなければ足を踏み入れてはいけないのかもしない、と少々怖気付いては、いつものように優しく差し出された彼の手におずおずと自分の手を重ねて車から出ると、「 あの、……私、ほんとに、ここに入っていいんでしょうか… 」と不安に揺れた蘇芳で彼を見上げてはどうしよう、と言いたげに問いかけて。 )



  • No.199 by 大祝直政  2023-05-29 07:15:35 




( 相手がこちらの手を取る時はその小さな手できゅ、と本当に力を入れているのかわからないくらいの力量で握り返してくるのだが、今回はそれに拍車をかけているような、おずおずといった感じで手を取ってくれば、いつもと違う様子に首を傾げて。不安に惑う蘇芳をこちらに向けながら、そのおかしな様子の原因を問いかけてくると「 なんだ、そんなこと気にしてたのか。 」と、身請け初日であられもない姿で夜這いに来たり、約束を破った主人に確たる態度で対応したくせにこんなことでおろおろしだす相手におかしなものだと思わず笑みをこぼしながらそう言って。まぁ初めての場所にはそれなりの不安というものがあるのだろう。その不安を解消してあげるように繋いだ手を優しく力を込めて握り「 大丈夫。ほら、普通の人だって入っていってるじゃないか。 」と、百貨店の入り口を指差せば、さすがに整った服装ではあるが、今の椿の服装に比べればいくらかグレードが下といったもので。 )

だから大丈夫。俺と、おハナさんの服を信じろ。

  • No.200 by 椿  2023-05-29 12:52:50 



直政様と、おハナさんのお洋服を…。
─── … はい!

( 彼が指した通り、あの大きな建物には少し金持ちの一般人…遊郭で言うのであれば散茶の女、頑張って格子の女を買えるであろう服装の人々や家族も入っているのを見かければ先程よりも焦った心は少しだけ落ち着いて。それに引き続き彼から告げられた言葉にぱちり、と瞬きをすれば彼の夜空のような黒瑪瑙とそれから自身の着ているふわりと広がる可愛らしい白のワンピースと、それから艶々と美しく光るヒールを見て。するとなぜだか先程まで自分の胸中を閉めていた不安はどこへやら、だんだんとその不安の芽たちはそっとまた地中に眠っていってしまい。優しく自身の手を握ってくれる彼の手にまた応えるようにキュ、と握り返してはいつものような花のような笑顔をぱっと浮かべてはこくりと浮かべて。自分には魔法のかかったお洋服と魔法使いさんが着いているんだ、と実感すればなにだかとても勇気が湧いてくるようで、これもまた彼の魔法なのだなとふと思えばやわやわと目尻を下げて微笑んで。 )


  • No.201 by 大祝直政  2023-05-30 06:23:35 




よし。

( こちらの励ましになんの疑いもすることなく、可愛らしい笑顔を浮かべながら元気よく返事をしてくる相手に、こちらもつられて笑うように上記のように呟いて。単純というか素直というか、己の言葉一つで簡単に御せてしまうと、昨日のような冷たい態度がまるで嘘のように子供だなと苦笑してしまいながら、相手の手を引けばいよいよ百貨店の中に入っていき。そうして視界に広がるのは清潔な内装に、さまざまな店が立ち並ぶ店内。陶器に顔が写りそうなくらいに輝く食器が並ぶ店に、趣味の良い革のバックが並ぶ店、これまた煌びやかに輝くアクセサリーが並ぶ店と見るからに高級志向の店が軒を連ねており、しかし己はそんなことも意に介さず「 楽器は売ってあるのかな…。 」と呑気に案内板を眺めていて。 )

( / 扇、三味線はともかく他にはどんな店を回らせましょうか? )

  • No.202 by 椿  2023-05-30 08:35:32 



─── ……すごい……。

( 見渡す限りにずらりと並ぶ色様々な店に蘇芳の瞳を何度も瞬きさせては感嘆の声をぽつりと零して。どの店の店員も皆おしとやかな百合の花のようで、美しい女たちがものを売っているということでは遊郭と似たようなものなのに店員の女たちは皆健康的にふっくらとしており血色も良く、なにだかとんでもない差を感じてしまい。だがやはりどの店も高級志向で、とてもではないが一般庶民ではホイホイと簡単に財布を開けるような場所ではないのは椿の目にも分かる。そんなことを気にせず楽器店を探す素振りを見せる彼にヒュ、と血の気が引いては「 ほ、本当に買うおつもりなんですか… 」ところころとした鈴の声を震わせながら恐る恐る確認して。だってこういう所の楽器ってことはあれでしょう、全部新品で高級な素材でできてるものしか売っていないもの。扇なんて花魁に持たせるようなものしか売っていないわ。と語らずともその瞳はどうしようどうしようと焦っていることがわかり。……実を言えば確かに芸妓としてはそんなにお高い楽器や扇を触れるのはとっても心が踊るのだが、本当に一刻だけでいいのだ。買わずとも、その、貸し出しとかで。そんな心は恐らく彼に伝わることなく、椿はただただこのひたすらに物を買い与えられている現実の打開策を考えて。 )


  • No.203 by 大祝直政  2023-05-30 16:02:43 




それが今日の目的だからな。それに、昨日、約束を破ってしまったし。

( ふーむ、と案内板を眺めていると、がやがやとした雑踏の喧騒の中でもよく聞き取れる鈴のような声が、どこかおろおろとした声で問いかけられると、まだ気にしているのかと、仕方ないなと苦笑しながら上記のように述べて。今日はそれらを買うためにここに来たのであって、その目的を果たさなければいったい何をしにここに来たのだろうか。いやまぁこの百貨店の中には様々な店があるのだからそれ以外にもやれることはあるのだが、あくまで今日の1番の目的はそれであるし、昨日、相手との約束を破ってしまった罪滅ぼしだとそれらしいことを言い張って。しばらく案内板とのにらめっこをしたあと、『 楽器店 』なる文字を見つければ「 ほら、行こう! 」と相手が心の内で何を思っているかなど知る由もなく、その手を引いて楽器店へと歩を進めて。 )

  • No.204 by 椿  2023-05-30 22:00:45 



そんな、謝っていただきましたしそれはもう─── わッ、

( 自分はもう気にしていないと伝えようとするが早いか、彼の手に優しく引かれれば驚いたような声を上げつつも大人しく彼について行き。イヤ、言ってしまえば確かに昨晩は自分も怒りすぎてしまった自覚はとてもあるのだが。それはそれとしてその事を引き合いに出されたら自分も何も言えなくなってしまうのか椿はエエイなんとでもなれと言いたげにぴかぴか美しい様々な新品の楽器の並ぶ高級そうな楽器店へと歩みを進めて。楽器店にたどり着けば、それはもう椿からしたら宝の山のような場所で2つの蘇芳をきらきらと輝かせながら言葉もなく店内をジッと見つめて。琴や三味線に始まり、初めて見る西洋の楽器まで。椿はどきどきと興奮で高鳴る心臓すらも気にならぬ様子で無意識に繋いだ彼の手をキュ…と握って。 )


( / 返信したつもりが出来ていませんでしたすみません…!!

そうですね…!お洋服はもう揃えましたし、お化粧品…?あとは直政様の趣味のものなどがあれば椿は喜んでその買い物について行くかと…!! )


  • No.205 by 大祝直政  2023-05-31 13:49:12 




( 目的の楽器店へと辿り着けばさすが専門店というべきか、様々な楽器や楽譜などがずらりと並んでいて。黄金に輝くトロンボーンやサックスといった吹奏楽器に琴やハープなど、おそらくそこに目的のブツがあるだろう弦楽器。そして店の中央には堂々と鎮座するグランドピアノと、普段楽器を嗜まない己でも、その異世界感になんだか子供のようにわくわくしてくると、隣の相手もこちらと同じ気持ちのようで握られる手に力が加われば「 行こうか。 」とこちらからも優しく握り返しながら手を引いて店の中に入り。足が向いたのは三味線が置いてあるだろう弦楽器のコーナー…のはずなのだが、その道中で目を奪われる楽器たちにたびたび足を止めながら「 ほー 」や「 ふ~ん 」と感心するような息をこぼして。そうやって店内で歩みを進めていけば少々時間はかかったがようやく弦楽器のコーナーに辿り着き、その中でも三味線が並ぶ列に来れば「 えーっと…一番良いものは…。 」とまるでそれが当たり前のことのようにこの並びの中で一番なものをと探し始めて「 椿も、気になったのがあったら教えてくれ。 」 と有識者の相手の判断も参考にしようとして。 )

( / 大丈夫ですよ!

化粧品もいいですね!個人的にはアクセサリー関連で買い足したいなというのと、太夫が着るような、うなじやら肩周りやらがはだけている花魁衣装を椿様に買うのはいかがかな、と。そういうときにしか着る場面は無いかもしれませんが雰囲気が出るかと思いまして。 )

  • No.206 by 椿  2023-06-01 22:51:23 



─── ……すてき、

( 初めておハナの店に行った時と同様…下手すれば其れよりもずうっときらきらと瞳を輝かせ、様々な楽器に釘付けになるようにその蘇芳の瞳は語らずとも〝楽しい〟と書いてあり。店内にあるどれもが美しくシッカリとした作りの三味線ばかりで、張り詰めた弦は新しく練習中に切れてしまうだなんてことは絶対に無さそうな頼もしい様子に椿の心は奪われてばかりで。気になるもの、と言われてちらりと視線をさ迷わせては、値段よりも先に三味線の方に目が言っているにもかかわらず鍛え上げられた審美眼はやはり高級なものばかりを追ってしまい。だがしかしさすが楽器、1番値段の低いものにもかかわらず値の張るそれらは到底椿からオネダリできるような代物ではなく。それでもやはり芸妓心はどうしてもその三味線たちを弾きたいとうずうず疼いてしまい、「 あの、…買う買わないは、別にして。試し弾きをさせていただいてもよろしいでしょうか。 」とおずおずと申してみて。だってこんなに高級な楽器、一生に一度触れるか触れないかかどうかだもの。 )



