ありったけの砂糖を貴方に　/　〆

先輩 …、 … ありがとうございます。 じゃあ、買ってきますね。 ( 先輩として当然のこと、と言う言葉が引っかかり、自分たちは先輩後輩の関係ではあるが、口付けもしたし、好きとも言って…とその場で考えを馳せてしまう前にとりあえずお礼を言ってから、レジに小走りで行くと自分と相手の飲み物を購入して。その間、自分たちはどんな関係なのか、と考える。告白はしたけど、付き合ってとは言ってないし、そもそも興味が湧いてくれただけで付き合うとはまた別なんじゃ、といろんな思考が頭を巡り、結局飲み物を相手の手に渡すまで結論は出ず。ならいっそ映画を観ながら手でも触れて、繋ぎ返してくれるか試してみようか、なんて思い浮かべていると、入場が始まっていて、行きましょう、と一言言うと飲み物に口をつけながら歩き出そうと。 )

… ん、ありがと。映画の時間丁度よかったな。（　 何か相手の様子がおかしい、というか何かを考えている様子を見て不思議に思うがチラッと見ただけで敢えてスルーし。ドリンクを受け取るとお礼を言い、映画の案内モニターに目をやり。既に入場は始まっていて、時間的に丁度よく。相手の言葉を合図に付いていくと、チケットに書かれた番号の席へ。一番後ろの真ん中の席と、なかなかいい場所。自分達が入場した時には既に入場開始して少し経っていたので、席についたら他の映画の予告編が始まり、辺りは薄暗くなり。久しぶりに映画館で映画を見る、しかも大好きなホラー映画なので胸は高鳴り。周りに迷惑をかけないように小声で 「 怖くて泣いたりするなよ ? 」と小馬鹿にするように話しかけ。　 ）

そう、 … そうですね、楽しみですよ ！、 ( 相手に飲み物を手渡し、ふとチケットを見ると、そこにはホラー映画の名前が。いやわかりきっていたことだしむしろ自分で行くといったんじゃないか、と言い聞かせるが、不安しかなく、時間のちょうど良さに頷こうとするも一瞬詰まってしまい。がここで逃げたら男ではないと意気込んで楽しみだなんて言ってしまい。席について座ってもなんだか落ち着かず、相手に気付かれないように深い呼吸を繰り返して。 「 別に、ホラー映画くらい大丈夫ですよ…！、 」 小声で話しかけられたかと思えばからかわれてしまい、なんのと強がった言葉を小声で返して。 じきに真っ暗になり、不穏な音と共に映画が始まる。いける、と思っていたが序盤の雰囲気だけで背筋が凍り、小さくヒッと声あげたり、目元を抑え指の隙間から見たりとなんとか頑張っているのが見え見えである。 )

（　 相手は楽しみだなんて言っているが、相手がホラー映画が苦手なことは前から薄々気が付いていて。カッコつけて無理しているんだな、ということがバレバレ。それもあって小馬鹿にするように話しかけ。「 ホラー映画くらいな、その言葉忘れないからな ? 絶対に泣くなよ ? 」と意地悪く言葉をかけ。いやまさか泣くとは思わないので、自分としては本当に弄っているだけのつもりで。少ししたら映画は始まり。ホラー映画の内容は怖いのに、隣で必死に頑張る相手の姿は可愛くて何だか愛着が湧いて見ていて面白く、クスッと笑いそうになるのを堪え。この相手の様子だと映画が終わるまで持つのかと心配になり。映画の内容よりも相手の反応の方が見ていて面白く、スクリーンを見つつも時折バレないように横目でチラチラ相手の様子を窺い。そのうちに、本当に心配になってきて。　 ）

