302号室 ／ 〆

　士郎さんの疲れを取りたいからね。ちょっと王子を意識してみた、足元には気を付けて下さいってね…。──シンプルにベッドとテーブルとソファーくらいしかないけど。…どうぞ。(　王子に成りきり愉しげに笑えば手を繋ぎ自室へと ／ 扉を開ければ中へと促し　)

お邪魔しまーす。──わお、マジじゃん。シンプルだけど洒落てるっていうか。The陽人の部屋って感じ。同じ家でも雰囲気変わるモンだね。あは、なんか落ち着かねえ。適当に座ってOK？（　戯れに絡ませた指をするりと解き入室し ／ 興味に突き動かされるまま室内見渡せば振り返り訊ね　）

　味気無い部屋だけど。部屋って個性がでるよなァ…今後は観葉植物とかテレビとか置きたいんだよね。うん、ベッドでもソファーでも適当にどうぞ。クッション使う？ (　頷けば何も無い部屋に苦笑い浮かべ ／ 自身も中へと入るとクッションを持ち　)

それなら観葉植物に一票投じちゃおう。テレビなんぞを迎えた暁にゃ俺に構ってくれる時間が減るでしょ。──それじゃソファーに。クッションは借りるとして…取り敢えず隣おいで、陽人（　淡々と糖分多めな本音零し ／ 先んじてソファーに座り手招いて　）

　ちゃんと構うよ、士郎って可愛い所あるよな。なァ…もし、テレビ置いたらどうする？──ン、座るけど…マッサージはしなくていい？(　相手の反応に興味深く訊ねて ／ 隣に座り距離を詰めれば手を伸ばし頬に触れ　)

お前の部屋に居座るし、何ならテレビより面白い事でもする。…なあに、欲しいの？今は陽人に触れたい気分。マッサージは疲労困憊で帰宅するいつかの俺の為に取っておくよ（　迷わず応答するも訝しげに訊ね ／ 縮んだ距離感に満足気に笑み、柔い茶髪を撫で梳いて　）

　士郎のする面白い事に凄く興味があるんだけど、置いたら士郎が拗ねちゃいそうだからやめる。…分かった、その時は遠慮無く言ってくれ。士郎の撫で方は優しいよなァ…落ち着く。 (　興味が湧く話題に前のめりになりそうになるも首を振り ／ 大きく優しい手付きに幸せに浸り触れていた手の力も抜け、そのまま首筋を撫でて　)

やったね、粘り勝ち。そりゃあ拗ねますよ。大の男が床に転がってじたばたしちゃうからね、地獄絵図よ？勿論。俺は欲張りなモンで、この程度で遠慮する男じゃねえからね。士郎さんは好きな子には特別優しいの。ン…可愛いね、お前（　気怠げな口調で本気とも取れる冗談述べ ／ おいで、と言わんばかりに両腕広げ　）

　なァにそれ…可愛すぎ。姪っ子と遊ぶって聞いたから少しだけ想像はできる。お腹を撫でながら"よしよし"してあげたい。──うん、触って…士郎に触れてほしい。優しい士郎さんはどこまで保てるかな…可愛い？ただ甘えてるだけなんだけど。 (　クスクスと微笑み想像しては ／ 躊躇無く相手の首元へ抱き付き挑発するような口調で述べては耳裏に鼻先を寄せて　)

…若干犬扱いしてねえ？誤解です、変な想像はやめなさいな。格好良くてお茶目な士郎さんの印象が崩れるでしょうが。狼さんにならない様に気を引き締めてるからね。俺が見るに可愛いよ、偶に感情が透けて見えちゃう所も全て（　如何にも不服げに告げ軽くデコピン ／ 腰に腕回し抱き締め、弄ぶ様に指先で軽く背筋なぞり　）

　…バレたか。和む光景なんだけどなァ。少しくらい崩れたって嫌いにはならないよ。…士郎の狼になった姿が見たいって言ったら、なる？そんなに可愛い感情出してるかな…ン、士郎。(　額に痛み走れば擦り目を伏せ ／ 背筋に刺激を感じ名を口にし反応させるように反れば負けじと耳殻を甘く噛み　)

