交換小説しようよー

交換小説しようよー

ほのか  2018-02-25 17:46:31 
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題名のそのまんまだよ!
皆で○○小説を作ってくんだよ!
一日30行まで!
完結するまで続けるよ!
ハッピーエンドもバッドエンドも君次第!
よろしくね!

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  • No.95 by KENJI  2018-10-16 03:40:40 

「で、あんたの家はここからどの位かかるの?」
”女医”は男に問うた。

男は
「距離的には歩いても日が沈むまでには家に着くが、実際には走り続けてもギリギリセーフかどうかってところだな。」
と答えた。

「じゃあ歩いて行けばいいじゃない。何で走るのよ?」
と、銀座の女は反論した。

男は
「まっすぐ俺んちに向かうとビルの影が多いからゾンビを警戒しなくちゃならないし、場合によっては今みたいに武器が必要になる。だが今俺たちが使える武器はこのバズーカだけだ。ゾンビをビルごとバズーカで吹っ飛ばすと、ビルの残骸が病院への帰り道をふさいでしまう。ゾンビを避けながら俺んちに行くには、太陽の光を浴びながら西に向かってカタカナのコの字を逆になぞるみたいに遠回りするしかない。」

と説明し、”女医”と銀座の女の足元を見た。”女医”は院内用パンプスだが、銀座の女が履いているのはブランド物のハイヒールだ。

「おねーさん、そのハイヒールじゃ走りきれないな。足もハイヒールももたない。」

「じゃあたしに『裸足で走れ!』て言うの?冗談じゃないわ。」

二人のやり取りを見ていた”女医”は、女に持たせている拳銃の銃身を白衣の袖で巻いてつかんだ。

「ちょ、ちょっと先生!あたしを撃つつもり?」

「撃てる持ち方に見える?早くヒールを脱いで!時間がないわ!」

銀座の女がしぶしぶハイヒールを脱ぐと”女医”は拳銃の銃床でハイヒールのかかとを叩き折った。

「即席パンプスの出来上がり」と”女医”。

「・・・このヒール、高かったのよ、もう!」とふてくされる銀座の女。

男は叫んだ。
「じゃ俺についてきな。マジで時間がない!」

3人は西に向かって走り出した。

”女医”は走りながら男に問うた。
「あんた、その子と武器を担いで走ってるけど、重くないの?」

「この子に撃たれる前はバズーカが少し重い程度だったが今は何ともないな。それが何か?」
と答えた。

「いい気なものよねぇ、みんな走ってる時に好きな男に担がれてぐーぐー寝てるんだから。あたし最悪。」
と銀座の女はぼやく。

”女医”は走りながら考えた。
『HIVとAKの相互作用だけでは急激な体力増加はあり得ない。この男にはウィルス感染以外にも何かある。』

最初の角を曲がる頃には、太陽の半分が西に沈んでいた。

  • No.96 by KENJI  2018-10-21 01:49:21 

「うちの娘は大丈夫なのか?」

医事課総合主任はNICUの看護師に詰め寄った。NICUの看護師は

「んだ。見た目はタダの早産の未熟児じゃが、ウヂの主治医の判断でオランダ製の保育器に入れちょる。」

と答えた。NICUの看護師は続けて

「何で主任のお子さんがふづーの保育器に入れんとオランダ製の保育器に入れたか、知っちょるか?」

と問うた。

「そりゃあ、俺の娘だから特別扱いだろう。あの保育器の導入の件はNICUの主治医も知ってるはずだ。特別仕様の保育器を一度に10台も導入したんだ。オランダ政府との交渉にもかなりの時間をかけた。当然だろう。」

「違う。」

「じゃ、何だ?」

「おらが聞きたいくらいじゃ。」

「どういうことだ?」

「ご主人。お子さんは生まれた時からエイズの保菌者じゃ。万が一の他のゴドモへの感染を防ぐためにオランダ製に入れちょる。生まれた時からじゃけん、感染経路は母胎からじゃ。」

NICUの看護師は主任をにらみ付けた。

「お子さんの母親は美人でぇ、よその大学生からもようモテてたが、エイズをもらうようなふしだらな女やない。昔は血液製剤でエイズをもらうこともあったらしいけんど、あの子は輸血を受けるような病気やケガもしとらん。」

「・・・俺に何が言いたい?」

「奥さんと結婚後にお子さんを設けた時にエイズが移ったとしか考えられん。・・・ご主人、ホンマに心当たりはあらへんのか?」

「・・・。」

思い当たるフシのある主任は黙り込んでしまった。

「・・・やっぱりな。そつらのボンベを交換スてくれるお二人もカンセンからきたんじゃから、なんか病気もっとるんじゃろ。3人ともここから先へは入れられん。」

カレシは

「では看護婦さん、我々はどうやって酸素ボンベの交換を?」

と尋ねた。NICUの看護師はノートパソコンやドライバー等の工具を鞄に詰めながら

「サンスやチッスなんかのガスの配管点検用通路からガス棟へ行くんじゃ。おらは警備員室のコンピューターをハッキングして通用門を開ける。」

と答えた。主任はあわてて

「そんなことして失敗したら病院の情報システム全部がダウンするじゃないか!保育器の管理システムはどうなる?」

と怒鳴った。

「ご主人。『ハニカムブロックチェーンテクノロジー』て知っちょるけ?サーバー同士をネットでリンクさスて情報を共有するブロックチェーンを蜂の巣みたいにさらに広げた技術じゃ。この病院の情報システムは、医科大学や附属看護専門学校のブロックチェーンシステムともクラウドコンピューティングでリンクしちょる。おらがいじるのはその中の警備員室のサーバーだけじゃ。」

