Who knows what love is? (〆)

(スパイスの香ばしい風に鼻が擽られ空腹を誘い、受け取った水を一口ほっと息をつき。荷物からプラスチックの食器を取り出し簡易なディナーの準備完了。一度別れた相手と再会できたのに素直になれない性格が邪魔して一定の距離を保ったまま)
キャンプ生活なんて嫌だったけど、今はそれなりに楽しませて貰ってる

あの頃のアンタが今のアンタを見たら、信じられないだろうな(相手の協力も得て夕食の準備を終えれば昔の頃を懐かしむようにし、イスに腰を下ろすとスプーンでドライカレーを食べ始め)俺なんかと一緒に、キャンプ生活なんて。

そう思う。恐竜を大切にしオーウェンとキャンプをする、あり得ない事だわ
(丁寧に手を合わせ心の中でいただきますを唱えてから口へ運び、考えれば考える程不思議な旅に首を横に振り。ブルーを見付けたい一心で動く己がまた不思議で一人くすくす笑い出し)

まぁ、理由はどうであれ、俺も助かるしな(相手の話に頷きながら食事を進め、一人よりは誰かが居る方が寂しくないと思って)

助かる？それって自分を振った女が一緒に旅をしてくれて嬉しいって事も含まれてる？
(食事の手を止め口角を片方だけ吊り上げ肘でつんつん、己をどう思うのか問いただす勇気はなく返答を待たずに食事を再開し)

正しくは俺が、振った女だな(有耶無耶な感じで別れている為に自分が振られた感覚は無く、互いに言わなければ良いのについ反論しては相手の顔を見て)まぁ、少しは含まれてるぞ。

一緒に行こうと誘われて私が断った、つまり貴方が振った事にはならない
(既に何度か交わされた点なのに負けず嫌いなのか人差し指を交差させバツ印を作り、かけたものの付け加えられた一言に若干頬を赤らめ。気付けば辺りはすっかり日が落ちロマンチックな雰囲気に)食事はもう終わったでしょ、散歩でもしない？星が凄く綺麗よ

だから、アレは………(更に否定しようと口を開いたものの更に告げられた誘いに少し考え、相手からしてみたら中々の勇気だろうと思ったのか空にした容器を置いてからイスを立って背伸びをし、手を差し出して)まぁ、たまにはいいかもな。ほら、足が危ないから気をつけろよ。

(ブルーを探すキャンプを続けていれば星ももう見慣れた頃だが、気まずい雰囲気を払拭する口実には持ってこい。差し出された手に一瞬の戸惑いはあったものの軽く力を込めて握り、月明かりのぼんやりした明るさでハッキリと見えない顔を見つめ)躓きそうになったら支えてくれるでしょ、頼りにしてるから

まぁ、アンタが軽ければな(支えられないハズはないが、敢えて冗談混じりに告げると夜空を眺めて、頭の中には娘のように可愛がっていたブルーのコトが浮かび)アイツも、今頃ちゃんと休んでるといいんだが。

女性に対して最低な言葉、もう少し乙女心を勉強して欲しいわね
(デートの服装然り女性に対する配慮が欠ける人の足を踏んで小さな嫌がらせ、してやったりで小さく鼻を鳴らし。生まれた頃から一緒だった我が子同然のブルーが心配なのだろう、星の輝く空を見上げ)大丈夫、ブルーは賢い子だから心配いらない

いてっ…(足を踏まれるとわざと痛がりつつ相手の方を見ては小さく肩を竦め、自分を励ます言葉に頷くと繋いだ手に力を込めて)あぁ、分かってる。アイツは、ブルーは他のどの恐竜よりも賢いからな。

女性に失礼な発言をした罰よ(足をどかしても御機嫌斜めのまま、ぷいっと音が出そうな勢いで顔を背け。恐竜と心を通わせた腕前は見事なもの、同じ空を見ているに違いないブルーに思いを馳せ夜空を輝く線を指差し)見て、流れ星。ブルーに会えますように

はいはい…(相手の言葉に肩を竦めていると空を流れる星の線を見て、目を細め)本当だ…、随分と女らしい真似をするんだな。

適当な返事をありがとう(精一杯の嫌味っぽい話し方で言い放したとて効果はないだろうが。手を伸ばせば届きそうな程に大きな流れ星が去った後も視線で追い掛け、相手の発言により現実に引き戻され繋いだ手を引き抜き両手で頬を覆い)星が綺麗だったからよ、細かい事突っ込まないで

どう致しまして(嫌味だと分かりながらも暢気に返しては手が離れたことで相手を見て、視線を星空に向けたが、手を伸ばすと以前より大分伸びた長い髪をそっと撫でるように触れ)…確かに、綺麗だ。らしくないことをしたくなる気持ちも分からなくない。

(何度言った所で伝わらない相手には時間の無駄、ため息をひとつ首を横に残念な人に惹かれた自分が残念だったり。綺麗が己に向けられた言葉でないと分かっていても言葉に伸びる手に心臓が跳ね上がり、二人の間にある空間を無くしぴったり寄り添い)いつも綺麗だけど今日は特別に綺麗に見えるのよ

(此方に身を寄せる相手の身体を受け止めながら少し目を細めては、繋いだ手を離して軽く腰に添えて喋りつつも手を離して眠たそうに頭を掻き)特別に綺麗か…空気が澄んでるのかもな。明日も天気は良さそうだ。明日はもう少し先まで行って、ブルーを探さないと。

(恋人なのか単なる仕事仲間なのか不明な関係も悪くない、添えられた手にそっと触れ温もりを確かめ。眠たそうな様子に欠伸を誘発され、原始的な天気予報も終えた事だしそろそろ寝る時間かと身体を方向転換させ)晴れなら遠くまで行かなきゃよね、それじゃ今日はもう休みましょ。お散歩ありがとう

ん、あぁ、此方こそ(礼を言われれば気分転換になったのは同じだと返し、車に戻ると座席を倒してフラットにする形にしてからいつものように雑魚寝の形を取り、元軍人でサバイバルが得意な自分とは違って華奢な女性である相手が車で寝るというのはいつまでも馴れないだろうと思い)アンタ、車で寝てホントに大丈夫なのか？