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▽▲▽▲  2014-08-18 14:57:42 
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 「 愛してやるから。お願い、俺の傍にいろ。 」


  広くて、綺麗な海 愛する人を奪った残酷な海
  水難事故で大切な人を失った彼は今日も温もりを欲する




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  ( ▽ )

  とある海の家、少年は親の手伝いとして働いている
  大嫌いな海、何もかも奪い去った波 少年はあの日を忘れない
  いつも通り接客をしていたある日 同じ学校の奴に偶然会った
  彼奴に似てる、そう思った でも、知らないフリをした 
  フリなんてできなかった 知らずに涙が零れ落ちた


  ( ▼ )

  水難事故で姉が突然いなくなった、突然
  彼氏と海に出かけると幸せそうな顔して、微笑ましかった
  姉の彼氏が同じ高校だと知って、探した
  友達と海に遊びに行って、ようやく見つけた
  姉の事も知らないフリして無性に腹が立った けれど
  彼は自分の目の前で 涙を流した
  

  ( ▽▼ )

  どうか、貴方が幸せでありますように。


  - - - - - - - - - - - - - - - - - -


  ( □ )

  pfロルテ必須。(blかnlの希望も記入)
  置レス亀レス気味、大丈夫な常識人様。
  ロル70- とても悲しい御話ですがハッピーエンド予定。
  展開は本体様と話し合っていきたいです。
  


  >1   レス禁
  


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  • No.24 by 木達立夏  2014-08-19 23:35:01 



ァー…悪い、何でもねーよ
( 後ろに立つ彼が手を伸ばしていたことなどつゆ知らず、すたすたと海の家を後にして砂浜へと出ると、すぐに自分たちが先程立てた無人と化したパラソルを見つけ取りあえずそこへ足を運び。そして目を細め海を眺めると、自分の友人が楽しそうに遊んでいるのを見つけ、でもなんとなくそこに混ざりに行くような気分でもなくただそれを眺めていて。すると途中でこちらに気付いた友人のうちの一人が駆け寄ってきて、「どうした?」なんて聞くものだから俺は言葉を濁し上記を述べて。――段々と低くなってくる太陽。友人に気を使わせるわけにもいかず海へと入りに行った俺は、何にも楽しい事なんてないのにわざとらしく大声をあげて笑った。だけどそんなの周りの声にかき消されては沈んでいき、それが凄く惨めで阿呆らしくて、さっきの「彼奴」じゃないけど涙が滲みそうになるのを必死にこらえ馬鹿みたいにはしゃぐふりをしていて。「姉ちゃんは、海、楽しかった?」そんな今更聞けるはずもない問いが俺の心を支配し、それに気付かないふりをしようと空元気でいる俺は、きっ誰よりも滑稽で誰よりも愚かなんだろう。―――そんな誰に確かめてもらう事も出来ない自己嫌悪を、内に抱えて俺は夜が来るのをただ待っていて。 )


  • No.25 by 灰谷葵  2014-08-20 12:23:39 




( 接客に戻り何を見ていたのか母親が近付いてき察したように"大丈夫?さっきの、木達サン家の.."と肩を叩かれ。心配性な性格は母親から受継いだのだろう、乾いた笑みを零して「大丈夫、心配すんな。」と言えば其れでも未だ信用出来ないのか"無理はしないでね、"そう言い残せば母親も去って。客人からの注文が入れば無愛想乍、其れでも己の中では一番愛想良く接客に励み。偽りの自分を演じる事位、彼女が居なくなって容易に出来る様になった。自分が他に情を注いではまた傷つける、ならば自分の感情なんか見せるものか。なのに自分は彼の目の前で、抑えきれない感情が涙で溢れたのだろう、何て。今思えば羞恥で死にそうだ、なんて柄にも無い事を考え。_すっかり太陽も沈み人数も減ってきて。夏は海の家に住み込み生活。母親からの指示があれば戸締りの準備に入って。_疲れた、シャワー浴びて行くか。己の汗臭さに顔を顰めては何時もの癖で頭を掻き乱して。_軽くシャワーを浴び終えればタオルケットを持ち不安定な情緒の侭約束した通り海家の前に座り相手を待って。 )