( / 花魁衣装もアクセサリーもすてきです…!!!!
せっかく花街育ちですし、たしかにそういった装いで設定を活用していけて良いとおもいます…!!! )

  • No.207 by 大祝直政  2023-06-02 11:49:59 




あぁ、それもそうだな。

( 三味線の傍にある値札には楽器として、それも高級志向なものでかなりの値が張り、結構するのだなと感心するが己の金銭感覚ではまだ動揺するほどではなくて。はて、どれがいいのだろうかと並ぶ三味線を眺めるが初心者がどれがいいものかとわかるはずもなく、ただうんうんと困ったように唸っており、そんな折に傍の相手が控えめにとにかく試し弾きを、と請うてくると、有識者が触らなくてはわからないというのに確かに眺めているばかりじゃダメだろうと気付かされて。「 すいません。 」と店内の従業員に声をかければ立派にそれでも上品にひげを蓄えた紳士がこちらに気づいて歩み寄ってきて。それから三味線を椿に試し弾きさせて欲しい旨を説明すれば快く快諾してくれて、「 いいってさ。どれにする? 」さぁ早速と言わんばかりに食い気味で問い掛けて。 )

( / 許可していただき、ありがとうございます!それではそのように進めさせていただきますね! )

  • No.208 by 椿  2023-06-02 21:54:15 



……。
直政さま、少し後ろを向いていてくださいまし。


( 彼の言葉に少し迷ったように視線をさ迷わせたものの、ソリャアもういちばん高いものを弾いてみたいのが芸妓の性で。だがしかしそれを選んだらきっと彼はそれを買ってしまうので、いっそのこと値段を見せずに弾けば良いのだ。自分は試し弾きで素晴らしい三味線に触れられるし、彼は自分の耳に1番馴染む音を選ぶことが出来る。高いからと言って其れが万人に受け入れられるとは限らないのだ。椿はちいちゃな手で彼の広い背中をそっと押せば自分に背を向けるようにくるりと。そうして漸く店員の紳士に「 この子と、……ええと。この子。それからこの子をお願いします。直政様も、もう此方を向いて構いませんよ。 」最も高級な三味線と、それから自分の審美眼で選択した三味線を2つほど。まずは3つの中からいちばん安価な……とは言っても一般的に見たらとても高価な値段だし遊郭で実際に弾いていたものよりも余程値の張るものなのだが、其れをそっと手に取ればあれだけいつもの様に触っていた三味線に触れるのがなにだかとても久しぶりなような気がして椿の頬は緩んでしまい。紳士の用意してくれた椅子にそっと腰をかければ撥の感触を確かめるかのように何とか握った後にビィン、……と一音。鼓膜を震わすその音は母親の声よりもよく聞いた音で。そのまま何度か弦を弾いた後に遊郭でよく演奏した曲の一節を弾けば実に癖の無い良い音色だと満足気で。 )


( / ありがとうございます…!!
是非そのように進めていただければ幸いです…!!/蹴り可 )


  • No.209 by 大祝直政  2023-06-02 22:15:19 




( / 一旦本体会話だけ失礼します!三味線に関してですが、椿様の方からなにもなければ偶然にも一番高価なものを聞き当てることにしようかと思っておりますがいかがでしょうか?なにか考えがあるなら何なりとお申し付けください! )

  • No.210 by 椿  2023-06-02 23:01:46 



( / もちろんです!直政様なら耳も肥えていらっしゃるので、某お正月の格付けのように一流を当てられると思いますので……!!! )


  • No.211 by 大祝直政  2023-06-03 10:05:37 




…?いいけど…。

( 椿に加えて店員が混ざれば有識者が2人に増え、これならば素人の自分が出る幕はないだろうと、2人に全面の信頼を置いて見守ろうとするが、突然椿から後ろを向けと言われると、首を傾げながらその意図が読めずにいるも相手の小さな手のなすがままに後ろを向かされて。振り向く許可が出ればどうやら後ろを向いている間に相手は三本の三味線を選んでいたようで、しかし己が後ろを向く必要があったのだろうかとあらためて首を捻って。相手が椅子に座り、撥を握りいざ、と弦を一音弾くと静かな店内に春風のような優しい音が強くしなやかに広がっていき。それから椿は興が乗ったのかある唄の一節を弾けば「 おぉ…。 」と三味線の音色もそうだが弾き手の腕前はもっとすごいものだと感心して。そうして二本目の三味線の音も聞けば次は一本目のものとは違い、強く吹き抜けるような力強さの音で、同じ楽器といえどここまで性格が違うものなのだなと唸って。そうして最後の三味線の番。さてこれはどんなものかと期待していたところで、一音目からこれまでの二つのものとは一線を画すものだとハッキリわかるほど心に訴えかけてくるような音で。一つ目の三味線の優しさと、二つ目の三味線の力強さを兼ね備え、そのいいとこ取りをした音は長くしなやかに響いていく…かと思いきや、その余韻はなんの未練もなく消えていくように無駄な音は一切ない。椿の弾く一節を聴き終えるとあまりの音に感動すら覚えるほどで鳥肌さえ立ち、一瞬我を忘れかけるが意識を取り戻せば「 すごかったな。 」と三味線もそうだがその持ち味をここまで引き出した相手を賞賛すれば「 で、その三つが欲しいのか? 」と、椿が欲しいのなら全て買ってあげようと突飛なことを口にして。 )

( / 了解いたしました!そのように進めさせていただきます!上でごちゃごちゃそれっぽく書いておりますが当方、三味線には何の知識もありませんなでご了承ください…。 )

  • No.212 by 椿  2023-06-03 21:37:33 



みっ、……ち、違います!

( 最後の三味線を弾き終えれば、ふぅと一息細く息を吐く。大好きなものにこうして触れられる時間というのは、一瞬のようにも永遠のようにも感じられて椿の中の胸の高まりは抑えられずにどくどくと高鳴る心臓はそのままに撥をぎゅ、と握りしめいた頃。唐突に問われた彼からの質問にぎょっと目を丸くして別の意味で心臓がドキドキとしてしまえば慌てて否定し。なんて金銭感覚をしているんだ、下手をしなくても一般企業の人の暫くの月収くらいにはなるのに!と椿はぶんぶん首を振れば、「 か、買うかどうかは別だと言いましたのに…!それに直政様がお気に召した音の一挺だけで十分ですから…!! 」と、自分がしっかりお金の管理をしなければ…!と斜め上の決意をして。自分は値段など気にしなくても三味線を弾くことが出来ればそれで良いのだが、恐らく小さい頃から一流を浴びてきたであろう彼の耳に合う三味線でなければならないというのは芸妓としての維持のようなもので。ふ、と椿は最後に弾いた三味線をそっと撫でながら「 これ。三絃師の袴田先生が作られたものですね。…1度だけ先生の前で弾かせていただいたことがございます。棹の感触と音の響き方が同じな気がします。 」と確認をするようにふわりと花のような微笑みを零しては、もう数年も前のことになるが遊郭にて三味線職人である男の前でその男の作った三味線を弾かせてもらったことがあると昔のことを思い出したらしく。 )



  • No.213 by 椿  2023-06-03 21:38:32 


( / 私も三味線の知識は全くなく…!!!
調べながらですので全然お気になさらず…!!! )


  • No.214 by 大祝直政  2023-06-03 22:49:31 




む、そうか…なら、俺は今のがよかったと思うよ。

( 相手を驚かせる発言や金銭感覚の具合で一見浮世離れしているようにも思えるが、その実無駄遣いは一切しないタチで、だからこそ懐は潤沢にあり己の財力なら三味線の三つくらいならなんの問題もないからと先ほどのような発言をして。ぶんぶんと首を振りながら一挺で十分だと、まるで釘を刺すような発言に遠慮しなくていいのに、と言いたげだが椿が言うならばと引き下がり、そして己が一番良かった音がと言われれば今椿が持っているものが一番印象的だったことを告げて。相手のしなやかな指先がつ、ーと三味線の棹を滑り、昔のことを懐かしむような、そんな笑みを浮かべると、椿の口ぶりからするとどうやらその界隈では有名な人物の作品のようで。『 えぇ、仰る通り、袴田先生の作品でございます。 』と店員が説明をし始め、『 先生曰く、最高傑作でこれ以上のものは作れないとまで言われたほど。名を「余韻嫋嫋」。大名弦でございます。 』と、素人からしたらこの会話ではとにかくすごい!ということしかわからず、まぁ椿も店員も太鼓判を押すのなら間違いのだろうと思えば「 これにするか? 」と三味線を夢中に眺める相手の顔を横から覗き込みながら問いかけて。 )

( / 調べるまでやるのがすごいです…!こちらも見習わなければ。 )

  • No.215 by 椿  2023-06-04 22:36:31 



、…………ほんとうに、良いのですか?

( 尊敬する三味線職人の手懸けた最高傑作。これを自分のものに出来たのであればどれだけ良いだろうか。だがしかし名の知れた三絃師であるさるお方の最高傑作となれば値段も花魁と一晩遊べるような値段だ。こちらを覗き込んでくる美丈夫にキュ、と眉を下げては、言葉とは裏腹にまるで小さな子供が拾ってきた犬猫を飼いたいと強請るような蘇芳色の瞳を彼の方に向けて。目は口ほどに物を言う、とは言うがそれでもただでさえ身請けからここまで彼が自分にかけている金額は果てしないものであるのにそこから更にこの三味線を強請るなど口を裂けても言えるはずがなく。なにか返せるだろうか、と自然と考えてしまう脳はつい先日彼に急がなくていいと窘められたばかりなのにどうしても花街の女らしい生き急いだ考え方をしてしまう。だがしかし〝欲しい〟とただ一言甘ったるく囁くという花魁の手も使えるようなことはなく、椿は困ったように自身の主人の回答を待つばかりで。 )


( / いえいえ!本当に自分が無知で何も世の中を知らないだけですので、背後様はどうぞ気軽にお話して貰えたら幸いです…!! )


  • No.216 by 大祝直政  2023-06-05 15:00:43 




椿が弾いてるところ、見ていたいからな。

( 相手の口振りからは多少の遠慮が滲み出るも、その蘇芳の瞳は嘘はつけないようで、その視線には欲しい!と訴えかける感情がダダ漏れで。相手には1番のものをと意気込んで買いに来たのだし、なにより椿が尊敬する製作者の最高傑作とここで出会ったのも何かの縁なのだろう。そして、先ほどの三味線を弾く姿は家事をして活き活きとしている相手とは違ってどこか艶やかに活き活きしていて、そんな姿もこれから見ていたいと思いながら上記のように述べて。相手の気が変わらぬうちに引き下がれないところまで行こうと思えば「 ご主人、これをくれ。 」と、相手が鈴のような甘ったるい甘え文句を口にするまでもなく、一般人が手を出すことはできないほどの大きな買い物に、眉一つ動かすことなくただそう言えば、紳士は深く頭を下げて、2人を会計まで案内してくれて。 )

( / 当方もなるべく知識を深めようとはしていますが、拙いところはどうかご容赦ください…! )

  • No.217 by 椿  2023-06-05 21:54:50 



、─── …直政様。ありがとうございます…!