和む要素が一つたりとも無えから士郎さん吃驚。逆に陽人がじたばたしてたら癒されるけどさ。狼さんの姿をお披露目したら、陽人とは " お友達 " じゃ居られなくなるんじゃない？出てるっての。少なくとも俺の五感にはバシバシ感じるもん。無自覚は恐ろしいわ。…ッ、煽ってんのかねこの人は（　思わず苦い表情で首を横に振り ／ 甘い刺激に小さく肩揺らし文句を一つ、奥底にじわりと湧いた熱を宥めるよう相手の後頭部を撫で溜め息零し　）

　俺にとってはね…違う一面が見れると嬉しいものだよ。只の我儘な奴にしか見えないよ。──俺は触れてほしいって言ったはず…。可愛いって、逆に嫌われてないか心配。俺も士郎に触れたいんだ…少しくらいいいだろ？(　唇を遠ざけ額を合わせ視線を下へと向ければ指先で鎖骨に触れて　)

どうせ見せるなら、軽率に陽人が惚れちゃうような格好良い姿が良いんだけど。嫌う理由が何一つ無えんだよなあ。何処を必死に探してもね。…もしや可愛がられんの不満？──月並みな言葉だけど嬉しいモンだな。ン、…擽ったい。もっと欲張ってくれても良いんだよ。士郎さん的にお前に触れて貰うの好きだし（　顎掬い上げ敢えて唇の端へ掠める程度の口付け落とし双眸を細め　）

　とっくに惚れてる、士郎の仕草や表情に…本当は士郎の事で頭が一杯なんだよ。不満じゃないんだけど、女々しいのは嫌いって言ってたから。──欲張ったら戻れなくなりそうだから…少しだけ。眠くない？ (　唇には口付けてはくれない相手に眉下げ優しい眼差しに少し胸を痛めるも手を取り指先に口付けし　)

些細なことでも感極まる程度にゃ、俺も陽人に惚れてるよ。今だってその言葉に顔面のニヤケを取り払うのに必死。嗚呼取っ掛りがあったのか…、いやまあ俺の所為なんだけど。毎度女々しい反応じゃなけりゃ大丈夫。つーか、嫌いとまで言ってねえよ。大丈夫。それと俺だって陽人を蕩けるまで甘やかしたくなんの。複雑な男心でしょ。…──少なくとも俺は戻れなくなっても良い。陽人さんってばエスパー？正直半ば船漕いでるよ、俺。陽人を落とせなくて悔しいけど、今夜は大人しく撤収するかね（　様になる動作に見惚れ本心が零れ落ち ／ 自嘲気味に苦笑浮かべ腰浮かせ　）

　もっと男らしく接した方が好きになってもらえると思ってて…まだ女々しいかなとも思って悩んでた。士郎と一緒に居たいから変われるなら変わりたい。──甘やかしてくれるのは嬉しいけど、本当にそれ以上に求めちゃうから。……何か頭が混乱してきたから士郎も眠いみたいだし寝よう。お休みー！また蹴って寝てくれていいから。 (　ソファーから立ち上がり手首を掴みベッドへ引き ／ ドンッと倒せば布団を掛け一緒に眠り　)

…定時退社最ッ高（　喜び噛み締め独り言ち　）一応今夜も待機しておく。昨日の余りの缶ビール、消費しちまおっかな。一日頑張っちゃったしね（　冷蔵庫覗き込み ／ 鼻歌混じり缶ビール数本物色し　）

　ただいまー。今から呑むの？ (　帰宅するなりリビングへ行けば冷蔵庫の前にいる相手を見つけ背後から声を掛け　)

おかえり。そうそう、翌朝に響かねえ程度に呑もうかなって。陽人もどう？肴は無えけど（　両手に缶ビール持ち振り返り ／ にまり口角上げ　）