ありったけの砂糖を貴方に　/　〆

じゃあめっちゃ機嫌取らなきゃ。 俺の誕生日？、 覚えやすいですよ、 3月4日、 みよし。 って、めっちゃ先 …、 … そういう檜山さんの誕生日はいつですか ？、 ( やっぱり名前は呼んでもらいたいので早めに慣れてもらうためにはたくさん喜ぶことをしようと意気込み、それはどこか楽しそうで。 誕生日を聞かれればそういえば言ってなかったか、と自分がいつも誕生日を他人に教える時によくやる、苗字と数字とを掛け合わせたものだと指を立ててみせて。 こちらも相手の誕生日を知らず、ここで聞いてしまおうと首を傾げ問いかける。 「 あれ、確か先輩一回男に告白されたことありましたよね ？、 その時は考えなかったんですか ？、 」 自分に出会うまで、なんて言われると振り向いてくれた今なんて夢にまた夢なんじゃないかとしみじみしてしまう。 が、会話は続けなくてはと口を開くが、はたと以前に男性に告白されたことはあると聞いたが、その時は付き合うだとかなんだとかそういう話は出なかったのかと疑問に思い。 )

うわ、本当に覚えやすい誕生日じゃねぇかよ。… ん ？ああ、俺は12月12日。繰り返しだし覚えやすいっちゃ覚えやすいだろ ？ （　 覚えやすいと自信満々に言っていたので少し期待していると、ほんと覚えやすい誕生日に思わず笑いそうになるのを堪え。これは嫌でも覚えるな、と思い。自分の誕生日を尋ねられれば、自分的には覚えやすい方だと思っていて。「 … 告白されたのは高校卒業するときで、関係を崩すのが怖いから、今まで通りの友達でいてくれって言われて。まぁ、そいつ留学したからそれ以来会ってないんだけど。近々日本帰ってくるから、会おうって誘われてんだけどな 」高校生の頃の結構仲良かった友人からの突然の告白。今でもしっかりとその時の困惑した気持ちは覚えており。自分がノンケと知っていたし、友達のままでいてほしいと半泣きになりながら言われ。その時のこと、留学していること、今度会うことを淡々と話し。暫くして相手の住むマンションに到着すると、近くの駐車場に車を停め。記憶が曖昧なので、相手の後ろを歩いて部屋へと向い。　 ）

でしょう。 うん、覚えました。先輩の方が早く誕生日来ますね。 あ、じゃあ俺も誕生日の時は檜山さんのこと下の名前で呼んでいいですか ？、 ( 苗字なので本当に偶然の産物なのだが、得意気に鼻を鳴らして見せて。 相手の数字は覚えやすく、また好きな人というのもありしっかりと頭に残ったようで頷くと。先程相手が自分の誕生日に名前で呼んでくれると言っていたので、なら自分もと意気揚々と提案を。 「 え、 … そう、ですか、 まぁ友達ってなら、 いいですけど、 」 相手の告白された相手は海外にいると言うのも驚きだが、会おうと誘われていると聞いて表情が曇り。 海外帰りなんて、今は自分といるがもし男色に目覚めてしまって自分ではなくあっちを選んだら、なんてマイナスな方向に考えてしまえば歯切れの悪い言葉しか出て来ず。 自宅につけば、ありがとうございます、と一言言うと車を降り、相手より前に歩いて自宅へ。鍵を開けると、どうぞ、と相手を部屋に招き入れ、電気をつけながらリビングへと。 何か飲み物飲むかな、と思いつつとりあえず湯を沸かし、 「 ソファとか座っててください、 」 とスーツの上着を脱ぎながら声をかけて。 )

三好の誕生日が来るのが先か、慣れて名前呼びになるのが先か … どっちだろうな。名前呼び ? … 好きにしろ。（　 相手の誕生日が来るまでには流石に慣れて、いつの間にか名前呼びになっているだろう。が、挑発するように、どっちが先かなんて。呼ぶなと言っても相手のことだから呼びそうな気がして、好きにしろの一言で済ませ。自分なりの遠回しでOKという意味でもあり。過去の話をしたらイマイチ歯切れの悪い返事が返ってきたので、もしかして心配していたり少し嫉妬していたりするのだろうか、と考え。元々恋愛下手な方なので、気の利いた言葉をかけてやることも出来ず。玄関へも上がると、お邪魔しますの一言。靴をしっかり揃えてから招かれるままに部屋へと通してもらい。言われた通りにソファに座り、どうやら飲み物を準備してくれているであろう相手を待ち。その間にジャケットを脱いでソファに掛け、近頃は急激な暑さがあるので腕捲りをし。相手の家にお邪魔するのは二回目で、改めて見るとやはり自分の部屋よりも片付いていて。こういう所はしっかりしているんだと思い、少しだけ好感度は上がり。　 ）

