ビギナーさん 2021-04-29 13:28:02 |
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>火黒、藍緋
……無駄だろ親父、どう見たって頭の悪そうな妖ばっかだ。ソイツ以外はな。
(父親と同じく手前のあれが大将だと気付いている黒咲は顔を反らして溜息をつく。本当のリーダーだけはどうやら賢く狡猾な奴らしい、ただ妖気を入念に隠してるのが気に食わないのかチッと舌打ち。母親を何気に落ち着かせたり明らかに下等な妖に嗤われてもきちんとリーダーである者の返事を待つ父親を少しだけ尊敬した黒咲、自身ならきっと問答無用で話を聞かずに皆殺しだからだ)
アンタ言うじゃん。……守られてばっかじゃなかったんだな。
(強気な態度で断る藍緋を見ればそう感想を話す、実際にこうして母親を拐いに来る妖達に遭遇したのは初めてなのだが毅然とした態度をしていた女性だというのを今知った。それもその筈父が常に母親を守っていたからだろう、まだ子供だった自分達がそれを見た事が無かったのは)
>火黒、黒咲さん
(顔に熱が溜まったまま情けない顔で気恥ずかしくなってきたけど、…そんな私に固まって何も言わない火黒。もしかして本当に…、本当に夫婦だったのか?だ、だとしたら物凄く私は嬉しいかもしれない…。理解が追い付かなくてふわふわする、けど天にも昇る気分ってこの気分?だって少し一緒に居ただけだけど…彼はとても大人で、けどおちゃめで…前向きな考え方も好きだ。私にだけ気弱そうに笑う仕草も…胸がきゅっとして支えたくなる、おどけた口調も何だか可愛くて、彼等にとっても凄く良い父親で…とても優しい彼に…きっと私は既に)
藍緋「え?う、うん…。けど…実際は私…守られてる、情けないよ。…わ、笑うな、火黒は…恐らくこの国で最強の妖だ、……後悔するぞ。」
(黒咲さんに「ちゃんと言うんだな」って言われて目を丸める、強気な所は確かに否めない…けど実際は何も出来ない、妖花に戻って反抗したり抵抗するのが関の山だから…黒咲さんにはそう自分を卑下してしまって。声を掛けてきたのは総大将じゃなかったらしい、凄くビックリした。じゃぁあの巨人は統率者じゃなくてフェイクなのか…。手前の妖怪がピクリと動いてたから間違いなさそう。大きな声で拒否は示したけどカタカタ怯えている私の背中に火黒の優しい手の温かさが触れてほっとし火黒の横顔を見上げる。…まただ、誰かのシルエットと重なる。きちんと返事を待つ火黒…どうやら妖達から人間に間違われているらしい、ケタケタと嘲笑う妖怪達の群れに私は冷静に言い放つ。息子さんの言う通りその他は話が通じなさそう…朧月の輪郭が現れだした薄闇の夜空、逢魔時の妖達の時間だ。リーダー格の奴が命令されて来たからそれは出来ないと言われ誰かに命令されて来た…のか、こんな大群を従えている組織の長が居るのか。誰か知らんが寄越さないなら強行すると言い放つリーダー格…けれど自分に気付いた事が引っ掛かるみたいだ。それもその筈…大人しくて穏やかそうな火黒の隠しきれない異様な力をこのリーダー格の妖怪は本能的にヤバいと感じてるんだろう…、命令とはいえ顔が少し真っ青に血の気が引いてる…。こんな奴が側にいるなんてデータは無かったぞって周囲の参謀みたいな妖に火黒のヤバさに気付いたリーダー格の妖が焦ってる。あぁ、気付くなんてちゃんと実力者なんだな…)
>藍緋、黒咲
情けなくなんか無いよ。藍緋、…互いに鍛えた分野が違うだけ。
俺は科学の知識もなけりゃ藍緋みたいに努力家でも聡明でもないし…、研究で何かを世の中に造り出せるなんて出来ないから。
戦闘にはそれが得意な戦闘型で、ってね…。実験の助手すらヘタクソだった俺にもこういう時だけは役立たせてやってよ。
(黒咲に己を卑下する藍緋の言葉を拾ってかそう穏やかな調子で笑って返し。彼女が秀才とはいえ日々情報収集して試行錯誤の末の努力を知っていたからか"得意な分野"とは表現せず"鍛えた分野"だと表して。壊す事しか能の無かった己とは違う相手を心から尊敬していたからかそう讃えるように。藍緋の背中の震えが治まったのを見てから片手を外して立ち上がると少し歩き出し、月明かりが照らし出した辺りに夜風が吹き抜けると人皮をスルスルと包帯のように解除していきながら黒咲に全身包帯姿の顔を向けて)
黒咲(クロエ)ー、ちょっと数多いから藍緋の護衛頼むよー?