「ふーん、看護婦さん。なかなかイカしてるじゃねーか!」
とオトコは感心した。

「おらの父ちゃんはタダの転勤族じゃねーべ。防衛医科大学を出てPKOやら駆けつけ警護やらで世界中飛び回った、『何でもできる医者』じゃ。負傷した隊員の手当もしながら敵の通信記録も盗んで米軍に渡したりもしてた。おらは父ちゃんと一緒に仕事したくて医者になりたかったんじゃが、昔事件になった女子受験生差別をいまだに引きずっとって、おらは看護師にしかなれんかった。」

「あ~、あの東京医科大学の事件か。ありゃひでーよな。」

「おらの『趣味の顔』は、父ちゃん譲りのハッカーだべ。」

「うちの娘は本当に大丈夫なんだな?」
主任はもう一度NICUの看護師に問いただした。

「エイズ以外はな。」

NICUの看護師とオトコとカレシの3人は、配管点検用通路の中に消えた。

  • No.97 by ほのか  2018-10-21 07:40:03 

少女は話す。

『闇っていうものは誰の心にも存在してる。男の人にも“女医“さんにも。あの看護婦たちにも、神父にも。』

「じゃあなんで…私の前には私がいるの?」

『誰か私はあなただっていった?』

「…違うの?」

少女はニヤリと頷く。

「ていうか私は何でここにいるの?」

少女は小さな沈黙のあと口を開く

『この世界は何度も繰り返してる。何度も何度も。参加する人を変え。犯人を変え。なんども同じ舞台で違う物語を紡いでる。そして私は……………過去の標的なの』

私は混乱した。
この世界は繰り返してる?
この舞台は終わらない?
何かを壊さない限り…

『この世界を終わらす方法はただひとつ』

私は思わずゴクリと唾を飲む。

『この世界をまるっきり変えてしまうこと』

「変える…」

『所詮は舞台。人の心を利用した舞台は同じ道を辿っている。
そして最後は皆殺し。その決まりを変えるんだ。例えば…舞台の中に恋愛を作る。とか…』

私は少々イラっと来たがとりあえず大事な事を聞く。

「名前、なに?」

『茜』(あかね)

そう少女がいった瞬間私は下に落とされるような感覚に陥り、いつの間にか目をさましていた。

  • No.98 by KENJI  2018-10-22 00:00:39 

アメリカ・ホワイトハウスにて。

「大統領、中国からの輸入品にこれ以上関税をかけるのは危険です。」

「中国は我が国から先端技術を取り込んだ上に我が国からの輸出品にも報復関税をかけている。我が国の経済を回復させ、国民の暮らしを守るのが私の使命だ。中国からの輸入品のために国内のあらゆる産業が低迷し、消費が落ち込み、国民の賃金も伸び悩んでいる。君は国内の商品が日本のようにMADE IN CHINAの安物であふれても良いのか?」

「大統領。私もそのような事態を期待している訳ではありませんが、中国からの安価な輸入品に頼らなければ、情報機器の消費者価格は国民の所得の数倍にも跳ね上がります。最新型のiPhoneが5,000ドル(約51万円)にもなれば、購入できる国民はおおくはありません。大統領のアメリカ・ファーストに異論はありませんが、中国の報復関税のために我が国の中国向け農畜産物が出荷できず価格が低迷すると余剰在庫が低価格で大量に国内に出回ってしまい、我が国の農業や牧畜業は立ちゆかなくなります。高価な情報機器が買えない国民は情報化時代からも取り残されてしまいます。それこそ中国の思いのままです。」

「国防長官。我が国の軍需産業は世界最高レベルだ。日本が購入している我が国のミサイル・システムや日本各地の我々の基地がアジアの平和を支えているのも事実だ。我が国は日本製の車を大量に輸入しているのだから、中国向けの農畜産物を日本向けに輸出すれば良い。日本は資源のない国だ。兵器も食糧も日本が輸入すれば問題ない。」

「大統領。日本も経済情勢は我が国と同様であることをご理解下さい。それと大統領、ある情報筋からの話ですが、北朝鮮がどうも不穏な動きを見せているようです。」

「なんだそれは?」

「北朝鮮の反融和陣営が偶発的な誤操作を装って、日本と韓国にミサイル攻撃をしかけたらしいのです。」

「どういうことだ?北朝鮮は核開発を放棄したはずだぞ!」

「放棄したのは核開発だけで、通常兵器の開発までは放棄していません。あくまでも『偶発的な誤操作』と言うのが北朝鮮側の主張ですが、韓国は厳重抗議した上で既に臨戦態勢に入っているとの情報です。」

「日本側の対応は?」

「日本政府も抗議声明を出していますが、日本は憲法9条により専守防衛の態度は変えていません。安倍政権時代に日本政府が我が国から購入したイージス・アショアで対抗したようですが、数発は日本本土に着弾したらしく、もう限界かとの見方もあります。」

「憲法9条?『戦力はこれを保持しない』っていうあの条文か!何のために我が国が大金を費やして基地を置いているのか、まだ日本は理解出来ないのか!」

「日本への攻撃は、『日本政府が購入した我が国の巡航ミサイルやステルス戦闘機F35Bの配備が北朝鮮を刺激した』という見方が情報筋からの話ですが、別の筋によると、『韓国や日本への攻撃にも中国が関与している』とのことです。」

「どういうことだ?中国は正式に終戦に合意したはずの朝鮮戦争をまた蒸し返す気なのか?」

「『北朝鮮の反融和陣営をあおって戦争をけしかけ、我が国の対中関税の撤廃を暗に要求するつもりだ』という見方です。日本にも韓国にも我が国が基地を配備しておりますので、戦争の口実には丁度良いとも言えます。」

