へし切長谷部 2017-07-13 04:11:33 |
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…ああ、おやすみ。
( 自身の胸の中で顔を埋めてすやすやと寝息を立てつつ眠りについたのが分かると、小さな声で聞こえないだろうがぽつりと呟いて。握られたままの手をそっと離したと思えば代わりに優しく抱き締めるようにしては、近頃になると季節も関係あるが少し肌寒く、こうしているだけでも温もりが感じられてとても暖かく且つ心地好さもあり )
ん…、
( 眠りについてからどれ位の時間が経っていたのだろうか、薄らと目を開き。いつの間にか抱き締められるように背に腕が回っているのに気付いては微笑んで。その当の本人はと言うといつの間にか眠ってしまったのだろうか、静かな寝息を立てていて。こちらも起こさぬようにとしながら彼の背に腕を回せば「…好きだ、国永。」と呟いて )
( 体を密着させた互いの体温は暖かい事もあり眠気を誘われ、すやすやと安心した様な寝顔で静かに寝息を立ててはいつの間にか眠ってしまっていて。無意識にぎゅう、と離さまいと背に回した腕に力を込め、熟睡中ゆえに彼の呟いた声が聞こえる筈もないのだがまるで聞こえたかのように「……俺も好きだ、……。」と寝言を呟いて )
―!?
( やはりどうしても恥ずかしいのもあるのか、一人で顔を真っ赤にしていると眠っていたはずの彼から声が聞こえビクリと肩揺らして。そろりと彼の顔を確認するかのように覗いては先程と変わらぬ顔で熟睡しており、寝言だったことがわかり。深くため息をついては聞かれたと思いさらに赤くなってしまった顔をまた胸へと埋め「〜っ、心臓に悪いだろう馬鹿」と呟いて )
──んん…、俺も一緒に寝てたのか。
( 自身の寝言で彼の顔が真っ赤になった事など露知らず、ふと徐に薄らと目を開き。ふぁあ、と大きな欠伸を洩らしつつ、気が付けばいつの間にか抱き付いて一緒に眠っていたようでぽつりと呟いて。起き上がろうにも未だに自身の胸に顔を埋めている様子に寝ているのだと勘違いしていて、眠りの邪魔をする訳には行かず起こさぬよう動かずにじっとしており )
―…起きたか、国永。
( 彼の寝言にまで顔を赤らめていることなど知る由もない彼はすやすやと眠りについていて。顔の火照りが冷めるのを待ちつつ彼の心音を聞いていると不意に先程とは違いしっかりとした声音で話すのが聞こえて。もぞりと身体を動かし彼の顔をじっと見ては上記延べ )
…ん?ああ…って、起きていたのか。
( 身動き一つもせずに同じ体勢で未だに勘違いしたまま腕の中で寝ているであろう彼が起きるのを待つ。――だったが、もぞりと身体を動かし此方の顔を見るなりそう口にした言葉を聞いて上記のように返しては「いやまさか、気付いたら俺まで寝てしまうとはな」と苦笑混じりに続けて )
お前より少しまえに目が覚めたんだ。
( ふわりと欠伸を洩らしつつ彼の言葉に耳を傾けていては今先程目が覚めたばかりだという事を告げて。「いいんじゃないか、眠れる時に眠っておけ。疲れが溜まるより余程いい。」と続け微笑んで )
なんだ、そうだったのか。…まっ、それもそうだな。
( どうやら自身が眠っている間に起きていたらしく、てっきりまだ寝ているのかと勘違いしてたようで。彼の言う通りこの状況下で眠れる時に眠らなければ、いつ政府の襲撃に合うか分からない為に身体を休めるのも大事なことでそう告げては一度彼から離れむくりと上体を起こし )
…随分と長い間寝ていたんだな、すっかり夜だ。
( 彼が離れてから漸く外の景色を見ようと視線を動かすと先程まではまだ明るかった空も既に暗くなっており。自身はやはり食欲が湧かないが、彼はお腹が空いたりしていないのだろうかと思えば「国永、俺は平気だから何か食べてきたらどうだ?夕餉の時刻は少し過ぎてるがなにか厨にある筈だ」と続けて )
ああ、ならそうするかねぇ。
( ぐぐっと天井に向けて両腕を上げ伸びをしては彼の言葉で自身も外の景色を見る為に一度其方へと視線を動かし、真っ暗な空を眺めつつ自身達の分の夕餉は適当に厨に残してくれているだろうと思い。再び彼の方へ視線戻せば少し腹も空いているのでその言葉に頷いて上記を返すと立ち上がり「じゃあ、適当に食べてくる」とそう言って手入れ部屋から出て行き )
