201号室（ 〆 ）

…男のプライドがあんのよ、昭和生まれには。正直婿さんがイケメンすぎて身も心も丸投げしたくなってきてるけど。──…ん、今夜はそれで腹一杯。何たって先は長えから、嬉しい事に。お喋りは気ぃ向いた時に置いといて、今日のとこは手放しにやりたい事やっていこうぜ。（ 余りにも様になる台詞ににやつく口元を片手で覆い、さもプロポーズを受けたようなリアクションで戯けつつ身も蓋もなく本心漏らし。真っ直ぐな言葉が返ってくれば満ちる胸からふっと吐息零し、繋いだ手に柔く力を込めながら静かな声に耳を傾けて。声が途切れると長い睫毛が影を落とす横顔見つめ、微かな綻びの色を深めるべく温和に語っては「愛してるよ、俺も」と耳元へ囁いてからこめかみへと口付けて ）

其の強靭なプライドを決壊させるのが当面の目標になりそうだ…早い所折れなよ、ハンサムフェイスの花嫁さん。＿＿其れもそうだね、あんたに止められてハグの1つもやらず仕舞いの儘だし。（　戯けた反応と裏腹に覆う手の間から漏れる本音へ僅に喉鳴らし、冗談めかした誘い文句贈り。微かな吐息零す相手の握り返す指先の感触に安らぎつつ、優しく温和な声を受け。耳に触れる囁きと口付けで目が開く儘、胸奥に巣食う憂色が和らいで仕舞うと短くも嬉々と賛同紡ぎ繋ぐ手を解いて。首に両腕を回しては愛の言葉で擽ったく微笑んだ顔を合わせ「有難う。…指輪も、大切にするから」何て零し　)

遅くなって御免。長くなって来たから…大変そうなら全然短くして良いよ。勿論、もう深夜だし眠かったら寝てくれて平気。

──お陰でしっとり良いムードだったろ？我ながら超英断。がっついてたんじゃ台無しだからねえ…お礼はコレで頼むよ、お預けされてた分たっぷりと。（ 与えられた肩書きに耐え切れず笑声立てては返す言葉の無さで心情示し、せめてもの抵抗に耳を塞ぐに留めておき。身を寄せてくる相手の微笑みに心が弛めばその背に手を回し引き寄せて、零れた言葉の擽ったさに笑みを深めながら驕ってみせ。合わさった胸の温もりが徐々に熱へと深まるのを感じつつ、もう一方の手を頬に添えると親指の腹で唇なぞり ）


そっくりそのまま謝らせてちょうだい、寝惚けに寝惚けてこんな時間。寝落ちフラグ濃厚なんで先におやすみって言い残しとくし、芳樹くんも芳樹くんで無理しないで休みなよ。じゃ、何もなけりゃこっちは蹴っちゃって。

はいはい……悪くなかったよ。こんな攻めたサプライズくれて置いて未だがっつく気力あるんだ＿…ん、まァ御預けられていたのは僕の方なんだけどね。 (　軽快な笑声上げて耳を塞ぐ相手につられ、此方もくすりと微量に肩揺らすも話題には拘らず。背中へ回った腕に抱かれるのが嬉しく、笑み深む面差しを見詰めながら得意気な語りへ可愛気無く評価して。だが頬へ添わる手に微笑む中にも情愛滲ませ、更に身を寄せて衣越しに伝わる体温を味わう傍らなぞる指の腹に軽くキスし、痕を残す様に吸い付き　)

御言葉に甘えて寝させて貰ったよ。お休みは逃したのでお疲れ様を代わりに据えとくかな。何時も通り余裕ある範囲で付き合ってくれたら嬉しい、レスの方も好きにして良いから。…じゃあ今度こそ蹴って。

何よ、今日は最後までイケてる紳士でいてほしい感じ？…芳樹くんがお預けプレイ続行したいってんならそりゃ付き合うよ、付き合うけども…ここらへんまではつまみ食いさせてほしいかな、せめて。（ 相手らしい口振りをわざと真に受けてみせると意外そうに首傾げ、白々しく惚けてみせて。しかし小さくリップ音が響けば返答も待てずに二の句を次ぎ、指先に軽く力を込め唇の間へ割り入って。緩い舌先の感触に鼓動を深めつつあくまで冗談めかし、擽るように触れながらにやりと双眸細め ）

ッ、…それじゃあ痕付けられないじゃないか、あんたに。別につまみ食いするなとか、紳士たらしく動くな何て事は言わないけども。 (　首傾げて惚ける相手にそうじゃない、と紡ぐ為開き掛けるも侵入する指に阻まれ。擽る様な刺激を敏感に感じ取って震える肩とは正対し、物言いたげな視線送れば深く咥え込んで。指の腹から付け根に掛けて舌這わせ、其れに伴い腕に力籠もりつつ指を甘噛むと糸を引きながら口を離し。舌先で其の糸を絡め取り、仄かに熱孕む双瞳向けると漸く不平口にし　)

