Who knows what love is? (〆)

(車に乗る前にもう一度伸びて身体を解し、ベッドで寝たいなんて贅沢な考えは封印しておき。ただ心配する発言には意地悪なのかお強請なのか、目を細め逞しい腕を指差し)大丈夫、でも本音を言えば体勢がキツいかも。気にしてくれるなら枕にでもなってくれる？

俺の腕でいいなら貸してやるよ、後で貸さなかったから身体が痛いだの調子が悪いだの言われたら堪らないから(示された腕を見ると意外そうにしたが別に断るつもりもないのか、あっさりと同意しては腕を差し出すようにし)ただし、汗臭いとかの文句はお断りだ。

…そう、ありがとう(爆笑される落ちかと思えば拍子抜けする程あっさりした了承に聞いた方が驚き瞬きを数回やや反応が遅れ。汗臭いのは此方も同じという事にして硬いマットに寝転がり頭を腕に乗せ、最後にサプライズでもしてやろうかと頬にキスして)おやすみなさい、良い夢を見れますように

(腕に乗る僅かな重みと近くに居る相手を見ては微かに香る匂いは良いものだと感じ、それを口に出さないでいると頬に触れる唇に目を見開いて何か言う前に寝る挨拶をされると目を伏せて、柄にも無く照れたのか素っ気なく告げ)はいはい、おやすみ。寝過ごしたら勝手に出発するからな。

(人の温もりが近くにある事は思っている以上に安心する事のようで、一方的に告げた就寝前の挨拶に対する返答を半分も聞かない内に寝息をたてブルーとオーウェンが戯れる夢を見て)

(夢も見ずにぐっすりと寝ていれば朝日が昇ると共に本能的に目を覚まして、間近にある相手の顔に気づくと昨夜のやりとりを思い出し、寝顔をじっと見ると髪を軽く撫でてから小さく呟いて言葉とは裏腹に愛おしくは思っていて)黙ってればそれなりに、可愛げがあるのに。勿体ないオンナだ。

(髪に触れる感触と聞き取れなかったが何かが耳に届きもう朝かと、重たい瞼をゆっくりと上げた所で窓から射し込む朝日の眩しさに瞳を細め朝一番の掠れた声で挨拶し)
ん…おはよう。まだ眠っていたい気分だけど。

……起きたか、おはよう(暫くは寝顔を堪能していたが、目が開くのを見ると視線を逸らして何事も無かったように答えて)俺の腕枕の寝心地はどうだったんだ？

汗臭くて硬くて最悪だった(安心して良く眠れたという本音は勿論言わないのだが、幸福に満ちた表情は発言が嘘であると語り。恥ずかしさに身体を起こし顔を背け髪をポニーテールに纏めて)

それは悪かったな、ホント可愛げが無い(顔を見れば嘘が分かる程になってしまったと思いながらもわざとらしく返すと軽く伸びをし、日が昇り辺りが明るくなると草食恐竜達も動き出した様子に気づき)俺達も、動き出すとするか。朝はパンでいいだろう。

もっとマシな枕を用意しなきゃ(わざとらしい返答には嫌味で返すべしとばかりに残念だと首を横に相変わらず素直になれず、車の近くに来た恐竜に視線を移し頭を切り替え両頬を軽く叩いて気合い投入)えぇ、今日も１日頑張りましょ

マシな枕な……(やれやれと思えば相手を見ていたが、車を走らせ始めると恐竜を横目に再び目的地を目指し、時折横に居るクレアの姿を見て)

(名誉挽回のチャンスをあげる等と適当に挑発して今夜も腕枕をしてもらう計画を立て一人鼻唄を歌ったり。ちらりと感じる視線に顔は正面に向けたまま街路樹を食べる恐竜を眺め、生物の歴史を変えてしまった事は本当に良かったのかと悩んでは答えの出ない問いに溜め息つき前髪をぐしゃぐしゃに握り)…ねぇ、この見慣れた不自然な光景は今後どうなるのかしらね

(鼻歌を歌ったり、苛立ちを見せたりと表情が変わる様を横目で見ていると問いかけに少し考えるように眉を寄せ、ハンドルを握ったまま溜息を漏らし)…さぁな、人間と恐竜の共生が本当に可能なのか、未知なる領域だ。俺達には全く想像が出来ない。…いや、もしかしたら最初からこうなる運命だったのかもしれないけどな。恐竜達が、この世に生まれた時点から。

(あの時メイジーがボタンを押さなければ地下室で見殺しにしたのだろうかとか、そもそも実験室で恐竜を産み出したのが禁忌を犯した事なのかとか。共存となれば気掛かりな点はいくつもあり、太腿のインドラプトルの爪が刺さった箇所を握り)未知な領域ね、たしかに誰にも分からない世界へ踏み出してしまったんだわ…怪我や死亡する人も出てくるわよね

(数ヶ月前の出来事を昨日のように思い出し、自分がブルーやラプトル達と信頼関係を築いたことを軍事兵器として、更には金持ちの道楽として目を付けられてしまったのだと分かっている為に複雑に思う部分もあり、深く溜息を吐くと相手の手が触れた位置の意味を察し、片手ハンドルになり手を伸ばすと指を絡ませるように華奢な手を握り締め)……人間も恐竜達も…無傷じゃあ済まない。…だから、俺達は共に居るしかない……生き抜くためにも。

(恐竜を見世物にした己とミルズは果たして違うのか彼に言われた言葉が甦り、恐竜の写真を撮ったり恐れ驚いたり様々な反応を見せる通行人から視線を反らし俯き。逞しくも優しくもある手を握り返し残る手を添え深呼吸を繰り返して顔を上げ)朝から空気を悪くしてごめんなさい、それと有り難う

別に、謝るコトも礼を言うことでもない(屋敷での一件から豹変した世界、それに知らずうちに馴れていっているのは人間の生きる力かもしれないと思いつつ繋いだ手を離し、ハンドルを握り直すと前を向き直して)それに、…コレは俺達に課せられた罪だ。アンタも、俺も…結局は同じ道を辿るしかないんだ。それに、今は俺の我が儘にアンタを付き合わせてるしな。

(不器用ながらに励ましてくれる温かな手が離れていった先を名残惜しく視線で追い、いつか素直に気持ちを伝えられる日が来れば良いのにと胸に手を当て。試験管から恐竜を産み出した罪に対する罰も受けなければ、淡々と語られる言葉に耳を傾け頷き)そうね、逃げちゃいけない。それなら私がオーウェンと一緒に居たいからって事にしておいて。勿論ブルーに会いたいのが一番だけど

……俺と？ハハッ、ブルーに会うには俺と一緒に居るのが一番だからな(相手の言葉に目を瞬くとその意味を自分なりに解釈して笑い、その解釈で若干気持ちが落ち込むものの結局顔に出るコトはなく。そのまま暫く長い道を走っていくと夕方ぐらいに街が見えてきて)こんなへんぴな場所に街があるんだな、そろそろ食料の補充もしたいし少し寄っていくか？