(炎を象った背紋の黒い着流し姿で懐に片手を落ち着かせながら包帯の隙間から同じ金色の目を向けて『…会えたのは久々だし、その様子から見るとちょっと藍緋の事も認めてきたでしょ。』と息子を少し揶揄って。彼女に用心棒が付いているとの未情報に焦っている妖に顔を上げて)
えっと、あのさー。その人達も知らなくて当たり前だから仕方無いと思うよー?…多分、情報が200年以上は止まったままだと思うし。
俺も藍緋を狙いに来る輩で取り逃した奴なんて一人も居なかったから。
(それ自体何処かへ伝わるのは無理だったろうなと端から見れば不気味な事実を返し。空中に居る彼等の真下に佇んで)
>火黒、黒咲さん
藍緋「……ッ、か、火黒。……、」
(う、嬉しい…。何でそんなに優しい…いや、心が聖職者レベルのイケメンなんだ…あ、妖だった。私が微妙に落ち込んでる事をちゃんと拾ってしかも自分の弱みを見せつつ火黒本人を落としてからの私を褒める…こ、高等話術だ。すっかり私は火黒の励まし方や考え方にきゅっと心が縮んで惚れてしまう。か、火黒ってモテるだろうなぁ…良い旦那さんだ。あ、わ、私さっき自分が元奥さんだって黒咲さんから聞いたけど…、生まれ変わった私って今は普通に戸籍上他人なんだ?きゅ、急に焦ってきた…こんなに優しい男の人なんてすぐ盗られちゃうよ…。おまけに…死ぬほど強い妖だ。彼に支えられた安心感が出て来て背中の震えが収まったから彼が立ち上がると降り注ぐ月光が火黒の姿を照らす。ふわりとした夜風にスルスルと包帯のように人間の姿が解かれていく光景はとても妖しい、この百鬼夜行の中でも目立つ…、息を飲んで時間が止まった気がした…、あの炎のエンブレムと黒い着物姿、そして全身が包帯で巻かれてる。振り返ったその包帯の隙間から覗いた金色の大きな目と楽しそうに笑う口にドクンッと大きく心臓が跳ねた)
藍緋「あ、……ぁ、……」
(あれは……火黒の本来の姿、そうだ、私はそもそもこの姿で知っているんだ…、ずっと記憶のなかで探してた。どんどん場面が浮かび上がる…あれは私が死んだ後?……良守くんと話して烏森の地の山に植えてくれて……ずっと雨の日も嵐の日も様子を見に来てくれていた妖の火黒の姿。あの黒い着流しの背中だ。私が枯れてないか心配して見に来てくれてたんだ…、芽が出て育って…やがて花を咲かせて、だいたいは火黒が一人の時に花の私に何かを話し掛けてくれてたり、子供達の成長の報告をしに来てくれていたんだな…、私…ちゃんと聞いていたよ。子供達とも一緒に会いに来てくれてた。……涙がぶわりと出てきた、何て事だ……何て長い年月を。私、この人に愛されてたんだ。ずっと見守ってくれていたのに、またこの世に現れた私の事を思って…本当の事を言えずにいて…、愛していた相手の事を思って黙って見守る事は…どれ程ツラい事なんだろう)
藍緋「……火黒ッ、~~…火黒、……ごめんね?……ごめん、…ぅ"ッ、ずっと、……黙って側にいてくれたんだな…。」
(ボロボロと涙が溢れて口元を両手で押さえる壮絶すぎる記憶が私へ一気に流れ込んでごめんねと呟く、彼への愛しさやこれだけ静かに…愛されていた事実…、不器用な愛しい彼。嬉しさや悲しさの感情が混ざり合って震えが止まらない)
>火黒、藍緋
…認めてねぇ、ただ記憶にちょいちょい顔が出てくるんだよ。このオン、…コイツのな。
おい火黒、……ゾッとさせる事実でソイツらの空気凍らすなよ。お陰でこっちもゾッとしたわ。
(取り逃した奴は一匹も居ないと言い放つ火黒に妖の大群が一瞬で凍るのを見遣る。黒咲はこういう火黒を見ると見境の無いただの戦闘狂では無いのが分かるが戦闘慣れした底知れない完璧さと頭の回転力は恐怖の対象でもある。うっすら感じる狂気の部分は自分の父親だと思うのであった。別に認めてないと悪態をついていたが父親の妖の姿を見た母親の様子に此方も目を見張る、何かを思い出したみたいだ)
お、おい、どうした、っな、何で泣いてんだよ急に…どっかイテェのか?