  • No.26 by 木達立夏  2014-08-20 19:03:07 



おー、気ィつけてな
( 長らく顔を出していた太陽もすっかり海に潜り、人がまばらになってきた夜の砂浜にて。片付けやらシャワーやらを全て終え、薄手のTシャツにジャージを履き膝の下辺りまで捲りあげた姿の俺は、纏まって帰っていく友人達に「寄っていくところがあるから」なんて告げひらりと手をあげれば作り笑顔で上記を述べ。そして彼らの姿が見えなくなるまで見届けると、すっかり閑静な場所へと変わった海を一人眺め。そして目を細め意味もなく無意識に髪を弄ると、意を決したように小さく息を吐き海の家へと向かって歩いていき。そして目的の場所に近づくにつれ、一人腰をおろし俺を待つ「彼奴」の姿が目に入り。ふ、と視線を落とし俯きがちに歩けば、何故だか波の音と地面に擦れるサンダルの音がやけに敏感に耳に入り自分が緊張状態にある事を感じ。――ずっと探し続けていた男。そいつの存在は俺の目的であり全てだった。だけど彼と区切りがついてしまえば、俺は絶対に忘れてはいけないこの怒りを失ってしまうんじゃないだろうか。そんな事が急に怖くなり少し足がすくんで。何故、俺がこの男を探し続けているのかなんて、唯の怒り任せであり思いついた当時抱いていた明確な理由なんてものはとっくに忘れてしまっていた。もしかすると、理由はこの長い時間にそのものなのかもしれない。――そんな途方もない妄想をすれば、俯いているため正確な距離は分からないがもう数歩先にいるであろう彼の元へ歩み、目の前で足を止めると視線を彼へ投げ、唇をきつく結び無言で相手の反応を待ち。 )


  • No.27 by 灰谷葵  2014-08-21 01:20:19 




__...夏でも夜は冷える。
( 時間を改め、彼は己に何を話すつもりなのか。"恨みを晴らしに殺しに来たわけじゃない"。ならば其れ以外に何があるというのか。気が済むまで殴らせろ、とかだったら別に良い。然し彼女に起ったあの出来事を詳しく聞かせろ、とかならば己は耐えられるだろうか。彼女と共にした数々の想い出、映画鑑賞、図書館で勉強、放課後にデートしたり、休日は部屋でゴロゴロしたり。何をするにも、彼女がいた。大切に、大切に想い出を心の内に仕舞っていたのに、抉られては想い出すら無くなってしまうんじゃないか。ふう、と一度深呼吸。相手が現れる前に己を落ち着かせ、冷静に返った所で相手を待ち。_微かに、砂浜を踏む音が聞えれば顔を上げて。己に視線を向け、無言の相手。てっきり会った途端一言二言怒りをぶつけてくると思ったのに。何て薄暗い中相手を凝視。持っていたタオルケットを相手に投げれば素っ気無く上記を述べ。如何したものか、自分は彼に何かを言うつもりも問い出すつもりも無い。只、相手が自分に何かを言いたいなら、聞いてあげる。そんな事しか出来ない。そんな思えば視線を下に向けた侭相手が口を開くのを待ち。海は自分の全てを奪った、あの日海にさえ来なければ。でも彼女はあの日己に言った、"楽しいね"と。__なあ、お前は今でもあの日を"楽しかった"って言えるか? )


  • No.28 by 木達立夏  2014-08-21 16:18:32 



――あ…あぁ
( 此方を凝視しているかと思えば無愛想に薄手のタオルケットを投げてきた相手。ハァ?なんて思うが、姉に散々「お礼はしっかりと」と教えられていたため反射的に「ありがとう」と言ってしまいそうになり。しかしそこまで彼に心を寄せる必要もないかと思い、口から出かかった「あ」を何とかひっこめるとしどろもどろながらぎゅっと握りしめ、しかし彼の隣に座り膝にかけるのも気が引けて立ったまま腹の前あたりで引っさげ。そして、情けないことに自分はいきなり本題に入れるような人間ではなかったので「アンタ、学校はもういかねーの」なんて、彼女の話題に触れている様なそうでないような問いを投げかけ、静かに彼を見下ろして。――だって姉ちゃんは、悔しいけど此奴がいつまでも自分の事を引きずっているのを喜びはしない。俺は此奴にいつまでも罪の意識を背負って生きていてほしいけど、姉ちゃんはそれをきっと良しとしないだろう。だからこそなんと切り出せばいいかわからないし此奴に接する態度を決めかねている。嗚呼姉ちゃん、海は楽しかった?そんなこと聞けない。もう聞けないから後悔しない。だけど、意地を張らずに病院へ行けば、母によると一度ほんの少しだけ意識を取り戻した姉ちゃんに、何か伝える事は出来たんだろうか。そんな事をふと思うと、タオルを握る拳に力を込め、きっと酷く悲しそうな表情を浮かべ彼を見つめ。―――周りに散々、「お姉さんに似てるね」と言われ育ってきたその顔で、彼を、唯真っ直ぐと。 )


