こんこん日和　[非募集]

(相手が自分の耳をなでると、胸を張ってただの狐ではないといえば「そうだなー、なんかご利益があったら崇めるかもなー」と、相手が神様だからといってあまりアテにはしていないようでそう言って。やはり神様か、シャワーも知らずにシャワーを掴んで噴出口を覗けば「そう、そこからこう」と相手が穴を覗き込んでいるとなにやらよからぬことを考えてそう相手に教えれば相手の顔の前にある状態でシャワーを出して)

(全く信じていない様子の相手にまた拗ねそうになるものの、いずれはお礼に利益を与えることもあるだろうと｢ふん、力さえ戻れば容易いことじゃ。今のうちに願いを決めておくが良いぞ｣今に見ていろと言わんばかりに余裕しゃくしゃくに答え。言われる通りシャワーを構えたままだったため、詮をひねられれば思いっきり水を被ってしまい｢わぷっ…けほっ、このっ、何をする！わらわを神と知っての狼藉かっ！｣咳き込み涙目になりながらもフーッと尻尾を逆立てて、シャワーを相手に向けるとキッと相手が触れている蛇口を睨み、手を使わずとも神通力を使って一気にひねれば倍の量の水が相手に降り注ぎ)

(こちらの疑わしい言葉に余裕綽々で答えると「楽しみにしてまーす」と、あまり、というより全く信じてないようで棒読みでそう言って。どうやら相手の逆鱗に触れてしまったようで、尻尾を逆立たせてお返しとばかりにこちらに水が降り注ぐと、「うわぁ！ちょっ待てって！」とやがてこちらもびしょ濡れになってしまい、「あー…着替えないと」と呟けば、「とりあえず風呂入ってな」と着替えるらしく浴室を後にして)

(一度目は耐えたがまたもや気のない返事をされると我慢できず、とうとうむーっと頬を膨らませては"もう知らぬ！"というようにいじけてそっぽを向いてしまい。雨に降られたようにずぶ濡れの相手を見て勝ち誇った表情を浮かべ、満足そうに一息つくもののそのまま浴室から出ていくのを見れば｢――む？待たぬか、わらわを置いてどこへ行くつもりじゃ？｣風呂の使い方などわからないという事と、まだ遊び足りないという気持ち。二つの意図から廊下へ顔を覗かせ、悪戯っぽい笑みを浮かべて手招きをすると先ほどの神通力が相手の体を引き寄せようとして｢わらわにこの家の勝手はわからぬ、お前様が世話をしてくれねばな。それに、濡れたままでは風邪を引くんじゃろ？｣要は一緒に入れ、というより風呂に入れてほしいとねだり)

(相手がそっぽを向いて頬を膨らませると、やはり少しやりすぎてしまっただろうかと不安になり「灯花さーん？灯花さまー？」と相手をからかうように名前を呼んで。びしょ濡れになった体を大雑把に拭いて、部屋に戻ろうとするが不思議な力で引き寄せられると「え？あ、お、おい！」と見えない不思議な力に抵抗しようとするも、その努力もむなしく無駄となり、また浴室に引き戻されるとまるで一緒に入れというような言葉を発せば目を見開くも、先程のような力を見せられると反論する気になれず「どうせ嫌って言っても、無理やり入れるんだろ？」と諦めたように言えば「向こう向いてろ」と服を脱ぎ始めて)

(名前を呼ばれる度にぴくぴくと耳を動かし反応するが、やはりからかうようなその口調が気に入らず意地を張って顔はつーんと向こうに逸らし続け。だいぶ力が弱くなっているとはいえ無事相手を引き戻すと達成感ににっこり笑い｢お前様は賢いのう…じゃが遠慮など要らぬぞ？これから共に暮らす仲なのじゃ、いちいち恥じらっておっては仕方なかろう？｣潔く受け入れる姿勢は褒めたたえ、あっちを向けという指示には従わずじーっと相手を眺めながら悪戯ぽく目を細め｢それとも、神とはいえ女子の前で肌を晒すのは緊張するのか？そうなのか？｣シャワーの仕返しと言わんばかりに喜々として茶々を入れ)

(やはりからかうような呼び方が気に入らないのか、相手の前に回り込んでもそっぽを向き続ける相手に、ようやく反省したような呼び方をして「いなり寿司食べますかー？」と耳元で囁いて。こちらの諦めた顔になぜかにっこりと笑うと「そうかもしれないけど、やっぱりそこのところはわきまえるべきかと…」とやはりお互いに、体を見せ合うのはどうかと思い言葉を濁しながらいうと、まるで茶々を入れるような言葉に「…！なわけないだろ！」と言えば、下半身はともかく上だけを脱いで)

