( fairy tale )〆 

 ( fairy tale )〆 

匿名さん  2022-08-21 15:03:38 
通報


 お相手様決定済み。

 

コメントを投稿する

  • No.141 by リヴィオ  2023-12-12 19:50:25 




……あぁ、今日はお前も来るんだ。長くここで暮らすとなれば、そろそろ必要な物の一つや二つ出てきた頃合いだろ。
(当初は正気のない人形さながらだった無機質な応答に、最近はささやかな色付きが密かに増えてきたような気もする。差し当たり杖の譲渡を済ませ、此方の言葉不足による相手の勘違いを正しつつ緩慢な所作で腰を上げて。そのまま衣類の所有数の少なさから魔石や素材類が九割方を占拠している棚へ向かいかけた折、眠気に霞む視界で遠近感覚を誤った末に鈍い衝突音が自身の側頭部と脇の飾り棚の間で響いて。……いや、流石に朝が弱い性質といえど平素はここまでの醜態を晒す程ではない。かと言って、待望の品が見付かったとの報せを聞き興奮の余り碌に眠れず、その手隙の時間で相手の杖を一気に完成まで仕上げたなどというまるで聖夜祭前の稚気に類するような浮かれ様を自ら彼に披瀝する訳にもいかず。痛打により多少は脳の覚醒が促されたらしく、無言で強かに打ち付けた箇所を手で抑え、何事もなかったかのように顔のみを振り向かせた己が双眸には羞恥を誤魔化す為の有無を言わさぬ迫力のみが宿り)
例の魔鏡の所有者がようやく見付かったらしい。そのついでにお前の所用も済まっ、……、……朝食を取ったら、街へ下りるぞ。


------------------------------------------


(顔を洗い、身支度を整え、朝食を取った頃には幾ら睡眠不足といえど完全に意識を覚醒させた平素通りの憮然とした顔付きを取り戻し。しかしながら自身の出で立ちは日頃の如何にも魔術師然とした怪しげなそれとは異なり、髪型は常よりも上部の位置で一つに纏めたハーフアップ、服装は細やかなレースの施されたシャツを紺のリボンタイによりシックに締め、更に上衣としてさり気ない金の刺繍が随所にあしらわれたシルクのソフトジャケットと、過去の貴族時代に帰ったが如き風貌と評するには些か華美さに欠けるものの、少なくとも高位の者の前へ出るに辺り差し障りはないだろう格好で。より詳細な魔鏡の持ち主の情報は正式な対価と共に対面で、と相も変わらず抜け目のない情報屋の前情報によれば相手はどうやら高官であるらしく、下手な装いを前にして侮られる程度ならともかく反感でも買って門前払いでは堪らないとの思慮であり。自身の傍らへ伴う事となる相手の身なりについては街での現地調達か、あるいは外で待機させる心積りであるため特に言及はしておらず。何時ものローブを一旦外套として羽織り、奥まった転移用の扉の仕掛けへ手を掛けようとした所で、ふと背後に追随しているだろう少年を振り返って。未だかつて相手にその先を覗かせたことの無い木製の扉には、上部へ奇怪な紋様と共に半円を象る金属製の支柱に連なった幾つかの八方形の立体的な星型、そのチェーンの先で小さな複数の魔石が微かに揺れる珍しい形状のドア飾りが掛けられているのが彼の位置からも認められるだろうか)
……そういえば、お前の前でこの扉を使ってみせるのは初めてか。


(/返信が遅くなりすみません……!いつもながら寛容なお言葉をありがとうございます!こちらも回想中の提供につきましては、どうぞ背後様のご随意に動かしていただければ幸いです。
本当に完全に一致していて思わず笑ってしまいました……。入れられたら入れよう程度の構想でしたが、そちらから提案していただけるなどと正に渡りに船、ミシェル様にも何とか一緒に領主との交渉の場についていただき、是非とも交換の交渉を発生させましょう!
実演販売の珍妙な品に見入ってしまうミシェル様のあまりの可愛らしさに心打たれました……。とりあえず思い付いた物を並べただけの案出しで恐縮ですが、画材等の方も捨て難く、本編の流れの中で入れられそうな物はある程度詰め詰めでやってみましょうか……!また、家具に関しましても承知いたしました!では長期滞在が決定した翌日には専用のお部屋と家具類一式をご用意させていただいているという体で以降はロルを回させていただきます。既に購入済みの家具類を見掛けた描写についても、入れられそうな場面があれば機を見て挿入させてくださいませ!
そうですね、幻惑に関しましては本当にふわふわですが、一応は後者の想定でおりました。例えば風景などは完全に通常のそれでありながらも、ここに居る筈のない人間に手招きをされた、過去にトラウマのある場面の唐突な再現(先に描写のありました孤児院の仲間が鎖に繋がられて行く様子など)、因縁のある相手や悪鬼に追い立てられる……などなど、直接的には指輪の効能により少々害しにくいので、とにかく敵側としては心の脆弱面を突き、誘導した後に心身共に自らの巣穴へ引き込んでパクリという魂胆……というのが一案です。とはいえほとんど今思い付いた程度のふわふわテンプレ案である為、何か美味しい別案等ございましたらそちらでまっったく構いません!指輪の効能につきましても都合良く解釈していただけましたら幸いです。また、提供がミシェル様から目を離さないと迷い子イベントが発生し得ないのと、領主からの帰り道では少々出鼻をくじかれ過ぎかな?とも思うので、恐らく情報屋から詳細な話を聞こうとする折に少し離れてミシェル様に暇を潰させようとしたか、何かしらのトラブル等で離れてしまった隙を見計らい発生する事になるのかなと今の所は思っております。※大分冗長に返してしまいました……蹴り&割愛推奨)


 

