Who knows what love is? (〆)

笑う事ないじゃない、おかしな事は言ってないつもりよ(相手がどう受け取ったか分からないが自分なりに頑張った言葉だったのに残念というかムッとした表情に。いくらか走り初めて見る景色を地図から探し印を付け、のどかな雰囲気が魅力的な街並みが気に入り食糧調達だけでは勿体無い気分に)そうしましょ。たまには贅沢してこの街のモーテルに泊まるなんてどう？

いや、悪い。ついな(笑ったことを指摘されると悪気は無いと緩く手を振って返すことにし。街の外れに車を停めるとエンジンを切り、提案を聞けば連日の車中泊で相手も自分も大分疲れが溜まっていることは明白で、特に断る理由も無いかと思えば頷いて)あぁ、そうだな。また次いつ汗が流せるかも分からないし、水浴びだけじゃあ流石に堪えるだろ。そうと決まれば、早速部屋を取りに行かないと。

一緒に居るしかないって言ってたのはオーウェンのくせに(あまり引き摺ってしつこくなっては雰囲気が悪くなるしで小声で溢してから片手を前に一方的に話を区切り。車を降りた所で小さな女の子が恐竜に草をあげる様子が視界に入り癒やされ、更に今晩はゆっくり過ごせるならすっかり機嫌を直し街並み散策に歩みを進め)良かった、これで今夜は快適な枕で寝れるわね

早速お役御免だな、まぁ、どっちのが快適だったのか試して教えてくれよ(枕代わりにされないと分かると当たり前だと思いつつも少しつまらないと思う自分も居て、捻くれたように答えると街中を歩きつつそれらしき建物を探して)たまには、酒を飲みたいもんだ。

抱き枕にしても良いけど(枕に対抗するのが面白くて脇腹を指でツンツン、敢えて抱き付いてやろうか企み。見知らぬ街を散策し洒落たバーを発見し入口付近で立ち止まり)賛成、今日はちょっとした休憩にしましょ

なんで抱き枕だ、暑苦しいだろ(突かれると少し擽ったく思いながらも答えては満更ではないようで、見つけたバーの前で歩みが止まるとドアを開けて中に入っていき)珍しいな。今日は、アンタも酒に付き合ってくれるのか？

お役御免なのが残念そうに見えたから(本人は否定するだろうが一連のやり取りが面白くて仕方なく込み上げる笑いを止められず腹を抱えて笑うまでに発展し、薄暗い店内で瞳の端に浮かぶ涙を指で拭い去り)付き合うわ。何なら飲み比べしてあげても良いけど、どうする？

バカを言え(そんなコトは無いと返すも笑っている様子に呆れたように肩を竦めて、中に入ると空いていた二人用の席に向かって腰を下ろし)飲み比べ？初デートの予定表にテキーラ禁止とまで書いたヤツが、よく言うぜ。

まぁ怒らないでよ、男前が台無しよ(竦める肩を撫で宥めてみても原因を作ったのは己なのだが、店内を見渡しカウンターに並ぶリキュールの瓶を端から端まで見渡し視線を戻し)それは初デートの話、今はもう付き合ってすら居ないから問題ないの

怒ってないし、…なるほど、アレは付き合ったからと言うわけか(テキーラ禁止の意味を恋仲だったからだと言われるとやはり理解は出来ないが、今は良いのだと分かればそれで満足し、テーブルに備え付けのメニューを眺めて)テキーラでも、甘いカクテル系でも、何を飲む？

そういう事、初デートにドキドキしていた乙女が考えたのよ(手をしっしと何かを追い払うような動きをして昔の事をほっ繰り返すなと苦笑い、メニューを眺め先ずは軽めにすべきかと冷蔵庫に並ぶ瓶を指差し)ビールにするわ、あなたは？

分かった分かった。俺もとりあえずビールにする(乙女ね、と思えば全くそうは見えなかった昔を思い出しつつそれ以上は言わずに、注文を聞くとスタッフに視線を送り、此方に来るのを見れば注文をして)ビール二本に、チーズとナッツ、後適当に腹に溜まりそうな……あ、ピザでも貰おうか。

何か言いたそうな顔ね、今なら怒らずに聞くけど(耳の横に手を当て耳を澄ませても我ながら乙女という言葉に直ぐに笑いが込み上げやっぱり良いと首を横に、注文が終わりメニューをテーブルの端に片付けビールを注ぐスタッフをちらり)テキーラでも良かったのに

なんでもない、……まぁ、最初はな(敢えて同じ物を頼んだとは言わずに曖昧に告げると品が来るまでの暫くの間相手の方を向き、改めてバーで二人で飲むのは随分と久しぶりな気がしては目を細めて)夜は長い、今回は最後まで付き合ってくれるんだろ？

そうね、最初は軽めでね(落ちついて面と向かって座るのは久しぶりで何故だか恥ずかしく視線が泳ぎ、早くアルコールを流し込みたくてビールが届けば早速乾杯し)良いわよ、オーウェンの気が済むまで付き合ってあげる

ちょっとしたミス発見、アメリカのビールはグラスに注がずに瓶ごとよね。失礼。

そうこないとな(答えを聞くと満足して、運ばれた瓶を見ると片方を手に取り、軽く掲げると早速飲み始めて)ん、乾杯。……はー、美味い。


いや、こっちも時々やらかしてるだろうから気にするな。

(瓶を傾け渇いた喉に流し込み一呼吸、先に運ばれたナッツをいくつか頬張り。ゆったりした曲の流れる店内を見渡し、落ち着いた休日という感じの慣れない雰囲気に心なしかソワソワして)こんな風に飲むのは久しぶりよね、たまにはアリだけど

ありがと、優しいのね。これはもう無視しちゃって大丈夫だから。

たまには、気を楽にしないと疲れ果ててしまうだろ？(久々のアルコールに気分を良くしては適当に食べ物を口にして、昔に比べて大分柔和な顔つきになった相手を眺め)ホント、昔と比べて今のアンタは中々……いい顔をするようになったな。

貴方と二人で旅をするとなったら当然よね(久しぶりに飲んだからか半分も飲まない内にほろ酔い気分の出来上がり、両手で頬を覆い顔が赤くなってない事を願うばかり)いい顔って何それ、あんまり見ないでよね

俺と一緒だと緊張すると言うことか？(自分で話題を振りつつも不思議そうに返しては顔を見て、表情を隠す様に手を伸ばすと緩くウェーブがかった長い髪に触れるようにし)髪も、大分伸びたな。