＊ 後輩×先輩 ＊(ｎｌ)

じゃあ、私お金払ってくるね。
(相手から離れようとそう伝え笑みを貼り付けてはﾚｼﾞへと歩みを進め｢..もう、馬鹿。｣と後悔したように赤くなった頬を己の頬に手を当て。)

あ、待って先輩。
(レジに向かう相手を慌てて追うとレジには丁度話に出ていた店員が居り。「うわー…まじか」噂通りの容姿に思わず苦笑いと共に呟けば、悔しさから何処か挑戦的な視線でじっと見据えてしまい。ふと隣の相手が気になりチラリと見ると心なしか赤らめた頬に手を当て恥ずかしがっているような様子で。「…先輩？」相手の言葉を信じてはいるも、このタイミングでのその仕草に複雑な気持ちを抱きながら相手と店員を交互に見やり)

あ、お願いします。
(相手の視線に気付かず慌てて店員に本を渡しお金を払い相手の元へ戻れば｢..岡崎君?｣と何時もと違う様子に不思議そうに首を傾げて。)

あ…行こっか。
(相手に声を掛けられるとはっとして笑みを向けるも複雑な感情から掛ける言葉は少なく、グイと相手の手を引くと足早に本屋を出て)

え、あ、うん。
(慌てて相手の後ろを追い掛けては何時もより口数が少ない事に不思議そうな表情を浮かべて。)

……、
(そのまま暫し無言で相手の手を引いたまま足早に歩いていたが、人通りの少ない路地裏に入ると不意に足を止めれば相手に向き直り)
…ね、先輩。さっきの話だけど…あれってどういう意味？
(そこに普段の笑みはなく、いつになく真剣な面持ちで真意を確かめるよう問い掛けて)

..え、そのまんまの意味だよ。
(相手の何時もと違う行動に疑問を抱くも問い掛けに恥ずかしいのか視線を落としては｢..岡崎君、どうかしたの?｣とやはり相手の様子が気になるのか眉尻下げながら首を傾けて。)

そのまんまって…俺と同じ意味の好きって取ってもいいの？
(どうしたのかと何処か不安そうに見つめてくる相手を真っ直ぐに見つめたまま、先ずははっきりさせておくべき事を優先しようと問い掛けて)

えっと、..うん。
(相手の真剣な眼差しに顔を上げる事が出来ずそのまま小さく頷いてみせて。)

…じゃあ俺と付き合ってよ。釣り合わないとかいう言い訳はもう言わせないから。
(真剣でいて何処か切なさ含んだ瞳で見つめながら相手の片手を取るときゅっと握って)

..っ、うん。
(相手の瞳を見遣れば眉尻下げ返事をするように小さく頷いては。)

っ…ごめん、困らせたいわけじゃなくて。今あんま余裕ないんだ俺…
(相手の表情を見ると少し強引だったか、もしくは怖がらせてしまったかと申し訳無さそうに此方も眉を上げては、掴んでいた相手の手を引き寄せそっと抱き締め)
――…好きだよ、先輩。あの時からずっと先輩しか見えてない。
(抱く腕にきゅっと力を込めると、一目惚れした瞬間から膨らむ一方の想いを言葉にし囁いて)

ううん、私は大丈夫。岡崎君は大丈夫..?
(相手の背中に腕を回し顔を上げ相手を見詰めれば｢..私も好き。｣なんて小さな声で相手に伝えれば。)

すげー嬉しい…。やっと掴まえた。
(相手の気持ちを聞くと抱き締めたまま心底嬉しそうに囁いて。気持ちを確認する事でモヤモヤも消えたのか「ん、もうヘーキ。でももう少しこのままでいさせて」静かに告げると相手の髪に指を通しながら後頭部を引き寄せ)

ん、捕まえられちゃったよ。
(此方も嬉しそうな表情を浮かべてはｸｽﾘと笑み洩らし｢なら、良かった。..うん、分かった。｣と相手の腕の中で大人しくしては小さく頷いてみせ。)

――…よし、充電完了。これ以上は俺が色々ヤバいから。
(漸く腕の中に収める事が出来た嬉しさを噛み締めるようにそのまま暫し抱き締め相手の存在を感じていたが、更なる欲が沸いてくれば抑制可能な内に相手を解放し、照れたように視線を逸らし。「行こっか」取り繕うように笑みを向けると相手に手を差し出して)

あ、うん。
(現実に戻ったようにハッとしては小さく頷き差し出された手を躊躇いながらも握り締めながら｢..そろそろ、帰らなきゃだね。｣と現在時刻を確認しては小さく呟いて。)

ん、送るよ。先輩んち…こっち？
(差し伸べた手を握られる感覚に嬉しそうに頬を緩めると、大体は把握している相手の家の方角を指差し)

うん、そっちだよ。
(相手からの問い掛けにそう答え小さく頷き｢本当に、送って貰っていいの..?｣と相手の家路は逆方向だったらどうしようなどと思考を走らせれば眉尻下げて。)

当たり前じゃん。…ってか送りたいんだって。送らせて。
(眉尻下げる相手を見ては笑みかけ、己の意思を告げると離さないというように手を握る手にきゅっと力を込め)