(泣いて震え出す母親に流石の黒咲も驚いて火黒と同じ大きさの爪と一体型の黒い手の両手を上げて狼狽え始めてしまう)
『焔(ほむら)』
>火黒くん、ママ、黒咲
うわ凄いね、一守くーん!さんきゅ♪…あははっ、綺麗に結界直ったね?さっすが私の旦那様♪…あれっ、黒咲(クロエ)じゃん…。何キョドッてるの…?
あっ!火黒くーんっ!一守くんと一緒にママを助けに来たよー!
(宙に浮いてる妖をどんどん無数に異空間から出現する懐剣で急所狙い消し炭の灰にする、火黒と同じく身体から刀を生成し炎を司る。異空間からの操作は焔の能力だ。長いサラサラした黒髪は同じで金色の目と悪戯好きそうな大きな口、赤と黒の金蘭豪華な柄の振り袖を改良した動きやすい和装でコンッと高下駄で高い木々の先端に片足で乗る、頭上の青い結界は役目を終えて解除され新しい真っ白な術式が張られるとわーいと拍手しながら墨村本家の家系の術師である自身の旦那様に感謝し、下を見るとママと黒咲を見つけてキョトンとする。気になったけど父親に手を振ってどんどん妖を端から業火の懐剣を降らせ炭化していって)
『宵(よい)』
>お父さん、お母さん、黒咲
黒咲っ、お、お母さん…!記憶が…っ、戻ったの?…良かった…、っ、良かったね…。お父さん、お母さんがっ、……お母さんが戻ってきたよ…。
(戸惑ってる双子の兄と母に駆け寄る宵、どうやら記憶を思い出して震えている姿に抱き着いてぎゅうっと抱き締める、お父さんの事を思うと良かったと何回も呟いて母親と一緒に涙する)
黒咲(クロエ)っ、お母さんは私が見るから…お願い…!お父さんを手伝って…?
(母親譲りの幻影と幻覚を見せる宵は母親を守るために攻防すると双子の兄に話し、蔦でバリケードを張ると黒咲に父親を手伝ってやってくれとお願いする。近付いてきた妖怪が味方同士で互いを攻撃して斬り合っている、藍緋の幻覚を見せる大術は広範囲に渡って効力がありそれが宵に受け継がれていて)
『紺夜(こうや)』
>父さん、母さん、黒咲
………ねぇ、雑魚妖怪……。僕の父さんと母さんに何してるの?
(無数の大小様々な蔦が彼等を捕縛し潰してしまうか刺し殺す、その蔦のスピードも素早い。静かにじとりと父親と母親を狙う彼等妖怪達を見つめる目はとても暗く紺色の禍々しいオーラを醸し出している。両親が大好きな紺夜は二人を傷付けようとする存在や妖を決して許さないヤンデレ気質のようだ。どんどんと悲鳴を上げて逃げる妖達を逃す筈もないのか片っ端から無慈悲に蔦で絞め殺すか叩きつけるかで消滅させていき)
>火黒、藍緋、宵
アンタ…記憶が戻ったのか…?