「・・・『正面からはシャープパワー、背後からはハードパワー』か。中国め・・・。」

「中国のさらに後ろにはロシアもあります。もしロシアとの全面対決になれば、いわゆるボタン戦争、つまり『核弾頭による第3次世界大戦』にまで発展しかねません。」

「・・・日本の医科大学に預けたあの2つのウィルスを使え!中国人を共食いさせてやる。」

「大統領。あの2つのウィルスは医療目的の研究対象です。貿易摩擦の解消のための応用には賛成しかねます!」

「国防長官。これは『大統領令』だ。君の意見は聞いていない。」

  • No.99 by KENJI  2018-10-24 22:38:01 

2つ目の角を曲がって東に向かって走る頃にはもうほとんど日没に近かった。

「もう少しだ。」

と男は”女医”と銀座の女を励ました。今は女の姿をしている”女医”も元々は男性なので疲れてはいるのもののまだ若干の体力は残っているが、銀座の女はもう息が切れてきた。

「はあ・・・はあ・・・はあ・・・。ちょ、ちょっと待って。あたしもうダメ。ちょっと休ませて。」

「・・・あたいも休ませてよ・・・。」

男は周囲のビル影を見回した。数体のゾンビがこちらを伺っている。

「『もう少し』って、はあ・・・はあ・・・はあ・・・。あとどのくらい?」

「まあ・・・大体2km位だな。ゾンビがこっちを見ている。休んでるヒマはないぜ!」

「2km!?」

”女医”と銀座の女は同時に声を上げて驚いた。

「・・・あんたさぁ、あんたは何ともないかも知れないけど、日が沈むまでにあと2kmもあたい等が走れると思う?」

「はあ・・・はあ・・・はあ・・・。あたし最悪。もう無理!」

『しょうがないなぁ・・・。』

男はもう一度周りを見回した。ゾンビの数が増えているが、街路灯はもう灯っていた。

「せめてあの街路灯の下まで何とかならないか?」

3人は街路灯の下まで歩き、女2人はそこに越を降ろした。男は抱えていた女を降ろして、灯りは点いているが誰もいないコンビニの方へ向かった。男はコンビニでジュースやビールなどの飲料や明日までは保つであろう惣菜をバスケットにかきこんで、会計を済まさずに出てきた。

「ちょっとあんた、『堂々と万引きしてくる』って、どういうつもり?もう!」

”女医”はパンツの後ろのポケットから財布を出そうとしたが、当然院内PHSとICカードしか持ってきていない。

「『ゾンビ店員』にカネを払う必要はないさ。しかもいないしな。」

病院周辺の街全体がゾンビ化しているのだ。仮に財布を出しても意味はない。”女医”はバスケットの中から冷えたスポーツ飲料を取り出してキャップをひねり、銀座の女は缶ビールを開けた。男はウーロン茶のペットボトルを手にとって肩から降ろした女の頬にポンポンと軽く当てた。女は目を開け顔を上げた。

「俺は気付いてたよ。飲みな。ハーブティーじゃないけど。」

『・・・気付いてたんだ。』

太陽は沈み西の空だけが赤く染まっていた。

「3人ともこの街路灯から絶対に動くなよ。コンビニもダメだ。もし店が停電したらゾンビに囲まれる。先生、この子を頼む。俺は1人で行く。」

「ちょっと!あたし達を置いてどこへ行くのよ?」

「・・・I’LL BE BACK(また来る)」

男は東に向かって走って行った。重いバズーカ砲を抱えた人間とは思えないような猛スピードで。

「先生。あいつ本当にターミネーターじゃないの?」

「さあ・・・。あたいにも分からない。」

数分後ドゴーンというバズーカ砲の発射音とビルが崩れる音が鳴り響いた。

「・・・ターミネーター以上の化け物かも知れないよ。」

  • No.100 by ほのか  2018-10-25 17:31:42 

気付くと近くに“女医“さんたちの声が聞こえる。

その声はだんだん近付いてきて、周りもあかるくなっていく

瞬きをしてきづけば現実に戻っていた。

そこに男の人は居なかった。

「おはようございます……」

頭痛が酷くて回りの音が良く聞こえない、

わたしに何ていってるの?

私は耐えられないほどの眠気におそわれるが次の一言で目を覚ました

「…ここまであの男が貴方を担いできたのよ!」

その言葉を発した“女医“は溜め息を吐く。

でもここに男の人はいない。

ということは…

「しんだの…?」

  • No.101 by KENJI  2018-10-27 22:00:21 

「さあね。『I’LL BE BACK』とか言ってたからターミネーターみたいにまた来るんじゃないの。」

”女医”はさらりと受け答えしたが内心は途方に暮れていた。当初の計画だった、病院の39番出入り口からのゾンビおびき寄せ作戦が失敗した上、日が明けて東から太陽が昇り始めて、今朝は昨日走ってきた西側に影が伸びているのだ。来た道を引き返すことは出来ない。建物に詳しい銀座の女に病棟へ引き返すルートを聞きたかったが、昨日走り疲れた銀座の女は缶ビールを一気に5つも空けて酔いつぶれてまだ寝ていた。”女医”は女に問うた。

「ところでさぁ・・・。あんたそもそもどこから来たの?」

「え!?」

「あんたにしろ、あんたに拳銃で腹を撃たれてゾンビになりかけたあの『ターミネーター男』にしろ、一体どこから来たの?」

「・・・そ、それは・・・その・・・。」

「何なの?言えない理由でもあるの?」

「言えないんじゃなくて・・・分からないんです、私も、彼も。」

「『分からない』???」

「あなたにしろあいつにしろ・・・普通の人間じゃあないわね。」
酔いつぶれて寝ていたはずの銀座の女はいつの間にか起きていて、”女医”と女の会話に聞き入っていた。銀座の女は、昨日男が女に手渡したウーロン茶のペットボトルを拾い上げて”女医”に見せた。