  • No.29 by 灰谷葵  2014-08-21 21:44:30 




( "あ"と出掛った相手の顔を驚いた様に見えるも、其の声は続く事無く消えていき。彼女は直ぐ"ありがとう"と口にするから言うかと思った、なんて。相手の問いは学校の事。自分の学校の事なんて聞いて如何するのだろうか、此奴は。「..行けねーの。」担任は何度も自宅を訪れ"学校に来なさい、灰谷にはまだ将来がある"なんて薄っぺらい言葉並べて説得する。無いに決まっているのに。彼女のいない将来なんてきっと自分が耐えられない。未だ認めたくない現実、だから自分は大嫌いな海にいるのかもしれない。平坦と上記を言えば乾いた笑みを浮かべて。不意に顔を上げ相手を見れば双眸見開いて。_やめろ、やめろ..。思わず手が伸びる、彼女の顔が目の前にある、抱き締められる。そんな錯覚を起こす。伸ばした片手は相手に届くこと無く宙を浮いて。表情を歪めて視線を下げては手を下ろし。_嗚呼、俺はまだ彼女を追い掛けたいと思ってんのか。俯き、頭を抱えてはぐしゃぐしゃ、と髪を掻き乱し。彼女は今の自分を見たら何を思うだろうか、物凄く怒鳴られそうだ。"私の弟の前で情けない事しないで"とか言って頭叩かれそう。そんな事を想像しては自然と小さな笑みが零れ。なら、今の弟の姿を見て彼女は何を言うだろうか。「...笑って。」不意に口から零れた場違いな言葉。まさか声となるとは思わず「..とか、彼奴ならてめェに言いそう。」なんて取り返しも付かない事をしてしまったんじゃないだろうか。そう思えば更に頭を掻き乱して深く溜息を吐き。「ごめん、忘れろ。」とボソボソ。 )


  • No.30 by 木達立夏  2014-08-21 22:30:56 



…ふーん
( 彼の言葉を聞けば、何でだよ、何て単純な疑問が浮かぶも興味があるような素振りを見せるのは何だか悔しいような気がして、興味が無いみたいに態と不愛想に上記を述べて。――俺が聞きたいのはこんな事じゃない。思い出せ、此奴に会ったら言ってやろうと思ってたことがたくさんあるだろ。何て自分の中で葛藤するも、震えた唇が言葉を発することはなく。嗚呼、俺情けない面してんだろうな、姉ちゃんに顔合わせらんねえよ。会いたくても会えねーけど。なんて自嘲めいた感傷に浸っていると、突如此方に向かって伸びてきた彼の腕。意図がわからず面食らうも、どこか弱弱しいそれは虚しく空を搔き下ろされた。 )
…笑って。姉ちゃんがアンタの事本気で好きだったんなら、きっとアンタにもそう言うよ
( 酷く、酷く悲しい。喉が渇く、胸が痛い、この気持ちを誰がどうしてくれよう。――嗚呼、俺も同じこと思ってたよ。姉ちゃんなら今のこの状況をきっと喜ばない。「笑って」そう言って、俺より背が低いくせして手伸ばして俺の頭を撫でるんだ。なんでこんな、何でこんなに俺は泣きそうなんだろう。空いている方の手で胸に手を当てTシャツをぎゅっとわし掴めば、俺は情けないことに眉を下げ掠れた声で上記を述べて。目の前にいる此奴はこんな俺のことどう思うんだろう。馬鹿みたいだ、本当に。そう冷たくもない夏の夜の風が酷く身に染みて、震えだした手に何故だか泣きそうになる。「――なぁ、アンタ、姉ちゃんが息引き取るとき病室にいた?俺はいなかった。行かなかったんだ。母さんに聞いた話だと姉ちゃん、少しだけど息吹き返したらしいよな。アンタ知ってた?」なんて、何とも思っていないって強がるように俺は前記を述べ、更に泣きそうに歪んでいく顔を誤魔化す様に髪に手を伸ばし、くしゃりと搔いてみて。 )