(突然泣き出した母親の呟かれた声に全てを理解し、解除された特殊な結界の次世代交代に居合わせた黒咲は満月の夜空を見上げる、焔、紺夜が片っ端から滅していく中で此方も双子の宵が現れる)
……何で俺が、関係無……ッタクよ。
(言われて溜息する黒咲、父親の手伝いなど断ろうとするがチラッと母親と父親を見れば舌打ちして姿を消し、火黒の隣に現れ)
おいクソ親父……、あのオン、アイツ記憶…戻ったみたいだぞ……全部かは分からねぇけどな、
……アンタ何で自分が元旦那だったって言わなかったんだ…まさか今の人生歩んでるアイツに遠慮してんの?……だったら傑作…、お人好し過ぎ、んなまどろっこしい事考えただけで吐きそうだわ…。
(母親が死んでから200年もずっと母親の化身である花を見に行っていた火黒を思い出す、姉弟達とは少し色が違う一面に咲き誇る藍色の美しい花だ。コイツは昔俺のように誰も本当に心からなんて受け入れない人生、ずっと一人でいたらしい。母親が死んでから他の姉弟達が会いにはいっていた、周囲の心配もあったり声は掛けられていたらしいけど恐らくこれからも独り身でいようとしていたぐらいにも見えていた。なのに何故またこの世に現れたあの妖花の女に真実を伏せるのか自身には理解出来なかった、長い年月自分が唯一愛した者と奇跡的に会えたのなら言えばいいのに馬鹿じゃないか、マスクの下で溜息が漏れる)
>火黒、焔、紺夜、宵、黒咲
藍緋「…宵ッ、!、大きくなったねッ…?…私が最期に見たのはまだ宵も黒咲も小さかった…、ッ、こんなに皆…立派に育って、……火黒、ありがとう…、」
(まだあの時小さかった娘を私も涙を流して震えながら抱き締める、まだあんなに小さかった水色髪の優しい花の女の子はもう立派な女性の妖となっていた、ずっとずっと火黒と残していく子供達の事が心残りだった…。けどまたこの世に戻ることが叶ったんだ、200年もの時を経て…やっと。娘と息子の闘いっぷりは…はっきり言って火黒の遺伝もあらからかなり壮観だ、ちょっとその敵側の手も足も出ない無双っぷりが凄すぎて開いた口が塞がらない。黒咲に話し掛ける宵からハッと火黒の方を見る、遠いけど…妖の火黒の目と合った気がした。ありがとうって…感謝しきれない言葉と彼の静かな愛しさが胸中を駆け巡る。涙目のまま妖怪の群れと対面する火黒に不安と心配で見つめてしまう)
>藍緋、黒咲
…藍緋?
(呼ばれた気がして振り返ると遠くで相手が泣いているのが見え。疑問げに一瞬止まりながら憂慮し掛かる際、真上の空一帯に新たな結界が張られ。焔の声に反応すると200年の間に実戦と訓練で成長した息子と娘達が加勢していて。再び視線を戻すと宵の蔦と彼女の母親と同じダリアのような万重咲きの花で覆われた隙間から涙で濡れた黒い瞳と目が合って沈黙し、隣に現れた黒咲から様子を聞かされて驚いた顔を向け)
記憶が?…そうか、
そういう事、それは今の藍緋が決める事で…本人が幸せなら俺はそれで充分なんだよ。
(理解出来ないといった黒咲のマスクの下から溜め息が聴こえると此方も小さく笑んで、相変わらず肩の力が抜けたような穏やかな物言いではあるものの、生まれ変わった彼女自身がどうするかは尊重するつもりでいる旨を彼に伝えて。『そういう愛情の形もあるんだよ。黒咲。なんて。けど泣いてる顔を見ちゃうとどうも…抱き締めたくなるよね。…そう思うと俺の覚悟はほんと足りないかも。』と、実際に泣いている姿を目にしてしまうとどうしても不安を取り除いてやりたくなる思いを溢しながら黒咲から顔を逸らし"さっさと済ませようか。"といった仕草で大群を見上げ)
>焔、紺夜、宵、(一守君)
