▽▲▽▲ 2014-08-18 14:57:42 |
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――あ…あぁ
( 此方を凝視しているかと思えば無愛想に薄手のタオルケットを投げてきた相手。ハァ?なんて思うが、姉に散々「お礼はしっかりと」と教えられていたため反射的に「ありがとう」と言ってしまいそうになり。しかしそこまで彼に心を寄せる必要もないかと思い、口から出かかった「あ」を何とかひっこめるとしどろもどろながらぎゅっと握りしめ、しかし彼の隣に座り膝にかけるのも気が引けて立ったまま腹の前あたりで引っさげ。そして、情けないことに自分はいきなり本題に入れるような人間ではなかったので「アンタ、学校はもういかねーの」なんて、彼女の話題に触れている様なそうでないような問いを投げかけ、静かに彼を見下ろして。――だって姉ちゃんは、悔しいけど此奴がいつまでも自分の事を引きずっているのを喜びはしない。俺は此奴にいつまでも罪の意識を背負って生きていてほしいけど、姉ちゃんはそれをきっと良しとしないだろう。だからこそなんと切り出せばいいかわからないし此奴に接する態度を決めかねている。嗚呼姉ちゃん、海は楽しかった?そんなこと聞けない。もう聞けないから後悔しない。だけど、意地を張らずに病院へ行けば、母によると一度ほんの少しだけ意識を取り戻した姉ちゃんに、何か伝える事は出来たんだろうか。そんな事をふと思うと、タオルを握る拳に力を込め、きっと酷く悲しそうな表情を浮かべ彼を見つめ。―――周りに散々、「お姉さんに似てるね」と言われ育ってきたその顔で、彼を、唯真っ直ぐと。 )
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