《ヒプマイ》せんせえ、お呼び出し！《オオサカ》

　

せや、かんっぜんに忘れてた。ボ.ケの文字は伏せられんねんな…。誤字脱字等もあったら適当に補完して読んでくれ…（ぐぬぬ、）

　

おん、絶対教える！俺も今年は厳しいやろうから来年やな、絶対盧笙より早よ見付けたんねん（ふふんと得意げに肩を竦めてはにかんだ。彼の勧めてくれた音楽を知りたくて、普段聴かないようなクラシックに手を出してみたり。愛しい彼に贈る言の葉に、彼から貰うような柔らかさや繊細さが欲しくて勧められた本を読んでみたり。花の話で盛り上がれば、それからふと日常生活でも美しい花々や目を惹く色に意識が動いたり――。曇り空、憂鬱な日にはアイツやったらどう形容するやろか。おもろい渾身のギャグ、アイツやったらどうやって扱き下ろしてくるかなぁ。いつの日からか、何かの先にはいつも‘盧笙’が居て、確かに侵食されているのに腐る事なく。それどころか、映る世界感じる世界は色鮮やかに、より一層豊かになった。そんな事熱く語るなんて気恥ずかしいから、謎解きのヒントみたいに見付けてくれたらええなぁなんて、密かに些細な言葉の端々に織り込むのだ。駅までそう遠くない、今のうちに、彼の腕へ空いた距離分ピョンッと跳ねて抱き着いて戯れる、）俺がガードマンやったるから雇ってや！ほんで整理券配るやろ？撮影一回300円っ。…変な副業やらんでもええで？（ひひ、）


あっ、おおきに！俺も忘れるとこやったわ。任しとき！俺くらいになるとお前の言いたい事くらい、穴埋めでもいけるわ（ピースぶいっ、／スルー推奨。）

　

いやそれガードマンにも群がるやつッ、人気芸人が一介の教師のガードマンするてどんな状況や！（周囲を気にしてか普段より声量控えめに、けれども勢い良くツッコミ入れたなら戯れついて来る彼を安定した体幹で支える振りしてそっと身を寄せ触れ合いに応じる。幸いにも人通りの少ない場所であることだし多少なら恋人らしい振る舞いをしたって大丈夫な筈。そう考えた上でのスキンシップだ。とはいえ愛嬌のある唇へ口付けたい気持ちだけは流石に押し殺さなければならぬだろうが――）…はぁ…、生憎副業にはもう懲りとるし俺はそんな映えスポットにもならんから。……てかお前さっき玄関で写真撮ってたやろ。ほら撮影一回300円。良かったなぁ、お前は俺の初めての客や。言い出しっぺなんやから喜んで支払え（やれやれと大仰に溜め息吐いたなら再び先程と同じペースで歩みを進めつつ…にたり、悪い笑みを浮かべて空いた左手の平スッと彼の前へ差し出し。じと…／）

　

おま、その後出しは卑怯やで！？そないな灰汁どいやり方どこで覚えてん！はッ…零か！？零やな！アイツ俺の盧笙にまた良からぬ事を…ッ！（ぎょ、と見開く糸目。マスクで口元が隠れているもののその表情は良く動いて、眉が感情を物語る。ぐっと寄った眉根は抗議する様に険しく顰められ…たかと思えば絶望したかの様に歪んで、そして一つの推理を導く…振りをして徐々に話を本題から逸らして行く。険しく寄せた眉に、差し出された左手を交わし歩きながら器用に彼の肩を掴めば詰め寄りつつ――頭の中では撮影料の計算をしていた。何しろ玄関で撮った写真は一枚ではない。数回シャッターを押したし、中には連写モードになってしまったものもあった気がする。選定するつもりではいたが、したとしても確実に4桁は行ってしまう気がするのだ。いつか借りた500円も今では彼もしつこく言ってこないが返していない。密かに増えていく彼への借金と過失をどうにか丸め込みながら一芝居。徐々に近付いて来る駅にパッと彼から繋いだ手を解いて掴んだ肩を解放して離れれば、楽しげな笑みを浮かべては駆け出して、）盧笙！ほら、無駄話してる場合ちゃうで！あと5分で出てまう！この電車乗ったらすぐや、ICOCAチャージしてある！？

　