( 端麗な眉一つ動かさずに三味線の購入を決める彼に1度ぱちり、と大きく瞬きをしたあとに嗚呼これからあの子をたくさん弾けるのねと感動で瞳に張った涙をぎりぎりで零すことなく、その大きな蘇芳で彼を見つめてはお洋服を与えられたり家事を楽しそうにしている時よりも、何よりも嬉しそうにふにゃりと破顔しては主人へと礼を告げて。どきどきと高鳴る心臓は、なにだか花魁から〝周りの人には内緒だよ〟ときらきら光る綺麗な簪を貰った時の高揚感によく似ている。廓の子達に言ったらみんな驚くかしら、先生にまた会えた時に言ったら笑ってくださるかしら、なんて年相応のわくわくふわふわとした気持ちを体からめいっぱいきらきらさせながら自然と緩んでしまう頬にそっと両手を添えては、椿はんふふ、とやっぱり笑ってしまい。 )


( / とんでもない!私も拙いところばかりですがこのままお話させていただけたら幸せです…!! )


  • No.218 by 大祝直政  2023-06-06 14:52:46 




( 自分にとっては痛くも痒くもない額ではあるが、それでもやはり普段で考えると大きめの買い物で、しかし相手と生活を始めてからおそらく1番と言わんばかりの笑顔を向けられると帳消しになるくらいうかばれる。遠慮しい相手とはいえ、やはりとびっきりのものが手に入るとなればそれほどまでに嬉しいのだろう。両手に頬を添える相手を見ているとあらためて、ここに連れてきてよかったと思いながら会計に案内する店員についていき。しかし、その道中にまるでこの店の首領だと言わんばかりに店の中央に居座るグランドピアノの前を横切れば、ふと何を思ったのか足を止めてじっとそのピアノを眺めて。 )

( / いえいえ、こちらからもお願いすることです…!当方、少し本体がごたついているので下手な文になってしまいますが、このままお相手を願えたらと。 )

  • No.219 by 大祝直政  2023-06-06 15:09:53 




( 自分にとっては痛くも痒くもない額ではあるが、それでもやはり普段で考えると大きめの買い物で、しかし相手と生活を始めてからおそらく1番と言わんばかりの笑顔を向けられると帳消しになるくらいうかばれる。遠慮しい相手とはいえ、やはりとびっきりのものが手に入るとなればそれほどまでに嬉しいのだろう。両手に頬を添える相手を見ているとあらためて、ここに連れてきてよかったと思いながら会計に案内する店員についていき。しかし、その道中にまるでこの店の首領だと言わんばかりに店の中央に居座るグランドピアノの前を横切れば、その荘厳な佇まいに目が釘付けになって思わず立ち止まって。「 椿は…ピアノは弾けるのか? 」と視線はピアノに向けたまま、傍の相手になんとなしに問いかけてみるがその視線は至って真剣そのもの。その様子は一歩間違ってしまえばポンと眉ひとつ動かすことなく買ってしまいそうなほどで。 そしてそのピアノの値札には「 一千万 」、と…。 )

( / すいません!少し書き足しました! )

  • No.220 by 椿  2023-06-07 12:28:43 



ピアノですか、?
いいえ、弾いたことがなくて…。でもあんなに素敵な音色ですもの、自由に弾けるようになったら、─── …う、嘘です!!私!三味線一筋ですもの!!


( はた、と立ち止まった彼にハテ何だろうとその視線の先を自分も追えばそこには荘厳たる佇まいのグランドピアノ。そういえば人生で一度も弾いたことがないわ、とぼんやり思えば丁度彼から質問が来たので考えていたことをそのままつらつらと返し…かけたものの、ふと届いたとんでもない値段のつぶやきと彼の表情を見ては下手をすればそのままポイと買ってしまいそうな危うさを瞬時に察知したのか途中まで話しかけた言葉の掌をアッサリと返せばぶんぶんと首を振りながら〝それは本当にダメなやつだ〟と言わんばかりに。もしこの人は私が悪い子だったらどうするのだろう、いやでも彼にとってはこの金額は端金なのかしらと混乱した頭でぐるぐると考えては彼の手をきゅ、と繋いでは「 ほ、ほら直政様。店員さんが待っていますから。 」とせめて彼の視界から取り敢えずこのグランドピアノを外そうと会計の方へと彼を誘導するように軽くくい、と引っ張って。 )


( お忙しい中ありがとうございます…!!
ご自身の体調第一に、無理なさらないでくださいね…!!)



  • No.221 by 大祝直政  2023-06-08 20:19:41 




あ、ほら、自由に試し弾き出来るってさ。ちょっとだけちょっとだけ。

( 『 自由に弾けるようになったら 』相手の呟きを耳聡く聞いていたようでふーん、へーえ、なるほどーと、言質は聞こえたと、だんだんと瞳をきらきら輝かせながらどこか無邪気に笑顔を浮かべれば、名札の横にある触っていいとの記しを指差して。椿のちいちゃな手ではひとまわりもふたまわりも大きい己の体を引っ張ることなど出来ず、逆にその手をむんずと握り返せば良いではないか良いではないかと引っ張り返してずかずかとピアノの前まで連れて行き。相手を強引に椅子に座らせれば自分もその隣に座り「 ほら、触ってみな。 」と相手の白魚のような手の上に自分の手を重ねながら鍵盤へとリードして。 )

( / ありがとうございます!なるべく早く返信できるようにしますので…! / 蹴可 )

  • No.222 by 椿  2023-06-10 19:22:03 



な、直政さま、ぁああ……

( 矢張り自分の力では彼を引っ張ることは叶わず、逆にピアノの方へ誘導されてしまいいつものようにされるがままに連れていかれ。厭、たしかにピアノを触ってみたかったのは事実ではあるのだが、これで〝楽しい!もっと弾きたい!〟というような顔を一つでもしてしまえば彼はこのグランドピアノさえも買ってしまいそうな勢いなのである。なにだか弾力のある椅子に座らせられれば目の前に鎮座するツヤツヤと輝くその高価な佇まいに椿は思わずぱちぱちと瞬きをするばかりで。そっと彼の大きくて優しい手が自分の手に重なるようにして鍵盤へとリードされれば、いつものえすこーととは違う距離の近さに不思議と心臓がドキドキと高鳴ってしまうような感覚がして、初めて触れるピアノよりもそちらに意識がいってしまう。「 そ、その!直政様は、ピアノをお弾きになるんですか? 」 その緊張を紛らわすように、鍵盤に指を置く仕草が妙に様になっていた彼の方をぱっと見れば思ってたよりもずっと距離が近くて、いつもよりも近くに見える夜空色の黒瑪瑙とぱっちり視線が噛み合ったことにぱっと視線を逸らし。 )


  • No.223 by 大祝直政  2023-06-14 08:12:32 


( / 返信が遅れてしまい申し訳ありません。本体の都合により多忙なため、今週は返信できそうにありません。来週からなら返していけると思いますので、そこまで待っていただけるとありがたいです。 )

  • No.224 by 椿  2023-06-15 22:04:29 



( / とんでもないです!
了解しました!忙しい中お知らせいただきありがとうございます…!! )


  • No.225 by 大祝直政  2023-06-27 08:38:58 




( 相手の細っこい手を鍵盤へとリードすれば、どれ、自分も一つ触ってみようかと己の手も置いて一つの鍵盤を弾いてみると、その荘厳な佇まいに違わぬ厳かな、されど繊細な音が静かな店に広がっていくと「 おぉ…。 」と思わず感嘆の息を漏らしてしまい。そうやって、心が慌ただしくなっている相手とは対照的に呑気に感心していると、その相手の蘇芳の瞳と目を合わせながら問いかけられると「 そうだな…。小さい頃に教養の一環で習わされてたな。 」と昔を思い出しながらそう言えば、それからはめっきり触らなくなったけど、とその教養が今になって役に立っているのかは不明なことに笑ってしまいながら付け加えて。今はもうピアノに触らなくなってしまったが昔のように弾けるだろうかとふと気になれば、幼い頃に習っていたお気に入りの曲を弾き始めれば、どうやら腕が鈍るというよりも体が覚えていたらしくピアニスト顔負けの演奏を披露して。 )

( / 返信が遅れてしまい、大変申し訳ございません!先週もバタバタしていてなかなか顔を出すことができませんでした…!これからはちょくちょく顔を出せると思いますので、続けてお相手をお願いしたいのですが、まだいらっしゃいますでしょうか…? )

  • No.226 by 椿  2023-06-28 20:43:56 



─── すてき、

( ぽぉん、とふわふわと軽いようで、だがしかしずっしりと重厚感のあるピアノの音色に椿の心は釘付けで。鍵盤をひとつ叩くたびに違う音程の音が鳴り、辺りに広がっては散っていく。まるで花火のような音色たちに椿の蘇芳はきらきらと光り、それからそれらをまるで鍵盤の上で指が踊っているかのように音を彩る彼の横顔に、思わず椿も見惚れてしまう。教養の一環、というよりも彼の音色は素人目で見ても(聴いても)ピアニストの演奏と遜色ないほどの腕前で、椿は思わずぽつりと鈴のような呟きを零して。彼の演奏が終われば、小さな手で一生懸命にぱちぱちと拍手を送りながら「 とってもお上手です!素敵、音が踊っているみたいだわ! 」とまるで小さな子供が宝物を見つけたかのようなきらきらとしたまんまるの瞳で彼を見つめて。 )


