月に照らされた一輪の白花（非募・ＢＬ）

（アレンの部屋にて、ベッドに腰をおろし）お前が、戻って来る事を、俺は願っているが（シャツの襟から首筋に伝わせ下げていたリングを取り出し）このリングの向こうにお前の温もりが消えたら、俺はこの部屋とともに消滅するんだろうな（祈るように窓の外の月を見つめ）

やっぱり居ないよな…（ 自室、彼の部屋、庭や食堂を見渡すも神田の姿は見えず肩を落としながら自室へと戻り ）……（ 無くさないようにしまっていたリングを指に通しベッドに横になりリングを撫で ）

(長期任務を終え報告書の提出を済まし、自室に戻り窓辺に立ち)あいつは、今頃どこにいるんだろうな(一人呟いて壁にもたれ)

……、神田ぁあーーーーーー！（ 何日経っても彼の姿が見えず、いい加減帰ってくるだろうと声の響く教団の廊下で大きな声で神田の名前を叫び ）

っ、何だ？(遠くから自室に届いた声に幽かに驚き)まさか…(廊下に出て声の聞こえたほうへ歩みをすすめ)

神田が帰って来ていれば聞こえてる、はず…（ 大声を出した事によりまた喧嘩をしてるのかと周囲はざわつき苦笑いをしながらその場を離れようと自室へ足早に向かい ）

確かこの辺りから聞こえた気がするが…(廊下を進みアレンの部屋の前を通りかかり)

……ぁっ！（ 遠くに探し求めていた神田の姿が見えれば素早く角に身を隠し彼が通り過ぎるのを待ち ）

ちっ、モヤシの奴、いつ帰ってくるんだ(アレンの部屋の扉を数秒見つめ)まさか、くたばったか？(再び歩みを進めアレンの側を通る瞬間呟き)

つーかーまーえーたっ！（ 通り過ぎる瞬間神田の腕を引っ張り周りの目がないのをいい事に力強く抱きしめ ）

っ、なっ…(不意に腕を掴まれ驚き)久しぶりだな、生きてたか(抱きつかれると同時に腕を引き寄せたのがアレンだとわかり、幽霊ではこの感触はないし、生きているのだと安心し皮肉をこめ)

失礼な…、あ、もしかして僕の叫びが聞こえました？（ 神田の言葉が気に入らないと不満な表情をするも抱き締める腕を緩めれば可笑しそうに顔を覗き込んで ）

馬鹿みたいな大声が聞こえた気がしたから、来てみただけだ（視線を逸らし不機嫌そうに答えるが、表情には微かな羞恥が浮かんでおり、アレンに会いたいと望んでいた色が見え）それよりお前、どこかに行く予定だったのか？（声がしたのはもっと離れた位置からな気がしていたため、なぜこの場にアレンがいたのだろうと思い）

…、その馬鹿みたいな大声に釣られてきたんですね（ 不機嫌かと思えば可愛らしい神田の一面に思わず笑ってしまい）いえ、任務から帰って来たので神田を探すにはこれが一番手っ取り早いかと。でも思った以上に響き渡ってしまって…（ 教団内をざわつかせてしまった事を思い出しながら苦笑いし、神田の手を引けば今日は自分の部屋に行こうと歩き出して ）

っ、何笑ってやがる（笑われた事に馬鹿にされている気がして）かなり響いてたな、俺の部屋にまで響いていた（引かれた手に抵抗する事もなく、苦笑を浮かべ）

こうでもしないと、神田すぐ何処かへ行っちゃいますからね（ 手を引いたまま自室へと到着すれば部屋へと入り掴む手を離しドアを閉め ）たまには僕の部屋もいいでしょう？（ 上着を脱ぐとベットに座り笑みを向け手招きをし ）

まぁ、悪くはないな（自身も上着を脱ぎ、アレンの隣に座り）お前の部屋、久しぶりに来た気がするな（僅かに視線を上げ天井を見つめ、吐息をこぼすように呟き）

…神田らしい答えですね（ 悪くない、という言葉に笑いを溢し ）まぁ、神田の部屋と殆ど変わりはないですけど（ 見上げる神田の横顔をバレないように静かに見つめて ）

お前の部屋は、俺の部屋とは違う(自身の部屋は寝に帰るのがほとんどで面白みはないが、アレンの部屋にはアレンの気配を感じる空気があると思い呟き)俺の部屋は、何もないからな(苦笑浮かべ)

そんな事ないですよ、神田の部屋僕は好きです。僕も神田の部屋に居るだけで温もりを感じるように落ち着きますから（ 苦笑いを浮かべる神田を見れば目を細め手を伸ばし頭を撫でて ）