( 彼が部屋から出ていったのを見送ると静かになった部屋がいつも以上に広く感じて。眠ったからといって傷が治るわけでもない、まだ熱を持つ傷口は鈍い傷みを含んでおりそっと手を添えて。下手したら熱が出るかもしれないなと思えば小さく舌打ち零して。自身が動けない間、何も無ければいいがと思いながら再び来た眠気にそのまま意識を飛ばしては眠りについて )
( 手入部屋を出た後、彼と別れて少しの空腹を満たすべく遅めの夕餉を済ます為に言われた通り厨へと暗い廊下を進んで。厨に着くと早速何か腹に入れるものが無いかと漁り始め、冷蔵庫には恐らく自分と彼の分の料理がラップされていて。それらを取り出すとお盆に乗せて居間へ持って行き、其処で落ち着いて料理を食べ始め思えば独りで食事をするのは初めてだと感じて。あまり腹も減っていない為、早く食事が済んで再び厨に行けばもう一度彼の様子を見ようと手入部屋に戻り )
っ…う、
( 予想していた様にやはり熱が出てきては寝付ける訳もなく、眉を寄せ。怪我をすれば熱が出るのは仕方ない事だとはいえ、火照った身体は汗を流すため煩わしく思えて。弱っている時は何処までも弱気になってしまうのか、彼が居ない今がとても寂しく心細く思えては掛けられていた毛布を握り締めて「…国永、」とまるで助けを求めるかのように呟いて )
…っ熱いな。熱を下げる薬はあったか…
( 部屋の前に着くとスーッと静かに襖を開けて中を窺えば、どこか苦し気な表情にも見える様子に後ろ手で一度閉めて。傍まで近寄りその場で腰下ろすと徐に彼の額に手を当てて、案の定酷い熱を発症しており既に持ってきていた水桶にタオルを浸して絞りそれをゆっくりと乗せ。医療関係に詳しい薬研に任せっきりだったが故に何処に何があるかも分からずぼそりと呟いて )
ん…、そこの棚に無いか…?
( 熱によって体温は酷く上がっており視界と頭はぼんやりとし、徐ろに額に当てられた彼の手が冷たく感じて。既に用意されていたのだろう、冷水に浸され絞られたタオルが額に乗せられるとひんやりと心地よく感じては、ほっと息を吐き。彼の呟きが耳に届いては側にあった棚を指さし、薬研が以前そこから薬を出していたのを思い出したようでそう言って )
ここか?──…あったぜ。あとは水を用意すればいいだけだな、少し待っていてくれよ。
( 此方の呟きに反応したかのように側にあった棚を指差しそう言う彼の言葉に、従うままに棚の引き出しから結構な数の薬が入っており。この量ならば暫くの間薬が底をつく事は無く、取り敢えず風邪薬を取り出すも次に必要なのは水で。再び立ち上がると水を取りに行く旨を伝えてから一度部屋を出ると数分後には戻って来れば、ゆっくりと彼の体を支えるように起こしてやり )
…何から何まですまないな
( 自身の言葉に従い薬を見つけ出してはすぐに戻ると言葉を残し水を取りに一度部屋を出た彼を見送り。ズキズキと頭を鈍い痛みが襲い悪寒や節々の痛みもあるのかそれら全てが煩わしく眉を寄せて。しばらくして彼が戻ってくると身体をゆっくりと起こされ、何から何までしてくれる彼に申し訳なさそうに眉を下げ。出された薬を飲めば「……苦い」と眉寄せ苦笑を浮かべて )
なに、気にする事はないさ。…俺にはこれくらいの事しか出来ないからな。
( 背中に腕を回して辛くならないよう支えつつ申し訳無い様子で言うその表情に、首を横に振り彼とは対照的に柔い笑みを浮かべ。それ以前に彼と一緒に月見酒をした次の日は飲み過ぎで二日酔いになった時も、こうやって自身がしたように世話をしてくれた。その時の礼も含めてか上記を述べ、ふと手渡した薬を飲んで苦かったらしく苦笑を浮かべる姿見ては「はは、薬だからなあ…。まあそこは我慢してくれ」と流石に自身とて薬をどうこう出来る訳もなく眉を下げて笑み )
はは、頼れる奴だ。
( 背中に腕を回されるだけでも楽なようでほっと息をつき。何とか苦い薬も飲み終えるとまた横になるためにゆっくりと支えてもらいつつ身体を横にして。それから彼の方を見ては「国永、今だけでいい。此処に居てもらっても構わないか」と続けて )
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