はっ！？いやコラ待てや何でそこで零が出て来んねんッ！ちゃうわ！信用してへんあいつの悪どい商売のやり口なんか俺が真似するわけないやろが！！（彼の口が調子良く回り出せば己の発言が勝つ可能性はぐんと下がる。と言うのも話を逸らすその手口にまんまと引っ掛かり続ける為である。普段はアホを言う彼にガッと真正面からド正論をぶつけてやれるのに勢い付いた話の天才の前にはほぼ負け確。見事丸め込まれてこの通り、自身が出した左手の存在すら忘れて硬い拳に変える始末。ガルルッ、不満いっぱい噛み付く勢いで吠えたならあのデカくて怪しいおっさんを頭に過ぎらせ思わず不機嫌顔。丸眼鏡というオブラートが無い裸眼がその夕焼け色をぐつぐつと滾らせている様と言ったら、出会った頃の尖りまくった鋭利な眼光を彷彿とさせるだろう。……けれど、突然触れていた箇所が離れたなら不意にあどけない表情を晒し、更には突然駆け出した彼に一驚を喫する。――ああもう！そう叫び出す勢いで大きな溜め息を零せば慌てて彼の後を追いかけ、）いきなり走り出すなやドアホッ、心配せんでもチャージ済み！！

　

（改札前で追い掛けてくる彼を待つ。長い脚を動かして軽やかに走る姿が本当に綺麗で、男前やなぁ…と見惚れつつ再び肩を並べればトンッと横から戯れる様に肩をぶつけてみたり。そうしてまたそっと距離を開けれは其々改札を抜ける。今一度マスクの端を摘んで軽く引き上げながら、隣の彼へ視線を投げてふにゃり眦を緩めて笑い掛ける。家で見せる様な柔らかな恋人に向けるそれ。電車に乗り込めば今度はキャップを深く被り直して彼の横にスッと寄り添う様に立ち。きょろり、車内を見渡して空いた席指差せば密やかに問い掛けて、）おっ、あっこ空いてるやん。座る？

　

（履き潰す程ではないが十分に柔らかくなった革靴はよく足に馴染んだ。手入れを欠かさずに行なっている為か数年はお世話になっているそれに内心ひっそり礼を言う。お陰でちゃんと走れたで、なんて。…ふと彼から向けられた視線に目敏く気付く。マスクで見えない口元は、それでも目元だけではっきりと笑っているのが確認出来た。まろいそれに無言でふにゃり破顔し応えたならそっと彼の後を追う。乗り込んだ電車は混雑しているわけではないがそれでもほぼ全ての座席が埋まっていた。不意に零された問いにはたとすれば指先示すそこへ目線を滑らせ、次いでぽつねんと空いた一席分の空間を確かに視認して、）…ん？…いや、俺はええわ。ささ…が座り（名前を呼び掛けて――咄嗟に愛称へ切り替える。簓なんて珍しい名前が聞こえたら近くの目線は必ず此方へ向きそうだったから素早い判断。緩く腰を押して歩くよう促せば半強制的に彼を着席させ、自身はその前に立つと吊り革持って前の座席からの視線を背中で遮断してやりつつ スマホ手にしてぽちぽち…。メッセージアプリ、彼とのトーク欄にて「あと10分程度で着くから、見たい店ないか確認しとき」なんて言葉を送信。これも不用意に声を聞かれて気付かれないようにとの判断、）

　

えっ、ちょ、っ…えー………（あれよあれよと言う間に座らせられてしまって、その隙間にぽすり腰を下ろした。何や隣座らへんの？と問い掛けるべく目の前に立ちはだかる彼に視線を上げた刹那、気付く。見上げた先には彼しか見えない事。周りの視線から遮断をしてくれた事。いつどこに居ても仕事柄を自分以上に配慮してくれる彼。口に出さぬとも自然とそう言う事をやってのけるその優しさと言うか、天然さと言うか。彼の作ってくれた壁に有難く隠れる様、キュンと甘く痛むその胸の痛みに耐える様にぎゅっと肩を竦めて縮こまる。その顔にはふにゃり、ゆるゆる…幸せと嬉しさと好きが溢れて柔く笑みが綻ぶ。そっと桃色に染まった頬の温かさを感じつつ片足を目の前に立つ彼の脚の間に緩り自然に差し込んで、ボトムス越しにそっと触れ合わせた。言葉も交わしづらい今、このくらいは許してくれるだろうか。不意にポケットの中で震えたスマホに気付いて、取り出して通知を確認。目に入ってくる‘盧笙’の名前。並ぶ文字に再びふふ、と幸せに笑みが零れる。誰にも知られぬ密やかなやり取り。これも声を上げる事で視線を集めるのを防ぐ為の気遣いだろう。彼のくれたメッセージに返事を打ち込む両手の親指は、軽やかに画面をタッチして『お前ほんまそういうとこ！』と、追撃で緩い落書きの様なキャラクターが栗を持って『びっクリ！』の文字が添えられたスタンプを送信。そして再び文字を打ち込めば、『おおきに』。そっと送信ボタン押して画面は閉じてしまう。今この空間を、彼との時間をしっかり楽しみたいから。言葉が交わせずとも目線も合わせられなくとも、二人でいるこの空間に浸りたいから――視線はそっと上目遣いに彼を見上げにこり、目元だけで微笑んで）