「よく見て、先生。」

「『よく見て』って、何なのよ?ペットボトルがどうかしたの?」

銀座の女は指摘した。
「・・・指紋がないわ。」

”女医”は目をこらしてペットボトルを見て思い出した。昨日男がコンビニから万引きしてきて女に手渡したはずなのに、ペットボトルには指紋が1つもついていない。

「・・・あんた!手を見せな!」

”女医”は強引に女の両手をつかんでぎょっとした。女の手のどの指にも指紋がない。

「あんた。『自分が覚えている一番古い記憶』は何?」

女の体がピクピクと震えだした。

「・・・あ、あ、『茜』(あかね) ・・・え、HW・・・タイプFヴァージョン2.0。試作品番号・・・。」

女が続きを言いかけたとたんにレクサスの白のSUVがコンビニの壁ガラスを突き破って飛び出してきた。運転しているのは男だ。男は車を”女医”達の前で停めて

「I’M BACK(戻ったぞ)!乗れ!」

と叫んだ。

「『戻り方』までターミネーター丸出し」と、あきれる銀座の女。しかし”女医”のは別の理由で驚いていた。

『・・・HUMAN WEAPON・・・まさか完成していたなんて・・・。』

  • No.102 by KENJI  2018-10-31 21:27:56 

「先生!何やってるんだ!?」

という男の声に”女医”は顔を上げ、茜は我に返った。

「先生!先生はその子と後ろに乗ってくれ!おねーさんは建物に詳しそうだから助手席に乗ってくれ!早く!」

3人はあわてて指示通りに車に乗り込むと、男はアクセルを踏み込んだ。”女医”が後部座席を振り返ると、後部座席の後ろには大量の武器が積み込まれていた。

「3人ともシートベルトを締めてくれ。運転が少々荒くなるかも知れないからな!」と男。

「どういうこと?」と銀座の女。

「おねーさんみたいにゾンビ1体でマガジンが空になっちゃあ、弾薬がいくらあっても足りない。こっちに向かってくるゾンビは『脳天に一撃』でお願いしたいが、それが出来るのは俺とその子だけだ。その子が出来ないなら・・・。」

「私、出来るわ!」と茜。その途端に車がドスンと何かに当たった。

「・・・て、今みたいにゾンビをはね飛ばすしかない。昔のアクション映画みたいにハンドルや運転を変わってもらう訳にはいかないのさ。茜さんかな?後ろにトカレフと予備のマガジンがある。俺が見落としたゾンビは頼むぜ!」

と、男は答えた。男は続けて

「で、先生、おねーさん、俺は病院のどこへ向かえば良い?」

と尋ねた。しかし銀座の女はハンドルを握る男の手を見ながら、”女医”は男の後ろ姿をみながら、それぞれ考え込んでいる。

『このターミネーター丸出しの男にも指紋がない。』

『・・・『昔のアクション映画』・・・この男もHWだとしても、何故『昔の記憶』があるの?』

「おいおい、2人ともどうしたのさ?俺たちの行き場所を言ってくれなきゃどうしようもないぜ。」

銀座の女が指示を出した。

「病院周辺の道路を回って!病院のどこかの出入り口にボンベを積んだトラックが停まってるはずよ!」

  • No.103 by ほのか  2018-11-02 05:58:58 

私は車に乗り込み話を聞きながらかんがえていた。

指紋…ってなに?

指…の模様なのかな…

私は何度も指を見るがそこに指紋は無い。

私は人間では無いの…かな

男の人も人間ではないのかもしれない。

今なら…過去を思い出せる気がするのになんにも思い出せない。

思い出せないってこんなに辛い事なんだ…。

あはは……息がつまる…。

あ…大切な事を伝えてなかった。

「女医…さん」

『なに?』

「この世界は舞台。だからこの世界を終わらせるには何かをまるっきり変えなくてはならないんだって。そうしない限り、最後は……皆殺し」

私は聞いたことをそのまま伝えた。

  • No.104 by KENJI  2018-11-03 04:13:50 

「なぁ、看護婦さん。ダンナさんと連絡取れたん?」

と大阪の風俗嬢は尋ねた。看護師は

「ええ。こっちに来るそうよ。『俺も君もHIVウィルスとAKウィルスの両方に感染しているから俺が感染症隔離病棟に入っても問題ない。』って言ってたわ。」

と答えた。看護師は続けた。

「あなたも『ゾンビにおっぱい噛まれた』って言ってたわよね。じゃああなたもHIVとAKの両方に感染しているわ。」

「ん~よう分からへんけど、ほな、神父さんは?」

『ん?』

看護師は神父の方を向いた。しかし神父の右手首の入院患者識別用バーコードが印刷されたストラップを見て納得した。神父はHIVにしか感染していない。

「神父さん、いつからこの病棟に入院してるの?」

「・・・そうですねぇ、2ヶ月ほど前からです。」

「キリスト教って、日曜になったら信者が集まって、みんなの前で話するんやろ?信者の人はどうなったん?」

「わたくしもそれが気がかりなのですが、そもそもわたくしは正式な神父ではありません。聖日礼拝での説教を託されただけの、ごく普通のカトリック信者です。」

「へ?ほな、なんでみんな『神父さん』て言うのん?」

「わたくしの幼なじみの女性のお葬式を執り行った神父様の遺言なのです。神父様は天に召される前にこうおっしゃいました。『若くして一番大切な人を失い、それまでの行いを悔い改めた君なら命の大切さが分かるはずだ。私の葬儀は君が執り行いなさい』と。この遺言はバチカンにも報告され、『正式な神父として認められないが故人の遺言を尊重するため』という理由で、わたくしが聖職代行者として神父様のお葬式を執り行いました。それ以来、教会に来られるみなさんが正式な神父ではないわたくしを『神父』と呼ぶのです。」