  • No.31 by 灰谷葵  2014-08-21 23:58:19 




___そうだろーな。
( 自分にも彼女は言うだろう、そんな事分かってる。でも自分には、彼女以外に笑顔を向けれる奴なんていない。内心そう思いながら、顔を上げ視線を目の前に向ける。悲しみで今にも泣きそうな姿。_嗚呼、俺だけじゃない。大切な人を失う痛みと辛さ。木達の家族だって俺以上に彼奴と一緒にいんだから、悲しいに決まってる。ゆっくりと立ち上がり、今度こそ、と手を伸ばす。目の前の此奴が彼女じゃない事も分かってる、俺なんかが手を伸ばしてはいけない事も。別に、悲しみを共有したいわけじゃない。唯、目の前の此奴が誰にも救いを求めずに一人で涙を堪えるのを彼女が許さない。伸ばした手をそっと、頭に乗せる。じわり、求めてはいけない温もり。大丈夫、忘れればいい。そう思いつつポンポン、と自分なりに優しく撫でる。彼女なら、彼女なら何て..。「_..泣きたい時は泣け。一人で抱え込むな。..」。海を大嫌いなのも、抱え込むのも俺だけでいい。不格好ながら数回撫でればそっと、手を引っ込め、やってしまった感に視線を落としては如何していいか分からず。不意に聞かれた病室での話。嗚呼、思い出したくないんだあの瞬間は。眉を寄せて表情を顰める。「心配、してた。..お前の、こと。」不覚にも声が震えた、確かに震える声で彼女は弟の姿を探した、でも姿を見ない侭息を引き取った。響き渡るピー、という音。其れが何の意味を指すか理解するのに数分かかった。涙で彼女の表情がよく見えなかった、でも微かに笑ってたような気がした。 )

 

  • No.32 by 木達立夏  2014-08-22 00:45:04 



( いつか全部、大丈夫になってしまう時が来るのかな、なんてことを考えてしまう時がある。ふとした瞬間ちらつく彼女の顔が忘れられなくて、そのたびずっと薄れることなく苦しくてこんな気持ち消えればいいのにって思うのに、それでも彼女の事を忘れてしまいたくはない。それはただの同情なのか、罪悪感から逃れたいのか、家族愛何ていう小奇麗なものなのかは分からない。だけど彼の掌から感じた確かな温もりは、そんな悲しみの海から自分を引き上げてくれるような、あるいは目を覚まさせてくれるような、そんな感覚だった。じわり。滲みそうになる涙を必死にこらえタオルを握る拳に力を込める。すると聞こえた彼の声。――何で、何でアンタがそんなこと言うんだよ。そういって突き放したかったけど、何か言葉を発すると声が震えてしまいそうで、彼に触れると震えた手が自分の弱さを伝えてしまうかもしれない。もう本当、嫌になる。慰められに来たわけじゃないのに。――そんな事を考えながら、俺はまだ何かが吹っ切れないような顔で彼を見て。 )
…姉ちゃん、昔一回入院したことあんだよ。その病院、海が見えるとこで――って言っても、全然整備もされてない、普通の海だったんだけど
( 心配してた、お前の事。――そんなわけないだろ、嘘だ、聞きたくなかった。本当に自分が嫌になる。昔の自分を心の底から呪ってやりたい。だけど冗談でもそんなこと言ったら、きっと姉ちゃんは怒るんだろうなあ。そんな事を思えば、俺は彼の言葉から逃げる様に、しかしそれでいて応える様な雰囲気で、ポツリポツリと昔話をし始めて。 )


  • No.33 by 灰谷葵  2014-08-23 11:24:37 



( 曇り続ける彼の表情。暫し思考。此奴の気持ちは晴れないのだろうか。何とか、如何にかして。何も出来ない自分に腹が立ち恐怖すら湧いてくる。やっぱり自分では如何も出来ないんじゃないのか、此奴の事も自分の事も。其の場に立ち竦み俯けば片手で顔を覆い隠しボソリと口に出す、「_木達..を、守れなくてすみませんでし..た。」。彼女の家族にも病院で上記を告げた。此奴はいなかったからこの機会に伝えるべきだろう。慣れない口調、だが伝えられた。もういいだろう、此れ以上彼女のあの瞬間を思い出したくない。目の前の彼を救えるほど自分は出来た人間じゃない。彼の家族、か友達。見た感じ何事も打ち明けられる友人では無いと、自分は思った。ならば、家族は?同じ悲しみを分かち合えるんじゃないのか。自分は、唯の彼女の彼氏、だった人に過ぎない。背を向け、座っていた場所に戻る。俯いた侭、彼の顔を見れない侭。_昔話をし始めた相手。彼は病院に来なかった事を後悔しているだろう、きっと。言わない方が良かったか、少し此方も後悔。昔話に話を切り替えた相手の話を唯々黙って聞いて。 )


