Larimar/amethyst 【〆】

…そーんな拗ねた子供みてぇな顔すんなよ( 相手が犬の耳を着けている姿をぼんやりと考えていたが、予想以上にあっさりと諦める姿に相当着けたくないらしい事が伝わって来ればくすくすと笑い。しかし未練さえ伺える不貞腐れたような表情に気がつくと、頬を指先でつつきながら声をかけ。平然と告げられる肯定の言葉に擽ったげに笑いながら｢ご満足頂けてるようで何より｣と嬉しげに言い。相手の言葉も尤もで微かに胸を高鳴らせながら強請るようにも見える口付けの合図に応じようとするも、この流れでは腕の中から離れ難くなってしまうのを予見しふと制するように相手の唇に人差し指を置き。少し顔を離すと｢なぁ、その前に折角旅館来たんだから浴衣着てぇんだけど｣と頬を緩めて告げ )


前はなーんも食えなかったのにな( 懐かしむように零し )えー、できねぇ( 顔を逸らしわざとらしく拗ねたような声を上げ )…最近よく言ってくれんじゃん( はにかみつつ照れ臭さを誤魔化すように茶化し )

この歳になって犬耳着けてられっかという俺と、斗真の猫耳が見れるなら我慢しろよっていう俺が俺の中で喧嘩しているんだ( 頬をつつかれればちらりと視線をあげ腰に回していた手を背に移動させグッと抱き寄せるとぽすっと音を立てて相手の肩へと頭を乗せ、真面目な口調で真面目にふざけては我慢できなかったのか僅かに肩を震わせ。いくらでも褒め言葉など出てくるし、いくらでも口説き文句も出てくるので止まることを知らないという自覚はしているようで、言葉を止めると嬉しそうにはにかんだ笑みを浮かべ。このまま甘い空気に酔いしれ、再び時間を忘れてしまおうか。そんな事を考えていたが止められてしまうと不思議そうな視線を向け、止められた意味を理解すると眉尻を下げ小さく笑うと「そうだな。俺も着っか」相手の身体を抱き起こしながら自分もまた起き上がり、浴衣はどこだと周囲に視線を向け )


あんときは倒れてもいいからつって仕事に集中してたからなぁ。飯の食い方を忘れてたくらいだし( 過去のことだとカラカラ楽しげに笑い )え。どこが不満ヨ。こんなにおまえさんしか見てねぇのに？( 予想外だと首傾げ )最近会える機会が増えてるから嬉しくてたまんねぇのかもな…( ふむと悩む素振りをみせてから、はにかんだ笑みを浮かべ )

ふはっ、何言ってんだよ。仮に俺の猫耳が見てぇ龍司さんが勝ったとして、見たら見たで後悔するぞ。払った犠牲の割に大した事なくて( 凭れてくる相手の背中を撫でながら受け止めるも、可笑しな事を言う傍から笑っていることに気が付けばつられるように呆れを含んだ笑みを漏らし。徐に相手の髪に触れると、犬の耳を模しているつもりで二本の角のように髪を細く立たせるようにつまみながら言い。言うまでもなく自分が着るということは相手も着る前提で、抱き起こされると立ち上がりそれらしき抽斗の扉を開け浴衣を二人分手に戻り。立ったまま浴衣を広げては「龍司さんでかいから丈短くなりそうだな」と呟きつつ促すようにその浴衣を差し出し )


…この後もそういう感じになる可能性はあんの？( 不意に思案顔で口を噤んだ後相手を見て尋ね )……色々( 当然不満等無く考え込むような間があったが諦めて適当な事を零し )かわいー…( 返答とその表情がどうしようもなく胸を擽り思わず顔を両手で覆うとか細い声で呟き )

おまえさんの猫耳重要よ？( 可笑しくて可笑しくて仕方なくなれば吹き出すように笑い始めるもハッキリ断言し。然し、髪に感じる手の感覚に気付くと顔を上げ「なーにやってんの？」自分で自分を見ることはできないので不思議そうな声で問い掛けては、自然と二本の角を軽く作った状態で上目遣いに見詰め。立ち上がった相手に続くように立ち上がったところで差し出された浴衣を受け取ると「俺もでけぇ方だけど、斗真も似たようなもんだろ？」ふはりと吹き出せば緩く首を傾げ。さて浴衣を着るかと改めて浴衣を広げてみるものの、よくよく考えたら着方よく知らねぇなと考えながら服の上から羽織ってみて )