な、 泣きませんよ、 子供じゃあるまいし、 ( なんていいつつも子供の頃は散々泣いた記憶があるので自信を持って泣かないとは言えずに。が、泣くのは格好がつかないので意地でも我慢をと内心意気込む。 映画が始まってから、ほとんど暗い描写の中、なるべく相手にバレないようにと身体をかたくしていたものの、小刻みの震えは止まらずにいて。 怖いが、これなら相手の前であればなんとかなりそうだ、と思っていた矢先、急に驚かせるような描写があり、周りの客も驚いて肩を揺らす中、 「 うわぁあ、！ 」 なんて素っ頓狂な声が出てしまう上に、怖すぎて思わず隣の相手の腕に軽く縋ってしまい。 そのあともぎゅっと相手の腕から手を離すことはなく、終盤なんてむしろ震えが止まって固まっていて。 映画が終わり、館内が明るくなったところでやっと我に返ると、思わず縋ってしまっていた手を離し、視線を泳がせてこれではもう怖いものが平気だなんだと言っていられず。 やってしまった、としゅんと肩を落とし縮こまれば、 すみません、 と情けなさそうに呟いて。 )

（　 急な驚きに、さすがの自分もビクッと肩を揺らし。が、自分が吃驚したのは映画の演出ではなく、急に声を上げて腕に縋ってきた相手に対してで。急に腕を掴まれたのだから誰でも驚くだろう。相手はどうやら本当に怖そうだったので、腕を振り払うこともなくそのままにしておき。暫くして映画が終わり明るくなると、自分の腕にしっかりとしがみつく相手。映画の内容よりも相手の反応の方が見ていて面白くて、初めて相手の前でぷはっ、と吹き出すように素で笑い。少し笑った後に不意に我に返り、こんな人前で笑うことは久しぶりなので恥ずかしさがあって、ゴホンと咳払いをして何事もなかったかのようにしようとし。席から立ち上がり 「 もうこんな時間だし、夕飯食っていくか 」と先程笑ったのは完全に自分の中で抹消し、いつも通りに戻り。確か隣にはファミリーレストランがあったので、そこで夕飯を済ませようと提案を。一先ずは館内を出て、入口付近へと移動。夕飯を自分から誘った本心は帰ってから夕飯を作るのが面倒臭いからという理由もあったりなかったり。　 ）

笑わないでくださいよ …、 ( ホラーなんて余裕、とか言っていたし思っていたけどいざ目の前にするとやっぱり無理で、みっともない姿を見せてしまったことに後悔をしていて。だが相手はそんな自分を見て引くでもなく見たことない笑顔で笑うものだから、不覚にも胸が高鳴って、思わず見入ってしまい。 だが笑われてしまうとなんだか恥ずかしいので、上記呟けば不貞腐れたような表情を。 たちあがった相手の表情はいつもの表情に戻っていて、さっきのはだいぶレアだったなぁなんて、相手の横を歩きながら思っていて。 「 はい、ぜひ ！、 なんだか先輩と飯食べる機会が最近一気に増えて、俺嬉しいです。 あ、なんなら明日からの昼飯も … って、先輩割と同期の方と食べてますよね、 」 夕飯まで一緒できるなんて、ホラーに耐えた甲斐があったなと思うと自然と足取りが軽くなる。 なんだか一緒に食事をすることが最近増えている気がして嬉しくて調子にのってこれからも、と思うが、そういえば相手はいつもだいたいだれか仲の良さそうな人と食べているのを思いだし、ちょっと羨ましいなと思いつつ。 )

… あー、アイツか。物好きだよな、俺と昼飯食うのを自ら言ってくるなんて。（　 先程までホラー映画でビクビクしていた同一人物かと疑いたくなる程、夕飯を誘ってからの相手は足取りが軽く。昼は静かに一人で過ごしたいのに、やたらと自分のことを友人として好いてくる同期がいて。毎日のように誘ってくるので、アイツなんて言って直ぐに思い浮かび。自分のことを低評価しすぎなので、毎度のように今回も自分なんて、が基準。こんな自分と昼から一緒に居たいなんてどいつもこいつも物好きだと。上記をたらたら話しながら映画館を出ると、直ぐ隣にあるファミリーレストランへと向かう。店内に入ると、満面の笑みで迎えてくれる可愛らしい店員さんに二人だと伝え、席まで案内してもらい。メニューを見ながら 「 今回の映画、当たりだったよな。日本特有のホラーで俺は好きだった 」と先程見た映画の話題を振り。　 ）

