Larimar/amethyst 【〆】

いい時期にいい部屋が取れたと我ながら思うな( 漸く二人で休みを合わせての旅行を前日から楽しみにしていたと言っても過言ではなく、のんびりと鈍行を使って海まで差程遠くもない旅館までやってきて。露天風呂付の離れを予約したこともあり、喧騒が聞こえることも無い部屋に入ると自分の家が洋室だからか和室という事実にはしゃいだ様子で部屋の奥へと進んでいき )

…かなわねぇなぁ。愛してるよ( う、と小さく肩を揺らしてから脱力すると戯れのような口付けを送り )……もし、めちゃめちゃまともなおじさんが喫煙所にいたらおまえさん好きになってくれた？( 顎に手を添え首傾げ )ちょい確ロル多めだけど、大目に見てくれると嬉しい。もちろん、嫌なとこあれば直していいし言ってな。まじで？斗真の水着姿楽しみ( するりと腰を撫で )いくらでもやるよ、斗真になら。情勢的に今ならめちゃくちゃ来れるしな。即レスとまではいかんが( けらけら、あっけらかんと笑い )おまえさんが望んだんだぞー？動画で撮っていい？めちゃ可愛いから( スマホを取りだし真剣な様子で )

…なんか広くねぇ…？( 事前にあれこれと調べ何となく予想していた部屋の広さを優に超える広さと豪華さに思わず部屋の入口で佇むと、悠々と室内へ進んでいく相手とは対称的にまじまじと周囲を見渡した後そっと足を踏み入れ。呆然とした様子でぼつりと声を漏らすも視線を移せば何やら無邪気に浮かれている相手の様子を目に留め、改めて何となく住む世界が違う事を実感しながらその隣へ歩み寄り )すっげぇ部屋だな…。


ふ、…自慢してやりてぇなァ。こんな男前にめちゃくちゃ愛されてる、って( 軽く目を閉じて口付けを受けるとくすくすと笑い )当たり前だろ。まともでも、何なら今より手広く遊んでても好きになってたよ( 笑みを浮かべて頷き )おう、全然大丈夫。…急に下心出してくんなァ( 呆れ混じりに小さく笑い首元に腕を回し )…やば、普通に嬉しい。喜ぶとこじゃねぇのにな( 思わず頬を緩め )…良いって言うと思うか？( 眉を寄せて顔を隠すように俯き )

そりゃ、旅館の離れだからな。一室ってより一小屋に近いんじゃないか？( 全く同じようなところに泊まったことがあるわけではないものの、出張などで見栄を張るためにも宿泊したことがあるらしくスラスラと答え。隣に並んだ相手へと視線を向けて可笑しそうに肩を揺らしえ笑うと「いいじゃん。此処で、数泊すんだ。満喫しようぜ？まずは──此処だろ！」片手で髪を乱すように撫でてから一歩踏み出すと窓を大きく開くと視界に広がる海の姿に目を細めて )


奇遇、俺も。俺の彼氏イケメンすぎて辛いって言いてぇ( 頬へ悪戯にキスを送りながら楽しげに笑い )…今の、とか言われると思ってたけど……そっか。俺だから。どんな俺でも好きになってくれたか( 予想外の言葉に胸打たれ硬直、ゆっくり息を吐き出せば嬉しそうに泣き笑いをみせ )さんきゅな。えー、見たいって言っただけじゃん？( くすくす笑えばゆるりと抱き締め )俺は嬉しいよ。仕事も落ち着いてて、落ちる様子は今のとこねーし…待たせまくってる彼氏に時間費やせるの、最高じゃね？( 情勢は気にするなと言いたげに笑えば首をかしげ )ジョーダンですよー( 慌てたようにスマホをおろし )

マジかー…( まさかとは思っていたが相手の口ぶりからすると先程から周囲に人が居ないのはこの場所が全て一つの客室だかららしいと察し、瞠目しながら低い声でぼそっと零し。そこまでとなると萎縮する気持ちさえ湧いてきそうだったものの突然頭を撫でられると首を竦ませ、相手によって開かれた窓一面に広がる海に一層大きく目を見開き。海が近いとは感じていたがあまりの景色の良さに瞳を輝かせると｢うわ、すっげぇ…！｣と弾んだ声を上げて窓に張り付き )