　

（布越しに触れる足の温かさに笑みが零れた。然り気無さを装って挟み込み、無言で交わす戯れ。昔に比べて小さくはなったタタンタタンと子気味の良いレールを走る電車の音、その振動を足裏に感じながらふと徐ろに画面から目を離しては外の景色を眺めた。悪くは無い天気、穏やかな休日。…愛しい人とのデート。幸せの絶頂にいる今この時、同時に何だか夢を見ている様にふわふわとした浮遊感があって少し怖いとも思う。その浮遊感というのはわくわくと楽しい感覚などではない、綱渡りをしているかの様な緊張感があるのだ。デートという言葉を自身に言い聞かせ繰り返す度に腹の底が冷える。バレたらあかん、撮られたらあかん。…外での触れ合いは出来る限り避けた方がええよな。男同士の親友の距離感てどんな感じやっけ。簓とばっかり一緒に居ったから正直わからへん。ぐるぐる際限なく回るそんな不安事と心配事――を止めてくれたのは件のデート相手 簓本人だった。震える手元のスマホ、画面を見れば彼らしい文面とスタンプ。いつもと変わらぬ彼の様子――否、いつもより幸せそうに見える彼の様子にじんわりと胸が温かくなって軈て霧散する緊張、ぽっかり消えたそこを埋める安心感。…そっか、気負わず楽しめばええんか。彼が画面閉じたのを見て釣られるように己も画面閉じポケットへ仕舞い込む。目線を下へ下げたなら彼だけを視界に入れて、ふわりと笑みを零した。…車内アナウンスを聞きながらゆったりと足の疲れ解す振りして足踏み、密やかに彼の足と遊び。気が付けば次は目的の駅で、）

　

（彼から貰ったデートの誘い。ドキドキと胸が高鳴るのは何も楽しいからだけではない。実は密かにこのデート、目の前の彼をリラックスさせ日頃の疲れを少しでも落として、気分転換をさせてやれるかを自分にミッションとして課せてみた。こうしてこんな時でも俺の事まで意識を回して気遣ってくれる彼を、心の底から笑かせたい。家で寛ぐのとはまた違う開放感や特別感を感じて欲しい。今日一日めっちゃ楽しかったわ！と思わせたい。車内アナウンスが目的の駅名を告げた。スマホをポケットに直し込んだら、そっと彼のカーディガンの裾を引いて。――俺の所為で、かつて同じ道を目指していた彼は人一倍気に掛けて気を遣ってくれてしまうから。有難くて幸せだけれど、別に悪い事をしているわけではないのだ。何の変哲もない買い物デート。触れ合って言葉を交わしたって良い。しっかり目線を彼に投げ、遮るものがない愛おしい夕焼けを見詰めながらふわり囁き掛けて、）…もう着くな。降りる？

　

…うん、降りよか（柔らかく耳を打つ小さな彼の声。こんな声ならテレビで聞くそれとは印象も違って聞こえる、かもしれない。自身はもう聞き慣れてしまったからよくわからないけれど、周りの人らは気にした様子もないから多分気付かれていないんだろうと思う。ゆっくりと速度を落としてホームに入ってゆく電車に気付けば彼の問いに目を見詰めて首肯。そっと答えたなら間に挟んだ彼の足を踏まぬ様にそっと身を引き、吊り革を手放した。扉が開けば人の流れに沿って下車。後ろに彼が居ることを確認したなら人の邪魔にならぬ程度の速度で二人並んで改札口の方へ足を運び、各々ICOCAで通り抜け。――さて、後は買い物をしていくだけ。何処から回ろうかと思考回しては食器の様に重くて嵩張る割れ物は最後にすべきだろうと一人頷き、次いで彼に簡単な提案を）な、最初は服でも見いひん？お前のセンスで俺の服選んでや（ふへ、）