見事な結界だな…良守くんと同じ。一守くんありがとうー?さすが正当継承者29代目。
(頭上を見上げながら先代の彼を彷彿させるような勢力の術に感嘆を溢し。片手を上げる娘婿と同じく此方も片手を上げて感謝を示しながら)
焔ー、多勢への戦法は教えた通り、一人一人確実にー?両側の遊軍。十時の方向、逃走兵は異空間へ逃さない事ー。
紺夜ー、隊の分断上手じゃない。一気に動揺させて凄いよー?両翼は焔、下の森に散った奥の逃走者は紺夜、俺は狭いところが苦手だから頼めるー?宵は手前でそのまま藍緋の護衛をお願いねー。
(普段は大人しい紺夜の怒りを落ち着かせる意味も含めてか、機先を制した彼を褒めながら森の範囲は紺夜と藍緋の護衛は宵に任せて声を張り。敵陣が気勢を挫かれて乱れ始めたのか、立て直しを謀る筈のリーダー格の妖が怒号のみで指示を出さない様子を見上げながら此方は全体を俯瞰して彼等に具体的な指示を示して)
>黒咲
(母親を女と呼ばすにきちんと言い直す黒咲には少し肩を揺らして無音に笑い、笑んだまま彼の様子を少し心配しながら首を傾げ)
もう頭痛は平気?…俺らは中央全般のとあのデカいのをいこうか、黒咲(クロエ)。手伝ってくれるなんて優しいじゃない、
(中心のリーダーを守ろうと配置しているからか中央へ遊軍が偏り始め、いこうかと黒咲に呟きながら後方の巨大な鬼が此方目掛けて金砕棒を落とし込み。跳ね上がる土と割れた地盤のなか地響きと共に姿を消して『行くよー?せーのっ。』と片側から中央へと音も無く鉄の刃で斬られるスピードに痛覚が追い付かない妖の群れが一瞬で次々に燃えて落ち、せーのと掛け声と共に反対側から来た黒咲とタイミングを合わせてか巨大な鬼の頭から真っ二つに裂いて)
>火黒、焔、紺夜、宵、黒咲
藍緋「す、凄い…、たった5人で…こんな何百もの軍勢を、」
(的確な指示を出す火黒、優しくて落ち着いた声とその黒い着流しの背中につい以前のように見惚れてしまう私。子供達は小さい頃から自分達の身を守れるようにって訓練めいた遊びをずっと小さい頃からしてあげていた彼はやはり軍才なんだと思う。私の事を守る用心棒はどうやらこの200年で増えたようだ…、火黒一人でも頼もしいのに何と言う事か…、もしかしたらこの一家で日本は余裕で制圧してしまうかも。普段ああやって穏やかで可愛くて優しい家族達だけど、や、やっぱりこう見ると戦闘型の火黒との子だなぁと思う。宵の蔦は凄くしなやかで綺麗な薄い水色の花だ…、私と同じく花の妖らしく幻覚を見せるのが得意で周囲の妖怪は勝手に自滅していく。頭上には取り逃しをしない素早い飛び道具と異空間操作が得意な焔、森の奥へ逃げた妖怪は狭い場所も難なく蔦が入り込んで逃亡を許さない紺夜の蔦が逃げ遅れた彼等を襲う、黒い着物を着た火黒と黒い軍人のような服を着ている黒咲の二人の背中を見ると本当に背が二人とも高くて背格好が同じ、双子みたいだ。…あんなに小さかった黒咲の成長についジーンとする。そ、そんな場合ではないんだけど。地震が起きるような鬼の巨大な金棒を避けた二人が忽然と姿が居なくなっていて、火黒と黒咲が中央に向かって妖怪が刻まれて落ちていく。本当に一瞬で彼等の命が燃え尽きるのを目の当たりにする、山のように巨大で硬そうな鬼の頭が爪先まで美しく真っ直ぐ斬れる、左右からの火黒と黒咲の綺麗なシンクロを見た。黒咲さんは何だかんだ憎まれ口を叩いてるけど流石息ピッタリといったところは親子だ)
『焔(ほむら)』
>火黒くん、ママ
ハイハーイ、わぁっ!ホントだ!よっとっ!ひゃーっ遠いのによく見えてるなーっ流石火黒くんは私の師匠っ…!オーケーっ両端は私達に任せてよ~!
