ありったけの砂糖を貴方に　/　〆

あ、おはようございます。 … 俺そんなに死にそうな顔してますか ？、 みんな心配してくれるのは嬉しいですけど、 ( 眠気覚ましの目薬をしてはぴりりと染みる清涼感に眉間にシワを寄せて。ティッシュで目元を拭き取り、スッキリした感覚はあるも気怠さは消し去れず、あとでエナジードリンクでも買うかと思っていると、通りすがりの相手に話しかけられれば、やはり他の人と同じようにこの寝不足の顔が気になるらしい。やっぱり朝から想いを寄せている人に話しかけられるのは気分がいいことでへらりと微笑む。 心配されるのは嬉しいが、特に相手には心配されるわけにはいかないので、 「 昨日はちょっと夜更かししちゃったんですよ。 クマも出来やすいんですよね、心配しなくても大丈夫ですよ。 」 と手をひらひらさせながら言って。 )

気怠そうな顔してんぞ。… まあ、それならいいけど。無理すんなよ、仕事でミスしても手伝ってやらねぇからな。（　 自分が話しかけると、先程までの怠けた顔から少しだけ普段の相手に戻り。相手の言葉を信じるしかないので、クマが出来やすいという言葉と心配しなくても大丈夫という言葉をを疑いなく信じ。こんな調子で仕事はミスしないだろうかと気になり、小さな溜息を。手伝ってやらない、とは言ったが結局手伝ってしまうのが自分。せめてもの確りしろという脅しで冷たい言葉と態度をとり。相手のデスクから去ると、珈琲を買ってから自らのデスクに戻り、淡々と仕事を進め。昨日仕事を進めたお陰で、早めに昼食を取ることができそう。一足先に昼食を買う為にコンビニへと向かうと、相手用にエナジードリンクも購入し。途中で相手のデスクに立ち寄り 「 お疲れ 」と言ってエナジードリンクを置いて。　 ）

はは、頑張りますよ。気にかけてくれてありがとうございます。 ( 相手に話しかけられた事で少しやる気が湧いてきたのか表情の元気は戻ってきて。そうだ、仕事なんだミスしてはいけないなと意気込みつつ、気にかけてくれたことに対し感謝を。よし、と小さくガッツポーズを取り仕事に取り掛かるも、やはり気怠さからか作業は遅く、午前中に終わらせなければならない仕事がなかなか終わらず眉をしかめながら画面を見て。デスクに置かれたものを見て、そして置いてくれた人を見上げれば、先程は冷たい言葉であったのに本当に優しいなと嬉しくて表情が綻ぶ。 「 ありがとうございます、惚れ直しちゃいます。 」 なんて礼に次いでぽろっと口から出てしまうがあまり周りを気にせずに言って。 )

… お前な、場所考えろ … ! （　 エナジードリンクを差し入れし、お礼を言われるまではよかった。それで終わりかと思えば、惚れ直しちゃいますなんて言われてポッと顔が赤くなった効果音でも出たんじゃないと思う程、その言葉で一気に恥ずかしくなり。周りは聞いていなかったようだが、自分が上記を少し大きめの声で言ってしまい視線が集まる。何でもないです、すみません … 、と周りに軽く頭を下げ。相手をちらりと見た後に 「 仕事終わったら連絡な 」とだけ言ってから足早にデスクへと戻り。昼食は数少ない仲のいい同僚と食べ、午後からも余裕を持って黙々と仕事を進め。　 ）

はは、すみません。 ( 自分の言葉の後瞬間で真っ赤になった相手の顔を見れば、可愛いなぁ、と言いたくなるところを会社だからと耐え、あまり済まないとも思っていないが一応謝罪を。視線を集めてしまえば、あまり目立つことをすると相手が怒ってしまうかも、と思いつつもっと恥ずかしがっている相手を見たいというのもあって悩ましいと思うもどこか嬉しそうで。 「 …！、 はい！ 」 仕事が終わったら、今日は相手との映画デートである。一気にてんしょんが上がり、すぐにデスクに戻ってしまう相手の背中を追って。 が、途端に、その映画はホラーだったと気付くと固まって。どうやって乗り越えようか、なんて考えながら仕事をしていると、当然のごとくミスをしてしまい、今回は自分で気付いたから良いものの、時間がかかりそうで。せっかくのデートなのに、と頭を掻き、もらったエナジードリンクを飲みながら、どうにか定時に終わらせようと昼も気を使って同僚がくれたお菓子ぐらいで済ませて、画面とのにらめっこを続け。 )