「神父さん。さっき大阪の人と紹介状を書いた医師のことで話してたわよね。」

「ええ。」

「他に何かご存じですか?例えば『研究テーマ』とか『グループ名』とか。」

「これも噂でしかないのですが・・・紹介状を書いた医師はみなこの病院で『吸血鬼の研究をしていた』とのことです。」

「はあ?吸血鬼?吸血鬼って、あの、ヴァンパイアのこと?」

「今時そんなん、子供でも信じひんで。」

「わたくしも取るに足らない話だとは思うのですが・・・わたくしの場合、HIVウィルスの先祖は1カ所だという話も、診断書を書いた主治医から聞きました。」

「仮にその話が本当だとしても、2人とも感染経路が違うわ。神父は元カノさんから、大阪の人はお客からでしょ。」

神父も大阪の風俗嬢も首をかしげた。看護師は思った。

『やはり主人から聞き出すしかないわ。』

  • No.105 by KENJI  2018-11-06 21:17:54 

「『最後は……皆殺し』・・・いかにもHWらしい答えね。だけど恐怖で本音が出る当たりはこの子が言った通りの『試作品』だわ。」

銀座の女は後ろを振り向いて”女医”に問うた。

「ねぇ、何の話してるの?HWって何?」

「HWはHUMAN WEAPONの頭文字で、意味通りの”人間兵器”。昔日本がノーベル賞を取ったiPS細胞だけでできた、空想上の『究極の生物兵器』よ。あくまで空想上の話だったんだけど、今は現実にあたいの隣にいる。ペットボトルに指紋が1つもついてなかったから、今あんたの隣でハンドルを握っている男もHWよ。しかもこの男はこの子よりソフトウェアのヴァージョンが高い。『昔のアクション映画』というデータをインストールされているわ。」

「その子は『茜』って言ってたわよね。じゃああなたの名前は?」

「・・・識別用として、『悟』(さとる)とだけ言っておく。」

「悟。あんたはどこで造られたの?」

「・・・。」

「あんたも『試作品』なの?『量産型』はもう完成してるの?」

「・・・。」

「なんとか言いなさいよ!」

「・・・。」

「茜さん。あなたはどこなの?」

「・・・に、新潟第一医科大学・・・し、し、試作品番号・・・」

「茜!そこまでだ。早く後ろのトカレフを構えろ!でないと『HW相互支援法』違反でお前を撃つ!」

悟は車のバックミラーを見ながら左腕を上から後ろに回して茜に向けて拳銃を構えた。

「止めなさいよ!もういいわ!あたいはもう聞かないよ!危ないから前を見て運転しな!」

と”女医”が言うなりまたドスンと言う音と共に車がゾンビをはね飛ばした。悟は

「ちゃんと前を見て運転してはね飛ばした。」

と言った。銀座の女はぼやく。

「いくらレクサスのSUVでも、何度もゾンビをはねたら壊れるじゃない・・・どうせ盗んできた車だろうけど・・・。」

「トヨタレンタリースで拝借してきたが『ゾンビ店員』にカネを払う必要はないさ。」

「茜!早くなんとか言う拳銃の準備をしな!」

と、”女医”は茜を急かせた。悟は銃を下ろした。

「悟。あんたの拳銃はあたい、どこかで見たことある。」

「『ワルサーP38』。ルパン三世、『昔のアクション』だがまだ使える。」

  • No.106 by KENJI  2018-11-15 18:52:46 

NICUの看護師とオトコトカレシの3人は20分程配管点検用地下通路を歩いてガス棟に着いた。

「ここはサンスやチッス、スイスなんかの可燃性ガスのボンベがようけあるさかい、火の元にゃ充分気いつけてや。タバコは絶対あかんで!」

とNICUの看護師は注意を促した。オトコはガス棟を見回した。およそ500本のガスボンベが並んでいる。

「これ全部交換するのかよ!?こりゃ大仕事だ。」

「いんや。そこのNICU用の酸素ボンベの半分だけ。そこの20本じゃ。」

NICUの看護師の指さす方を見るとNICU-Aと書かれたエリアに、縦に4列横に5本、計20本のボンベがある。その隣には20本のボンベが同じように並んだNICU-Bと書かれたエリアがある。

「看護婦さん、何故A側の20本だけなんです?」

とカレシが問うた。NICUの看護師は

「A側とB側の圧力を監視する自動調整弁があって、A側の20本の圧力が下がるとB側の20本を開けるしくみになっとるんじゃ。今はB側のサンスがNICUに供給されちゅる。その間にA側の20本を交換するんじゃ。」

と答えた。自動調整弁でA、B両方の圧力を監視し交互に供給・交換することでNICU用の酸素が24時間途切れずに供給され続けるしくみになっている。NICUの看護師はガス棟の入出庫シャッターの周辺を見回してシャッター制御盤を見つけ、扉を開け、鞄からノートパソコンやドライバー、LANケーブルを取り出してハッキングの準備を始めた。しかし、入出庫シャッターのすぐそばにシャッターの開閉ボタンがある。

「看護婦さん、わざわざハッキングしなくても、このボタンでシャッターが開くんじゃないんですか?」と、カレシ。しかしNICUの看護師は

「シャッターをガス棟の中から開け閉めするんじゃったらそのボタンだけでええ。そやけどシャッターの外から開けるときは警備に電話して4ケタの暗証番号をもらってそれを押して開けるんじゃ。おらがハッキングするのはシャッターやなくて、シャッターの向こうにある通用門を開けるためじゃ。」