無い、とは断言はできない。が、もう俺には斗真がいるからな、早々簡単に物食わねぇで残業続き、なんてことはしないよう努力する( 困ったように笑ってから肩を竦め、ぽんぽんと軽く頭を撫で )…ほう？ヤーダワ、信用ないのネ？( 不意に相手の身体を抱きあげれば首の付け根へ唇寄せ )斗真？( 呟きが聞こえず、おーいと声を掛けるように口許に手を添え名を呼び )

( そんなにも笑いながら言われたところで説得力はほとんど無く、どんなに頼まれたところで絶対に着けないと心に決めつつある中頭の上に角を作り此方を見上げる姿の愛くるしさに思わず「ふ…っ」と笑みを零し。スマホを手に取るとその姿を写真に収め、それを表示した画面を相手に見せて。自分の分の浴衣を広げ体に当て丈感を確かめながら「まぁそれはそうだけど、俺とこんな身長差ある奴見たことねぇもん」と互いの間にある十センチ近くの目線の高さの違いを思いながら言い。一度浴衣を傍らに置き服を脱ぎ始めたところで、相手がそのまま浴衣を羽織る姿を見ると、一度動きを止め少しの間無言でその様子を観察するように眺めた後「……龍司さんて浴衣着たことねぇの？」と尋ね )


努力する？( 此方から質問したにも関わらず相手の返答に不満を露にしながら首を傾げ )うわっ、…っ、急にすんなって( 突然体が浮き上がり慌てて相手の首元にしがみつくと続け様に首筋に感じる擽ったさに小さく息を呑み、これまで何度か口にしたことのある苦言を述べ )なに( 浸るような思いで顔を覆っていたが名前を呼ばれると両手を下ろし口を尖らせながら応じ )

…？…！おま、何やってくれてんのヨー( 笑みを零した相手に不思議そうに首を傾げるものの、スマホの画面のうつる自分の姿に流石に驚き慌て始めたかと思えば一旦相手から手を離し、髪を整えるように梳きながら「消せよ？」恥ずかしいのか耳を紅く染めたまま確認するように問い。自分は猫背なのでそこまで差はねぇだろと言いたげな表情を浮かべていたが、互いの少々不自然な間の後の問いに小さく肩を揺らすと「………ナイデスネ」目を伏せカタコトになりながら素直に答えて。諦めたように息を吐き出しガリガリと頭をかき「そういうのが似合うのは秘書の方なんだよ」自分から見ても美人と言える秘書を頭に思い浮かべながら言い訳じみた言葉を口にすると不貞腐れたように唇尖らせ )


…倒れるまではしないと約束する( 不満そうな様子に肩揺らし、両手をあげ降参ポーズ )許可とってたら、やらせてくんねえだろ？( 少し目線の高い相手を見上げながら楽しげに笑い )…なにってこっちの台詞。どうしたの、急に伏せって( 尖らせた唇を指先でつつき悪戯っ子なような顔で )

消す消す。もちろん( 相手が赤くなるところは早々見られる物ではなく、頬が緩みにやけてしまう表情を引き締める事ができないまま明らかに白々しい口調で答え、愛おしさのあまり赤らんだ耳元へ口付けを落とし。何やら言い訳になっているようでなっていない言葉を呟くその声を聞き流しながら一度手を止め歩み寄ると｢服は脱ぐんだよ。一回全部脱げ、着せてやるから｣と相手の浴衣を脱がせつつ言い )


忘れんなよ( ジトッと訴えるような視線を送りつつ脅迫じみた声で釘を刺し )…やらせてやるよ、気分次第で( 図星を突かれ眉を寄せるとぼそぼそと言い )何でもねぇよ( 素直に答えるつもりは無く唇に触れる指先に弱く歯を立て抵抗の意を示し )