　

おっ、ええで！俺のセンスー？よっしゃっ、相方の為に一丁本気出したるかぁ…ビッカビカのオーダーメイドスーツ見繕ったろ！（電車を降りた事で、車内よりも朗らかに彼と会話が交わせるのが嬉しくて ぐっと伸びをする様に上に伸ばした手は頭の後ろで組みながらご機嫌で戯けて。お喋りが出来ないのは少し窮屈だが、もっと長い時間ゆっくりと乗車して、ボックス席に座って外の景色を眺めたり弁当を食べたり…そんなんもしてみたい。なんなら新幹線でもええ。いつか遠出して温泉なんか行きたいなぁって話したし、盧笙孝行や。休みが合うたら連れてったろ。未来の予定に心躍らせながら人通りが少ない事を良いことに、隣にピッタリと並んで彼の歩みに合わせながらそっと声を掛けた、）…ろしょ。さっき、おおきにな。ほんっまお前男前やなぁ…（ふへ、）

　

あほぉ、そんなお高いもんは求めてへん。もっとカジュアルなもんが欲しいねん（明るい声が鼓膜を打って、けれどその内容に苦笑が浮かぶ。オーダーメイドてどれくらいするんやろ、薄給の教師には聞くのさえ怖い。彼が自然と隣に収まればゆったりと近隣の商業施設の衣類売場へと足を向けつつ 柔らかな声にぴくりと反応して。そわり、落ち着きなく目を泳がせたならほんの微かに頬上気させ）そんな染み染み言われると恥ずかしいねんけど。…当たり前のこと、しただけやし。礼を言われるほどのことやあらへん（口内でもごもごと言葉を返せばそんな気恥ずかしさ誤魔化すように顔へ力入れて顰め面…、）

　

あっはは！そういうとこ…ほんま好きやで。ありがとお（若い頃はキッと尖っていた彼、今でこそ その凛々しさは残すものの己に負けず劣らず眉の表情が豊かになった気がする。一緒に居ると似てくるってこういう事なんかな。白黒ならぬ、頬が白赤するのも可愛らしいし、それを誤魔化す顰めっ面も不器用で愛おしい。伝えねばならぬことはしっかりと直球で言葉にしなければならないのだと、俺も歳をとって学んだ。話は逸らさずまろい声でそっと告げる感謝は愛情に包んで贈って。後は空気を変える様にパンッと手を叩いては明るく声上げて、）カジュアルなぁ、よっしゃ任せーい！うちの盧笙は土台がええから何でも似合うし、選ぶんも楽しみや！（うりうりと右隣の彼を肘で突きながら歩み進めて、）この感じやと、もう夏物も置いてんのやろなぁ…俺もええのあったら買お。

　

…簓のアホ（柔らかく真っ直ぐ届けられる愛情が照れ臭くて安易な憎まれ口しか叩けず、それでも己が彼を憎からず思っているということは傍から離れない自身の態度と顰めた顔の緩みでわかってくれている筈。――鳴らされる手にパッと雰囲気変われば表情もまた晴れやかに。小突いてくる肘を軽く遇いながら戯れるように肩同士ぶつけ返してみたり、）せやなぁ、暑なるんもどうせ直ぐやろ。夏物中心で見ていこか（ぽやり考えてはのんびり言葉零しつつ、ふと動かした視線の先に施設案内板を見つけたなら手早く目を通して）…っと、メンズ服はこの階の上やな。エスカレーター乗ろ（ちょん、と手を繋ぐ代わりに彼の服の裾掴んでは緩く誘導する様に引っ張り、）

　

