まいほーむ ／ 非募集

あっ、そうだこんな馬鹿なことしてる場合じゃない。バレンタイン忘れてた…！( バレンタインの言葉にはっとして顔を上げ )

──…えっと…希望していたトリュフチョコです。口に合うといいんですが…。( 持っていた箱を目の前に差し出し )

──…ん、ありがとう。……わぁ…、手作り？( 丁寧に包装をはずしていき箱を開けるとチョコと対面し頬を緩めて )

──…はい、作るの初めてだったので少し形は変ですが…。( 喜んでくれる様子に安堵し歪なチョコを見つめては恥ずかしさから頬を掻いて )

初めてだったの？……んふふ、嬉しい。( 食べるのが勿体ないと思いつつ、一つを摘まんで口に入れるともぐもぐと食べながら口の中に広がる甘さに笑みを浮かべて )…んん、うまぁいっ、

あげる人がいなかったので薫さんが初めてですね、美味しいと言ってもらえて嬉しいです。そう言えば…仕事先とかで貰いました？( 相手をじっと見つめては頬を緩ませ、ふと思い聞いて )

……ん？あー、そういやなんか渡されそうになったけど、ごめんなさいってしてきた。( 考える素振りを見せながら正直に答え )

……自惚れかもしれませんが…そ、それって俺がいるからですか？( 一瞬だけ胸が高鳴るも果たして自分が思っていた事と同じなのか恐る恐る聞いて )

……ばか、当然だろ？それ以外に理由なんてないよ。( ぺろりと親指を舐めながらにんまりと口角を上げ )

俺…ちょっと…いや、だいぶ舞い上がりそうです。( 嬉々とした表情と感情が溢れないように口元を掌で隠せば頬を染めて )

……見てればわかるよ。すっごい嬉しそうで、なんか可愛い。……颯汰は？もし他の人から貰ってたら今の俺は何するかわかんないよ。( 隠しきれない喜びが嬉しくもあり、むず痒くもあり、照れ臭そうに笑いながら顔を覗き込むとじっと見つめて )

か、可愛い…って俺には似合わない言葉ですよ。──…貰ったって言ったら薫さん…嫉妬しますか？( 隠せてたと思いきや相手にバレてると知ると、より顔を赤らめて。近くで見つめられるも恥ずかしさから合わせられず小さな声で問い掛け )

…………貰ったなら嫉妬する。……貰ったの？( 駆け引きのような質問にぱちぱち瞬いて、考えるように一度目を伏せるもすぐに視線を上げて )

──…仕事先ですけど１つ貰いました。で、でも…他の人にも配ってたので…友チョコみたいな感じだと思います。( ゴソゴソと鞄から小さな箱を出し見せては )

っく…くそ、俺だってまだ渡してないのに…！──…ねぇ、そいつ見返りは求めてなかった？もしかして颯汰にだけは他の人と違った特別なチョコだったりしない？( 可愛らしい包装で飾られた箱を見下ろし、ぎりっと歯を食い縛って悔しさ滲ませると、つい厳しい視線を向けながら不満げな声が出てしまい )

いつもお疲れ様って言われて渡されたので見返りとかは無いかと…。大丈夫です、俺には薫さんだけですから。( 目線が合えば少し縮こまるも相手を安心させるべく髪を撫でながら述べて )

……わ、我が儘言いたい。…言ってもいい？( 胸のざわつきは収まらず、髪を撫でる手を取って指を絡めて )

──我が儘…？なんでしょう？( 一体何だろうと思いながらも指先を絡めては視線合わせ微笑み )

……っ…こ、これ食べないでほしい。友チョコでもやだ。……俺以外の人から貰ったもの、食べないで、( 視線を泳がせ言葉を迷いつつも正直に複雑な心境を告げ )

──……分かりました。俺は薫さんだけと言いましたので食べません。でも…チョコどうしよう…。( 一瞬だけ目を見開くも相手から伝わる気持ちに納得し頷いて。しかし捨てる訳にもいかず箱を見つめ悩んだ表情を見せては )