調査記録(〆)

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匿名さん  2022-07-30 16:42:56 
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  • No.301 by 調査官  2022-10-12 07:18:21 

…ふん。
(不機嫌そうに眉間に皺を寄せ、少々猫背気味に誰もいないであろうーと勝手に仮定していたオフィスの扉を潜る。大量の書類仕事と窮屈な「社交界」が重なり、禄に帰れなかった自らの安息の地はデスクにうっすら埃が積もり、静けさそのものの空間だと思っていたが想定外の人物に面食らう。「なんだ、居たのか。」護衛の手には自分が捨てた筈のメモ用紙。口元を歪め、我ながら正直とは言えない自分なりに「…漸く戻ってきたか。僕の護衛だろう、勝手に何処かへ行くな。」と笑ってやって)

  • No.302 by 護衛  2022-10-12 14:34:54 


部下を放ったらかしにしたのはそっちでしょう。
(相変わらず不遜な態度を見せる彼に失笑めいた表情を見せて。良く言えば仕事一筋、正直に言えば息つく間もなく走り続けなければ生きていけない、そんな人生を送ってきた自分にとって、上司の多忙を理由に与えられた宙ぶらりんな休暇はどこか落ち着かない日々で、そんな不満をぶつけるように、紙屑の中身を見ることなくゴミ箱にぶち込んで

  • No.303 by 調査官  2022-10-12 15:25:53 

知らないな。
(すっかり普段の調子を取り戻して何処吹く風、彼の言葉など何一つ聞こえなかったようにデスクへ向かっては、デスクチェアにどすんと腰を下ろす。心做しか普段より柔らかく見えなくもない表情を浮かべながらキーボードを叩き、報告書を済ませてしまうとショルダーバッグから例の書類を取り出し、ぱらぱらと捲り始め)

  • No.304 by 護衛  2022-10-12 22:09:28 


退屈で死ぬんじゃないかと思いました。
(彼に背を向けてソファに座る、たった1人の部屋でただ時間を貪り食う為だけに眠り、この位置から見える時計を何度眺めただろう、こんな文句を言ったところでどうこうなる相手ではないか、と膝を抱えたまま。相手が動けば波打つ空気が鼻先に甘い香りを運ぶ、きっと感覚の鋭い自分にしか気付けない程薄いその刺激は、恐らく品の良い上等な香水か何かの香り、日頃自分と同じ、血生臭い日々を生きる相手が本当はこの香りのように華やかな世界の住人だと言う事を思い知らせるようで面白くない、と

  • No.305 by 調査官  2022-10-13 09:06:51 

…はっ。
(彼の軽口を一笑に付すと男は書類を捲る手を止め、「…仕事は一件、か。ふん、気遣いなのか嫌がらせか…」とぶつくさ呟きながらいつの間にか取り出していたサプリメントのパッケージを開け、中身を水無しで一気に喉に流し込んでしまう。その少し後にデスクチェアから立ち上がり、背を向けて座る彼には上品さの欠片も感じられない粗雑な口調で「いつまで休む気だ。さっさと行くぞ」と呼び掛け、オフィスの扉に手を掛けながら後ろを振り返り)

  • No.306 by 護衛  2022-10-13 11:38:56 


はいはい。
(留守番をしていた犬にお土産がある訳でもなく、彼の声と共にまたいつも通りの荒っぽい日常が始まる、どこか楽しそうに返事をすると、部屋の片隅の刀を掴んで。手入れをする度血を求めて疼いているようだと感じていた相棒は勿論何も言わないけれどそれでも、この指に確かな熱を伝えてくる。調査官の後に続いて歩きながら「今日は?」、言葉少なな質問はいつも通り調査対象の特徴を聞くもので。

  • No.307 by 調査官  2022-10-13 15:42:22 

…怪異番号2536「夜の海」だ。
(男はオフィスを出ると返す刀で素っ気なく答え、ショルダーバッグから折りたたみ式になっているらしい青龍刀を取り出すと気だるげに何度か振り回す。その後に彼の方を振り返って「…夜とは、美しいが恐ろしいものだ。惑わされるなよ」と忠言めいてはいるものの、何処か的を得ない言葉を投げかけるとまた視線を前の方に戻してしまい)

  • No.308 by 護衛  2022-10-13 18:41:57 


海、?
(夜は恐ろしい、という彼とは反対に“海”に興味を示したようで。夜は確かに恐ろしい、でもその夜に包まれるよう生きてきた身としては全てを陽光の元に無遠慮に暴き出す昼の方がもっと怖い、すっかり黄昏時を迎えた窓から差し込む紫の光が床に靄のような模様を描いて。「季節外れですねえ、どちらにしろ。」遊びに行く訳では無いぞ、と睨まれそうな呑気な台詞を零しながら

  • No.309 by 調査官  2022-10-14 11:10:17 

…呑気なものだな。
(彼の様子を眺めそう一言、機関の入り口に停めてある黒の公用車に我が物顔で乗り込むと「出せ」と指示を飛ばす。運転係の男は小さく頷き、助手席側のドアを開くと彼が乗り込むのをしばし待ち、乗り込んだのを確認してから車を発進させ)