…まーだマーキングしてくれんの、身も心も財産も君のモンだって分かったばっかりだろうに…そうだなあ。何だかんだ露出の多い季節だし、エレガントな紳士的にゃ人目憚れるとこに付けてくれると有難いね、此処とか。（ 予想に反して咥え込まれる指を瞠目して見下ろし、水音と絡みつく温度に情動湧けば微かに笑みを引きつらせ。向けられた眼差しで抑え続けた欲が愛おしさに一瞬勝り、濡れた指で顎を掴むと唇を寄せながら潜めた声で揶揄い混じりの口実述べ、仕返しとばかりに舌先でなぞるようなキスをして ）

あんたの寂しさと一緒だよ、あればあるだけ足りなくなるんだ＿＿……キスがしたいだけでしょ。 (　ほんの僅に強張った相手の笑みに心拍高まり、顎を掬う指の濡れた感触も構わず揶揄含む囁めき紡ぐ唇が重なる間際に本心零し。だが唇を舌先でなぞる様なキスに背筋が慄き、劣情疼く中で振り解く事など最早出来ず。熱と慾で揺れる瞳を閉ざしつつ、掠れ声と共に口付けし返せば其の舌を求める様薄く口を開けて　)

そりゃまた厄介な事で…、…芳樹くんもじゃなかったっけ、それ。ほら、順番。（ 久しぶりに感じる唇の柔らかさに気を引かれ、有り有りと理解できる言葉にも何処か上の空な調子で呟いては耐え切れず薄い隙間に舌先で押し入って。待ち焦がれた微温い体温を味わいつつ舌を絡め、此方が痕を残すように軽く吸い上げると不意に唇離し、悪戯に弧を描き開いた口を指差して ）

…ぁ…、＿＿ッ…煩いな、其処にするのは最後だよ。此れ以上したら堪らなくなるから。 (　空ろげな相手の厄介、と言う単語に自嘲的な笑い呼ぶも触れ合う唇の前に消え。舌先が己のに絡めば先端から裏側へ掛け這わせ、吸われる刺激に昂りと切ない感覚が身体の芯から疼き体が一瞬硬直し。待望も相俟い陶酔しかけた刹那唇を離され、思わず鼻から抜ける様な声が漏れては開いた眼前で濡れ艶めく相手の唇が描く弧から目逸しやや眉根寄せて　)

…えー、今のは堪えたいって声じゃなかったろ。素直になろうぜ、素直に。マーキングよかもっとしたいことあんじゃないの…？俺と同じで、さ。（ 耳に残る甘い声に小さく生唾飲み、悟られないよう相手を真似て眉顰めては欲のまま焦ったさの隠せない声を上げ。不満と冷やかしの入り混じる言葉を並べながらも瞳の昂りは隠せず、飄々とした口調とは裏腹に漏れ出た本能故に相手の背中へ回した手でするりと腰元まで撫で下ろし、誘うように悪戯に微笑みかけ ）

だから、煩いってば……ッ、！… (　目逸した為顔は見えずとも、注がれる視線の熱っぽさと隔靴掻痒な声に揶揄われ表情は羞恥に歪み。其れでも反発した言葉吐くが背を掌が伝い、逆らえぬ肉体の反射で微かに上擦って。悪戯に艶笑する相手の誘う儘下腹部が甘く痺れては唇噛んで諸々殺し、其の柔かな後髪を掴み引っ張ると首筋へ顔寄せる事で隠した後「…馬鹿。だったらベッド連れてけよ、今日ばかりは余裕が無いって言ってるだろう」堪え切れず吐き出した熱い息混じえ囁き　)

いって、痛えって──…よく出来ました、じゃねえや、そうこなくちゃね。スタンプはまた後で…ちょっとそのままま引っ付いててよ、良い子だから。（ 相手らしくなく翻弄される姿に満悦と僅かな加虐心を抱きつつ、それすら腹底に湧く情動の糧になれば対照的に愉しげに歪む表情を髪の痛み故と誤魔化して。熱い吐息に煽られるまま腕に力込め、そのまま抱き潰したい欲望堪え立ち上がると力任せに抱え上げ寝室へ向かい。ベッドに仰向けで相手を寝かせ"到着"と疲労のせいだけでなく乱れる呼吸で呟けば、自身もゆっくり覆い被さるように片腕つき ）

…分かったから。其の不本意も過ぎる言い方止めてくれないかな、……。 (　相手の声が上がれば早々に髪を引く指先の力緩め、己を甘やかす様な言葉には吐き捨てるかの如く返して。抱擁する力が些か強くなる腕に抗う間も無く抱え上げられて仕舞うと未だ慣れぬ不安定な体勢に大人しく収まる他無く、然し顔は首に埋めた儘で。軈てベッドへと下ろされては息を乱して呟く相手を、劣情隠す為に寄った眉根保つ面持で控えめに見上げ"平気？"と細く問いつつ両手で其の頬を包み　)

──あー、悪い、平気じゃない。想像の倍は余裕無いみたいだわ、俺も……ってな訳でいい加減止めようぜ、我慢大会。（ 頬を包まれた為に見上げてくる眼差しから目を逸らせず、先程吐き捨てられた言葉のように都合良く聞き流す事も出来ずに掠れた本音零し。溜め息混じりに自嘲しつつ引き寄せられるように濡れたままの唇寄せ、急く情欲から低く短く告げると返答待つ間にもつまみ食い的に浅く重ねては啄ばみ ）


