鬼ごっこ【NL】

ほんっとに調子いいんだから。(言うだけ無駄だと呆れた様子で肩を落とし)…失礼ね。私だって暇じゃないし、好きで追いかけてるんじゃないんだからね。(発言にひっかかり)…ん？“何かとやることがある”って何？やっぱり怪しいじゃない。何をするつもりなのか正直に言いなさい。もし、それで潔白が証明できるのなら今日はもう尾行しないわ。ただし、嘘はダメ。もし嘘ついたら、そうね。今後私の言うことには逆らわないこと。どう？(得意気に人差し指を立てて、交換条件を持ちかけ)

そうだな…俺としては別に尾行をされようが周りを嗅ぎ回られようがそれほど困らんのだが、特別に答えてやろう(そもそも前提として尾行されることを苦にしていないため、彼女の持ちかけた取り引きは意味を成してないのだが敢えてそれに乗ってやることにして)俺の目的は次にどこで何をすれば盛り上がり、皆が楽しんでくれるか、それを考えつつ校内を見て歩いていたといったところか…何事も地道な下調べと緻密な計画が不可欠だからな。少なくとも今ここで何かをするというのはあり得んとだけは言っておこう、放課後のオーディエンスの少ない場では何をしても盛り上がらんからな(あくまで自分の行動はエンタメだという姿勢を貫き通し、その上で放課後の生徒が殆ど残っていないこの状態で事を起こすのはナンセンスだと自分なりの理屈を述べ)

尾行されて困らなくても、やろうとしていることをやる前に阻止されるのは困るでしょう？(困っていないというのはハッタリではないかと思いつつ、どちらでもいいかと思い、それより今日はなにもしなさそうだとわかって)…そう。今日はもう何もしないのね。それならもういいわ。できれば明日からも何もしないでもらえるとありがたいんだけど。何を計画してるのかなんて、どうせ訊いても教えてくれないんでしょ？(ひとまず今日は無事に終わりそうだと思い、これ以上は無駄だと踏んで、踵を返し)

わかっておらんな、何事も困難があってそれを乗り越えた先に事を成し遂げてこそカタルシスを得られるのだ！故に我が生涯のライバルたるお前には期待をしているのだぞ(日頃の相手の苦労のことなど知らないとばかりに苦労があればこそなんて独特の感性でそう言葉を返し)ふはは！それは出来ん相談だ、それにお前も俺が何もしなければしないで寂しかろう！…ではさらばだ！(そう言い残し軽快にダッシュでその場を去っていき)

次の日

さて、ここならば良かろう…(授業の合間の休み時間、教室を出てやってきたのは校舎裏で、周辺をスマホのカメラで撮影したりと怪しさ満点で)

誰が生涯のライバルよ。そんなものになった覚えはないし、別に寂しくもならないんだからね！(去っていく後ろ姿に小さく舌を出してあっかんべーをし)


次の日　休み時間
昨日はあのあと約束通り何もなかったし、今日も今のところ平和で何よりだわ。(平穏に過ごせることに安堵し、伸びをする。傍らには友達がおり、)
それで、この間言ってた人とはどうなったのよ？………すごいじゃん！あともう一押しね。こっちまでドキドキしてきたわ。それで？次の予定は？(仲の良い友達同士で恋バナに花を咲かせ、休み時間を過ごし)

うむ、やはり思惑通り…(そう一人口にすれば雨樋に足をかけてするすると登り始めて、どうやら逃走経路として使えそうな場所を探していたようで、試しに登ってみて)…ふっ、俺が何もしないと思ってすっかり油断しきっているな(2階辺りまで登って何気なく窓から中を覗けば友人達と談笑をする相手の姿を見つけ、ほくそ笑み。そんな中彼女と談笑をしていた友人の一人がこちらに気づいたようで硬直して)

…私？そういう人は特にいないわよ。……あ、あの問題児なんかありえないし！(恋バナをしていると友達にそういう人はいるのかと尋ねられ、否定する。友達が学校で一番の問題児の名前を口にしたのでムキになって否定すると、友達はそういう意味ではなくて窓の外にその人物がいると告げ)…え？ここ2階よ。もーそうやって騙そうとして……嘘！？…ちょっと何してるのよ。危ないでしょ！降りなさい！…もしかして降りられないの？じゃあ手を貸すから捕まって！(友達に言われて振り向くとそこには彼の姿が。驚いて窓を開けて、下に降りるよう呼び掛けるが、降りられなくなっているのかもしれない、もし落ちたら大変と思い、本気で心配して窓から身を乗り出して必死に手を伸ばし)