仲良いんですね。 先輩は謙遜しすぎですよ、 俺いつも言ってるじゃないですか、先輩は魅力的だーって。 ( 相手の口ぶりからして仲が良いんだな、と頷くも、やっぱりどこか羨ましくて。自分だって相手と2人でもっと食事したいのに、とないものねだりを頭に浮かべつつ、いつものように謙遜する相手の言葉に呆れたようにため息をつくと共に上記を。 ファミレスに入り、席につけばメニューを開き、腹減ったなぁなんてさっき映画を観てきたことを忘れたかのように相手との時間を楽しんでいると、相手の口から映画の話題が。 その一言で内容を思い出すと、ぶるっと体を震わせメニューに顔を埋め、しばし唸った後、 「 日本特有のなのがダメなやつっすよ …、 むしろ海外って方が無縁だからマシです。 俺またねぶそ、 いやー、先輩は本当に好きなんですね、ホラー。 」 見栄をはるのは諦めたのか、眉を下げ、相手の感想を聴くと首を横に振って。 がうっかり自分が寝不足であった理由を口走りそうになり、すぐに話題を変えて。 )

仲良い … ま、並にな。んなお世辞に流されるほど簡単で単純じゃねえよ。（　 心から許した人ではないと仲がいいと堂々と言えないので、並になんて可愛げもない言葉で表し。この自分が少しでも仲がいいことを認めたんだから、本当は自分からも仲がいいと思っているんだろうなと。相手は毎回何に関しても自分のことを褒めてくれ。それはきっと自分が相手よりも先輩だから言ってくるお世辞なんだと思い、素直に受け止めてなく。元からかなり自分に自信がなくて低評価しているので、素直に言葉を受け止めることは未だ出来なくて。先程までの映画の話を振るのが一番無難だと思い振ったが、相手の様子は明らかに変わり。反応が豊かで見ていて面白いな、なんて呑気に考えつつ「 あの日本のじわじわ来る怖さがいいんだろ ? 海外のドッキリみたいなホラーは邪道 」なんて話し始め。途中で何か言いかけている様子だったので気になるが、止めたぐらいなので深くは問いたださず。注文するメニューが決まるとメニュー表を閉じ、先程言いかけたのは何だったのかと不思議そうに相手をじっと見て。　 ）

お世辞じゃないけど … まぁいいっすよ、 簡単で単純だったら先輩じゃない気がするんで。 ( 並みに、なんていうが、かなりの頻度で食事に行っているわけだし、はっきりと仲がいいと言えないんだろうか。 お世辞というわけでは全くなく、実際惚れた部分でもあるのではっきり否定したいが、聞き入れてもらえない気がして軽く息を吐き、それでさえも相手の個性であると笑って。 「 いやー、 … そういう、今の生活に直結しそうなホラーだと、夜気になって寝れないんですよ。 」 相手の言うじわじわ来るホラーが苦手であり、うーんと賛同できずに眉を寄せて目をつぶり。 ふと目を開けばこちらをじっと見つめてきて問いただすような視線を感じれば、言いかけたことを少し遠回しに言うとため息をついて。 )

釣れない方が惚れさせ甲斐があるだろ ？ 難しいゲームの方が燃えるし。（　 単純で簡単じゃない。自分でそんなことを言いつつも、流されやすくて断れない性格≒簡単で単純な性格なんじゃないかと思い。このままだと調子が狂いそうなので、随分と上から目線の発言をして強がり。大好きなゲームと例えて話し。「 … だから寝不足ってことか。そうならそうと言ってくれればよかったのに、何強がってんだよ 」相手が今日寝不足気味だったことを察し。そこまでホラー映画が苦手とは知らなかったので、言ってくれれば他の映画にしたのに、と。仕方ないし、今晩は夜まで電話でもメッセージでも付き合ってやるかと思い。それにしても、そこまで強がる必要があるのかと自分からしたら不思議で。店員さんを呼ぶと、ふわふわトロトロのオムライスを注文。相手は何にするのか注文を促し。　 ）