あ、たしかに慣れの方が先に来るかも知れないですね、 それはそれで嬉しいっす。 早く呼んでもらいたいんで。 俺はいつでも準備できてるんすよ ？、 ( 誕生日より前には自分の名前を呼ばれるくらい親密になっているだろうか、時間がかかるのではと思っていた、相手はどうやら慣れるつもりでいてくれているのでそれさえも嬉しく感じ。 いつか、自分の名前を相手の口から聞けるのを心待ちにしていて。 「 コーヒーでよかったですか ？、 はい、これチョコレートです、良かったら。 」 湯が沸く前にちらりと相手を見ると暑そうだったので少しエアコンの温度を下げて。 すぐに湯が沸くとコーヒーを入れ、相手の前の低いテーブルに置くと相手の隣に腰をかける。 そしてコーヒーと同時に置いたのは、いつか相手にあげようと冷蔵庫にしまっておいた市販チョコレート。 役に立ってよかったなぁと思いつつ、ふーふーとコーヒーを冷ましながら口をつけて。 何か会話を、と思うと、すぐに浮かんだのは先程の相手が言っていた、告白された友人と会おうと誘われたこと。 それはきっと自分がアタックをかける前の話で、もう行くと言ってしまったんだろうか、と気になり、聞くかどうか迷いながらも口を開いて、 「 …あの、 さっきの先輩に告白し立っていう人のことですけど、 」 )

準備出来てんのはお前だけ。俺は全く準備もしてなければ、しようともしてない。（　相手を名前呼び出来るように気持ちでは努力していることを知られたくなく、ツンツンとした可愛げも何もない返事を、ついついしてしまい。名前で呼ぶ努力よりも、少しでも素直になるための努力の方が自分には必要らしく。なんでこう、上手く感情を顔に表すことも言葉にすることも下手なのだろうか。自分の変な不器用さに一人ため息を。「 ん、ありがと。それにチョコレートまで … 気が利くじゃねぇか。ありがとな 」運ばれてきたコーヒーを見るとお礼を。隣に並んだのは、見るからに美味しそうなチョコレート。コーヒーには甘いものと決まっている自分にとって、コーヒーとチョコレートという組み合わせは最高で。嬉しさから二回もお礼を述べ。猫舌故に息を吹きかけて冷ますのは相手より少し多め。一口飲むと、続けてチョコレートを一口。コーヒーのほろ苦さとチョコレートの甘さが口に広がって美味し。思わず、うまい、とぽつり。続けて飲もうと息を吹きかけて冷ましていると、相手から質問が投げかけられ。「 … あいつがどうした ？ 」とコーヒーを一口飲んでから返事をし。当たり前だが、やはり気になるのか、と思い。隠すこともないので、聞かれたことには極力答えようと。　 ）

っはは、ねぇ、 …薫さん、？ って俺が言い始めたら、しようとしてくれますか ？、 なんて。 ( 全く呼ぶ気がないという相手の言葉に思わず吹き出してしまい。 いつになったらツンツンした様子が柔らかくなるのだろうか、と思い、急かすわけでもないが、少しからかってみたくなって、もう一度呼んでみようか、と悪戯に笑みを浮かべると上記を。 「 …おお、 先輩が喜んでくれてる。 」 相手は二度も礼を言ってくれているし、食べている時も美味しそうに食べるので、買った甲斐があったというもので、満足げに微笑むと。 「 … その、もう会うって返事したんすか ？、 」 両手の中にカップをおさめ、自分がこれから言うことはわがままだと分かっているから口に出しにくさもあるし、相手のこともまともに見れないしでじっとコーヒーを見つめながら言って。 )