(何を言っても聞かぬと拗ね続けていた所に囁かれたのは大好物の名前。反射的に目を合わせないよう逸らしていた顔をくるっと戻して｢いなり寿司っ？いなり寿司があるのか？わらわにくれるのか！？｣もう何十年も食べていないお供え物の味を思い浮かべては、不満も忘れてびゅんびゅん尻尾を振りながら相手にしがみつき。あれこれと言いながらも結局素直に服を脱ぐ相手を上機嫌に見守って｢うむ、やはり男は度胸がなければな｣などと評価するが、鍛え上げられた上半身があらわになると途端に驚いた顔をして｢…う…ま、まぁ、小童と思っていたが、案外男らしいんじゃな｣今更照れた様子で視線を泳がせ)

(いなり寿司の単語を出せばいつまでも合わせなかった顔を反射的にこちらに戻して、まるで上機嫌のようにしっぽを振り回すとその勢いに少し押されたのか「あ、あぁ…材料ならあるから時間かければ出来ると思う」と、要は油揚げを甘く煮て酢飯を詰めればいいものだと考えれば簡単だと言って。やがてこちらが服を脱げば照れた様子で視線を泳がす相手に「これでも鍛えてるからな…」と呟けば流石に下はまずいだろうと、相手に背中を向ければズボンを脱ぎ、腰にタオルを巻いて)

(時間がかかると言われても今まで我慢してきた時を思えば何てことはなく、ぱーっと満面の笑みを浮かべては｢ならば今日の夕餉はいなり寿司じゃ！美味いのを食わせてくれればどんな願いでも叶えてやるからの！なぁなぁ良いじゃろ？｣相手の胸元にぺたっと引っ付いて子供のようにねだり。背中を向けて着替える相手をちらちらと横目で眺め、次に自分の子供っぽい体を見下ろせば｢…むぅ…わらわも力さえ戻れば…｣と不満を呟きながら巫女装束を脱いでいき。一糸まとわぬ姿になった所で｢湯浴みをするときはその布を纏えば良いのか？｣相手の腰のタオルをくいと引っ張り、自分も着けるべきか尋ね)

（油揚げは何パックかあったはず、調味料は揃っているし米も冷凍を解凍すれば大丈夫か。と思案していればいきなりこちらにくっついていなり寿司を強請ってくる相手に「わ、わかったから！まずは風呂入ってからだ！」といきなりのことで顔を赤らめながら、まずは風呂に入ると言って。こちらのタオルを引っ張りながら問いかけてくる相手に対して「そうだな…ていうか、巻いてもらわないと困る」と相手に背中を向けたままバスタオルを渡して）

(本当は今すぐ食べたいけれど、ほんの一時の我慢だと思えば相手の言葉にも素直にこくこくと頷き｢うむうむ、風呂が終わったらすぐにいなり寿司じゃからな。約束じゃ！｣と一方的に約束すれば風呂に向かうことにして。渡されたバスタオルを見よう見まねでくるくると体に巻き付け、不慣れなせいか凹凸が少ないせいか気を抜くとずり落ちそうになるもののさして気にせず｢――これで良いのじゃな？さ、早う頼むぞ｣後は相手に任せるというようにピタッと背中にくっつき、ぐいぐい浴室へ押していって)

（こちらの言葉に素直に頷くと、よほどいなり寿司を食べたいらしくすぐさま風呂に向かうと「まぁ待て、作るのにも時間かかるんだからな」と先に念を押しておいて。相手に背中を向けているといきなりくっつかれればやはり動揺してしまい、そのまま浴室に押されると「わ、わかったから押すなって！」照れ隠しに声をあげれば「じゃあ…まずは身体洗わないとな」と呟けばボディタオルで泡立てればそこに座ってと指差して）

(念を押されても好物を待ち侘びる高揚感の前ではどこ吹く風といった様子で｢案ずるでない、いなりの為とあらばわらわも手を貸してやるからのう。それならばすぐに出来るじゃろ？｣手を開いて握って動かしながら己の助力をアピールし。どもる言葉にはまるで照れ隠しに気づいているようにくすくす笑い｢照れずとも良い、わらわとお前様の仲ではないか…じゃが、くれぐれも優しく頼むぞ？｣と夫婦じみたことを言ってみながら指示された場所、ではなく相手を背もたれにする形でぴったりくっついて座り、大切に洗えと釘を刺してはのんびり体を預けて)