(異空間に逃げる妖にはやっほ?って焔がバァと驚かせる、異空間移動は焔が得意とするからだ。空中で両端に散っていく妖怪を次々に消し炭と旦那様の一守が結界で滅していき)
『紺夜(こうや)』
>父さん、母さん
……ぇ、……う、うん。……嬉しい。……うん、分かった。焔、下に逃げたのは僕がやるから上集中して……。
(父親の火黒に褒められて嬉しそうな紺夜は照れているのか少し微笑む、大好きな父親の言葉に先ほどの怒り狂ったオーラはすぐさま落ち着きを取り戻して。指揮を取る父の先見の明は僕達より遥かに戦場慣れしているから言われた通り森の奥へ逃げた妖怪は一匹足りとも逃さず蔦で追う。自分が得意とする事を認めて伸ばしてくれる父は優しい親であり教師のような存在だ)
『宵(よい)』
>お父さん、お母さん
ふふっ、ぐすっ、…うん、お母さん…、ずっと会いたかったよ……。
(大きくなったと抱き締めてくれる母親と抱き合いながら宵も涙が溢れる。まだあの時は小さくて甘えたい年頃だったからだ。紺夜兄さんと私はそれから余計に父親の火黒にベッタリとしてしまってたから二人でお父さんをよく困らせたっけ?どっちが先にお父さんと観たい映画を観に行くとか、お父さんの隣を争奪戦。だってどっちかが席を立てば取り合いだったから結局両サイドでいつも父親の隣に座ってた私達。結局映画もその日に皆で2本観たんだっけ。思い出してくれたお母さんにどこまで甘えていいのかは分からないけど、色んな話をしたいし聞いて欲しい事はたくさんだ。これからは少しでも父の負担になったりしないようにしなきゃと思いを新たにする宵だった)
うん…!分かった…!黒咲っ、頼んだからね…?
(父の声にしっかり頷くと幻覚を誘う光と霧で辺りを包み込む、面倒くさがっても父の元へ行ってくれる黒咲を見ながらお願いして)
>火黒、藍緋
……ふーん、
……アイツお前と居て慌てたり顔真っ赤にしたり笑ってたじゃん……、…それって今のアイツの幸せなんじゃねぇの、……知らねぇけど。
(自身には到底理解できないが、そんな愛情の形もあると言われ黙る、考えてみてからあの女の行動を見たままの事を自身は伝えてみる。明らかに両思いであるのに、何と言うか焦れったくもどかしい感じがするからだ)
……あ?誤解すんな、コイツは貸しだからな。後で一つ言う事聞けよ、火黒。
(父親の隣で相変わらず腕を組みをして悪態をつく黒咲、指示通りにするのは釈然としない、けれど戦況を見れば明らかに父親の指示通り動いた姉弟のお陰で妖の流れが中央に寄っている為舌打ちし、これは貸しだと睨んで。父親と同じく二刀流のように手のひらから黒い蔦を硬化させて刃の形状にし同じタイミングで消える)
命令すんな!クソ親、父っ…!
(奇しくも父親の掛け声が此方の踏み込むタイミングと重なり、反対側の妖を父親と同じく孟スピードで刻んで来ては命令するなと怒鳴る、同時に巨大な鬼の額から真下まで斬りつけ。崩れ落ちる巨体、余震のように続く地鳴りと周囲の妖怪はもう総大将しか残ってなく、逃げようとするそいつの首にピタリと黒い刃を向け)
あとはアンタだけか、……俺に聞くなよ、司令塔はアッチだ。……チッ、おい火黒、……どーすんだこの腰抜け大将…、生かしてコイツの上司にメッセンジャー役でもさせんのか。……うぜー、もう勝負は決まってんのによ…何が大将だ、みっともねぇ、
(命乞いされると本来なら聞かずに殺すが自分には関係ない闘いで自身じゃなくコイツに聞けと父親の方を顎で示し、進んでこの事を上に伝えてもう藍緋を拐わないと約束すると言われればうんざり気味に少し視線を反らし、そうたところでしめたと思った大将が中国刀のような刃物で黒咲を狙い、黒咲の金色の目の直線上に刃先が向かう)
>藍緋、黒咲、(焔、紺夜、宵)
(焔達の様子を確認すると刀身を掌にしまい、伝達役に関しては此方も少し黙って話を聞いていたものの一瞬の隙を突くように刃先が黒咲に向けられ。パッと片手を出して軌道を外すように中国刀が此方の掌を貫き。固まっている妖の目をじっと包帯の隙間から見つめながら刺さったままの手で刀を圧し戻すと黒咲から刃を下げさせ)
いいよ…、メッセンジャーになりたいなら。本当は皆の能力を見られたし帰してあげられない所だけどね。
(先程見た此方の情報を保持している事で彼がお咎め無しになるのかまでは分からないが、此方は別に構わないと話して。呆気に取られている妖へと少し悠然と笑んだまま)
俺ってね…、本当は強くないんだ。
小心者で臆病者、"本当は寂しいんだろう"って…人間の子に指摘されてね。…俺は孤独に強いと信じ込んでたのに、心の奥で感じてた矛盾を突かれた気分だった。
そんな俺にも守りたいものがたくさん出来たんだ。…今後俺の大切なものに少しでも手を出してみなよ。全員地獄の果てまで追い掛けるよ。
(術師の彼から言われた事を懐かしむように話しながら己は孤独に弱い者なのだと明かして。一緒に居てくれる者や大切にしたい者達を失う事が今の自分にとっては最も恐れている事だと。万が一それを脅かそうものなら誰であろうと一切容赦はしないと静かに告げて)
>火黒
……!?
