へし切長谷部 2017-07-13 04:11:33 |
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なら俺が取ってこよう。夜目の効かないお前に任せるには心許無い。
( 梯子を取ってくるのならば、夜目の利く自身が取りに行った方が賢明だろうと思えばそう進言して。少しだけ待っててくれと告げては蔵に向かい、難なく梯子を取ってきて )
ありがとうな、長谷部。
( その場から動かずに大人しく待っていれば、数分もしない内に梯子を取りに戻って来た姿を見ると礼を述べて「…なぁ、手を握ってくれないか?」と移動する前に頼み )
…?ああ、構わんが。
( 礼を受け取り、さて移動するかと思った矢先に手を繋いでくれと頼まれて。彼から頼むとは珍しいと思いながら手を伸ばしては彼の手を握って )
…悪いな、どうにも視界が悪いとどこかにぶつかりそうでなぁ。
( 手を握ってもらうとこれで一安心だと内心で思いながらこんな暗闇の中、上手く歩けそうにもなくて。やや苦笑混じりに呟いては彼に先導してもらうのが魂胆で )
はは、それで怪我をしたと言われても困るな
(彼の手を握り、どうやら先導してもらおうと考えていたのかと分かれば歩き出して。しばらく歩けば梯子を置き「ここからなら登れそうだ、俺が先に行こう。国永はここで待っててくれ」と言えば梯子を登り屋根の上に上がって)
ああ、
( 足が止まりその声と共に梯子を置く音を聞き短い言葉で返事を返し、言われた通り道具を使い登って行く後ろ姿を見つつ待っており )
おい、国永。上がってこい
( 屋根の上に上がれば下を見て梯子のそばにいる彼へと声を掛けて。足を踏み外さないように気を付けろと忠告し、彼が無事に上がってこれるかじっと見ていて )
( 少し待っていると上から声を掛けられ、その忠告に頷きで返しては梯子を掴みながら一段目に足を乗せるとそのまま慎重に登って行き )
国永、月が見える。
( 彼が屋根へと上がりきれば、再び手を握り少し屋根の上を移動してそれから空を見上げると月が見え。感嘆の息を吐けば上記述べ )
ああ、月が綺麗だな!
( 隣で同じように自身も空を見上げて夜空に浮かんで見える、一等美しさを放っている月を瞳に映しては視線外す事なく言葉を発し )
( 月明かりに照らされる彼は普段よりも儚さが増し、美しく見えて。無意識のうちに見惚れていたようで月を見ることなく彼の方ばかり見ており )
――…ん?どうした?
( 暫くの間、月を眺めていたがふと隣から視線を感じて。それに気付いたように彼の方を見ては緩く首を傾けて問い )
…あっ、いや……。
( こちらの様子を伺う彼に気付き漸く見つめ過ぎてきたことに気付けば、何とも気まずそうにしながら視線逸らして。それから黙り込んだものの「…お前が、余りにも…綺麗だったから…」とポツリと呟き )
―――っ!
( 何故だか視線を逸らされた挙げ句、黙り込まれると更に疑問符が浮かんで不意に彼が喋ったと思えば放たれた言葉に顔を赤くさせ。「ありがとうな。きみに綺麗と言われるのは嬉しいな」と照れた感じで嬉しそうに笑い )
本当の事だ
(嬉しそうに微笑む彼を見てはこちらも微笑んで。こんな時間がずっと続けば、と思い。不意に彼の唇へそっと自身のを重ねては「国永、愛している」と僅かに頬を染めそう言って)
ん、俺も愛してる。
( 突然感じた唇の感触に接吻されたのが分かると、まだ顔の熱は引かずに嬉しそうに微笑んだままそう言葉を返して。屋根の上ではあるが今幸せな気分な為にぎゅっと彼に軽く抱き付き )
( 月の下、お互いに抱き締め合いながら静寂が二人を包み双眸閉じてこの幸せな時を噛み締め。ずっとこのまま時が止まればいいのにな、と思いながら満足するまで離さないでおり )
( しばらく夜空を眺めていたが、そろそろ戻った方がいいだろうと判断してはそっと彼から離れて。ゆっくりと立ち上がれば「国永、そろそろ戻ろう。朝になってしまう」と手を差し伸べて )
…ん、そうだな。
( そっと体を離されその科白にやはり傍に居ると落ち着いて、眠気が来たのか眠そうな声で返事を返しつつ手を取り。立ち上がると梯子が掛けられた場所までゆっくりと歩いて )
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