鬼ごっこ【NL】

…どういうこと？…工作員…？(予想だにしていなかった単語が聞こえ、状況もよく飲み込めないまま、とにかく移動するということだけ理解し)わかったわ、待って(慌てて鞄を掴み、教室をすぐにでも出ようとする彼の後に続いて)

やれやれ我がライバルながら平和ボ.ケとは嘆かわしい。一見平和そうに見える学校生活の中にも常に陰謀は渦巻いているし、どこに刺客が潜んでいるやもわからんのだぞ？(それっぽい言葉を並べ立て呆れ顔で肩をすくめるがつまりはいつもの戯言であるようで。そんなやり取りもそこそこに行き先も告げずに歩き続け学校を出て向かったのは学校の近くにある和喫茶で)好きなものを頼むと良い、今回の件は俺から持ち掛けた案件だからな。こちらの経費で落としておこう(和風な店内へと入り店員に席へ通されれば、本題へと入る前にメニューを手に取りつつ相手にも好きなものを頼むよう言い、いちいち芝居がかった口ぶりではあるもののつまりは誘ったのはこちらだから支払いは此方がもつと言いたいようで)

平和＊＊なんて失礼ね。私がどれだけ日頃あなたに目を光らせてると思ってるのよ。…刺客！？陰謀！？…そうか、だから重要な話なのね。てっきり私はあなたが謝りに来たのかと…。でもそういうことなら確かに学校の中では話せないわね。（行先もわからないままついていきつつ、平和＊＊と言われてムッとして返すと、彼から怪しい言葉を並べ立てられ、重要な話とは平和な学園に怪しい影が忍び寄っているということで、その対処について話し合うということだったのかと納得してしまい）ここ？すごく素敵！…え？ほんとに？いいの？（和喫茶に連れていかれれば女子高生らしくテンションが上がり、奢ってくれると聞いて遠慮しようかと思うが、折角の厚意を無碍にするのも申し訳なく思い）じゃあ、今日はお願いしようかな。次は私が出すね。（次は自分が払うと申し出て）どれにしよう。迷うなぁ。ん～、じゃあ抹茶ラテにしようかな。（メニューを渡されると目をキラキラさせて好きなものを選び）

別に恩を着せたつもりはないのだがな…まあ、その方が俺としては話しを進めやすいか(やたら上機嫌に次もこういう機会があること前提で話しをする相手に単純というべきか乗せやすいというべきか、そんなことを思いながらも勝手に恩を感じていてくれた方が多少はこちらの意見も通しやすくなるかとポツリと呟き)…さて、ではそろそろ本題へと入らせてもらうが構わないか？(相手の注文した抹茶ラテ、自分の注文したあんみつがそれぞれテーブルへと届き、お互いに少し手を付けてから手を止めて相手を見据えて)

あ、あなたあんみつにするのね。あんみつも甘くて、でもここのはしつこくないから私もすごく好き。…ん？なにか言った？(メニューに夢中になって、相手が呟いていることが殆ど耳に入っておらず、聞き返し)…あ、来た。んー、美味しい！抹茶もすごく好きなの。…っと、そうね。いいわよ、本題に入って。さっき言ってた刺客とか陰謀のことよね？詳しく聞かせて。(運ばれてきた抹茶ラテに舌鼓を打ち、唸っていたが、本題に入ると聞いてパッと表情が真剣になり)

中々話しがわかるではないか。案外俺たちは今と立場さえ違えば気の合う同志となり得たのやもしれんな(こちらのチョイスに肯定的な意見を述べる相手に満足げにそう返しつつスプーンを持つ手を動かし)何を勘違いしているのかは知らんが今回の要件はそんな話ではない。とりあえずこれを見てみるがいい(ひとまず相手の想像しているような話題ではないとバッサリ切り捨てては、スマホを操作してから見やすいように向きを反転させて相手の前に差し出して。画面上には『町内縦断謎解きウルトラレース』とデカデカと書かれたサイトが表示されていて)神谷女史、お前はこの町内縦断謎解きウルトラレースを知っているか？謎解きやお題をクリアしながら各地のチェックポイントを回りパートナーと共により早くゴールを目指すという地元民でも知る人ぞ知る一年に一度のイベントなのだが…それが今年は来月に行われるそうだ。そこでお前の脚力と負けん気の強さを見込んで提案なのだが、このイベントに俺と共に参加してみるつもりはないか？(イベントの詳細についての説明をした上で改めて今日の要件を説明し、相手を誘って)