(敵からの刃を遮る父親の手が見える、此方を庇って素手で止めた火黒の手の甲から突き抜ける刃に目をビックリさせたまま黒咲も固まってしまう。自分は弱いと告白する父親をジッと見て聞き入ってしまう、心の弱さをどうやら人間に指摘されたようだ。けれど火黒はそれを受け入れてる、自分の心が弱いと認めるのにはどれだけの勇気が要るのだろうか、こんなに強い男でも。そのまま刀を押し返されて完全に竦み上がってしまってる敵方の大将は穏やかな父親の口調と何とも言えない不気味な気迫に挫かれて刀を手放して恐れを成して逃げていく。自分の力量不足で任された一軍を壊滅させた奴に帰る場所があるのかは謎だ、すぐさま火黒を見る)
……お、おいっ、火黒…!オマエ手っ…、…馬鹿かっ、俺は放っておきゃいいんだ…!傷なんてすぐ治るっ
(自分を庇って刃が刺さったままの片手を見て思わずに火黒に馬鹿かと戸惑って怒鳴ってしまう黒咲、彼の出血が手首を伝って片腕の包帯を濡らしてる、自分はすぐ治癒するから攻撃されても放っておけばいいのにと)
>黒咲
っとと、そうだけど…黒咲(クロエ)も刺されれば痛いでしょ?
(逃げていく妖の姿を見送りながら手を下げ、突き刺さった刃を掌から抜きながら此方の事を心配してか戸惑っている黒咲に顔を向けると己の片手を握りしめて止血し、抜いた中国刀を炎に包んで。いつもより感情をぶつける相手に吃驚したのか火を起こしている片手を黒咲から避けつつ"治るけど痛みは感じるでしょ"と、此方は優しく笑い掛け。彼から痛みを回避させるのが目的であった為かこれで構わないのだと話しながら銅製の刀なのか酸化して青い炎に変わるとバラバラと粉のように片手から土に還して視線を下方へと落とし)
手伝ってくれて…じゃないか、巻き込んだならごめんね。藍緋を守ってくれてありがとう。助かったよ。…それにそうやって黒咲はちゃんと他人の痛みが分かる子に育ってる、それが感じられるだけで俺は嬉しいよ。
>火黒
……っ、馬鹿じゃねぇの…。……痛みなんざ知ってるところで別に、……っクソ、おい、手ェ貸せよ…、
(人を殺す為の武器を青い炎に包んで土に還す火黒を見たまま父親の言葉に戸惑う黒咲、父親はいつからか誰かを守る為の強さに変わったのかもしれないと思う。単に誰かを斬る為や強い奴と闘う為ではなく。優しい笑みに目を止める、此方の事をいつまでも気に掛けるそれに素直でない黒咲は苛々してしまい止血している片手を貸せとぶっきらぼうに言い放つ、白い布傷テープをぐるぐる巻いてやり、巻く前に痛々しい傷が掌にまだ残るのを見る、すぐにキズが塞がる自分とは違う。普段はこんな傷を負うことなど皆無な程に父親は強い癖に自分を庇って出来た傷に何と無く遣りきれなく腹が立ちながら最後はきつめに縛ってポイッと放り、自分の腕を組んで応急処置をした理由を適当に言いそっぽを向く)
オマエがケガしてるとアイツらが心配するか誰か泣くだろ、…うぜぇから。
>黒咲
はは、何で。大事な事だよ。
(他人の痛みに鈍い事、自分の痛みにも気付けない事は決して強さではないのだと。それが自然と分かってくれている事が親としては嬉しいと明るく話しながら片手を出せと言われて目を瞬き、言われた通り負傷した手を彼へ出すとぐるぐると巻かれて手当てされ。グッと締める最後の圧に"…イッテ!"と肩を跳ねながら今更痛がり)