  • No.142 by ミシェル  2023-12-19 14:20:00 




(主人の魔鏡に対する執心振りは、この住居で初めて迎えた朝の取り乱し方や欠かさず送り出された紙鳥達の存在から推して知るべしだろう。探し求めたその所在が判明したというのに不自然な程平静な背姿に一度は小さく首を傾げるものの、真にそうであるなら聞こえるはずのない音が目先で響くと先の振る舞いはポーズなのだとすぐに悟り。自身の事に構っている暇など無いのでは、という懸念はおろおろと伸ばしかけた手と共に猛禽類を思わせる金眼によって引っ込めざるを得なくなるけれど、代わりに朝食も支度も可及的速やかに済ませては彼の自室の入り口横に立って扉が開くのを静かに待ち。やがて現れたその人は厳粛な面差しこそ平生通りながら、見慣れぬ衣服を身に纏い、さながら何処ぞどこの貴族といった風体で。歩みに従いつつ、飾り気のないバンドカラーシャツに毛糸のベスト、その上にケープコートという、防寒と動きやすさの観点しか持たぬ己の装いと好対照をなす上品な装飾を物珍しげに盗み見ていれば、連れられた先が外の森へと通じる扉ではないと心付いたのは問い掛けのあった後。ひとたび迷えば元の場所まで戻るのにかなりの労力を要する空間の構造上、無闇な探索は自重していたため認知すらしていなかった異質なそれに目を向けると、高貴に映る相手に心なしか緊張したように、あるいは多少見掛けが変わっただけであるにも関わらず別人と対峙しているかのように、慎重な頷きで答えて)


(/こちらこそ期限間近の返信となってしまい申し訳ございません……!年末年始は少々ばたつきますのでまた期限の延長をお願いすることがあるやもしれませんが、何卒ご容赦ください……。そして少し早いですが、今年も大変お世話になりました。去年はリヴィオ様の不器用な優しさに背後が悶えるばかりでしたが、今年は関係性の進展やら魔術の世界と共に物語が広がってゆく兆しやらが窺え、胸が高鳴りっぱなしの交流を楽しませていただきました!
お言葉に甘えて割愛させていただいた上、幻惑のきっかけについてのみ失礼いたします。迷い子イベントがリヴィオ様のミシェルを領主の館へ伴わせる判断材料となり得るかもしれませんので、発生のタイミングは情報屋から話を聞く最中で異論ありません。その折に購入品の整理(という名の暇つぶし)でもしておくようにと命じられるか自発的にかで荷物を覗いたところ、リヴィオ様に買っていただいた品物を落とした・盗られたことに気付いて黙って探しに出てしまう……という流れを想定しておりますが、如何でしょうか? また割愛部分は全て了承と取っていただけますと幸いです……!)



  • No.143 by リヴィオ  2023-12-24 11:03:09 




……、これは転移術式が組み込まれた魔道具だ。魔力を流し、規定の順序で下の魔石を灯せば……丁度良い、その杖で魔力を送り込んでみろ。
(こういった昔の名残りのような正装など予備の一着しか保有していない為に、相応の外套の用意すらなく着慣れたローブで代用という少々不釣り合いな組み合わせだが、相手には少々異なる感慨を齎したらしい。よもや事ここに及び新たな魔道具の出現に腰が引けた訳でもあるまいに、今更何をと若干の勘違いのもと自身の杖で少し下の位置にある頭部を軽く小突き、当初の応対を思わせる頬の強ばりを解そうと試みた後。気を取り直したように扉へ手を添わせ相手向けの講釈を舌に乗せかけた所で、ふと一度緩りと瞬いた金の双眸を今し方贈ったばかりの杖へと差し向けて。手製である杖の試運転も兼ね、一歩その場を退く事でドア前の空間を彼に譲ると、適性はともかくとしてすっかり板に付きつつある教師としての顔を覗かせ。相手が己の指示に従ったのなら、ドア飾りの下部にてささやかに揺れる魔石は順繰りにその身へ小さな焔を灯していき、全てが色付く頃には扉全体へ植物のような形状の奇怪な枝が音もなく伝い、天井までをも覆ったのを合図に鎖された扉は自ずから開かれることだろう。墨を垂らしたかの如く漆黒に渦巻き一寸の先も伺えぬ未知なる入口へ、自身の目線のみでの促しに相手が従ったのであれば、暗所を突き出でた靴底に拾う感触は慣れ親しんだ木製のそれではなく砂場のようなザラつきであり、実際に周りの景色は住処から馬車でも数日はかかるだろう大きな街の路地裏にある一角の筈で)
――意識を杖に同調させろ。指先から杖の先端へ向かうように魔力を通した後、目の前の魔石へ不可視の手で触れるイメージを構築する。魔石は此方から向かって左上から下へ、反時計回りに……。


(/いえいえ!リアルのご事情やその他のご都合等で返信が遅れるという事であれば別段構いませんので、ご都合の良い時にお返しくださいませ。ただ、もしこちらの返しに何かしらの不足や返しづらさを感じられる事があるようでしたら、いつでもお気軽にご相談くださいね……!
また、こちらこそ今年も大変お世話になりました。昨年は微かに伺える情緒の芽生えや薄幸少年振りに大層悶え、今年は基礎的な信頼関係の構築と徐々に豊かさを増しつつある感情表現や巧みな心理描写により一層リアルタイムでミシェル様の成長が感じられ、とても充実した一年を過ごさせていただきました!来年も是非ミシェル様の内面だけでなく魔術面でのご成長や、提供との関係性のより良い進展を拝見させていただけますと幸甚です。何かと不出来な背後ではございますが、来年もよろしくお願いいたします!
迷子イベントに関しましては実に完璧かつ理想的な流れだと思いますので、そちらの案でお願いします……!ちなみにミシェル様救出には今の所ぼやっと二案が浮かんでおりまして、普通に提供が助けに行くのと、当時オニキスの指輪を身に付けていた頃の提供の残留思念が元々指輪に幾らか宿っており、ミシェル様の規格外な魔力に当てられて敵の術中というのもありうんたらかんたら(適当)により心身共に十四歳の提供が一時的に実体化し、帰還の手助けを行うのではどちらがご都合が宜しいですか?※一部蹴り、割愛可)