（憎まれ口を受け止めて悪戯っぽく笑う。楽しげに密やかな戯れ合いを交わしながら歩けば、デートっぽいなぁ、いやデートやけど、なんてどうしてもほわり嬉しさが脳内を支配する。マスクの下はゆるゆると幸せに緩みがちだ、）ほいほいーっ（軽い返事をして彼に誘導されるままエスカレーターへ。彼へ先を譲り、ちらり乗りすがら案内板へ目を通してあっ靴下見たいな なんてふと思いつつ彼の背を見詰めた。俺より少し高い背が、更に高くなって男として何だか憎らしくもあるのだけれど その大きな背中から滲む安心感にほっと小さく息を吐いた。そしてさっきのお返しに、何とはなく彼のカーディガンをそっと摘んで引きながら階に着くのを待って…、）

　

（エスカレーターへ乗るなり自然と右側に立ち、ゆったりと目的の階を見上げる。…と、不意に服が突っ張る感覚。そっと後ろ手に犯人の手を掴んでやる。何食わぬ顔で きゅ、と優しく包む様に触れたまま辿り着いた階でエレベーターから降りれば、再び緩やかに手を解いて彼の右隣を陣取り。一先ず色々見回ってみようと様々なブランド店立ち並ぶ通路を歩き出し、）……外出着は勿論欲しいけど、後で部屋着も見たいな。夏用に薄くて軽くて着心地ええやつ（とは言えいつもの様に引っ付いて眠るならそれもどうせ暑過ぎて脱ぎそうだけれど。一応、念の為。ふわふわ頻りに視線を動かして最近の流行りをチェックしながら、目星を付けていた店までの道を進み ）

　

（密やかに交わす触れ合いにキュンと胸が高鳴る。優しく握り込まれた手が解かれた後も自然に隣に、定位置に立ってくれる彼が嬉しくて胸の高鳴りは小さな甘い痛みに変わった。何ぼ一緒に居っても初恋気分やなんて、どうなんやろ…と心の中で呆れ気味にふはり笑って。彼と居ると些細な事にも一々幸せを感じてしまう。俺も可愛らしいもんやで――）あっ、ええな。俺の常夏Tシャツもヨレヨレやねん。俺らいっつも部屋着 適当なん着とるやろ？一個くらい上下セットのやつとかあってもええよなぁ（過ぎ行く店を眺めながらふと、未だに高校のジャージを引っ張り出している事を思い出して彼に歩み合わせつつふふっと笑み混じりに提案、）ま、普段シャキッとしとる分 古着とか緩いの着てる盧笙結構好きやけどなぁ（くふ、）

　

上下セットは確かにあった方がええなぁ。部屋着や思て適当に着るから組み合わせとかぐちゃぐちゃで、そんな格好やと近所のコンビニもよう行かれへんもんな（彼の提案に首肯して見せれば頭の中の買い物リストに追加。こうやって考えてみると存外欲しいものは多いのかもしれない。一人暮らしなら多少の不足程度何も気負わずに居られたものの、彼と暮らすとなれば身の回りの物はきっちり揃えてやらねばと思うのだ。芸人なんて職業は規則正しい生活とは言えない。だからその不規則さをせめて自宅ではリセットさせてやりたいと思う。決まった時間に寝て起きて、朝昼夕の食事はきちんと摂って。準備万全な状態で活躍する彼を見たくて――）いやだって、家ん中でまで堅苦しくしてられるかっちゅーねん（好きという言葉が耳に入れば何だか気恥ずかしくてむっと唇僅かに突き出し小さく返答。そうこうしているうちに自身のお目当ての店に到着。揺らり視線動かしのんびり物色し始めて、）

　

せやろ？やから、俺は何着とってもコンビニ行けるで！別に高校のジャージでもヨレヨレTシャツでも仲良う手繋いでいけるし、おつかいだって熟したるし（でもそれ盧笙がさせへんもんなぁ、と横から緩り首を傾げて柔く問い掛けながらくすくすと楽しげに笑う。人前に出る仕事をする以上身なりにも気を付けるし、世間体だって一応大事にはしている。が、彼はそれ以上に、自分の事の様に過保護にすらなってくれるのだ。「マスクせぇ」「ちゃんと帽子被れ」「あんまりデカい声出すな」とか、此処へ来るまでの電車内だってそうだった。正義感があって、自分の決めた事を真っ直ぐに信じていて、そして優しい彼が大好きだし、俺ん中の太陽はいつだってお前や！――と思うのだ。そんな彼の後を離れず着いて行きながらも自身もキョロキョロと視線巡らせ物色。時折立ち止まり商品にそっと触れて、じっくり観察して品定めしながら久々のゆったりしたショッピングに心躍らせ、）