確かに焔は泣くかも、…黒咲は優しいね?巻いてくれてありがとう。
(片手をふらふら振りながら"おぉ~…"とピタリと傷口を塞ぐ便利なものに感心して、皆が此方の怪我に慌てて心配してしまうだろうと受け取ったのか、彼なりの優しさに此方は笑顔で感謝し)
>火黒、黒咲、(焔、紺夜、宵)
藍緋「……火黒!!」
(宵と一緒に火黒と黒咲の所へ走って近付く、火黒は笑ってて黒咲は腕組みしてる、二人が無事なのを見て安心すると火黒を呼んで勢いよくぶつかるように胸元からぎゅっと彼を抱き締める。背の大きい火黒の胸元に顔を埋めていつもの着物の匂いや彼の体温に泣き出してしまった。彼の体格やいつも甘えさせてくれた体温、私の好きな香りが懐かしい…、とても気の遠くなるような長い年月を彼は見守っていてくれていた。その事実にも声を圧し殺すように泣いてしまって、謝りたいし感謝したいのに喉が引きつって声が出ない)
>藍緋、(焔、紺夜、宵、黒咲)
藍緋、
(此方へ走ってくる音に気付いて止血して貰った片手を着物の懐へ入れ、名前を呼ばれると変わらない笑顔で此方も反応しながら勢い良く飛び込んでくる藍緋に笑って片腕で抱き留め、腕のなかでふわりと舞い上がる花の芳香が相手から溢れるのを感じ。胸元で相手の涙と言葉にならない声を聞いて此方も青い髪色の頭へと顔を置くと目を閉じ、様々な感情が入り乱れている彼女の気持ちを言葉が無くとも理解しながらぽんぽんと後頭を撫で『おかえり。…大変だったな?』と、200年もの長い年月を掛けて現世へと再び生まれ変わってくれた事、時間を遡って記憶の旅をした彼女にはきっと気疲れが激しかっただろうとの思いから労いの言葉を掛けて)
>火黒
藍緋「…ッ、……ただいま。ッ火黒…、」
(頭をぽんぽんと宥められる、私の声にならなかった言葉を何も言わずに分かってくれる。そんな優しい手付きと声にどんどん涙が溢れてくる、だって大変だったのは明らかに火黒の方だ、なのに私の事を一番に気遣ってくれるのがいつもの彼だった。それだけでもう涙は止まらない、火黒の着物の襟をぎゅっと握り彼の胸元に涙が滲むけど構わず泣いてしまった。おかえり、って言われた事がただただ嬉しくて、なけなしの絞り出した声でただいまを彼に返す)
藍緋「ッた、大変だったのはお前じゃないか…。子供達もこんなに強くて……立派に育って…、それにとても優しい、素直で良い子達だ、……っ、火黒、…かぐろ、ひ、……一人にしてごめんね、っ?…ごめん、」
(しゃくりあげるから途切れ途切れな声が震えて謝ってしまう、結局私は火黒と子供達を残して死んでしまった事をずっと後悔していた。けど植物の花の私に会いに来てくれていた火黒はそんな大変さとか弱音を一切口にしていなかったのを思い出す。思い出されるのは…子供達の成長を報告しにきてくれたり、焔が結婚すると決まった時にも…火黒はちょっとしんみりしてたのも。そして私が咲いてる場所まで花嫁姿の焔とご主人さん、火黒達の皆で報告に見せに来てくれてた事も。私は嬉しかった。ちゃんと見ていたよ。本当はありがとうと言いたいのに、やっぱり謝ってしまう)
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