(いなり寿司のためならば、助力は惜しまないといった様子でこちらも手を貸すといえば「お前の家事スキルによる…」と二人でやればすぐにできるだろうというが手のひらを返せば逆に相手が足を引っ張ってしまう恐れもあるため不安そうに呟いて。つい数十分前に出会ったばかりなのに、さも夫婦のような言葉を出しながらこちらに凭れかけてくると「だからくっつくなって…！」と思春期の男子からしたらこの状況は辛抱たまらず「じゃあ、洗うからな…」となんとか理性を押さえつけながら相手のバスタオルを剥いで、相手の柔らかい肌に泡を塗っていき)

(普通ならば喜ぶべき所をなぜか不安げな顔をする相手に目を丸くして、ついでに意味のわからない単語にも首を傾げ｢すき…？…良くわからんが、わらわに出来ぬことなどないぞ。なにせわらわは神様じゃからな！大船に乗ったつもりでいるがよい｣とさして大きくはない胸をぽんと叩いてみせ。いちいち過敏な相手の反応を面白がって｢何じゃ何じゃ？そんなにわらわの柔い尻尾がくすぐったいかのう？｣と人の気も知らずに楽しげに尻尾で相手の体をくすぐって、そんな風にじゃれつきながら洗われていたが｢…ふ、くふっ…やめぬか、くすぐったいではないか！｣遠慮がちに泡を塗る手つきにそわそわと体を揺らし、やがて我慢できず今度はこちらが声を上げ)

(こちらの言葉に首をかしげて目を丸くしていると、できないことは何もないと胸を張って見せる相手に「どうだか…灯花は料理とかできるのか？」と神様なのに料理などできるのだろうかと思いながら問いかけて。辛抱たまらんところに相手のふわふわな毛に包まれた尻尾でくすぐってくると「お、おいいい加減にしろ！」と先程からちょっかいが過ぎていて、動き続けるしっぽをぎゅっと握って。相手の体に泡を塗っていると体を揺らして声を上げる相手に「こうしないと体洗えないだろ…」と相手の動く体を押さえつけながら体を洗っていけば、ようやく全身を洗うことができたようで相手の体にシャワーをかけていき)

(神の力に不可能などないに等しいが、まさか料理について聞かれるとは思わずうぐっと言葉に詰まり｢うっ…料理は人間の務めじゃ、わらわたち神の務めではない…べ、別に出来ぬという訳ではないのじゃ…｣と言い訳じみたことを言いながらごまかして。ちょうど相手の腹のあたりをすりすりくすぐっていた尾を強く握られれば突然のことにびくっと体を跳ねさせて｢ふぁっ！？な、何をするっ…！早う手を離さぬか…！｣逃れようと身をよじるが体を押さえつけられているせいで叶わず、シャワーをかけられている間中ずっとぷるぷると顔を真っ赤にしながら耐え｢全く…神の尾を掴むなど、無礼な真似をしよって…｣これ以上弄られないようじっとしつつ、口だけは負けじと文句を言って)

(神様といっても、やはり身近なことには疎いらしく、こちらの言葉に詰まって誤魔化すと「…できないんだな？」と相手に確認するように見つめながら問いかけて。いたずらする尻尾をつかめば、今までのとは全然違う反応を見せる相手に、「あれ、ビンゴだった？」と呟けばそのまま尻尾を弄んで。そのまま大人しくシャワーをかけられていると、「次は頭な」とシャンプーを手に取り、自分の手の中で泡立てれば相手の長い髪に丁寧に泡を塗っていき)

(真っすぐ向けられる視線と問いにいよいよ返す言葉もなくなり、悔しそうに唇を噛んで俯くが｢…お前様が教えてくれれば、わらわだって出来る…｣少しの沈黙の後ちらりと視線を上げれば、いじけと甘えが混じったような表情でぽつりと小声で訴えて。ただでさえ獣にとって繊細な部分である尻尾、その上自分にとっては霊力の集合体でもあるそこを無遠慮に弄られては一たまりもなく｢なにがびんごじゃ！ぅ、離せっ、離さぬなら酷い目に合うぞ…っ！｣涙目になりながらも横目でキッと相手を睨み。そのまま次は頭を洗われるとこちらはまるで撫でられているように心地好く、そのせいで余計混乱し｢隼人っ、風呂はもう良い、早う…む、何じゃ！？｣とにかく逃げだそうと口を開くが、もがいたせいで泡が顔に伝ってしまい目に入ったそれにまた慌て出して)