 

  • No.144 by リヴィオ  2023-12-25 07:14:18 



(聖夜祭。それは、親密な関係にある者同士が親睦を深める日であり、大人数で神の生誕や今年の豊作等を祝い夜通し催す宴であり、幼子が摩訶不思議な存在から贈られるプレゼントを期待し瞼を下ろす夜である。その何れにおいても、数奇な縁と止むを得ない事情により住処を共にするだけの自分達には全くもって無関係な祝日に他ならない……筈だったのだが。相手が身を横たえた寝台の枕元、目覚めたばかりの双眸の先には品の良い贈答用の包装が施された紅色の布袋が鎮座しており。中には輪の内側へ銀糸を細やかに編み込む事で蜘蛛の巣を模した円環に、美しい蒼い鳥の羽を幾らかあしらった所謂ドリームキャッチャーと呼ばれる小振りな装飾品と、子供が喜ぶようなクッキー等の無難な甘味の類。もし朝食に起き出した自身にその所以を尋ねたのなら、ただ眉を怪訝に寄せて「……知らないな。大方ここに居るよりも高位な精霊による贈物か、羽虫共の悪戯だろ」とにべもない淡白な答えを得るばかりだろうか。ただし、相手がその包装の中身について言及する事がなかったのであれば、続いて席へ着きつつ放られた言はあたかも内容物に食用が含まれる事を確信した奇妙な響きとなる筈で。以降、あるいはそもそも件の出来事について相手が話を持ち出さなかったのなら、特段聖夜の不可解なプレゼントについて積極的な言及はなく、かつての異質が今やすっかり日常へと馴染みつつある彼との何ら変哲もない食卓の光景がただ広がるばかり。特異な出生と経緯にある少年の先行きを祈る術など、御伽噺に寄与する事などない一介の魔術師には本来持たざるものであるからして。――瞼を下ろした先の暗がりにどうか恐ろしいものが映り込むことのないように。未だ小さな君の前途ある未来に祝福を)
……まぁ、その品から害意や邪気の類は感じない。今じゃ相当俗に染まってはいるが、元々聖夜祭というのは神の生誕を祝い、来年の幸福を祈願するものだ。そういった神聖な日を侵す品でないのなら、お前の胃に入れても特段支障はないだろう。


(/メリークリスマス!ということで日頃の感謝も兼ねて勝手ながらイベントロルの方を投下させて頂いておりますが、お忙しいとの事でしたので返信がなくとも此方のみで完結する仕様にさせていただいております。同時並行は大変だと思いますので、イベントロルへの返信につきましては無理なくまるっとお蹴りいただいても、年を越して暫くしてからの返信でも構いませんので、本当にご都合の良いようにしてくださいませ……!※蹴り可)


 

  • No.145 by ミシェル  2023-12-25 22:27:04 




――リヴィオ様、此処にはサンタクロースが現れるのですか?
(降誕祭の時節になると毎年決まって孤児院の皆で教会へと赴き、神への祈りを捧げて讃美の歌を斉唱する。連れ立って歩く靴音、傍目に見る樅の木、厳かな聖堂。聖夜の思い出と言えばそれが全てだった。祝宴も贈り物もクリスマスキャンドルの奥の幻でしかなく、ましてや夜半に現れてプレゼントを置き去る正体不明の何者かなど精霊と同じく絵本に描かれるだけの架空の存在。そんな観念が実際に精霊を目にし、魔術の世界へと第一歩を踏み出した今となっても根付いていたせいだろうか、薄明に瞼を開いた時分対面した布袋が説話にあるそれだとは思いもよらず、身を起こして手に取るなり矯めつ眇めつ不審げに観察し。漸く子供らしい可能性に考え至ったのは朝食の席で主人が関与を否定した後で、彼からの保証を得て未開封のまま胸の前に掲げていた包みのリボンを遂に解けば、覗き込んだその中の如何にも贈り物らしい品に年相応のあどけなさを宿した双眸を再び前方へと向けて。問いの答を聞くより先に開いたばかりの口へ手を差し入れては、振り子時計のような飾りを取り出して「……これは?」と続け様に尋ねる。その用途と込められた祈りとまじないについての説明を受けたなら自ずと脳裏に蘇るのはいつかの一夜で、もしかすると伝説上の何者かは精霊ではなく魔術師なのかもしれないと、消えないキャンドルの灯に思いを馳せて)


(/メリークリスマス!思わぬサプライズにミシェルのみならず背後までプレゼントを頂いたような気持ちです……ありがとうございます。何とか本日中にお返ししたいと急拵えしたせいで普段以上に粗の目立つロルになってしまった感が否めませんが、どうぞお納めください……!※蹴り可)



  • No.146 by リヴィオ  2023-12-26 18:06:01 




(/よ、よもや当日中にお返事をいただけるとは……。粗などととんでもございません、お早いお返事に歓喜すると同時に、ミシェル様のプレゼントを紐解いた際のご反応に大変ほっこりいたしました……ご迷惑かなぁと思いつつリヴィオサンタを派遣して良かったです。こちらこそ素敵なお返しと、綺麗な〆までありがとうございました!※お蹴り下さい)


 