… 惚れさせ甲斐。 … 俺に惚れてもらいたいみたいな ？、 ( ふむ、と相手の言った言葉を口に出して反芻してみて、考え込むような素振りをして。 惚れさせ甲斐がある、ということは最終的には惚れてもらいたいということなのだろうか、なんて考えついては顔を上げ真顔で相手を見て首を傾げると。 店員を呼んだ相手に続き、ハンバーグ定食を注文するとパタンとメニューを閉じ元の位置へ。 そして途中だった話を少し気まずそうに続ける。 「 … だって、 男で怖いもの苦手って格好つかないじゃないですか。 後、そこまでしぬほど嫌とかではないんで、好きな人が隣にいるなら乗り越えられると思ったんすよ。 」 予想と違った結果になってしまい、しまいには隣にいる相手にしがみ付いたりなんかして、引かれてはいないだろうか、と不安な気持ちも捨てられず困ったというような表情で。 )

なんでそうなるんだよ。俺は別にお前に惚れてほしいって思ってねぇよ。（　 運ばれてきた水を飲みながら相手の話を聞き。相手の言葉は逆だと言わんばかりに指差し。相手に興味を持ち始めた時点で、既に相手に攻略されてるのかも、なんて思ったり。相手に続いてメニューを片付け。再び相手が話し始めると目線をメニューから相手に戻し。「 人によって苦手なものは違うんだし、別に引いたりカッコ悪いとも思わねぇよ。俺だって暗い所や高い所怖いし 」映画中にしがみ付いてきたのは吃驚したが、それで引いたりカッコ悪いと思ったりは一切なく。寧ろその様子は見ていて面白くて飽きなくて。人によって苦手なものは違うので、それを態々馬鹿にしたりしないと。恥じることではないと、自分も子供みたいに暗い所や高い所が苦手だと初めて人に暴露し。　 ）

惚れさせ甲斐って、… ああ！、 そっか、俺が惚れさせ甲斐があるってことっすね。 先輩は、すげー難しいゲームやって、燃えて、やり終わった後ってどんな気分ですか ？、 ( 自分はもうすでに相手に惚れているわけだし、と考えているとやっと答えに辿り着いては納得したように手を軽く叩く。たしかに難しい方がやりがいがある、という例えは分かるが、自分はきっと相手が惚れてくれたら達成感に溢れその幸せにしばらく浸るだろうし、その後ももっと相手を知りたいという欲で更にハマってしまいそうで。相手はどうなんだろうか、と疑問に思ったので、せっかくだしゲームの流れで問いかけてみると。 「 へぇ、暗いところダメなんですね。 俺は高いところも暗いところも大丈夫なんで、俺がいれば安心ですよ ！、 」 相手が珍しく苦手なことを自分から話してくれたのでなんだか嬉しく、自分は平気なため相手が苦手に感じていても大丈夫だと、自分を指差し言って。 )

クリアしたら … 達成感があって、すっげえ嬉しい。更にそのゲームが好きになりそうだよな。あと、もっと効率的な倒し方があったんじゃねぇかって思って、深く知りたくなったり … 。（　 自分の好きなゲームに関してのことを質問されたので考えやすく。少し考えた後、自分だったらと話し始め。達成感があって、気持ちよくて、もっと知りたくなって。顎に手を当てて考えながら上記をぽつりぽつりと述べ、考えが纏まると自分の中で確かにそうだと納得したように軽く頷き。「 何が安心ですよ、だ。お前と暗い所も高い所も絶対に一緒に行かないからな … ！ 」映画館などの画面でもなんでも明るさがあれば大丈夫だが、真っ暗な部屋は苦手。それこそ本当に今日の相手みたいに腕にしがみ付いたりしそうで。そんな恥ずかしい姿を見せたくないので、絶対に行かないと絶対という言葉を強調させ。　 ）