( / お久しぶりでございます…!!
勿論です、お忙しかった後なのに顔を出してくださってありがとうございます…!!ぜひ私の方からもこれからもお相手をさせて頂けたら嬉しいです…!! )


  • No.227 by 大祝直政  2023-07-01 17:04:49 




───ふぅ。

( 指が鍵盤の上で踊り始めればついつい興が乗ってしまったらしく、呼吸も忘れて目の前のピアノと対話して。今弾いている曲の一節を弾き終え、不足した酸素を補うように大きく呼吸をすると傍らの椿の小さな拍手でようやく我を取り戻し、おとなげなく我を忘れて一心不乱にピアノを弾いていたことに気恥ずかしさが残るのか「 ん゛んっ。 」と咳払いをして。まるで幼い子供がはしゃぐように賞賛の言葉を贈ってくると「 久しぶりに弾いてみると、意外といいものだな。 」と、鍵盤に指を滑らすように触れながらそう言えば「 ほら、椿も適当に触ってみなさい。 」と自分だけ楽しんでしまっていたことを思い出せばそう促して。 )

( / お優しいお言葉ありがとうございます!改めて、これからよろしくお願いします! )

  • No.228 by 椿  2023-07-05 22:20:55 



て、適当に…。

( 彼に促されるがままに、恐る恐る今度は1人で鍵盤に指を這わせてはぽん、ぽぉん、と拙くはあるが元々音楽の際はあるのだろう、曲とまでは言わずとも不協和音になることはなく音を奏でて。指を深く沈めれば深い音が、反対に跳ねるように鍵盤を押せば音も同じように跳ねていくのがなにだか楽しく椿はキラキラとした瞳でそれらをじっと見つめて。初めは片手だったのが両手に、高音と低音をそれぞれ奏でてハーモニーを重ねれば、ぱっとだれから見ても高揚したような表情で「 直政様、ぴあのって不思議ですね!とっても楽しい! 」とにこにこぺかぺか笑って見せて。遊郭にある楽器たちとはまた違う音を奏でるこの大きなグランドピアノは、最初は得体の知れない怖いものだったのが今ではすっかり素敵な音を出す魔法の楽器に早変わりし。直政様みたいに踊るように弾けるやうになったらきっと楽しいわ、どこかで習えるのかしら。なんて考えるくらいには根っからの芸者である椿の心はピアノに掴まれてしまったようで。 )


( / 早速少し遅れてしまいました…… !すみません!
こちらこそです…… !!改めてよろしくお願い致します!/蹴可 )


  • No.229 by 大祝直政  2023-07-12 22:17:10 




ほぉ…。

( こちらが勧めるがままに、恐る恐るといった様子で椿の白魚のような指が一つの鍵盤を鳴らすと、そこからは吹っ切れたのか遠慮がなくなった様子で一つ、また一つと音を鳴らし始めればどうやら気に入ってくれたようだと笑みを浮かべながら安心して。そこからは興が乗ったのか両手で弾き始め、ただむやみやたらと弾いているのかと思うもそれにしては妙に整ったハーモニーを奏で始めれば、やはり芸者としてのセンスや天性の才能がそうさせているのだろうかと感心して。あらかた満足したのか、きらきらとした表情をこちらに向けながら弾いてみた感想を興奮気味に述べてくると、先ほどまでのびくびくした様子はどこへ行ったのかと苦笑して。しかしそうか…椿がそういうのなら、これで懸念材料はなくなったなと、顎に手を当てればその表情は本格的にこのピアノの購入を考えている様子で。 )

( / すいません…。また遅れてしまいました…。 )

  • No.230 by 椿  2023-07-13 08:21:52 



?、─── あ゙ッ。買いませんよ!だめです!

( 彼の視線に何かしらと不思議そうに首を傾げたものの、何日も衣食住共にしてきてどことなく彼の考えていることがわかってきたのかハッと気付けばぶんぶんと首を振りながら彼が考えているであろうことを否定して。…最も、主人である彼が買うと言ってしまえば自分は全く口を出せない立場なのだが。確かにぴあのを弾くのはとっても楽しかったし彼のように弾けたらどんなに楽しいかとすらも思うがそれにしたって値段がとんでもないのだ。今まで彼が自分に使ったお金の総額を考えるだけでも目眩がする程なのに、そこから更にこのぐらんどぴあのを加味したらそれこそ遊郭で1番の女を暫くは傍におけるほどだ。椿はちらり、と名前の通り椿色の瞳を彼に向けては「 …直政さま、? 」と子猫が母猫を呼ぶような声で彼の名前を呼びながらきゅ、と彼の服の裾をちいちゃな手で掴んで。 )


( /いえいえ!私も遅れてしまったので…!お気になさらず…! )


  • No.231 by 大祝直政  2023-07-17 22:09:39 




そうか…だめか…。

( 己の中ではもうピアノを買うことは確定事項だったのか、すでに頭の中ではこのピアノを屋敷のどこに置こうかなどと考えていて。しかしそうやって真剣な表情で考え込んでいると、傍らの相手がぶんぶんと首を振ってピアノの購入を却下してくれば、さすがに少し高価すぎただろうかと思って。蘇芳の瞳をこちらに向けてこれ以上金をかけるつもりかと不安そうな蘇芳の瞳で見つめてくると先ほどまでの真剣な表情とは一転してしゅんとあからさまに落ち込むような様子を見せて。「 うん、じゃあ行こうか。 」と寂しそうな表情を浮かべてそう言えばチェアから立ち上がり、そうか…そうか…と呟きながら会計へと歩を進めて。その道すがら「 椿と一緒に弾きたかったなぁ…。 」とぼそりと呟いて。 )

( / ありがとうございます。これからはこまめに顔を出すようにしますので! )

  • No.232 by 椿  2023-07-24 23:25:58 



ぅ、…………。

( ぽそり、、と隣から聞こえた悲しげな呟きにギュ!と胸が痛んではぴたりとレジに向かう足が止まり。確かに自分も彼と一緒にぴあのを弾けたらとってもとっても楽しいだろうなあと思うし、実際に欲しいとだってほんのちょっぴり望んでしまっていたが。それでも欲しい!と気軽に買える値段では無いのがどうしても胸に引っかかる。椿はそこで数十秒悩んでから、彼の服の裾をくい、と引っ張ってはそっと彼の耳元にさくらんぼ色の唇を寄せて「 あの、ええと、直政さま。ぴあの、……ほしいから、買って? 」と消え入るようなちいちゃな遠慮がちな声で囁き。─── いーい?椿。良い女さね、何をお強請りしても許されるのよ。男はね、可愛い女を甘やかすのが大好きなんだから。 …そんな姐さんの言葉を思い出したから。 )


( /すみません多忙につき返信がとても遅れてしまいました…!!!
一旦全て落ち着いたのでこれからは2日に1回は必ず顔を出せるかと…!すみません…!! )

  • No.233 by 大祝直政  2023-07-25 20:08:32 




( 椿から購入の許可が下りなければ仕方がない。今日は三味線を購入して終わりにするとしようと、背中を縮こま背ながらさめざめといった様子で会計まで歩を進める。しかし、会計まであと一歩というところで不意に後ろから服の裾を引っ張られてその一歩を止められてしまえばなんなのだろうと相手の方へと振り向くと耳元で鈴の音のような声で囁かれて。その言葉を聞いた途端、先ほどまでの悲しげな表情がみるみるうちに笑みが浮かび上がれば、したり顔を相手に一瞬向けてから「ご主人、あのピアノも会計に入れてくれ。」と相手のお強請りを聞いてからすぐにそう言って。そう、先ほどまでの落ち込んだ様子は演技であり、相手を揺さぶるための謀略。相手からの許可が下りればもう悲しそうに演じる必要はないと、落ち込んだ様子から一転して嬉々としてピアノの購入手続きを進めて。 )

( / 大丈夫です!自分が言うのもなんですがのんびりと待っておきますので! )

  • No.234 by 椿  2023-07-25 21:32:27 



!!!!!

( 椿の精一杯のお強請りに、怒るか呆れるか…さて彼がどう返すかと恐る恐る不安げに揺れる蘇芳で彼を見上げてみると、そこにあるのは端麗な唇をしてやったりと言いたげに歪めて早々に会計に進む主人の姿。椿はぱち!と音が鳴るのではないかと言うほどパッと瞳を大きく見開いては彼の表情の意味をゆっくりゆっくり時間をかけて咀嚼していき、やっと彼の先程の表情や声色が演技だということに気付けば「 な、直政様!!!うそつきです!! 」と彼の策に嵌った椿はワッと真白の頬に朱色を散らしては、もう自分では口出しのできないところまで進んでしまったピアノと三味線の金額にあわあわと緩く波打った美しい黒髪を揺らしながら右往左往するしかなく。……最も、ふたつの合計金額は恐ろしくて見ることが出来ないのだが。 )

( / お優しい言葉ありがとうございます…!
前述の通り、本日よりコンスタントにお返事出来ますのでまた御相手頂けたら幸いです、! /蹴り可 )


  • No.235 by 大祝直政  2023-07-26 22:19:40 




椿が欲しいなら仕方がないな。うん、仕方がない仕方がない。

( ピアノの購入に関しての保険や契約、配達などの書類を書き込みながら上記の様に、あくまでピアノを欲しがったのは椿であり、自分はなんら悪くないと言い張るかのようにわざとらしく呟いて。ようやく騙されたことに気付いた相手が、静かな店内に響き渡るほど声を上げてぽこぽこと頬を茹らせれば「ん~?なんのことかな?椿が買ってって言ったんだろ?」と悲劇の自分を演じていた己のことを棚に上げながらすっとぼけて。諸々の手続きを終え、そうしてやってきた支払いの刻。あいにく三味線とピアノの合計金額を一括で払えるほどの現金は持ち合わせていない(というか持っていると危ない)ため、おハナの店の時と同様に小切手で支払い。小切手に書かれた千ウン百万の数字の羅列を確認し、そして購入の確認である己のサインを書き込めば、晴れて三味線とピアノは椿のものとなり。 )