辛いなら手加減してやろうか？( 笑いながら相手の耳元へ口付けを返し )…前そう言っただろ。どんな龍司さんでも、全部好きだよ( その表情にハッとしたように瞠目するも、眉を下げて愛おしそうに微笑むと両手で頬を包み )じゃあ下心は全く無かったわけか( 相手の頬を片手で軽く引っ張りくすくすと笑い )…最高( 嬉しげに頬を緩めては特に理由も無く相手の顎髭を撫でるように軽く触れ )目に焼き付けとけ( 唇を尖らせて言い )

お、そこ露天風呂だな( 景色の良さに瞳を輝かせた姿に思わず小さく笑ってしまうも、視線を横に動かすと木の仕切りに気付けばトントンと軽く肩を叩いて視線を向けるように促すと「後で入ろうぜ」近くの壁へ寄りかかりながらニィと口角をあげながら首を傾げ。きょろりと部屋内へと視線を向けてから思い出したようにポケットからスマホを取りだし「今から部屋に入ってもいいけどなぁ。晩飯まで時間あるし」時間を確認しては待ち受けを見せるようにしながら何する？と問いを重ね )

んー…無理だな。物足りなくなるに決まってる( 擽ったそうに肩を竦めるも楽しげに笑い )改めて実感すっと、こういう気持ちになるんだよ( 頬を包む手に手を重ね、心地よさそうに眉尻を下げて )いひゃい…いや、無かったとは言えませんけどね？そら、可愛いし、斗真( なすがままになりつつ素直に白状し )ふは、俺も。久々だなぁ、こうやって話せんの。めちゃくちゃ幸せ( 顎髭を撫でる手に目を伏せ、頬を緩めて )常に焼き付けてんヨ？可愛くて可愛くてどーしよーってなったくらいよ( 大袈裟に肩を竦め )

うわー…最高じゃん( すっかり海に気を取られ一心に窓の外を見つめているも、肩を叩かれると促されるままに露天風呂の方を見遣り、そこから見える景色も然ることながら客室露天風呂にしては随分と立派な造りに思わず感嘆の声を漏らし。壁に寄り掛かる姿へ視線を移して｢ん、楽しみだな｣と頬を緩めて応じ、問い掛けには｢晩飯までダラダラしてるか海行くかだなァ｣と今自分の中にある選択肢を挙げながら楽しげに笑みを浮かべ )


だよな( くすくすと笑い )じゃあ、普段あんまり実感させてやれてねぇのかァ( 笑いながら額を触れ合わせ )俺はめちゃくちゃ下心ありきで龍司さんの水着姿楽しみにしてんだけどな( 頬から手を離しては悪戯に微笑み )…一緒に居れるだけで幸せなんて言ってくれる奴ができると思わなかったな( その言葉に目を瞬くと嬉しげに破顔し )…そんな可愛く見えてんの？( 僅かに眉を寄せて相手を振り返り )

…斗真、すぐナンパされそうだな。じゃ、今日は来たばっかなんでダラダラしようぜ( はしゃいでるように見える姿があまりにも愛らしくてぽつりと呟きを漏らしてから、観光地に来たからといってすぐさま行動できるほど若くもないようで首を回しながら選択肢を選ぶと近くの座椅子へと胡座で座り。すぐに相手の方へと、顔を向けるとトントンと軽く膝を叩くことで膝の上に座ってほしいというお願いを暗に示してから「こういう観光地に来ると晩飯時には日本酒をきゅっと飲みたくなるなぁ」まったりとした口振りで晩御飯を想像するとうんうんと数回頷き )


なあ、斗真( コツンと額合わせ )普段は、おまえさんと過ごせる時間の幸せを噛み締めてんだヨ( 小さく笑えば、ゆっくり瞼を伏せ )ナニソレ、可愛い。俺の水着なんて普通だよ？海パンでしょ、パーカーでしょ、サングラスでしょ、シャンパンでしょ…( 瞠目してから、少し悩む素振りをみせてから冗談めかして )全くもって同じ言葉を返しちゃうわヨ。此処まで本気になるつもりは、なかったはずなんだがなァ。俺を生かしてるのはお前の存在だけだとか言ったら重い？( くすくす、と笑い声を漏らすと相手の手を取り掌へ口付け )キッチンに立つ姿とか、朝俺の方が早いから寝顔とか、お風呂上がりはちゃんと髪乾かしてから戻ってくるからほかほかしてるところとか、おかえりって出迎えてくれたときとか…数え切れないくらい？イケメンだなぁってとこもあるけど( 真顔 )