  • No.34 by 木達立夏  2014-08-23 14:15:15 



面会時間ぎりぎりまでいた俺にさ、姉ちゃん、『見て、綺麗でしょ』って言ったんだ。何もないとこだったから、きっと窓の外の海か空を指して言ったんだと思う。雲に覆われてまともに星なんか見えない夜空と、反射するものがないから真っ黒で何も映さない海をだぞ、可笑しいだろ?
( 彼の謝罪を聞き何も言わずに飲み込めば、俺は瞳を伏せ一つ一つ記憶を辿り、懐かしさに思いを馳せれながら眉を下げ弱弱しく微笑みながら上記を述べ。「――全く、わかりづれー元気出してって表現もあったもんだよな。姉ちゃんにとっては、きっと窓の外の景色なんてどうでもよかったんだ。今ならわかる。」そう述べると、俺はその頃よりやや男らしくはなったが姉に瓜二つなことには変わりないその顔をあげ彼を見据えて。そして再度口を開いたかと思えば、「なぁ見て、綺麗だな」何て少し震えた声で告げ、泣きそうな顔で笑って海を指し示し。そして丁度己の陰にかぶさって海が見えないだろうからと、座りなおした彼の腕をあいた方の手で掴みやや強引に立ち上がらせ。――嗚呼、わかるよ姉ちゃん。あの頃の俺はまだガキだったから、姉ちゃんの言ってる事が良くわかんなかった。だけど俺、こんなにも姉ちゃんに優しい気持ちを貰ってたんだってやっと気づけた。…何て、もう伝えられない思いを胸に抱えながら。 )
―――アンタのそういう楽の仕方、馬鹿みたいだ。
( 昔話を終えると、先ほど何も言わずに飲み込んだ彼の謝罪に対し、間を置き多くは語らずに上記を述べて。彼は、謝罪して責められることで罪の意識を背負って生きようとでも思っているのだろうか。本人がそう決めたのなら俺は一向に構わない。だけどこんな弱弱しい姿を見せられたら、そんな彼を見捨てでもしたら、姉ちゃんに顔向けできない。俺も此奴も同じだ、同じ思いを抱えてるんだ。そう思うと、先ほど彼を掴んだ手とその腕の温かさが身に染みて、姉とよく似たその顔でふっと微笑むと、俺は求めてはいけない温もりを求めそうになり。だがそれを抑えようとしてきゅっと手に軽く力を籠めると、なんだか彼に縋っているように思えて途端に恥ずかしくなり慌てて手を離して。 )


  • No.35 by 灰谷葵  2014-08-23 16:44:17 




( 無言で相手の話を聞く。何も映さない海を、"綺麗"か。確かに可笑しい、でも彼女が云うなら其の海は綺麗だったんだろう。そんな事を思い、相槌を打てば。今なら分かる、そう言った相手の言葉に少々混乱。嗚呼、なるほど。暫くして理解出来たのか、其れでも彼の話は黙って聞いて。_"綺麗だな"不意に耳に届いた声を聞き取り顔を上げて、腕を掴まれ其の侭立ち上がっては指された方を恐る恐る視界に入れる。自分にとってあの日からの海は、ただ広くて、何もかも奪うだけの、残酷な海。其れでも今日は快晴。月の光で輝く海面、泣きそうな顔して笑う彼の顔。見たくない、だけど見入った表情で真っ直ぐ海を眺める。真っ暗な、其れでも微かに輝いている海に。_なあ、お前の弟は強いのか弱いのか分かんねーよ。海を見詰めた侭頭の中で彼女を想い想う。想えば想うほど、涙が出てくる。此奴がお前の事好きだったように、俺もお前の事好きだった。だった?否、今でも好きだ。この温もりに慣れてはいけない、分かってる。然し途端に離されては無意識に手を伸ばし相手の腕を掴めば引き寄せ己より小さな身体をそっと抱き締めて。小さく呟く、「ごめん、暫くこうさせて。」 )

