へし切長谷部 2017-07-13 04:11:33 |
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近頃は段々と寒くなってきたなあ…。
( 草履を履き玄関から庭先へ出れば朝方は気温が低い為にふるりと小さく身震いをし、はあ…と白い吐息を吐いて。その後、両手に息を吹き掛け擦りつつ暖めると空を仰げばぽつりと呟き。彼が自身を探しているなど露知らずに暫くその場に佇んでいて )
…―っ、
( 自身より先に起きた彼は何処かに行ったのだろうと思い。目が覚めてしまっては寝るにも眠れなくなり、寝てばかりも身体に悪いとゆっくりと身体を起こして立ち上がるも急に身体を動かしたせいか、ズキリと傷口が痛み息を詰まらせて。廊下へとなんとか出ていけば、顔でも洗いにいこうかと洗面所へと向かい。羽織るものを忘れたせいで寒いのかふるりと身体を震わせ「それにしても冷える…顔を洗ったらさっさと部屋に戻るか」と呟いて )
おはようさん、長谷部。体調はどうだ?
( 無言で空を眺めていればあまりの寒さに耐えかねたのか両腕で身体を包むかの様に擦りながら本丸の中へと戻っていき。ついでに顔を洗いに洗面所に向かう方向の廊下を歩いていくと、前方に彼の後ろ姿を捉え歩く足が速くなれば軽くぽん、と肩を叩いて笑みを浮かべつつ問い )
!国永、おはよう。
( 洗面所に着くと同時に背後から肩を叩かれそちらを見ては彼がいて。ぱっと笑顔になれば具合を聞かれ「傷口がまだ痛むが、熱は下がったみたいだな。お前のおかげだ、ありがとう」と続けて何から何まで世話してくれたことに礼を述べて )
そうか!それなら良かった。…はは、俺は大した事はしてないぜ?…だが、どういたしまして、だ。
( 昨日に比べると彼の顔色も悪くはない上にどこか苦しそうな様子も見られず、その言葉を疑うわけではないが一応確認の為に冷たい手を額へと伸ばし当てて。言葉通り熱は下がった事が分かり手を離してほっとすれば笑顔で上記を述べ、続け様に礼を言われれば殆ど傍にいただけで特別何かをしたわけでもない為、そう言うものの何を思ったのか彼の礼を受け取り )
( 笑みを浮かべ彼の言葉を受け取ると、ここで長話をしていてはそれこそ二人共風邪をひいてしまうと「さぁ、顔を洗って準備をしたら朝餉の時間だ」と告げ。顔を洗うと、怪我人とはいえ寝着のままで歩き回るのはダメだろうと一度部屋に戻ることにして )
ちょっと待ってくれ。自分の部屋に戻る前に一度包帯を巻き直した方がいい。
( その言葉に頷きかけると熱が下がったところでまだ傷は治ったわけではないため、慌ててさっと顔を洗えば彼の格好を見るに恐らく自分の部屋へと行くだろうと思い。その前に怪我の手当てをし直した方がいいと考え、目の前の彼を引き留め )
ん?…それもそうだな。
( 部屋へと戻ろうと歩き出した途端、背後から慌てた様子の彼が引き留めに来て。着替える前に一度包帯を巻き直した方がいいという言葉に、確かに血が滲んでいる汚れてしまった包帯をそのまま使うのは衛生的に悪いだろうと頷いて )
それじゃあ、手入れ部屋に行くか。早く手当てを済ませて飯にしようぜ。
( 自身の言葉に納得したように頷いたのを見ると彼の横まで歩み寄れば昨日は一日中安静にしていてろくに食事も取ってはいない為、流石に空腹だろうと思って上記を述べるなり手入れ部屋の方向へと先に歩き出して )
ああ、そうだな。腹も減った。
( 先に歩き出す彼について行けば、昨日から水以外を口にしていなければさすがに腹も減るようでそう言って。手入れ部屋へと着けばその場に座り寝着を一度脱いでは包帯を変えてもらうのを待ち )
これで……よしっと。巻き終わったぞ。
( 自身も手入れ部屋へと入れば、棚の中にある救急箱を取り出すと彼の元に戻るなりゆっくりと包帯を取り外していきつつまだ治らぬ傷口に自然と眉が下がり。その後、救急箱から新しい包帯を取ってはそっと傷口を刺激せぬよう巻いていけば離れて )