あなたが騒ぎさえ起こさなければ気の合う同志に今すぐにでもなれるわよ。(満足げな相手に対し、満更でもないが、皮肉を込めて返し)そんな話って、学園の平穏が脅かされるかもしれないっていう大事な話じゃない。そもそもそっちが言い出したんでしょ。あ！また騙したのね！…ん？何々？(学園の一大事と聞いていたのにあっさり否定され、また騙されたと憤慨するも目の前に出されたスマホを見て)町内縦断謎解きレース？毎年やってるらしいっていうのは知ってるけど、あまり詳しくないわ。…ええ！？あなたと？ちょっとそんな急に言われても困るわ。大体、出て私に何かメリットはあるの？(予想だにしていなかった申し出に面食らい、動揺しつつ、自分が出るメリットはあるのか問いかけ)

騙したつもりはさらさらない、が…よもやお前がそれほどまでに陰謀論に乗せられやすいタイプだとは思わなかったのでな、そこは俺の落ち度だ許せ(戯れをまさか本気で受け取るとは思わなかったと口元に手を当て、くくっと笑みを浮かべながら謝罪にならない謝罪をしつつ、つまりは乗せられやすく騙されやすいそんな相手のことを揶揄していて)メリットはない…が、お前はこの申し出は断れんはずだ。何故ならこのレースの舞台として俺たちの通う学校もコースの一つとして組み込まれているからだ！それが何を意味するか言わずともわかるな？俺は勝利とエンタメの為ならば手段は選ばん、我らが学び舎もこの杉谷大和の勝利の為の礎、舞台装置となる予定…だが、このままやっても俺の一人勝ちになるのは目に見えていて盛り上がりに欠けるからな、そこで神谷女史、我が終生のライバルたるお前にはパートナーとして堂々と近くで監視をする権利を与えようというのだ、言うなればこれは無限鬼ごっこ…俺の企みを阻止したくば当日は俺を見失わんようにゴールまで追いかけて来いということだ(要は相手もこの行事を盛り上げる為に巻き込もうという魂胆で、例え直接学校行事などとは無関係であっても学校を引き合いに出せば責任感の強い相手ならばきっと乗ってくるはずと、煽ってみて)

何よ、バカにして。そんなこと言うならレースに出てあげないんだから。(恥ずかしそうに顔を赤くして、ムッとしながら頬を膨らませて拗ねて)はぁ！？何言ってるの！？学校がコース！？ありえない、ありえない。舞台装置？バカバカバカ！…わかったわ…そこまで言うなら阻止して見せようじゃない。私を煽ったこと、後悔させてあげるわ。(学園を舞台にした鬼ごっこということに驚き、捲し立てるように文句をぶつけるが、フッと力が抜け、俯いた後、ゆっくりと顔をあげると目が座っており、相手の煽りに乗ることにして)

まあ、そう言うな。純粋であるということは美徳だぞ。特に俺たちぐらいの年になるとそういう純真さは得てして無くしてしまいがちなものだからな(肩を竦め、やれやれと受け流しながら本気なのか小馬鹿にしているのか半々ぐらいの態度で言ってのけ)…よくぞ言った！そう来なくてはな！では早速エントリーを済ませておくぞ(相手の反応を見れば計画通りとばかりに口角を上げ、これは面白いことになるぞと早速嬉々としてサイトから申し込みをして)

何よ、偉そうに。ベーっ。(とても誉められているとは思えず、小さく舌を出して、あっかんべーとして)喜べるのは今のうちよ。レースが始まったら、私を誘わなければよかったってすぐに後悔させてやるんだから。(嬉々として申し込みをする相手に向かって皮肉を込めて言い)

望むところだ。せいぜい俺を脅かして見せて欲しいものだな、その方がオーディエンスも盛り上がるだろう(相手が自分を追い詰めるというならそれはそれでエンタメとして面白いと軽口を叩き)…さて、要件は済んだから俺は行くぞ、俺はこれから他の任務があるのでな…支払いは済ませておくから後はゆっくり甘味を堪能していくがいい。ではまた会おう(あっという間にあんみつを平らげると伝票を手に立ち上がり、片手ヒラリと振ってその場を立ち去ろうとして)