  • No.236 by 椿  2023-07-27 17:51:58 



ぅ、……。

( 確かに彼の言葉通り、〝欲しい〟と口にしてしまったのは紛れもなく椿であり其れに何も言い返せなくなってしまえば聡明な女にならなければ…!!!と新たに心の中で椿の目標が確立し。このままでは彼の策に嵌って色んなものを彼の思うがままにされてしまう。よくない。そうこうしている内に支払いの刻がやってきたようで、見たら絶対に後悔するのに椿は白魚のような両手で小さな顔を覆ってはその指の隙間からそろりと彼のサインしている小切手を覗き見て。「 っひぇ 」見たのは一瞬。それでもその一瞬で認識できたゼロの数は自分が見た事のある数字よりも余程多くて思わず目眩すらする心地になってしまう。こんなのただの労働だけではよほど返せる額ではなく、それこそ本当に花魁レベルの女を何夜も抱くような金額なのだ。椿は小さな悲鳴を漏らした後によろよろと彼の服の裾に捕まれば、「 な、直政さま…なんとお礼を、…いいえお詫び…?私何をしたら… 」と焦りと混乱と喜びと。ぐるぐると色んな感情が混ざりあった頭のまま平気な顔をしてとんでもない額の買い物を済ませた美丈夫に問いかけて。 )


  • No.237 by 大祝直政  2023-07-27 22:05:22 




( ピアノはともかく三味線は今日、これからもこの百貨店を回るには少々過ぎた荷物であり、店の主人に状況を説明すればこの百貨店での買い物が終わり、取りに来るまでこの店で預かってくれるとのこと。主人と己でそう約束を取り付けていると、背後から服の裾を掴まれればなんとも表現のしがたい表情をする相手がおり。この恩をどう返したらよいのかと、またも生き急ぎ始める相手に「 まーたそんなこと言ってる…。 」と、どこか呆れるような声でそう呟いて。「 気にしなくていいって、これから返すんだって言ったろ? 」と、数日前、相手があられもない格好でこちらの部屋に乗り込んできたときのことを思い出させるように問いかけて。しかしまぁ、己にとっては痒くもない額の買い物とはいえ、確かにこれはやりすぎたかもしれないと思い、今日のもう一つの目的である扇を買えばしばらくは大きい買い物は控えようと考えて。店を出てもなお、あわあわとした様子でいる相手に仕方なしと一つ小さなため息をつけば「 じゃあ、今日帰ったら按摩でもしてもらおうかな。 」と少しでも罪悪感を削ってもらおうと労働を課して。 )

  • No.238 by 椿  2023-07-28 21:05:59 



!仰せのままに…!

( 彼から仕事を仰せせつかれば、ひどく安心したように分かりやすくホッと息を吐けばいつものようにふにゃりとした少女の笑顔に戻り。最も按摩なんかでは今までの金額には到底及ばないのだがそれでもやはり何もしないという罪悪感は薄れたのか不安げに揺らいでいた蘇芳は落ち着きを取り戻して。やはり数日そこらでは今までの17年間の生き方というのをヒョイと変えられるもの手間は無いが、椿のこれは元々の性格もあるのだろうかくい、とまた彼の服を小さな手で掴んではぱちぱちと音が聞こえるかのような長いまつ毛を瞬かせては彼の黒瑪瑙と己の蘇芳を交わらせながら「 ぴあのも、三味線も、大切にいたします。ありがとうございます。 」と改めてにこにこふにゃふにゃ微笑んで。 )


  • No.239 by 大祝直政  2023-08-02 22:23:46 




うん、それでいいんだ。

( それほどまでに大きな負い目を感じていたのか、簡単な仕事を与えただけでもそれで安心したように一息つく相手に、やれやれと仕方がなさそうにため息をつくが、決して疎ましく思っているのではなくまるで親が子供のやんちゃに付き合っているような風のため息で。さて、次の目的地はと百貨店の見取り図を眺めていると後方から服をちょいちょいと引っ張られれば、なんなのだろうかと引っ張られた方を振り返り。先ほどからずっとあわあわとしていたが、どうやらやっと、ピアノを買ったという事実を飲み込んでくれたのか、改めてお礼を述べられると、笑みを浮かべながらそうやって甘えていればいいと上記の様に言って。気を取り直して見取り図を見ていれば、どうやら芸子御用達の店がある様子。それを目にした途端「 よし、次はあっちだ。 」と相手の手を包み込むように握ればその手を引いて目的地へと向かい。 )

  • No.240 by 椿  2023-08-02 23:52:14 



つ、次……?

( 何やら次の目的地を見つけたらしい彼の優しくて暖かな手にゆっくりと手を引かれては、ぱち!と長いまつ毛を瞬かせながら蘇芳を丸くして。直政様のお買い物かしら、と見当違いなことを考えながらワンピースの裾をひらりとはためかせながら彼の後ろを着いていき。だがしかし、と改めて店内にある様々な店舗たちはどれも高級志向で、働いている女たちは全て砂糖菓子のように美しい女たちばかりだ。お人形さんみたい、とぽけ…とぼんやり見つめていれば宝石店の美しい女の店員がにこ、と微笑みかけてくれたのでピャ!と肩を跳ねさせたあとに慌ててお辞儀をして。─── 廓にいた姐さんたちとは違う綺麗さだから、少し緊張きちゃう。椿は無意識に彼とつないだ手に柔く力を込めては次は余所見をせずに彼について行き。 )


  • No.241 by 大祝直政  2023-08-08 21:47:15 



扇も欲しいって言ってたろ?

( 椿と約束していた三味線ともう一つの品物、「扇」。自分にはよくわからないのだが、舞には必要なものらしく、相手の本当の舞を見るのであれば買うしかないだろうと目的の店へと歩を進めて。善は急げと歩いて着いた芸子御用達の店はどこか怪しげな雰囲気を醸し出しており、一般人が入るには少し勇気がいるような店構え。しかし当の本人は、そんな雰囲気に臆せず、椿の手を引きながらずんずんと店の中へと入り。どうやらこういった店に入るのは慣れているらしい( 芸子の店に入るのは初めてだが )。店の中には芸子達が使う化粧類や簪などといった小物が並んでおり、そのどれもが、見るだけで一級品だとわかるような品質のものばかり。そして目的の扇の棚へとたどり着けば「 さぁ、どれが欲しいんだ? 」と、やはりここは本職である相手に任せた方が無難だろうということで相手の審美眼を頼りにして。 )

( / すいません、扇が売ってある店というのが上手くイメージできなかったので店を勝手に想像してしまいました…。 )

  • No.242 by 椿  2023-08-17 20:45:27 



ッ、─── 。

( まさか次も自分のための買い物だとは思わなかったのか、椿は大きな蘇芳の瞳をぱち!と見開いては口をぱくぱくと開閉して。人間驚きの頂点になると声も出ないというが正にこれがそうなのだろう。呆然としながら彼に連れられた店内は芸妓時代によく見知ったものたち─── 最も自分が使っていたものより余程高価な花魁レベルしか許されないものだが ─── が陳列されており、今までに行ったどの店よりも何だか呼吸がしやすくて椿はゆっくりと息を吐いて。嗚呼、あれ姐さんが旦那様に強請っていたものだわ、だとか、一度だけ付けてもらってすごく良い匂いのした覚えがある白粉だとか、自分が生まれ育った世界のものたちに溢れている店内は目移りしてしまう。目的の扇が数多く飾られている一角にたどり着けば、彼の言葉に先程まで安堵していた表情はぴゃ!と緊張し、ざっと見た限りでも1番安い扇ですらとんでもない値段がするのを確認すれば椿は少し悩ましげに眉を下げて。「 きょ、今日じゃなくても……良いのではないでしょうか……? 」暫くの沈黙の末、漸くその口から溢れ出た言葉は流石に今日一日で使わせてしまった金額を考えれば最もな言葉だ。確かに欲しいと言ったし舞を見せるのであれば必要なものだが、それでも如何せん使わせすぎてしまったのである。椿はちらり、と彼の方をおずおずと見上げれば、夜色の瞳を申し訳なさそうに見つめて。 )


( / 私も扇専門店には全く明るくないので、むしろとても有難いです…!!! )


  • No.243 by 大祝直政  2023-08-20 11:24:47 




なーに言ってるんだ。今日買っても後で買っても同じことだろう。

( 整然と並べられた扇はそのどれもが美術館に飾られていてもおかしくないような芸術品であり、格式高い雰囲気を漂わせている。傍らに添えられた値札に書いてある値段もこれまた格式高い数値であるが、己はというとそんなことも意に介さずにどれがよさそうかと素人なりに扇を眺めながら吟味していて。椿も扇選びに集中しているのかしばらく沈黙していると思いきや、今日は買わなくていいのではないのだろうかと急に遠慮し始める相手にまるで素っ頓狂なものを見たかのように首をかしげて。いつか買うのであれば、速いに越したことはないだろうと怯えの生じる蘇芳の瞳を見つめ返しながら上記の様に説得すれば、相手の背中を押すように両肩を掴んで、扇もっとよく見えるように棚の前へと歩かせて。 )

( / 良かったです! )

  • No.244 by 椿  2023-08-21 19:44:13 



あう、……。

( 彼の優しくて暖かい手に両肩を軽く押されて最もな台詞を吐かれてしまえば何も言うことが出来ずに椿はただただ視界いっぱいに広がる美しい扇たちを眺めて。だがしかし扇というものは豪華絢爛な柄も、奥ゆかしいシンプルな柄も、こういうお店の物は総じて高いのだ。基本的に扇は舞う踊りによって持つものを変えることが正しい舞なのだが、それを言い始めてしまったらそれこそキリがなくなってしまう。椿はちらり、と2つの蘇芳で彼を振り返れば「 あの、……直政さまが好きな、柄はなんでしょう…。 」と、自分が得意云々よりも彼の好きな柄を問い掛けて。これでも花街で生まれてからずっと舞を続けてきた芸妓、大抵の舞なら踊ることができるし例え知らないものでも数回見れば踊ることが出来る。ならば彼が一番好きな舞扇のもので踊りたいと。霞、雲、桜、露草、流水、波、小石、それから色紙。基本的な舞扇はこれらの柄が主流だが、この店には月や他の花など様々な柄の扇があるようで椿はこてりと首を傾げて。 )