ありがとう、助かった。
( 包帯を巻き直される間、じっとしており。それも終わると彼へ礼を述べて寝着を着直しゆっくりと立ち上がると「俺は1度着替えてくる。」と伝え手入れ部屋を後にしては自室へと向かって )
ああ、分かった。先に行ってるぜ
( 手当ても終わりゆっくりとその場を後にする背中へと上記の言葉を伝えては、出しっぱなしの救急箱を元の場所に仕舞うと内番服のまま手入れ部屋から出ていき。その足で広間に向かえば既に集まっている仲間たちに挨拶を交わしつつ適当な位置に座って待ち )
( 自室へと戻ると、寝着を脱いでは動きやすく傷口を圧迫しないだろうということも考えて内番着であるジャージへと着替えて。部屋を出て廊下を歩き広間へと入ったと途端に心配していたのだろう、続々と仲間たちに声を掛けられ。「迷惑をかけた」と告げ先に座っていた彼の隣へ座り )
……。なぁ長谷部。ここから逃げないか、
( この場に全員集まり手を合わせ挨拶をすると早速食事にありつくが、徐に箸を動かす手が止まると隣で一緒に朝餉を摂る彼の方へ視線を向ければ唐突に口からそんな言葉が零れて )
…は?
( 皆と共に言葉を交わしながら食事をしていると、徐に隣に座る彼がここから逃げ出そうなどと聞き間違えかと疑うような言葉を口にして。進めていた箸も止めてはその真意がわからないのか、眉を寄せて、ここに居る仲間を見捨てて自身たちだけどこか遠くに逃げるという事なのだろうかと「それは…俺たちだけ、助かろうと…そういう意味か」と続けて )
いやいや、違う違う!!…すまん、今のは俺の言い方が悪かった。
( まさかここから逃げ出すのが自分たちだけという意味合いに取られた為に、ぱちぱちと目を瞬かせ首振れば思わず声を上げて。それまで楽しく食事をしていた他の皆の視線が一気に此方に集中すれば「…あっ、悪い。吃驚したよな」と申し訳無さそうに謝罪の言葉を述べて。その後、再び彼の方へ視線戻せば「もちろん全員で逃げる。ここに居たら気が休まんだろ?…それに俺の考えだけで動くのは得策じゃあないしな、だからきみの意見を聞こうと思ったんだが…。」と真剣な表情で言葉を続けて )
ははっ、なんだ俺の勘違いか。
( 自身の考えていた意見では無かったようで何処かホッとした表情浮かべて。今まで支えあっていた仲間を見捨てるなどという話、そもそも鶴丸のような者がする訳もなかったと上記述べて。皆の視線を一斉に集めた後に詫びを入れ、再び話に戻るのを見ては「なるほど、そういう訳か。そうだな…少人数とはいえ一度に動けば流石に政府も気付く。夜に動いたほうがいいだろう、夜目が利かない奴らは夜目の利く奴らと行動する。俺達は政府が追っていかないかを監視し最後に動く…というのはどうだろうか。」と自身の意見を出してみて )
確かに、政府の事を考えればその方がいいな。
( 彼の意見に耳を傾けつつ考える素振りを見せながら此方に聞いてくる様子に、相手はあの政府だ。下手な行動が出来ない上、お尋ね者故に白昼堂々外に出る事も儘ならない。だとしたら動くのならば夜の間しかなく、その意見に対して賛成の意を示すように頷いて。逃げるにしても何処に逃げるかは自分でも考えていなかった為、「あとは何処に逃げるかだが……遠くの方がいいよなぁ」とうーん、と唸り声を発して )
ああ、遠く人目にあまりつかない場所がいいだろう。
( 自身たちがいなくなったと政府が知れば、探し回るだろう。遠い場所へ逃げておけばそう簡単に見つかるはずもない、ここにいる皆が怯えること無く安心して暮らせる人里離れた静かな場所。そんな所があるかどうかは分からないが一度これは皆に聞くのが賢明だろうと思い「まあ、俺たちだけで決めることは出来ない。皆に聞いてみよう」と続け )
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