…誰にも見せんなよ？( 消さないな、これはと判断するとひとつ息を吐き出し忠告をひとつ告げたのと同時に耳元へと寄せられた唇の感触に動きを止め。相手が何故その行動に踏み切ったのかということがわかれば悔しそうにしながらも、今は何をしても逆効果とわかっているのか少々唇を尖らせるのみで。歩み寄ってきた相手の手に合わせて浴衣を脱いでから「よろしくお願いしまース」のんびりとした口振りで伝えるととりあえず着ていた上着やシャツやらを脱ぎ、ズボンも脱いだところでふと悪戯心が芽生えると「こっちも？」ボクサーの紐の部分を引っ張るとニヤリと口角を上げ )


忘れないさ、こうしておまえさんを見るたびに…今日も生きてて良かったって本気で思ってる( 小さく肩を揺らすも、眉尻を下げ困ったような、然し嬉しそうな笑顔を向け )斗真の気分が乗るとき、中々無いデショ。姫抱っこさせてっつったらさせてくれる？( 可笑しそうにくすくす笑いながら首傾げ )！おー、反抗期か？可愛い反抗期すんなよ、可愛がりたくなっから( 甘い痛みの感覚に瞠目し、けらけら笑いながらも視線はどこか本気を感じさせ )

見せねぇよ。俺だけのもんだし( 写真を消さないことを容認するような忠告に満足げに微笑むと、相手の首元に緩く腕を絡め。不貞腐れたような様子が可愛くて仕方が無く、堪えきれずに頬を弛緩させながら答えると額に口付けを落とし。相手が衣服を脱いでいる間に浴衣を広げ待機しているも、悪戯っぽく笑む表情とその仕草につくづく良い男だと実感しつつ何て事もないような素振りで歩み寄り。正面に立つと広げた浴衣を相手に羽織らせながら「そっちは後でな」と口角を上げて答え、その首筋に口付けを落としつつ襟元を合わせると「此処押さえといて」と声をかけ片手を伸ばして帯を手に取り )


…そう言ったら俺が何も言えなくなるってわかってて言ってんの？( 向けられる表情と言葉にあっと言う間に毒気が抜かれ、きゅう、と胸が締め付けられるようで眉を寄せながら額を触れ合わせ )させねぇよ。大体一々確認してまでやりたくなるような時ねぇだろ( 眉を寄せ答えながら相手の肩に凭れるように頭を乗せ )…可愛がってくんねぇの？( 相手からの視線にゾクッと微かに体が震え指先へ軽く舌を絡めた後に口を離すと笑みを浮かべて尋ね )

まあ…俺も？斗真の寝顔撮ってるし？( 首元に回ってくる腕に合わせて腰に腕を回し額に感じる口付けで少し落ち着きを取り戻すと、変な負けず嫌いを発揮したようで口を開いたかと思えばそんな言葉を口にし。戸惑うもしくは怒るだろうかと思っていたが何事も無かったかのように浴衣を羽織らされると思わず「うお」と声を漏らし。首筋に感じた甘さに双眸細め「慣れてきたなぁ、可愛いけどさ」可笑しそうにくすくす笑い声を漏らしながらも言われるがままに襟元を押さえてはぼんやりと眺めるような視線を向けて微笑ましそうに眉尻下げ )


まさか。気付いてた？俺らもう出会って…付き合って一年経ってんだぜ( 小さく笑いながら肩竦めると、思い出したように双眸細めながら首傾げ )あらヤダ。したくなるときあるかもしんないでしょ？( くすくす可笑しそうに笑うと頬へ唇を寄せ )…どこで覚えてくんの？そんな誘い方( 仕草、表情にゾクリとすると双眸細めどこか余裕のない声で問い )

…んなもん俺だって撮ってるし( 仕返しとばかりな言葉に一瞬頬を引き攣らせるも、一緒に住んでいれば寝顔を撮るタイミングは幾らでもあるだろうと納得もしてしまい、現にそれについては自分も同じ事をしている為に早々に開き直れば何やら得意げな表情で言い。慣れた手付きで帯を相手の腰に巻き付けながら頭上から聞こえる声に｢脱げって言ったらぜってぇ何か言って来ると思ったからな｣とくすくすと笑いながら答え、背後に回り纏めるように帯を結んで仕上げると一瞬の無言の間があってから｢…まぁ正直、抱かれてぇなとは、思った、し…｣と言葉の途中で込み上げてきた羞恥により徐々に小さくなる声で告げ )


