鬼ごっこ【NL】

ゴクっ(マグマのような坦々鍋に息を飲むが、覚悟を決めて、料理に手をつける。器に移し、そこから口へと運び)…はむっ…～っ！…くっ…(口内を焼き付くすかのような辛さに、言葉を発することもままならず、涙目になりながら口許をお手拭きで押さえて耐え)

ぐっ…ゲホ、ゴホ…涙目になっているではないか、リタイアするならば今のうちだぞ…(必死に我慢して食べ進め、むせ返りながらも相手を煽る事はやめず)

くっ…～っ…うっ…そっちこそ、むせ返って苦しいんじゃないの？…早くリタイアしたら？(額に汗をにじませ、ハンカチで拭きつつ、少しずつ食べ進める。かなり限界に近いが負けん気でなんとか口に運んでいる状態で)

ふっ…何を言うか…そんな場を白けさせるような事など出来るはずなかろう……！(とは言うものの、減っていくのはグラスに注がれた水ばかりで意思に反して身体が拒絶しているようで)……ええい、ままよ………！！(しばらくスプーンで掬って口元へもっていっては戻しもっていっては戻しを繰り返したりしていたが、このままでは盛り上がりに欠ける展開になってしまうと考え、腹を括ると大きく深呼吸をしてから一気に口へと運んで)

辛～っ…はむっ…くっ…ゴホッ…(相手が退かないのに、先にリタイアするわけにもいかず、食べ進め、鼻をつまんでみたりと試行錯誤しながら食べるが、限界も近づいており、ペースが落ち)…ゴホッ……はむっ……んーっ

うおおお……完っ食だあああああ…！ごふっ…(ペースが落ちる相手の隣でこちらはひたすら気合いで食事を続け、鍋の中のスープまで最後に一気に飲み干せば、ドンッと器を置いて完食したことを高らかに宣言し、周囲の盛り上がる声を聞きながらバタリと机に伏して気を失って)

嘘っ！？完食！？信じられない。…でも負けは負けね。あなたの勝ちよ。おめでとう…ってちょっと、どうしたの！？(残りはスープのみというところまで食べ進められたが、先に完食されてしまう。驚くが、素直に負けを認めて相手を称える。しかし机に伏したまま起きないので、身体を揺するが反応がなく)
ちょっと気絶してるじゃない。無理するからよ。みんな、勝負はおしまい！杉谷くんの勝ちよ。あとのことは任せて、みんなは戻って。(オーディエンスに問題児の勝利を宣言し、それぞれ席や教室に戻るように伝える。口内は焼けるように痛いが完食できなかったこともあり、まだ動くことができ)君、ちょっと運ぶの手伝ってくれる？…よいしょっと。…(気絶した問題児の腕を自分の肩に回し、反対側はたまたま居合わせた後輩の男子生徒に支えてもらい、保健室に運び、ベッドに寝かせる。後輩には礼を言って教室に戻らせ)折角勝ったのに私の悔しがる顔を見ないなんて、ほんとバカね。(気絶している問題児の頭を軽く撫でながら呟いて)

……む？ここは……なるほど、そういうことか…どうやら借りが出来てしまったようだな(しばらくして髪を撫でる感触に目を覚まし、辺りを見回して事態を理解すればベッド脇の彼女へ向けてフッと笑いかけて)

あ、気がついた。よかったぁ。気分はどう？(彼が目を覚ましたので安堵して胸を撫で下ろし)…借りってほどのことは何もしてないわ。当然のことをしたまでよ。だから、気にしないで。勝負はあなたの勝ちよ。おめでとう。(大したことはしていないと伝え、改めて先の勝負について相手を称え、)私は午後の授業に出るけど、もうすぐしたら、先生も戻ってくるみたいだし、あなたはもう少し休んでて。(気がついたとはいえ本調子ではないだろうと気遣い)

このザマでは正直勝った気など全くせんな…とはいえ、あまりに謙遜するのも嫌味というものだからな、ここは正直に勝利を喜ばせてもらおう。…だが、次はより完全な勝利を目指してみせる、楽しみにしておくがいい(勝利を称える言葉に自嘲気味に笑ったが、すぐに気を取り直したようで最終的にはいつもどおりの不敵な笑いを浮かべて)ふ、人の心配ばかりしていないでお前も自分の心配をすることだ。辛いものは食べている時も辛いが後のダメージも侮れんのだからな…(珍しく相手を気遣うような言葉を余裕綽々といった口調で投げかけつつも、お腹を押さえて冷や汗を浮かべて)