…龍司さんが居たらされねぇと思うけどな( 見目は確実に周囲より優れているもののそれが余計に近寄り難さに繋がっているようにも見える相手の姿を眺め小さく首を傾げながら呟くも、膝を叩くその意図を察すると｢重くねぇ？｣と問い掛けつつおずおずと向かい合うようにして相手の膝の上へ控えめに腰を下ろし。首元へ腕を回しながら｢飲みたいっていうか、飲むだろ。ルームサービスみてぇなのもあるし｣と体を捻りテーブルに置いてあったサービス案内に目を通しながら頬を緩め )


…ん？( 目を細めつつ問うように声を漏らし )ふはっ、なるほど。そりゃあ俺、責任重大だな( 笑いながら鼻先を触れ合わせ )俺だって普通だよ。…そこにシャンパン付く奴は早々居ねぇんだけどな( くすくすと笑い )えー…？重いけど、俺もそれくらいの気持ちでずっと龍司さんの事好きだったからなァ( 擽ったそうに肩を竦めながら首を傾げ )…言ってて恥ずかしくなんねぇの、それ( 聞く程に頬が再び熱を持ち始め、思わず両手で口元を覆うようにしながら俯きがちに尋ね )

斗真の重みも愛しいってもんよ( 呟きが耳に届けば楽しそうに笑うだけで。意図を察し控えめながらも断ることなく座ってくれたことに嬉しそうに笑みを深めると、重くないなんてカッコつけられればいいのだろうが生憎そのような性格をしていないくせにさらりと返せば、下ろしてしまわないように腰に腕を回して。相手の手元を覗き込みながら「お、結構種類あんじゃない。各種を少しずつ飲むのもいいなぁ」晩御飯に思い馳せては酒の料金を気にする素振りもなく一人納得するかのように頷き )


好きだよ( 愛しさが募れば目を伏せ自然と溢れた想い伝え )そういうこった、よろしくお願いしますヨ( くすくす笑いながら唇触れ合わせ )今カッコイイかなって思ってテキトーに言った( あっさり )…じゃあ、お似合いのふたりってこった( 瞠目するも楽しげに肩を竦め )おまえさんの好きなとこ、可愛いとこ、カッコイイって思うとこはいくらでも惚気られるからな( ケラケラと笑いながら問題ないと言いたげに首傾げ )

ふはっ、何だそれ。無理すんなよ、おっさんなんだから( 想像していなかった返答に声を上げて笑うと、揶揄いと本気の心配半分に言葉を掛けながら相手の額へ口付けを落とし。目で楽しめる程の種類とそれぞれに添えられてある簡単な紹介文に視線を走らせてどれが良いかと思案しているも、平然と告げられた相手の言葉には瞠目してつい値段表示へと視線が向き「…でもこれ、一杯でもそれなりの値段だぞ」と言葉を漏らし )


…俺も好きだよ。愛してる( 胸の内が甘ったるく擽られるような心地に嬉しげにはにかむと囁くような声で言い )ん、…任せな( 軽く目を閉じ口付けを受けると微笑んで頷き )いや龍司さんは普通に飲んでそうだけど( くすくすと笑い )そりゃそうだろ。俺以上に龍司さんに釣り合う奴なんか居ねぇしな( 口角を上げて言い )それを平気で言える奴はそんな居ねぇんだよ( 呆れもありながら素直に表に出せない嬉しさと気恥ずかしさが入り混じり何やら複雑そうな面持ちで言い )

今日が終わる前に言っとくか。もう眠くて微妙に上手く言えねぇかもだど…( 小さく欠伸を零し )