  • No.36 by 木達立夏  2014-08-23 19:19:09 



( 遠い海を眺めると、僅かに煌めいた波を目で追い小さく息を吐いて。そしてちらりと彼の方へと視線を移せば、暗くてよく見えなかったがまっすぐと海を見つめている事だけはわかり、小さく安堵の表情を浮かべ。しかし自分の素直でないところがそうさせるのか、その顔は僅かに勝ち誇ったようでもあり、少し涙ぐんだ瞳とは対照的であり。嗚呼、此奴はこうして救われていくのかな。無理やり同調することが正解だなんて思わない。だけど、悲しいことを思い出してしまう音や、場所や、色や匂いを、乗り越えられる日が来るのかな、なんて思いながら、俺は微かに感じる風の音に意識を逸らして。――だってそうでもしないと、泣いてしまいそうだから。なんて、一人。 )
―――俺、
( 自分が手を離してから息を吐く間もない程早く、今度は立場が逆転し腕を掴まれたと思ったら勢い良く引き寄せられ、彼の大きな体にと心地良い熱に包まれて。状況に頭はついてこないものの無意識に体が彼の温度求め、先ほど受け取ったが手持無沙汰となっていたタオルをばさりと落とすと両手を彼の背に回し驚くほど素直に彼の言葉に態度で答え。――嗚呼、触れ合うだけで全てを伝えられたら楽なのに。そんな都合のいいことを考えながら、俺、と小さく言葉を漏らして。すると突如ハッと意識が引き戻され、骨ばった己の体を抱く彼の肩口をじっと見つめ。俺は姉ちゃんじゃない。顔は一緒かもしれないけど、それでも俺と姉は別物で、此奴が俺と姉を重ねる事で苦しみから解放されるのは、絶対嫌だって思ってしまった。理由を説明する事なんてできない。だけど、だからと言って突き放すこともできない自分は、やがて恥も何もかも捨て彼に縋る様ギュッと顔をうずめると、一度開いた口を閉じ潤んだ瞳をさらに潤ませ、小さく鼻を啜って。 )

  • No.37 by 灰谷葵  2014-08-23 20:38:28 



( "俺"とか細く発した相手。其の言葉で我に返り一瞬自分の行動が信じられなくなったり。_此奴嫌がんだろ..。と内心思えば慌てて離そうと。然し相手も無意識なのか顔をうずくめ縋る始末。如何すれば良いのか更に混乱するも暫くして持ち前の冷静さを取り戻せば片手を相手の頭へ持っていき、優しく優しく撫で。無意識に此奴を抱き締めた時、少なからず彼女と重ねた自分が情けない。でも今は、分かってる。彼女はいない、今抱き締めてるのは彼女の弟で。此奴も、同じ悲しみを彼女と過ごした分だけ抱えてる。彼が話した昔話に己はいない。自分と彼女が過ごした時間より、目の前の此奴と彼女が過ごした時間が断然長いわけで。ふと視線を上げて再度海を眺める。_なあ、此奴の重荷。俺が軽くする事できるか?海に向かって内心訊ねる。彼女に問うように。余りにも綺麗な海に何か吹っ切れた様に小さく笑みを零せば涙が頬を伝って。相手の頭を優しく撫でた侭、抱き締める力を強め小さく「俺、彼奴の事。..愛してた。」なんて呟く。彼の温もりが消えてしまいそうで、怖い。だから求めてはいけなかった。でも今更後悔出来ない、此奴も少しでも身が軽くなれば其れでいい。彼が満足するまで唯々抱き締め、撫で続けて。__此奴が、幸せになればお前も喜ぶよな。 )


  • No.38 by 木達立夏  2014-08-23 22:52:18 



( ふと、頭に感じた柔らかで暖かな感覚。撫でられていると気が付いたのは暫くしてからで、子供の頃に戻ったような錯覚に陥りそうになる。しかし彼が求めているのは自分ではなく姉なんだ、そう言い聞かせ甘えてしまわない様にと暗い顔をすれば瞳を伏せて。次いで、抱き締める力を強めた彼を離さない様に、彼の温もりを零してしまわない様に、同じくギュッと抱き締め返してみて。すると聞こえた彼の小さな呟き。その言葉を頭の中で数度復唱してから、込み上げてくる酷く悲しい気持ちを胸に、うずめた顔をあげ少し上にある彼の目を見て驚きの表情を浮かべ。いつから彼が涙を流し始めていたのかはわからない。だけど俺はもう数度目となるその美しい涙を見やれば、彼と同じくらい苦しそうに眉根を寄せ、だが拭ってやれるほど強くもないので見て見ぬふりして「泣くなよ、もう泣くな」なんてくぐもった声で呟きまた彼の肩口に顔を伏せ自分の表情が見えない様にして。そして、彼の先程の呟きに対して「――そりゃそうだ、あんな良い女、世界中探したってそう簡単に見つかんねーよ。…俺だって、今もこれからも、きっとずっと愛してる」なんて涙声で返答して。彼のこの優しさは、きっと姉の事を想った故の義務感なんだと思う。そんな悲しいことわかってる。わかってるけど、それに縋るのをやめられない自分の弱さが惨めなくらい情けなくて、このまま全て忘れられたらなんて思う。だけどそれが恐怖でもある自分は、やっぱりまだまだ姉を今でも愛していて、きっとこの先も忘れる事なんかできないんだろう。――なんて、一人考え長い感傷に浸り続け。 )