  • No.245 by 大祝直政  2023-08-21 21:09:33 




俺の好きな柄…か。

( いくら芸術品のような扇といえども、先ほどのピアノと三味線に比べれば比較的安価な値段。楽器みたいにかさばらないのだし、どうせなら幾つか…いや、なんならこの棚にある扇を買い占めるか…?などと金持ち特有のズレた金銭感覚で恐ろしい考え事をしていると、椿なりの心遣いだろうか好きな柄は何かと問いかけられて。好きな柄…とは言われても、今まで芸子遊びなどしたことがないのだし、そのあたりの美的感覚などは洗練されていないためどうしたものかと悩んでいれば「 好きな色は赤色だな。 」と、柄はともかく己の好きな色を教えるだけでも選択し絞れるのではないかと思い、ふと口にして。「 あまり主張しない落ち着いた赤色…そうだ、ちょうど椿の瞳の色くらいの赤が好きだ。 」などと、補足して加えた説明はまるで口説き文句のような台詞で、己がどんなことを言っているのか気付いていないのか、そんなことも意に介さずにその蘇芳の瞳を眺めて。 )


  • No.246 by 椿  2023-08-24 14:34:59 



、……。

( 彼の言葉に、椿の蘇芳はまんまると大きく丸められて真白の頬はぽぽぽと薄紅色に染まる。自分のことが好きだと言われた訳では無いのになぜだか心の臓が大きく高鳴り、それと同時にきゅうと締め付けられるような感覚すらする。此方の全てを見透かしてしまうような涼し気な視線を受けて椿は何度かぱちぱちと瞬きを繰り返した後に彼の黒瑪瑙から逃れるようにふい、と視線を逸らしては「 で、では赤色の扇がいいです、ね。 」 と少したどたどしくも成る可くいつも通りの振りをして扇たちの方へと向き直り。だが大人しく扇を吟味できるような精神状態ではなく、まだ火照っている感覚のする陶器の頬を白魚の両手でそっと包めば早くこの熱を引かせようとふるふる小さく首を振り。 )


  • No.247 by 椿  2023-08-24 14:35:05 



、……。

( 彼の言葉に、椿の蘇芳はまんまると大きく丸められて真白の頬はぽぽぽと薄紅色に染まる。自分のことが好きだと言われた訳では無いのになぜだか心の臓が大きく高鳴り、それと同時にきゅうと締め付けられるような感覚すらする。此方の全てを見透かしてしまうような涼し気な視線を受けて椿は何度かぱちぱちと瞬きを繰り返した後に彼の黒瑪瑙から逃れるようにふい、と視線を逸らしては「 で、では赤色の扇がいいです、ね。 」 と少したどたどしくも成る可くいつも通りの振りをして扇たちの方へと向き直り。だが大人しく扇を吟味できるような精神状態ではなく、まだ火照っている感覚のする陶器の頬を白魚の両手でそっと包めば早くこの熱を引かせようとふるふる小さく首を振り。 )


  • No.248 by 大祝直政  2023-08-29 18:48:38 




( 己がどんな台詞を口にしたのかも気にもしていないのか、椿が不自然な様子で視線を逸らしたことにただ首をかしげるだけで、その頬が本人の瞳の様に赤く染まっていることにも気づかず、扇の棚へと向き直る相手の背中を見送って。自分もなにか、いい扇はないかと、素人目ではセンスはないかもしれないが、あくまで芸術品観賞のつもりでそれらを眺め。あらためて眺めてみると、どれもが雅でありながら力強い、確かな芯を持つ力強い雰囲気を醸し出しており、「ほぅ」と感嘆の息を漏らして。そうやって眺めていると、一つの扇に目を惹かれ。その扇は赤色の風景に銀色の月が浮かんでおり、地面には椿が咲き誇っているといったデザインで。「 椿、これなんかどうだ? 」と相手に声を掛けながら経験者の意見を聞いて。 )


  • No.249 by 椿  2023-08-31 00:28:09 



、─── すてき。
力強いけれど繊細で、とっても綺麗です。椿の描かれた舞扇は背景が雪化粧から白のものが多いのですけれど、こうして1枚の絵のような舞扇もきっと踊りに映えますね。

( 此方がなんとか顔の熱を冷まそうと首を振ったりぱたぱたと手で仰いでいる間、いつの間にやら彼はお気に召した舞扇が見つかったようでその声に導かれて視線を向ければそこには在り来りな舞扇の絵とはまた一味違う様子の扇子が飾られており、椿は舞扇に書かれた椿とおんなじ色の瞳をキラキラと輝かせながらぽつりぽつりと感想をこぼして。自分のような経験者はどうしても舞扇といえば似たりよったりな柄のものを選んでしまうが、こうして彼のように全く新しい視点から見られる人の選ぶ舞扇というのはなかなかに興味深いものばかりで椿はにこりと微笑み。「 旦那様のお好きな椿色ですし、それにお月様はなにだか直政様のようで私好きなんです。 」 ふわふわとまるでなんでもないようにさらりと述べた言葉は、椿の意識のしないところでの好意と言葉。暗い世界を明るく優しい光で照らす月は、遊郭という世界から自分をすくいあげてくれた彼によく似ている。椿はうんうん、と満足気にその扇を眺めてはふと彼の方を見上げてまたふにゃりと微笑み。 )


  • No.250 by 大祝直政  2023-09-02 20:55:14 




ん、そうか。

( 素人目なりに気になったものをなんとなしに選んでみたが、どうやら経験者の眼から見てもなかなかの逸品らしい。自身のお気に入りの色であるその瞳をキラキラと輝かせてこちらの選んだ扇について感想を述べられる椿の言葉に、己の目利きは正しかったようだと安堵したのと同時にどこか褒められた気もして嬉しくなったようで。しかし、そうやっていい気になっていたのも束の間、賞賛の言葉のあとに月はまるで直政のようだと、それが好きだとさらりと告白しながらこちらに蕩けるような笑みを浮かべる相手にドキリとさせられてしまい、突然の言葉に頬にほんのりと熱を帯びれば「 …ッ、ん゛ん。うん、そうか。 」と、なんでもないように装うために一旦咳払いして気を取り直そうとしていて。「 ほら、椿はなにか気になったものはないのか? 」となかなか収まらない頬の熱に気付かれないように再度、扇の棚へと相手の背中を押して。 )


  • No.251 by 大祝直政  2023-09-16 12:34:36 



あげてみます。

  • No.252 by 大祝直政  2023-09-29 13:04:26 




あげてみます。


  • No.253 by 椿  2023-10-02 18:00:00 



わたし、この扇がいいです。

( 湯上りのように頬を火照らせ咳払いする彼にきょとん、と不思議そうに首を傾げそれを覗き込もうとした椿だがそれは彼に背を押されたことにより叶わず。気になるもの、と言われてもやはりどれもピアノや三味線ほどでは無いとはいえ一般的に見れば十二分に値の張る品々ばかりなせいか強請るにも気が引ける。そりゃあ芸妓としては一流の?──とは言ってもここにあるものは全て一流なのだが─── もの、もっと言ってしまえば値の張るものに目が言ってしまうが、ただの少女である椿として気になるものと言えば先程彼が勧めてくれた扇に1番心惹かれているようで。椿は白魚のような手で先程の奥義をそっと手で示せばにこりと少女らしい若々とした笑顔を浮かべて。「 直政さまが私に似合うって見つけてくださった扇ですもの。 」とふにゃふにゃと柔らかい声でそう付け足せば、ダメかしら、と彼の顔を伺うようにそっと椿色の瞳で彼を見上げて。 )


( / 仕事に追われなかなか返事ができず申し訳ございませんでした…!!
もしまだいらっしゃる様でしたら引き続きお相手いただけたら凄く嬉しいです…! )

  • No.254 by 大祝直政  2023-10-09 23:05:32 




…そうか。

( どうやら椿はこちらが選んだ扇のことをいたく気に入ってくれたようで、その扇に細やかな手を沿わせて春の風のように柔らかい声で問いかけてくれば、こちらも、己が選んだ扇を選んでくれたことを嬉しく思い、笑みを浮かべながら上記のように返して。なんだかんだで扇を買うことを了承してくれた相手の気が変わらないうちに事を進めてしまおうと、そうと決まれば店員に合図を送って呼びよせては「 この扇をください。 」と、2人で決めた扇を指差して。『かしこまりました』と頭を下げる店員が丁寧な手つきで扇を持ち出し、会計の場へと先導すればそれについていき。しかしその道すがら、ガラスで隔てられた棚の向こうに掛けられてある、最上等な着物に目を奪われて。その着物は花魁が誘惑のために着る艶やかなもの。身につけられていない状態でも妖しげな美しさを放つそれにただ一言「 綺麗だ…。 」と呟いては、これを着た椿はきっと言葉にすることができないほどの美貌なのだろうと思いながら、何故か椿とその着物を交互に視線を見遣って。 )



  • No.255 by 大祝直政  2023-10-10 22:09:12 




( / 申し訳ありません!寝ぼけて本体返信を忘れていました!こちらこそ、まだお相手してもらえるならお願いしたいです! )



  • No.256 by 椿  2023-10-13 00:30:48 



─── 、花魁の…着物…?