  • No.310 by 護衛  2022-10-14 23:07:32 


そう言えば殆ど泳げませんよ、俺。
(窓の向こう側を眺めながら海、のキーワードにそんな呟きを洩らす、生まれも育ちも、自治体が無いもののように扱う治安の悪い区域、水泳を習った事も海にバカンスに行った記憶もない、使い物にならない、と罵声を浴びせられる前に進言しておこうと。道を滑るように進む車がどこへ向かうのか知りもせず、闇の中であろうとただ追随する自分にいつから疑問を持たなくなったのかと、ふと思うもそんな行き場のない思案は窓ガラスの曇に掻き消されるようで

  • No.311 by 調査官  2022-10-15 11:17:10 

…誰が本当の海に行くと言った。
(彼の呟きを聞くと何時ものように書類を読み込んでいた男が視線だけを上げ、冷えた声色でそう返す。その声を聞いた運転係の男は微かに顔を上げ、男を嗜めるような口調で「…夜の海のように底深く不気味に見える、人型の怪異です。」とごく平坦な声色でそう付け足し)

  • No.312 by 護衛  2022-10-15 15:28:40 


随分洒落たネーミングで。
(暗い暗い海の底のような人間、想像もつかない化け物に絵画のタイトルのような名前をつけたのはきっと何時もの彼女だろう、とあの不可思議な女性を思い浮かべながら皮肉を呟いて。「また目隠しをして相手します?」とその対処法を尋ねる、休暇の間パラパラと眺めた資料の中にそんな怪異は居ただろうか、と思い返しながら

  • No.313 by 調査官  2022-10-15 19:37:30 

…そんな大仰なことはしない。
(男は答えつつ書類を一通り読み終わったらしく、ショルダーバッグに戻しては彼の側に立て掛けてある刀に目を遣りながら「…まあ、死なない程度に頑張りたまえ」と励ましなのか嫌味なのか判別の付かない言葉を投げ掛ける。運転係の男は相も変わらぬ鉄仮面のまま静かに車を走らせており)

  • No.314 by 護衛  2022-10-16 19:07:11 


重傷はノーカンですか、
(出会った時と比べて幾分か温かくなった相手の台詞の温度に気づいていての軽口を返す。大仰な事はしない、と相手は言うが毎回かなり奇妙な方法で踊らされている、と浮かぶ文句を溜息に溶かして、向こう側には随分遠くまで連れてこられた場所が見える、標識を眺めても馴染みのない地名が並んでおり

  • No.315 by 調査官  2022-10-17 08:20:29 

…死んでいないなら無傷だろう。
(皮肉の色を伴ってふん、と鼻を鳴らした男は口元を歪めながら脚を組み、薄っすら靄がかって見通せない窓の外に気怠げな視線を投げる。ややあって車は少し開けた場所で停車し、運転係の男が先に降りて助手席と後部座席の扉を開けると男は我が物顔で先んじて降り、助手席の彼に「早く降りろ。ここから徒歩だ」と呼び掛け)

  • No.316 by 護衛  2022-10-17 10:45:37 


今の、他所で言ったら暴言で訴えられますからね。
(車を降りざま窘めるように返す、彼の護衛役を一般的な募集ではなく、札付きの囚人を無理やり引っ張ってくるような求人方法をとっているのは、仕事内容だけでなく彼のこういう危ういモラルにも関係しているのだろうと確信して。降り立った外は車内から見た時よりも見通しが悪く、少し離れてしまっただけではぐれてしまいそうだと目を細めて

  • No.317 by 調査官  2022-10-17 16:06:19 

霧ではない…ふむ、霊素か…?興味深い…
(彼の先を歩く男はすっかり自分の世界に入り込んでいるらしく、彼の言葉に答える様子はなくぶつぶつと何事かを呟いてはうっすらと不気味な笑みを浮かべている。小難しいことを思考する男は彼が着いてきているかどうかすらも思案に無いようで、武器片手とはいえ随分無用心に男が言うところの「霧らしきもの」の中を突き進み)

  • No.318 by 護衛  2022-10-17 23:07:55 


あまり先に行かれると困ります、
(霧の中は冷たいものだと分かっていてもなお寒すぎると感じる程、この白い空間は身体を芯から冷やすようでぶるりと小さく震えて。深い海の底へ潜ったことは無いけれどきっとここのように寒く暗く寂しいのだろう、どうしてか陸を歩いている筈なのに酸素を渇望する息苦しさすら覚えた時、彼が車内で呟いた“夜の海”という単語が脳内を過ぎってずっと先へ歩いていってしまいそうな相手の背中へ手を伸ばす

  • No.319 by 調査官  2022-10-18 12:31:06 


(彼の声が聞こえたか否か、暫く歩いたところで漸く足を止めた男は眼前の人物と向き合う。男の前にいる人物は片手にランタンを提げ、目深にフードを被った小柄な―少年とも少女とも取れない姿をしており、口元に穏やかな笑みを浮かべていた。これまでの怪異とは一線を画した雰囲気を漂わせているその姿に男が「…怪異番号2536番か?」と問いかけると「それ」は落ち着き払った口調で「うん、ぼくは君たちが呼ぶところの「怪異番号2536番」だね」と答え、近付いてきた彼の方にもランタンの灯りを向け)

  • No.320 by 護衛  2022-10-18 21:50:42 


(相手の影の向こう側にゆらゆらと揺れる小さな灯り、深海には光で餌を誘ってぱくりと食べてしまう怪物が居るらしい、なんてずっと昔に聞きかじったせいであやふやになってしまっている噂を思い出す。音もなく刀を抜いてその先を見据えたこちらの瞳は、もしかしたら光を反射して向こう側に気付かれたかもしれない、と考えながら呼吸をすっと潜める、仕事前のいつもの癖を

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