  • No.147 by ミシェル  2023-12-31 08:48:26 




(普段と印象の異なる主人を前にやや緊張した面差しはおろか、近頃の自身の変化にさえ無自覚であれば、唐突に頭部へと押し付けられた杖先にも瞬きの頻度を増すばかり。その行為について特段の言及も為されず扉の説明が始まることに当惑の色を濃くするも、あらゆる教授の折に現れる導者の表情が不意に覗くと呼応するように此方も常と変わらぬ門徒となって。贈与された杖が早くも活躍の機会を得たなら雑念は一度捨て去り、空けられた魔道具の前へと進み出て右手に細身のそれを構える。魔力測定の際の前例があるため否が応にも胸の奥が騒つくけれど、修練の成果か大木と蒼色の魔石の効能か、はたまた赤色の魔石が触れると同時に何かしらの魔法でも掛けられたのか、美しい柾目を通すと素手よりも容易に魔力を操れるような手応えを感じ。杖先から火を移すかの如く、声に従って順に光を灯し終えた――瞬間、忽ち謎の植物が行く手を阻むように伸び、しかし反対に扉は道を開いて。出来を問うように傍を窺った眼差しに期待した意味合いとは相違する目線が返ると、躊躇もなく闇の中へと身を投じ、地を踏み締める感覚に注意を足下へと落とす。石畳の上に積もった粗い砂が存在を周囲に知らしめるように鳴れど、少し離れた場所から聞こえる雑踏や賑やかな話し声に掻き消されてしまえば、出口の前を退いてきょろきょろと辺りを見回し。そこへ続いて主人が同じ地面に靴裏を着けたのを認めては、安堵感に身を解しつつ万が一誰かの耳に届いても問題の無い言葉選びで転移先の確認を)
……この街に魔――探し物が?


(/返しづらいなんてとんでもございません……!いつもご配慮に溢れたロルやお言葉を賜りまして、一切のストレス無く心の底より楽しませていただいております。遅れることがあるとすれば、それは全て此方の事情ですので……!
クリスマスのイベントロルにつきましても改めてありがとうございました。実はいつかクリスマス回があれば……と夢見ておりましたので、こんなにも早く叶えていただけて、一日中と言わず今の今までも子供のように心中ではしゃいでおります。依然間柄については否定しつつも伝説に倣ってプレゼントを用意してくださる所だったり、その内容に滲むようなリヴィオ様の思いだったりに逐一感動しながら拝読しました。また主様のロルの大好きな点は数多ありますが、今回も締め括りが非常に美しく声に出して読みたい程でした……。と、感想のみ失礼いたしました。いよいよ年の暮れですが、来年も何卒よろしくお願いいたします!
じ、十四歳のリヴィオ様……!? ご提案出来る程の流れや展開等は考えられておらず、お会いしたいという一心で希望を挙げてしまいますが、可能であれば同年齢のリヴィオ様にミシェルの手助けをしていただきたいです。とはいえ最終的な決定についてはお任せいたしますので、もし主様のお心がもう一方の案に向いているのであれば、勿論そちらでよろしくお願いいたします……!※蹴り、割愛可)



  • No.148 by リヴィオ  2024-01-03 18:47:02 




……あぁ、どうやら所有者はこの辺りの重鎮らしい。仔細については昼頃に情報屋から聞く手筈になっているから、先にお前の所用を済ますぞ。
(両の足が遠く離れた地へ降り立てば、忽ちこの路地と石畳で繋がる大通りの活気に満ちた喧騒と立ち並ぶ露店の馨しい香りが五感を塗り替えて。そんな華やかさの伺える表通りとは裏腹に、樽や木箱が雑多に山積する仄暗い路地裏の一角にて、先の摩訶不思議な扉は音もなく閉じられると共に植物の花弁から零れた蜜のような光の粒子を最後にその身を消失させ。転移先の場が魔術的に安定していなければならない上に、座標の精密な設定を不可欠とする些か扱いの難しい希少な魔道具だが、かようにも長距離移動には極めて有用だ。一度周囲へ視線を巡らせる事で滞りのない転移術式の発動を確認しつつ、敢えて目的物の明言を避けたと見える目端の利く相手からの問いに淡々と答え。そのままローブを遠地の見知らぬ風に靡かせ路地を先行しようとした折、ポンとすれ違いざまに傍らの頭部へと隻手を刹那の間に乗せて。仏頂面のまま発された慣れぬ賛辞はすぐに前方へ逸らした視線と、ついでに魔力制御の術を施す事で形ばかり誤魔化すと、以降は振り返る事無く表通りへと赴く筈で。久方振りに森林による一切の遮りのない直射日光をまともに浴びたなら、夥しい雑踏と喧しい客引きへ僅かに眉を顰めつつ、一先ずは当初の予定通り衣類を扱う店へと足を向けるだろうか)
まぁ、初めてにしては上出来だ。……その魔力量じゃ少し目立つからな。鼻の利く輩には知れるだろうが、差し当たり隠しておいてやる。


(/そう言っていただけて大変安心いたしました……!こちらも背後様の寛容さやご配慮の数々に救われつつ、いつもストレスなく心より楽しませていただいております。一昨年からいただいたご縁も非常に有難い事に今日まで続き、早くも新年となりましたが、本年も提供共々何卒よろしくお願いいたします!
ひえ……お忙しい中、当日中にご返信をいただいただけでなく、光栄なお言葉の数々までありがとうございます。どうしてもミシェル様や日頃お世話になっている背後様へクリスマスプレゼントを差し上げたくて突撃したつもりが、逆に何倍もの贈り物をいただいてしまった心地です……。少々自重して感想を一言程度で留めておりましたが、クリスマスプレゼントとは縁のなかった可哀想可愛いミシェル様やら、普段大人びている少年の不意に見せる年相応の子供らしさやら、最後にあの日のキャンドルの幻想的な灯りの映像を持ってくる背後様の神がかったエモセンスやら毎度の事ながら諸々最高でしたとお伝えさせてください……!
いつかは同年齢ネタをご都合的なファンタジー設定を活かし出してみたいなと思いつつ、恐らくクソガキと言いますか小生意気な少年になるかと思われる為、あまりご興味がないようなら遠慮しようかと思っていたのですが、そう仰っていただけて安堵しました……では是非同年齢で行きましょう!こちらも大概常にふわふわでほぼほぼノリと勢いで展開しておりますので、また話が進み次第相談か唐突にぶっ込んでいく形になるかと思われますが、何か気になる事がありましたらお声掛けくださいませ。ではでは、長らく背後会話にお付き合いいただきまして誠にありがとうございました!以降もどうかよろしくお願いいたします。※蹴り可)