  • No.39 by 灰谷葵  2014-08-24 00:18:23 




( 抱き締め返した相手。増々どうすれば良いのか分からなくなる。許されてる気分になる、此奴は俺を憎むべきなのに。一度温もりを知ってしまえば忘れられなくなる、何てもう手遅れだろうか。"泣くな"との言葉を聞くまでまさか自分が泣いているとは思わなかったのか数回瞬きし多少驚くも羞恥の方が大きかったり。「..お前の代わりに泣いて遣ってんだ。」なんて言い訳染みた事を半分本音で口にして。_全部吐き出せば楽なのに。"自慢の弟"彼女がそう口にする理由も分かった気がする。でも、此奴は未だ16歳で子供染みた所があっても良いんじゃないか。内心そう思えば更に抱き締める手を強め。__相手の言葉に首を縦に何度も頷く。本当に、あんな何時でも本気でぶつかり合える女は彼女くらいだろう。相手の温もりを少々惜しみつつ抱き締めていた手を解きゆっくりと離れては一息吐いて。「今幸せな顔してると思う。彼奴。」彼に此処まで想ってもらえて。姉と弟、自分は姉もいなければ弟もいない一人っ子なのでどんな生活をして家族愛を築いてきたかは分からない。其れでも天国に居る彼女はきっと今幸せな顔して笑っている。そう信じたい。__だからお前もこの先幸せになれ。相手を真っ直ぐに見詰め双眸細め笑みを浮かべて。直ぐに表情を戻せば先程伝った涙を拭い視線を少し下げて。 )

  • No.40 by 木達立夏  2014-08-24 01:12:52 



―――あっそ
( 泣くな。そんな言葉に対し照れたのかはたまた本気で言っているのかはわからないが、言い訳じみた軽口をたたいて見せた相手。俺は呆れたように、だけどどこか助けられたようにふっと微笑み短く上記を述べ。――涙ってのは厄介だ、強い自分でいなくちゃと思えば思うほど涙腺は歪み小さな子供のように大粒のそれがあふれ出てくる。そんなどうしようもない現象が起きぬようにと歯を食いしばって乗り越えてきたつもりだったが、やっぱりまだ駄目みたいだ。彼を見ているとなおさらそう思う。――何てことを一人考え、背中に回した手で彼の服を小さくつかみ、小さく擦れた髪の毛の感覚に小さく反応し。 )
だと、いいな
( 自意識過剰だろうか。だけど惜しむみたいに離れたように思える彼の手を目で追うと、その視線を彼の瞳へと向けまっすぐ見つめ。その視線は決してただ優しいだけものではないけれど、出会った当初の様なむき出しの敵意は和らいでいて、いつものような冷静さを幾分か含んでおり。次いで穏やかな笑みを浮かべ静かに言葉を紡いだ彼に対し、少々驚きの色を示すも、此方もふっと微笑めば短く上記を述べ。しかし何の抵抗もなく微笑みを見せてしまったことで、まるで心を許したように思われるのも何となくむず痒く、俺はごまかすように視線を外すと先程落としてしまったタオルケットを拾い上げ手で軽く払い。次いで、「お前も、いつかまた大事な人ができて、幸せな顔するようになる日が来るのかな」なんて告げ、やや俯きがちの彼に対しやや眉根を寄せ硬い表情を浮かべて。しかしその直後、悪気も追いつめるつもりもなかったが、姉と同じ顔でこんなこと言ったらプレッシャーかかるかな、なんて思い、慌てて顔を隠すように下を向き居心地悪そうにして。 )