はーっはっはっはっ！それには及ばん。…とうっ！(ようやく気づいたか、とばかりに満足げな表情を浮かべれば彼女の心配をよそに高笑いをしつつ彼女が身を乗り出している窓とは反対側の窓を足で蹴り開け、軽く跳躍をしてそちらから校舎内へと転がり込んで)俺は無謀と勇気は絶対に履き違えん、いい加減慣れたらどうだ？そもそも、神谷女史の細腕では俺を引き揚げるのが無理なのは元より、一緒に落ちるのが関の山だと思うが…それがわからん訳ではなかろう？…まあ、そうとわかっていてもそうせざるを得ないのが神谷女史か(毎度大袈裟に心配する相手へとこちらの運動神経の良さと身軽さを持ってすればこの程度は造作もないことなのだと学習したらどうかと指摘しながらも、多少でも危険だと思えば本気で心配して自らの危険も省みずに手を差し伸べてくるのが彼女の真面目さで人の良さかと茶化して)

っあ！……よかったぁ。…って、そうじゃなくて！(無事に校舎内に入ったのを見て安心して思わず言葉が漏れるが、ぶんぶんと首を振って)こういうのは慣れるとかじゃないのよ。万が一ってこともあるでしょ。人が本気で心配してあげたっていうのに、なんて呑気なの。心配して損したわ。はぁ、折角の休み時間を返して頂戴。(わかっていても、いざ目の前に危険があると思うと身体が動いてしまうのは自分でもどうしようもない性分なのだと自覚しており、盛大なため息をつきながら、折角の友達との時間をどうしてくれるんだと文句を言い)

時間を返せとは…これはまた無茶な要求をしてくれるな。時間を返す事は残念ながら俺をもってしても不可能だが、その代わり耳寄りな情報を教えてやろう。今日の昼休みに食堂へ来るがいい、ロスした休み時間よりもずっと刺激的で有意義な時間を約束しようではないか(めちゃくちゃな相手の言い分に呆れ顔で肩を竦め、その代わりにと具体的に時間と場所を指定して、ニヤリと不敵に笑って)

時間を返せっていうのは言葉の綾でしょうが。誰も本気で言ってないわよ。(肩を竦め)昼休みに食堂ね。わかったわ。どうせまた何かやらかすんでしょう。予告してくるなんて随分余裕ね。何が“刺激的で有意義な時間”よ。“迷惑な時間”の間違いじゃないかしら。(来る昼休みに不安を感じ)


昼休み
今のところ特にいつも通りね。(言われたと通り、食堂に足を運ぶ。多くの生徒が昼食を摂っており)

ほう、逃げずに来たか。ここへ招いたのは他でもない、たまには我がライバルとの親交も深めてやろうと思ってな。という訳で一緒にランチでもどうだ？(背後から音もなく現れ、相手が不安に感じていたような内容とは若干違った内容を口にし)…とはいえただ食事するのではつまらんからな、幸いにも今日は学食の新メニューの発売日。今なら俺の奢りで新メニューを体験させてやろう…ただし、予め内容の確認はできないものとする！どうだ？やるか？(単純なトラブルや問題行動ではない、いつもとは性質の違うアプローチで敢えて挑発的な言葉を用いて意志を尋ねて)

きゃっ！…ちょっと急に後ろから声かけたらビックリするじゃない。心臓が止まるかと思ったわ。…そうはさせないわ…って、え？ランチ？どういう風の吹き回し？…っは！もしかして熱でもあるの？(背後から声をかけられて肩をビクッと震わせる。ドキドキしながら手で胸を押さえつつ、相手からの申し出に最初は良からぬ企みと早とちりするが、予想外の提案に目を丸くする。もしや熱でおかしくなったのではないかと、自分と相手の額に手を当てて確かめ)
あれ？熱はないみたいね。じゃあ本当に？しかもあなたの奢りで？…そっか、とうとうあなたも改心したのね！それで今までのお詫びに奢ってくれるのね。メニューはサプライズってことかしら？そういうことならお言葉に甘えさせてもらおうかしら。(熱でおかしくなったわけではないとわかると、今度は好意的に解釈して、嬉しそうに満面の笑みで提案を受け入れ)

くくく、まあ俺も多方面から色々な仕事を請け負っていてな、新メニューの評判やら生徒たちの生の声を聞き作り手に届けるというのもその一環ということだ。情報と人脈を得る為には日頃の地道な努力の積み重ねが重要なのだ(相手が乗り気になったのを見るや彼女の分と自分の分の食券を購入し、これは単純に食事を奢るというだけの話ではなく、ある意味ではこちらの後ろ盾を厚くするための案件なのだと付け加えて)