 

  • No.149 by ミシェル  2024-01-08 06:25:52 




……杖を使うと、魔力が扱いやすくなるような気がします。
(魔術によらず、学問を修める者が上流階級や知識階級に偏るのは珍しい話ではない。明かされた所有者の身分にはさしたる意外さも覚えず、それよりも魔鏡捜索の手掛かりは昼頃まで待つ他無いという情報の方に注目すれば、彼の言う己の所用にも幾らか前向きになって。用途は一方向への移動のみなのかと最前まで転移扉のあった路地裏の煤けた壁を指す頭頂に不意の重みが加わり、時間差で望んだ評価が下されては、小走りで見慣れたローブを追い掛け、褒められたがりの優等生宜しく魔石に干渉した際の気付きと言外に感謝の意を述べる。しかし建物の陰から表通りに合流するとあまりの人出と健全な賑わいに圧倒され、態々声を張り上げて伝えるべき事柄も思い当たらない為それきり黙りこくって、心なし普段より狭い間隔で傍を付いて回り。故郷と森の中以外の土を踏んだ経験の無い自身にとっては如何なる街も馴染みの無い街だが、主人にとってはそうではないのか迷わず目的地へと進む足取りに従えば、辿り着いたのは使い古しの寄付物品や支給品に頼る孤児にはとりわけ馴染みの無い衣料品店で。面持ちに仄かな緊張を帯びつつ外套の砂埃を払ったなら、歩みこそ止める事なく入店するも、その姿は前を行く背の真後ろにすっかり隠れてしまっているだろうか)



  • No.150 by リヴィオ  2024-01-12 22:38:49 




……専用の補助具だからな。座標の位置補正や具現化の精度、術式の展開効率も含め魔術行使が格段に容易になる。……それは簡易品だが、暫くは重用しろよ。
(少しだけテンポの早い足音が心なしか弾むように聞こえ、利発な少年の声音を背後から連れてくる。態々振り返りこそしないものの、何やらそんな相手の様はかつての――承認欲求と知識欲に満ち満ちて師の後ろを何かと随伴していた自身の少年期と重なるようで。魔術研究の妨げに他ならない期間限定の師弟関係とはいえ、物を教授する側に立つのもそう悪くはないのかもしれないという以前なら信じ難い想念は、頑なな己の喉を通せば無機質な杖の概説に変容し吐き出されるのみだろうか。さて、大方衣料品という代物は一度商業通りへと足を踏み入れれば嫌でも出会す程度には市場規模の大きな商品だという大雑把な指針に任せた道筋はそう誤ってはいなかったようで、表通りへ身を晒してから直にそれらしき小洒落た店前へと辿り着き。扉の上部へ飾られたアンティークな呼び鈴による軽やかな入店音を背景に近場の女性店員が歓待の挨拶と共に寄ってくるも、端的に首を横に振って自身の影に隠れていた小柄な姿を顎と視線で示せば、何やら大きく瞠目し俄に輝きを増し始める傍らの瞳に気が付く事もなく、身体ごと相手へ向き直り衣服の嗜好を尋ねて)
いや、俺じゃなく……こいつの服が幾らか欲しい。おい、ミシェル。……何か要望は。


 

  • No.151 by ミシェル  2024-01-15 22:53:27 




……リヴィオ様が不快に思われないものなら、何でも。
(主人が前を退くと、黒いローブの影から奇術のように現れた子供に驚いてか目を丸くする女性店員と、展示されている凝った装飾の衣類が視界に入る。やたらにリボンやフリルのあしらわれたシャツや、胸元まで垂れる大きな襟、煌びやかなジャケット、異国風の服飾等、見たこともない品々が並ぶ店内を惚けたように眺めていれば、不意に名を呼ばれてやや上方へと顔を向け。生まれてこの方身形にはとんと関心が無く、着丈違いだろうが多少珍妙だろうが構わず与えられた物を身に付ける生活であった為、今回もきっとそうなのだろうと疑わずにいては、続く問い掛けに大袈裟な程双眸を見開いて。此処には我先にと横から手を伸ばす子供達も適当な衣服を見繕ってくれる養母達も居らず、ただ二揃いの眼が己の返事を待つばかり。もう一度改めて小洒落た空間を見回してみるも果たして何を基準に選別して良いやら分からず、身体を主人と向かい合わせては結局常と変わりない応答を。そこで横に控えた店員が待ってましたとばかりに試着を勧めたなら、早くも他人事の面持ちで成り行きを見守って)



