匿名さん 2022-08-21 15:03:38 |
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……へぇ、やっぱりこういう系統に興味があるのか。まぁ、魔術の修練には多少の息抜きも必要だろ。望みがあるのなら、その自前の口で率直に乞う事だな。
(華やかな都会の街並みと行き交う賑やかな人通りの合間を抜うように、流れ行く種々雑多な品々を視線のみで丁寧に撫でてゆく。考えてみれば、これまで公私共に殆ど魔術一辺倒であった己がそれ以外の事柄についてこうも真剣に頭を悩ませ、煩わしい人混みの中に身を投じてまで他者と呑気に買い物などと、相手との奇妙な共同生活が始まるまで到底考え得なかった話。共に暮らしていると生活リズムだけでなく所作までも似通ってくるのか、期せずして同一のポージングを取りつつ至極難解な品定めに注力していれば、不意に傍らの視線が一点に留まる気配と止んだ足音に自ずとその眼差しの先を追いかけて。そこは画材屋の一角であり、以前相手に与えた物よりも本格的な品々が整然と並ぶと共に、中には土や鉱物由来の一般的な代物に留まらず、希少な妖精竜の鱗粉までをも原料とする鮮やかな色合いの顔料が一種のグラデーションを描くようにずらりと小瓶へ収まっており。希少かつ質の良い物も並ぶ分多少値が張る可能性もあるが、元より魔鏡の持ち主探しを始めた時点で交渉用に錬金術や自作魔道具の売却等で資金作りはある程度済ませている。とはいえ、いつまでもただ黙する相手の意図を闇雲に汲み続ける訳にもいくまいと、少し行き過ぎた靴先の向きを背後へと戻し、再び画材屋を前にして少年の隣に並んだなら、やたら高圧的な物言いで続きの言を不器用に促そうと。それでも頑として口を真一文字に封するようであれば無言で自らの両の腕を組み、鬼気すら放つような上方からの鋭利な眼差しにて静かに圧をかけ始める事だろう)
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