《ヒプマイ》せんせえ、お呼び出し！《オオサカ》

（彼から貰ったデートの誘い。ドキドキと胸が高鳴るのは何も楽しいからだけではない。実は密かにこのデート、目の前の彼をリラックスさせ日頃の疲れを少しでも落として、気分転換をさせてやれるかを自分にミッションとして課せてみた。こうしてこんな時でも俺の事まで意識を回して気遣ってくれる彼を、心の底から笑かせたい。家で寛ぐのとはまた違う開放感や特別感を感じて欲しい。今日一日めっちゃ楽しかったわ！と思わせたい。車内アナウンスが目的の駅名を告げた。スマホをポケットに直し込んだら、そっと彼のカーディガンの裾を引いて。――俺の所為で、かつて同じ道を目指していた彼は人一倍気に掛けて気を遣ってくれてしまうから。有難くて幸せだけれど、別に悪い事をしているわけではないのだ。何の変哲もない買い物デート。触れ合って言葉を交わしたって良い。しっかり目線を彼に投げ、遮るものがない愛おしい夕焼けを見詰めながらふわり囁き掛けて、）…もう着くな。降りる？