  • No.152 by リヴィオ  2024-01-17 21:52:20 




……お前な。頭の天辺から爪先までフリル塗れにして帰らせてやろうか? ……折角ここまで連れて来たんだ、もっとこう、好きな色だとか形状だとか……。
(一度大きく見開かれた双眸がぐるりと店内を一回りした後、徐に開閉した口唇から零される回答は最早聞き慣れたような自由意志のないそれで。全くもって想定通りの答えが眼前から発せられれば腰に隻手を当て、明確な不満を眉間に刻み苦言を呈するも、自身とて魔術以外の興味関心はほぼ最底辺を這うが故に建設的な具体例を提示出来ずにいた折。妙なタイミングの良さで挟まる店員からの提案へ少しの間の後に同意を示し、幾らか最低限の注文を付けた後に彼の身を相手へ預け、自身は数歩引いた位置で待機することにして。先刻の店構えや展示される品揃えをざっと目視のみで検分した限りでは貴族御用達の高級店でも粗悪な量産店でもないように思料され、そこへプロによる選定が加われば十分悪目立ちしない程度に質の良い品が手に入るだろう。少し遠目から窺っても店員の手に用意された品は胸元のリボンをアクセントにした紳士的なダブルボタンの膝丈コートや少年らしく爽やかなセーラーカラーにハーフパンツ、はたまた腰のレースアップとレースタイがよく映えるクラシカルなロングベストなどなど、素人目に見ても上等と知れる代物で。ただ、いつの間にやら相手の服を見繕う女性店員の姿が時間帯的に空いている事も手伝ってか三名に増え、如何なる品と組み合わせがこの最高の素体を最大限に引き立て得るかと、手付かずの原石を磨く栄誉に浴するべく和やかな歓談を装う水面下で密かに女性陣の熾烈な争いが繰り広げられているとは夢にも思わずに)
試着か……、そうだな。普段使いだ、値は問わない。着心地が良く、ある程度丈夫で動きやすい物を。


 

  • No.153 by ミシェル  2024-01-24 20:05:04 




フリルは……、知らないうちに汚しそうなので……。
(代わり映えしない無味乾燥の答に、これもまた代わり映えしない不服げな声音が返れば、彼も同じものに目を引かれたのだろうかと一際主張の激しいその衣服をちらと見遣り。主人がそれを愉快と感じて薦めるのであればフリル塗れも吝かではないが、受動的な姿勢が更に相手の眉を曇らすのは明明白白。ならばと嗜好とも呼べぬ己の無頓着さを覚束無く告白するものの、商品にも冗談にもケチをつけただけのように思われては、慣れぬ試みは軽率にすべきでないという自戒の念と共に口を閉ざして。そうして黙す間にどうやら両者間では話が纏まったらしく、女性店員に案内されるままカーテンに囲われた円柱形の試着室へと入ったなら、その後は着せ替え人形同然に手渡される一式の脱ぎ着を続けることとなり。一着目は首元に細身のリボンが結ばれたフリルスタンドカラーシャツに八分丈パンツ、その上に閉じ合わせたダブルボタンの膝丈コート。二着目はサスペンダー付きのハーフパンツにセーラーカラーのジャケット。三着目はサテン生地の柔らかなシャツにレースタイ、腰元でレースアップされたロングベスト。見るからに上質な品々はどれもこれも自身には似つかわしくなく映るけれど、紐を引いて覆いを開く度に店員達が「お似合いですよ」と微笑みを湛えるから、森奥の共同生活で唯一気にするべき人目の方へと軽く両手を広げて見せて)
……どうですか?



  • No.154 by リヴィオ  2024-01-27 14:48:22 




……最低条件はクリアしている以上、俺の方に文句はない。
(試着スペースから次々と装いを変え現れる少年は、その度に身に纏う印象を一変させつつもその優れた容色を遺憾無く発揮し、非の打ち所のない立派な青少年といった様相で。思わず当初のボロ雑巾さながらの痩せぎすな出で立ちを脳裏に描き、健康状態を整え似合いの衣装を誂えるだけでこうも変貌するものかと心中で密かに驚嘆混じりの呟きを。女性店員らも感嘆の吐息と共に互いの健闘を視線のみで讃え合い、その並々ならぬ熱量をようよう自身も肌で感じ取り始めた三着目。覆い隠された布から新たな少年の姿が顕になると、軽く沸き立つような賛辞の声が上がる中、渦中の相手から急に自身へ意見を求められては組んでいた腕を解き、相当の熱意と技量での選定と理解した割には淡白な応答を。人の精神とは外部の環境から影響を受けるものであり、よもや元奴隷とは結び付きもしない清廉な衣に身を包んでいれば多少なり良好な内面の変化があるやもなどと、そんな今日の行動の裏底へ敷いた思惑に過大な期待を寄せてはいなかったが。暫く共に暮らす事が確定した最初の滑り出しとして、せめてもう少し己の要望程度容易く表出出来るよう癖付けておきたい所。しかし、内面の成熟と関係性の構築度合いにも基づくが故に一朝一夕にはいく訳もなく、今現在どうにも身なりへの関心自体に欠けるのなら引く他ないか、と最後にじとりとした眼差しのもと半ばやっつけ気味に諦念を孕む問いを投げ掛けて。その一方で、さすが接客のプロ、もし相手がなおも控えめな唇をさして割らないようであれば、こちらの口下手と裏の意図を汲み取ってか「もし宜しければ、店内をもう少し見回ってからお決めになられては如何ですか? お気に召すものが見付かるかもしれませんし」とにこやかに助け舟が差し入れられるだろうか)
――で、お前の希望は本当に少しもないのか。ないなら、まぁ……その三着と、適当にもう数着程度見繕ってもらうか……。


 

  • No.155 by ミシェル  2024-02-02 22:05:13 




…………はい。
(これまでは自我を晒さない事で大人達に褒められたものだが、彼に限ってはそれが却って不興を買うらしい。品評と言うよりは取捨の色濃い、自分の事くらい自分で決めろとでも言いたげな素っ気無い返答に残念がる素振りも見せずこくりと頷き、ならば店員推薦の衣服に決めようと此処での用事の完結を予感した折。面白く無さげに細められた双眸と共に堂々巡りの問いが寄越されては、多少言いづらそうにこそすれ、不思議な人だなとその意図をひとつも理解せぬまま正直に応じ。それから姿見の中に居る質の良い服に包まれる己を異世界でも覗くかのように眺めると、強いて言うなら、とやや上方へ顔を向ける。このカーテンが外套になれば、きっと高い服を汚さずに済むだろう。――しかし勿論引き千切って身体に巻くわけにもいかず、店員の勧めに従い品物を見回るらしい主人の後を、右へ左へと緩慢に首を振りつつ大人しく着いて行く。もう三日分も揃えたのにまだ買い物を続けるのかという小さな衝撃は、やがて自身が希望を出すまで店を出ないつもりなのではという迷妄にまで膨らみ。だからと言うわけでも無いが目に付いた品を気紛れに手に取って行くと、漂着するように辿り着いたのは装飾品や簡単な武具防具の並ぶ一角。翡翠石の嵌ったループタイやら吊り下げ式の短杖ホルダーやらに他より長く視線を留めては、ふと面を上げた先の足元まであるドレープの効いたローブに思わず「カーテン……」と小さく洩らし)



