匿名さん 2022-08-21 15:03:38 |
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……専用の補助具だからな。座標の位置補正や具現化の精度、術式の展開効率も含め魔術行使が格段に容易になる。……それは簡易品だが、暫くは重用しろよ。
(少しだけテンポの早い足音が心なしか弾むように聞こえ、利発な少年の声音を背後から連れてくる。態々振り返りこそしないものの、何やらそんな相手の様はかつての――承認欲求と知識欲に満ち満ちて師の後ろを何かと随伴していた自身の少年期と重なるようで。魔術研究の妨げに他ならない期間限定の師弟関係とはいえ、物を教授する側に立つのもそう悪くはないのかもしれないという以前なら信じ難い想念は、頑なな己の喉を通せば無機質な杖の概説に変容し吐き出されるのみだろうか。さて、大方衣料品という代物は一度商業通りへと足を踏み入れれば嫌でも出会す程度には市場規模の大きな商品だという大雑把な指針に任せた道筋はそう誤ってはいなかったようで、表通りへ身を晒してから直にそれらしき小洒落た店前へと辿り着き。扉の上部へ飾られたアンティークな呼び鈴による軽やかな入店音を背景に近場の女性店員が歓待の挨拶と共に寄ってくるも、端的に首を横に振って自身の影に隠れていた小柄な姿を顎と視線で示せば、何やら大きく瞠目し俄に輝きを増し始める傍らの瞳に気が付く事もなく、身体ごと相手へ向き直り衣服の嗜好を尋ねて)
いや、俺じゃなく……こいつの服が幾らか欲しい。おい、ミシェル。……何か要望は。
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