今日で付き合って1年、だよな。あっと言う間だったし全然実感ねぇけど、こんな風に1年記念ーとか言えるまで一緒に居れた事はすげぇ嬉しいよ。こんな俺と飽きもしねぇで付き合ってくれてありがとな。お陰様で俺にとっては特別で大切なもんが山ほどできた一年だった。ほんとにこんなに続くとは正直思ってなかったけど、今じゃこれから先も龍司さんと居る未来しか考えられねぇな。そんくらい、この一年かけて、俺の中のあんたの存在がデカくて掛け替えの無い物になった。ありがとな。
龍司さんのムカつくくらい男前なとこも、たまに情けなくて可愛いとこも、おっさん臭い気障な事平気で言うとこも、俺の事呼ぶ時の柔らかい声とか、全部好きだよ。…あと、何だかんだ俺に金掛けてくれようとするとこも、実は結構好き。自慢して歩きてぇけど、全部独り占めしてぇな、っていつも思ってる。愛してるよ。
これから先も俺が精一杯龍司さんを幸せにするから、末永くよろしく頼むな。

だってさ、家、洋室じゃん？こういうのあんま出来ねぇし。畳だと新鮮でさ。夜も布団だから、楽しみだなー( 額に落とされた口付けの擽ったさに嬉しそうに目を細め、改めて周囲へと視線を向けてからどことなく子供のようなキラキラとした眼差しを相手へと向けては首傾げ。値段など二の次くらいの気持ちでいたが相手の声色を聞いてから手元のメニューを再び覗き込むと「んー……じゃあ、選ぶか。でも、5種は飲みてぇ」相手の腰に回した腕をそのままに少し距離をとるように軽く己の腰を反らすと素直なワガママな気持ちを伝えては様子を伺うような視線を向けて )


おう( 擽ったい気持ちで胸がいっぱいになってそれ以上もそれ以下の言葉が出てくる様子はないらしく自然と笑みを深め )シャンパンは美味いけどなー。だんだん炭酸がな…( どことなく遠い目をし )逆に俺以上に斗真に釣り合う奴なんかいねぇからな( 楽しそうに笑いながら頷き )今度、惚気けてほしいって言われたら惚気けてやろうか？( 少し悩む素振りをみせてから、ふと思い出したように顔を上げると表情を輝かせながら首を傾げ )

別にそんな良いもんじゃねぇと思うけどな。どんだけ良い布団でも龍司さんちのベッドの方が何倍も寝心地良いぞ( 畳への感動ばかりか布団にまで心躍らせているようなのを見れば可笑しいやら愛おしいやらで笑ってしまい、これまで布団で寝ていた頃の記憶を辿れば答えながら相手の髪をわしゃっと撫で。相手なりの妥協点であるようだが本来なら2人で1種類や多くて2種類というところを随分と欲張りな事を言うものだと半ば呆れつつ、向けられる視線には抗えず｢…わかったわかった、どれにする？｣と困ったような笑みを浮かべつつメニューに視線を落とし )


ふはっ、まじ？その歳になると炭酸も駄目になんの？( 瞠目しつつ笑みを零し )そりゃ俺が龍司さんを選ぶし、龍司さんが俺を選ぶわけだな( くすくすと笑い )…言わねぇから良いわ( その輝く表情から逃げるように視線を逸らしながらぼそぼそと言い )

…こういうときは雰囲気に乗ってそうだな、楽しみだなって言うか、恥じらって顔を赤らめてくれてもいいんじゃない？…いや、それじゃ斗真じゃねえか。俺らの家の方が何倍も良いって言ってくれるのは嬉しいことだわネ( 髪型が乱れることも気にせずふと悩むような素振りをみせたかと思えばジトと見詰めながら訴え。然しすぐに撤回したのと同時に自分の家ではなく既に自分たちの家なのだということをさり気なく付け足せば嬉しそうな雰囲気で頬へと軽い口付けを送り。駄々を捏ねる自分とそれを受け入れる相手の姿は恋人同士と呼ぶには相応しくないほど深い関係にもみえるなんてぼんやり考え。メニューへと視線を落としている相手の腰に回した腕に力を込めるように身体を元の位置へと戻せばメニューと相手の顔の間から顔を覗かせ、そのままゆっくりと唇を重ね合わせると言葉を塞ぐように何度か啄み )