ふはっ、当たり前だろ。何なら俺、当日に言ったしな( つい吹き出して笑うと笑みを浮かべて頷き )ねぇよ。…ところで俺はいつ下ろしてもらえんの( 既に相手の腕に身を預け脱力しているわりには不服げな声色で尋ね )…さぁ？龍司さんと色々してるうちに、自然と？( 相手の声が更に自らを昂らせるのを感じつつ口元に笑みを浮かべ含みを持たせた言葉で答え )

え、まじで？( 自分ばかりがしていると思っていたことが相手もしているとわかると驚いたように顔を上げ、気付かなかったと言いたげな様子で問い掛けると腰に回した腕をそのままに肩へと顎を乗せると「やっぱ今度斗真にコスプレさせるしかねぇな？」俺ももっと欲しいと言わんばかりに付け足し。自分の性格を知り尽くした相手の言葉に可笑しそうに笑っていたところで背後から聞こえてきた小さな声にピタリと動きを止めて「えー、斗真サン？俺の背中に向かって、それ言うの狡くないですかね？」帯を結んでくれているので振り向いてはけないという気持ちはあるようで、動かないもののゾクゾクとし昂っているのに抱き締めることができない不満をぶつけるように口を開いて )


いや、実はちゃーんと見てた…本当ならおまえさんと同じく返したかったんだが、泣きたくなったから止めたんだよネ。ってか、おまえさんので泣いたし？漸く落ち着いたから今言った( そうだった、と肩を竦めてから相手の背に腕を回し力を込め肩に顔を埋め )俺が疲れたら？( ケラケラ楽しげに笑うと口付けを望むように顔を上げた状態で目を伏せ )はー、もう、やだ。愛してる( 勢いよく抱き締めては耳へと唇寄せ )

俺がすんなら龍司さんもするって事を忘れんなよ( 相手の表情に浮かぶ驚きに満足げに頬を緩めたものの、続く言葉に眉を上げると肩口にある相手の髪を撫でるように触りながら釘を刺し。帯を結び終えても尚その場から動く気配は無く、熱くなる頬に言わなければ良かったと後悔を募らせながらひたすら帯の結び目へ視線を向けており。しかし聞こえてくる不満に眉を寄せながら「狡くねぇよ」と普段よりも声に勢いを欠いて返すと、相手と背中合わせになるように其方へ背を向けて早々に着替えてしまおうと服を脱ぎ )


…ふーん？( 抱き着いてくる相手の背中を撫でながら思案するような間があった後に曖昧な相槌を返し )…腕力どうなってんだよ( 平然と言ってのける姿には未だ疲れが見えず思わず一言呟くも、相手の意図を察すると軽く啄むだけの口付けをし )ふはっ、俺もだよ( 相手の体を受け止めて背中に両手を回すと擽ったさに少し首を竦めながら笑みを零し )

あ、あー……俺でもできるコスプレにしとくか( 今先程したばかりの会話を思い出すと不満気な唸り声をあげるものの、今度はめげないことにしたのか、これはいい提案だと言わんばかりの雰囲気で呟き落とせばスッキリしたようで、顔を上げ頬へと口付けてからちろりと軽く舐めて。自分に対する動きが無くなったと感じ取ればもう自分は動いてもいいのだと判断し、振り返ろうとしたが逆に衣擦れの音が耳に届くと着替え始めているということに気付き。今までも似たようなことがあったはずなのに高揚感からか「……今、斗真が着替えてるってのを背中で聞くのすっごいえろい」片手を腰に当て片手で口を隠すことで高揚感やら焦りを隠すようにしつつそれでも本音を隠しきれずに漏らすと目を伏せ相手が浴衣へ着替え終わるのを待ち )


…嘘ついてると思ってる？今まで忘れてたんじゃねぇの、と( 曖昧な返事を聞けば自覚しているのか顔を上げると不安気に尋ね )愛の力さ( 口付けが降ってくれば満足そうに笑い下ろしてやると額へ軽く口付けて )ほんと、色んな意味で危険にしてくれるねぇ( 愛しそうに抱き締めたまま呟きを重ね )