  • No.41 by 灰谷葵  2014-08-24 13:36:57 




( 少しは身が軽くなれただろうか、なんて内心。己は少なからず昨日気持ちを切り替えれた気がする。否、切り替えれてはいない。未だ彼女の事は忘れられないし忘れてはいけない。唯、彼女を失った以来心が落ち着いた日は無かったのに。ようやく溜め込んでいた涙を流した相手に安堵すれば双眸細めて。_硬い表情で述べた相手の言葉には此方も表情を曇らせて。先ほど感じた温もりはもう無い、拳を握りしめ暫く無言でいれば再度顔を上げて海を眺め。いつか、大事な人ができて幸せな顔をするようになる日。海を見る度、幸せだった頃の事と残酷なあの日の事を思い出す。大事な人なんて彼女しかいないし、幸せな顔をする事なんて大事な人がいなければ出来ない。「お前こそ、そんな日が来るのか。」海を眺めた侭問われた事を問い返す。自分の事は答える必要が無いと思った、だって俺の大事な人なんて彼奴しかいない。もしも、大事な人が出来るのなら彼女のような人に自分はまた惹かれていくのだろう。上記と共に小首を傾げて相手を見詰めて。"灰谷にはまだ将来がある"いつかそんな事を言った己の教師。あの言葉をずっと拒んで来たが今なら少しくらい夢見てもいいかなって思う。振り切らないと前に進めない事ぐらい分かってる。でも、いつか彼女の事を忘れて幸せになってしまう自分が物凄く恐い。 )

  • No.42 by 木達立夏  2014-08-24 16:34:38 



――このままだと来る気しねえけど。姉ちゃんのせいで女を見る目が肥えたかな
( 先程俺が問いかけた質問に対して答える事は無く、逆に同じ質問をぶつけてきた相手。ずるい、なんて一瞬思ったが、それを素直に口に出してしまうと何だか負けたような気がして、俺は一瞬答えを述べるのをためらうも、口を開けば上記を述べて。その際、本気で好きになれる人がなかなかできなかった為、姉に隠れてこそこそ割と異性と遊んでいた経験は伏せておく。姉にも恐らくばれていない、いや黙認されていただけかもしれないけれど、それを彼に打ち明けてしまうのは少し勇気が必要で。そんな事を考えながらまたちらりと彼の方を向くと、ぱちりと視線が絡み合い何だか気まずくなってしまいふっと顔を逸らし。 )
でも俺は、一生姉ちゃんの事……いやなんでもない。とにかく、一生このままでもいいかなって思ったりもしてる
( 彼からの逆質問に回答した直後、何らかの返事を聞く前に上記を述べ。姉ちゃんの事――、その言葉の後に続けて、俺は何と言おうとしたのだろう。しかし今はそれを深く考えるべきではない気がして、俺は小さく頭を振ると一つ息を零し。「このまま。」その言葉には、沢山の意味が込められている。それは決してほめられたものではないし、周りから見れば俺はきっと過去にとらわれ続けている情けない男なのだと思う。だけどどうやったって姉ちゃんを失った俺は、心に開いた穴が塞がるイメージを持つことができなくて、唯瞳を伏せ地面を見つめ続け。 )

  • No.43 by 灰谷葵  2014-08-24 20:26:19 



( 相手の言葉に思わずふ、と笑みを零して。見る目が肥えた、か。確かにそうかもしれないなー、なんて内心思ったり。相手と視線が合えば直ぐに逸らされ此方も視線を下げつつ小さく苦笑。此奴は姉を好き過ぎて彼女という存在はいなかったのだろうか。然し頭の中で疑問が浮かぶ。"この間ね、弟が女の子と歩いてる所見たんだ-。"此処にいない彼女に聞いた自慢の弟の話。其の時は余り気にしなかったが今になって思い出すとは。疑問な侭其れでも口を閉ざして黙っており。"一生このまま"発した相手言葉に何処と無く胸が痛む。姉を失う辛さは分からない、でも大切な人を失う辛さなら理解できる。其の辛さや悲しみに此奴は一生浸かり続けるのだろうか。彼女は如何思うだろう、彼女が此れを聞いてたら。怒るか、悲しむか。自分には分からない、付き合っていたとしても彼女の思う事感じる事が全て分かるわけじゃない。だって今彼女の表情を見る事ができないから。__気持ちが暗くなってきた、駄目だ俺。そう思えば考えを振り払う様に首を横に振って。「俺は、彼奴の為にも進まねーと。」彼奴の為、なんて綺麗事言ってるけど本当は自分自身の為だ。自嘲を零し結局自分は彼女がいないと弱い人間だと思い知る。其れでも何時か目の前の此奴も前に進める日が来れば良いな、なんて。願ってばかりで手助けなんて出来る自信無いけど。 )

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