… っ、お前はすぐ調子に乗りやがって … ！あんまり年上を揶揄うな。（　明らかに自分を揶揄っている様子の相手に、恥ずかしがっている姿を荒い言葉で隠し。本当に自分のことを年上だと思っているのだろうか。同い年、若しくは年下だと思ってはないか。ツンツンとした態度は増すばかりで、すっかり拗ね。「 … いや、まだ返事はしてねぇ。こっち来るって聞いたの最近だし。他の話題で盛り上がって、返事するタイミング逃してる最中 」日本に来ると知らされたのはつい最近。学生時代の思い出話で盛り上がりすぎて、未だに返事はしていなく。無駄に恋愛下手で変なところで鈍感な自分は、相手が何で少し気まずそうに会う約束の確認をしたのかが分からず。相変わらずの様子で自分はコーヒーを飲んだりチョコレートを食べたりと。　 ）

俺が先輩に対して調子に乗っちゃうのはいつものことじゃないっすか。 … 怒ってます？、 それとも、拗ねてますか ？、 ( 相変わらず相手の前で調子が良くなってしまうのはいつもの事であるが、相手はいつにも増してツンとしていて。 これは怒らせてしまったか、それとも機嫌がよくないだけか、今はまだ相手のことが全て理解できるわけではないので、表情を見て確かめたいと問いかけながら顔を覗き込んで。 「 先輩は、 その人のところ…、 … 檜山さん。 確認ですけど、俺たち恋人同士、ですよね ？、 」 こんな嫉妬は重いだろうか、それを全部言ってしまったら相手に惹かれるんじゃないか、なんて思ってしまい歯切れが悪くなってしまい。 ちら、と横を見ればそんな自分の不安を余所にチョコレートとコーヒーを取っていて、これは鈍感なのかも知れないと気付くと、コーヒーのカップをテーブルに置けば、相手の方に体を向ける。そして真っ直ぐ相手を見つめて、自分たちの関係から確認をし。 )

… 怒ってない。拗ねてもない。 別に俺もいつも通りだけど。（　恥ずかしいだけと言えるはずもない。恥ずかしくなると、ついつい言葉が悪くなってしまうのは昔から。何一つ悟られたくなくて、いつも口が悪いことを理由にし。覗き込まれれば、表情で全てを悟られないように平常心という言葉を必死に保ち。「 … ? … 、ん。まぁ、そうだな。言葉のある関係だから恋人同士ってことだろ ? 」急に真っ直ぐに見つめられると、はぐらかすことも出来ず。改めて関係を口にするのは恥ずかしいが、しっかりと言葉に表し。そこまで恋人らしいことをしていないので、本当に付き合っているのか心配になったのだろうか。それとも他に理由が、と考え。途中で止まった話の続きから予測すると、もしかして嫉妬のような感情を抱いているのだろうかとやっと辿り着き。が、自分から嫉妬しているのかなんて聞けるはずもなく、相手の様子を窺い。　 ）

ふーん … まだまだ檜山さんの分かんないところだらけですけど、 その内檜山さんが考えてること、当てられるようになりますから ！、 ( なんとなくいつも通りじゃないのは分かるが、顔を覗き込んでも未だ相手が本当はどう思っているのか分からず首を傾げるも、いつかはきっと相手が考えていることも分かるようになると何故か自信満々に告げ。 「 … 恋人としては、 その、 あんまり会って欲しくないというか …、 … ただの嫉妬です、 かっこ悪いですけど。 告白された相手なら尚更だし、…海外帰りなんて絶対スキンシップ多いじゃないですか。 」 会って欲しくない、なんて恋人になってまだ数時間もたっていないのに嫉妬だなんて全く格好付かない上に、それを気にしてるからか歯切れの悪い言葉しか出て来ず視線を泳がせる。嫉妬、なんて改めて口に出すのは恥ずかしさもあってか頭をガシガシとかいて顔を逸らしながら言って。 海外帰りの昔告白された人、なんて危険な感じしかしないと偏見と嫉妬を小声で漏らすと。 )