( ふわり、と自分の耳を擽る彼の優しいテノールと視線にふと顔を上げて彼の視線の先を見遣れば、そこには今まで自分の世界の全てだった艶やかで煌びやかな花魁の着物。ごくひと握りの彼女らは、これを着て鳥籠の中でただただ人形のように佇んで微笑みだけで男を落としてしまうのだ。偶然にも椿はその美貌でなく芸者の腕で女遊びの世界を生きてきたが、少しでも境遇が違っていれば自分も今頃それらのように鳥籠の中で生涯を終えるところだっただろう。椿もそれに一瞬瞳を奪われた後に、なぜ彼がこちらを向いていたのか分からずにこてりと首を傾げ。しばらく考えた結果、花魁と遊んでみたいという事なのだろうか、なんて素っ頓狂な考えが浮かべば「 あの、直政様。大丈夫ですよ、私は構いませんから。 」なんて言葉足らずに彼の服の裾をくい、と優しく引っ張った後にいつもの花のような笑顔よりも少しだけ曇った笑顔を浮かべて。ヂリ、と胸を焦がすような痛みと一気に心に拡がったもやもやの名前は知らぬまま、椿は彼に人形遊びならば好きにして欲しいと。自分は彼の愛玩人形のひとりなだけであって、それらに口を出す資格はないのだから。 )


( /ありがとうございます…!
ぜひこれからもよろしくお願い致します! )


  • No.257 by 大祝直政  2023-10-16 21:06:33 




( この着物を買うと言ったら、また椿に怒られるだろうか。いや、実際は起こられてはいないのだが、今まで使った金額のことを考えるとそれはもうすごく拒絶されてしまうかもしれない。そんなことを心配しながら件の彼女に察してと言わんばかりに視線をやって。すると、椿はその視線の真意を汲んでくれたのか『大丈夫。』『構わない』との言葉を貰えるとまるで欲しかったものを買う許可を貰えた子どもの様に目を輝かせて。相手にそんなつもりはないのだが、己の中で『買っても大丈夫』『買っても構わない』と勝手に変換されてしまい、二人の間で相互誤解が生じていることにも気づかず、相手から許可を貰えたのならばもう何も気にすることはないと二人を会計まで案内する店員に声を掛ければ「 この着物もください。 」とガラスの向こうで妖艶に鎮座する、花魁衣装(数百万)を指さしながら声をかけて。 )

  • No.258 by 椿  2023-10-17 23:36:12 



─── へッ、?

( 何だか無性に胸の奥がジン、と締め付けられるように痛いけれど、その痛みは無視をして。きらきらとまるで幼い少年のように黒瑪瑙を輝かせる彼にニコリと人形らしく微笑んだ直後、彼の薄く形の良い唇から発せられた言葉は自分が思っていた言葉よりもずっとずっと理解の追いつかないもので。椿はぽかん、と大きな瞳を丸くしてちいちゃな口をあんぐり開けて一言言葉にもならない上記を発せば、じわじわと時間がたつにつれて其の言葉に意味が体に馴染んだのか次は頭の上に沢山のハテナを散らす。「 まッ、待ってください直政様!こ、これ、すうひゃくま、お、花魁と遊ぶんじゃないんですか!? 」といつもであればころころと転がる鈴のような可愛らしい声を思わず少し大きくしてしまえば、彼と、花魁衣装と、値札と、それぞれを三角形に交互に見ながら混乱を露わにして。 )


  • No.259 by 大祝直政  2023-10-18 21:19:56 




―――花魁?何を言ってるんだ椿?

( 額が額なためか、声を掛けられた店員は数秒の間固まっていたが、我を取り戻せば太客を逃してなるものかと言わんばかりに花魁衣装の購入の手続きをてきぱきと進めて。その店員に一拍遅れて我を取り戻し、ピアノを買うときとおなじくらいに取り乱す相手の言葉に何を言ってるんだと言わんばかりに上記の様に首をかしげて。花魁と遊ぶつもりなどないし、花街に行く予定もない。相手の口から出てきた言葉からどうして相手がそんな勘違いをしたのだろうかと推理すれば「 まぁ、椿がこれを着たら花魁になるから、花魁と遊ぶことにはなる…かな。 」なんて素っ頓狂なことをのんきに考えれば、会計の準備ができたらしい店員について行くが、この際花魁に必要な化粧道具なども最上のものを店員に見繕ってもらって。 )


  • No.260 by 椿  2023-10-19 17:41:32 



─── へ、

( とんとん拍子に進んでしまう花魁衣装の購入に加えて化粧道具等もここぞとばかりに最高級のものばかりを取り揃えていく店員たちの嬉しそうな顔と意味深な言葉を残して店員のあとをついて行く彼の背中を呆然と見ては、じわじわと椿の真白の頬には朱が散っていき。どういう意味、花魁と遊ぶってなに、私が花魁で、遊ぶ?なんて花街で育った彼女にとっては彼の言った意味がわからずに、否分かるのだが、兎に角椿の頭は混乱するばかりでぐるぐるとパンクしてしまいそうな頭のまま「 な、直政様、待って、 」とぱたぱた不安そうな顔で彼の後を慌てて追い。そのまま彼の腕をきゅ!と小さな手で掴んでは火照った表情ときゅうと下げられた眉で彼をジッと見つめては「 あ、遊ぶの…?わたしと、……? 」と普段の一歩下がるような丁寧な敬語ではなく年相応の少女の声色でぽつぽつと問いかけて。 )


  • No.261 by 大祝直政  2023-10-19 19:46:05 




( 己の発言で椿がパニックに陥っていることなど気付かず、店に並んでいる中で一番値の張るおしろいや、艶めかしささえ漂わせる色彩の口紅など、店員の手によって最上級品の化粧道具が次々と選ばれていき。購入するものをあらかた選び終えたらしく、あらためて会計へと案内されようとしたそのとき、傍らの相手から引き留められると、いったいなんなのだろうかとふりかえればそこには顔を真っ赤にしてなにやら不安そうな表情でこちらに問いかける相手にそのおかしな様子に首をかしげて。この男、初日の勇気を出した時以外、今まで純粋な椿しか見ていなかったためか、相手と『そういう』ことをするということが頭からすっぽ抜けているらしく、だからこそ相手の言う『遊ぶ』とは三味線や舞踊を見る芸子遊びのことを言っているのだろうかと勘違いしていて。今まで、三味線や扇に目を輝かせていた相手を見ていたため、できることなら相手の好きなようにさせたいと思い、これまで遠慮ばかりしていた相手を心配させないように、真っすぐ見つめながら「 あぁ、俺は椿と『思いっきり遊ぶ』ぞ。 」と真剣な眼差しで言い放っては会計へと歩を進めて。 )


  • No.262 by 椿  2023-10-19 23:16:05 



思い、きり……。

( こちらを射抜いてしまうような彼の黒瑪瑙と、それから世の中の乙女だったらメロメロと腰が砕けてしまうのではないかというような文句に椿はただただ蘇芳を丸くして言葉を繰り返すことしか出来ず。思いっきり遊ぶって何されちゃうのかしら、私はじめてなのに、何から準備したら、嗚呼でも優しくしてくださるかしら、なんて生娘の疑問と不安とどきどきは留まることを知らずに、会計へと先に歩いていってしまった彼を追えることなくたたただ乙女の柔肌を赤らめることしか出来ず。初めて彼の屋敷に来た日にありったけの勇気を振り絞って着た…もとい身につけたあの下着たち。もう出番が来ないだなんて思わなかったけれどまさかこんなに早く来るだなんて。……それとも直政様はあの衣装だけが良いのかしら。悶々と少女の頭を占める桃色たちはどんどんと話が進んでいき、椿はハッと我に帰ればまた彼の方へとぱたぱた追いついて「 直政様、私一生懸命つとめさせていただきますね、! 」と上手に会話の噛み合ってしまう勘違いを加速させていき。 )


  • No.263 by 大祝直政  2023-10-20 16:56:28 




( 二人の間に盛大なすれ違いが発生しており、頭の中がピンクに染まっていく相手をよそに己はというと会計の場へと来れば、ピアノと三味線を買った時と同じように、小切手の支払いにサインをして。扇も花魁衣装も、厳かな箱にしまわれているのを眺めている間に、椿がぱたぱたと寄ってきて意気込みを込めた言葉を聞けば、それほどまでに三味線と舞踊を見せたいのだなとまたも勘違いをして。そうまでしてくれる相手の気持ちを汲み取ろうと、こちらも相手の気の済むまで付き合おうと決意すれば「 うん、期待してる。今日は寝かせないからな。 」と、嫌になるまで相手の芸子遊びに付き合おうと、またも変に噛み合う会話で二人のすれ違いが加速していき。そうして店での買い物が済めば時刻はすっかり昼食時。相手の手を引いて店を出た瞬間、いつぞやの時の様に空腹を告げる椿の腹の虫がこちらに聞こえるまで鳴ると一拍置いたのちに「 ぷっ、…くくっ…。 」と顔を相手から逸らしながら必死に笑いをこらえれば「 そろそろ昼食にしようか。 」と、いまだ笑いの余韻をこらえながら相手の腹の虫の機嫌をとろうとして。 )



  • No.264 by 椿  2023-10-22 10:39:49 



もお!!!直政さま!!!