（　 仕事でミスしても手伝わないと言ったのは自分なのに、仕事中は相手のことが気になって仕方なく。ミスはしていないだろうか、上司から怒られていないだろうか。相手のことばかり心配していては自分もミスをしてしまうかもしれないので、一先ずは目の前の仕事に集中し。 定時ぴったりに終わらせると、ぐーっと伸びをしてから『 仕事終わった 』と相手にメッセージを送り。何時の回を観ようかとホームページを見ていると、観ようと思っていたホラー映画は公開から日が経っているため、今から観れる回はなく。事前に調べておかなかった自分のミスに溜息を。仕事が終わった連絡を送った後直ぐに 『 すまん、どれが観たい ？』とURLも一緒に送り、相手に観る映画は任せようと。　 ）

( 上司に見せる前に気付いたとはいえ初期の方のミスだった為そのあともやり直しに追われる。 ふとスマホに通知が来ているのを見ると、相手が仕事が終わったとのこと。はたと時計を見れば定時になっていて、さすがだと思うも、自分は急いではいたがやはりもう少し時間がかかりそうで。 返事をしようとするとすぐに相手からURLが送られてきて、あれ、ホラーを見るんじゃないのかと首を傾げる。URLを見ると、その時間帯に昨日の映画はなく、ああやっていないのかと納得がいって。一応ホラーを観に行くと言っていたし、苦手は克服するものだと意気込み、丁度友人がそんなに怖くないと言っていた映画をチョイスして、 『 これにしましょう！、 で、なんですが、俺まだかかりそうで … すぐ終わるんで、待っていてもらっていいですか ？、 あ、激励の言葉とかくれちゃったらもっと頑張れます ！、 』 ともう少しかかりそうなのと、ホラーでもやる気を出せば乗り越えられるだろうという開き直りで調子のいいこととを打って送れば、すぐさまキーボードを叩きだして。 )

（　 家に帰ったら自炊もするし、趣味であるゲームをする時間もほしいので定時に帰ることを第一の目標として日々頑張っていて。今日も普段通り仕事を定時に終わらせると、早速相手に連絡を。少ししてから返信が来たので、内容の確認と観ることが決まった映画を確認し。相手が選んでくれた映画を確認すると、これまたホラー映画。先日の様子を見る限りホラーは苦手そうだったが、めげずにホラー映画を新たに選んでくるところは根性があって気に入り。もしかして相手に甘すぎるのかと思え。『 了解。適当に暇潰してる。調子いいこと言ってる暇あるなら、早く仕事終わらせろ 』と返信をすれば、最近ハマっているアクションゲームアプリを開き。イヤフォンを付けて、相手から連絡があるまでゲームをして暇を潰し。　 ）

( 激励の言葉をくれるかなーなんて期待して待っていると、かえってきた返事の中にはそういった言葉はないにしろ、いつも通りの相手の言葉に笑みをこぼして。 『 速攻で終わらせます！、 』 とだけ返し、腕まくりをして気合いを入れ直す。かたかたとキーボードを打って時折眉をひそめながらもなんとか終わらせられたのは定時から一時間後ほど経ってからで。流石にこればかりは待たせ過ぎてしまって、帰ってしまったのではないかと焦りを覚えて荷物をまとめると立ち上がり、焦り不安げな顔のまま相手のデスクの方へ向かって。 )