その自信だけは受け取ってやる。まあ頑張れよ。（　自分で言うのも変だが、我ながら完全攻略の難易度は最難関だと思っていて。根拠なんて全くない謎の自信満々の相手の、そういうところは嫌いではなく、ふっと笑い。自分は攻略される対象なのに、上から目線な発言を鎌し。「 … 大丈夫。友達として会ってくるから。それに、俺以外にも何人か来るし。… それでも心配ってなら、俺も会うのを考え直す 」本音を話してくれたので、相手の話に呆れて笑ったり怒ったりなどはせず。正直、自分はまだ相手と付き合っている実感もない。が、相手は嫉妬してくれるほど真剣に自分と向き合ってくれているようで。そんな相手に自分も真剣に向き合わないと失礼だと思い、飲んでいたコーヒーの手を止めると、会うときに他の友人もその場に何人かいるということ等を伝え。自分も相手の方をしっかりと見て。　 ）

…ッ、余裕だなぁ、いつも。 ( 自信だけ、と上から目線で言われるも悪い気はせず、むしろ不意に見せられた笑顔に鼓動が速くなるのを感じ一瞬言葉が詰まって。そういう表情をされては生意気なことも言えず、少し不満げに、だが相手の笑顔に絆されながら、視線を逸らし呟いて。 「 2人きりじゃないなら、良いです、けど、 … 俺檜山さんの交友関係を邪魔したいわけじゃないんです。 … あー俺重い、重すぎる …、 すみません、本当。 」 相手の友人との関係の邪魔をしたいわけではないのだが、相手がどうとも思ってないにしろもしかしてたら未だ想われているのかもと思うと、独り占めしたいという思いが浮き出て来て。 それを自分で気付くと流石に重いだろうと、邪念を振り払うように首を横にぶんぶん振る。謝罪の言葉を言う時にはすっかり脱力し、しゅんとしていて。 )

お前も嫉妬するんだな。ったく、別に鬱陶しいとも思ってねぇから、んな顔するな。…… もう今日は遅いから泊まってく。文句ねぇよな ？ （　自分からすれば相手の方がいつも余裕だと思いつつ。それを思っても言わないのが自分なのだけど。友達と遊びに行くだけで嫉妬されて面倒臭い、というよりも、相手が嫉妬するのだという方が意外に思い。いつもは大きく振っている見えない尻尾が、今はしゅんとしているように見え。ガシガシと頭を掻いて、困ったように励まし。どうしたら相手はいつもみたいに眩しい程の笑顔に戻るのだろうかと考え。こんな時口付けをしてやり、大丈夫だと言った方がいいのだろうか。いやいや、自分には絶対に出来ない。ならば、と思って泊まってく宣言を。これなら少しでも自分と居れる、なんて考えて喜んでくれないだろうかと思い。　 ）

しますよ、当然。 … 嫉妬しすぎも良くないとはわかっているんですけど。 … え ？、 泊まってくれるんすか ！？、 ( あまり嫉妬心丸出しでも相手が困るだろうというのはわかってはいるのだが、と煮え切らない様子だったが、相手が泊まっていく、と言った途端目を丸くし驚いて。そしてそれが嬉しくて頬が緩みにやけてしまうのを抑えるがきっと抑え切れていないだろう。もし尻尾があるならば、ぱたぱたと振っている状態である。この後も相手と一緒にいれる、と思ったらそれはもう願ったり叶ったりで、先程の不安な表情は一気に払拭され。 「 文句なんてそんな、 … あるわけないじゃないですか、 … すげぇ嬉しいです。 あ、また服も貸しますし、風呂も先入っていいですよ、あとは …、 」 と相手から泊まると言ってくれたのが嬉しくて表情は緩みながら。 )

本当に単純だよな。さっきまでの大人しさはどこ行ったんだか。（　 つい数秒前まで不安そうな顔して大人しかった相手は何処へ。少し励ますつもりで言った言葉は予想以上の効果があり。あまりの相手の単純さに半ば呆れつつ。が、単純でいてくれたので直ぐにいつもの相手に戻り、自分としても一安心。相手の緩んでいる頬からは、本当に嬉しいということが伝わってきて。そこまで喜んでくれたのなら、泊まると言った甲斐があり。「 んじゃ、お言葉に甘えて。服も貸してもらうし、風呂も先失礼するな。後は何にもいらねぇよ 」泊めてもらうのに先に風呂に入らせてもらうのは申し訳なく感じるが、ここでお前が先に入れと言っても、どうせ相手も折れないだろうと思い。あとは、なんて続きを言いそうな相手を、もう十分もてなしてもらったからと止め。　 ）