…おい、やらねぇからな( 自分自身も道連れだと言えばやむを得ず諦めると踏んでいた為に予想に反し前向きな呟きが聞こえてくると顔を顰めて口を開くも、直後に頬へ唇が触れ微かに舐められたような感触があると擽ったそうに首を竦め。色香と同時に大型犬のような雰囲気さえ感じ微かに絆されるものの、尚も不服そうに眉を寄せると相手を睨んで低く告げ。広い室内で互いに無言のまま衣擦れの音だけが響くのは何とも言えない緊張を感じてつい鼓動が速まる中、不意に背後から相手の声が聞こえてくれば落ち着きかけていた頬の熱がじわりとぶり返し眉を寄せ。腰に帯を巻き付け正面で結んでから背後へ回しつつ「すけべ」と短く言葉を返し )


別に思ってねぇよ、わざわざそんな嘘つかねぇだろ。…どっちかって言うと、それならそれで一言くらい返せよ、って思ってんの。あんま付き合った時期とか気にしねぇのかなとか色々考えて、…理由は何にしても浮かれてたのは俺だけかァってわりとへこんだんだからな( 向けられた不安そうな顔に溜息をついて肩を竦めると、相手から顔を逸らし眉を寄せ不貞腐れたような表情でぼそぼそと答え )愛の力は偉大だな( 相手の言い分につい小さく笑みを零すと額へ降ってくる口付けに目を細め )おっさんの血圧上げすぎねぇようにしねぇとなァ( 背中を撫でながらゆらゆらと小さく左右に揺れると笑いながら揶揄い )

俺もやるんだぞ？( そのまま絆されてくれる、というか流してくれるだろうと思っていたが、此方に向けられた視線と低い声に反応するように一度離れ、両手を上げることで降参ポーズするものの不貞腐れたように唇を尖らせながら眉間に皺を寄せると訴え掛けて。短く返された言葉にふはりと吐息を漏らすように笑い声を返せば「今更」同じく短く返してから少しの間を置くと「そっち向いてい？」そろそろ浴衣へ着替え終わっただろうかと不思議そうで下心もない声で問い掛け )


………ごめん。俺達のこと考えたら気にしない方ってのが難しいよな。不安にさせて悪かった。んー、ちゃんと今度、言葉にすっから待っててくれねぇ？( 答えを聞くと瞠目し、少しの間を置いてから素直に謝罪すると顔を上げ両手で頬を包み込むと互いの額を合わせては、じっと見詰め )愛の力でいくらでも頑張れるから凄いよなぁ、ホント( くすくすと楽しげな笑い声を漏らし、続くように頬へと唇を寄せ )そうだぞー、おじさんすぐ倒れちゃうぞー( 少し落ち着けば満足そうに笑いながら軽口を叩き )

……だとしても、俺と龍司さんが同等の被害を受けるとは限らねぇだろ。どっちかって言うと俺のが深刻な被害受けそうだしな、精神的に( 欲に従うなら相手の言葉は何とも魅力的で一瞬言葉に詰まり黙り込むものの、少し思案すれば相当酷い物でなければコスプレをさせられようともあっけらかんとしていそうな相手の姿が浮かび。それに対して自分は何を着させられようが羞恥心が極限に達しそうな気配があり、対等な重みにはならない可能性の方が高いと判断して尖った唇を指先でつまみながら答え。問いかけに何と無く気まずいような感じがし、俯いて手元に視線を遣りながら皺の寄った部分をちまちまと手直ししつつ「…良いよ」と言葉を返し )


…ん、( 頬に相手の手が触れ逸らしていた顔を其方へ向けると、問いかけに小さく頷いて強請るような仕草で鼻先を触れ合わせ )それはそうだけど、あんまり頑張り過ぎねぇでくれよ( 擽ったげに笑いながら相手の髪を梳かすように撫で )龍司さんの場合は冗談に聞こえねぇもんな( 何やら深刻そうな面持ちを浮かべると腕を組んで呟き )

──斗真クンが予想以上に賢くなってておじさんは吃驚してるよ( 唇を摘まれると目を細めその手を取り大袈裟に肩を竦めながら緩く首を振り態とらしい口調で言葉を紡ぐと、取った手を軽く握るようにしながらまるでダンスをするかのように上にあげ腰を抱き寄せ「じゃあさ、おまえさんが俺に着てほしい服を選んでよ。例えばホストのようなスーツとか白衣とか？」新たな提案するように言葉を紡いでいきながらその場で相手共々一回転すると「50/50になりゃ問題ねぇだろ？」ちゅと音を立てて頬へと唇を寄せては首傾げ。振り向いていいとの許可をもらうと漸く振り返り、然し背を向けたままな相手の姿にひとつ息を吐き出すと両腕で相手の腕ごと後ろから抱き締めるようにすると「すげぇ、似合ってるよ。ソソられる」耳元へと顔を近付け囁くような声で素直な気持ちを伝えるも、すぐに触れようとするわけではなく暫く抱きしめたまま動かずにいて )