お望み通りにしてあげるわ。(受けてたつと意気込んで)…他の任務？どうせまた何か企んでるんでしょ。まぁでも、ご馳走になったことに代わりはないから、ありがとう。はいはい、またね。(相手の企みに警戒しつつ、しかし筋は通さねばとお礼を口にし、骨の髄まで楽しむことでいっぱいな相手に対して半ば呆れながら手を振って、抹茶ラテの残りを楽しんで)

次の日

おはよう、神谷女史(朝、登校してくれば相手の前の今は本来の持ち主がまだ登校しておらず空席となっている座席の椅子に腰掛け正面から声をかけ)昨日の件で一つ話し忘れたことがあったのを思い出した。話し…というよりは提案だな、恐らくお前にとっても悪い話ではなかろう、聞くか？(声のトーンを若干落とし胡散臭い笑みを湛えながら顔を寄せて)

杉谷くん、おはよう。どうしたの？(何か自分に用事がある様子の相手に不思議に思って首を傾げながら)提案…？私にとって悪い話じゃない…？いかにも怪しいわ。よくよく考えてみればあなたの提案は碌でもないことばっかりじゃない。昨日だって最初はご馳走してくれるんだと思って喜んじゃったけど、蓋を開ければあなたが楽しむための鬼ごっこだったし、私だってそう何度も同じ手には引っ掛からないわ。でも、聞かないっていう選択肢はなさそうだから、そうね、聞かせてもらうわ。(嫌な予感がして訝しげな表情を相手に向けながら)

ふむ…流石に警戒もされるか、我がライバルの日進月歩の成長が肌で感じられて俺は実に嬉しいぞ(相変わらずというべきか小馬鹿にしたような芝居がかった口調で)有益か無益かそれは聞いてから判断をしてもらいたいものだな(悪びれずにフッと小さく肩を竦め)率直に言おう、レース当日までの期間限定で停戦協定を結ぼうではないか。どのような形であれイベントへ参加する以上は本気で勝利を目指す。その為にするべきは小競り合いではなく時間を有効に使ってお互いを高め合うことだとは思わんか？…俺はこの期間中は表立って行動は起こさないと約束する、その代わり時間のある時は俺の訓練に付き合ってもらう。お前とて出るからには勝ちたいという気持ちは同じはず、何より俺を攻略する為にリソースを割かなくても良い分風紀委員の負担も減る…どうだ？悪い話ではあるまい(回りくどい言い方をしているが要はある意味無駄とも言える追いかけっこに使ってる時間を実りのあるトレーニングに充てようという提案で)

あなたに成長したとか言われても嬉しくないわ。（子ばかにしたような態度を取られて、眉間に皺を寄せながら）停戦協定？むしろ終戦にしてほしいくらいだわ。停戦協定って、いつもあなたから仕掛けてくるんじゃない。あなたが行動を起こさなければ私から何かすることはないわ。…まぁ、悪い話ではないわね。騒ぎを起こされることを思えば訓練に付き合うくらい、どうってことないわ。いいわよ。（嫌味っぽく、騒ぎを起こすのをやめればいいのにと伝え、停戦協定には賛同し、）

愚問だな。俺は俺の活躍に期待してくれている者たちを裏切ることは出来ん(腕を組みそれは無理だとキッパリ言い切って)実に賢明な判断だ。ならば今日の放課後から早速付き合って貰おうと思うのだが問題はないか？(ともあれ、こちらの要求が通ったことで満足げに頷き今日の放課後から活動を始めたい旨を伝えて)

カッコつけちゃって。全然よくないんだからね。もー。（どれだけ言っても暖簾に腕押しだなと頭を抱えて）今日？別にいいわよ。訓練って何するの？（放課後付き合うことは一向にかまわないが、訓練とは何訓練とは一体何なのか、首をかしげて不思議そうにし）

訓練内容はまだ言えん、その時までのお楽しみというやつだ。レースにはアドリブ力、対応力も求められるからな、これもある意味訓練の一環ということだな(問いかけに対しニヤリと意味深な笑みを浮かべながらそう返して)場所は学校近くの運動公園だ、俺は少し準備をせねばならんからな先に行って待っていろ。確かに伝えたぞ、ではまたな(場所を指定し、要件を伝え終えると自分の席に戻り、宣言通りこの日も一日特にトラブルなどは起こさず時間は過ぎていき)