そーよ？だから余計に日本酒の旨味とか、ワインの年代に拘ったりすんのかもなあ( 顎髭撫でながら数回頷き )まあ…もし、他を斗真が選んだら。昔なら身を引いたけど、今なら奪いにいくさ。お前が俺を見てくれるまで、ずっとアピールし続けんだろうな…そんくらいおまえさんを愛してるわけだわ( 大袈裟に肩を竦めつつ、小さく笑い )そうかあ？( 相手の姿が面白く可笑しそうに肩を揺らしながら笑い )

…もっとこう、それっぽく言ってくれんならそうなるかもしんねぇけど、あまりにも嬉しそうにしてっからさァ。尻尾振ってる犬みてぇで( そういったニュアンスが含まれているような気もしたが先程の様子は無邪気そのものに見えてしまい、思わずくすくすと笑いながら乱れてしまった相手の髪を整えるように撫で付けながら答え。遠回しながら訂正されるような言葉に頬を緩めると｢何処を取っても俺らの家が一番良いよ｣と戯れるように頬へ口付けを返しながら言い。メニューへ視線を走らせながらこれが良いのでは、と口を開きかけたが、直後に視界を埋める相手の顔に目を瞬いて視線を合わせ。何となく意図を察しメニューを持つ手を一旦よけると唇が重なるまま目を伏せ応えるように唇を啄み。軽く顎を引いて僅かに離れれば｢…こら、龍司さんのために選んでんのに｣と口元を綻ばせながら囁き )


俺そこまで味覚繊細じゃねぇから、ほぼ違いわかんねぇよ( 緩く首を傾げながら呟き )…その、そういう台詞をサラッと吐けるマインドはどこで身に付いたんだよ( 気恥しさを誤魔化すように眉を寄せながら尋ね )龍司さんの場合、行動でも充分伝わって来てっから( 笑う相手を恨めしげに眺めつつ言い )

……ワン、ってか？( 髪を整えていく手の心地よさに身を任せるよう目を細めていたが、自分はそんなにはしゃいでいたのかと自覚させられると年齢が年齢故に恥ずかしい部分もあり。うーん、と唸るような声を漏らしてから細めていた目を開くと口端を吊り上げるようニヤリと笑いながら犬の真似をして。頬へと返された口付けに小さく笑えば「これからは出来るだけ旅行って思ったが家で充分だな…おまえさんがいりゃ、どこでも高級旅館みたいなもんだし」カラカラと楽しそうに笑い声を漏らし満足そうに頷いて。唇の柔らかさ、熱を確かめるように触れ合わせていたが相手が顎を引いたタイミングで伏せていた瞼を開き、悪戯っ子のように笑うと「そんなおまえさんが可愛くてね…我慢できなかった」少し大袈裟に肩を竦めさらりと答えては素直に身を離し「辛口、甘口、この土地限定の日本酒…拘りはそんな感じ」自分が望む銘柄というものは無いが、その土地ならではという文言には弱いようでお強請りを付け足し )


……おまえさんも、この歳になりゃわかるよ( 肩ぽんぽん )おまえさんと出会ってから( きょとんとするが楽しげに笑いながら首傾げ )伝え足りねぇからなぁ…俺が満足することは、きっとこれから先もないさ。だから、残念ながら斗真クンは俺の傍から離れられません( 大袈裟に肩を竦めるとわざとらしい口振りで告げ )

んー、可愛い可愛い( 色っぽい笑みに不釣り合いな犬の鳴き真似が不思議と胸を擽り微かに眉を下げて弛緩した笑みを浮かべると、両手で相手の頬を包み大型犬に接するような手付きで撫で回し。告げられる言葉は嬉しいものの大袈裟にも聞こえ、笑いながら肩を竦めると｢高級旅館にはならねぇけど、ちょっと良いホテルくらいにはしてるつもりだな｣と愉快げな口調で言い。恥ずかしげも無く口にされる台詞に此方がむず痒い気持ちになり頬に昇りかける熱を逃がすように小さな溜息を吐くと、気を取り直すように再びメニューへ視線を向け。横から聞こえる言葉に相槌と共に頷きながら吟味するように少しの間メニューを見詰め、やがて口を開くと｢限定ならこの3つだろ、あとはこれとこれ。龍司さん好きそうじゃね？｣と順に指差しながら尋ね相手へ視線を向け )