へぇ、案外まともなこともちゃんとしてたのね。じゃあ、参考になるようにしっかり感想伝えるわね。新メニュー楽しみだわ。地道な努力っていうのは確かにその通りね。良い心掛けだと思うわ。(すっかり感心して、話に耳を傾ける。ちゃんと言われた通り、食券を購入する手元は見ないようにし、楽しみにしながら)

ほう、やる気は充分といったところか……ふむ、俺たちの番のようだ。俺がとってくるから待っているがいい(食券を購入してからしばらく待ち、新メニューに心躍らせ、キチンと参考になる意見を言わなければと使命に燃えている様子の彼女を尻目に、料理が出来たことを知らされれば自ら率先して立ち上がって)……レディースアンドジェントルメン！諸君、待たせたな！これが今月のチャレンジメニュー！灼熱地獄マグマMAX坦々鍋だ！…今日の挑戦者は我が宿敵であり生涯のライバル！風紀委員の才媛神谷璃子だああああ！(トレイに乗った料理を手にしながら、席へまっすぐ戻るかと思えば途中で足を止め、急に大仰に芝居がかった口調でその場に居る他の生徒たち全員にもハッキリ聞こえるように司会者的なノリで呼びかければ、半数近くの生徒たちはまるでこの状況を最初からわかっていたように拍手やら歓声が上がり、そんな歓声を聞きながら相手の前に置いたトレイの上にあったのは真っ赤でドロドロとしたぐつぐつ煮えたぎるマグマの如くスープがあまりにも危険な香りを匂わせる坦々鍋があって)さあ神谷女史、これが新作の灼熱地獄マグマMAX坦々鍋だ。ギネス記録にも認定されたことのあるブートジョロキアをふんだんに使った学食のおばちゃんの遊び心に満ちた逸品だ。心して食すがいい(肝心の本人の意思の確認を待たずにすっかり注目が集まってしまって、中には『神谷先輩ってこういう企画挑戦したりするんだ…意外』や『根性見せろや、風紀委員！今日だけは応援してやんよー』など同じ風紀委員の後輩らしき生徒やいつもは風紀委員を煙たがっている不良やら色々な層の生徒たちから口々に声がかかって)

(至れり尽くせりでありがたいと思いながら待っていたが)はぁぁぁぁぁ！？ばっかじゃないの！？あり得ない！？信じた私がバカだったわ。もー！！(怒ってその場を去ろうと思ったが他の生徒の注目もあり、退くにも退けず)はぁ…わかったわよ。食べれば良いんでしょ。ちゃんと感想も言うわよ。…ところで、当然あなたも食べるんでしょうね？まさか私だけに食べさせるつもり？どうせなら勝負しましょうよ。その方が盛り上がるでしょう？ねぇ、みんな？(半ば開き直って状況を受け入れるが、このまま思惑通りにさせるのも癪だしどうにかできないかと考え、生徒が注目している状況を利用し、オーディエンスを煽るように食堂にいる全員に向かって言い)

なっ…なんと…！むむむむ…わかった！俺も男、この勝負受けて立とうではないか！(思わぬ反撃を受け一瞬たじろいだが、彼女が風紀委員の一員として問題児相手に衆目の中負けを認めて退くことなど出来ないのと同じように自身もまたエンターテイナーとしてオーディエンスの期待には応えないわけにはいかないのが悲しい性というもので、勝負を受けると宣言すれば周りの生徒たちはドッと沸いて)…では改めてルールについてだが…ここはシンプルに先に全部完食した方の勝ちとする！…神谷女史もそれで構わないな？(気がつけば事は『あの杉谷大和と風紀委員の神谷璃子の一騎打ち』というところまで騒ぎは広がっていて、イベントについて聞きつけたのだろう当初学食に居なかったはずの生徒たちまで後から後から学食に集まってきていて、最初よりもずっと増えた観客たちを前にしながら落ち着いた様子でその場の全員にも伝わるようルールを説明し、彼女にも確認をとり)

そうこなくっちゃ！絶対に負けないんだからね！(エンターテイナーとしての彼の性分から退くことはないだろうと思った提案が通り、俄然気合いが入り)OK！それで構わないわ。覚悟しなさい！(ビシッと相手に指をさしながら言い、オーディエンスは一際盛り上がる。その盛り上がりに後押しされ)

その威勢がどこまで続くか見ものだな。始めるぞ！(目に見えてヤバいとわかる領域にこれから突っ込むというのにその威勢の良さは流石というべきで、こちらも負けじとそう返して鍋から器へとレンゲを使って具とスープを移し)……こ、これはっ……ぐぅ…俺をここまで唸らせるとは恐るべし…(早速一口食べれば口の中を突き刺すような痛みと刺激が襲って、口元を押さえて呻き)