  • No.156 by リヴィオ  2024-02-07 22:27:02 




カーテン……? あぁ、ローブの事か。……それが良いのか?
(店員の提案に承諾を返し、店内を彼女の説明と共に巡る傍ら、諾々と追随する少年の横顔をちらりと盗み見て。不本意な共同生活が幕を開けてから早数ヶ月が経とう今となっても、相手の嗜好はおろか碌に内心すら読み取れず、つくづく奇妙な少年だという印象に変わり映えはしない。しかしながら、一応形ばかり彷徨う指先とある一角において他より優位して留まる視線を鑑みるに、当然だが多少なり彼にも好悪らしきものは存在するようで。自身も足を止め新たな商品棚へ視線を転じると、幾つかの装飾品類を経て移った先の一見突拍子もないように感じられる呟きへ怪訝に首を傾げ。ゆったりとしたシルエットを描く優美な布地をよくよく観察すれば発言の意図自体は汲み取れるも、その選定基準には全く理解が及ばぬ一方、極端に乏しい表情と口数の少なさに比して思慮深い彼の性質への理解はあり。早速他の客の来店音により元の一名に戻った店員へ、相手が目を留めたタイや短杖ホルダー、加えて先のローブと試着した品を購入する意思を告げると、卒のない礼と共に該当の品の包装と代金の計算へ向かう彼女の後ろ姿を見送り。暫し生まれた二人だけの時間に、一先ず購入品は定まったものの自身の意向を確り主張したとするにはあまりに控えめであり、そもそも真に欲する物を示したのかすら少々胡乱な相手へ再び視線を落とすと、常の渋面を形作ったまま諭すように口を開いて。最後にようやく相手の装いを評する台詞を紡げば、ふいと視線を逸らした先の店員から品の準備が整った報せを受け、何事も無いようなら速やかに会計まで済ませられるだろうか)
……遍く夢も欲望も、ただ内に秘めるだけでは何も得られない。一生その手を無手のまま終わらせたくないなら、少しは欲心を見せる事だな。……まぁ、お前はそうして身なりだけでも飾れば上等以上に見えなくもないんだ。社交術として己を飾る術の一つや二つ、覚えておいて損は無いだろ。


 

  • No.157 by ミシェル  2024-02-14 05:03:42 




……そんなこと、僕に赦されるんだろうか。
(自身の呟きと同様の語が近くで繰り返されると、はっと我に返って声の方へと顔を向け。まさか考え無しの忍び音を拾われているとは思わず、不可解げな面持ちからの問い掛けに「ぁ」だとか「ぅ」だとか蚊の鳴くような声で意味を成さない呻きを発していれば、否定が無いため肯定と取ったのか手にしていた品物も合わせ精算の運びとなって。今まで生活必需品は与えられた物を支給物として享受してきたが、自ら選択するとなると途端にその色合いが薄れ、彼との距離を測り損ねてしまう。鮮やかな手捌きで購入品を纏めている店員の姿を眺める振りをして盗み見るように主人を窺うと、不意に金の瞳が此方に動いて睫毛の先が微かに揺れ。視線を交わらせたまま暫くは神妙に説法へと耳を傾けるも、ついでのように見目に関しての思わぬ評価が下されては分かりやすく喫驚を露わにして。鏡の中に見た己は確かに風体のみに限ればその身を飾る服飾のおかげで育ち良くも映ったが、中身は全くと言って良い程伴わぬ字義通り〝何も無い〟子供だ。両の掌を胸の前に出し、今し方授けられた台詞を反芻しながら目を落とす。夜市で家族を見捨てた自身が何かに手を伸ばす事などあって良いのか、と誰にともなく問うた迷える声を聞いたのは、左の中指に嵌めた暗色の指輪だけだろうか。肌身離さず着けているそれに幾許かの安らぎを覚え、すぐさま主人の背を追えば、社交術を学ぶ手始めとして精力的に自らの衣服を選定してくれた女性店員にその基準を聞き取り。気軽な尋ねのつもりだったそれに予想外の熱量と時間を掛けた答が返ったなら、短杖ホルダーとローブを身に付けて店を出るなり放心気味にぽつりと零して)
……濁流のようでした……。



  • No.158 by リヴィオ  2024-02-19 21:38:52 




! バッ……、……。――今のは見え見えの懸河だったぞ。
(あ、と明々白々な激流の中へ特段の気負いなく飛び込まんとする小さな背に手を伸ばすも時既に遅く、瞬く間に相手は怒涛の熱量の渦に頭から飲み込まれて。どうにも店員らの応対から違和を見出せなかったのか、相手の容色における実際を飾り気なく口にしたに過ぎない先の言葉への喫驚振りといい、よほど自らの世俗的価値に自覚がないらしい。溜め息と共に行き場を失った手を緩慢に下ろしつつ、如何な魔術を用いたとて到底御し得まい熱弁の奔流に翻弄される少年の様を背後にて静観して。そうして購入品の纏められた布袋を手に涼やかな退店音を鳴らしてから少し、不意にぽつりと惚けたように落とされた隣の声音へ呆れを孕む一瞥を向けてから、此方の歩みに従い流れゆく種々の店構えを横目に話題転換を。折り良く脇を通り掛けた大型の家具屋を切っ掛けに、少し前方を遠見した先へ一般的な書籍や画材屋までをも認めては、相手の長期滞在が決定した翌日には自室と共にベッドや机などある程度の家具こそ与えてあるものの、あくまでも必要最低限に留まるそれらに空いた手を思案するように顎へ軽く添えて歩調を緩め)
……まだ時間はある。不足している品があれば今の内に言っておけ。そうだな、家具はどうなんだ。一先ず適当にお前の自室へ揃えてやったが、何か入り用の物があるなら別段俺も惜しみはしない。……後は、趣味関連なら画材や本辺りか……?


