幼なじみの恋…＊.

つまんねーじゃん、見てるだけなんて。俺のお陰で乗れるようになったんだから感謝しろよ。
(背後からのぼやき声にははっと笑いながら、悪戯げに上から目線な物言いをし。海へと辿り着くと自転車を止め、「はいはい、…ほら」軽く流しながら相手に手を貸し自転車から下ろそうとし)

…乗れるようにはなれたけど…
(おかげといえばおかげではあるが感謝するには納得がいかないようで曖昧な返事をし。すると海に着き指し出された手を借りて自転車から降りると目の前に広がる海を見ればわああーと海に感動し同時に海に向かって走りだすと波打ち際まで走っていき"綾斗も早くーっ"と手を大きく振りながらはしゃいで)

あ、おい待てって…！…ったく…
(自転車から降りた矢先海に向かって駆け出す相手の背に声を掛けるも、手を振りながらはしゃぐ相手の姿を見ると自然と笑みが零れ。波打ち際まで相手を追っては靴を脱ぎ「冷てっ」などと笑いながら足を浸し「かすみ！」名を呼ぶや否や相手に向かって軽く水を弾いて)

..な、きゃっ…！
(相手が波打ち際までやってくると自分も靴を脱いでから海へと入って。するとふいに声を呼ばれるとなんだろうと思いながら振り返った途端水をかけられてしまえば濡れてしまい"仕返しー！"と言いながら相手に向かって水をバシャッと強めにかけ).

冷て…ッ！ばっ…おま、加減してやったじゃねぇかよ。
(小さな声をあげる相手をははっと笑った瞬間派手に水がかかると、此方は余り相手を濡らさないように加減したと抗議しながらも楽し気に足で何度も水を弾いてやり)

や、やりすぎーっ！
びしょびしょになっちゃったじゃん…ｯ
(相手から倍返しがくると手を前に出しながら顔を背け防いでいたつもりだったが思った以上に濡れてしまい。濡れてしまった髪をぎゅっと握りしめながらゔーと口を尖らせ責めるかのようにじーっと見つめ)

こんなん避けれねぇお前が悪い。制服はなるべく避けてやってるだろ。
(責めるような視線を向けられると己は悪くないといった言い振りで笑いながら返すも、家に一旦帰った時にタオルくらい持ってくるべきだったかと今更ながら思い。お怒りである相手の気を逸らすように「あ、これこれ。昔よく拾ったよな」等と目についた貝殻を拾い上げ)

だからって、顔を濡らすことはないんじゃないのー
(笑いながら言われると反省をみせない相手にぷくうとほっぺを膨らまし渇くかなあと思いながら空を見上げ。すると貝殻を拾って油断をしている相手を見ればチャンスが到来し目をきらんと輝かせると後ろからどーん、と押してみて/え←).

ばか、制服濡れて透けるよりマ…シ……うわッ…！
(先々を考えての己なりの配慮だったのか反省の色を見せずに返しなが振り返ろうとした矢先、突然の背中への衝撃。すっかり油断していたのかそのまま前のめりにぐらりと体が傾き、咄嗟に受け身を取るものの膝を付いてしまい。「かすみ、てめっ…どうすんだよこれっ」立ち上がるとびしょ濡れの制服を指差しながら近付き、じゃれるように相手の首に腕を回し締め付けて)

あははっ、成功！
綾斗が油断してるからでしょっ
(上手く成功したことに大満足なようで満面な笑みを浮かべながら指を指して笑い。すると近づいてきた相手に腕を回さられては"ちょっと、あたしまで濡れちゃうよ"と言いながらも先程の件が忘れられず未だくすくすと笑っていて

うるせぇよ、お前マジ許さねーから…
(満足そうな笑顔を向ける楽しげな相手を目にすると悔しい思いは消え別の感情が湧いて。責めるような言葉とは裏腹に声音は何処か甘く、じゃれるように首に回していた腕を然り気無く抱き締める形に変え)

だって綾斗が…っ！
(許さないと言う言葉に反論しようと首だけ相手の方に向けてみたが思った以上に距離は近く頬をうっすらと赤らめると言葉に詰まってしまい。そんな顔を見られたくなくぷいっと再び前に向き直してみると自分が今置かれている状況を今更ながら分かり頬を更に赤らめ始めなんだかいつもと相手の雰囲気が違う気がし「..綾…斗？」とおそるおそる発して

――…なぁ、お前が気になる奴って誰だよ。
(緩く抱き締めただけで相手の背を通して鼓動が伝わってしまうのではと思う程、急速に加速していき。戸惑いがちな相手の呼び掛けに答えず暫し無言で背後から抱き締めていたが、ずっと気になって仕方なかった事を不意に訊ねれば無意識に抱く腕にきゅっと力がこもり)

…っ！…言わない…
(突然の問いにどきんと胸が飛び跳ね。朝は同級生が入ってくれたためなんとか話題からは逃げることは出来たものの今は2人だけなので逃げることは出来そうにもなく。しかし自分も限界が近く首に回されている腕に手を添えれば"ねぇ…離して…っ？"と相手にお願いをして)

…言うまで離さねぇ。
(簡単に言わないであろう事は予想出来たが、他の相手を想う相手に対しわき起こる独占欲が胸を締め付けて。相手の願いを無視し背後からきつく抱き締めたまま「…かすみ」不意に耳元で相手の名を呼び)

…っ。どうして…、
綾斗、あたしのなんて興味ないんじゃないの…？
(変わることない態勢に鼓動は更に高鳴っていくばかりでどうにかしてでも離れたかったがお願いをした言葉を拒否されてしまい。しかしどうして此処まで相手は突っかかってくるのだろう、と次第に疑問を抱いては下を俯きながら問いかけ。すると耳元で囁かれれば弱いのかぴくっと反応を示せばぎゅっと目を瞑り)

興味ないわけねぇだろ…。俺は――…、…お前が好きだ。
(幼い頃からずっと一緒でずっと見てきた相手。恋心だと認めてしまったら築いてきた関係が崩れてしまう気がして。しかし隠し通すのもそろそろ限界だと気付いた今、抱く腕に力を込めれば静かに、しかしはっきりと想いを口にして)

ー…え？…う…そ…
(相手からの思いがけない告白に信じられず耳を疑い。幼い頃から一緒だったため妹当然のように扱われている事を感じていたためそんな自分なんか眼中にはないんだろうと思っていたため驚きのあまり目を見開いて。そのせいか"あ、あたしね…っ"と声を発そうとすると自然と声が震えてしまい)

嘘じゃねーよ。誰とも付き合おうとしなかったのもお前が好きだから。…本当は言うつもりなんかなかった。けどお前が気になる奴が居るなんて言うから…
(抱き締めたままの相手から震えるような声が漏れ。多分困惑しているのだろうと感じ取れば相手から拒否の言葉が零れてしまう前に己の気持ちを述べ始めて。関係が崩れるのを恐れ秘めて来たが、最近焦りを感じていた事を伝え)

違う…違うよっ…！
…あたしの好き人は…綾斗…だよ…っ。
(次々と溢れる気づかなかった相手の思いは信じられないが自分にとっては嬉しいもので。しかし相手は大きな誤解している箇所があることを知れば本当の事を分かってもらわなければと思い拳をぎゅっと握りしめて声を発してみるもその声は次第に小さくなっていきそれににつれ俯きがちになりながらも"ずっと…みてきたんだからっ"とぽつり呟いて。)