と答えた。NICUの看護師は配線等のハード面の準備が出来ると

「おらは今からちいと芝居するけん、気い悪うせんとパソコンの画面見ちょってくれへんか。」

と言って、シャッターの開ボタンを押してシャッターを半分だけ開けて外へ出た。NICUの看護師は新入りの看護師にシャッターの開け方を教えるフリをして警備員室から4ケタの暗証番号を受け取り、そこから警備員室のサーバーを乗っ取るつもりなのだ。NICUの看護師は携帯電話から警備員室に電話して芝居を始めた。

「・・・ほれ!分かったか?あぁ警備さん、今から新入りにシャッターの開け方教えるさかい、暗証番号ゆうてくれへんか。」

警備員は暗証番号を電話で伝え始めた。NICUの看護師は無言でこちら側にあるノートパソコンの画面を見るよう指さした。オトコとカレシの2人はパソコンの画面を見ていた。

「3」●
「0」●●
「9」●●●
「1」●●●●
「で、これ押したら最後に緑の”承認”ボタンを押すんじゃ。分かったか?あぁ警備さん、すまねえだ。これで終わりじゃけえ。」

と言って承認ボタンを押した。パソコンの画面には「LOGIN COMPLETE」と表示された。

「看護婦さん、なかなかイカしてるねぇ」とオトコ。

「こんなもん、父ちゃんの仕事に比べたらハッキングのハの字にもなんねーべ」とNICUの看護師。

NICUの看護師は続けて

「次はお二人の出番じゃ。おらはこのパソコンで通用門を開けるさかい、お二人は通用門の外に停まってるボンベを積んだトラックを中に誘導をお願いするだ。」

NICUの看護師はパソコンに表示された画面の中から<GAS BUILD.>のアイコンを探して<OPEN>をクリックした。

  • No.107 by ほのか  2018-11-16 05:03:35 

銃を向けられた時、昔の様子と重なった。

この光景…見た事がある…?

知ってるんだ本当は…
私が何処で生まれたとか。

その現実から目を背けてた。

でも………『茜!早くなんとか拳銃の準備をしな!』

「は、はい!」

そう言われて慌てて銃を用意した。

そして見逃したゾンビをバンバン撃っていく。

そのなかに人間は居なかった。

有り得ない光景なのになんの不安もなんの変化もない。

私、来世は人間が良かったな…なんて。

男の人があんな人だと思わなかった。

まぁ、人じゃないのか。

  • No.108 by KENJI  2018-11-22 22:26:24 

悟は黙ったままハンドルを握りアクセルを踏んでいる。午前10時の太陽はゾンビを真っ暗なビルの中に押し込んだ。こちらに向かってくるゾンビは見当たらない。

「先生。生物兵器って、炭疽菌(たんそきん)とか天然痘(てんねんとう)とか、細菌やウィルスみたいな『目に見えない兵器』のことじゃないの?なんで茜さんや悟が『究極の生物兵器』なの?」

「生きてるからよ。」

茜は黙ったまま空になったトカレフのマガジンを外し、予備のマガジンを差し込んで車の周囲を見ながら空になったマガジンに再装填していた。”女医”は続ける。

「炭疽菌や天然痘みたいなウィルス兵器、それに昔あった新興宗教オウム真理教がテロリズムに使ったサリンや北朝鮮の指導者の兄の殺害に使われたVXなんかの化学兵器は、それを取り扱う側も高度な専門知識や技術が必要だしお金もかかる。しかしHWは普通の人間のごく一部の細胞とiPS細胞だけで造った『目に見える生物兵器』で、それこそターミネーターと同じ。あらゆる武器を使いながら『任務を遂行するためだけに造られた兵器』よ。」

「でも、やっぱり人間なんでしょ?」

「『人間とほとんど同じ』ってだけで、人間じゃないわ。人間と同じように成長するし、食事もすれば水も飲む。ウンコもオシッコもオナラもするし、風邪をひくこともあれば頭痛も起こす。この2人みたいに思春期になれば恋もする。当然年も取るし、時期が来ればやがて死ぬ。でも『兵器は兵器』よ。」

「・・・分からないわ。」

「あんたは銀座のクラブで接客の仕事してたって言ってたわよね。もしうっかりグラスを落として割れたらどうする?」

「・・・まぁ、予備のグラスを出すか、なかったらオーナーにお願いして注文してもらうわ。」

「つまり、ダメになっても『代わり』があるってことよね。」

「うん、そう・・・え!もしかして!?まさかそんな・・・。」

「・・・そういうことよ。」

銀座の女は”女医”の言わんとするところを悟って理解しおののいた。HWは、任務遂行中に死んでもすぐに別の『代わり』が任務を引き継いで遂行する、『人間型多用途多目的生物兵器』なのだ。

「じゃ、じゃあ亡くなった後はどうなるの?遺体の引き取りとかお葬式とかは誰がするの?」

「『割れたグラス』に葬式なんかしないでしょ。『使えなくなった兵器』に葬式なんかしないわ。『使い捨て』よ。だから『究極の生物兵器』なの。」

「そ、そ、そんな・・・。だって2人ともワガママで自分勝手だけどみんなのためにがんばってるのにそれを『使い捨て』だなんて・・・。」

「人間にあってこの2人にないもの。何か分かる?」

銀座の女は震えてもう言葉が出ない。

「・・・『人権』よ。」

  • No.109 by KENJI  2018-11-26 21:07:45 

『ウチの病院がこんなに大きいとは思わなかった。』

医事課総合主任は病院の案内表示を見ながら急ぎ足で妻がいる感染症隔離病棟へ向かった。感染症隔離病棟は文字通り感染症患者を一般患者から隔離するための病棟だ。病棟と医事課との連絡は全て院内電子メールのみで、医療事務を担当する職員が出入りすることはなく、医療器具や院内で処方する薬、機材等は全てAIがIoTで制御するロボットが搬送している。主任はNICUを後にして約40分後、感染症隔離病棟の入り口の扉を開けた。