はいはい、次を楽しみにしとくわね…って元はと言えばあなたが騙し討ちするからじゃない。なんで信じちゃったかなぁ。(ふとこうなった経緯を思い出し、頭を抱え)まぁ、その様子なら大丈夫そうね。あら、気遣ってくれるなんてありがとう。私は大丈夫よ。…まだしんどんでしょ。冷や汗かいてる。ほら、じっとして。無理しないで。(気遣いに感謝し、大丈夫だと笑ってみせるが、実際には腹痛に襲われているが悟られないよう我慢している。ハンカチを出し、相手の額の汗を拭って)じゃあ、私はそろそろ戻るから、安静にしとくのよ。

……くく、試合に勝って勝負に負けたとは正にこのことか…全く、どこまでも楽しませてくれる(最後までこちらを気遣うことを忘れなかった相手が出ていけば、流石は自分が認めた人物だけはあると笑いが漏れて)

放課後

(体調が落ち着き、午後の授業はいつも通りに受けていつも通りの調子で過ごし、放課後になれば次は何を企んでいるのか校門の辺りで立っていて)

(午後の授業は通常通り受け、放課後委員の仕事をこなすが、腹痛に襲われたり、収まったりと波があるようで早めに切り上げて帰路につこうと足早に校門に向かい)うー、また痛くなってきた。今度から勢いに任せて勝負とかしないようにしなくちゃ。…あ、あれは…(校門の辺りに人物に気付き、弱味は見せられないとお腹を押さえていた手はどけ、背筋をシャンとして)もう体調はいいの？結局午後の授業に出るなんて、私のいうことほんとに聞かないのね。

学生の本分は勉学だからな、それに授業一本分は休ませてもらった…まあ、半ばドクターストップのようなものだったが(そんな屁理屈で返すが、一応は全く休まなかったわけではないと答えるも保健室の先生に止められなければ涼しい顔で授業を受けていたであろう事は想像に難くなく)それはまあ、置いておくとして…俺がここで待っていたのは他でもない、キチンと今日のことの借りは返しておかなければと思ってな。お前は気にするなとは言ったが、助けられっぱなしというのは俺の沽券に関わるのでな(話題を無理矢理に自分がここにいた理由へと切り替え、あくまでも相手への借りを返すということにこだわりをみせて)

それならいいけど、さすがというかなんというか。(感心しつつ、ドクターストップでもしなければおとなしくならないのだと改めて認識し)待ってたの？私を？借りって、保健室でも言ったけど本当に大したことはしてないし、気にしないで。困った時はお互い様っていうじゃない？そういう律儀で義理堅いところは嫌いじゃないけど、…っ、(自分を待っていたということに驚いて目を丸くする。申し出はありがたく思いつつ、大したことはしていないと両手を振って遠慮していると腹痛が強くなり、一瞬だけ表情が歪むが平静を装い)

諦めろ、これが俺の性分だ。…まあ、そのコンディションでは俺のもてなしを受ける余力はなかろう、今日のところは引き下がるとしよう。一人で帰れそうか？(本人はなんでもないように振る舞っているが、未だにダメージが尾を引いているのだと察すれば今日は大人しく引き下がることにして、珍しく気を遣うような声をかけて)

なんでわかったの！？(バレないと思っていたのに気付かれていて驚き、素直に認め)…そうね。待っててもらったのに、本当にごめんなさい。(自分のコンディションのせいで申し訳ないことをしたとシュンとして、頭を深々と下げ)たぶん、帰るくらいは大丈夫だと思う。じゃあ、また明日ね。(ごまかすように笑って見せると校門を出て)

ふっ、そんな殊勝な態度をとるとはお前らしくもない。今度は何を企んでいるのと訝しがるぐらいでなくては張り合いがないではないか(謝罪をしてくる相手を前に肩を小さく竦めては軽口を叩いて)明日だろうとその先でもいつでも構わん、また正面から立ち向かってくるがいい(校門を抜けて去っていく相手をいつも通りの不敵な笑顔で見送って)

それもそうね。明日からまた覚悟してなさい。(つられるように笑い)


次の日　朝
おはようございます！(1日経ってすっかり腹痛もおさまり、いつもどおり委員の仕事として校門のところに立って登校する生徒を見守り挨拶をしており)

ふははは！おはよう、神谷女史。すっかり本調子のようではないか(登校してきていつも通りに校門に立つ相手をみつければ嬉々として絡みにいって)ちなみにだが、昨日の内に校内にいくつかの仕掛けと細工を施させてもらった。今日は実に愉快な一日になることだろう、ではさらば！(昨日彼女が腹痛に気を取られ、仕事に身が入っていなかったその隙をついて校内で様々な工作を行ったと堂々と暴露し、それだけを伝えれば詳細を尋ねられる前にダッシュでその場を去ろうとして)