さんきゅ。ちょっと時間掛かるかもだけど、広ーい心で待ってて( 眉尻下げ微笑めば、合図をきっかけにゆっくりと唇を重ね合わせ )仕事は程々…おまえさんに向ける愛情はたっぷり、だな( 撫でる手の心地良さに目を細めながらニィと口角上げ )うっわ、言葉間違えたなー…墓穴を掘るってこんな感じ？( 予想外な深刻そうな様子に肩を竦めると不思議そうに首傾げ )唐突だけどさ、おまえさん仕事どうよ。影響してる？無事？( 心配そうに首傾げ )

( その仕草と言葉に不服気に眉を寄せ一言文句を口にしようとするも、その前に抱き寄せられるとよろめくようにして其方へ歩み寄り。相手からの提案に束の間逡巡するように視線を横へ逸らし、強ち悪い条件ではないような気もすると思い直したところで相手の動きに翻弄されるまま足を動かせば問いかけに小さく首を傾げ。頬へ受ける口付けに目を細めながら再び少しの間無言で考え込むと「……じゃあ、俺がメイド服着ろって言ったら着んの？」と相手をじっと見据えて尋ね。相手が振り返る気配を背中に感じるものの、普段ならば滅多に口にしないような事を口走ってしまった手前どうしても此方から振り向くことはできずに顔を俯かせつつ視線を彷徨わせ。何故か身構えている最中に不意に抱き締められると一瞬強張った体の力を抜き半ば凭れるように身を任せると、耳元で聞こえる色香漂う声に思わず小さく背筋を震わせながら「…それはどうも」と小さく笑みを浮かべて答え、背中から伝わってくる相手の体温に心地よさげに目を細めつつ体の前に回る相手の手を指先で撫で )


…でも、あれで龍司さんが泣いたって分かったしそれで良いよ( 目を閉じて一度唇を啄むと、唇を触れ合わせたまま笑みを零して言い )ん、そうしてくれ( くすくすと笑い額に口付けを落とし )龍司さんが健康体じゃねぇのが悪かったな( 小さく頷き )仕事？いや、そこまでは影響ねぇよ。時短営業にはなったけど、目に見えて客数減ったとかもねぇし( 不意な問いかけに目を瞬くと首を傾げつつ答え )

俺とダンスしたあとの質問がソレかネ。……みたい？( 足を止め様子を伺うような視線を向けていたものの小さく笑うと頬から額へ、続くように鼻の頭へ口付けを落とすと困ったものではあるものの表情を柔らかくさせ。然し少しの間を置き、ぼんやり自分のメイド服姿を着るのを想像すると無い無いと首を振ってから恐らく極論の質問で出来ないといえば断れると思っているんだろうなんて考えながら不思議そうに首傾げ。上から覗き込むように額付近へと口付けを落とすと「すっげぇ、抱きてぇけど……この後に飯来るんだよなぁ。そんなときおまえさんを伏せさせておくわけにはいかねぇし……焦らすことしてみる？」ストレートに自分の感情をぶつけたかと思えぼ少し悩むような声を漏らし間を置き。顔を耳元へと近付け囁くように小さな声で問い掛けながら浴衣の上から相手の太腿を撫でるように形を確かめるように触れればちゅと音を立てて耳へ口付けを落とし )


……泣いたことを忘れさせるくらい感動的な文章でも書こうか？( うぐっと息を詰まらせてから、困ったように笑いつつ触れ合う唇の心地良さそのままに )最近は健康になりかけてんだ、大目に見てくれない？( くすくすと笑いながら首傾げ )そうか。なら良かった…俺の知ってる人が店閉めるって言ったりしてたから気になってな。美容業界まで口出しされてるイメージなかったから気になった( 素直に答えると肩を竦め )うちも、基本的に在宅ワークだが、中々抜け出せませんなぁ( ふは )