「あなた!」と振り返る看護師。

「すまなかった。全て俺の責任だ。」と主任。神父も大阪の風俗嬢も2人を見ている。

「私たちのあの子は大丈夫だったの?」

「ああ、NICUの看護師がそう言っていた。だけどあの子も生まれつきエイズ持ちだ。まさかこんなことになるなんて・・・。」

「・・・そう。確かにあなたのせいよね。でもエイズは潜伏期間が長いわ。発症するまでにはあの子の治療方法も見つかるはずよ。」

看護師は夫に抱きついて励ました。しかし主任は

「その治療方法こそAKなんだ。」

と肩を落とした。が、なぜか妙な視線を感じて顔を上げた。

「あ」と主任。
「あ」と大阪の風俗嬢。

2人とももじもじして、視線が泳いでいる。

「2人ともどうなされましたかな?」と神父。もう隠し通すことはできないと悟った大阪の風俗嬢は

「いつもご指名ありがとうございます。」

と、作り笑顔で開き直った。看護師は2人を交互に見て、

「・・・あなた。そう言えばよく『TKD製薬との打ち合わせがある』と言って出張してたわよね。TKD製薬って、本社は大阪でしょ!?」

と夫をにらんで腕組みをした。

「・・・ったくあきれた。あなたが彼女の常連客だったなんて!」

主任も大阪の風俗嬢も、恥ずかしげに頭をかいた。看護師は、

「あなたがエイズをもらってきたご指名のその子もゾンビにおっぱい噛まれたそうよ。AKAKって一体AKって何なの?」

と問い詰めた。しかし主任は

「彼女からエイズをもらったんじゃない。俺のミスで俺が彼女にエイズを移してしまったんだ。」

とこぼした。神父は感づいたようだ。

「AKというウィルスは、それだけでは人間をゾンビに変えてしまうようですな。」

主任は話し始めた。

「・・・AKとは、『AIDS KILLER』の頭文字だ。だがエイズウィルスを殺す訳じゃない。エイズウィルスを無力化させて汗や排泄物と一緒に体外へ放出されるのを促進するウィルスだ。しかしそれをコントロールするのは非常に困難で、単体での暴走増殖が始まると、人をゾンビにしてエイズウィルスを探し回るようになる。」

  • No.110 by KENJI  2018-12-05 21:40:43 

オトコとカレシは通用門の外に出た。

「おい!ゾンビはいるか?」とオトコ。

「見当たらないな。日が昇ったから多分ビルの中に逃げ込んだんだろう」とカレシ。

オトコは周囲を見回してボディーに”ISガス産業(株)”と書かれたトラックを見つけた。二人はゾンビの出没に気を張り詰めたままトラックに近づいた。だがトラックのエンジン音がしない。オトコはトラックの後ろから

「おい、運ちゃん!病院の通用門を開けたからエンジンをかけてバックで俺たちについてこい!」

と、声をかけた。しかし返事はない。

『・・・なんだってんだ、ったく。』

とオトコはイラつきながらトラックの運転席に近づいた。しかしカレシは後ろで不信に思っている。オトコは運転席のドアを手で叩いて

「おい、運ちゃん!いつまで寝てるんだよ!?」

と怒鳴ったがやはり返事はない。ドアのロックが上がっていたのでオトコは運転席のドアを開けようとしたその瞬間にカレシは

「待て!開けるな!」

と声を出したが遅かった。オトコが運転席のドアを開けたとたんにトラックの中からゾンビがオトコに襲いかかった。オトコは

「うわ!こっち来んな!」

と逃げようとしたがゾンビに追いつかれて左足を噛みつかれた。オトコは

「ぎぇー!いてー!ぎゃー!」

と叫んだ数秒後、「・・・あれ?」と振り返った。オトコの左足に痛みはない。オトコの叫び声にNICUの看護師も通用門から出てきた。NICUの看護師はカレシに

「あの人に噛みついたゾンビは、いつもウチにサンスを持ってくるドライバーさんだべ。」

と言った。ゾンビ、いや”元ゾンビ”は人間の姿に戻って死んでいた。

「何だってんだ、ビビらせやがって。ったく。」とぼやくオトコ。しかしカレシは

「・・・これでお前はHIVとAKの両方に感染した。」とつぶやいた。

NICUの看護師の看護師が後ろからの車のエンジンの音に気付いて後ろを振り返ると、オトコとカレシとNICUの看護師の後ろから、悟と茜、銀座の女に”女医”と大量の武器を積んだ白のレクサスのSUVが近づいてきた。