俺がここまで単純なのは、理由が檜山さんだからですよ。 ( 普段からこんなに単純なわけではなく、ただ相手の言葉に一喜一憂してしまっているだけで。それに自分自身気付いているのだが、やはり好きな人なのだから仕方ないと肩を竦め。それもそれでどうかとは思うが、本人はへらりとしていて至って気にしていない様子。 「 何かあったら言ってください。 服用意しときますから、いつでも入って大丈夫っすよ。 」 他に自分が提供できるものはないのだが、何かあれば相手の為なら何でもしたいと思ってしまい。恋人が家に泊まる、となるとそわそわしてしまうもので、落ち着いて座っていられないのかソファを立つとクローゼットへ。 自分の部屋に2人きり、という状況を改めて認識するとなんだか頬が熱くなってきて、それを相手に見られては格好がつかない為ぺちぺちと数回頬を軽く叩いて気を紛らわそうと。 )

… やっぱりお前は恋人ってよりペット。忠犬。（　 どこまで相手は自分のことが好きなんだ。最早半分は呆れ。ここまで自分の言葉で一喜一憂して単純は相手は、恋人という言葉よりも、忠犬という言葉が合い。自分がお金を貸せといえば本当に貸してしまいそうな相手の単純さが少し心配に感じ。「 … ん、風呂入ってくる。」勢いで泊まると言ってしまったが、恋人の家に泊まると冷静になって後から考えたら、擽ったいような気持ちに。どうやら相手も同じ状況らしく。照れ隠しのために上記だけ呟くと部屋を出て。部屋を出てすぐに風呂場があり、お邪魔し。髪を洗ってから顔を洗い、最後に身体を洗うと湯船に浸かり。相手が風呂に着替えを持って来てくれるまで出られないので、今日あった色々なことを暢気に思い出し。相手に押され流されで付き合うことになり、これまた流れで泊まることに。濃すぎる一日に、疲れの意味で溜息を一つ。　 ）

ペット …、 それって後輩からランクアップなのかダウンなのか …、 ( 忠犬やペットという言い方をされては自分の行動を振り返ると、たしかにそんな節がある気がして、何より相手の恋人であるという感覚を口付け以外に相手に与えてない気がして。口付けだけでは伝わらないのか、と風呂に入りに行く相手の背中を見送りながらどうしようかと考えて。一緒のベッドで寝るだとか、抱きしめるだとか、そんな月並みなことしか思い浮かばないが、緊張してしまいそうだと思わず一人で笑ってしまい。相手は案外余裕そうだし、自分が気にし過ぎか、と肩の力を抜いて。すぐに緊張が解けるわけではないが、恋人と思ってもらえるまでは色々やってみようかと気合いは十分。 「 先輩、出たとこに服置いておくんで、使ってください。 」 なんて考えている間にシャワーの音が止まるのが聞こえ、そそくさと相手が着る服を持って風呂場に行くと、棚の見えるところに服を置いておいて。中にいて待っているだろう相手に声をかけ。 )

ペットと飼い主。ほら、お前が望んだ " 名前のある関係 " だろ ？（　 正直あまり恋人という実感がない。後輩と仲良くなった、としか感じなくて。その為か、まだ少しだけ自分の中に余裕があり。ペットと飼い主でも名前のある関係だと意地悪く笑い。何だか少しだけ相手の前で表情が豊かになった気がしたような、してないような。風呂に浸かっていると、相手の声が。風呂越しに返事をし。風呂から出て貸してもらった服を着るが、やはりブカブカ。別に背は低い方ではなく一般的だが、相手が背が高いのでどうしても服は大きく。普段とは違う柔軟剤とシャンプーの香りに少しだけ違和感を覚える。タオルを一枚拝借すると、頭を乾かしながらリビングへと戻り。「 ん、気持ちよかった。一番風呂ありがとな 」風呂から出たてなので、顔はほんのりと桃色で雰囲気は柔らかく。ふぅ、と落ち着いたようにソファに座りリラックス。その間にもわしゃわしゃと髪を乾かし。　 ）