( いつかのように椿の腹の虫が空腹をきゅる、と知らせれば此方から顔を背けて笑いを噛み殺せていない彼の様子にぱっと顔を赤くしてぷんすこ怒り。否、そもそもの発端は自分なのだけれど。だがやはり食欲には勝つことが出来ないのか昼食にしようという彼のご機嫌取りにぴく、と反応しては「 …食べます、 」 と少女然とした鈴の転がる声で頷いて。所詮食欲というのは人間の三大欲求。どんなに人形のような顔をしてもそれらには抗えないので。 )


  • No.265 by 大祝直政  2023-10-22 20:23:06 




ごめんごめん。

( いくら無意識のことといえど、己の腹の虫の音を聞かれれば恥ずかしいらしく、その真白の頬を林檎のように真っ赤に染めながら怒って見せられると先ほどより多少は収まったものの未だ笑いの余韻が残った表情で気さくに謝り。相手からの了承も貰えたことで、椿の手を引いて着いたのは百貨店の上層階にあるレストラン街のフロア。中華、洋食、和食と様々な種類の店が並んだこのフロアもやはり高級志向の店ばかりで、その豪奢なフロアを前にして「 椿は食べたいものはあるか? 」と問いかけて。 )

( / 突然の相談なのですが、椿様の方からなにかこうしたいといった流れなどはありますか? )



  • No.266 by 椿  2023-10-29 22:04:45 



食べたいもの……。

( 空腹を告げてくるお腹とは裏腹に、自分の喉が何を欲しているかと言われたら特に浮かぶものもなく椿は首を捻る。今までの生活でここ数日のように色んなものを食べたりということが滅多に無かったせいかそもそも知っている料理のバリエーションが少ないのだ。椿はしばらく悩ましげに眉をきゅ、と下げた後に彼の方をそろりと見上げては「 直政様が好きなものが食べたいです。 」とふにゃりと幼い花の笑顔を浮かべて。……それにそもそも、高級なお料理は名前を見てもいまいちわからないので。舌の肥えた人が選ぶのなら間違えていないだろうと。 )


( / そうですね…!以前お話していた風邪のシチュエーションができたらかわいいなあとひっそり思っておりました…! )

  • No.267 by 大祝直政  2023-10-31 21:48:06 




俺の好きなもの…か…。

( 今日の己の舌からはこれといった希望は特にない。だからこそ、今日は椿の素直な直感に身を任せてみようとしたのだが、結局は選択権が己に回ってきてしまえばほんの少し眉根を下げて困ったような表情を浮かべて上記の様に悩み始めて。洋食はこの間、星ノ喫茶に連れて行ったためそれ以外の和食か中華か、と絞っていくと不意に香辛料の香りが鼻腔をくすぐり、その香りがするほうを見やった先には豪奢な店構えの中華料理店が。そういえば、椿はまだ中華料理は経験がないだろうと、新しい経験をさせるいい機会だと考えれば「 よし、中華にしよう。 」と、椿の手をきゅ、と力を込めて握り善は急げと言わんばかりに早速中華料理店に向かい。 )

( / そういえばそんな話をしていましたね!その流れでいきましょうか!昼食の場面が終わり次第、椿様の様子がおかしいーという流れにしますか? )


  • No.268 by 椿  2023-11-05 16:50:17 



ちゅう…か…。

( 彼の口から告げられた聞き馴染みのない料理にぱち!と蘇芳の瞳を丸くしてはたどたどしく彼の言葉をオウム返しし、そのまま彼の大きな手に小さな手を引かれてその目当ての店へと向かい。姐さんのお客様が確か食べたことがあるんだったかしら、私たちの国のお隣?近く?の国の料理だった気がする。だなんて不思議そうに首を傾げつつも、だがしかしその心はまだ出会ったことの無い料理と彼の勧めるものならば美味しいのだろうという期待と好奇心から踊っており、椿の頬は自然と緩んでしまい。─── 少しだけ、一瞬だけくらりとした頭は気の所為ということにして。 )



( /かしこまりました…!!
ではちょっとずつ異変を自覚させて表に出させて行きますね…!よろしくお願いします…!)

  • No.269 by 大祝直政  2023-11-23 20:51:26 




( 椿の手を引いてやってきたのはレストラン街の中でも規模の大きな中華料理店。艶やかなチャイナドレスに身を包んだ美しい女性が二人を案内し、店の中に入ればそこはまるで別世界と見まごうほどの豪奢な内装で。金色に煌く龍の彫像や、繊細な刺繍が施された壁面と、やりすぎではないかと言っていいほどの豪華絢爛な店の中を臆することなく進んでいけば、今回の二人の席に着き。チャイナドレスの美しい女性が、メニュー表を渡してからしずしずと下がっていけば、その艶やかな姿に一瞬目を奪われながらも一つ咳払いをして気を取り直してから。 )

どれにしようか、椿。



( / 大変遅れてしまい申し訳ありません…!本体がバタバタしていたり、流行り病にかかってしまったりしてなかなか返信することができませんでした。もし、まだいらっしゃるならぜひお相手をお願いします…! )


  • No.270 by 椿  2023-11-25 20:53:51 



─── … 。

( 連れてこられたのは豪奢な内装や煌びやかな女たちの揃う、なにだか花街のような料理店。スリットの深く入ったセクシーなチャイナ服(という単語は勿論椿は知らないので彼女にとっては不思議な形のお洋服)から垣間見れる瑞々しい生足がやけに扇情的な真っ赤な唇の美しい女の店員に目の前の主人が瞳を奪われたのをちゃっかりと目撃してしまった椿はむ、と唇を尖らせれば〝私もこの服を着ればいいのかしら〟なんて自分でも無意識に小さな嫉妬心の花を探しては彼の問い掛けをうっかり聞きこぼしてしまったのか「 はえ、……あ、……ええと。ごめんなさい直政さま。もう一度、 」と店内にいるチャイナ服の女たちとはまた違う男の庇護欲を掻き立てるような幼い顏をきゅと不安そうに変えて。 )


( /わ!今本当にみんな罹患されてますものね…!体調は如何でしょうか、どうか無理なさらずご自身の体調第一になさってください…! )

  • No.271 by 大祝直政  2023-11-27 22:44:55 




料理はどれにしようか。

( こういった店には慣れていないのか、委縮するかのように幼い顔を不安そうに浮かべる相手が問い返してくると、その小動物のようなか弱さに庇護欲を掻き立てられながらも、その不安を落ち着かせようと優しく上記を口にして。そうして相手がメニュー表とにらめっこをしている間も、料理の皿を持って店内を優雅に歩くチャイナ服の美しい女性たちの、その深いスリットから覗く眩しいおみ足が扇情的でちらちらと目を奪われて。ふと、思い出したのはあの時爆弾を身につけてきた椿の体。紐のガーターとニーハイソックスに飾られた、椿の健康的な太ももを思い出しながら、「 あの服、椿に似合いそうだな。 」なんて下心丸出しの言葉を思わず口にして。 )


( / 隊長の方はもう大丈夫です!ご心配をおかけしました。これから早く返信できますので! )


  • No.272 by 椿  2023-12-11 17:25:22 



お、お料理……えっと、……
、へ、ッ?

( 彼が料理を聞いていたのだと改めて教えてもらえればあわあわとメニューに目を落とすも、それらは難しそうな文字ばかりでいくら姐さんに字の読み書きを教えて貰っていたとはいえ椿が読むには少々難しいものたちばかりで。焼き……売る……?とメニューと睨めっこをしていればふと耳に届いた彼の言葉に素っ頓狂な声を上げながらぱっと顔を上げて。そうして彼の視線に釣られるように美しいチャイナ服に身を包んだ豊満な女性を見れば、〝やっぱりああいう服の女性がいいのね……!〟とまた椿の胸の奥に小さく美しい嫉妬の花が開いて。「 ……直政さまは、ああいう服の女性がお好きですか? 」はたしてくらくらと先程から回らない頭のせいか、それとも嫉妬の花のせいか。ふだんならば聞かないような言葉を思わずぷっくりとした唇から零してしまえばむ、と拗ねたような表情を隠すことなく小さな仔猫が親猫を取られた時のようにつん、と唇をとがらせて。 )


( /今度はこちらが大幅に遅れてしまいました…申し訳ありません…!!!
仕事が一段落いたしましたので、ほぼ毎日これからはお顔を出せるかと思います……! )

  • No.273 by 大祝直政  2024-01-05 21:29:20 




ん?あ、あぁ…確かにあそこにいる女性は雅で素敵だ。

( 店内のチャイナドレスを身にまとった女性を眺めるのもほどほどに、これから注文する料理を決めるためにもう一度メニュー表に視線を戻すと、目の前の相手のぷるりとした唇から小さな嫉妬の言葉が紡がれればその言葉に含まれている嫉妬にこの朴念仁は気付くことなく、チャイナドレスの女性をさりげなく褒めるような上記の言葉を発して。「 だけど、容姿や服で女性としての美しさが決まるわけじゃない。そしてその美しさは見る人によって変わるものだよ。 」と、どこか哲学的な言葉で諭しては、頼む料理があらかた決まったらしく。)

―――それで、頼む料理は決まったかい?


( / 返信が大変遅れてしまい、ほんっとうに誠に申し訳ありません。年末年始で少しバタバタしてしまっていました。これからは顔を出せますのでまだお相手してもらえたら幸いです…。 )


  • No.274 by 椿  2024-01-11 17:12:03 



……????

( 容姿や服で女性としての美しさが決まる訳では無い。その彼の言葉に椿はこてり、と首を傾げてはまんまるの蘇芳を何度か瞬きさせる。今まで自分が生きてきた世界の常識とは真逆の言葉に理解が追いつかなかったのであろう、遊郭では美醜が殆どだったのだ。美しい女はそれに伴っているように器量が良かったし、醜女は其れらを見ながら妬むような狭量の女が多かった。そう云えば、美とは余裕なのだと姐さんから聞いた気がする。椿はそれらをふと思い出しながらスッカリ思考の海に浸かっていたものの彼の言葉にぱっと意識を浮上させてはまたメニューに瞳を滑らせたあと「 あの、……ええと、直政さまの、オススメがいい、です。 」と矢張り異国の言葉も混じった見たこともないメニュー名たちではどんな料理か全く分からなかったのか恥ずかしそうにメニューで薄紅色に染った顔を隠すようにしてもじもじと答えて。 )


( /とんでもないです私も遅れてしまいましたし…!お互い気にしない方向で…!!!

こちらこそぜひまたよろしくお願いします! )


  • No.275 by 大祝直政  2024-01-18 23:18:50 




ふむ、俺のおすすめか…。

( 中華料理という初めてのジャンルに混乱してしまったらしく、決めあぐねたのかこちらに主導権を回してくると今度はこちらが悩み始めて。相手にとっては初めて食べる中華料理、どうせならいろいろなものを食べさせてあげたいとちょっとした親心のようなものが芽生え、メニュー表を見ながら吟味して。「 …よし、! 」とあらかた決まったらしく、一つ声を上げて店員を呼べば様々な料理を次々に頼んでいき。注文を終え、チャイナドレスの女性を見送れば何故か頬を薄紅色に染めらせる相手に気付き )

椿?顔が赤いぞ…?

( / お優しいお言葉ありがとうございます…!こちらこそよろしくお願いします! )

  • No.276 by 大祝直政  2024-03-10 20:22:26 


( / 久しぶりに上げてみますね。 )

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