（　 ゲームに一区切りついて時計を見ると、既に時刻は定時から30分を過ぎていて。遅いと思いつつ、相手のことを待ち続け。ゲームの次はデスクを片付けたり、コンビニに行ったり、同僚と話したり … 様々なことをして暇を潰すが、相手から連絡は来ず。それでも健気に待っていると、気が付けば一時間経ち。そろそろ大丈夫かと連絡をしようとしたところに、不安げな顔で急ぎ足にデスクに向かってくる相手の姿が。自分も鞄を持つと相手の元へ歩き 「 ったく、遅い。遅すぎる 」と文句を。そんなことを言いつつも待っていたのは事実で。　 ）

すみませんすみません…、 でも、待っててくれてありがとうございます。 ( こんなに相手を待たせてしまったなんて、怒っているだろうか、もしや映画にはいかないなんて言われてしまうんだろうか、と不安になり項垂れ数回謝罪の言葉を口にして。 でも、ここまで待っていてくれたということは、期待していいんだろうか。 都合よく取ってしまいたい欲が抑えきれず、待っていてくれたことに礼を一つ。 「 行きましょう、か。 」 お互い荷物も手にあることだし、都合よく受け取ったは良いもののちょっと不安も残るのか遠慮がちに映画館へ向かおうと促して。 )

別に。約束を破るのが嫌なだけだからな。（　 待ってていたのは事実だが、それを改めて言葉にされて礼まで言われると調子が狂う。相変わらずの素っ気ない態度を取り、自分が映画を楽しみにしていたなんて勝手に勘違いされては嫌なので、待っていた理由をちゃんと言い。行こうと言ってくれたのはいいが、どこか不安げな様子の相手を不思議に思って。「 何不安げな顔してんだよ。行くなら早く行くぞ 」と言って相手を置いて先に歩き出し。会社から出ると外は既に薄らと暗くなっていて。相手はいつも電車と言っていたことを覚えていて、それなら映画館へ行くまでは自分の車だろうと。これまた相手より先に歩き出しては駐車場に向かい。　 ）

そう、ですよね、約束でしたもんね、 ( 素っ気ない感じに対応されても、自分との約束をちゃんと破らずにいてくれたことが嬉しくて、でも申し訳なくて…と、様々な感情が入り混じりうーんと眉を寄せてなんとも微妙な表情をして。 「 は、はい！、 …あ、そっか先輩車でしたよね、… 乗せてくれるんですか？、 」 相手が先に歩きだしては後を追いかけるように歩いて。外に出てはいつも自分が行く方向とは違う方に行くので、そこで相手が車での通勤だと思い出し追いかけている間に、相手は何も言わないが乗せてくれるんだろうかと調子に乗りつつ、確認をと相手の様子を窺いつつ首を傾げ問いかけて。 )

乗せるから駐車場まで来てんだよ。見れば分かるだろ。（　 駐車場まで来て何を確認してるんだと呆れ。停めた辺りまで行くと、見渡して自分の車を探し。鞄から鍵を取り出して、自分から先に乗り込み。前までは変に気を使ってラジオも音楽も消していたが、相手に慣れた証拠なのか無駄に気を使うのをやめ。これは自分なりの不器用な距離の詰めた方で。車内にはお気に入りのラジオが流れていて。相手が乗り込んだことを確認すると 「 寝不足だろ ？ 着いたら起こすから、寝てていいぞ 」と言ってから車を走らせ。距離はそこまであるわけではないが、少しでも寝た方が楽になるだろうと思い。　 ）

ありがとうございます …！、 ( 言葉数が少なくてなんだか不安にもなったが、でもそれは相手なりの気遣いだったり優しさだったりが際立っていることに気付くと、其れを知っているのは自分だけかもと調子に乗れば不安そうな表情は一気に晴れて。お願いします、と声をかけながら乗り込むと、ラジオが流れていて、今までこういうのなかったが、相手の好きなものであれば知りたいという気持ちはあり、今知れたのかもと思うと嬉しくて。 「 え、… じゃあ、お言葉に甘えて、すみません。 」 隣に座っているのに申し訳なさもあるが、あまり遠慮しすぎるのもと思い、苦笑いを浮かべ謝罪を一言告げると、そっとまぶたを閉じて。 )