俺龍司さんよりは健康的な生活送ってきてるからなァ。そう簡単には炭酸離れしねぇよ( くすくすと笑い )…ぜってぇ嘘。完全に言い慣れてんだろ( ジトッと相手を見据え鼻の先を軽くつまみ )離さないで居てくれんの？一生？( 口元に挑発的な笑みを浮かべつつも何処か強請るような声色で尋ね )

斗真は、どっちかってーと猫だなぁ。猫耳つけてみる？今度買ってくるから( 乗ってきてくれた相手の手つきに楽しげに笑ってから、ふと思いついたように顔を上げると眺めるように視線を向け。相手の腰元に回していた腕を回し直しながら「良いホテル、それもいいな。料理もできて掃除もできて美容師でもある。最高だな？」ひとつひとつ感謝するように言葉を紡いでいくと、ふと気付いたように首傾げ。んー？と声を漏らしながらメニューを覗き込むと少ない手掛かりからドンピシャで好きそうな日本酒を選んでくれていることに自然と頬が弛み「ん、それがいい。流石、斗真…ホント好みわかってくれてるわよネ」嬉しそうに眉尻を下げた笑みを見せれば素直に礼を言ったつもりでいるようで。すぐさま注文してもいいが、もう少しと思う自分もいるようで畳の上ということもありそのまま相手と共に横へと倒れ込んで )


まあ、そうさな……これでも良くなった方だぞ？月…２回は粥生活しないといけないときはあるが( ほのぼのとしてから自然と言葉を続けるとハタと気付けばだんだん声は小さくなり )ってて。信用ねぇなあ？言いまくってるよ、俺の愛娘に。パパ、クサイって言われっけど( 降参ポーズしつつ白状しては悲しげに )信じらんなくても、離さねぇから、これから、ゆーーーーっくり実感していくだろうよ( ふ、と流すように笑うと断言するわけではなくその期間も利用すると暗に示し )

猫？…龍司さんが犬着けてくれんなら考えてやらねぇ事もねぇけど( 意外そうに眉を上げて首を傾げながら相手の言葉を繰り返すも、問い掛けに一瞬嫌そうに眉を顰めた後ふと思案顔を浮かべて答え。褒め言葉に謙遜もせず得意げな表情で頷くと｢これ以上無い優良物件だろ｣と片手で相手の顎髭に触れながら言い。相手の好みと自分の好み込みでのチョイスに良い反応があれば頬を弛めて｢俺だからな｣と頷けば、決まったのなら早速注文をしようと腰を浮かせかけ。しかし不意に体が傾き畳の上に横たわると｢何だよ、甘えん坊かぁ？｣とくすくすと笑いながら相手の頬を指の背で擽るような手付きで撫で )


…じゃあめちゃくちゃ進歩してんな。俺の料理もそろそろ食えるかァ( 瞠目すると嬉しそうに頬を緩め )マジ？全然わかんなかった( 相手の耳元へ鼻先を寄せ )ふは、それは有難いな( くすくすと笑い )

……悪かったよ。今の無し！( 嫌がるのをどう丸め込んで猫耳を着けさせてやろうか、なんて考えていたものの、予想外な言葉が返ってくればピクッと肩を揺らし眉間に皺を寄せると迷いなく諦める発言をするも、どこか不服そうな表情で。顎髭へと触れる指先の擽ったさに目を細め「嗚呼。最高の優良物件だよ」そのまま目を伏せると嬉しそうな雰囲気と柔らかな笑顔でさらりと答え。頬を撫でる擽ったさに小さく笑ってから「いいじゃない。いつも二人きりっちゃ二人きりだけど、こうしてのんびり出来んのも久々でしょ？そんな急かずにいこーぜ」さっきの続きがしたいと言わんばかりに相手の頬を両手で包み込み額を合わせてから鼻先を擦り合わせ )


…ふ、だろ？食えるようになりてぇからさ( 少し申し訳なさがあったものの、嬉しそうな様子に自然と頬が緩み )でも、好いてるやつにしか言わねぇから、安心してくれよ( 擽ったそうにしつつ、ぎゅうっと抱き締め )……愛してるよ( 頬へと軽く口付けを送り )