  • No.111 by KENJI  2018-12-06 21:29:04 

<<<<<  ほのかさん、そろそろ出番ですよ >>>>>

  • No.112 by KENJI  2018-12-18 23:31:31 

「あんた、大丈夫なの?どこを噛まれたの?」

と、”女医”はオトコに問いかけた。オトコは

「あぁ、アネキ。戻って来てくれたんだな。左のふくらはぎを噛まれたが大丈夫だ。」

と答えた。カレシは

「先生、他の3人は?」

と問いかけたすぐ横で銀座の女は

「あたしならここにいるわよ。悟と茜さんはまだ後ろの車の中。」

と答えた。

「何か2人で話があるみたい。なんだかラブラブみたいよ。」

「『悟と茜さん』?ああ、あの2人か。それがあの2人の名前なんですか?」

「『識別用』らしいわ。HWていって、タダの人間じゃないそうよ。」

「『タダの人間じゃない』?それは・・・。」

と、カレシが言いかけたところで”女医”が割り込んできた。

「今はその話はナシよ。後であたいが話す。今は彼の噛まれた左足の皮膚と筋肉の細胞のサンプルを採取して調べたいの。何か分かるかも知れないわ。」

「あんたらさぁ、何の話しよるんか知らんが、はよトラックを中へ入れてサンス交換スてくれんと、いつまでも通用門ば開けとられん。警備に怪しまれるっちゃ。」

とNICUの看護師が諭した。オトコはカレシに

「俺が運転するから、ガス棟の中まで誘導してくれ。」

と言った。カレシは了解し、2人はトラックをガス棟の中へ入れた。”女医”と銀座の女とNICUの看護師も後についていってガス棟の中に入り、NICUの看護師がガス棟の中においていたノートパソコンで<GAS BULD.>のアイコンの<CLOSE>をクリックし、シャッターも閉めた。

「んでぇ、さっきの白い車は何ぞね?米軍や旧ソ連軍の武器をようけ積んでたみたいやが。」

とたずねた。”女医”と銀座の女は顔を見合わせ、はっと気づいた。茜と悟の2人を通用門の外に置き忘れてきたのだ。銀座の女は

「ねえ看護婦さん、もう一度出入り口を開けて!あの2人も友達なの!」

と頼んだがNICUの看護師は

「1日で2回もシャッターを開け閉めしたらハッキングがバレてしまうっちゃ。警備が怪しんで、手動でシャッターと通用門をロックしてしもたら、もうどうしようもない。」

と答えた。NICUの看護師は続ける。

「明日になったら警備が交代するけん、そんときにまた芝居して開けるしかなかとよ。」

『はぁ~またあたいのドジが出た。』

と”女医”は顔を押さえた。敷地外に取り残されたレクサスの中の2人は話していた。

「・・・俺たち、取り残されたよな。」
「・・・うん、そうみたい。」
「茜さん。さっきは銃口を向けて済まなかった。ごめん、謝るよ。」
「ううんいいの、そんなこと。『あなたは絶対に撃たない』って分かってた。」
「そうか・・・。それが分かったていうのは、昨日のソフトウェアアップデートと再起動で理解できるようになったのか、それとも・・・。」
「私の”女の勘”で分かったの。」

今夜は”女医”にとって、またしても眠れない夜になりそうだ。しかしまだ太陽は高いところにある。

  • No.113 by ほのか  2018-12-19 23:28:12 

<<すいません、遅れました!>>

「ねぇ、これからどうするの…?」

「取り残されたんならどうしようもねぇよな…」

困り果てた悟は頭を掻く。

茜はうーん、と考え込んでしまった。

すると茜が突然思い付いたように

「もしかして近くのデパートとかに行ってみれば…」

悟も大きく頷いて

「あの辺りはゾンビが来ないから安心だ。じゃあ、行くか」

そういうと車を走らせる。

それからデパートにつくまでの間ほとんど無言だった。

それから10分ほどでデパートにつく。

シャッターで閉じられた中に入ると、それは人がいなくなる前と同じような状態で、ゾンビもいないという最高の条件が揃った場所だった。

  • No.114 by KENJI  2018-12-23 23:34:04 

”女医”は銀座の女と2人で感染症隔離病棟に戻ってきた。

「看護婦さん、みんな大丈夫なの?何か変わりはなかった?」

「ええ・・・。神父さんも大阪の人も大丈夫です。あ、それと、彼が私の主人です。」

看護師は自分の伴侶を紹介した。”女医”は

「初めまして。ここで常駐勤務をしている西原(さいはら)遼子(りょうこ)です。」

「どうも、初めまして。彼女の夫で、この病院で医事課総合主任をしている川崎(かわさき)です。先生は以前どこかで見かけたような気がしますが・・・あ、いえ、私の勘違いかと・・・失礼しました。」

主任はNICUで居眠りをしていたときに見た夢の中で、拳銃自殺をして世界を破滅させた女性医師と遼子がよく似ていたのを思い出した。看護師は

「人事データベースで先生のファイルを見たんじゃないの?」

と付け加えた。川崎は、ああそうかも知れないと腑に落ちない納得をした。お互いの自己紹介が済むと看護師は遼子に

「あの男性カップル2人と男の人と女の人はどこですか?」

とたずねた。遼子は

「男2人はガス棟でNICU用の酸素ボンベの交換をしてからこっちに来る。あとの2人は・・・あたいのドジで敷地外に置き去りにしてしまったわ。」

とこぼして、ソファに座り込んだ。銀座の女は

「あの2人は、武器が扱えるから大丈夫よ。」

と取り繕ったが遼子は肩を落としたままだった。看護師は労をねぎらいながら遼子に写真を見せた。例の5歳児が交通事故で死亡した時の写真だ。

「先生。この写真をどう思います?彼は15年前にこの病院で死んでるんですよ。」

『・・・15年前に死んだ子供の細胞組織をこの病院で冷凍保管し、一部をHW開発用に使ったとしか思えない。しかし今それを言っていいものか?もしそうだとしたら、悟より先に造られた茜はどう説明する?』

遼子は考えた末、

「さあ、分からないわ。今は銀座の彼女の言うとおり、としか言いようがないね。」

「『玲奈(れいな)』って呼んでくれない。お店の売り名だけど。」

「ウチは『みくる』。本名はインパクトあらへんてゆうて、店長から名前もろた。」

大阪の風俗嬢も名を名乗った。遼子は目をキョロキョロさせた。

「あれ?なんかおかしいのん?」

「あんたじゃないわ。」

いつの間にか、主任と神父はいなくなっていた。

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