此処んとこ寝落ち三昧で悪いね、もうちょいでキリ良い所だし、長引いちゃってる置きレスも好きに切り上げてくれてオッケーだから。そんでもって今夜も夜明けまで持たない気ぃするんで芳樹くんも早めに寝といてくれると助かるよ、切実に。そんだけだから返信不要…っつーか連絡自体大遅刻だわな、本当ごめん。

…今度は卑怯な言い方だ…＿＿そう思うなら、もう良い加減黙ってよ。 (　目逸らず零された掠れ声に切迫感を感じ得ては鼓動跳ね。甘く痺れるが如く締め付いた胸奥に切な気に眉尻を下げ、濡れた唇が寄る扇情的な光景から目を離せぬ内に口付けられて。啄まれる毎、湿った柔い感触で壁設けた感情が崩れては耳に残る低声に喉震わせ。我慢は認めぬ嗄声に反し下唇へ深く食みつつ、逡巡の後相手の腰に両脚をするりと回し絡み付かせて　)

寝てくれた方が安心するって事も、無理に返さなくて良い話も既にしてる筈だ。だから謝罪は要らないね。正直1週間多忙にあんたを奪われた時と比べたら、こんなの微々たる物だよ…我ながら非常に不謹慎だけど。諸々は了解したので、其の"ごめん"は1年くらい待たせた時に取って置きな。じゃあ蹴って。

…その顔のが卑怯だろ。毎度毎度ウィークポイント突きやがって──まあいいや、こっからは芳樹くんがお喋りする番だもんな…喋るっつーか、鳴くっつーか。（ 唇の角度を変えながら相手の反応を見遣り、眉を下げたその表情に毎度の事ながら心臓が甘く痛めば悪態めかして零し。それでも深まる口付けと求めるように絡みつく脚の前に半ば思考を放棄して吐き捨て、歪む口元から冗句にも出来ない下心を並べては唇の裏側を愛おしそうに舌先で愛撫し、緩やかな動きとは対照的に空いている手で相手の上衣を乱雑にはだけさせ ）


あー…そういや毎度してもらってるっけね、その話。面目無さより口惜しさに目ぇ眩んじゃってたみたい。謝る代わりに芳樹くんにもいつでも寝ちゃって良い券あげるからさ、バンバン有効に使ってよ。ありがとね。そんじゃ本当の本当にスルーでよろしく。

＿＿ッは…本当に何、さっきから。あんた張りに声を出すのなんか御免だよ。…春彦さんので塞がせてて。 (　角度を変え口付ける傍ら砕けた口調で言い捨てられ、顔が何だと疑問呈す間も無く蠱惑的に歪む口端が言葉重ね。その羞恥を煽る言い様に何時かの行為が脳裏過り、加えて優しくなぞる舌の感覚に堪らず抑えてた息を喘がせれば口許に間が開く暇仄かに悩ましく零し。其の儘相手の舌先を絡め取り、根本まで這わせ吸い付きつつ乱れた呼吸で上下する胸が露わになると指先が跳ねて　)

此方こそどうも。御言葉に甘えて寝た上に遅れて御免…もう遅いし今日は寝てよ。
其れと急な話だけども明後日、1日空けても構わないかな。理由は悪いけど具体的に述べる事は出来ない。ただ、こうして言葉を交わしてる以上…あんたからは了承を得て置きたくてね。勿論、駄目だって言うなら特段何も無く僕は此処に居るよ、逆に空けてる間は好きにして貰ってて良いし。まァそんな気難しく考えなくて大丈夫だから。

……幾ら何でも急な話過ぎたね、御免。其方の都合もあるのは理解してるし、と言ってもあんたの所為では決して無いから。寧ろ決心が着いたし此方としては良かったよ。まァ上記で述べた通り用とも言えない、ほんの些細なものだから御気に為さらず。
そう言う訳なので上のは白紙じゃないけど、初めから無かった扱いしてくれると有難いかな。本文は気でも筆でも乗った時に返せば良い、急かして何か無いんでね。じゃあ今週もお疲れ様、春彦さん。体調崩して無い事を祈るよ。本当に此れは蹴ってどうぞ。

…変わりなく過ごしてるだろうね。流行病や夏の暑さ、後は多忙期で心身共にやられてないかを願うばかりだよ。たった1月の日数で気が早いとは思うが多分…あんたは来ないだろうし、此処らで踏ん切りを付けようと思う。どんな理由であれ、終わりだと言うなら此の儘放置で良いよ、勝手に此方が見切りを付けるだけだ。態々言葉を残す程の事でも無いでしょう。

ただまァ半年近くも僕に時間をくれて、本当幸せな日々を与えてくれたあんたには感謝してる……だからこそ出来る事なら責めでも愚痴でも直接聞いて謝りたい。至らなかったと思う点は大なり小なりあると僕自身自覚しているから…ね。

其れじゃ色よい返事を…＿＿そうだな、来たら嬉しい位で期待して置こうか。