（　 相手が瞼を閉じると、ラジオのボリュームを下げ。車を走らせていると、途中の信号待ちで相手の方をちらりと見て。瞼を閉じているので、寝ているのだろうかと思いつつ。寝ているか確認をすれば、万が一寝ていた場合起こしてしまうので、そっとしておき。改めて見ると顔は整っていて、女子が好きそうな所謂イケメン。相手と付き合いたい女子は何人もいるだろうが、相手が好きな人は自分か、と思うと何だか勿体なく感じ。そういえば、相手と自分ってどんな関係なんだろうかと考え始め。少なくともただの先輩と後輩ではないはず。だからといって、自分の中ではお付き合いしているわけではないし … と考えていると、いつの間にか目的地まで残り少し。駐車場まで着くと 「 … おい、三好。起きてるか ？ 」と相手の肩を優しく2回ほど叩き。　 ）

( 相手の言葉に甘えて目を閉じれば、相手が隣にいる事で安心したのかすぐに意識は遠のいていき。 寝る直前まで相手のことを考えていたからか、夢の中に相手が出てきて。何だか幸せな気分で、一緒にいるのが夢みたい、だなんて思っていると、まさか本当に夢だったりして、と不安が募れば、眉を潜めて。 声をかけられ肩を叩かれると、ゆっくりと目をあけ、その手の主を見れば、やはり夢ではなくて、思わず手を握ってしまうとふにゃりと微笑んで、 「 夢じゃなかった、 」 と寝ぼけ半分に呟いて。 ハッとして意識を覚醒させると、車は駐車場にあり、もう映画館に着いたのだと気付く。 運転ありがとうございます、と声をかけ車から出ると少し腰を伸ばす。 )

ったく、どんな夢見てたんだか。（　 相手を起こすと、寝起きのふにゃふにゃな笑顔を向けられ、おまけに手まで握られてしまい。寝ている最中に眉を顰めていたと思ったら、笑顔で手を握ってきたのでどんな夢を見てたのか気になり。手を握られると恥ずかしくて目線を逸らし、いつもに増してツンとした顔に。これも嫌というわけではなく、単なる照れ隠しで。車から降りるために手を離すと、伸びをする相手を横目に鍵をし。寝起きの相手に合わせて、少し遅めに歩いて映画館へ。到着時間が丁度よく、あと15分ほどで観たい映画の入場が始まるようで。大人用でチケットを二枚購入すると、相手に一枚渡し 「 お前って、映画でジュースとかポップコーンって買う派 ？ 」と聞きながら入場口近くの売店に目をやり。　 ）

先輩が出てきた夢だったので、もし全部夢だったら嫌だなって。 ( どんな夢か、と言われたら覚えているのは相手が出てきたことぐらいしか思い出せず、酷く安心し過ぎて内容を忘れていて。現実と夢とが混じり困惑もあるが、口付けした感触を忘れることはない為相手が自分と一緒にいることが安心の元となり。 相手の後をついていくと、映画館の独特な雰囲気を久々に感じて。チケット売り場で相手が二枚購入しているのを見ていれば財布を出すのが遅れ、 「 今現金持ち合わせなくって…、あ、先輩は何か買いますか ？、 俺そっち払いますよ。 俺は良く炭酸飲みます。 」 と眉を下げ申し訳なさそうにチケットを手にして。 相手の視線の先を追うと売店があり、代わりに何か相手の好きなものを買おうかとそちらに足を向けながら問いかけて。 )

ふーん、俺の夢ね。よかったな、夢じゃなくて。（　 自分の夢を見ていたなんて知れば、羞恥で反応に困って、自ら質問したのに素っ気ない返事をし。何やら相手も安心しているようだし、幸せそうなのでそれでいいかと思え。「 映画のチケットぐらい、先輩として払うのは当然だから気にすんな。… ならお言葉に甘えて … じゃあ俺はオレンジジュース 」自分も先輩としてのプライドで映画のチケットを二枚購入したので、相手にもプライドがあるだろうと思って、相手の言葉に甘えることに。売店の前まで行くとメニューを見つめ。この中ならオレンジジュースが一番好きで。自分はオレンジジュースにすると。　 ）