 

  • No.159 by ミシェル  2024-02-26 02:49:01 




(服屋とはこういう場所なのかと、初めての経験にいつか魔術師の入浴作法に対し抱いた謬見と似た誤解を連れて店を出るも、それは即座に否定され。どうやら狭い箱の中で生きてきた己には学ぶべきことが山程あるらしい、と無知の知を獲得する間に歩み出す背に追い付けば、会話と視線の向き先へと首を回す。見覚えのある意匠にそれが自室へ設えられた家具であると勘付くまで時間は掛からず、同時に魔力開花の翌日に与えられた室内の光景が目に浮かぶと、その中を動く自身の姿までも克明に蘇るようで。過ぎ行く家具屋店内の鏡台やサイドテーブルは日々最低限の活動しか行わず、またそれに不自由を覚えない居候には必要の無い代物。唯一の障害だった整理や清掃の際に高い棚に手の届かない問題もいつの間にか出現した踏み台によって解消され、森奥での暮らしは連れられた当初の危惧に反し快適に保たれていて。画材は減りこそしたものの未だ尽きる気配が感じられず、書籍は子供向けのものは読破したが、大量で難解な主人の蔵書を手に取り始めてからは本に困ることなど想像もつかない状況。正直に答えつつ、強いて言うなら調理器具だろうかと全くの無意識で顎に手を添える折、遠くに見えていた画材屋が目前へと迫っては、店頭に並ぶイーゼル等の器具や希少な顔料に未知への好奇心から足を止めて)
……いえ、どれも不足はないです。むしろ人並み以上の生活を――



  • No.160 by リヴィオ  2024-03-03 20:45:09 




……へぇ、やっぱりこういう系統に興味があるのか。まぁ、魔術の修練には多少の息抜きも必要だろ。望みがあるのなら、その自前の口で率直に乞う事だな。
(華やかな都会の街並みと行き交う賑やかな人通りの合間を抜うように、流れ行く種々雑多な品々を視線のみで丁寧に撫でてゆく。考えてみれば、これまで公私共に殆ど魔術一辺倒であった己がそれ以外の事柄についてこうも真剣に頭を悩ませ、煩わしい人混みの中に身を投じてまで他者と呑気に買い物などと、相手との奇妙な共同生活が始まるまで到底考え得なかった話。共に暮らしていると生活リズムだけでなく所作までも似通ってくるのか、期せずして同一のポージングを取りつつ至極難解な品定めに注力していれば、不意に傍らの視線が一点に留まる気配と止んだ足音に自ずとその眼差しの先を追いかけて。そこは画材屋の一角であり、以前相手に与えた物よりも本格的な品々が整然と並ぶと共に、中には土や鉱物由来の一般的な代物に留まらず、希少な妖精竜の鱗粉までをも原料とする鮮やかな色合いの顔料が一種のグラデーションを描くようにずらりと小瓶へ収まっており。希少かつ質の良い物も並ぶ分多少値が張る可能性もあるが、元より魔鏡の持ち主探しを始めた時点で交渉用に錬金術や自作魔道具の売却等で資金作りはある程度済ませている。とはいえ、いつまでもただ黙する相手の意図を闇雲に汲み続ける訳にもいくまいと、少し行き過ぎた靴先の向きを背後へと戻し、再び画材屋を前にして少年の隣に並んだなら、やたら高圧的な物言いで続きの言を不器用に促そうと。それでも頑として口を真一文字に封するようであれば無言で自らの両の腕を組み、鬼気すら放つような上方からの鋭利な眼差しにて静かに圧をかけ始める事だろう)


[PR]リアルタイムでチャットするなら老舗で安心チャットのチャベリ!
ニックネーム: 又は匿名を選択:

トリップ:

※任意 半角英数8-16文字 下げ
利用規約 掲示板マナー
※トリップに特定の文字列を入力することで、自分だけのIDが表示されます
※必ず利用規約を熟読し、同意した上でご投稿ください
※顔文字など、全角の漢字・ひらがな・カタカナ含まない文章は投稿できません。
※メールアドレスや電話番号などの個人情報や、メル友の募集、出会い目的の投稿はご遠慮ください

[お勧め]初心者さん向けトピック  [ヒント]友達の作り方  [募集]セイチャットを広めよう

他のトピックを探す:1対1のなりきりチャット







トピック検索


【 トピックの作成はこちらから 】

カテゴリ


トピック名


ニックネーム

(ニックネームはリストから選択もできます: )

トピック本文

トリップ:

※任意 半角英数8-16文字

※トリップに特定の文字列を入力することで、自分だけのIDが表示されます
※メールアドレスや電話番号などの個人情報や、メル友の募集、出会い目的の投稿はご遠慮ください
利用規約   掲示板マナー





管理人室


キーワードでトピックを探す
初心者 / 小学生 / 中学生 / 高校生 / 部活 / 音楽 / 恋愛 / 小説 / しりとり / 旧セイチャット・旧セイクラブ

「これらのキーワードで検索した結果に、自分が新しく作ったトピックを表示したい」というご要望がありましたら、管理人まで、自分のトピック名と表示させたいキーワード名をご連絡ください。

最近見たトピック