おー、 俺と全く同じ考えですね。 ちょっとびっくりしました。 やっぱり、“ 難しいゲーム “ って、燃えますよね。 ( 自分が考えていた事とほぼ同じことが相手の口から聞こえ、むしろここまで合うものかと驚きが隠せず目を丸くし。 相手にとっては難しいゲーム、という話だったが、自分にとっては対象が相手なので、同じような思いを相手に抱いていると、わざと強調するように言ってはにんまりと笑って。 「 えー、俺誰にも言いませんよ ？、 俺はもう先輩に格好悪い姿見られちゃってるんで、見ちゃってもおあいこです。 」 さっきまで異様に頑張って耐えていたホラーも、いざ格好のつかないところを見られてしまえばもう開き直ったのか、相手の気にするところを見ても、むしろ可愛いって思う気がして余計に見たくなって。 見たい、というと怒られそうな気もするので、見たとしてもお互い様だと。 そんなこんなで話していると2人分の料理が運ばれてきて、いただきます、と一言いうと大口で食べ始めて。 )

燃えるよな。けど、お前の難しいゲームって …… っ、ああ ！ もうお前何なんだよ。（　 相手の言葉に、うんうんと頷いて納得。が、よく考えたら相手は何のゲームをしているんだろうかと疑問に思って問いかけようとした時、相手の言う難しいゲームが自分なんだということに気が付き。ぽっと音が鳴ったんじゃないかと思う程急速に顔が一気に赤くなり。上記の言葉を吐いては、ふいっとそっぽを向け。「 なんで既にお前に見せる前提なんだよ。変なこと言わなければよかった 」まるで自分が怖がったりしている姿を見せる前提で話しているので、そこはしっかりと否定の意味を込めて突っ込み。こんなことなら、相手を励ますつもりで言った暗い所や高い所が怖いということを言わなければよかったと今更後悔。はぁ、と溜息を付いていると店員さんの笑顔と共に美味しそうな料理が運ばれ。いただきます、と丁寧に手を合わせてから一口。ふわっふわトロトロの卵が美味しくて、思わず笑みが零れそうになるのを抑え。　 ）

人生で一番難しいやつっすね。 考えてないようで、俺結構考えてますから。 どうやったら攻略できるかなーって。 ( 強調して見たが、相手は気付くだろうか、と頬杖をついて様子を見ていると途端に顔を赤くしてそっぽを向いてしまう相手を見ていると、そういう姿も好きで仕方がなくて、笑みが零れる。 相手にはきっとへらへらしているように見えると思うが、折角振り向いてくれたのだからきっと後もう少しだ、と思いつつ次は相手と何をしようと考える時間は楽しくて。 「 変な事じゃないですよ ？、 それこそ、先輩が言ったように、引いたりもカッコ悪いとも思ってません。 むしろ先輩が可愛く見えます。 」 相手が言ってくれたように自分も偏見はなく、変な事だという相手に首を振って否定を。 可愛い、だなんて言ったらまた相手はため息をつくんだろうか、なんて思いつつも言わずにはいられなくて。 表情にこそ出てはいないが、どうやら相手はオムライスをなかなか楽しんでいるようで、雰囲気が柔らかく、こういう相手もずっと見ていられるな、ともぐもぐと口を動かしながら相手の食べる姿を眺めて。 )

… ふーん。なら、攻略最中の手応えは ？ クリアは出来そうか ？ （　 本当に相手といれば調子が狂う。ちらりと相手を見れば相手は自分の方を見て笑っているので、何が良くてそんなに笑っているのかが自分からしたら不思議で仕方なく。このまま押され気味だと何となく悔しくて、意地悪な質問を。相手に興味を持った時点で攻略は好調なことは自分でも分かる。戦闘ゲームなら自分の負け、攻略ゲームなら親愛度は高めだろうか。そんなことを考えつつ、相手がどんな返答をするか楽しみに待ち。「 可愛いな、はいはい。なんて言うんだ … 可愛いって言われるの慣れた 」可愛いと言われれば大きな溜息を一つ。相手があまりにも可愛いと言ってくるので、なんだか最近は言われ慣れてきて。最初の頃はいちいち照れていたり文句を言っていたりしたが、今ではサラッと簡単に流し。可愛いと言われ慣れたなんて男として複雑で。オムライスを食べていると相手から見られている気がし。気にしたら負けだと言い聞かせながら、黙々と淡々と顔に感情が出ないように食べ進め。　 ）